旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ガミラス艦艇・軍の特徴

 


 ガミラス艦の特徴は非常に小型である事。また、概ねにおいてずんぐりした艦体で背が高い。その割にはかなり高速で艦隊運動をする機敏さを持つ。

 

 

 ガミラス、そのデザイン

 デザインはみな生物的で、概ね爬虫類。デストロイヤー系艦艇はみなカメレオン顔だし、空母は無機質に見えた艦橋はみんなイグアナ顔。デスラー艦のみがその系統に乗らないが、これはもともとデスラー総統府の建物として設計されていた為例外中の例外と言えよう。
 グリーンが基調で、ほぼ必ず差し色を入れる、結構気を使ったカラーリングであるといえよう。内装は円形で面取りをされており、キノコ的。例外はやはりデスラー艦のみだが、どことなく蜂の巣的なイメージで無機質と有機物の中間のイメージである。

 

 

 

 艦の能力・砲撃/雷撃
 残念ながら火力はかなり低い。砲力も雷撃力もかなり低い何せ主兵装がフェーザー砲。ショックカノンとわざわざ表記が異なる為、恐らく意味合いが違うのだろう、スタートレックなどでは=高威力ビーム砲であるが――どうやらこれらより格下とみられる。さらに発射口自体が数が少なく、一部の艦艇のみに集中した雷撃能力が付与されているが、大半は砲撃による戦闘が主。この砲撃に関しても、あの無砲身砲が仰角を取った描写がなく、殆ど弾道的な意味でのゼロ距離射撃。


 理由は、残念ながら一つには絞れない。

 砲身の部材自体があまり十分な強度がない為、簡単に膅発事故と言うより砲身が破裂してしまい使い物にならない。という事が考えられる。ガミラス軍自体が精度の高い装甲板を造れない、或いは作る必要がないと判断したとあれば、当然砲身も強いものを造れず、明らかに出力の高いヤマトのショックカノンを防げないし、あまり装甲も打ち破れなかった。と、説明づけられる。
 膅発を起こさせないためには初めから砲身がなければいい。だから無砲身にしてその代わりにかなり発射甲を大きくとり、出力を上げて威力と射程を担保した。ただ、結局艦の機関の出力が大したことない為残念ながら威力が足りなくなり、ヤマトにも暗黒星団帝国にも苦戦する羽目になった。

 

 或いは、換装する手間を惜しんだという可能性もある。もっと言えば、砲身の価値としては当然、荷電や加速装置としてだろうが……何せ粒子では無くビーム(波)にウェイトを置いた砲であるとすれば、発振装置を砲塔内に置けばいいだけで砲身はそもそも必要ない。無い方が安全ともいえる。

 何にせよ砲身というものに大きな価値を見出していなかったといえる

 
 一部長砲身砲があるが、これは砲口を見ればわかる通り、ラムジェットというかスクラムジェット。これを採用する理由としては、自由電子レーザーのような出力を可変できるレーザーを発射するため、特に電磁場の発生が必要だから――とか、そんな感じの理由をでっち上げられる。

 こちらはまあまあ大型艦か、反対に砲自体があまりに小型な場合が多い。これは、必要とされる出力を満たせるエンジンを積んだ艦か、小さすぎて威力を担保出来ない砲の威力を担保するため特別に砲身を付けていると説明できるだろう。

 

 

 

 

 ガミラスの戦術

 ガミラス艦の標準兵装である、この仰角のほとんどとれない無砲身砲塔はかなり出来損ない。だって、そうとしか表現できないもの。
 その代わり、徹底した高機動集団戦を行う。振りかぶった拳の力不足を助走で補うのだ

 

 つまり、敵艦隊よりも出来るだけ多数の艦を用意し、出来るだけ高機動を行い敵艦隊からの攻撃を避けつつ味方の攻撃に敵艦隊を晒す。速度を防御として、数を火力として艦隊を編成。

 

