旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

銀河系大戦(ヤマトⅢ)参加部隊 ガルマン・ガミラス――北部・西部・南部戦線――

 

 劇中にはほとんど登場しなかったのが北部、西部、南部の3戦線である。ほとんど登場しなかったとはいえ、各方面軍はそれぞれの任務を果たしその戦果は劇中に確認可能。中でも北部方面の中核戦力とみられる北部方面艦隊の勇壮な最期は視聴者の目に焼き付いた事だろう。

 

 

 

 名称:北部戦線/北部方面軍
 規模:複数個艦隊
 戦力:不明
 隷下部隊:北部方面艦隊(司令官グスタフ中将)
 配備地/作戦域:不明(M1678散開星団を作戦域に含む)
 指揮官:不明(恐らくキーリング指揮下ないし、総統直属)
 上位組織:不明

 

 言及
 第21話のガルマン・ガミラスに泥を塗った惑星ファンタムへの懲罰として、グスタフ中将率いる北部方面艦隊に出撃命令が下された。一応方面軍とその隷下部隊として想定してみたが――ただ、軍団としての大枠で描写された事はない。本国のデスラーパレス――総統執務室でキーリングと総統の間で交わされた会話の中でのみ、艦隊の言及に留まる

 故に編成上のみにある概念としての方面軍が存在している可能性と、方面軍は独立した集団だが本国の監督下という場合に加え、方面軍その物がなく直轄部隊として艦隊がそのまま本国に紐づいているという3つの可能性がある。総統の独裁的な権限を考えればどれでも平気でグスタフ中将を出撃させ得るから、どれが妥当かは正直判らないが……北部方面軍は概念上の組織で、艦隊は事実上総統府直轄というのが穏当なのではないだろうか。

 任務は――ボラー連邦とガルマン・ガミラスの境界面防衛を担う軍団という可能性が最も高い。西部、東部、南部の戦線が落ち着くまでは後顧の憂いを断つため、侵略というよりも差し当たっては防衛が任務という事になるだろう。

 しかし、先に述べたように軍団としては存在していない可能性もある。16・17世紀の帝都ウィーンかというぐらいにボラー連邦に近いガルマン・ガミラス本星を考えれば、軍事力その物はおいていても総統府直轄で組織として形骸化していても、能力さえ維持できていればいいのだから。

 

 

 名称:北部方面艦隊
 規模:1個艦隊級
 戦力:旗艦1、大型戦闘艦4→旗艦1、駆逐艦複数(10隻)
 配備地/作戦域:不明
 指揮官:グスタフ中将
 上位組織:北部方面軍(キーリング指揮下か、総統直轄)

 

 大型艦艇を中心に編成された戦闘艦隊で、忠誠心あふれるグスタフ中将に率いられた。指揮系統は不明で、キーリング指揮下なのか、総統直轄なのかは分からない。ただしそれは書類上の話で合って、事実上の総統直轄というのは間違いないだろう。戦力から考えて元来は他の隷下別部隊と共に行動し、敵に当たると思われる。

 

 戦力構成
 第23話で森雪が戦艦5、小型艦10と読み上げたが――全長比と描写からいって、小型艦は中型戦闘艦の事だろう。艦隊総数は15隻で、計算上は描写の3倍の戦力という事になる。近距離戦闘艦が5隻、中距離ないし遠距離戦闘艦が10隻とバランスが良い。数もヤマト世界ではそこまで極端に数が少ないわけでもない。

 大型艦も全長から言ってそこまで近接戦闘というわけでは無いから、割合に中距離戦闘が強い艦隊と表現できるだろう。


 戦力の内訳としては――基幹たる大型艦5隻の能力がどうも、近接戦闘特化な武装であるとか戦況を一気にひっくり返すタイプの戦闘艦が多い。戦闘の初っ端から戦う艦ではないだろう。特に旗艦たるグスタフ艦は惑星破壊ミサイルを擁し、これは使う場面を選ぶ。更に、大型戦闘艦もブーメランカッターミサイルを擁しているが、これもまた戦闘初期に使うような代物ではないだろう。

 どの艦にしても、補給が効く可能性は非常に低い。これが地味に問題で、対艦戦闘において前線にはあまり出したくない、危険さをはらむ。こいつら5隻、あんまり火力が高くないしね。ブーメランカッターミサイルもどれほどの威力かわからんし。

 

 劇中に登場したこの艦隊の立ち位置は想定として、旗艦とその直属の護衛艦という事だろう。戦力の内容や数から言って、対艦戦闘において中核的な役割を果たすとは思えない。対ハーキンス艦隊での戦闘ではあまりの戦力差と奇襲的な登場によって、強制的に戦闘に参加させられたが――本来は第18機甲師団艦隊に見えるように、大量の中型戦闘艦や駆逐艦などに任せるべきところだっただろう。

 

 この艦隊の中核たる中型戦闘艦は多数の攻撃手段と長めの砲戦距離を有するため、大型戦闘艦よりずっと戦力として信頼度がある。この中型戦闘艦が前面に立てば、ダゴン艦隊ほどではないが、それなりに火力を見込めたはず。ではあるが――圧倒的に多数のボラー艦隊相手である為、艦隊総門数60の長砲身砲を以てしても戦闘の優位に立てる時間は長くはないだろう。

 そして何より――絶対的に隻数が少ない。少なすぎる。本来はもっと数の多い艦隊で戦闘を行うはずだろう

 

 だって危ないじゃん。方面艦隊の主要指揮官たるグスタフ中将が、この規模の艦隊のまま敵と戦うとは思えない。北部方面艦隊の全力がこれでは、ただの東部方面軍の一部隊である第18機甲師団艦隊より規模が小さいという事になってしまう。方面艦隊と冠している割にあまりに弱勢。

 大体、優秀な指揮官を簡単に戦死させかねない環境をわざと作るのはまともな艦隊編成ではない。当然、本星を守るべき近接の国境ラインである北部方面の守備が……この弱勢では簡単に敗北してしまう。

 その重要さから言っても、劇中に登場したグスタフ艦隊はあくまで北部方面艦隊の基幹戦力としての存在であり、通常はこの艦隊の10倍近い戦力を有しているとみて不思議はない。

 つまり、このグスタフ艦隊は北部方面艦隊第一戦隊とかそのあたりの扱いとするのが妥当なのではないだろうか長々と引っ張ってこの程度の結論で申し訳ないが。


 劇中においては、任務が惑星ファンタム破壊やヤマト臨検程度である為、グスタフ中将も何の疑問も持たずに赴いたが――たまたまハーキンス率いる第8打撃艦隊と鉢合わせしてしまい、ヤマト死守の厳命も相まって本当ならば戦わずに退避すべきところを突っ込んでいった。

 元から敵に勝つことを目的として調整された戦力では無かったため、体当たり突入で相打ちに持ち込むほかなかった

 

 戦術・元来の戦力構成

 先に述べたように、本来はもっと巨大な艦隊の中枢を担っていた艦隊だろう。

 グスタフ直属の艦隊の様子を見るに、対艦戦闘及び対空戦闘を想定可能な兵装である。これを拡大すると――それこそハーキンス艦隊全力やボラーの本国艦隊の襲撃に備える艦隊であることが推測可能。

 つまり、敵の空襲を速射砲たる回転砲塔による迎撃で倒し、敵戦闘艦隊に対しては長砲身砲塔を以て迎え撃つ。最悪、勝てそうにない状況では旗艦に搭載した惑星破壊ミサイルをぶっ放してダゴンよろしく後方の惑星ごと艦隊を殲滅する。という戦術。ベースとしてはダゴンのような機動戦ではなく、がっつり砲雷撃戦で正面切って戦うというスタイルだろう。基幹艦隊の構成があの通りであれば、艦隊全力はそれだけのキャパシティがあるとみて不思議はない。

 

 しかし実際の戦闘には、直属の艦のみの参加となり、あまりの戦力差でまともに抗すことが出来なかった。画面上に映った戦力だけでもハーキンス艦隊の方が3倍から最大で7倍近い巨大戦力である。これではどうやったって勝てない……無理やり力押しで敵前衛を突破、旗艦めがけて特攻する他なかった。

 何なら、体当たり突入だって難しかったはずだ。それをやり遂げたのは他ならぬグスタフ中将の執念によるところだろう

 

 劇中の活躍
 第21話に登場、激怒した総統の命を受け惑星ファンタムに鉄槌を下すべく出撃。続く第22話にて、あーだこーだのたまう古代君をガン無視して惑星ファンタムを破壊。さらに第23話にも登場し、ヤマトが黙ってかっぱぐったルダ王女をもらい受けるべく臨検を試みた。

 しかしそのタイミングで総統の通信とハーキンス率いるボラー第8親衛打撃艦隊がヤマトに接近。新たな命令であるヤマト死守を実行すべく、ヤマトの盾となる形でハーキンス艦隊の攻撃を引き受け――しかし戦力差は著しく、最期まで命令を完遂すべく体当たり突入を決行。グスタフ艦隊はハーキンス艦隊を道連れに壊滅した。

 

 

 

 名称:デスラー親衛艦隊
 規模:複数個艦隊級(本国艦隊扱い)
 戦力:旗艦1、大型戦闘艦3以上、中型戦闘艦12以上→旗艦1、デスラー砲艦複数、駆逐艦複数
 配備地/作戦域:ガルマン・ガミラス本星/総統の護衛
 指揮官:デスラー総統
 所属:不明(恐らく総統府)

 

