旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ガトランティス兵器群 陸上兵器3種

 

 ガトランティスの陸上兵器は意外と多彩である。さらばでは10分程度、ヤマト2でも合計2話程度と登場時間は短い。であるが、3種類の戦闘車両が登場。ミサイル陣地も形式が2つほど登場し、結構な充実度合いである。

 ミサイル陣地についてはあの程度の情報でも語ろうと思えば、専門家は簡単に語ることが出来るのだろうが、私には無理。なので、戦闘車両に焦点を合わせて考察したい。

 

 

 が、その前に簡単な戦闘用車両について説明をしたいと思う。 

 

 装甲戦闘車両(AFV)には多数の種類が存在する。目的別にかなりの性格の違う車両が造られており、しかも名称や分類も幾らか錯綜していたりする。故にこの項では、門外漢が各所から得た情報を簡単にまとめたいと思う。

 

 戦車

 旋回砲を有し、敵戦車と同格以上の火力を有する車両。基本的に履帯駆動で、分厚い装甲を有する敵陣突破等の積極的攻勢に出る為の車両。主に水平射撃。

 WW2までの世界においては豆、軽、中、重、超重、歩兵、巡航等の大きさや重量・あるいは目的などによって各国様々な分類がなされる。一方現在は一様にバランスを重視した主力戦車と言う大枠と、その世代差によって分類されている。

 第一世代重巡航戦車の発展形で、走りながら砲が撃てる。砲塔は丸く防護重視。割合皆背が高い。

 第二世代=野戦能力を獲得した一方で、相対的に他攻撃手段に対して装甲が弱体化。敵歩兵掃討が喫緊の課題=味方歩兵との活動が中心に。亀甲型的砲塔で、国によって背が高かったり低かったりする。

 第二.五世代複合装甲で軽量化、主砲の大型化を図った第二世代の改良版。型落ちで当然第三よりも安いため、軽さも相まって案外使い道が現代にもあったりする。砲塔は第一世代の流線と第二世代の亀甲型を足して二で割った雰囲気。皆、背が低い。

 第三世代=装甲の最新化と発射機構や野戦設備、或いは他戦車との共同作戦能力などを大きく革新・充実させた。結果、重くなった。砲塔は第二.五世代のそれを直線でリデザインしたような見た目。

 第三.五世代=第三世代の軽量化を図ったもので、装甲の分割などで生存性を高め一方で情報処理能力を技術の革新に伴い更新したもの。

 第四世代=知らん。軽くなるんとちゃうん? AI搭載するんとちゃうん?

 当然、これらは機甲科が運用する車両だ。集中運用して戦車部隊を結成し、適宜他部隊の支援を受けて敵陣を突破する。

 

 歩兵戦車

 歩兵随伴用の戦車。歩兵を敵の砲火から守りつつ、作戦地まで届けて火力支援を行う。遅くても構わないから歩兵の拠点となれるように重装甲、重装甲だから馬力があって塹壕を突破できる例が多い。イメージとしては移動トーチカ+橋。

 後に、「戦車は機動力がなければただの的、集中運用してなんぼ」という事が判明。挙句、小技は利かないが火力特化重装甲の突撃砲の登場によって存在意義が消滅してしまった。歩兵科所属。

 

 巡航戦車

 機動力を重視した軽装甲の戦車。騎兵の後継である機甲科の所属で歩兵戦車の対になる概念。使い方も騎兵のそれとまるっきり同じと言っても過言ではない。

 装甲の薄さも騎兵のそれと同じように、集中運用をすれば脆弱性はある程度ペイできるし、多少装甲を増せば十分利用価値が高まる。ベースとして優秀な戦車である為、大抵の場合に対応できるように装甲を厚くした重巡航戦車が現代戦車の祖となった。

 

 駆逐戦車/突撃砲

 前者は機甲科用の大型砲搭載車で対戦車車両、後者は砲兵科用の大型自走砲で歩兵支援火力。結局同じ。単なる縄張り争い。

 どちらも旋回砲塔を持たず、一方で大型大砲を積んでいるため極めて高い火力と突破力を有する。余計な機構がない為背は低いし、重装甲である為に突撃に向く。対して仰角は取れず、水平射撃以外できないといってもいい。簡単な構造なため、量産に向く。

