旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ガトランティス超兵器 破滅ミサイル―戦略級の戦術ミサイル―

 

 長射程、大威力。

 ミサイル艦の必殺決戦兵器、それが破滅ミサイルである。

 

 

 破滅ミサイル、その巨大さ

 大きさは特に設定されているわけでは無い模様で、調べても出てこない。困ったが、劇中やメカコレなどいくらでもざっくりした同定が出来る程度には資料はあふれているので問題はない。これらの情報を合算すると――

 ミサイル艦の全長240メートルに破滅ミサイルが含まれていた場合全長62メートル・直径20メートルの超大型ミサイルとなる。もし、破滅ミサイルを含めずに全長を240メートルとした場合は何と、比率から全長160メートル・直径55メートルの超弩級ミサイルとなる。

 これは、ちょっとした宇宙戦闘艦と言った風の巨大さだ。ガミラスのデストロイヤー艦の一回り小さい程度であるから、ほとんど同じ大きさ……

 

 また、ミサイル艦の考察記事において、原作の設定値から4倍程度に拡大すると描写と合致すると結論を出した。その数値と揃える為、これらの数値を4倍にすると――全長248メートルないし640メートルとなる。直径は88メートルないし228メートルと完全にちょっとした宇宙戦艦クラスのミサイルになる

 全長だけでいえば2199のゼルグートより一回り小さい程度で、この巨大物体の中に炸薬がしこたま詰め込まれていると考えたら……ぞっとする。

 旧作ではかなり巨大な部類に入ったディンギル帝国のドウズ級超弩級戦艦よりも一回り以上巨大――化け物だ。(ドウズ級も案外全長と描写が一致しない可能性もあるが、現時点では不明)
 

 

 

 破滅ミサイル、その射程

 破滅ミサイルの射程はこれまた不明である。ヤマト2の第10話で、恐竜惑星へ破滅ミサイルの投射を行っているため、これを参考に使用。

 発射シークエンス及び着弾シークエンスにおいて、恐竜惑星はどうも月から見た地球の大きさの倍程度の大きさで描かれていた。そこから考えると……単純に月と地球の半分程度の距離に位置していたであろうことが推測できる。月と地球は約35万キロ離れている。その半分であるから、17万5000キロ程度

 恐竜は巨体である。これを維持できる惑星は最低でも地球と同等の重力に抑えなければならない。巨大であるならば、自転が早くなければならない。小さい場合はこの限りではないが……下手をすれば大気を保てないため、やはり地球と同等程度の質量であることが望ましいだろう。だから、ゴーランド艦隊が破滅ミサイルを発射したのは大体17万キロ前後という事になるだろう。

 破滅ミサイルが強力な装甲を有していなければ、正直遠距離射撃は難しいだろう。射程が長くとも、そこまでの間で迎撃をされてしまえば何にもならない。破滅ミサイルが耐えられる程度の攻撃に収まっているうちに、敵に着弾せねばならず当然その支援をする必要が有るだろう。波動砲攻撃はヤマトに限らずかなり長大な射程で発射している。その間、結構攻撃を受けるあるパターンも結構あるし、基本は相手が攻撃を敢行する前に波動砲を発射する。破滅ミサイルは波動砲よりも着弾までの時間がかかるとすれば、波動砲と同程度か若干短い程度が、有効射程と考えても不思議はない。

 ここから導き出される射程の推定値は――

 

 惑星への攻撃は自艦への影響を考慮して17万キロが有効射程。

 敵艦隊への攻撃は破滅ミサイルの“体力”を考慮して有効射程は10万キロ弱。

 

 

 

 破滅ミサイル、その破壊力

 この破滅ミサイルは特殊な運用をされる。対惑星対艦の双方に用いられるが、どちらにせよ目標そのものを爆散させるのがその、使用目的となる。

 戦艦を撃破するには各種の方法があろう。一方で惑星の破壊はミサイルと言う形態を取るにからにはその方法はいくつかに絞られる。

(注意:文系が必死こいて計算しているだけなので、間違っている可能性大です)

 

 

 運動エネルギー弾

 艦砲射撃の時の様に、純粋な運動エネルギー兵器とした場合どのような事になるのだろうか。エネルギーをウェブの計算フォーム(https://calculator.jp/science/kinetic-energy)の力を借り、必要な数値を落下速度を義務教育レベルの計算で単純に2万6572メートル毎秒、破滅ミサイルを円錐として:1/3π×r二乗×高さ、タングステンの比重が19.3として――
 