 デスラー総統の旗艦たるデスラー艦を護衛することが任務の艦隊であり、総統の命を受ければ敵艦隊の攻撃も惑星制圧戦も辞さない。航空戦力を持たない反面、対艦戦闘に関しては強力な反抗能力を持つ艦隊といえるだろう。

 所属がわからないのだが、グスタフ中将の救援のために陣容を整えての戦力投入が早いタイミングで行えるという事を鑑みると、東部や西部や南部方面の所属ではないだろう。ガルマン・ガミラス本星駐留で北部方面軍と合同ないし協調をしつつボラー連邦と対峙するのが恐らく立ち位置として妥当だろう。

 よって、北部方面に振り分けて記事内に記述する。

 

 戦力構成

 第24話登場戦力は、グスタフ艦隊に近い。というより同じ。つまり、旗艦とその護衛を行う大型戦闘艦、対艦戦闘を前面に立って受け持つ中型戦闘艦という編成だ。直属の護衛艦隊という事だろう。仮に対艦戦闘においては――あの戦力では、ハイパーデスラー砲に頼るほか、グスタフ艦隊の応援にならない。

 本来の編成はもっと駆逐艦や戦闘空母などを擁した、バランスの取れた戦闘艦隊であるとみて不思議はない。たとえるならば、ヤマト2で集結したガミラス残存艦隊のような編成だろう。

 一方、第25話登場戦力は直属の護衛艦を失った後。対艦戦闘において最前面に立つ戦闘艦の中でも火力の高い艦のみを抽出して決戦用に編成し直した艦隊だろう。大型戦闘艦ははっきり言って対艦戦闘には大して使えないし、戦闘空母を繰り出すにも――ベムラーゼを仕留める為に航空戦力が必要とは思えないから居なきゃ居ないでいい。

 元来の編成ではないだろうが、しかし総統なりに戦場と戦闘の性質を考えた上でひねった艦隊編成であろうと説明できる。決戦用の強力な砲戦のみを目的とした戦闘艦隊

 

 戦術

 第24話においては、デスラー艦に敵を接近させない。これが第一。故に中型戦闘艦が前面に立って敵との戦闘を受け持ち、敵の接近に際しては大型戦闘艦が盾になるのだろうが――総統の性格からすれば、多分デスラー艦が最前面に立って敵に突っ込んでいくんだろうな……。乾坤一擲とばかりにハイパーデスラー砲、ぶっ放してゴルサコフ艦隊を殲滅したし。

 第25話においてはデスラー砲艦が第一波攻撃かまし、敵陣に風穴を開ける。そのままデスラー砲をぶっぱなしつつ敵艦隊を圧倒する、或いは中型戦闘艦が前面に立ち敵陣深く切り込む。仮に敵に接近された場合はデスラー砲艦では敵わないため、中型戦闘艦がその攻撃を引き受ける。あくまでハイパーデスラー砲は最終手段――一応はこの戦闘プロットでシーンは進んでいったし、妥当だろう。

 

 劇中の活躍
 第24話および第25話に登場。第24話、シャルバート星上空では艦隊が総統護衛部隊のみの参加かつ奇襲をされてしまったため、敵わず。ハイパーデスラー砲で逆転を狙うほかなかった。

 第25話では対艦戦闘編成にシフト、今回はベムラーゼ親衛艦隊に対して奇襲を敢行、その艦隊を全滅に追い込んだ。だが、ブラックホール砲の反撃にあい、艦隊はほぼ壊滅。揚羽の犠牲によって生じた機動要塞のウィークポイントへハイパーデスラー砲を叩き込み、殲滅に成功した。

 

 

 

 名称:西部戦線/西部方面軍
 規模:複数個艦隊
 戦力:不明
 隷下部隊:
 配備地/作戦域:不明
 指揮官:ヒステン・バーガー
 所属:不明

 

 言及
 第4話にて司令官たるヒステン・バーガーがビビりながら御前会議に出席。62パーセントの支配権獲得に軍団の1/3の犠牲を払う、割に危うい指揮能力が数値として現れる。普通なら、この時点で作戦能力はほとんど喪失状態であるはずだが――この際、あと2回失敗した場合は死刑と予告されていた。総統、大甘判断……。
 第9話にてヒステン・バーガーが自ら陣頭指揮を執ることで80パーセント越えの支配権を確立した。ガイデルへ新鋭空母艦隊を派遣した事を考えると、ヒステン・バーガーの火事場の馬鹿力+失った分の艦隊で何とか巻き返したのだろう。

 さらに第12話では支配権を100パーセント到達し、勝利を確定。総統に褒められるに至った。以降、言及・描写なし。
 

 

 

 名称:南部戦線/南部方面軍
 規模:複数個艦隊
 戦力:不明
 隷下部隊:
 配備地/作戦域:不明
 指揮官:クロッペン
 所属:不明

 

 言及
 第12話において、西部戦線のヒステン・バーガーと共に勝利達成を総統から祝福された。どのような戦力であったのか、どのような戦闘過程であったのか、全く推測できるような描写はない。

 そのため、全く不明

 

 

 

銀河系大戦(ヤマトⅢ)参加部隊 ガルマン・ガミラス――東部戦線――

 

 ガルマン・ガミラス東部戦線/東部方面軍はオリオン腕方面に向かう攻略ルートを据えた大型戦力である。ボラー連邦の非直轄領の自治地域を征服するのが目的であり、同時にボラー連邦の勢力分断を担う戦略的に極めて重要な戦線。文明度数もかなり発達した手ごわい惑星が多いとされた。

 残念ながら東部方面軍はガイデルやフラーケン、ダゴンなどガルマン・ガミラスの恥さらしな指揮官が多い部隊であり、騎士道精神あふれるデスラー総統の部下としてはふさわしくない感がある

 

 

 

 名称:東部戦線/東部方面軍
 規模:複数個艦隊
 戦力:不明
 隷下部隊:第18機甲師団艦隊(司令官ダゴン将軍)、次元潜航艇戦隊(司令官フラーケン少佐)
 配備地/作戦域:不明(オリオン腕を作戦域に含む)
 指揮官:ガイデル提督
 所属:不明

 

 言及および描写
 第1話より隷下部隊である第18機甲師団艦隊がボラー艦隊と交戦。軍団の存在については第4話の御前会議似て初めて登場、3つの美しい星を総統に献上すべく勇んで侵攻作戦を展開した。

 続く第9話にてオリオン腕の支配権をおおむね獲得していると――本当はオリオン腕辺境惑星には手を出してはいけなかったのだが、忘れていた模様。

 第12話で80パーセントの支配権を確立したが、ヤマトに阻まれ振るわず。しかもこの時ちゃんと理由を説明していれば激怒されることはなかったが……第15話で赤っ恥を描く羽目になる。

 

 

 名称:第18機甲師団艦隊
 規模:複数艦隊級
 戦力:中型戦闘艦多数、駆逐艦数十隻、惑星破壊ミサイル母艦4
 配備地/作戦域:東部戦線(オリオン腕方面)
 指揮官:ダゴン将軍
 上位組織:東部方面軍(司令官:ガイデル)

 

 猛将ダゴン将軍に率いられた強力な戦闘艦隊。中型以下の戦闘艦でほとんど揃えた機動性を重視したとみられる戦闘艦隊で、バース星守備艦隊を蹴散らし太陽系方面までその戦域を拡大すべく快進撃を続けた。

 名称でよくわからないのが、機甲師団艦隊という点機甲師団隷下の艦隊なのか、機甲師団艦隊という艦隊の性質を表す名称なのか。結局劇中では語られなかった

 

 戦力構成
 先にも述べたように、機動性を重視した艦隊であることが推測できる。この艦隊においては中型戦闘艦は戦艦に準じた扱いをされており、駆逐艦もまた攻撃方法によっては主力艦級の戦闘を強いられるパターンが有る。ミサイル兵装も十分に保有しているため、艦隊として航空戦力以外は結構多彩な攻撃をすることが可能。
 戦艦クラスの艦艇や空母が全くないが、これはある意味彼らが進撃する地域で最も強力な国家バース星が、彼らと同様に航空戦力を有していない点から言って妥当だろう。また、明らかに快速であろう小型ないし中型艦ばかりの編成である為ごり押しかつ、機動戦に強いて敵を翻弄することで――敵航空戦力を突破して敵艦隊本隊への攻撃も不可能ではないだろう。それを考えると、空母はダゴン艦隊に限って言えば、必要性は薄かった。
 一方、ダゴンも空母を運用するという頭はあるにはあって、第6話でヤマトとの戦闘中に悔いていた。


 そうはいっても、いざとなれば周辺の小惑星にわざと惑星破壊ミサイルをブチ当てて艦隊を消滅させる荒業が有る為、彼らにとっては航空戦力の有無や彼我の戦力比は最悪、五分五分に持ち込むことは可能。 

 ヤマトとの交戦以降、コスモタイガーの厄介さに気が付いたダゴンは航空戦力の欠如をガイデルに報告。タイミングよく総統が新鋭空母を東部方面軍に配属させた。この新戦力を取り込み、ダゴンはヤマトとの再選に挑んだ。
 艦隊の航空戦力はヤマトより圧倒的に上で、しかも瞬間物質移送器を保有しているため、かつてのドメル艦隊のように有機的な運用が可能だった。が、ダゴンに明確なヴィジョンがない為に、せっかくの航空戦力も無駄になってしまう

 

