旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

防衛会議――組織腐敗――

 


 防衛会議は地球防衛軍の最高意思決定機関であるとみられる重要な会議である。しかし、その権限や立ち位置はあまり明確ではない。
 唯一はっきりしているのは、彼らが地球の敵であるという事だけだ。

 


 

 防衛会議・その様相
 防衛会議は複数人の委員で構成される。描写から推測する他ないが、政治家、学者、軍人らからなる会議であることはほぼ確定的軍人も一つの部署だけではなく、複数部署から集められたらしい。通常は高官が出席するとしても長官レベルがせいぜいだが、重要度が増したりあるいは定例会だと首相や大統領が出席することもあり得る模様。


 議論する話題は何かといえば当然地球の防衛に関わること。
 例えば、テレサのメッセージのような意図を持った不明存在からの通信。あるいは白色彗星のような不明天体現象。加えて人事、艦隊配置。これらを議題に取り上げる。

 

 

 こうして書いてみるとご立派だが、実情は散々たるものガミラス戦役の翌年とは思えない、人類滅亡の瀬戸際まで落っこちた惑星の高官とは思えない危機意識の無さを露呈。はっきり言ってお話にならなかった。

 

 名言①「彗星の一つや二つ簡単に葬り去ってご覧に入れましょう」
 寝言は寝てからいえ6600キロの巨大彗星だし、そもそも彗星でない事は観測から明らか。こんな巨大中性子星なんざあってたまるか。明らかにどえらい影響を周囲に及ぼすに決まっているのに調査もしないなんて頭が悪すぎる。まして、地球に接近するらしいというのが判っている、これどう考えても即刻対処すべき事案だ

 物凄い危険な出来事が目の前で進行中なのに、この余裕ぶっこき方は最早危機意識の欠如どころの話ではない。

 

 名言②「不確かな情報で政府が動くわけにはいかない」
 これは一理ある。が、調査をしなくていい理由にはならない。

 UFOはいないと明言しているアメリカ軍だが、しかし調査だけはちゃんとしている。この手合いを全く考慮しないお花畑は世界中探しても日本ぐらいなものである。馬鹿な話、と思っても一応調べるのが危機管理として当たり前なのだ。

 バカみたいな巨大中性子星、それも地球に接近してきているのだ。これを調査しないのは愚か所の話ではない。膨大な予算を立てての調査などしなかったとしても、言い出しっぺのヤマトを調査船として送り出してやればいい。彼らも自分で言ったのだが、反対派しずらいだろう。

 死火山だと思っていたのが休火山だった、というのが判明すれば普通は即刻調査すべきだし、そうするのが政府の仕事。それと同じ。

 この発言は怠慢といわざるを得ない。

 

 名言③「君はオブザーバーだ! 防衛会議を批判する権利はない!!」
 笑止。まるで全然お話にならない

 確かに、オブザーバーは議決権はない。正式な委員ではないのだから、参加者ではないのだからそれ自体は、問題ない。だが、意見表明はできる。オブザーバーは顧問という言い方もあるし準資格参加者とも呼ばれたりするが、肩書などどうでもいい。意見表明は可能というところが大きいのだ。語源的に言えば、≪監視する≫だ。

 確かに古代の挑発的言動は慎むべきだったし、追及されても仕方がない。だが、批判する権利がないとは何事か。
 完全に保証された、そもそも批判はどんなものにもあってしかるべき正常な意見。

 それを封殺――怒鳴って封殺し様とは愚の骨頂。オブザーバーの意味を分かっていない発言であるし、それを制止できない他の防衛会議メンバーも同罪である。同僚なんだから。
 少なくとも発言したあのおっさんは、パワハラと議事妨害と背任行為で元来懲戒免職ものだ。

 

 

 そして懲罰人事(さらばのみ)だ。あぁ、素晴らしき防衛会議

 

 戦艦ヤマト:記念艦として保存
 古代進:明日15時木星ガニメデ基地出向
 島大介:同14時火星基地出向

 

 防衛会議から何日たったかは不明。だが、問題は辞令が出てからほんの数時間しか出向までの期限がない事だ

 普通、企業ならば早くて一か月から遅くて2週間程度前。大体、内示があって初めて次の段階である辞令の発令という事になる。内示が無ければ、結構違法と言って差し支えない展開となる。


 自衛隊だって勤務年数という慣例と内示の二段階を踏んでから辞令が下るのだ。それに、辞令の内容がアレな場合は申し立てられる。今の自衛隊だってこれぐらいできるのが、2201年の地球防衛軍にこれぐらいのコンプライアンスが備わっていないはずはない申し立てできないなんてあってたまるか。

 

 しかも、この違法辞令がさらばにおける防衛会議最後の仕事と言えるのだから情けない。あとは月面への全艦隊集結承認程度で、防衛会議の有無に依らず恐らく普通に実行されたであろう作戦。

 こいつら、本当に何してんだよ。

 

 

 幸いかどうかは不明だが、ヤマト2だとこの辺りは省かれている。まあ、古代が頑張ったならば、どっちみち同じ事になったと考えて差し支えないだろうが。

 

 ともかく以てこの違法集団・防衛会議。こんなろくでもない状況がそう長く続くはずもない。しかも、さらばのそれよりもっと情けない

 
 ガトランティスの攻撃を受けて第11番惑星守備隊は大損害を負ってヤマトに収容、基地はほとんど放棄状態となった。
 つまるところ、古代たちが正しかった。もうこの時点で防衛会議、息してない。第7話にて、3個宇宙艦隊の派遣に即座に同意しているが、我らガトランティスの力にビビったのかあるいは一連の不作為をばらすと長官に脅されたのか、首相がさすがに「お前ら馬鹿じゃねぇのか?」と叱責されたのか。ともかくとしてさっさと艦隊配置の転換を承認した。馬鹿じゃねぇの?

 

 更に第18話、土方総司令の無茶な艦隊配置転換。長官も土方総司令に抗えなかったが、しかし長官の場合は放任に近い――彼ならなんとかしてくれるだろう的な意識で黙認したと考えられる。
 だが、あの防衛会議はすんなり受け入れられるかな?
 実際には受け入れざるを得なかった

 長官にもヤマトにも弱みを握られ、下手すら総司令にも弱みを握られている。大体、総司令の戦闘方針も別に愚策ではないから否定しようがない。防衛会議が挽回できるタイミングはとうの昔に失われ、もう唯々諾々と彼らの要求を受け入れるしかない

 情けないったらありゃしない。

 


 以降の防衛会議の活動など、誰も知らない。

 新たなる旅立ちでもヤマトよ永遠にでも影も形もなく……防衛軍の機構の一つとして完全に埋没してしまった。

 あくまでひたすら自己保身に努めた、実に腐った組織

 こういう組織って案外行こ残ったりするのが現実だから、確かに自滅してフェードアウトしたのはフィクションのご都合主義と言えるかも(超☆皮☆肉)