 全長62メートル(艦全長込み・原作)の場合、6489立米:12万5237トン
   → 2290847956488000Jつまり54万7525TNT換算トン(547.52TNT換算キロトン)
 全長160メートル(艦全長含まず・原作)の場合、126646立米:244万4267トン
   →862913247351064000Jつまり2億624万1215TNT換算トン(26.24TNT換算メガトン)
 全長248メートル(艦全長込み・再設定)の場合、502533立米:969万8886トン
   →3424051960750512000Jつまり8億1836万8059TNT換算トン(81.83TNT換算メガトン)
 全長640メートル(艦全長含まず・再設定)の場合、8705587立米:1億6891万7821トン
   →59634002936085030000Jつまり1425億2868万7700TNT換算トン(142.52TNT換算ギガトン)


 1発が最小で広島型36倍最大で。1隻では最低24万5237トン(1TNT換算メガトン)から4倍設定で最大2850億5737万5400トン(249TNT換算メガトン)を地表面に投射できる。


 第9話にて登場したデスタール戦隊12隻(画面上は6隻、光点として13隻、レーダー画面に12隻)は本数にして24発保有し、質量294万トン(12TNT換算メガトン)から4倍設定で3兆4206億8844万トン(1710TNT換算ギガトン)を投射できる。

 第10話で直接戦闘開始したゴーランド主力艦隊(画面上は12隻だが旗艦を中心として手前側が見切れたアングル故に23隻が妥当か)は23隻が妥当とした場合、破滅ミサイルを何と56発保有563万5000トン(23TNT換算メガトン)から4倍設定で6兆5563億1951万トン(3277TNT換算ギガトン)の投射力を持つ。
 艦隊総数では857万5000トン(35TNT換算メガトン)から4倍設定で最大9兆9770億795万5000トン(10425TNT換算ギガトン=1.04TNT換算テラトン)となる。

 4倍・最大設定で質量は小惑星イダ2個分に相当する。全量を運動エネルギー弾として投下した場合、出力としてはチクシュルーブ・クレーターを1/3の規模で再現できる計算になる。(視覚的にはチクシュルーブ衝突体が4つ分のはずなんだが……どこで計算を間違ったのか不明)

 


 しかし――意外に規模が小さい……。
 しかも、この数値の内落下スピードの仮定ががっつりテキトーなため適切ではない。多分、隕石の衝突スピードより6キロ毎秒ほどプラスして計算してしまっている。にもかかわらず、この微妙な爆発力だ。惑星が破壊できそうもない……。しかも、全てがタングステンだとすると、えぐいほどの金がかかる。それにガトランティスタングステンを採用する必要もない

 考え直す必要が有りそう……あんまり意味のある攻撃には思えない。
 確かに、艦砲射撃としては普通の艦砲とは比べ物にならないほどの威力である。威力を小さく見積もっても、たった35隻でたった一度の斉射で本気のツァーリ・ボンバ1/3に相当するのはかなりの脅威である。しかも、後方に補給艦が控えているのか再装填可能なのである。最大質量で計算した場合、2回の攻撃を行えば時間がかかるとはいえ、地表の生物を大量絶滅に追い込める。文明程度が低い惑星相手ではひとたまりもないだろう。

 


 が、全然惑星を破壊できるようには思えない。破滅っちゃ破滅だが……物足りないように思える。このことから、運動エネルギー弾である可能性は、無いだろう。
 別の方法を考える必要が有る。

 

 

 

 地球を破壊するには

 まず、地球を破壊するのに必要なエネルギーを考えてみる。

 

 地球の質量が6×10の24乗キロである。その60パーセントに当たる質量を10キロ毎秒以上の速度でぶち当てた時のエネルギーが地球を破壊する最小限の威力である……とネット記事で読んだ

 これをうのみにして、1.8e+32J(1.8×10の32乗)のエネルギーが必要とする。これが地球の結合エネルギーらしい。ちなみに、地球クラスの隕石が地球に衝突すると 3e+32J(3×10の32乗)のエネルギーが発生する事になる。

 意味が解らん。


 TNT換算トンに計算しやすいように、色々こねくり回すと――
 4.3×10の32乗J=4.3溝J=10TNT換算ゼタトン
 単純計算で破滅ミサイルに必要なエネルギーは1発当たり最低1785TNT換算エクサトンとなる。これだけあれば地球規模の惑星を23隻合計56発で確実に破壊できる。もし、ジャストな分量を求めると、これを2.4で割れば丁度よくなる。