 戦術
 ひたすら機動戦ガミラス帝国時代と同様で、猛烈な機動戦・電撃戦である

 陣形を組んでがっつり組み合うより、徹底して敵艦隊を速度で押しつぶす。それができない場合、惑星破壊ミサイルをぶっぱなし、すべてをリセットする。
 ダゴン、勇猛であることは間違いない。が、実はあんまり指揮官としての腕は高くはないのではないだろうか。
 第1話冒頭、あれはラム艦長に対して正攻法で挑み、見事に押し戻されている。平たく言えば、電撃戦に失敗したのだ。あれ以降は、バース星守備艦隊もその戦力が著しい低下の一途をたどった為電撃戦で押し戻されることはなかったが――それでも第3話で逆襲され、必ずしも容易な勝利では無かった。
 ちょっと通り一遍に過ぎる戦術ではないだろうか

 

 劇中の活躍 
 第1話に登場、バース星前面域で交戦。第2話にてバース星空域で交戦、さらにアルファ星第4惑星を攻撃。第3話冒頭でも戦闘シーンが回想として流れ、所属艦のうち2隻が太陽系へワープアウト。ボラー艦と差し違え、もう一隻は地球へと進入、しかし雷撃艇の猛攻で爆散した。第4話の冒頭にも登場、第5話ではラジェンドラ号を追って太陽系へ侵入し、続く第6話ラジェンドラ号撃破の目的を完遂するも味方駆逐艦の多数が戦没する羽目になった。
 第7話バーナード星第1惑星に築いた前進基地にて態勢を立て直すべく艦隊を集結。残存数十の駆逐艦が画面に登場したが、第8話での戦闘は新反射衛生砲であった為出番なし。翌第9話では前進基地が波動砲で粉砕されるに及び、砲は基地ごと消滅。艦隊の行方は語られなかったが、基地の爆発の巻き添えを食ったと思われる。

 残念ながら、ヤマトに完全敗北

 

 


 名称:第17空母艦隊
 規模:1個戦隊級
 戦力:戦闘空母3、円盤旗艦1、二連3段空母1
 配備地/作戦域:東部戦線(オリオン腕方面)
 指揮官:ダゴン将軍
 上位組織:東部方面軍(司令官:ガイデル)ないし第18機甲師団

 

 総統より下された新鋭艦隊で、やはり航空戦力を育て切れていないガルマン・ガミラスの中でも特殊な戦力構成になっている。かつて七色星団決戦で出撃したドメル艦隊と同様の空母中心の戦闘艦隊である。

 

 戦力構成・運用
 空母が4杯。ただ、戦闘空母がいまいち航空戦力の供給源にならない可能性もあるが――戦闘空母が1隻当たりおよそ40機、2連3段空母が60機から120機程を見込まれる。そのため、最小で180機から最大で240機を期待できる。対空能力があるにはあるが、強力とは言えないボラー艦隊相手ならば、確かに集中運用すればかなり効果的な一撃を加えられるだろう。全てを防空に回したとすれば、鉄壁とまではいわないまでも、早々に防衛ラインを突破されることはないはず。


 特筆すべきは、空母4杯中3隻が砲戦能力を持つことだろう。艦首方向へ18門の割合に長距離砲を保有しているという事であるから、これはたとえ護衛艦艇が少数であったとしても艦隊が集結した状態であれば十分この空母艦隊だけでさばけるはずだ。
 当然、護衛艦艇は欲しい。

 しかし、都合がつかなかったとしても自衛能力は高い。仮にごく少数でも駆逐艦が随伴するだけで、大きな火力を担保でき、敵艦隊との直接砲戦であってもそれなりに生存が見込める。何なら撃破も可能。この空母艦隊単独でも戦力化可能だが、出来れば別の戦闘艦隊と組み合わせて運用したいだろう。

 

 ダゴンの指揮下に入ったのが運の尽き。

 

 劇中の活躍
 第10話にて、総統より新しく下された空母艦隊であり、総統はこの艦隊によって東部方面軍の戦力の総合力をアップさせようと試みた。
 ところが、ガイデルはこの艦隊をそのままダゴンに渡す。この艦隊の航空戦力は奇襲が可能である為、ヤマトを効果的に攻撃する可能で、実際に圧倒した。しかし、航空部隊司令官が航空戦力でのヤマト撃滅を忖度半分で断念し艦隊による砲撃戦を求めた――これが運の尽き。第11話にてヤマトを鹵獲しようと試み、その大きな油断を突かれて見事に艦隊が全滅。白鳥座ブラックホールへヤマトを誘引し起死回生の一手を打とうと試みたが、これまた真田さんのアイディアで失敗。
 結果、第17空母艦隊は消滅してしまった。
 彼らが撃破できたのは第10話での宇宙気象観測船及び観測ステーションのみ

 


 名称:不明
 規模:1個戦隊級
 戦力:次元潜航艇11ないし10
 配備地/作戦域:東部戦線
 指揮官:フラーケン少佐
 所属:東部方面軍

 キザ野郎の戦隊。口先だけのガイデルにはふさわしい、卑怯な戦力

 

 戦力の構成
 次元潜航艇のみで編成された戦隊で、通常空間における戦力としては全く持って期待できない。亜空間断層に先行している間も、亜空間魚雷がない限り、外部へ攻勢は不可能。使い勝手が悪い上に、戦い方がひたすら卑怯

 隊司令の性格すらも卑怯で使い勝手が悪い。

 

 登場
 第14話及び第15話に登場。あとは知らん。確かにヤマトに勝った――いや、ただ東部方面軍機動要塞へと誘引しただけ。勝ったとは言えない。

 

 ヤマトに勝ったというのはあくまで大帝星ガトランティスや、ヤマト2におけるデスラー総統のような正面切って打ち破った存在に対して相応しい表現

 この次元潜航艇は勝ったというより、実際は逃げただけ。ディンギル帝国のルガール大総統はアクエリアス上空で、確かに汚いタイミングで卑怯な攻撃を仕掛けて来たが、正面切って戦おうとしただけよっぽどマシ

 

 

ガルマン・ガミラス兵器群 ガイデルの玩具たち

 

 

 今回はガイデルのおもちゃが率いる東部方面軍の特殊な兵器にスポットライトを当てたいと思う。つまり、次元潜航艇と東部方面軍機動要塞だ。

 


 次元潜航艇
 全長:192メートル
 武装:艦首側舷側亜空間魚雷発射管6門、前部上甲板16連装ミサイル発射口2組、格納式小型単装速射砲2基

 

 キザ野郎ガルマンスピッツ(本人が『ウルフでもスピッツでも結構』って言ってたもん)が操る卑怯な戦闘艦。見た目は出来損ないのういろうにプラモの潜水艦の艦橋をぶっ刺した感じ。

 ちなみに海外ではSubmarine, Subspace〈Type I〉と呼ばれている模様。

 

 武装・運用

 武装ははっきり言って貧弱。通常空間ではこの潜航艇はショックカノンの直撃に抗えるほど強固な外殻を有してはいない。それどころか波動爆雷でも簡単に機能不全に陥る。いくらミサイルを32発同時発射できても、ヤマト相手であればパルスレーザー砲群がある為、十分迎撃可能。たとえ他の艦であったとしても、多数が集結すれば一定程度は迎撃可能。

 主戦場は亜空間断層内という事になるだろう。何と卑怯か。亜空間断層から襲い、亜空間に逃げる。とはいっても亜空間魚雷がなければ攻撃は不可能だから、しょせんは制限がある。劇中で無制限に攻撃を行っていたのは、あれは明らかにご都合主義

 艦の全長、亜空間魚雷の大きさ、内部の装填時描写、一通りがご都合主義ではなしにならない。大体、亜空間に潜る必要性が不明。

 やっぱり、ガトランティスの潜宙艦の方が圧倒的に優秀。比べるのも失礼なぐらいかもしれない。指揮官のキザっぽさと指揮のレベルは同格かもしれないが

 

 登場
 第14話にて初登場。第15話にてヤマトを執拗に攻撃――だいぶ卑怯で人でなしな戦術を使っていた同胞をおとりにするってアイツ正気かよ……。東部方面軍機動要塞に誘引した後はフェードアウト。

 第16話の建国記念セレモニーでデスラーパレス上空を飛行し、再登場を果たしたが、その後の消息は不明。

 

 総統、こんな卑怯な艦……使っていいんですか? 挙句、大して役に立たなそう。

 

 

 

 東部方面軍機動要塞
 データ――不明
 
 ひし形の筒が底部に、全体より前に突き出す。おおむね三角形を組み合わせたような形で――キャラクター化されたガマガエルの顔っぽい。格納庫は2つの模様。コイツ、何とトランスフォーマー。展開後は折り鶴のような形になる。

 見た目が物凄く不気味で不格好で、はっきり言って――私の趣味じゃない。ガミラス兵器のデザイン系統から言ってもかなり逸脱し、ガルマン・ガミラス兵器のデザイン系統にも合致しないため、はっきり言って意味不明なデザイン。

 海外ではSuper FortressGalmus〉と呼ばれている模様。

 

 全長の推定
 形状が変化するため、いまいちわからない。展開前は高さがヤマトの全長の12倍、横14倍、奥行き10倍で展開モードでは高さが大体18倍、横は24倍である。つまり、展開前は高さが3.1キロの幅3.7キロで奥行きが2.6キロ。展開後は高さが4.7キロで幅に至っては6.3キロとなる。
 再設定を行った場合、通常では高さ7キロの奥行き5.8キロで幅7.8キロ。展開後は高さ9.8キロ、奥行きは変わらないが、幅は13キロ。

