旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ヤマト②――宇宙最恐の戦艦――


 

 

 ヤマトの活躍、その理由。
 軍事作戦的な観点から言えば、ひとえに艦載機にあるだろう。

 

 搭載する戦闘機であるコスモゼロ、ブラックタイガーブラックタイガーの後継機であるマルチロール機・コスモタイガーⅡ。特にベストセラー機であるコスモタイガーⅡは最低4発のミサイルを抱えて敵艦を粉砕し、機銃と格闘性能によって敵機を圧倒する。単座、複座、三座と雷撃専門の合計4種が劇中に登場し、それぞれがヤマトや地球艦隊の強力な攻撃手段として活躍した。

 特にヤマトは純然たる戦艦でありながら、艦内に40機近くの戦闘機を内包する強力な航空戦艦であり、これが確実にヤマトの単艦での任務遂行に寄与した。

 これは述べるまでもない事だったかもしれない

 

 

 クルーもヤマトの能力向上と維持に貢献した事は確実だろう

 クルーの自主性を決して軽んじない歴代艦長、常に航空戦力との組み合わせた戦闘プロットを立てる戦闘班。レーダ―による観測も、位置情報や動きとは別にその脅威評価を人員を分けて観測を行う慎重さ。敵の罠にかかる前に引き返す判断を出来る航空隊。意外にも充実した艦内の食事や娯楽設備、腕は確かか微妙なラインだがそれなりに親身になって相談に乗るカウンセラー的な軍医。何よりも、絶妙なタイミングで新兵器や敵の弱点を見破る真田技師長。

 彼らの一人でも欠けてしまえば、ヤマトは普段の能力を発揮できない。

 あの相原だって、居れば居たなりに役に立ったし、森雪は古代のモチベーションに関わるのだから、せめて生きていてもらわなければならないだろう

 

 巨大戦艦的には114人などあまりに少ない人数である。何せ元になった戦艦大和は竣工時乗員約2500名の圧倒的多数だ。比べ物にならない人数の差である。

 ヤマトの場合、約40人の航空隊員自身が整備員であることを鑑みると、何と70人程度しか艦の運航と戦闘には人員を割けない。純粋に航海班だけを考えると、案外外国航路のタンカーと同じ概ね20人前後という事になるかもしれない。不安というか、補充要因が不安だが……裏を返せばそれだけで十分運航できるという極めて高い省人化に成功した戦闘艦と言える。

 とはいえ――だからこそ、その個々の能力は一級品であり、であるからこそヤマトの航海に貢献できた。

 彼らの存在があったからこそ、ヤマトは戦闘でその命脈を繋げたといえるだろう反対にクルーも人類を救うための旅、そのイスカンダルへの旅を共に過ごしたヤマトであるからこそ死に物狂いにその能力保持につなげた。と説明できる。

 

 

 ヤマト自身の武装。当然これもまた活躍に貢献したといえる。

 強力なショックカノン。それまでの地球艦隊の主砲とは比べ物にはならない。他の勢力の砲撃に比べても遜色ないし、一発当たりの破壊力はむしろヤマトのショックカノンの方が上だろう。

 多数据えられたパルスレーザー砲群も恐ろしいほどの火力を有する。この猛烈な弾幕の前では大抵の敵艦載機が撃墜され、或いはミサイル群も簡単に爆散させてしまう。恐らく、このパルスレーザー砲群が無ければ艦載機があったとしても大きな対空能力は期待できなかっただろう。

 そして何よりの波動砲。小さな宇宙一つ分のエネルギーを有するとされる、強力な戦略級の戦術兵器だ。これを艦首に据え、エンジンのエネルギーを全て前方投射。何度この波動砲にヤマトは救われただろうか。ほとんど必殺に近い兵器。ヤマト最大の火砲であり、後に地球艦隊の標準的な決戦装備となった。

 

 これらの要因が複合的に重なり合い、ヤマトは非常に強力な戦闘力を発揮したのである

 

 

 

 ヤマトの活躍、実際。

 ヤマトの初陣は第一作のガミラス戦役

 古代と島が調子に乗ってガミラス偵察機と戦闘を使用とした際に撃墜され、たまたま大和の残骸の近くに行き着いた。そのシーンが大和(ヤマト)の初登場となる。テレビシリーズではその後、乗り組みを命じられた際に艦尾艦底部が地下都市の天井部から覗いている。これが物凄く大胆なヤマト(大和)初登場である。さらに初戦闘もテレビシリーズと劇場版では異なり――

