旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

第二期地球艦隊・アンドロメダ①―栄光の総旗艦―

 

 

 アンドロメダは地球戦艦の中で最も人気で最も優美な戦艦と言える。宇宙戦艦ヤマトを知る人間にとって、この艦の名を姿を忘れることはできないだろう。

 この戦艦について考察してみたい。

 

 

 

 デザイン、性能


 ――データ――

 艦名:アンドロメダ(Andromeda)

 分類:戦艦(旗艦級戦艦)

 全長:275メートルないし280メートル
 全幅:66.2メートルないし65メートル
 自重:98,000トンないし100,000トン
 乗員:95名
 主機:新型波動エンジン
 武装:艦首拡散波動砲2門、50センチ3連装衝撃砲塔4基、5連装大型艦橋砲1基、艦橋ミサイル砲5門、3連装対空パルスレーザー砲2基、2連装対空パルスレーザー砲2基、ミサイルランチャー18門、艦首魚雷ミサイル発射管4門、対空ミサイル砲×8門、固定式四連装舷側砲2基、対潜宙艦用ソナー

 搭載機:コスモタイガーII

 

 このうち、確認できるものは――
 艦首拡散波動砲2門、50センチ3連装衝撃砲塔4基、連装対空パルスレーザー砲2基、4連ミサイル(ひょっとすると魚雷かも)ランチャー2基、2連装対空パルスレーザー砲2基、ソナー。
 搭載機:コスモタイガーII(大型機用発艦口艦底部1、艦載機発艦口補助エンジン間に両舷1ずつ)。ただし、使用シーンなし

 

 

 カラーリングはグレーを基調とし、艦首“衝角”と艦前部インテークに艦橋上部中央、加えて前部主砲の前盾がクリーム色に塗られている。また、艦首の凸部前半がエンジンノズルと共に黒く塗られている。興味深いのが、波動砲口まで赤く塗られている点。

 赤は暖色系の膨張色で、これが実際には主力戦艦よりも砲口が小さいのにもかかわらず、ボリュームを醸し出して、並列しても存在感を見せている(意図的にパースがアレな場合や、そもそも画面に寄っているという事もあるが。シーンによって時折クリーム色の場所であるとか面積が変わるが、それは省く。だって手塗だもの、仕方がない)

 この艦の魅力は落ち着いたグレーの艦体色と適宜挿入されるクリーム色だ。これが全体的な印象をのっぺりとさせる事無く引き締まった印象を与える。そして差し色の赤が華やかさを添えるのである。
 配色もさることながら、あの独特の艦橋と艦首連装拡散波動砲も魅力的。ヤマトのタンブルフォーム的曲線の艦体とは違い矩形+円筒に近い艦体だが艦首の連装拡散波動砲が横幅を強調することでボリュームを醸し出す。さらに後部に4基設置された補助エンジンが更にボリュームがプラスされる。ヤマト作品に特有のフィンもバランスよく配置され、均整の取れたデザインとなっていると評せよう。

 

 

 設定への疑義――艦載機収容問題
 艦載機収容スペースは艦後尾だろう。発着艦口があるし。ただ、ヤマトと同様に作戦に供することのできる艦載機収容力を有せるかは疑問。

 検証してみよう。


 艦載機収容スペースとして活用できそうなこの部分の寸法は幅25メートル、長さは50メートルで高さは25メートルだがエンジンを格納すべき部位でもあろうことから、半分の12メートルとする。
 コスモタイガーⅡは全長17.5メートル、全幅8メートル、全高3メートルである。整備を見込んだ必要な空間はこれらよりそれぞれ数メートルプラスして21メートル×14メートル×8メートルの立方体として計算したい。


 この数値をあてはめると、縦横2列1段で合計4機格納できる。多分、ヤマトが設定どおりの寸法で積める機数とほぼ同じだと思う。

 

 

 第二次大戦時、観測機や偵察機を発進させるのは元来巡洋艦や空母自身だった。任務の性質上1機では心もとないが3機もあれば十分であったが、二桁に迫る多数機を擁する艦もある。