 

 武装・運用
 武装というより、装甲が特徴的。ショックカノンすら通用しない。しかもヤマト捕獲スペースは空間磁力メッキ並みの防衛設備を施している。
 この強力な防衛能力を以て東部方面軍の機動要塞として司令部として運用されている。ガルマン・ガミラス艦艇は決して小さくない艦が多い為、この要塞でも正直手狭感はある。下部格納庫は1キロほどの四方であろうし、一段上に据えられた格納庫もどうやら800メートル程度。搬入口としては十分すぎるほどの大型であるが、奥行きは1キロ程度。
 収容能力は容量から言って、中型戦闘艦が2×10×5が精いっぱい頑張っての数だろう。中途半端にしゃれた形である為、これでは目一杯の収容は少々困難。恐らく100隻がせいぜいだろう。正直、どうでもよろしい。

 

 このどうでもいい要塞の中で唯一特筆すべきは、散髪スペースだ。つるつる頭にするのにも手間がかかるのだろう、という事と同時に専門の職員を雇っているという――ガルマン・ガミラスの福利厚生面が垣間見えるエピソードがこの東部方面軍機動要塞で繰り広げられた。

 いや、ちゃんと生活面が描かれたという点は本当に画期的だし、感心した

 

 

 登場
 第10話にて初登場、第14話においては母港と床屋としての機能をいかんなく発揮。第15話にてヤマト捕獲に成功するも、ガイデルがホウレンソウを忘れて激怒される舞台となった。

 

 

ガミラス兵器群 駆逐艦/惑星破壊ミサイル母艦

 

 駆逐艦と惑星破壊ミサイル母艦はあまり画面に登場しなかった戦闘艦である。その真価は劇中では――発揮されなかったと言えるだろう。

 今回はこの2艦をまとめて考察したいと思う。

 

 

 駆逐艦

 データ
 全長:不明(約231メートル)
 武装:艦首高圧直撃砲1基、艦首回転速射砲塔2基、同艦尾1基、艦央部連装固定砲1基、艦橋指揮所側面長砲身砲2門、舷側格納・固定式連装エネルギー砲2基1セット多数、艦橋前部3連ミサイル発射管

 

 ガミラスグリーンよりも深い、モスグリーンな塗装だが、艦首の最先端がオレンジ色に塗られている。また、エンジンノズルも黒く塗られている。艦の前半部と後半部では形状が異なり、艦首側艦底部はガトランティスの大戦艦に近い。と、ここまでは中型艦と同様だが、中型艦にあった艦底の角のような黄色い突起はない。艦首の開口部もない。が、ベースとして、ヴィジュアルは中型艦と違いはほとんどない

 艦橋内部は中型戦闘艦に似ているが、中央の司令官席は一段高いところとは言え単なる椅子のみ。大分距離を挟んで前方、窓の前にオペレーター席が3つ程。目の前には埋め込み式の操作パネル群がある。階高は5メートルか6メートル程度だろう。どうでもいいが、艦橋その物に、艦長席とか指揮所のあるエリアに思いっきり角状アンテナのような(ずっとアンテナだと思っていた)長砲身砲が据えられているし使用シーンもある。ないよりはマシかもしれないが、ある意味で謎な構造。

 海外では意外な事に戦艦扱いらしく、〈Conqueror II Prototype〉というクラス名で呼ばれている模様。

 

 武装

 中型戦闘艦のダウングレード版、ガミラスナイズされたガトランティス駆逐艦、あるいはガミラスナイズされた主力戦艦というのが妥当だろう。妥当な表現が多すぎて、その癖かつてのガミラス艦の中には同様の戦闘艦を見出すことが難しい。

 

 艦首方向へは6門+艦橋砲2門が対艦兵装として、艦尾方向へは2門のみ。舷側方向へは6門。ただ、長距離攻撃に供せるのは恐らく固定の大型連装砲だけだろう――火力を担保するには常に艦首を敵に向ける必要が有る。そうはいっても、かつてのミサイル艦やクルーザー艦に比べれば射角と速射性が確保できるため圧倒的に使いやすい武装だし、長距離砲戦を念頭に置いていないなら、主兵装が事実上の両用砲である回転砲塔という兵装も妥当。

 長距離ないし中距離戦闘能力をオミットされている分、対艦戦闘において若干、中型戦闘艦への負担が大きくなる。だが、そのための決戦兵器的な高圧直撃砲だろう。中型戦闘艦が敵をさばいている間に、逆転の必殺技を繰り出すとかそんな感じの戦闘プロット。

 これが中型戦闘艦のダウングレードと表現する理由。申し訳程度に艦橋に長砲身砲を備えているが、固定砲台だから有効かどうかは微妙なライン

 

 高圧直撃砲がどんなものかは不明だが、これはどんな兵器にも決戦級兵器を載せたがるガミラス人らしい兵装だ。多分、通常の火砲と同じような砲だがその威力と効果範囲が数十倍に高められているのだろうと推測できる。

 無きゃ無いでいいし、高圧直撃砲よりミサイルあたりを積みこんだ方が艦の使い勝手が良くなる気もするが――積まないよりはか火力が増すから間違った選択とはいえない。

 

 正面に集中しているとはいえ、割に高い投射力は大型戦闘艦よりも濃密な武装で、この点ガトランティス駆逐艦っぽい。一方で必殺であろう高圧直撃砲を擁する点は決戦兵器好きなガミラスらしい武装。つまるところ両者の特徴を併せ持った戦闘艦――と表現可能だろう。

 他方、長距離砲戦能力は疑問だが、武装の傾向は地球の主力戦艦に近い。万能艦ではなく、割に特化した能力を有し、最悪の状況をひっくり返す必殺兵器を擁するそこそこ多数を用意可能な戦闘艦――とも表現可能だろう。

 結論的には、ガミラスが今まで遭遇した勢力の中で優秀と判断した戦闘艦をガミラスナイズした戦闘艦。だから意外と前身に比定出来る戦闘艦がない。

 

 

 全長の調整
 調整の必要性は低い。艦橋内も特に巨大という印象は受けないし、艦の全長がそもそも200メートル越えと大型である為に原作設定値のままでも十分整合性が取れる。

 仮にヤマトの再設定値に合わせるならば、500メートル弱が丁度いい値になるだろう。

 

 運用・立ち位置

 当然、駆逐艦雷撃能力がないという点はかなり疑問な点だが、駆逐艦は防空任務も担う。その意味では、回転砲塔の速射性からして十分防空任務に供せる駆逐艦は多数の艦艇が集まってこそ能力を発揮する、その意味でもこの艦は当然多数の戦闘艦を集めてこそ力を発揮するため、駆逐艦らしいと言える。

 

 開発の方向性としては先に述べたように、ガミラスにはこれまで存在しなかった純然たる駆逐艦。今までガミラスの戦闘艦は方向性がブレて、デストロイヤー艦が戦艦か重巡洋艦みたいなことになっていたし、クルーザーは何がしたかったかわからなかった。ミサイル艦は武装が癖が強すぎて汎用性が低かった。戦艦は重雷装。

 これらのマズイ傾向を一新し、正統派駆逐艦として相応しい能力を持たせた艦を建造する――というコンセプトの元に設計・建造された艦だとすれば、この駆逐艦の兵装は極めて合理的といえる。別に製作陣はそんな事考えていなかっただろうが、説明としては一番スッキリだろう。

 純然たる駆逐艦と表現して構わないだろうガトランティス駆逐艦をベースに、主力戦艦に準じた決戦兵器と武装の削減を重ね合わせた結果がこの駆逐艦。わざわざゼロから艦艇を設計する必要などないし、まして性能要求がこれまで出会った戦闘艦の中に求められるならば、これに求めても問題はないだろう。むしろ自然ではないだろうか。

 

 劇中の活躍
 ヤマトⅢ第1話から登場、複数隻が登場し第18機甲師団を構成した。第7話バーナード星第一惑星でのシーンに至るまで度々登場したものの、続く第9話の中で……多分波動砲によって基地ごと消滅させられた。が、描写はなし。
 第22話でも登場した可能性があるが、画面上は不明瞭で中型戦闘艦との差が艦首のみで判別が出来ない。多分、第22話では登場していないという事になるだろう。

 その場合、第7話が最後の登場シーン

 

 ガルマン・ガミラスにとって全く新しい戦闘艦それがこの駆逐艦。そう結論づけられるだろう

 

 

 

 

 惑星破壊ミサイル母艦(惑星破壊超大型ミサイル母艦)
 全長:336メートル(ミサイル装着時648メートル)
 兵装:惑星破壊プロトンミサイル1発、艦首無砲身三連装砲塔2基、艦橋指揮所側面長砲身砲2門(駆逐艦と同タイプ)

 

 猛烈にダウンスケールした中型戦闘艦が本体で、その下部に支柱があり、これで惑星破壊ミサイルを懸架している。本体は全体的に黒く塗られ、艦首最先端がオレンジ、あのくぼみから突き出した角が青黒く塗られている――と思いきや、黒い艦体の物は初登場時の一隻のみで他は普通にガミラスグリーンで一通り中型戦闘艦のダウンスケール。ただ、武装の傾向は駆逐艦のダウンスケールに近い

 ある意味の亜種であるグスタフ艦というものも存在するが、ミサイル母艦はあまり印象の大きい戦闘艦とは言い難いだろう。

 海外ではMissile Ship〈Devistator〉と呼ばれているらしい。

 