 つまり戦車は駆逐できるし、敵陣を破壊できるだけの火力を有したかなり有用な車両。ただ、固定式戦闘室で砲の旋回が出来ないのは致命的で、WW2以降の戦場が多様化していく中で野戦が基本のこの戦闘車両に生き残る術はなかった。

 

  自走砲

 自走可能な大砲で、歩兵を支援する砲兵が機械化したのと同義。砲兵が運用する火力支援用の車両。閉鎖式の戦闘室を持つモノと無いものがある。仰角にウェイトを置いているため旋回範囲は狭く、装甲は砲弾の直撃に耐えられるものは少ない。

 榴弾砲=短砲身・短射程・低初速の高角撃ち砲。これに足回りを付けたものが、オーソドックスな自走砲とされる。

 臼砲榴弾砲よりも顕著な曲射弾道を描く砲で迫撃砲と同義。

 無反動砲=何かしらの方法で発射の反動を相殺した砲。

 対空砲=飛行中の目標を狙う砲。

 などを主砲として設ける、それぞれ、主砲とした砲の性格によって運用方法や活動場面、性質が大きく異なる。まあ、砲が主役だから。

 

 偵察車

 重装甲の戦闘偵察車と単なる偵察車の二系統がある。見た目的には、非戦車的な兵員輸送車と変わらない。大きなタイヤを何本か付けたずんぐりむっくりした戦闘車両。あんまり戦闘はしないようにするが。

 

 装甲兵員輸送車

 戦闘地域まで兵員を安全に輸送するための車両。装輪式と装軌式の二種があり、前者はトラックの上に砲塔が乗ったような見た目、後者はほとんど戦車。ざっくり装甲を施した兵員輸送車という言い方である為、結構細かく分類が出来てしまう。

 軽装甲なものものは単なるジープと同じ歩兵機動車

 重装甲で戦闘に前向きなものは歩兵戦闘車

 それ以外がざっくり装甲兵員輸送車

 

 歩兵戦闘車

 歩兵の運搬と火力支援を行う車両。装甲兵員輸送車よりも高火力で重装甲、見た目的にはほとんど戦車。装甲兵員輸送車より戦車っぽい。ただし、本職の輸送トラックの方が人員を積めるし、戦車の方が火力も装甲も上。

 

 装輪装甲車

  細かい分類ではなく、タイヤを付けた装甲車一般をさす。移動司令部である指揮通信車もこの分類。当然、装甲兵員輸送車のいくつかの車両も、自走砲も偵察車も含まれる。

 

 陸上で活動する装甲車も、非常に多くの分類や目的があるという事がお分かりいただけただろう。すでに絶滅した車両もあるし、或いはいつか復活する車両もあるだろう。生物のそれの様に収斂進化を遂げた車両も存在する。

 

 

 

 ガトランティスの戦闘車両 

 登場車両1 装甲歩兵戦闘車

 全長:8.7メートル

 全幅:5メートル

 最大速度:120キロ毎時

 武装:対戦車ロケット砲1門、37ミリ対人/対空連装レーザー機銃1挺

 登場:ヤマト2、第11番惑星攻略戦

 

 そのままズバリ、歩兵戦闘車。しかも敵が戦車で応戦してきた場合に備えて対戦車ロケット砲なんてものも備えている。仮に歩兵や装甲車両の天敵である航空機に接近されても反撃できるようにレーザー機銃を備え、万全の準備を整えた極めて攻撃的な車両

 車体前方右側にロケット砲を備え、砲塔の右をレーザー砲を縦連装とし左を黄色い蜂の巣レーダー。装軌式で車体底部にエンジンノズルが二つ。塗装はカーキ色。

 

 地球上の歩兵戦闘車は大体7メートル前後の車体であり、これらは乗員+戦闘員7名程度を輸送する。そこから考えてガトランティスのこの車両は……ガトランティスの陸上兵はみな屈強なためやはり……輸送可能なのは6、7名程度が妥当だろう。

 結局のところは歩兵の登場シーンはなかった為、単なる軽戦車的な活動にとどまった。ナスカが降ろしたこの歩兵戦闘車は描写と設定とを考慮して、最大ざっくり200両程度を見込む。つまり、1400名の歩兵を第11番惑星守備隊のあの基地に叩きつけたという事になろう。