 他方、戦艦群の多数も艦載機を収容し索敵範囲拡大を狙った。が、イギリスの様に戦艦の航空兵装に大きな疑義を呈されて廃止という例もあるし、そもそも積めるよう設計されただけで実際はそんなに運用していなかったりというのもある。

 

 地球艦隊は基本的に太陽系圏内で活動する内海艦隊と言えよう。惑星基地を背にして戦えば、長大な航続距離を有するコスモタイガ-隊の航空戦力の支援を受けられるだろう。であれば……いらなくね? 艦載機。

もっと言えば〈大淀〉を例に出すまでもなく、収容スペースを旗艦設備に転用した方が意味がある

 

 

 しかし、わざわざ艦載機を設定している。さらばにおいて、空母が登場していないにもかかわらず艦載機による迎撃を副官は進言した。これらの描写や設定から、地球軍がアンドロメダに求めた航空戦能力というのを推察できるのではないのか。

 つまり、地球軍首脳部はアンドロメダヤマトの様な航空戦艦として能力を求めた、そう結論付けられるのではないだろうか。内海艦隊、沿岸艦隊にしてはオーバースペック過ぎる能力だ。

 

 仮にアンドロメダを航空戦艦ないし万能艦として性格づけるとすれば……全く新しい地球艦隊の建設が幕を開けるという事になる。

 

 

 

 描写と数値再設定
 別に再設計するほどの激狭設計ではないが、描写と一致するかといえばかなり問題がある。特に艦橋。それに艦載機を載せようと思ったら絶対小さい

 

 ヤマトに限らずまま倍寸実際の寸法より倍近い描写にしてスケール感を出す手法)は取られる手法だが、一方でいくらデジタル化されたとしても、艦の制御や情報処理の裁可には艦橋クルーの手数が必要だろう。だとすれば、あのぐらいがちょうどいい気もする。

 仮に倍寸を原寸に補正するとすれば――こんごう当たりのCIC程度の規模に縮小されるだろう。デカけりゃいいという問題ではないが、これは狭くていいという問題でもない。


 故に例のごとく再設定します。
 艦橋上部クリーム色に塗装された部分を指揮所と考える。理由は屈曲したフレームがある窓様の部分は他にないから。

 艦内描写からざっくり、法廷の2倍近い広さと考えられる。

 

 アンドロメダ艦橋

 一番奥の高い艦長席(司令官席)の前に副官席と横並びで波動砲手(と推測)、かなりの距離を挟んで前方に通信士や操縦士席を置く。操縦士席前方には機器を挟んで装甲・窓等を配し宇宙と空間を隔てる。(ただし――試験航海時には副官及び波動砲手席が無く、第5話のヤマト追撃戦でも席がない為副官は突っ立ってるより他なかった。第21話でようやく確認できるが、第20話では艦橋内部の俯瞰描写が無い故、第5話以降であれば席の増設タイミングはいくらでも設定可能)

 

 法廷の標準的配席

 一番奥の裁判官席の前に書記の席を置き、幾らかの距離を置いて証言台を置く。証言台の開口側後方にドア幅の倍程度の距離を挟んで傍聴人席を並べる。

 

 

 アンドロメダ艦橋と法廷とはほとんど同じ構図である。
 法廷は設計が審議方法によって幾らか異なるらしいが、長手は13メートル、短手は9メートル程度であるらしい。

 法廷が数万キロ先までの情報を集積する機器やら、誘導弾を統括する機器を必要な訳はないため、短手9メートルに幾らかの見込みをプラスする。装甲も考えて……余裕を取って思い切って13メートル長手は比率を崩さないように同じだけ数値を伸ばして17メートルとする。これならば芯々を取っての寸法と計算したとして、装甲厚も加味しても法廷程度の広さは確保できる。(これだって描写より幾らか小規模)

 


 実艦はどうか。図面等からして、幅・奥行きともに約5メートルぐらいになる。全然足りん……

 つまり、寸法を再設定値に合わせるには2.6倍する必要が有る。どうも、3倍だと拡大しすぎてしまうようだ。(そもそもというか、この辺りの細かい数値は煎じ詰めても、どの数値も多分あんまり参考にならないと思うけど、一応算出)

 