 武装

 戦闘艦としては、落第。よりによって無砲身砲らしいのだ。これは致命的でどうしようもない。

 無砲身砲は何度も述べたように、仰俯角がうまく取れない。速射性も特に高くない。これでは自衛火器として――回転砲塔という極めて強力で優秀な武器があるのになぜ使わないのか。しかも自衛火器の数があまりに少ない。

 申し訳程度についている――と思われる艦橋の長砲身砲は固定であるから、これ威力はきっと高いのだろうが砲としてもう、どうにもならん

 

 ぶら下げているのが、惑星破壊ミサイルなのに、この脆弱さはヤバいだろう。仮に惑星破壊ミサイルを使った後は、ただの的。さっさと退避する他なく、戦闘に寄与は出来ないはず。つまり……戦闘艦としてはこの艦は全く期待できないだろう

 ただ、武装輸送艦としてならば、巨大な輸送力と多少の自衛能力を有するため、そんなにマズイ設計でもない。問題は投入場面。

 

 他方、ミサイル自体の威力は劇中で見たように、非常に強力で、ガトランティスの破滅ミサイルの6倍ぐらいはあるだろう。

 全長が2倍どころではないから、ある意味当然だが

 

 

 

 全長の妥当性
 少なくとも惑星破壊ミサイルの全長がおかしい。


 この空飛ぶ砲身みたいな特殊なこの惑星破壊ミサイルは、第1話で見たように、バース星守備艦隊のタイプAを次々と踏みつぶしていった。その際の比率から言ってタイプAの9倍はあろうかという本当に超巨大なミサイルである。この時点で1530メートルと頭がおかしいレベル。仮に大型戦闘艦とタイプAが同等の全長であった場合は4キロ程度のバカみたいに巨大なミサイルという事になってしまう。

 どの描写や数値を採用すべきか迷うが、少なくとも、描写からしてミサイルが600メートルであるというのはあまり妥当性がない


 母艦の方はどの程度かといえば、こちらも巨大。タイプAの3倍強は全長として見込む。つまり、520メートル程。ただ、母艦と中型戦闘艦との比較においては原作設定値である300メートル強は妥当な値。
 母艦の艦央部より多少後方から延びたアームがミサイルの前1/3程度の位置を掴んでいるため、ミサイル搭載状態の全体としては1.7キロが妥当だろう。仮にヤマトの再設定値を前提とすると…4キロ近い全長に及ぶ。巨大すぎる……。

 

 

 立ち位置・運用

 決戦兵器運搬艦。それ以上の物でもなければ、それ以下の物でもない。

 

 ガルマン・ガミラスや艦隊にとっての障壁であるとか、危険な存在を粉砕するための戦闘艦である。正確には武装運搬艦。どう考えても戦術レベルで使うのは不適切で、戦略レベルで使うのが妥当だ。戦術レベルでは囮以外に使いようがない。

 性質とか関係なしに劇中の描写からして多分、そんな簡単には惑星破壊ミサイルは使えないだろう。あのグスタフ中将ですら、大抵の武装が即座に装填されるヤマト世界なのにもかかわらず、第22話中での再装填は叶わなかった。妥当なのは、総統の命令とか戦略として使うのが普通だろう。つまるところ、戦略的戦闘艦

 

 無論、惑星破壊ミサイルに対する価値観が、例えばダゴンのようなタイプの指揮官であれば戦術レベルで使うだろう。ただ、艦隊に自由にこの艦艇が配備されるのでないならば、元来は戦術レベルで使うべきではない。

 グスタフ中将が惑星破壊ミサイルを戦術レベルで使ったのは他ならぬ「他に手段がなかったから」という事。ヒステン・バーガーならば、苦し紛れに乱発した可能性はある。だってあの人あのままだと死刑だったもの。

 つまり、二人ともほかに手段がなかったから。そう言う場面でなければ戦術レベルでは使うべきではない。艦隊にとっては奥の手だろう。

 


 劇中の活躍
 ヤマトⅢ第1話に登場、3隻ないし4隻が登場し僚艦と共に第18機甲師団を構成した。以降、出番はない。亜種ともいえるグスタフ艦ならば第21話から第23話にかけて登場している。
 惑星破壊ミサイルだけでいえば第18話の太陽制御の際と第22話のファンタム破壊で発射された。また、第23話でもハーキンス艦に突入する際に確実に爆発した。

 なお第4話で登場した惑星破壊ミサイルは色からしてボラー連邦(全長はヤマトの1.5から2倍程、ガトランティスの小型ミサイルに類似したキノコ的形状)の物なので除外。

 

 

ガルマン・ガミラス兵器群 戦闘空母――ブラッシュアップ艦――

 

 戦闘空母はガミラス帝国でもおなじみの特殊戦闘艦である。ところが、ガルマン・ガミラス帝国においては比較的ポピュラーな戦闘艦へとその立ち位置を変化させた。

 今回はこの艦を考察したいと思う。

 

 

 

 ――データ――

 艦級名:不明
 全長:522メートル
 武装:艦橋前部三連装主砲2基、艦橋後部回転速射砲塔1基、艦後部舷側3連ミサイル発射管片舷1基
 搭載機数:不明
 搭載機種:双胴戦闘機、重爆機、雷撃機

 

 ほとんど今までの戦闘空母と同じだが、飛行甲板ブロックと艦橋ブロックの接続点がやたらにくびれている。また、艦尾フィンの数は猛烈に減少し、2枚にまで落ち込んでいるのが変更点。

 艦尾のかなり下の方にエンジンが艦体に埋め込む形で据えられ、2基であろう。ノズルコーンが2本か、或いは仕切り版があってエンジンが3基あるのかは判然としない。旧来の戦闘空母より追加で、第一主砲ブロックと艦橋エンジンブロックとの間に片舷1本ずつフィンが設置されて――印象は依然とさほど変わらないにしても、全く同じではない。
 塗装はモスグリーンで、ガミラスグリーンよりどうやら濃い。艦首先端は黒く塗られ、飛行甲板は白く塗装されている。大型エレベーターが2機並列で、右舷と左舷に並ぶ。その直後から艦首へと直線が伸び、カタパルトが埋め込まれている模様。艦橋の最前部はオレンジ色に塗られ、エンジンは青白く発光。

 海外では第一作で登場する戦闘空母に続く艦として〈Revenge II〉とクラス名が与えられている。

 

 

 武装
 大型の武装としては3連装長砲身砲塔2基とミサイル6門を擁する反面、砲戦甲板はなぜか劇中未使用。結果として、割と武装のボリュームが小さいし、意外と遠距離型

 

 回転砲塔が艦後部に1基ある為、これも戦闘に使えるが――対空戦闘が主だろう。逆にいえば、この一基ぐらいしか近接戦闘に使える武装がない。特に速射を期待できる武装がこの一基のみちょっと不安。しかも艦橋が邪魔で前方にはあまり射角が取れないのだ

 一方で対艦の遠距離戦闘では先に述べたように長砲身砲が艦首方向に2基とその他ミサイルが6門ある為、正面はかなり強い武装した艦体は艦の後ろ半分に満たない為、中型戦闘艦の長砲身砲と同等の威力が期待できるはず。

 ひょっとして大型戦闘艦より火力がデカいのでは?

 

 

 しかしながら、甲板の機能がよくわからない

 準備稿では飛行甲板が観音開きに左右に展開して砲戦甲板として飛行甲板の裏面が機能するという設定があったらしいが、劇中では未使用。設定上は小回転砲塔が片舷に2基直列、その後ろに横向きのミサイル発射管か何か、更にその後ろに大型回転砲塔を設置してする予定だったらしい。

 この方式であれば、艦の高さを稼がなくとも十分に艦載機格納スペースを艦前方に要することが可能だろう。回転機構だとデッドスペースが大きくなりがちだから、その点は合理的

 

 しかし、重力の大きく働く場面でこの機構が使用可能かは疑問。宇宙戦艦だからそこまで考える必要はないのかもしれないが、大気圏内ではあまり――使える機構ではない。

 また、エネルギー供給路の引き方が全く合理的な説明が出来なくなる。回転機構であれば、飛行甲板形態ではエネルギー伝導管なりファイバーなりが接続されておらず、回転させる事で初めて甲板側のエネルギー伝導管なりファイバーなりが艦体側のエネルギー伝導管なりファイバーなりと接続して砲戦が可能になる。という万が一の誤射に備えた安全策と同時に、エネルギー供給路が簡単に設定できる。だが、観音開きだと回転軸の部分以外に艦体と甲板が接続していないため、エネルギー伝導管を設置できるスペースがない……。この部分はちょっと整合性が取れない。

 まあ、準備されていたとしても劇中では未使用だったため、考えるだけ無駄かもしれないが

 


 確かに火力は高いが結構中途半端な武装で、第一作の戦闘空母やヤマト2のいかんなく航空戦力を発揮し、同時に戦艦としても機能を果たした戦闘空母とは性格が全く異なる。正直、使い勝手が悪い
 対艦戦闘において、長距離砲戦の場合には最低でも中型戦闘艦並みの威力を発揮するだろう。だが、接近された場合は大型戦闘艦や中型戦闘艦よりも速射できる火力が小さい為、競り負けてしまう危険がある。

 砲戦甲板があるのかないのかが大きな肝となるだろう、砲戦甲板の回転砲塔があれば近接戦闘でもかなりの火力を有するため期待大。しかし、劇中では未使用だったし結局砲戦甲板の設定は確定では無かった。

