旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

波動砲――地球最強の決戦兵器――

 


 波動砲はヤマトの必殺兵器であると同時に、地球軍の汎用決戦兵器である。汎用決戦兵器って意味不明だが、しかしそうなのだ。
 ところがこの波動砲というものが全くわからない。原理がざっくりしか説明されていないというのも痛い。どうにか考察したいと思う。

 

 

 波動砲とは波動エンジンが生じさせるエネルギーを圧縮し、艦前方に投射する兵器である。その原理は詳細は語られず、同人であるとかリメイク作とかで詳細考察されて――しかし、決定的な回答は得られていない。

 投射された物質はそれが何であれ5次元的に畳みこまれてバラバラにされる、とかホーキング放射であるとか、さまざま。

 

 

 

 波動砲、その描写。その能力
 結局原理は全く不明タキオン粒子が関係している他は説明がざっくり過ぎて用をなさない。そのため描写から想像する他ない。

 

 射程は判然としない。効果範囲も判然としない。後に登場する拡散波動砲とは異なり、最大射程ないし有効射程限の限界値が示されていないためである。ヤマトが波動砲発射を断念したのは基本的にエネルギー充填のタイミングが上手くいかなかったか、対象に対しての発射を躊躇ったかかのいづれかの場合。つまり、射程圏外だからという話ではないのだ。

 これでは描写から射程や効果範囲を推測することは不可能

 元々の設定も結構適当で、もっと言えばシーズンや作品ごとにその能力が改善されたり予告なしに仕様が変更されていたりと商品パッケージのような――これでは想定のしようがない……

 


 発射シークエンスはまず薬室にエネルギーを充填、これが120パーセントに達した時に強制注入器を作動し、砲口から発射する。途中途中にあれやこれやの描写が入るが、それは射撃に関してのもので波動砲の性質であるとかの解明につながるものではないため説明を省く。

 発射された波動砲は一旦停止に近い状態となって砲口周辺に留まる。しかる後に猛烈な速さで直進し敵艦隊に迫る。そして着弾と共にゆっくりと周囲に広がりながら光芒の中に全てを飲み込む。相手が破滅ミサイルであろうが、無限β砲であろうが問答無用で光芒の中への見込み、木っ端みじんにとろかしてゆく。

  多分、ベースは荷電タキオン粒子砲という事なのだろう

 

 

 タキオン粒子は仮想上の物質であるが、実在するかどうかは現在不明。無い方に判定が傾きつつあるが、存在する余地はあるにはある。そういう粒子。性質は通常の物質と反対で、力を加えられると停止し、開放するとそれに比例して高速運動を始める。つまるところ、極めて質量や結合エネルギーの小さい粒子。
 力を喪失すると速く運動するという事は、長距離通信等に利用する事が可能で、それが期待されている。基本的には物理法則の説明をする為の、理論の隙間を埋める事を期待されている粒子であり、本気で利用を考えている人はかなり少なめ。

 

 


 仮にこれに荷電した場合。ほぼ確実に静止状態となるだろう。高荷電状態であれば、動きは極めてゆっくりとなる――これは意外にも描写に合致するだろう。単なる威力の演出でしかないタメの演出が功を奏した形である。
 直進する段階では当然ながらエネルギーを放出するため、速くなるし、反対に敵艦隊に直撃したタイミングでは敵艦隊の崩壊に伴うエネルギーがタキオン粒子に伝播するであろうから、またゆっくりになる。これも演出なのだろうが、怪我の功名。ともかくとして、描写と矛盾はない。文系から見れば

 

 タキオン粒子に荷電する方法は普通の物質に対して荷電するのと同じ方法だろう。イオン=帯電状態の物質に触れさせて荷電させる、普通に電圧をかける――なんでもいい。とにかく、高荷電状態を創り出せればいい。磁場の中に閉じ込めてガンガン荷電すればいい。
 薬室は恐らく粒子加速器のような役割を持つのだろう。この中であるいはサイクロンのような形で粒子がぐるぐる加速する。そこへ棒っ切れ強制注入器を差し込むことで磁場自体を収束し更なる加速を期待。砲口を開放することで、磁場の弱いこの部分に荷電粒子が殺到しまるで水鉄砲の様に飛び出す。


