旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

リメイクアニメ・ガトランティス――戦闘内容への疑義――

 

 リメイクアニメにおける旧作のご都合主義排除の成否に関して、それはファンが行うのが基本だろう。あんまり乗り気でない方のほうが多そうだが(超☆皮☆肉)。


 とはいえ、あんまりにもあんまりな内容に関しては取り上げざるを得ない。

 ある意味、交通違反に引っかかったドライバーが目の前で速度違反した車を白バイ隊員に告げ口するような感覚ではあるが――ともあれ指摘しないと腹の虫がおさまらないし、もしリメイク作のリメイクが行われた時にうまく作用してくれれば御の字。
 というねじ曲がった動機で考察を行う。
 対象は2199と2202のガトランティスが行った戦闘全般。ただし、レプタポーダの暴動は除く。

 

 

 

 2199、小マゼラン銀河外縁部
 2199の第11話。無礼にもドメルがガトランティスマーチをかき鳴らしながら戦闘を開始したあのシーンである。

 

 第6空間機甲師団電撃戦を敢行。

 早々にミサイルをぶっ放しガトランティス艦隊の前衛に穴をあけ、そこにメルトリア級が群れを成して突撃した。この圧迫に耐え切れず艦隊は終始劣勢に回った。

 結果艦隊は全滅し、残ったナスカ級も艦載機を一機飛ばして指揮官辺りを逃がすのが精いっぱいとなり、爆沈。
 これにより同地域におけるガトランティスの橋頭保は完全に喪失し影響力を失った

 


 ガミラス側の戦術は理解できるし、当然の戦闘を行ったといえるだろう

 小言を言うなら、巡洋戦艦まで突撃したのが解せない。どうやら脚本か監督は陸上兵器にご執心なのか、巡洋戦艦の意味とかなり立ちをご存じないのかもしれないが……あるいは、常識的に考えればガミラス巡洋戦艦は地球のその意味とは異なるのだろう。ともかく解せない――それはそれとして
 長射程のミサイルを飽和的にお見舞いし、形成した突破口に快速打撃艦が突入。敵艦隊の迎撃態勢が整う前に徹底した砲撃を加えてこれを沈黙させる。いざという時はドメラーズ3世以下の本隊が前進し、すでに突入しているメルトリア以下の戦闘部隊の離脱支援か包囲殲滅を行う。

 

 2199でも艦載機の運用思想が特殊で原作と同様のガミラスにおいて、艦載機を用いない戦闘という意味ではベストな流れだろう。7割殲滅はご都合主義な感も否めないが、時間的スパンの違いを無視すればそういう戦闘もあるからまあ、目くじらを立てるほどではない。
 より詳しい批評については、これは私よりもっと本気のミリオタに任せたい。

 

 

 問題はガトランティス。総監督が、お好みでなかったらしいガトランティス。いくら何でもあんまりな戦術だった。


 まず、艦載機はどこ行った。デスバテーターはどこ行った。
 原作の半分以下の大きさに設定された挙句、原作で見せた――巨大な機体に起因するであろう、濃密な弾幕に対する回避性能の低さだけを継承した割と駄作機に格下げされてしまったデスバテーター。

 とはいえ、艦よりかは足が速いし、それなりに爆装も出来ている。戦闘に投入して味方が不利になる可能性は低い。

 にもかかわらず戦闘に投入しなかった


 
 可能性はいくつかあろう。製作陣が全く思い入れをなくドメルの強さを見せる為だけだったので、全く作戦を考えずに演出マターで描いた
 はい、潜宙艦に対するがっかり発言が尾を引いております。要は私怨です

 

 或いは、艦載機をすでに喪失していた。幾度か戦闘を重ねていたことがセリフからも推測できるため、その間にほとんどの機体を喪失してしまった。
 だったら前線に空母を出す必要があるのか不明だが。ラスコーにでも司令部を移せばいいのに。または、直掩機として艦隊上方に揚げていた為、これによって対艦戦闘に参加できなかった――ガミラスがあまり艦載機戦を行わない事を考えると、妥当とは言い難い。ドメルだからぎりぎり可能性のある程度。

 


 仮に艦載機があったならば、ガトランティス艦隊はあんな敗北はしなかっただろう。艦載機にしこたま積んだ爆装で迎撃するか、或いはダガーム艦隊が見せた人でなし戦術――例えば体当たりなんかをして迎撃してくれればそれだけで十分。