 砲戦甲板がないとなると、この艦は砲戦だけでは敵の艦隊と戦う事は難しい。まして敵の航空艦隊と戦うのは不可能に近い。挙句に劇中では航空戦力も未使用だったため、この戦闘空母が空母として及第点に達しているかどうかも不明である為、スペック的には悪くない事が予想されるが、細部が設定されていないため、高評価も低評価もいまいちしがたい

 

 

 当たり障りのない評価をすると――軽空母の航空戦力中型戦闘艦=大型巡洋艦相当の火力あわせもっているのだから、能力としては有力だろう。特に、火力は不足傾向にあるガルマン・ガミラスにおいてはかなり期待できる。航空戦力など、端っからないものなのだから、有るだけありがたい。

 ただ、これだけの武装があっても空母である以上、あんまり敵の攻撃には晒したくはないから……宝の持ち腐れ感が強い。

 まあ、遠距離戦闘に終始させれば何の問題もないのだがその意味では、第一作らに登場した“前級”のブラッシュアップとも表現できる。怖いのは敵の艦載機のみだが、これは自艦の航空隊に処理を任せればいい。だから砲熕兵器系の近接戦闘武装を縮小し、遠距離戦闘も可能なミサイルでこれに替える。つまり端っから、中・近距離戦闘を切り捨てた戦い方を想定した設計――これは半分空母半分戦艦としては合理的選択ではないだろうか

 

 

 

 全長の妥当性
 大体、全長に対し1/8強程度が艦首のあのロケットっぽい見た目の部分――大体65メートルか。3/8強程度が飛行甲板で、1/8強が艦載機発進口及び第一主砲ブロック、2/8強程の部分が艦橋及びエンジンブロック。幅は100メートル強を見込む。つまり、飛行甲板部分が約150から200メートルであろうと推測可能。高さはざっくり200ないし250メートルか。
 2連3段空母との比較からして一回り小さい程度、ヤマトと同等かわずかに大型程度と推測できる。その場合――実際は原作設定値で430メートル程度、再設定で600メートルほどだろう。

 

 

 

 艦載機運用能力
 どうして搭載している描写や運用している描写がないのか、私には理由がわからない。よってどの程度の艦載機運用能力があるのかもわからない。

 

 エレベーターがある為、雷撃機からギリギリ重爆撃機を出撃させられるかもしれない。箱絵でも重爆撃機を従えていたしね。第一主砲ブロックの発進口は2連3段空母のそれより一回り小さい為、雷撃機の出撃は不可能。当然、重爆撃機も発進不可能

 これだとエレベーターオンリーでの発着艦となる為、展開力は結構低い

 

 艦体が有る程度双胴である為、ロスが大きいが10機程を縦に並べて収容可能だろう。合計で20機程。仮に、全てを雷撃機に替えれば片舷40機程、双胴戦闘機でも40機程は収容可能なのではないだろうか。まんべんなく搭載した場合は、重爆撃機10+雷撃機20+双胴戦闘機20の合計50機。実質的な稼働はそのうちの38から40機程度だろうか。

 うん……馬鹿にならない戦力だが、軽空母程度特化したそれぞれの任務に機体だと、あんまりこの艦のスペースを有効利用できない気がする

 

 

 そこで代わりの機体としては、格闘宇宙戦闘機ゼーアドラーを上げたい

 これはコスモタイガーと同規模の機体である為、意外と大きい雷撃機が引っかかってしまう発進口からでも十分発進は可能だろう。また、爆撃任務もこなせるマルチロール機である為、この機体を載せれば爆撃機を別個に載せる必要はなくなる。
 また、ゼアドラーの場合、幅は確実に雷撃機の半分である。片舷で計算上、横2列縦10機2段=40機が見込まれる。両舷では80機ほどが搭載可能だろう

 航空部隊としてのバランスを考えるならば、ゼーアドラー40機+雷撃機20機の合計60機か。どちらにせよ、ゼーアドラーを採用しなかった場合よりかは搭載機数が増える。400メートル越えの正規空母にしてはかなり搭載機数が少ないが、半分は戦艦であるこの艦にしては、従来の三段空母と同格の搭載機数を確保できるのは十分魅力だろう

 アングルドデッキを廃止しているため、着艦と発艦は厳密に分けなければならないだろう。まあ、3段空母のあの形式をいまだに平気で使いこなしているのだから、多分問題はない。


 搭載機再設定(再設定値ヤマトと比較した場合は、これらの数を約3倍する)
 搭載機数:ゼーアドラー35+補用5、雷撃機15+補用5、合計50+補用10(ゼーアドラー単独搭載で常用70+補用5を見込む)
 搭載機種:ゼーアドラーⅢ、雷撃機

  

 

 運用・立ち位置
 小規模艦隊の防空艦。護衛艦艇の数をあまり割けない弱勢な戦闘艦隊の戦力増強。といったところだろうか。当然、辺境域での活動は視野に入る。

 

 小規模艦隊であれば、ベースとして戦力を大量投入してくるボラー艦隊相手であるから場合によっては全員サッカー状態になりかねない。空母も火力を有していれば、敵艦隊に接近されても多少は踏ん張れる。実際、新たなる旅立ちで三段空母が見事先頭集団で砲撃戦に参加していた。

 反対に、戦艦ばかりでも多少艦載機があれば敵空襲にある程度抗せる。どちらにウェイトをおいても、この戦闘空母は能力を発揮可能。

 また、この艦を特殊任務に用いるとしても、旗艦であるからといっても護衛艦を割く必要は大してない。この艦であれば、艦隊の直接的対艦戦力を圧迫しない形で、航空戦力を編入する事が可能となる。

 

 

 この自分で自分を護衛できる能力は、ボラー艦隊より巨大艦隊を常に提供できるわけでは無いガルマン・ガミラスにとって、魅力的な設計だろう

 だって砲戦に参加できるレベルの空母だもの、護衛艦艇の数を大幅に圧縮可能になる。ぜひ艦隊に参加してほしい、特に中・小規模艦隊に。

 

 

 思い出してほしいのは――ガルマン・ガミラスはボラーに数で勝てない、一度たりとも上回る数を派遣できたことがないという事。つまりところ……別にガルマン・ガミラスは艦隊戦力が数的に充実しているわけでは無いのである

 そんな中で、護衛艦が少数ですむ空母。ベストな選択だろう。多少艦載機運用能力が低くても、そもそも航空戦力をいまだにあまり重視していないガルマン・ガミラスにとっては大きな問題ではない。攻撃と迎撃の幅が増えればいいだけなのだ。仮に航空戦力を重点的に補充したいなら、2連3段空母を編入すればいいだけ。

 もっといえば、ボラー側も惑星制圧戦以外にはあまり航空戦力を使わないため、ガルマン・ガミラスにとって艦隊戦における航空戦力は保険程度といっても過言ではない。ダゴンの発言からもそう推測は可能。

 だとすれば、そこそこの搭載機数と結構な火力を有している戦闘空母は、まさにおあつらえ向きの戦闘艦これらの想定から、ガルマン・ガミラスの事情からし戦闘空母の地位が第一作やヤマト2以上に大きく向上したのは当然の流れだと説明が可能。

 カッコいいとかいう大人の事情とか関係なしにね。

 

 

 劇中の活躍
 第10話にて初登場、僚艦3隻集中運用を以て第17空母艦隊の火力及び航空戦力の補完役を担った。これらはヤマトを追い詰めたものの、翌第11話でショックカノンに質面疔内にされて戦没。

 第16話の建国記念セレモニーでデスラーパレス上空を飛行し、堂々再登場を果たした。しかしながら、その後の行方は知れず。

 

 

 基本的にマズイ戦闘艦ではないむしろ、ガルマン・ガミラスにとっては有用艦。ちょっと中途半端な感じは否めないが、それはガルマン・ガミラスの方針によるところと説明が可能――ダゴン艦隊の大惨事を見て駄作艦とするのはあまりに過小評価過ぎるというものだろう。

 

 

ガルマン・ガミラス兵器群 2連3段空母――次世代型空母――

 

 2連3段空母はヤマトⅢの中でもかなり有名な戦闘艦であり、"ダゴン新鋭艦隊”、つまり第17空母艦隊の基幹戦力を担う大型空母である。赤い見たカラーリング、ちょっと懐かしい見た目の極めて特異で印象的な戦闘艦だ。

 今回はこの艦を考察したいと思う。

 

 

 ――データ――

 艦名等:不明
 全長:540メートル
 武装:回転速射砲塔4基、瞬間物質移送器
 搭載機数:不明

 搭載機種:雷撃機、重爆撃機、双胴戦闘機

 

 全体的に赤く塗られ、右舷側は艦首から艦尾にかけて飛行甲板部に白い矢印が記され、反対に左舷は艦尾から艦首にかけて白い矢印が伸びる。しかし、最先端部には直径50メートルの幾らかピンク色に塗られた円形がある。ここは瞬間物質移送器が埋め込まれ、一基ずつ発艦が可能となっている。艦尾にはそれぞれ左右に着艦用の飛行甲板が存在し、これは矩形ノズルエンジンの上部に設置されている。


