第二期地球艦隊・アンドロメダ②―新戦艦を建造せよ―
アンドロメダは地球戦艦の中で最も人気で最も優美な戦艦と言える。すでにアンドロメダの立ち位置であるとか、その能力について考察を加えた。
今回は、アンドロメダの建造タイムスケジュールについて考察してみたい。
唯一の存在
アンドロメダが1隻だけの理由はいくつか考えられるだろう。
1、ガトランティスの進軍が早く、姉妹艦が完成しなかった――等の時間的理由。
2、拡散波動砲の形式や戦艦の新スペックのテスト――実験艦としての存在理由。
3、アンドロメダを複数隻建造する資金調達に失敗――泣けてくる金銭理由。
(さすがにこれはないとは思うが↑)
これらが考えられるだろう。あるいは、1と2の複合的な理由という事もあろう。つまり、まず一番艦を完成させて具合を確認し、一気に大量建造へ移る。ちょうどいいタイミングでガトランティスが現れた……が、思った以上に強力な勢力な上に進軍が早く、試験もアンドロメダ級のまとまった戦力投入もままならなかった。
割と、調子に乗った地球連邦っぽさの出た想定と自画自賛。
他方、建造の理由は何が考えられるか。
アンドロメダの考察記事にも書いたが、地球連邦の方針転換=拡大政策発動が理由の大きな部分を占めると言えるだろう。
主力戦艦は形状から考えて、ヤマトをタイシップに取ったと説明できるだろう。性能からして、主に火力を参考にしたといえる。
しかし、地球が短時間の間で技術革新を行えるとあれば、他勢力が同様のスピードで技術革新を行える可能性は当然ある。防衛司令部がそう想定しても別に不思議はない。また、太陽系圏内だけではなく周辺領域に足掛かりがあった方が太陽系を守りやすい。
ならば、外宇宙へと地球勢力を拡大しなければなるまい。が、艦体の規模から言って艦載機をろくに積めない主力戦艦は総合力に欠けた戦闘艦と言わざるを得ない。地球連邦の新方針である拡大政策には用を足さないだろう。
ならば、新しい戦艦を造らねばならない。ヤマトのような万能で一隻だけでも十分な戦闘能力を有した艦を。
こういたことが理由と言える。
他にも、新しい演算器機が開発され、それが主力戦艦に載らないとわかれば当然新しい器が必要となる。アンテナだのの機器類も、主力戦艦はむき出しだが、それが危険と判断されれば掩護する必要が有る。ヤマトのガミラスとの戦闘データを組み込むにしても、後付けと初めから組み込むのでは物が違うだろう。航空優位でなければ活動しがたい主力戦艦ではそもそも遠洋へは航海できない。
さらに言えば、些細な変更も案外実際にやってみないと具合が判らないという可能性は十分ある。スプルーアンス級の様に設計が古すぎて新規艦艇のベースに使う事もできないという例だってよくある。
主力戦艦の改修だけでは対応できないと防衛司令部が判断したとしても不思議はない。だとすれば、アンドロメダの建造はなおの事合理性を帯びる。
正直、いくらでも建造の理由は創り出せる。
現実の世界では新規設計の艦艇建造はそんなに珍しい事ではない。特に建艦競争時や技術革新の激しい時代では当然の事。
世界初の弩級戦艦ドレッドノートは、他の有力な戦艦と同時に建造された。しかし、注力をされたため、おかげで先んじて完成することが出来た。おかげで、作っているそばから旧式艦のレッテルを張られる不遇な戦艦が世界中に発生してしまったのである。
何かを急ぐと、それまで手を付けていた別の事がおろそかになる事は人間よくある。組織も人間の集合体であるから、まあ、あり得るだろう。国家予算のコンマ数パーセントを消費するんだからそんなことあったら困るが。
ともかくとして、アンドロメダを建造する必要性は十分にあったと言えよう。つまり、外洋進出の為の攻撃的戦艦の必要性。
当然、本土は守らねばならないため主力戦艦と並行する形で建造されて当然だ。建造を打ち切って、地球が丸裸になっては困る。そもそも波動砲キャリアとしては主力戦艦は優秀であり、建造しない選択肢は合理性がない。