 全長:728メートル
 艦幅最短:85メートル
   最長:104メートル
   翼部:163メートル
 全高:257メートル

 艦載機:最大搭載数72機、平均搭載32機、常用12機
 乗員:90名+航空系要員72から432名

 

 

 設定しなおすと、何と700メートル超えの巨大戦艦になる。自分で設定し直しておいて少々大きすぎる気もするが、艦橋との兼ね合い的にはこれが正しいはず。ただ、多分1割ほど小型化しても艦の能力には影響ないと思われる。


 これにより艦載機格納スペースは幅65メートル長さ130メートル高さ31メートルに拡大する。つまり、長手6列短手4列3段の計72機を格納できる――おや!? と声をあげたくなるほど多数の艦載機を保有する事になるのだ。やったね。

 無論、目いっぱい積む必要はなく、半分ほどを別の舟艇に替えたとしても32機とヤマトと同等の航空戦力を擁する事になるのである

 


 艦載機以外の部分はどうなるか。
 700メートル級の艦体ならば、波動エンジンの大きさが不明な点がネックになるが、艦内配置をややこしく考える必要は薄い。純粋に被弾とか動線とかを考えればいいだけ。あれを減らしてこれに充てる――といったことは深く考えなくても構わないだろう。

 だって兵装に関わらない部分は、特に人体寸法を組み込むであろう居住スペースは相対的に縮小されるから。確かに単純に拡大したのならば、同じように兵装も拡大してしまうため、関連部品も拡大する必要があるのは間違いない。一方で元から幾らか生じていたであろう余剰スペースも、280メートルの原案通りより増える。何なら、武装を若干比率を小さくしてしまう方法だって取れる。

 

 もし気を遣うなら、配管ぐらい。非実体弾系兵装は砲の破壊もまずいが、配管が壊れても使用不能になる。これに気を遣えばあとは大した問題はない。

 あくまで砲を主兵装としている以上ミサイルの類を大量に予備を仕入れておく必要はない。トマホークならばミズーリに積んだタイプの発射機一基につき4発、それが4基。1基の予備は4発であるから合計32発積み込む。魚雷も事情はそう変わらないため、発射管1門につき2発か3発程度の予備を見込む。

 また、艦の動力用の大規模な燃料タンクは必要ないだろう。増槽もついているし、艦内部には小規模なもので構わない――はず。

 

 人員は90名であり、パイロットは全機を3座にした場合は1シフト最大219人必要となってしまうが、現実的ではないのでコスモタイガ-Ⅱ単座タイプのみに搭載を限定すれば72機でも216名で済む。整備員も同数積む必要があるがここをケチって運用できなくなっては元も子もないので確保する。

 これだけの人員を収容するには、当初の面積よりかなり拡大してしまうが……仕方ない。大和の一人当たりの床面積が3.2平米とされるから――人員収用には艦の運用人員90名=288平米、航空要員432名=1382平米で総計1670平米のスペースを確保は絶対。平置きすると40メートル×40メートルだが、これでも700メートルの艦体の中には配置できる場所もあるだろう。

 

 大型である故、いくらでも艦内配置に自由度を与えられる。

 

 

 

 なぜ、艦載機。なぜ、“航空戦艦”
 設計の方針として、ヤマトと同等の艦載機を用意する必要が有るだろう。大統領閣下や防衛会議の御所望と言い換えてもいい。根拠はアンドロメダの進宙式だ。

 

 地球連邦大統領はアンドロメダの進宙式で、「地球は永遠に宇宙の平和を守るリーダーとして」との発言があった。また、彼はアンドロメダを「名誉ある地位のシンボルとして」との発言まであった。

 彼の言う平和をもたらすべき宇宙とは、どこを指すのは明言をされていない。

 が、太陽系圏内には地球以外に勢力は存在せず、その辺域も14万光年圏内は地球と戦える勢力が無い事は確認済み(ビーメラー星は光速突破宇宙艦保有しないから除外)といえよう。ガミラスを撃破した今、一体どこに平和を脅かすものがあろうか白色彗星はすでに観測済みだが、脅威とは見なしていない