 艦橋は戦闘空母のそれに近いが、かなり角ばった様子。最上甲板発進口より一段高まった部分から、更に一段高まった部分に艦橋が据えられている。幅はほぼ双胴戦闘機より一回り小さい程度か、他方で奥行きは恐らく重爆撃機と同様。
 艦橋内部は四角い大窓の左右に台形の大窓が近接。2メートルほど床からせりあがった中央通路の更に2メートルほど高まった部分に艦長席が堂々とそびえる。割と小さい椅子だし、床には3メートルほどの幅あるとはいえ手すりがないから危ない。艦長席後方、左右に階段かエスカレーターが付属し、昇降可能になっている。せりあがった中央通路によって左右に分けられ、オペレーターが2名ほど、大型モニターであるとか瞬間物質移送器操作盤を操る。

 海外ではTripple Twin-Deck Carrier〈Garumman〉と類別が大変ややこしい表現になっている。一方で艦名は威風堂々ガルマン。見合う活躍は出来なかったけど……。

 

 

 武装
 武装は極めて貧弱艦後方に設置された回転砲塔4基しかないのはいただけない。挙句、配置がかなりマズイのである。

 二門ずつ発射を鑑みると、遮蔽物が全くない為に艦首方向へは同時に8門を見込める。数的にはそれなりに有意義だろう。その一方、舷側方向は4門がせいぜい。角度を多少つければもう1門ぐらいは加勢できるかもしれないが……元々、大型艦の割に根本的に砲門数はが少ない。加えて、ガトランティス時代から遠距離砲戦には向かない傾向がある回転砲塔。

 この武装では近接戦闘以外にまるっきり何もできない。下手をすれば、自衛さえあやうい。かつての三段空母はこれの半分よりもっと短い全長であるが、長砲身砲を多数装備していた為に意外と攻撃力は馬鹿にならなかったが、2連3段空母は武装がダウングレードしてしまっている対空・対艦の両用砲として回転砲塔を採用したのは合理的な選択であろうが、であるならばより多くの武装が搭載可能になったはず。はずなのに、どうしてもっと武装を付けなかったのか……。
 このままだとむしろ的になるだけ、艦載機を危険にさらすだけに思われる。幾らダゴンが頭悪かったとしても、この艦をヤマトのすぐそばに送り込むなんて……

 

 

 全長の妥当性
 3/4弱が3段空母の部分であり、1/4強ほどが連結部及びエンジンブロックとなっている。連結の空白部は飛行甲板の1/3程を描写され、高さは三段空母部分の半分ほどを見込むが、艦橋がある為多少高くなる。

 幅は全長に対し1対3程でずんぐりむっくりではないが、取り立ててスマートというほどではない。3段空母の部分はかつての3段空母より長い模様であるが、カットによって印象が異なる。総合的に勘案すると、想定としては1.5倍程。連結部に張り出した砲台がある為、これが――ざっくり飛行甲板の半分ほどの長さがある。

 


 飛行甲板について雷撃機が3機横並びになっても十分左右に余裕がある――4機並べるとギリギリということ。重爆撃機だと、多少翼端が干渉してしまうため互い違いに並べる必要が有るが、それでも2機は並べられる。
 艦載機前提だと飛行甲板幅は60メートル前後で、両舷合わせて120メートルに艦中央の空白空間の幅を勘案すれば、全長との比率がざっくり1:3程度に収まるため齟齬はない。が、戦闘空母やヤマトとの比較だと――設定値と描写にかなり齟齬が生じる。設定値が少々大きいのである。


 つまり――艦の全長は妥当性が確保できているとは言い難いが、棄損しているほどでもない、微妙なライン。

 

 原作設定値より――100メートル近く縮小されると、ヤマトの原作設定値を基準とした値として描写に近い全長となる。ヤマトの原作設定値=機能部の描写をガン無視した場合における、ヴィジュアル的に妥当な設定値は400メートル程度……なのではないだろうか。という事。

 一方、ヤマトの再設定値――これを適用した場合、この空母は原作設定の全長が当たらずとも遠からずになる。妥当性を帯びる。さすがに540メートルだとヤマトより小型になってしまうため、620メートル程がざっくり想定可能だろう

  どっちみち100メートル近くの増減が生じる。だが、他の艦に比べればこの程度は誤差程度といっても構わないだろうガトランティスの超大型空母なんか、キロ単位で妥当性がずれていったのだから、それに比べればずっとマトモ。

 

 なお、発進口は片舷5つあるらしい。が、極めて矛盾なのが、少なくとも最上飛行甲板の発進口が雷撃機専用に限定されていること。だって1開口部の幅が雷撃機にジャストフィット。でも、最上飛行甲板の後部には重爆撃機や双発戦闘機が駐機中……

 これは飛行甲板の幅が60メートルであることが確認できるため、大変便利な描写なのだが……重爆撃機が発進できない。つっかえてしまう。もし重爆撃機や双発戦闘機を運用するならば確実にエレベーターが必要だし、多分あるのだろうが初登場時の描写と艦自体のスペックに重層的な違和感が生じてしまった

 

 

 

 艦載機運用能力
 双胴戦闘機は全長が18メートル、全幅が29メートルであるとされる。雷撃機は全長17メートル、全幅12メートル。重爆撃機は全長21メートル、全幅31メートル。
 第10話でガイデルがダゴンに披露した際は甲板上に雷撃機は左舷15機・右舷15機、重爆撃機は左舷10機、双胴戦闘機は右舷14機が駐機していた。これが3段を見込むと総計として雷撃機90機、重爆撃機30、双胴戦闘機42機の全体で162機であろう――と思ったのだが、どうも違う可能性があるらしい

 


 第11話でのシーン。これは非常に画期的でカッコいい描写だが、この存在のおかげで艦内を考察するうえではちょっとややこしい事になった。

 当該描写は、艦載機の武装補給に関するもので――右舷艦体に着艦した艦載機は内部にある自動給弾レーンに載せられ順次、左舷から発艦していく。着艦の様子から最上飛行甲板は雷撃機、中飛行甲板は重爆撃機、最下飛行甲板は双胴戦闘機の運用に絞っているらしい事が判る。

 じゃあ、第10話で何で駐機をお披露目をしたんだと突っ込みたくなる。しかも、一応右舷と左舷の艦尾にそれぞれ着艦用の甲板がエンジン部の上に設けられているというのだが……だったら何で前から着艦してるんだよ……。

 

 格納部分の話であるが――まさか円形の瞬間物質移送器搭載部にまで機体をのっけたまま運航するとは思えないし、本当ならば両サイドに擁壁がある部分までが格納庫であろう。となると、飛行甲板部の2/3弱が艦載機格納部と推定可能。この数値を勘案すると、初披露での駐機数の倍程度の範囲に収まるのが妥当なはず。

 つまり、これらの情報を総合的にアンアンすると、片舷のみの搭載であれば双胴戦闘機24機・重爆撃機20機・雷撃機30機、両舷搭載ならばその倍が妥当なライン。再設定値では、片舷搭載双胴戦闘機36機・重爆撃機30・雷撃機40で両舷搭載なら当然倍。これらの数値が最大に近い搭載機数といえるはずだ。

 

 原作設定値

 搭載機数:双胴戦闘機常用18+補用4(ないし常用36+補用8機)、重爆撃機常用15+補用4(ないし常用30+補用5機)、雷撃機常用25+補用4(ないし常用50+補用5機)/総数常用58+12機(ないし常用98+18機)
 搭載機種:双胴戦闘機、重爆機、雷撃機

 

 再設定値

 搭載機数:双胴戦闘機常用30+補用6(ないし常用65+補用7機)、重爆撃機常用25+補用5(ないし常用50+補用10機)、雷撃機常用35+補用5(ないし常用70+補用10機)/総数常用85+16機(ないし常用185+27機)
 搭載機種:双胴戦闘機、重爆機、雷撃機

 

 

 第一作に登場した3段空母のギリギリの搭載能力60機程度に比べれば、どの想定でもかなり有力な搭載機数を誇る。だが、あっちは200メートルでこっちは540メートルと図体に比べれば明らかに能力が低い。

 ガミラスの航空戦力に対する低い注力度からすれば、高い合理性を以て展開力を担保するこの艦は、能力的にいえば不足はないだろう。迅速な補給が出来れば、あるいは替えのパイロットが迅速に用意出来れば、これは大量に艦載機を保有するだけの空母よりよっぽど戦力になるのだから。

 

 ただ、ちょっとこけおどし感があるのは否めない

 

 

 

 運用・立ち位置
 航空戦力の基幹となる戦闘艦だろう。旗艦任務でも構わないが、出来れば艦載機運用だけに注力してほしい。だって、外観的にはあんまり指揮能力が高い艦には思われないから……

 

 空母としての立ち位置は、先進的な実験艦というところになるだろう

 発艦と着艦を艦体を分けて運用するため、かち合う事がない。つまるところ、余計な事故で艦や機体を喪失することはないだろう。これは有意義だし、艦載機を発進させ続ける上でアドバンテージになる。また、給弾が全自動であることは非常に特徴的で、背航空整備員の数を大きく減らすことが可能。

 この航空整備員は本来はパイロットと同数は確実に確保しておきたいのであるが、いかんせん人数が膨大。パイロットと合わせてしまうと、艦の居住スペースは容易にひっ迫してしまう。しかし、整備が極限まで自動化されていれば、整備員用居住スペースを別の用途に転用可能だし、集中力を欠いたうえで起きる不幸なミスも防げる。

 場合によってはこのスペースを自動給弾レーンに用いたのかもしれない。

 

 航空戦力は生身の人間に頼ると、大きなリソースを割かねばならない。だが、これを極限まで自動化できれば、その限りではないだろう。数的に足りない航空戦力の火力を補うには、効率の良い出撃と補給は大前提になるだろう。