アンドロメダは地球が初めて明確に太陽系圏外へと進出を目指したそのプロットの第一弾として建造された。同時に、地球連邦の力が最高潮に達していたと断言できる。
これ以降地球は疲弊して太陽系圏外へと進出する余力はなくなってしまう。このため、アンドロメダのような艦載機収容能力や波動砲の強化は見られなくなっている。
地球が国力的に最も充実していた時期を体現する戦艦、それがアンドロメダであるといえる。そう結論付けられるのではないだろうか。
建造のタイムスケジュール
まず、前提となる年月日の確定。
地球が遊星爆弾の脅威からの解放=冥王星前線基地の撃破、つまり帰還予定日まで残り354日。帰還が9月であるところから逆算すると2199年の10月頃と想定できる。
宇宙大年表――というのがあるのよ。私も最近まで知らなかった――では10月8日にヤマトが出撃するがこの時の残り日数は363日。
冥王星前線基地の破壊は10月17日となって矛盾はない。この日から地球はガミラスの直接的な脅威から解放され、新戦艦の開発に余裕が生まれる。司令部あたりは。
帰還は2200年9月6日。これはテレビシリーズ最終回にテロップで掲載、計算上は冥王星の勝利から10か月と13日。
さらば、2共に舞台は2201年。物語開始の日付は明言されず。ただし、第三区輸送船団の地球到着予定日時が8月10日である事が相原の通信でわかる。そしてまた、アンドロメダの進宙式は8月10日前後から大きくずれる事はない。計算上、ヤマト帰還から11ヶ月。
合計、約21ヶ月。日数にして約630日、約1年9カ月だ。
これで想定に必要な日付がざっくり想定できる。
個人的には、8月にしては人々が明らかに暑そうな服装をしている点に注目したい。コスモクリーナーの作用によるものとしても処理できそうだが、ちょっと厚着しすぎ。
仮に、現在と同じ気候と考えると、8月にタートルネック状のあの服装では熱中症患者が大量に発生してしまう。仮にもう少し寒いとしても、あまりに厚着。理由は幾らでも都合付けられるが――放送当時でも、結構暑い日があったろうに……
本当はココで日付を映っていないところで操作したいが――それは別個の記事を設けたいと思う。
設計、そして建造。
アンドロメダの設計建造はヤマトの建造を担った日本が主管するであろう。が、計画発動は防衛司令部だろうし、恐らく国連→地球連邦の管理下という事になろう。
アンドロメダの設計で、一部は主力戦艦と類似点が見られる。これは設計や建造工程における期間短縮が期待できよう。
具体的には、第2砲塔以降の艦体は円筒型であるところ。補助エンジンに関しても、構造的には変わらない。また、艦橋の基部もまた構造的には共通。主砲も共通。つまり、主力戦艦で設計した図面の半分近くは流用できる。規模は異なる可能性が高いが、最低でも工法は共通させられるだろう。艦載機の収用もヤマトを参考にすればいい。主力戦艦とヤマトをタイシップにとって新しい設計方針に合わせて取捨選択すれば、十分にアンドロメダの図面が完成させられる。
ただ――主力戦艦にもあてはまる事だが、波動砲口(砲身)の設計が少々ネック。この設計に結構時間を取られると思われる。
予想タイムスケジュール
設計期間:2200年1月~2200年10月
アンドロメダ起工:2200年10月
アンドロメダ進宙:2201年8月
アンドロメダ就役:2201年9月頃
先に述べたように、ベースとしてはヤマトの能力を改良し、建造や運用をしやすいように主力戦艦と設計を一部共通化する。これならば、1年以内の設計期間で収まるだろう。ヤマトが何年もの間に計画された戦艦だとすれば、ヤマトをベースにすればヤマトと同等にはなれる。ヤマトを刷新した主力戦艦の設計を組み込めば更に有力な戦艦になれる。
見た目の優美さは機能美であると同時に、ある意味贅沢ともいえる司令部装備による威厳という事も考えられよう。海自のこんごう型はアーレイバーク級の旗艦仕様だが、どっしりした艦橋はかつての高雄型重巡を思い起こさせるようなシルエットだ。帰還に相応しい風格がある(※個人の見解)。