 

 

 意味わからん。多分、どっかで計算間違ってる。解らないけど、そんな気がする。

 でも、頑張ってみる。

 

 

 

 核弾頭ならばどうか。
 核弾頭だったとして、W88核弾頭は総重量360kgで最大475キロトンの熱核兵器などが参考になる――と思う。これはトライデントミサイル用の弾頭で、全長1.75メートル、直径0.55メートルの円錐型。ちょうど破滅ミサイルの先端部に形状が酷似している。
 形状から合理的な説明を付けると、多段式風になっている破滅ミサイルの一段目が純粋にミサイル用の推進部で、目標への推進・軌道修正を行う。二段目は弾頭であり、目標へ接触(突入や接近を含む)した際に核融合反応を起こして強力なエネルギーをまき散らすのである。起爆がウランなどで、反応を起こすのが重水を固形化した重水素化リチウム――要は水爆だ。
 別に、ブラボー実験を参考にしてもかまわなかったが、見た目的にW88がよかった。
 ウラン1キロが発生させるワット数すら計算できない私に水爆の威力計算などできるはずもないので、超絶単純計算で出力を巨大化させるつまり、弾頭の体積0.139立米で、破滅ミサイルの体積を割った数を出力に掛けるのである

 

 つまり

 全長62メートル(艦全長込み・原作)の場合、6489立米:1万6805トン

 W88の46683倍、22174640TNT換算キロトン(22TNT換算ギガトン)

 

 全長160メートル(艦全長含まず・原作)の場合、126646立米:4万5592トン

 W88の911122倍、432783093TNT換算キロトン(432TNT換算ギガトン)

 

 全長248メートル(艦全長込み・再設定)の場合、502533立米:130万1524トン

W88の3615345倍、1717289029TNT換算キロトン(1717TNT換算ギガトン=1.7TNT換算テラトン)

 

 全長640メートル(艦全長含まず・再設定)の場合、8705587立米:2254万6843トン

W88の62630122倍、29749308090TNT換算キロトン(29.749TNT換算テラトン)

 


 1隻当たり864TNT換算ギガトンないし60TNT換算テラトン、ゴーランド主力艦隊総数で19.872TNT換算テラトンないし1380TNT換算テラトン。デスタール戦隊を含めると艦隊全力で30TNT換算テラトンないし2100TNT換算テラトンとなる。


 惑星破壊するうえでは、お話にならない……桁が足りん……
 確かに、絶大な破壊力である。が――

 フレデフォート・ドーム(有名なクレーターの一つ) を造るには87TNT換算テラトン、前述のチクシュルーブ・クレーターを造るには100TNT換算テラトンのエネルギーが必要。ゴーランド直属の艦隊ならばこれらが13個ぐらい作れる。つまり、彼らが本気を出せば、地球表面をぼこぼこにすることが可能なのだ。

 だが、地球を木っ端みじんにするには不足。全く持って威力が不足している。

 

 エネルギー換算から計算するとどうなるか。
 D-T反応は質量の0.35%をエネルギーに変換できるらしいから、必要なエネルギーを発生させられる反応物質の質量は――これ無理だな

 

 

 反物質対消滅を利用した爆弾

(再度注意:文系が必死こいて計算しているだけなので、間違っている可能性大です)
 ただしこれは自身がエネルギーへ変換された時の2倍のエネルギーしか(しかって言い方も変だが)発生させられない。それでも、そもそも物質を完全に消滅させること自体が極めて困難なため、かなりのエネルギーを取り出せる。
 1グラム当たり90兆J、正物質も同時に消滅するため合わせて180兆Jのエネルギーが発生する反物質が正物質と合わせて高々2グラムで43TNT換算キロトンほどのエネルギーを生じさせるのだ。

 順繰り計算すると2キロ当たり43000TNT換算トン(43TNT換算メガトン)、2トン当たり43000TNT換算メガトン(43TNT換算ギガトン)、2000トン当たり43000TNT換算ギガトン(43TNT換算テラトン)とどんどん増やしていく。200万トンあたり43000TNT換算ペタトン(43TNT換算エクサトン)――まだ足りない……

 順を追っていかないと私が判んなくなる……

 

 43000TNT換算エクサトン(43TNT換算ゼタトン)に達するには200億トンである故、10TNT換算ゼタトンを出力するには約47億トンが必要となろう。これを56で割ればいい。

 つまり、1発当たり必要な反物質・正物質の総量は8400万トン、最低量は3500万トン

 バカみたいな数字を登場させてしまった……

 