 であるならば、演説の指す宇宙が太陽系を指すというのは文章的に意味をなさない。常識的に考えて彼の指す=地球連邦の指す宇宙とは、天の川銀河全体か縮小してもオリオン腕までをさすのだろう。

 仮に天の川銀河を平和にした後は、ゆくゆくはアンドロメダ銀河やさんかく座銀河の局部銀河群を地球による平和で治める――などという遠大な計画があったかもしれない。

 

 つまり、地球連邦は太陽系圏外にまで地球防衛軍の活動を広めようとしていると結論付けられる。地球が太陽系外へと自発的に野心的に歩を進めようとしたのは後にも先にもこの時だけだ。

 

 

 外宇宙ではどんな危険があるか――未知の宙域では敵性勢力の攻撃もあるだろう。あるいは自然現象に阻まれることもあるだろう。

 砲戦であるとか、航空戦、或いは水雷戦闘に特化した艦艇では力不足が予想される。敵大編隊の襲来では砲戦艦では捌き切れないだろうし、空母では戦艦になぶられて終わり。水雷艦艇ならば案外善戦してくれるだろうが――そもそも遠くへは足を延ばせない。

 

 やはり、万能艦が欲しい。十分な砲雷戦能力と十分な航空戦力を持った堅牢な戦闘艦艇――あるじゃないか。地球には。

 地球にはヤマトがある。

 

 高い砲雷航空戦能力を持つ、単艦での作戦にも耐えられる万能艦、それがヤマトだ。このヤマトの万能艦としての性能をベースとした新戦艦の建造。これは地球連邦の新ドクトリンの達成には不可欠な存在である。

 地球連邦の目が太陽系圏内に向いていた頃は、こんなオーバースペックな戦艦など必要ない。主力戦艦は個別の記事で詳細を述べる事にするが――艦載機運用能力の不足した“内海”用である主力戦艦でも十分すぎるほど利用価値があった。

 たとえるならばWW2のイタリア海軍だろう、彼らは有力な航空機を擁する基地を征服済みの地中海沿岸にいくつも建設してこれと共同で英仏艦隊と戦おうとしていた。つまり沿岸海軍とか内海海軍とかいうタイプの戦力だ。空母を造るよりも、安全で安上がりと判断したと考えていい。

 結局、基地航空戦力の建設に失敗したため空母建設の要に迫られたし、そもそもイタリアの工業力ではどれも無理だったが……考え方としては別に間違っていたわけでは無い。

 勢力として不安定な地球が、かつてのイタリア海軍と同様の戦略を描いても不思議はないだろうし、むしろ自然と言えるだろう。その計画にとって、拡散波動砲保有している大型艦と言うだけで主力戦艦は大きな価値を有していた。

 

 しかし、根本的な太陽系の安全確保を考えた場合はこれでは不十分――周辺域への進出は当然の道筋となろう。国境線を外へ、外へと広げて中心部を守らねばならない

 ≪宇宙の平和≫という“お題目”的には正反対に近いというか、調子に乗った、独善的でいびつな判断だ。だが、地球人類の生存という観点から言えば仕方がない面も大きい。また、予想以上の復興スピードやガミラスが一年経っても復讐に来ない事にも気を良くしたとしても、不思議はない。だが、ある意味で侵略的な選択

 この選択を実行するには――

 

 ならば外宇宙へ、遠洋へ帆を進めねばなるまい。

 そのためにはアンドロメダが絶対に必要。

 

 ヤマトになかった艦隊指揮能力を付与、ヤマトと同等以上の砲力とヤマトと同等の艦載機運用能力。敵拠点以外への攻撃や艦隊による迎撃を避けるようにしたとはいえ、ヤマトは一隻でガミラスを破った。同じようにとはいかなくとも、地球防衛の為の予防的進出の礎を築くには十分だろう。むしろ、アンドロメダぐらいの能力がなければ不安がぬぐえない。

 “遠洋”戦艦であるアンドロメダはヤマトの艦隊用発展Verともいえよう。

 


 拡散波動砲についてはアンドロメダの連装装備と共に記事をまとめたい。

 が、これは弱勢が強勢を徹底して粉砕する切り札になり得る。アンドロメダ以前の内向きの攻勢でも、以降の外向きの攻勢でもどちらでも有効な兵器であることは確実だ。

 

