旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

地球連邦の考察――概論――

 

 

 ガミラスの脅威から立ち上がった地球。地球各国は全球的な統一を以て復興を加速、これによって太陽系を再度勢力下に収め、そしてまた遠方へとその力を伸ばしてゆく。

 

 その行く手に立ちはだかる災いとは……

 

 

 地球連邦の概要

 国家名称:地球連邦

 国家体制:大統領・首相制、連邦共和国

 拠点:通称メガロポリス(詳細不明、臨海部)

 主利用動力機関:波動エンジン

 


 ●国家体制
 地球連邦成立以前は明確ではないが、国連ないし大国が主導権を握る形で各国がある程度独自に防衛を行っていた模様。各国はその国力に応じて艦隊を配備運用し、常識的に考えて同盟関係を元に艦隊を編成し、ガミラスとの戦闘に当たっていたとみて不思議はないだろう。

 第22話では引き画とアップで旗の配置が入れ替わってしまうが、フランス、トルコ、日本、インド、キプロス、イギリス、アメリカ、パキスタンコートジボワールなどの旗が大統領の後ろに並んでいた。多分何となく色付けたからこんな意味不明なラインナップになったのだろうが、一応国家は存在しているのだろう。

 

 連邦成立は確実に復興の為と言えるだろう。

 コスモクリーナーによって浄化されたとはいえ、全ての構造物は完全に破壊されており、再建しなければならない。しかし、再建には資材が必要だ。また敵勢力の襲撃があるかもしれない、ガミラスがリベンジを挑んでくる可能性もあるかもしれない、であるならば、早急な復興をしなければならない。限られたリソースを効果的に使用するには、当然計画がなければならない。もし196ヶ国が各々勝手に活動し、196の計画が同時に発動されようものなら、情報も資材も何もかもが錯綜して確実に無駄が生じる。下手をすれば、宗教勢力が幅を利かせるという緊急事態も発生しかねない。

 やはり、復興を取り仕切る総監督の元、いくつかの指揮官が地域ごとの性格によって計画を最適化、現場指揮官が計画をおおむね計画通りに遂行する。これを実施するには国連のような動きの遅い合議制よりも、各国から選出された委員の中から最高司令官を選ぶ強力な指導力を発揮しやすい大統領制を構築すべきだろう。

 

 どの国が主導権を握ったかは不明だが、コスモクリーナーを持ち帰った日本ないし、その宗主国であるアメリカが指導的立場であると考えて相違はないはず。経済の力は最早どの国も大したものではないだろうが、しかしそれまでに構築した軍事力は地球全土の安全を担保するものとして、非常に重きをなされるだろう。

 仮に、国家が廃止されたとしても恐らく地方自治上の意味合いから類似した境界線は残されるだろう。画一化は度が過ぎると反発を招くし、根本から理解の違う集団をごちゃまぜにする合理的な理由はない。内戦を引き起こしたいなら別だが。

 


 ガミラス戦時において、地球防衛軍司令部の長官がほとんど最高権力者として各種の任務をほぼ独断で裁可していたと思われる。他方、行政を誰が担っていたのかは不明だが、別口で治安維持部隊が暴徒に対して出動しているため、明確に軍とは別系として存在しているとするのが妥当。

 

 地球連邦成立後は変化が起きた。

 

 地球防衛の要、地球防衛軍。これを指揮する防衛司令部の長官は格としては恐らく名称の通り、長職として大統領府を構成する閣僚として重きをなすだろう。一方で、その指揮権の範囲は大きく制限されたとみられる。細分化による軍政の透明化・適正化だ。

 つまり、軍の統括機関たる防衛司令部は長官の下部に各種のプランを裁可する存在として防衛会議が新設ないし復活させたのである。

 これは現場と政治をつなぐ存在らしく、当然長官の現場に対する権限は極限まで低下し、緊急を除いてはほとんど介入できなくなったと思われる。また、現場の意見は防衛会議に吸い上げられ、事案が軍事マターなのか政治マターなのかの判断等も行われるだろう。この会議の性質上、長官の権限行使は限定的であろうから、防衛会議の決定は覆せないし見過ごすこともできない模様だ。実際、覆せなかった。

 それは仕方ないとして、防衛軍司令部の質は明確に低下――これは由々しき事態。これが頻出した。

 

 恐らく、連邦成立における論功行賞か政治家のお友達専門家辺りが防衛会議に参加していたのだろう。普通に考えればテレサからのメッセージを受け取った古代を証人として呼びそうなものだが、これをオブザーバーとして参加させた。随一の頭脳を持つ真田さんにも証人としてではなくオブザーバー参加を強いて、それも一切発言を認めないきたもんだ。

 リアリティがありすぎて背筋が寒くなるほど、政治マターで設置された議会にありがちな極めてお役所的な、形だけの会議の開催。当然、中身は一切なし。長官や真田さんがあれほど懸念を示しているのに、完全無視挙句懲罰人事を発動するという恐ろしいほどの無能っぷりを披露した。都知事が乱立させたPTの方がなんぼか役に立ってる。これではどう考えても地球の防衛に資することはできないだろう。

 

 他方、防衛会議に対抗する長官も、ヤマトの反乱や土方総司令の独断専行をごまかす事の出来るほどの権限ないし政治力は有している模様で、防衛司令部の空模様は一筋縄ではいかない。

 

 