 波動砲が収束しているのは荷電粒子自体が猛烈な凝集を起こしたとこでそれ自体が拘束力を持った磁場ないし重力を創り出し、自ら収束している。あるいは、ライフリングの一本一本内に磁力線を放出する装置があり。遠大な円を描く。その磁力線の中に波動砲が押し込まれているため、直進する。別に両方であっても構わない。

 

 単なる荷電粒子砲だね。


 これだと名称の意味が全く持って不明

 波動理論という架空の理論をベースにしているから、なのだがその理論自体がイマイチ不明というのだから困った話。こういうところがヤマトのちゃんとしたSF作品になり切れないところなんですよね。ガンダムの方はもう少し理論について解説がついているから、それなりに体裁を保っている。なのにヤマトは……。

 現実の技術や理論をもとにこじつけるなら、エネルギー量が発射直後から波のように変化するから。あるいは、粒子はそれ自体が波動の性質を持っているため。ただ、これだとビームや粒子砲の全てが波動砲になってしまう。

 困っちゃったな……。

 

 

 120パーセントへの疑義
 エネルギー充填120パーセントにかんして突っ込みが飛ぶことがあるが、アレはさらっとかわせる。つまり、安全強度の120パーセントではなく、通常の射撃における波動砲のエネルギー充填率に比べて20パーセント多いという事。戦闘機でも緊急事態等においてアフターバーナーを使って加速する事があるだろう、あれと同じ。エンジンの元来の定格に比べて幾らか増して出力を出すことは別に珍しい事でもなんでもない

 

 ヤマトに関して言えば、波動エンジン始動と波動砲発射準備においてアフターバーナーを使用するが、そこから考えてエンジン出力の定格は巡航速度あるいは戦闘時における予想出力とし、最大は伝導管が損傷しない程度のつまり――光速の99パーセントぐらい。波動砲発射においてはその最大=通常の戦闘より20パーセント増しの出力。とするのは十分自然と言えるのではないか。


 ゆえに、安全強度に対する120パーセントではなく、巡航出力に対する120パーセントである。と想定できるだろう

 

 

 


 これで大体波動砲についての疑問であるとかの回答に関して一定のめどがついたと思われる。

 


 

  原理の推測

 御大や初期製作陣の発言からすると、投射された物質はそれが何であれ5次元的に畳みこまれてバラバラにされる――

 

 次元とは簡単なようで実は説明が非常に難しい

 点の存在でしかく、広がりの無い一次元。点と点を以てその広がりの範囲を示した二次元。縦・横・高さ(奥行き)で点の位置を示す3次元。3要素全てに交わる1要素を加えた4次元。

 他方、非ユークリッド空間では時間を加えることで次元は一個ずつ上がる。時間の性質も一つとは限らず、逆行するものとかを加えれば二つ三つ次元を上げることが可能。

 マイナスの位置であるとかエネルギーであるとか、3点の性格を確定する要素であるとか――まあ、何とか色々理由を付けて点を作り上げるのは出来るだろう。

 意味わかんないけど。

 

 5次元図形は辺は隣接し得る全ての辺に接して、その辺を通じて全ての頂点は全体の全ての頂点に接続し得る。しかもこの図形はどの辺も切断することなく内部と外部を反転し得る。と、意味わかんない事が物凄く頻出するのが次元

 

 口の悪い辛口な方からすれば上記の説明は徹底的に間違ってるのでしょうが、知ったこっちゃねえ。表現が出来るだけ正確になる様に前提条件明記してるんだからちょっとは手加減してよ。

 言っちゃ悪いけど、アカデミックな世界は言葉遊びで血みどろの取っ組み合いを平気で繰り広げていたりする。理系文系問わずに。霞が関の官僚みたい。

 時間結晶はSF的なものではなく実際には“時間性”結晶だし、量子を使ったコンピュータは少なくないが所謂量子コンピュータとは別物。とか、言葉のあやで色々印象が変わるものは多数存在する。

 まあ、みんな信念があるから妥協できないんだよね。

 

 