 少なくともガミラス艦はヤマトと異なり、小マゼラン雲で集結したガミラス艦隊が即時白色彗星周辺へ前進することが可能。第一作で示されてようにワープをする場合、宇宙全体でばれてしまう可能性がある為、これを避けるには通常航行する他ないだろうが、少なくともガミラスのマインド的には隠密行動するにはワープを避けるはずで、それにもかかわらず白色彗星に追いついたという事はポテンシャルとしてかなり高速艦ぞろいという事が言える。
 しかもシュルツの率いる冥王星前線基地艦隊が特攻をかました時、彼らは小惑星帯に突っ込んでいったし、特攻をかます前からあの小惑星帯に潜んで悠々と索敵を行っていた。ここから見てもかなり機動性が高いと結論付けられる。
 快速かつ高機動と、とにかく足回りに自信のある艦隊であるといえよう。

 


 ドメルの活躍のおかげでガミラスは航空戦力を重視しているように思えるが実はそうでもない。アレは元々別個の戦域で戦っていた空母を呼び寄せたのである。元から空母を集中運用して投入すればいいのに、高速空母を2度ほど散発的に投入したのみで、第一作ではシリーズを通してまともな航空戦力との戦闘はヤマトは七色星団でしか行っていない
 常識的なシュルツがそうしたのだから、恐らくガミラスでは空母の集中運用は発想としてあってもあまり用いない手段なのだろう。ヤマト2においてもこの傾向は変わらず。

 

 理由の可能性として挙げられるのは、空母の存在理由を艦隊戦力の火力増強ないし、防空と考えていた。と出来るだろう。戦艦を指揮艦やら敵大型艦へのメタに使うのと同じように、限定的な役割を与えられていたという事。

 防空任務ならば当然、そこそこ数があればいい。200機も300機もあっても全部使うわけでは無いだろう。

 反対に火力増強ならば、艦隊の補助戦力としての役割だから――こちらもそこそこの数があればいい。


 雷撃力のないガミラス艦隊の雷撃を補完するならば第3空母のような雷撃専門空母が、火力を補完するならば第2空母のような急降下爆撃が相応しい。

 拠点防衛の為の艦隊であれば、雷撃も爆撃も大して必要ない。自ら基地と連携して行えばいいだけであり、問題は敵艦載機群――つまり、第1空母の飛行隊のような戦闘機群が必要となる。このような限定的な使用であれば、あの戦力分布と構成は妥当性を得られる。
 つまるところ、ガミラスにおいて艦載機は中核戦力や決定打を与える飛び道具ではなく艦隊の能力補完が主な目的と説明づけられる。


 普通の国家にとって、航空戦力は極めて普通の兵器群である。しかしこれをある意味ゲテモノ的扱いと言うか、特殊兵装とするならば、生物兵器の多用傾向も当然と言えるかもしれないだって空母って結構脆弱でしょ? 味方の防空能力に信用が置けないなら集中運用なんて危険すぎるじゃん? だったら常時大量に運用するよりも局地的に使った方が安心安全じゃない?


 ガミラス帝国の特徴的なのは生物兵器の多用であり、第一はガス生命体。第二はバラノドン特攻隊。さらにヤマト2の宇宙蛍。これらはすべて生物兵器であり、元来宇宙に存在しているものの性質を幾らか変更した、ガミラスの科学力を結集したものだ。

 生物由来の兵器は、その性質を解明するまでは一切対策が立てられない。本軍とは半ば独立して活動する、広がる、大いに恐ろしい兵器である。これが最大の特徴であり、利点だ

 味方はその危険性も有用性も弱点も一通り把握しており、知らぬは敵ばかりなり。推測だって難しい。物によっては自律的に動き、敵を襲うのだ。一回こっきりの襲撃なのか、周期的な襲撃なのか、相手が人間ではないからこそ予想が難しい。

 

 

 他の勢力より特殊なのは他にも傾向があり、ドメルのような心理戦を行ったり、宇宙要塞を適宜配置してこれをヤマト迎撃に使ったりと、戦略的に地形を用いる傾向は興味深い。数でねじ伏せる系の艦隊編成を行う割に、力でねじ伏せるよりも頭を使って相手の足を掬う系の戦略を立てるところが非常に特徴的。

 ある意味、リソースが地球と同様に集結に不安でかつ、専制国家である為に決戦兵器を汎用化できない。そのため頭を振り絞る必要性があるのだろう。

 

 

 