 行政の面は不明確。ただし、ガミラス戦時よりかは強力で確かな指導力を発揮しているのは確実。

 首相は内政面を司りかつ政治的No.2の立場で全権大使にもなり得る。物語中盤で見せたように、首相の権限はかなり強く防衛会議に対して圧倒的な政治力を発揮=全工廠のアンドロメダ級製造への全力転換を遂行した。

 他方、大統領は内政面よりも外交面の指揮官という側面が強く地球の降伏如何を最終的に判断する立場だった(さらばではもう少し権限が強そうな描写アリ)。イタリアやドイツのような性格の大統領職なのだろう。地域ごとの個性が強すぎる場合は、これが丁度いいのかもしれない。

 これ以外において一つだけ確実なのは、地球連邦がガトランティスをどう見ていたかという事。すなわち、完全に敵。しかも交渉の出来る相手なのかどうかを測りかねていた節がある。

 


 地球連邦は劇中では軍事面以外は特に描写が無い為、行政部門については推測すら困難。まあ、先軍的とはいえ、民主的に選ばれたであろう首相や大統領の配置した防衛会議を見れば、良くも悪くも民主主義国家らしいと言えるだろう

 

 


 ●想定される主要機関=エンジン

 元々は小型核融合炉辺りから出力を得たイオンエンジンだろう。化学推進だとあまりにも航続距離が限定されてしまうからだ。しかしてイオンエンジンならば出力とイオンの密度を適切に設定すれば相当な高速を発揮できる。

 しかし、イスカンダルの技術:波動エンジンが全てを変えた。無制限の航続距離とエンジンの物理限界以外の制約を負わない出力。最高の能力を有するのが波動エンジンである。普通に稼働させるだけで光速の99パーセントを発揮可能で、しかも時間と空間を切断・空間のみを歪曲させるワープ航法を実現した。

 空間歪曲という誰がどう考えても莫大なエネルギーが必要な技術を地球にもたらした。これで冥王星まで数日かけていたそれまでの宇宙戦艦と違い、たった数分程度に短縮、太陽系外への道を開いた

 

 以降、地球防衛軍はこの空間推進兼ワープ機関である波動エンジンを量産。これを全地球艦隊に装備させ、強力な足回りを確保した。また、空間歪曲の莫大なエネルギーを波動砲口という物理限界の範囲付近で集約、前方投射する波動砲を開発。これは地球の戦闘艦にとって極めて標準的な決戦兵器として戦術の中核をなすようになる。

 

 この波動エンジンはイスカンダルからの技術供与=オーバーテクノロジーにより完成されたものであり、理論は一部の人間にしかわからないと思われる。波動エンジンの理論は明確かつ明瞭な説明された事なく……宇宙エネルギー(ダークマターに限らず星間物質一般か)をタキオン粒子の形に圧縮分解し、その際に得られるエネルギーを動力とするものであろう、という程度しか不明。

 

 タキオン粒子は力を加えられると動きを止め、力がなくなると自由に動き出す、普通の粒子とは反対の性質を持った正物質である。しかも素粒子である為その動きは高速。これを留めるだけでも非常なエネルギーが必要となるのだ。

 

 つまり、通常の星間物質を変換することで得られるタキオン粒子は常に、力を加えられた状態のタキオン粒子。これは極めて高いエネルギー状態に置かれている。このタキオン粒子は放っておいてもエネルギーを放出する傾向にある為、この莫大なエネルギーが動力として採取されるという事なのだろう。反対にこれを拘束し、開放することで波動砲は粒子単体でも猛烈なエネルギーを有することになろう。


 この過程において物質を強制的に変換するが、元来存在しているはずの量子もつれが波動エンジン内に吸入されることによって途絶され、このEPR状態の途絶が波動エンジン内に情報のストレスを発生させ、不安定な三次元空間を作ってしまう。この不安定な空間をコントロールして生成・前方投射するのが波動砲である――と思われる。

 意味わからんね。

 


 ●兵器
 別個に記事を設けたい。

 ただ、予告編的にまとめるとすれば、地球艦隊の特徴は少数精鋭であるという事。中型ないし大型艦は全て波動砲装備の重武装艦。波動エンジンという非常に強力な足回りを生かし、小型艦まで重武装。しかも、あれだけヤマトで成功しながら航空戦力が少数というのは興味深い。

 合理的な説明を付けるとすれば、地球防衛艦隊は基本的に太陽系圏内での活動を主軸とする近海宇宙軍であるというところか。

 ただし、ある戦艦の登場によりその様相は一変する……
 

 

 ●方針

 まず第一義的に地球の復興。これはメガロポリス周辺やヤマト2の冒頭、ガトランティスの偵察映像からわかる通り、地球はガミラスの遊星爆弾によって破壊された全てを元の通りに復元した。ワルシャワ歴史地区やドレスデンの聖母教会、ツヴィンガー宮殿に比定できるような猛烈な努力と執念によって成し遂げられたのだろう。3Dプリンターなんかは放送当時は当然存在しないが、これを用いれば完全消滅した部分を補えるだろうから、復元作業はかなり容易になるだろう。ともかくとして、地球はガミラス戦時以前の姿を取り戻したのである。

 復興を成し遂げるために太陽系圏内の惑星全てのリソースを地球に突っ込んだ。そうせざるを得なかった。ある意味、地球は太陽系以外の場所を眺める暇すらなかっただろう。

 

 

 しかし――2201年、ようやく足元を固めた地球は持ち前の……