 原作設定の場合、ミサイルが艦全長に含まれていようといまいと、積みこめない。どうやっても、無理。原作設定に近い数値の中で最大値の160メートル程度であったとしても4万トン強程度で不足している。破滅ミサイルはその全長や高さから言って、2万トンクラスの河内型戦艦を背中合わせにした程度と同規模と言えよう。河内型2隻の重量は4万2000トン程度――やはり160メートルのずんぐりした物体は重量的には4万トン台になると言える。

 つまり原作設定のままでは最大で4万トン強の重量に収まらなければ合理性がない。

 そして、必要な反物質を全て積みこむことはできない。

 

 

 何とか軌道修正を試みる。 

 反物質は同じ正物質としか反応しない。その不安要素を完全無視した場合は、反物質のみの搭載とすれば1750万トンで済む。これは3倍値設定最小のミサイル3本分で、全艦のミサイルを結集したとしても惑星を破壊できる絶対量の35パーセント弱しか確保できない。

 地球を例に取れば最も多い物質は鉄だ。岩石惑星は大体このような構成であり、鉄は惑星の全量のうち30パーセント程度を占める反鉄に限って搭載したならば、おのずと星の35パーセントが反応して爆発してくれる。それだけの分量がエネルギーを放出しながら失われるとすれば、当然惑星は自然と木っ端みじんになるだろう

 破滅ミサイルの名に違わぬ威力といえよう。

 

 何となく、妥協した感じになるが……最初の想定が惑星1個を完全に対消滅させようとした想定だった為、オーバーキル気味であり、こちらの想定の方が現実味は出るか。

 

 

 


 正直な所――ミサイルとして利用する場合、反物質だけでは少々確実性に欠ける。反応しなかったらそれだけ無駄だし、敵味方を選択して反応してくれるわけでは無いから。

 

 例えば宇宙空間で爆発させて敵のミサイルや戦艦群を一掃するためには、反物質だけでは勝手に小さな爆発を散発的に起こして肝心の戦艦群に対しては効果がない可能性がある。だって反物質だけでは爆発しないから。正物質と結びついて初めて対消滅という強力な反応を示すのだ。宇宙空間にばらまいただけでは意味がない。

 対象物が想定より小さい質量であった場合も、当然想定と違う反応を示すだろうからリスクマネジメント的によろしくはない。何らかの要因で反応し損ねた反物質が残っていた場合、不用意に近づいて巻き添えを食ってはシャレにならない。

 ましてミサイル艦はまさに火薬庫であるから、艦体の外殻が対消滅する以上の爆発が起きてしまうだろう、下手をすればヤマト名物・誘爆が艦隊全体に及んでしまう可能性だってある。

 やはり、運用に当たってはコントロールできるように装甲の分も含めて反応用正物質を積み込んでの方が安心だろう

 

 さて、内容量の話であるが

 全長を再設定した上で、破滅ミサイルを全長に含めなかった場合=600メートル級ならば、1億ぐらいの容量がある為、どれほど何を積んでも一切問題ない。余裕十分。
 当然、敵の攻撃に備える為にミサイルには装甲を施すべきであろう。機銃弾がぶち当たった程度で爆発してしまっては、またヤマト名物・誘爆が引き起こされてしまう。

 ミサイルであるから、推進部も必要である。これは意外と大きな部分を占めるだろう。また、反物質を維持するにも、かなりの装置が必要である。ミサイルの推進機関、反物質の維持装置の二つの複雑で大型の機構、そして表面の装甲。これは自重全体の内かなりの部分を占める事になるはすだ。

 これら要件をクリアするには、形状を維持するにもミサイル全長が240メートルを下回っては話にならず、反対に700メートルまで到達する必要性は薄い。

 

 やはり、惑星自体を破壊できるだけの反物質の搭載量を確保するには、破滅ミサイルを640メートルクラスの超弩級ミサイルとして設定する必要があると思われる。

 

 

 

 

 特殊弾頭―惑星コア破壊― 

 さらに高度な技術を用いると、光崩壊によるコア破壊が考えられる。これは、大きさはどんなものでも問題ない。

 機械技術の問題であり、原作通りの大きさを尊重しても再設定値にしても、どちらでも問題はないだろう。

 


 1、高エネルギーのガンマ線照射
 鉄56は普遍的に存在する8.8 MeVの強い結合エネルギーを有する同位体である。これに124MeVのガンマ線を照射すれば、ヘリウム4が13個と中性子4つに分解することが出来る。これが光崩壊である(ガンマ線フォトン=光の一種)。