 残念ながらコスモタイガー隊の空襲には全く抗えなかった。リアリティがあり過ぎるぐらいに順当。

 

 

 登場車両2 戦闘戦車
 全長:8.5メートル
 全幅:5.2メートル
 最大速度:100キロ毎時
 武装:188ミリ連装砲1門

 登場:さらば/ヤマト2、共にテレザート内部岩盤

 

 連装砲塔が特徴的な戦車。大きさ的には重戦車ないし現代的な主力戦車並みの車体である。後部と下部にエンジンノズルを備えているため、重量問題は全く気にする必要はないだろう。砲塔の全部左右に砲身を挟む形で2つ黄色い蜂の巣レーダーらしきものが設置。車体後部にエンジンノズルが3つも備えてあるが、使用シーンがないため詳細は不明。ハッチはスライド式で、割と簡単に開いてしまう。塗装はカーキ色。

 

 連装にする理由は命中率を上げる為というより、発射する弾数を増やすというのが基本。相対的に速射になるし。西ドイツの試作戦車VT1や60式自走無反動砲(左右逆だが、ガトランティスの装甲歩兵戦闘車っぽい見た目)、ロシアの2S35コアリツィヤ‐SV自走榴弾砲の計画案(縦に連装)など、稀に連装は存在する。

 存在するが――一門が小さくなる上に機構が複雑化するため、重くなるわ故障しやすくなるわでデメリットが多い。

  多分、ガトランティスは何らかの方法でデメリットを解消しているのだろうが。

 


 登場車両3 指揮戦車
 全長:11.3メートル
 全幅:6.2メートル
 全高:3.8メートル
 最大速度:150キロ毎時
 武装:200ミリ3連装砲1基(無砲塔固定)12.7ミリ対人対空レーザー機銃1挺

 

 試作戦車VT1を連装から3連装にしたようなもの。この指揮戦車はどっからどう見ても突撃砲とか駆逐戦車の類だし、もっと言えば前述のVT1は駆逐戦車の直系卑属である。3連砲塔の上に赤い蜂の巣レーダー的なものが長方形で設置されている。多分、ハッチは閉じない。代わりに凄く大きな背もたれがついている……。なぜか車体後部にエンジンノズルが存在しないため、忖度すれば車体底部に装甲歩兵戦闘車と同様にエンジンノズルが隠れているのかも。塗装はカーキ色。

 

 伸びに伸びたアンテナで前方の戦車軍団に指令を飛ばすのであろうが、ザバイバル閣下――思いっきり他の戦車と共に突撃をかましている。なぜ、無砲塔固定式にしたのかは不明。砲身を増やした理由は、仮に敵が大戦車軍団で上陸してきた場合に、砲門数で敵に拮抗するためと考えられるが……どうでしょう。

 【“ちょっとこれは思いついたけどあんまりよろしくなかった試作車両”を、ザバイバルが気に入ってしまったから乗り回している】と物凄くWW2の薫りを漂わせた説明しかできない。

 

 

 軽く、全長再設定 

 だって、巨大な戦車でも内部は驚くほど狭く、様々な機械が詰まっている。そこに、キャタピラ用以外の推進用のエンジンが引っ付いているのだからどう考えても……。

 さすがにC-2輸送機のCF6-80C2エンジンのような2発で最大140トンを飛ばせるような大型エンジンは必要ないだろう。このエンジンは直径2.7メートル、全長4.2メートル、450キロ。例えば軽めの戦車である10式は全長9メートルちょっとで、44トンほど。故に1/3程度の出力が確保できればいい。

 

 だとすれば、戦車には直径1メートルちょっと、2メートル弱のエンジンを想定してこれを3つ備えるとすれば……全長は原作設定値に全高はプラス1メートルか2メートル程度を上乗せして6メートル。あるいは全高は抑えて、代わりに思いっきり全長を伸ばして14メートルほどにしてしまうか。バランスを考えると全高も8メートル程度としようか。

 

 歩兵戦闘車は普通、戦車に比べて全長90パーセントで重量は60から80パーセント程度に収まっている。まれに重量が拮抗する場合もあるが。ガトランティスの装甲歩兵戦闘車は底部にノズルである為、3メートルかさ上げが必要か。となると全高・全幅8メートルで全長は11メートル程度になるだろう。

 これと同様だとすれば、指揮戦車も同じぐらいの割合で巨大化が必要。

 