  ガミラス最大の特徴

 ガミラス軍の特徴はワイマール共和国やナチス・ドイツのような方面ごとあるいは戦線毎に、それぞれ赴任した指揮官が惑星基地や艦隊を統括して運用する点である。これはシュルツが割にオーバーワーク気味な地球占領の全権を任されていた点、ドメルの挙動から推測できる。史実に置いて艦隊規模が比較的小さい勢力だと、しばしばみられるタイプの運用だ。艦隊が敵大戦力との戦闘に供せないため重点を置かず、戦略拠点の奪取・維持に重点を置いてそのネットワークで面として制海権を得ようという事――だったはず。

 ガミラス艦隊の特徴は快速・高機動だ。小型でそれを実現するには出来るだけ重要も軽くなければならない。これを考えると、紙装甲でも仕方がないだろう。しかも元から強い装甲板を造れない可能性が幾らか残るこの国において、強烈な装甲を求めること自体が無理な話なのかもしれない。
 射程が短い、数が足りない、威力が低い。これらの不足を補うために必ず登場させるビックリメカやビックリ兵器、そして宇宙の地形を戦略的に利用して敵と戦うしせい。リソースが少ないからこそ、そのリソースを常に最大限に利用するのがガミラス軍

 

 しかし、最もガミラス軍に特徴的で最も性格を印象付けるのはこれらの要件ではない。

 

 忠誠心、これこそがガミラスの神髄。
 ガミラス軍最大の特徴は、総統の為ならいくらでも死ねるという忠誠心である。これは専制的でしかも支配力のあったズォーダー大帝でも敵わないところ。ガトランティスは最上級指揮官に関しては忠誠心は高いが、しかし下層まで行き届いているかは不明。

 しかし、ガミラス人は第一シリーズにおいては諦観の面も大きかったが、総統の為に、ガミラスの為にヤマトと最後まで戦い抜いた。ドメルも横やりを入れたのは総統なのだが、結局ゲール君の方に怒りの矛先を向けた。

 さらばにおいても敗戦の原因をつくったのは他ならぬ総統なのだが、しかしタランは最後までついていった

 ヤマト2においては残存艦隊は総統の逮捕に際してガトランティス艦隊と一戦交える覚悟で出撃して、救出に向かったガミラスを失った理由は自分にあると告白した上での事なのに、彼らは冒頭から一年も連絡せずとも、すぐさまはせ参じた。

 

 ぶっちゃけ、ガミラスにとってヤマトを倒す事など大した意味はない。だが、総統には意味のある事。それに命を懸けてガミラス人は付き従ったのである。

 しかし、いつの間にか総統は自分で因縁を消化してヤマトをあきらめてしまった。それでも総統への忠誠心は尽きなかったのである。総統の気が晴れたのなら、それでいいとみんなが納得してしまったらしい。

 納得できるんだ……。

 

 新たなる旅立ちに至ってはガミラス本星――母なるガミラスが爆発してしまったことよりも、総統がひざを折って母星の爆発を嘆いている事の方がガミラス人にとって重大だった

 ひざを折って嘆く総統に対し、心配そうなまなざしを艦橋クルーほぼ全員が向けていたのである。幹部から一般兵まで、皆が総統に視線を注いだのだ。

 挙句、スターシャの為に艦隊を全滅に近いところまで追いやってしまうのだが、結局それでもガルマン・ガミラス建国まで行ってしまう。

 


 総統の為なら常に士気が120パーセント。総統の元へなら白色彗星だろうが重力星雲だろうが、艦のキャパシティを超えてでもついていく。それがガミラス

 

 

 デスラー総統と言うのは不思議な人物で、意外と自分の弱みを平気で人に見せるところがある。しかも大して高官でもない相手に。案外謝罪もする。


 彼が唯一、求心力で負けたといえば――神であるマザー・シャルバートのみ。

 これは、元々ボラー連邦に支配されていたガルマン人の信仰であるらしいから、当然居合わせたガルマン系将軍はハイゲル将軍の射殺に動揺した。

 反対に、元来のガミラス人には大した影響力はなかった様子。あの副官、普通に総統に銃を渡して、使い終わったら普通に受け取っているもの。彼はハイゲル将軍がどうなろうと、気にも留めていなかった。

 

 この徹底した個人崇拝、それも国民が心から自然に心酔している。この総統への忠誠心・高い士気で無理やり艦隊のキャパシティを超えさせている

 これが実はガミラスの最大の弱点であり、同時に唯一に近い強みなのである。