 

 何度も言うが、私は文系なのでこれ以上の説明は無理。


 説明した通り、光崩壊ではエネルギーが吸収される。吸熱(熱はエネルギー)反応であるため、温度が下がる。温度が下がれば原子同士の結びつきが高まり、キュッと小さくなってそれが巨大な球体であれば当然圧力効果で温度が上がる。温度が上がると光崩壊に必要なエネルギーが生み出されるため、鉄が更に光崩壊を繰り返す。惑星の内部は非情な圧力状態であるため真空的な、黒体放射様の現象が起きてぐるぐると崩壊のスパイラルが終局まで続く。
 通信用語の基礎知識というサイトをがっつり参考にしました。

 

 つまり、鉄を光崩壊させられれば地球などの惑星が持つ鉄とニッケルで出来たコアを崩壊させることが出来るのだ。大変だけど。
 ガンマ線を発生させるには……普通のやり方は知らん。調べたところ、レーザーコンプトン散乱という方法でガンマ線が発生するらしい。つまるところ、高エネルギー電子(亜光速まで加速した電子)にレーザーを衝突させることでレーザー光がX線ガンマ線に変化する事で発生するんだって。そのレーザーが円偏光した強力なモノであればその性質を受け継ぐようにして渦巻いたガンマ線になる。
 産業技術総合研究所のサイトにそう書いてあったもん。

 7.7MeVの力を電子に加えれば光速に近い形に加速するため、サイクロトロンに電子を投入してぐるぐる回して加速させた電子をレーザーにぶち当てる事が出来れば、ガンマ線を照射できる。


 破滅ミサイルの構造を想定する。

 一段くびれた部分をミサイル推進用として運用。
 第二段目の弾頭に肝心のサイクロトロンを搭載する。地殻を突破する必要が有る為、基本的には徹甲榴弾と同じ構造として、被帽は炭素のような高温に耐える素材を採用。
 内側の弾芯は硬い物質であるウルツァイト窒化ホウ素か希少金属のレ二ウムなどで速度を以て地殻を突破させる。難しいだろうけど。あるいは、ドリルを付けて掘削させる。マントルは何と2900キロの厚みを持つが、そのうち、上の方のリソスフィア100キロさえ乗り切れば後は――さほど固くない。


 要は光崩壊させて熱を奪い、圧縮する自身の効果で発熱させて崩壊を繰り返させるのだから、何ならメソスフィアで装置を作動させても構わない。


 肝心かなめの“炸薬”は電子を加速させるサイクロトロンとレーザー照射装置。サイクロトロンで加速した電子をレーザーにぶち当て続け、レーザーをガンマ線に変換、照射することで周囲の物質を崩壊させる。ねらい目は鉄。装置自体の材質は何でも構わず、出来るだけ出力が高められればそれでいい。材料となるレーザー媒質はコランダムが好いだろう。サファイヤのような宝石品質である必要はなく、構造が違うものの、結構普遍的に存在しておりいくらでも取り出す方法がある。あるいはYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)でも構わない。電子を用意するには……超ウラン元素、例えばオガネソンテネシンのような核が極めて重く当然電子も大量に纏っている原子が必要だろう。これらを用いて核融合ないし核分裂でレーザー用のエネルギーを取り出しつつ電子を収穫できれば立米的には相当なエネルギーを組み込んだ装置となろう。
 当然、弾殻は被帽を含めて一定程度の防弾装甲を施す。防弾の内側に断熱素材を張り付ければなおよし。

 用兵上のテクニカルの問題として、打ち込むのは基本海洋地殻にしなければならない。平均30キロ、最大厚はチベットで70キロもある大陸地殻と違い、海洋地殻は平均6キロ程度と桁違いに薄い。大気を100キロも突き進んだ挙句まだ、マントル以上に硬い地殻を70キロもプラスして突破しなければならないなど意味がない。
 わずかでも労力は節約すべきである。燃料に限りがあるし。


 この方法・構造であれば、超ウラン元素が問題となるが破滅ミサイルが仮に損傷しても危険性は一定程度排除できるだろう。可燃物は基部の推進部のみで、電源さえ保持できれば超ウラン元素を無理やり維持できるだろうし、勝手な核反応も防げる――と思う。

 