 

 

 んな馬鹿な話あるか。

 元々の描写自体が、設定値より何割か大き目に描いてあるのは間違いない為……戦車の高さ数値を想定すると、3メートルちょっと程度か。これなら納得できるが、ノズルをプラスするのはおかしい想定かもしれない。

 であるならば、あのノズルは何か。

 普通にキャタピラ推進用のエンジンを必要に応じて繋いで、使うのだろう。物凄くアヴァンギャルドというか、デンジャーなにおいがする。しかも、多分、接続には多少時間がかかるだろうから……緊急事態に使うというより、歩兵戦闘車のように降下時で使うとか、橋の無い川を飛び越えるとか、撤退する時に使う奥の手のような使い方になるのだろう。地球人の理論に当てはめることもないが、それにしたって必要性に……乏しい気もする。

 

 今回は全長再設定なし、という事でお願いします。

 

 

 ガトランティスの陸上戦術

 ガトランティスの基本戦術は敵よりも強勢の味方部隊の前進、である。これは陸でも宇宙でも同じ。弱くても数が多いから、とか強いから数が少なくても、と言うような話ではない。

 

 降下――敵地占領

 降下はどうやら装甲歩兵戦闘車に頼り切った戦闘になる模様。ナスカが陸戦までド素人で情けない男でなければ。

 装甲歩兵戦闘車は少なくとも同格以下の装甲戦闘車に対しては優位を保て、武装した兵員を6~7名を吐き出せる。しかも主力戦車の半分程度の重さであり、運ぶのにはもってこい。キャタピラで以外に背が高く、恐らく馬力もあるだろう。であれば、当然踏破性も高いといって差し支えないはず。

 

 戦闘プランとしては――第一にデスバテーター隊による地上空爆を敢行。出来ればこの時点で敵要塞を粉砕しておきたい。当然、航空優位は確立しておく。

 第二に、航空優位を背景に戦闘車両を降下。生身で突撃する歩兵を蹂躙し、幾らか機能が残っているであろう要塞ないし陣地に対して接近。兵員を降ろしつつ、砲によって火力氏wんを行う。仮に敵戦車大隊が残存していた場合は再度デスバテーター隊による空爆を行いこれを排除する。

 第三に、要塞ないし陣地に突入。残存の敵兵員を排除、施設全体を制圧する。

 以上、作戦終了。補修、自軍陣地化作業に入る。

 

 野戦――迎撃

 前衛艦隊壊滅ないし撤退の報が入電、戦闘準備に入る。

 第一に航空戦力の発進を行う。敵勢力の規模によってT-2隊の半数ないし全力出撃によって、敵の予備的爆撃を阻止。出来れば揚陸部隊の迎撃も行い、これを撃破する。

 T-2隊の敗北ないし、作戦失敗を受けて第二段階へ移行=緊急的な戦闘車両の集結の開始。敵の陣地構築の前に襲撃を掛ける。敵の上陸部隊の勢力如何によっては、出撃させる戦車数を調整。敵歩兵に対しては出来るだけ近づかないか、徹底して砲撃を行う。

 第三に、第二段階でも敵戦力排除に成功しなかった場合――残存兵力の全てを一か所に投入し、敵勢力を叩き潰す。各個撃破が出来れば一番だが、味方戦車隊は常に全軍集結で一体として活動する。

 段階を踏んでの迎撃を行う事で、敵戦力を徹底的に排除粉砕。ダメな場合は遅滞戦術に転換して味方の援軍を待つ。特に惑星に配備された前衛艦隊が奇襲的に背後に回れるように地上、空中、宇宙空間へ徹底的に戦う。

 

 これでダメなら、もう無理。

 

 

  恐らく、上記のような戦闘プランが予想される。正直、ド素人の妄想でしかない上に元々陸戦は門外漢なので、おかしな点が多数あろうがご容赦頂きたい。

 登場した戦闘車両はデザインは別として、意外と常識的な数値や兵装をしていることが言えるだろう。ただ、連装砲など――速射や投射量が求められる戦争を多数経験しているという前提でなければ、成立しない面が多い。まあ、何とでも説明は付けられるが、しかし劇中を見ての通り、結構弱点が多い事も確か。とはいえ――

 SF作品の登場車両としては、丁度いいラインに仕上がったと言えるだろう。