 わからない、わからないだけではつまらない。

 そこで当ブログは松本の御大の発言である波動砲は宇宙一つと同じエネルギーという発言に注目し、それっぽい理論をでっち上げたいと思う。

 

 私が推奨するのは波動砲=情報奔流であるという事。
 エネルギー注入開始時点のヤマトの周囲の宇宙を観測してこれをタキオン粒子を用いて出力する。つまり、タキオン粒子を用いて振幅によって数学的に、演算的に宇宙空間を薬室内に展開するのである。ある意味宇宙そのものをぶつけるのだから、一種ビックバン的爆発を敵艦隊に与えることが可能。

 波動砲の発射シークエンスについて長短がある理由も、本気の波動砲は情報奔流砲で、サクッとぶっ放したいときは単なるタキオン粒子砲として使うため、威力が全く異なる。と説明できる。波動砲が宇宙そのもので、一つの空間として成立しているならば、途中でばらけることもないだろう。


 結局どんな理論使ったってアレはうまく説明できないのだが、どっかで妥協しなければならないのだがまあ、それなりの説明を試みる価値はあるだろう。
 後は理系の人、頑張って。

 

 

 

 劇中の活躍

 発射撃は第一作の第5話においてガミラスが占領ないし移設した木星浮遊大陸に対して行われたものである。ここから波動砲の歴史が始まる。

 これによりオーストラリア大陸ほどある木星浮遊大陸は完全に崩壊した。同作最終使用はガミラス本星の海底火山脈に対しての使用であり、これによりガミラスの海底火山脈が噴火し、岩盤内海及び地表面に地殻変動が発生しガミラス星は居住に適さなくなった。

 さらば及びヤマト2においての初射撃は対ゴーランド艦隊戦。どちらも破滅ミサイルを押し流す形で同艦隊を完全に粉砕した。さらばにおける最終使用は対白色彗星迎撃戦。デスラー総統にから伝えられた白色彗星の弱点である中心核に対して射撃を敢行、これによりガス体を除去する事に成功した。ヤマト2においての最終射撃は第19話の第11番惑星兵站補給基地に対する射撃で、迎撃に発進した第25戦闘艦隊ごと粉砕した。

 

 新たなる旅立ちにおいては使用できず波動砲使用のタイミングは映画最終局面の対グロデーズ戦とデザリアム内部戦の2回に留まる。

 グロデーズ戦においては迎撃に発進した5隻に対して発射、10門の無限β砲に競り勝ちあまつさえデザリアムの艤装ごと、とろかした。

 デザリアム内部における発射は一時サーシャの残留によって躊躇されたものの、聖総統――色々あって古代怒りの新波動砲発射。デザリアムを内部から破壊し、挙句に二重銀河を木っ端みじんにした。

 

 ヤマトⅢにおいては第9話のバーナード星に建設されたガルマン・ガミラスの前線基地に対する発射であり、これは惑星破壊プロトンミサイルごと同基地を粉砕した。最終発射は第17話のどっかの裏切り者のバカのせいで危機にさらされたガルマン・ガミラス本星を守るべく、ボラー連邦の惑星破壊プロトンミサイル粉砕の為に発射した。

 

 旧作シリーズ最後の作品である完結編においては、初発射はルガールJr艦隊の猛攻を一掃すべく発射。同艦隊を小惑星ごと木っ端みじんに粉砕した。正確にはこれが同作の敵に対して実際に発射された最後の事例。

 同作最終発射にしてシリーズ最後の発射は、ヤマト自沈の為に行われたものである。実際の発射は行われず、内部爆破に用いられた。これによりアクエリアスから延びる水柱を断ち切り、水没の危機から地球を救った。


 

 

 結局、波動砲も波動エンジンもなんだかよくわからない。理系の人ならそれなりに使える理論をあてはめる事も出来るのだろう、今は仮説の理論をあてはめられるはずだ。ただ……文系の私には正直お手上げ状態である。
 誰か、頑張って。

 

 ただ、一つ確かな事は、ヤマトにとって波動砲は欠かせない兵器である。また、これがヤマトという作品自体においても非常に大きなウェイトを占める。

 波動砲なしにヤマトを語ることはできないのである