アンドロメダの美しさはそれと同じと説明することもできよう。
短めの設計期間だが、イタリアのカイオ・ドゥイリオ級戦艦などが参考になるだろう。これは元来ド級戦艦だが、ムッソリーニ政権はこれを無理やり設計変更して流行りの新戦艦に類似の戦闘艦に仕立て上げた。この無茶にも思える設計は概ね1年以内に済んだといわれる。
設計にどれだけの時間を取られるかは重要であり、しかし現代にはかつてない強い味方であるコンピューターが存在している。演算はこの優秀な集積回路に頑張ってもらおう。であるならば、ベースやアウトラインが存在している設計の手直しはそんなに難しくはないはず。流用できるところは流用し、無理な所は新たに設計するという方針ならばなおの事設計が用意になろう。
とはいえ、設計の方向性を決定し資金と資材を調達するのは人間である。やはり設計は一年近くを見積もらないとリアリティがない。同時並行的に新兵器の開発を行えば各種の重複したロスタイムを解消できる。
確かに、設計を1年程度というのは若干――ご都合主義だが、一方でやって出来ない事ではないのである。
他方、建造期間は実際の戦闘艦艇を参考に一年程度を見込む。こちらも若干ご都合主義だが、やって出来ないことはない期間=一番短い想定値を示した。
(10話で100日程度で7割方完成のアンドロメダ級5隻を多分戦場に投入できるとみられていたし、15話ではあと46日で全工廠をアンドロメダ建造に切り替えれば10隻を投入できる――つまり全くの新造5隻を46日程度で戦力化できるかもしれないという話がある。となると、さすがにリアリティがない……)
建造について、現実の話。
アメリカは大抵の艦船を3年程度で起工から就役にこぎつける。艦体だけならば1年で完成という例もある。例えば、コネチカット級戦艦の大半やフロリダ級、ワイオミング級など各種の戦艦を持ち前のお化け工業力で1年程度で起工から進水までこぎつけている。現代艦艇だって例が入れはない。アーレイバーク級でもニミッツ級でも、密閉性が必要なジョージ・ワシントン級原潜でも同じだ。全艦が1年以内という事はないが、何隻も1年以内に艦体が船台から海へと滑り出している。まあ、原潜でもオハイオ級は基本4から5年かかるが。
実際として、艦体の建造より艤装の方が実は大変。これはみな1年強、下手すりゃ2年かかったりする。
他方、全盛期のロシアはアクラ級原潜を2年程度、改キロ級通常潜水艦を下手すりゃ1年で就役させていた。建造から就役までの期間が、下手すりゃ1年である。
アムール造船所やべぇ
新鋭のコンピューターと精密な重工作機の力をもってすれば、という前提があれば何とか上記のタイムスケジュールで何とかなる――はず。工作機械の性能をちゃんと示すことが出来れば、もう数ヶ月設計や建造を後ろ倒しに出来るだろう。
仮に、それが妥当だとなれば、アンドロメダの性格をより強く示すことが出来る。
緊急的な建造の必要性。
ともかくとして、アンドロメダを建造する必要性は十分にあったと言えよう。
また、主力戦艦とは各種の異なる要求の性能を持つ戦艦である。つまり、外洋進出の為の攻撃的戦艦。当然、本土は守らねばならないため主力戦艦と並行する形で建造されて当然だ。建造を打ち切って、地球が丸裸になっては困る。そもそも波動砲キャリアとしては主力戦艦は優秀であり、建造しない選択肢は合理性がない。
まして、アンドロメダがプロトタイプ的性格があるとすれば、あの時点で建造が1隻のみでも問題はない。まさにこれから外洋へと進出しようとしている、その象徴であるからだ。
アンドロメダは地球が初めて明確に太陽系圏外へと進出を目指したそのプロットの第一弾として建造された。これ以降地球は疲弊して太陽系圏外へと進出する余力はなくなってしまう。このため、アンドロメダのような艦載機収容能力や波動砲の強化は見られなくなっている。地球が国力的に最も充実していた時期を体現する戦艦、それがアンドロメダであるといえる。
そう結論付けられるのではないだろうか。