 事前に発進させてドメル艦隊を攻撃した可能性もあるが、だとしても最大で40機がせいぜいだろうから、第6空間機甲師団の規模を考えると冷やかし程度にしかならないだろう。その予測が付くならば、むしろ繰り出さずに手近においておく方が敵艦隊の攻撃に対して柔軟に対応できる。
 文系の私でもその程度の事が推測できるし、別に逃げ出すわけでもないのだからガトランティス的にも別に取り得る戦術だろう。それをしなかったのはひとえに疑問

 

 

 ミサイル迎撃失敗からの一連の動きもかなりご都合主義的
 迎撃失敗したことが問題なのではないそのまま陣形を崩して敵に圧倒された事が問題なのである


 敵が突っ込んでくるとするならば、快速のクリピテラか面倒なケルカピア。重量級のデストリアか、両方の特質をもつメルトリア……仮に軽装であってもガミラス電撃戦からすれば火力の高いメルトリアが真っ先に突っ込んでくるのは予想が付く。
 別に予想がつかなくても、こちらはどっしり構えて迎撃すればいいだけ。

 

 つまり、陣形前面に穴が開いたのだがらこれをすぐに埋めるという事。埋めないならば、それなりに戦術が必要。


 例えばククルカンだけの戦隊やラスコーだけの戦隊を前面に出す。普通に考えればそこそこ早く、打撃力の高いラスコーの方が利用価値は高いだろう。それはそれとして、ラスコーで編成された戦隊であればかなり火力は高い。実際、ガミラスの4つ目小僧を一隻落伍させた。
 軽量級の戦闘艦相手なら当然、ラスコーで十分仕留められる。重量級が相手ならばむしろ、ラスコーでなければ仕留められる可能性が低い。だからラスコーで前方を固めて迎撃するのが当然というか、ベストだった。

 

 ミサイル迎撃失敗後もそれなりの数の艦艇がナスカ級の周りに残存していた。

 ほぼ確実に突撃を受けるのだから、艦隊運動としてはナスカ級と幾隻かのククルカンが下がって反対にラスコーは集結して前進。その脇を固める形で残存のククルカンを集中させて2艦種でガミラス艦隊を迎撃。幸い前方に対する打撃力は割合ガトランティス側の方が上。これを生かさないのは利敵行為だ。何を置いても、味方が全速で艦隊運動を行って戦闘のイニシアチブを握る必要が有る。

 味方が優位になる軸線で戦闘を行うように動くのだ

 だが、それが出来ていなかった。
 当然のことがまるっきりできていなかったし、それを行う気もなかったような艦隊運動。正直、ガミラスに嬉々として潰されていた。そういうレベルの戦闘だった

 


 仮に艦載機がないのなら、ナスカ級は爆破するなりして放棄すべきで、旗艦をラスコーに移すべきだった。ナスカ級が旗艦でないなら囮として使うべきだったのに、それすらしなかった。
 迎撃するのに明らかに手間取った挙句、輪形陣も中途半端で彼我の砲力が拮抗してしまう軸線で戦闘を続行し、避けるような艦隊運動を一切行わなかった。
 全部はっきり言ってご都合主義としか言えない

 無論、本来はもっと数が多かったかもしれない。しかし、そうであるならばこそ、強敵に対してもっと慎重な戦闘を行ってしかるべき。味方艦隊がどんどん撃破される中であの無防備というか、お人好しな迎撃では当然大損害を負ってしかるべき。

 

 

 そもそも論として、あの艦隊編成自体が対艦隊戦において意味不明に近い
 ナスカ艦隊に近い陣容ではあるが、しかしあちらは2隻ほどの中型高速空母を要していた可能性があるというか、シーンとして存在する。ともかくとして、ナスカ艦隊の役割は基本的には強硬ないし威力偵察を行い、命令があれば橋頭保建設を開始。接近する敵艦隊を打ち払う。これである。そのための陣容であった。