 2、黒体によるコアへのエネルギー照射。 
 自分へのメモがてらに黒体放射について述べると、
 黒体とは電磁波を全て吸収ないし反射――はしないんだね放射することの出来る物体の事である。例に出すならば、白金黒や、物質の固有名を出すと〈ベンタブラック〉というえぐいほど光を吸収するものがある。吸収した光はどうなるかといえば、外へは反射せずに内部で屈折させて熱へエネルギー変換される。熱を持った黒体は周囲の媒介になるものに当然その熱を伝播=放射させる。この放射により半ば強制的に鉄が光崩壊を起こし……以下、前述の光崩壊についての説明と同一。

 このパターンは複雑。マントルでも十分熱を発しているため、小さな黒体であっても外へ向かうエネルギーを一定程度内側に放射すれば加熱することが出来る。

 あるいは、地殻の下に強力なシールド上の電磁波を展開して外部へ流出しようとするエネルギーを封じ込め、マントル以下の惑星構造を完全黒体化して内部物質を光崩壊させる。
 中性子線……重力子を媒介とした重力波で囲い込んで、というような方法があるのではないかと文系の私は勝手な想像をする。

 

 

 最も妥当な破滅

 破壊を爆発的な意味でとらえた場合、それは間違いなく反物質になるだろう。

 破壊を粒子的な意味でとらた場合は超高エネルギーガンマ線が簡単だろう。

 多分、反物質を用いればどんな戦場にも対応できる。一発でも艦隊に大型隕石が衝突したのと同程度の損害を与えられる。しかし、惑星破壊の効率という面では50発前後の全弾着弾が必須である。

 特殊な方法を用いたコア破壊であれば、複数が着弾すれば充分惑星を破滅に追い込める。しかし、ガンマ線タイプ以外の方法の艦隊に対しての攻撃力があるかは不明ガンマ線タイプであっても惑星に対する破壊に比べれば効果範囲が狭くなる可能性が高い。

 威力の確保は簡単だが、意外と……使いづらい。搭載済みの破滅ミサイルを使う攻撃目標を選ぶか、攻撃目標によって破滅ミサイルのタイプを選択して搭載する必要があろう。

 

 

 破滅ミサイルは思案して使うべき兵器だ。

 オールラウンドプレーヤーではない

 破滅ミサイルは運動エネルギー弾とした場合は全く破滅をもたらすことはできない。しかし、中身によっては全くもたらす影響が異なる。反物質や、光物質などの特異な方法を用いる事で名称に違わぬ打撃力を持つことが出来るのだ。ただ、全般として敵に通用するかは不明であるし、事故の危険と言うのもぬぐい切れない

 この体制を維持する理由は、ガトランティスのような軍事技術的体力のある国家だからできる複数の技術を用いた一種の保険と考え得る

 惑星のコア破壊を阻止されたとしても速やかに反物質爆弾型搭載艦を呼び寄せれば別の形での攻撃が可能。逆もまたしかり。他方、惑星破壊に特化したタイプの破滅ミサイルでは艦隊に対する攻撃ではあまり効果は望めない。反物質タイプの破滅ミサイルの場合は惑星と艦隊の双方で有用であるが、着弾本数によっては惑星への破壊が限定的になる可能性もある。

 

 破滅ミサイルは特殊かつ破滅的な破壊をもたらし得る、運用の難しい兵器だ。ではあるが、破壊原理に複数の選択肢を持たせることによって敵撃破の確実性を補完、あるいは被害範囲の選択を可能にできる。

 専門性と使用に明確な指針を持ちさえすれば、破滅ミサイルは十分有用な攻撃方法と言えるのではないだろうか。

 

 

 正直、使いづらい。

 だが、それでも採用する意義はある。
 それだけのキャパシティが、破滅ミサイルにはある。多数を揃えて矢の様に降らせれば戦場を大混乱の渦に叩き込むことが出来るのだ。ガトランティスが艦艇装備とする兵装の内、確実に最大威力を有し、その威力を見せつけることが一度でもできればその存在自体が恐怖の対象となるだろう。だからこそ、ミサイル艦にのみ装備させ、ミサイル艦のみで編成した艦隊が合理性を持ってくる。それだけ独特のドクトリンを有する事に、何の不思議も矛盾もない。それだけ特殊だからこそ単独艦種で艦隊を組む必要が有るのだ。

 この破滅ミサイルは一見突飛だ。しかし、この破滅ミサイルは高い技術を前提とする限りにおいては、運用も制作も現実性のある兵器として評価することが出来るのである

 

 


 こんなヤバいものを艦首に着けたくはないが。