 テレビシリーズではあの高速空母(十字空母とも)を撃墜すべく、艦の整備員と古代と島と沖田艦長というものスゴイメンバーで補助エンジン始動しショックカノンの初発射を敢行した。これが最初の戦闘である。他方で劇場版では超大型ミサイルに対するショックカノン初発射が初の戦闘である。

 

 以降は初ワープにおいてエンジン部にトラブルが生じる、波動砲が思っていた以上の威力を発揮する等の初期不良に苦しめられるも、ブラックタイガーやヤマトの武装、クルーのタフネスに支えられて航海を続行。冥王星前線基地とその所属艦隊を撃破し、優勢爆弾の脅威から差し当たって地球を守る事に成功した。続くドメル艦隊との決戦、或いはガミラス本星における最終戦争を行い、見事勝利。

 イスカンダルへ寄港しコスモクリーナーを受領。地球へ帰還し、人類を救うことに成功した。なお、テレビシリーズでは銀河系突入後にデスラー総統のリベンジを受けたが、これを真田技師長の発明である空間磁力メッキによって退ける

 

 

 

 映画版においては続くガトランティス戦役において最後になる。他方でテレビシリーズのガトランティス戦役ではテレサの助力によって辛勝を得た。

 

 テレザートに幽閉されていたテレサからのメッセージを受け取った古代進。防衛会議にこのメッセージを奏上するもまともに取り上げてもらえず、反対に懲罰人事を受けることとなった。これが映画版。テレビシリーズでは懲罰人事は免れるものの、防衛会議の体質自体は変わらず――これによりヤマトクルーは発進を強行した。

 テレビシリーズでは第11番惑星が本格的な戦闘開始である他方、劇場版では戦闘に加わる前に戦闘が集結し、艦隊司令であった土方竜を艦長に迎える。劇場版での初作戦はゴーランド艦隊との戦闘であった。複数の戦闘をこなし、テレサより白色彗星に対する大まかな情報を手に入れたヤマトは迎撃のため、太陽系へ帰還の途に就く。

 復活のデスラー総統。劇場版では白色彗星の迎撃前に最終決戦を挑む。他方テレビシリーズでは白色彗星の迎撃を挟んで合計3度ヤマトを攻撃。熾烈な戦いの末、古代と心を通じどちらのパターンにおいても、ヤマトにガトランティスの弱点を教えて“去っていった”。そもそも、どちらのパターンであっても彼の戦闘はヤマトにとって塞翁が馬的なタイミングであったことは間違いない

 

 劇場版ではヤマトが帰還する前に白色彗星の前衛艦隊が太陽系に突入、地球艦隊は総力を挙げてこれを殲滅。続く白色彗星の侵攻に対して拡散波動砲を以て迎え撃ったものの、敗北し壊滅した。他方、テレビシリーズではヤマトは地球艦隊と合流に成功。機動部隊を率いて敵前衛に対し奇襲を敢行、これを撃滅。土方総司令率いる地球艦隊本隊も苦戦しながらも勝利し――直後白色彗星の奇襲を受け、ヤマトは落伍。迎え撃った土方艦隊もガス体を吹き飛ばす健闘を見せるも、敵わず。

 唯一残ったヤマト。

 劇場版では白色彗星のガス体を吹き飛ばした後、現れた都市帝国と戦闘を開始。多くのクルーを失いながら、その機能を停止させた。しかし、ガトランティスの切り札である超巨大戦艦の登場により万事休す。古代と、ヤマトが自己犠牲的に突撃を敢行するに至って、古代の決意を見て取ったテレサがそれに同行、反物質対消滅によって超巨大戦艦を葬った。

 

 テレビシリーズ版においても都市帝国に対して決死的攻撃を敢行、多くのクルーを失いながらも都市帝国を機能停止に追い込んだ。だが、やはり超巨大戦艦の前には手も足も出ず。代わりに、島への愛を示すがごとくテレサが突撃を敢行、劇場版と同じく反物質対消滅により超巨大戦艦を葬った。

 

 

 

 続く暗黒星団帝国戦役では地球艦隊のほとんど唯一の戦闘艦として参戦。

 新たなる旅立ちにおいては、イスカンダル守護に奮戦するデスラー総統を支援するために戦闘に参加。マゼラン方面軍のほとんどの戦力をコスモタイガー隊とその砲力によって殲滅。ゴルバ戦においてはデスラー総統の鬼気迫る様子に出遅れて戦闘のテンポが乱れて不発。イスカンダルの自爆によって、ゴルバは葬られた。

 

 他方で永遠にでは地球を急襲した暗黒星団帝国を排除すべく発進、中間補給基地を破壊し、地球占領を行っていた黒色艦隊の引付にも成功した。敵を粉砕しながら、暗黒星団帝国の本拠地である二重銀河へ到達。本星の守備隊と戦闘を繰り広げ、最終的には破壊。これにより地球の危機を救った。