 コンセプトはガミラス式の次世代空母数的不足を補えるほどの展開力と、人的リソースを圧迫しない自動化による整備。それでいて、長年運用してきて構造的な強みも弱点も理解している、無理のない設計を用いて安全・安定性の確保

 これらの要件をクリアするため、三段空母をベースとして発展的に設計変更を行った。ガミラスにあるありったけの自動化技術を投入して完成させた艦。

 というのが妥当な立ち位置と、建造の背景と説明できるのではないだろうか。

 


 これらの要件から通常の艦隊戦や征服事業の他、あまり人員を割けない辺境地域への侵攻及び警備にかなり役立つと見える

 艦の運航自体はどうやら、艦橋の規模とオペレーターの数からいって必要な頭数は多くはない。あとはパイロットだけだが、これはある程度縮小可能だろう。特に現代のような、リモート技術やAI技術の高い環境における想定では、もしかするとドローンという事になるかもしれない。ともあれ、パイロットも機械のサポートを受けるのだから、超絶技巧を一様に要求されることもないのだから、確保可能なはず。整備士も、自動化されてほとんどいらない。故に、艦の運用には空母としては非常に少ない人数で十分戦力として役に立つ事だろう。

 目立つし、威圧的だし、戦力として馬鹿にならない。この存在意義は大きいだろう。敵艦と直接の対決さえ行わなければ、という点は注意しなければならないが、ちょっと戦力的に不安の残る艦隊に配備すれば、総統の言葉通り「一層レベルアップされるはず」だろう

 モニター艦〈サーベラス〉に近いイメージだろうか。あの艦も、見た目はアレだが一応最新鋭だったし、配備された当初は戦力として(人員さえそろえば)決してバカにならないものだった。同時代的に世界的に見て、スペックとしては割とまともだった。

 2連3段空母も、これと同じ。

 


 一方で、実際に戦闘になった場合に要求されるのは、迅速な航空戦力の射出や再出撃の支援だろう。

 空襲の効果が不十分な場合における迅速な再出撃は死活問題であり、着艦と補給を迅速に行える2連3段空母は持って来いな存在。また、遠方からの攻撃や奇襲攻撃の際には瞬間物質移送器がいかんなく威力を発揮してくれる。

 ただ、 がっつりと敵と組み合う航空戦は戦闘空母や新3段空母らを前面に出してその火力で敵を排除させ、航空戦力を展開させ――2連3段空母はその脆弱性から後方に位置して指揮通信が中心となるだろう。これが安全。

 

 

 劇中の活躍
 第10話にて初登場、東部方面軍機動要塞の格納スペースで戦闘空母などの僚艦と共に画面に大写しになった。この艦はゲーレン艦長指揮のものであり、ダゴンが受領した後、ヤマト迎撃のために出撃する。同話中から、第17空母艦隊の基幹戦力としてヤマトを追い詰めたものの翌話で戦没。
 第16話の建国記念セレモニーで別艦がデスラーパレス上空を飛行し、再登場を果たした。が、それ以降の消息は不明。

 

 

 

 ヤマトⅢという作品はヤマトというコンテンツの仇花感が何となく臭う感じがするというのが私の見解。SFなのか冒険なのかが判然としないからこその良さと、はっきりしなさゆえのテンポの悪さや演出マターな展開――この二つが入り混じった結果として、評価が人によって大きくわかれる。

 その中において、この2連3段空母は合理性はそれなりに担保されているし、色々と見どころのある艦である。そうではあるのだが、細部に矛盾をはらんだ――どうにもおさまりの悪さを感じざるを得ない。この点、ヤマトⅢらしい艦とも表現できる。

 ストーリー展開上の必要性はない演出マターな登場なのだが、一方でガルマン・ガミラスの軍事力にリアリティを加える存在でもある。何に焦点を据えて評価するかによって、いかようにも評価が変わる戦闘艦、それが2連3段空母。

ガルマン・ガミラス兵器群 調査船/工作艦

 

 

 出番が少なく、何者なのかほとんどかわからなかったのが調査船と工作艦である。

 この両者はヤマト作品にありがちな、当該勢力のメカニック的複層さ演出とエピソードにおける必要さの観点から登場したが結局要目がほとんど示されないタイプのメカである。判る範囲で考察したいと思う。

 

 

 

 調査船

 データ――不明


 地質学のベテラン、ヘルマイヤー少佐が乗り組み、惑星ファンタムへと向かったのがこの調査船である。

 デスラー戦闘空母に近い巨大な艦橋、カバーを付けたバリカンみたいな黄色い艦首、大戦艦の艦尾を不格好に短くした(カラクルム級の艦尾ですね)を持つ独特な艦。ただ、大戦艦では特に何の意味もなかったフィンであったが、この艦の横軸フィンに関してはインテークと小型回転砲塔のプラットホームになっている。しかも3角形エンジンが後方についている。合計で2本のノズルという事になる。縦軸フィンは実は昇降口が隠されていて、開口部は4メートルの6角形でタラップが下りる。


 艦橋内部は結構特殊で、艦長席は中央部に専用の操作デスクを共に設けられている。両脇には艦橋クルー用のイスとモニターが2つずつ並べられ、一段の艦橋前方にもクルーのオペレーションスペースがある。窓は台形と三角形二つ、外部との通信モニターはなぜかゴルバのそれと同じ。
 着陸はプレート状の接地面のついた脚4本で支える。脚は結構目立ち、全長の1/5弱相当のかなり細長い。

 個人的に意味が解らないのが、海外ではBattleshipという分類をされていることで幾ら何でもそれは違かろうて……クラス名も〈Unmanned〉と実情とは違うが立派なものを貰っている。本邦では全く名前何ぞもらっていないのに。

 

 武装・全長の推測

 武装は艦尾横軸フィンの基部に回転砲塔が片舷1基ずつやっぱり、危険を鑑みれば調査船にも多少の武装は必要ですよね。この対空砲に加えて探査用ドリル。これはまんま、ドリルミサイル。中を炸薬でいっぱいにすれば十分ミサイルになる。

 このドリルミサイル探査用ドリルは艦後部の縦軸下方フィンから発射される。なんだかよくわからない船だ。

 

 全長は縦軸下方フィンが24メートルであることから推測して――艦尾の高さは110メートル。艦首の黄色いハッチは38メートルほどで艦首ブロック全体は60メートルが妥当。。艦橋より後方の艦体が60メートル強、艦橋より前方の黒い変化した艦体は40メートルから50メートル程度、艦橋自体は70メートルから80メートル程度を見込む。

 つまり、全長は170メートルはくだらない。

 

 劇中の活躍

 第21話に登場、総統の命を受けてガルマン・ガミラス本星より緊急発進し、惑星ファンタムへと向かった。惑星ファンタム着陸後、ヤマトクルーの反対を丁寧かつ断固として断り、真田さんも同じ科学者として強くは否定できなかったため、強行的調査手段を敢行。ドリルミサイル探査用ドリルを発射した。

 そりゃ、麻酔もなしにドリルを撃ち込まれれば生き物だもの、当然暴れる。おかげで調査船は危うく脚を折られそうになり――しかし何とかフルパワー噴射で逃げ切った。

 

 

 


 工作艦

 データ――不明

 全体が緑に塗らている艦。艦橋が明らかにガトランティスの中型高速空母のそれである。一方で艦体は装飾的な形状を排した駆逐艦といった風。艦首の不明な扁平開口部は用途が不明。黄色く縁どられ、内部が赤。どことなく、シュルツ艦っぽい艦首。インテークは多分、艦尾の凄く大きい一枚。エンジンノズルは方形で、ノズルコーンはない。特徴的なのが、艦底部に埋め込む形で惑星破壊ミサイルを抱える点。
 あとは描写がブレる為、明言できず。

 

 艦橋内部に艦長席はない模様。正面に丸い大型モニターが設置させ、ランウェイ上に艦橋内部を歩き回れるようになっている。ランウェイの下にはクルー用の席が2つずつ設けられ、4人でオペレーションする模様。母艦(フラウスキー少佐の旗艦)のみ、ランウェイの上面図が異なる。

 なぜかは知らないが――多分惑星破壊ミサイルを格納しているからなのだろう、海外では重巡洋艦として分類され〈Rancor〉というクラス名を持っている様子。

 

 

 全長の推測

 全長はヤマトの5から6倍近い。つまり、設定値では1300メートルないし1500メートルを見込む。ヤマトの再設定値を元にした場合、2900メートルないし3480メートルを見込む。かなり大型艦だ。

 ただ、惑星破壊ミサイルを前提とすると話が変わる。惑星破壊ミサイルは格納部が艦隊の実に半分に及ぶ。つまり、この艦は惑星破壊ミサイルのタイプAとの比較=1530メートルより、相当大きい。ざっくり……765メートルが艦首、艦尾にプラスされる。全長はおよそ3キロ。

 

 劇中の活躍
 第17話にて初登場、6隻で工作船団を構成していた。ボラーのワープミサイルの攻撃を受けるさなかの出撃だった。ヤマトの活躍により、幸い難を逃れる。

 翌第18話にも登場、エピソード冒頭に藤堂長官の視察を受ける。その後、二手に分かれて太陽制御工作を行ったが――太陽に敵わず、全艦退避。しかし、フラウスキー少佐の旗艦は総員退避の後――少佐が単独で残り、作戦失敗の責任を取る形で太陽に突入していった。