 要は、2199のガトランティス艦隊は数だけ見れば多いが、実際の戦闘力はナスカ艦隊以下の陣容という事なのだ。大戦艦もないし、空母は一隻だけ。しかもデスバテーターも大した攻撃力になっていない。勢力圏拡大を行うにはあまりに数が少なく、単なる大帝の気まぐれで艦隊を率いていたダガームと同程度の陣容。マゼラン雲への攻勢も単なる大帝の気まぐれであれば説明もつくが、そうでない場合はあまりに負けるべくして負けた陣容。ご都合主義。
 橋頭保の建設が出来たのか、すでに建設したが喪失したのか不明だが、結局小マゼランへの進出は取りやめざるを得なくなった。

 

 何で出したんだろうね。

 

 

 

 2199星巡る方舟、シャンブロウ周辺域

 ここでガトランティスは初めてヤマトと戦闘を行った。


 ダガームに関しては……艦隊全体に命令を出す前に旗艦だけが単独行動をするという意味不明な行動を開始するという、救いようがないヤツシャンブロウを背にして攻撃を行いたかったのだろうが、そもそもシャンブロウを背にした敵艦隊に直角に攻撃を仕掛けたのが間違いだったし、頭が悪い。

 火焔直撃砲も当たらないなら当たらないなりに、敵を圧迫して味方艦隊の突撃を容易にするように、或いは味方艦隊に敵艦隊を圧迫させて当たらざるを得ない状況を創り出させればよかった。味方の艦載機数は明らかに数が少ないのだから先制的に敵空母を狙い撃ちすればよかった。

 馬鹿とハサミは使いよう。


 パラカスに関しても、艦としての打撃力がかなり高いナスカ級を戦闘に参加させず引き揚げようとしたのも職務放棄とか利敵行為に近い。側面から奇襲できる位置にいたのに、しかも大して隠れたり敵の攻撃を避けられるような円環の下にいるとかの行動をとっていなかった。
 漢らしい雰囲気を醸し出していたが、ちょっと残念な戦いぶり


 
 一通り、負けようとしているというほかない。

 

 

 まあ、ヤマトもヤマトでデータを早期に共有していればニルバレスの撃沈も防げたから、あの人たちもあの人たちで、どうなんだろうね。

 バンデベルに至っては射程圏外だってんのに「蛮族どもめ! 反撃だ!」とか言って足を止めて砲撃するとは頭悪いとか言うレベルの話ではない。

 つーか、ゼーリック閣下の亡骸はどうした。積みっぱか。

 


 小説の方はもう少しみんな頭を使った戦いをしたらしいが。それはそれ。問題にしているのは映画の話である。

 

 

 

 

 

 2202愛の戦士たち
 2202の方は全般的に何をしているのか、敵味方双方ともに変な戦い方をしている……と言わざるを得ない。

 

 
 第11番惑星の占領どうのこうのの話はまあ、それはそれとして(ぶっちゃけると印象があんまりない)
 問題はレギオネル・カノーネ。あれ、あれだけの戦闘艦を容易出来るなら、普通に地球にぶつけた方が絶対安上がり

 結果論ではあるが、2万隻のバルゼー艦隊に対して結構苦戦していた地球艦隊だ。メーザー艦隊が直接地球を攻撃していれば、あの時点ではD級もそれほど数はなかったのだから十分占領できた。レギオネル・カノーネが完成するには概算で250万隻必要であるとの話らしかったが、それだけの数を自然落下させるだけで地球はてんてこ舞いだし、全てを迎撃し得たとしても地表面に破片が落下する以上、大惨事。


 大帝の気まぐれでレギオネル・カノーネを用いた――とするのが最も妥当だが、それってどうなんだよと。地球を危険な存在として認識しているのならば、最も確実な方法で潰すべきだが……。まあ、終盤でゼムリアをレギオネル・カノーネで粉砕しているから、あの局面であの数をどぶに捨てられるのだから、気まぐれにぶっ放すのもご都合主義だが、あり得なくないか。
 どっちにしろ、地球を本気で潰したかったのか大いに疑問。何でレギオネル・カノーネを用いたのかも疑問。

 小説なら説明しているんだろうが、話題にしているのは映像作品なので除外。 

 

 

 別にゴーランドはしゃーない

 情報が間違っていたし、逆神タイプ・ズォーダーに踊らされた面がアイツ本当に余計な亊しくさって。

 ただ、あれだけの艦を浪費するガトランティスが、なぜにザバイバルに無人戦車を持たせたのかは大いに不明。人間の数が足りなくなった以外にあんまり採用する理由がない。人間が出荷されるのがガトランティスなのだから、死体だって使いまくるのだから、大いに人間を配備すればいいのに。