 

 

 

 ヤマトⅢにおいては再び人類の新天地を求めて探検に出る。そして、いわゆる銀河大戦とか、銀河系大戦というやつに巻き込まれるのだ。

 

 ガルマン・ガミラスのうっかりミスにより惑星破壊プロトンミサイルが太陽に直撃、燃焼異常増進によって太陽系全体が消滅の危機に襲われた。そんな中、ガルマン・ガミラスの太陽系進出とバース星守備艦隊旗艦ラジェンドラの地球圏への偶発的な接近により本格的に戦闘に参加。

 しかし、バース星の宗主国であるボラー連邦の国家戦略に対してもヤマトクルーは疑問を持ち、図らずも敵対関係に突入。他方で、デスラー総統が国家元首たる、地球にとっては味方であるはずのガルマン・ガミラスに対しても、宗教勢力であるシャルバートへの処遇を巡ってヤマトクルーは対立。幸い、総統が漢であったため、武装解除したシャルバート星への攻撃を取りやめたため一定程度関係改善。他方でシャルバート星へ攻撃したボラー連邦とは完全・徹底的に決裂。

 シャルバート星からたまさかに持ち帰ったハイドロコスモジェン砲によって太陽制御を――開始する直前にボラー連邦が太陽系に突入。それを追ってデスラー総統が艦隊を率いて乱入。コスモタイガーと総統の活躍によりボラー艦隊を撃滅、ヤマトは太陽制御に成功し、再び人類は救われた。

 

 

 

 最期の戦いであるディンギル戦役

  同盟的立場であるガルマン・ガミラスに天変地異が発生。その調査のためにヤマトは発進。本星の状況を見てその滅亡を確信、肩を落として帰還する――途中に不明な敵からの攻撃を受けた。この攻撃主体ががディンギルである。

 太陽系へ侵入したディンギル帝国の攻勢はすさまじく、地球艦隊は壊滅。さらにディンギルが回遊を加速させた水惑星アクエリアスの接近により人類滅亡は確実となった。

 

 ヤマトは水惑星アクエリアスのワープを阻止すべく発進、損傷未回復であった。2度、大規模な戦闘を行い、2度目はディンギル自慢のハイパー放射ミサイルへの対策を完了し返り討ちに成功。さらにディンギルの本拠地であった都市衛星ウルクへ強行着陸、攻撃を開始。ほとんどその勢力を打ち破ることに成功したが、アクエリアスのワープ阻止には至らなかった。

 最期、実は生きていたデスラー総統が危機に駆け付け邪魔者ディンギル残存艦隊を撃破。この支援を受けてアクエリアスと地球の中間点へワープし、同地点で自沈しその衝撃波で水柱を断ち切り、地球の水没を阻止。

 これにて全ての航海を終えた

 

 

 ヤマトが活躍できた理由は――当然主人公だからというのが一番だろう。そりゃそうさ、そうだもの。

 ただ、それ以外にも様々な理由を付けることが出来る。ヤマトのスペック、クルー、そしてヤマトが置かれた環境。これら全てが絶妙にかみ合った結果、活躍できた。

 

 歴史上の戦闘艦に照らせば、さすがに国を救った艦は少ないだろうが、しかしその輝かしい経歴に類例はあるだろう。

 例えば伝説的な英国の7代目〈ウォースパイト〉、帝国海軍を勝利に導いた墺装甲艦〈フェルディナント・マックス〉や比類なき勇気を見せた戦列艦カイザー〉。改装に改装を重ね、老体を鞭打って戦い続けた我らが金剛型戦艦。

 あるいは若干活躍に欠けるが伊戦艦〈アンドレア・ドーリア〉や西戦艦〈ペラヨ〉は長い間、同国の旗艦・象徴としての労働をこなした。

 伊勢型戦艦は大戦末期にもかかわらず見事アメリカ艦隊の裏をかき続け、本土と戦地の往復往復に成功した。露戦艦〈スラヴァ〉や〈ツェザレヴィッチ〉の見事な大立ち回りも特筆に値するだろう。

  これらは全て偶然の重ね合わせで歴史に名を残した戦闘艦であり、一方でその偶然による果実を捥ぎ取れるだけの訓練を重ねて来た

 

 偶然というものは現実にあり得るもので、決してご都合主義ではない。

 それが裏付けられるものがあればこそ、その偶然は妥当であり奇跡となる。

 ヤマトの問題は、それを描写に活かせなかった事……