 

 

  アンドロメダ、その活躍。

 最後に活躍について見ていきたい。
 かませ犬などとのたまう不躾な輩どもは考察もせずに

 アンドロメダは華々しい登場と華々しい活躍、そして華々しい最期に彩られたと言って構わないだろう。その“一生”は短くとも非常に印象に残る力強いものだった。

 

 

 さらばでは大勢の観客や来賓に見守られながら進宙式を迎えたアンドロメダ。特にハードカバー版は古代の乗る護衛艦に向かって通信をしたりと粋な計らいをしてみたりしている。

 バルゼー率いる第6遊動機動部隊の太陽系侵入に接し、アンドロメダは他の地球艦と共に月面基地に集結。その旗艦として出撃し、バルゼー艦隊が待ち構える土星圏に突入。

 デスバテーター及びイーターⅡの大軍に対しては密集隊形を以てこれを返り討ちにし、続く潜宙艦の雷撃も艦長は即座に反応してソナーを発射。これによって位置をあぶりだし撃退、同戦闘宙域を突破する事に成功した。また、大戦艦の大軍を以て包囲殲滅を試みたバルゼーの意図を見抜き、畳みかけるようにして拡散波動砲の先制攻撃をかけてこれを壊滅に追い込んだ。

 さらに、白色彗星に対しても引くことなく立ち向かう。主力戦艦や巡洋艦らと共にマルチ隊形を展開、拡散波動砲の一斉射撃を以てこれを迎え撃つも――敵わず。脱出しようと最後まで抵抗したものの、超重力によって装甲板をはがされるようにして沈んだ。

 

 

 ヤマト2においては第1話より登場、試験航海への出発時に帰還してきたヤマトとニアミス。翌話、土方さんから艦内の司令部に呼び出しを喰らった古代がアンドロメダを訪問、内部を真田さんと共に視察。第3話にて、事故を起こした金星の太陽エネルギー中継基地の調査に旅立つ。

 第5話(正確には第4話ラスト)にてヤマト追撃の命が防衛司令部より下り出撃。ヤマトとの追撃戦を繰り広げ、土方総司令の采配と艦の性能によって見事ヤマトに追いついた。その後は第1外周艦隊の旗艦として外縁部に駐留。


 第18話、バルゼー連合艦隊の接近に際しては土方司令の招集命令に応じてタイタン基地へ飛来、以降は艦隊司令部を乗せて艦隊総旗艦として地球艦隊を率いる。
 第20話冒頭係留姿を、ヤマト機動部隊の作戦中にタイタン域にて待機する姿を見せる。翌第21話――土星決戦ではバルゼー艦隊の前面に拡散波動砲発射体型を展開、拡散波動砲の先制攻撃を試みるも、火炎直撃砲の奇襲攻撃に直面。至近弾で衝撃波を受けたものの損害はなく、また土星の環で火炎直撃砲の余波を受けた際も気流に対抗、脱出に成功。

 以降の反転攻勢はDVDを借りるなり買うなり、衛星放送で再放送した時に見て欲しい。アンドロメダ出撃からカッシーニの反撃に至る過程のBGMが神がかっている

 しかし、活躍はここまでだった。

 白色彗星が突然ワープアウト。これに対して緊急的にマルチ隊形を展開、エネルギー充填し拡散波動砲を発射。見事ガス体の排除に成功したものの――続く都市帝国の攻勢に苦戦。僚艦と共に突撃し近接戦闘を試みるも、敵わず回転リングに激突して爆沈した。

 

 

 

 

 これは……この活躍はヤマトより印象に残る戦艦ではなかろうか。

 リアリティのある建艦方針、見事なまでの演出、頼もしい活躍。しかも、さらば/ヤマト2両作品のそれぞれのメッセージ性に見事に合致する立ち位置。あまつさえデザインは優美。フィクションにおいて、これほど合理的で魅力的な艦というのもそうそうないのではないだろか。

 驚くほど魅力にあふれ、驚くほど見どころにあふれ、驚くほどに儚い最期を遂げた戦艦だった。そう結びたい。

 (2020/09/30 一部追記・修正)