 結局メダル―サ級を戦車にしてしまう所がある意味、前作の総監督への嫌がらせと深読みできなくもない。

 

 


 バルゼー艦隊も結局何がしたかったのか判然としない。
 わざわざ空母を敵艦隊との砲戦距離近辺にワープアウトさせる――自殺行為だろう。実際、ナスカ級は見事に地球側艦載機の空襲で何もしないままに沈んだ。艦載機でなくとも、あの4隻は砲撃戦で沈んだだろう。


 直掩をさせたかったのなら、別に真後ろにワープアウトする必要はない。敵の攻撃をしたしたかったのなら――散らす意味がないだろう。エンケラドゥス守備隊に対して打撃力は明らかに優越しているのだから。波動防壁が突破できないだけの話であって、直掩や空襲の恐れは関係ない。

 

 エンケラドゥス守備隊の行動も理解しがたい。敵旗艦がわざわざ攻撃可能範囲に接近したのにもかかわらず、これに攻撃を加えなかった。自動制御の無人機ならば、新手であるアポカリクスを認識しなかった、という設定も無理やりだが出来なくはない。だが、うっかりパイロットが映っている。あれがロボットでなければ、ナスカ級に攻撃を集中させたのは単なるアホな選択としか言いようがない。


 また、敵旗艦らしい巨大空母がお出ましになったのだから、今度こそ波動砲をバカ撃ちしてでも前進して突撃をかまして敵旗艦を討取り、カラクルムの組織的攻勢を打ち破る。そういう戦術に出ても不思議はないのに、しなかった。
 誰だって考えつくまずまずの戦術を取らず、誰だってその戦術はヤバいだろうという戦術をあえて取り続ける。あのおっさん司令、何考えてんだろ。

 


 まだまだ意味不明な行動は続く。

 


 せっかくエンケラドゥス守備隊を圧倒したのに、バルゼー艦隊はぼーっと上から接近。艦橋基部の巨砲群をバカ撃ちして殲滅すればいいだけの話なのに。それが出来たのに、しなかった。利敵行為である。

 逆に、イーターを全部使ってしまったのは仕方がない。エンケラドゥス守備隊が意外にも頑強な抵抗したのだから、それを粉砕するにはしたかのない選択だったといえる

 

 まぁ、エンケラドゥス守備隊も攻撃が止んだ隙にショックカノンで七面鳥撃ちにしてやればよかったし、D級が2隻もいるんだから味方艦の支援を受けて拡散波動砲を死に物狂いのバカ撃ちしたっておかしくはなかった。

 やっぱりあのおっさん指揮官には向かない……

 

 

 結局、バルゼー艦隊は到着した地球艦隊本隊によって見事にボロボロにされる。
 まあ、彼はよく戦ったよ。地球艦隊に対して砲戦距離まで接近できたのだから

 正直、意味もなく地球艦隊が前進したから棚ぼた的に砲戦距離に近づけたというのが正しいのだろうが

 

 本当にこの人達、何を考えて戦闘していたのか不明。

 どっちも負けようと負けようとした戦闘という言い方が出来てしまうだろう。

 

 


 他にも、空母――それもガイペロンがなぜか雷撃系の艦隊と共にガトランティス艦隊に突っ込んでいたり、普通に瞬間物質移送器でガルントを飛ばしゃいいのに、空母の頭に乗ってけてそのまま砲雷戦に突入とか、全般意味不明

 総力戦の演出としては理解できるが、しかし――いわゆるSFではない。どちらかというとspectacular fantasy。なんならspoil fakeかもしれないが。

 第一作で未亡人製造機扱いされた次元潜航艦も3隻数が増えて4隻になっていたり、大体失敗作に近い上に金くい虫設定だったゼルグートやゲルバデスがやたらに顔を見せたり、色々前作との整合性の無さとかが目立つ


 うっかり読んでしまったインタビュー記事とかを見ると、製作陣の皆さん――割とまじめに考えてこれらしいから、ちょっと言葉に詰まる。

  考察は以上です。2199、2202の擁護記事はご自分のツイッターかブログでどうぞ。