旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ガミラス兵器群 2代目デスラー艦――復活のデスラー砲キャリア――

 

 

 2代目デスラー艦は一応、通称である。完全に大破した初代デスラー艦に代わるデスラー総統の旗艦であり、ガトランティスによって整備されたらしい戦闘艦だ。

 今回はこれを考察してみたい。

 

 

 

 ――データ――

 艦級名・艦名:不明(通称・2代目デスラー

 全長:235メートル
 全幅:74.6メートル
 自重:49,500トン
 武装:艦首デスラー砲1門、大レーザー砲×3門、艦首ミサイル発射管4門、艦首瞬間物質移送器1組、艦央部舷側上・三連装無砲身レーザー砲塔片舷1基、艦首三連装パルスレーザー機関砲片舷2基、同砲艦尾片舷2基、磁力機雷散布装置、アンドロイド兵部隊制御システム


 大帝星ガトランティス謹製の旗艦級戦艦。

 主砲はデスラー砲であり、最も有用な武器は瞬間物質移送器だ。全体的にブルーで、砲口が赤く塗られているのが特徴。基本的に初代デスラー艦と同様だが。これの半分をジオラマよろしくパパイヤの半身にうずめた感じが全体的な印象。
 あんまりガトランティスの技術が用いられている様子はなく、基本的にはガミラスの技術のままなのだろう。初代デスラー艦を改修して補修した可能性も十分にある。

 背景が劇中では語られていないため、仔細は不明

 自分を含めファンは何の疑いもなくデスラー艦だとか2代目デスラー艦だとか呼んでいるが、劇中では特に艦名はついていない。ゲーム版でもあまり洒落た名前ではないらしい。その一方、海外では指揮巡洋艦Spirit Of Gamilon〉などと大分カッコいい艦名がついている模様。

 

 

 全長の妥当性

 実は別に再設定をする必要はないガミラス艦全般が割合に無理な設定も描写も行われていないため、大して再設定する必要がないのだが、この艦は特に能力が限定的である為より必要性がない。

 艦橋の描写も、デスラー艦の艦橋自体が結構大型である為、別に気にするほどではない。つまり、能力を確保する意味での艦全長の再設定は必要ないのだ

 

 仮に拡大する必要が有るとするならば、ヤマトとの大きさの比較。

 ヤマトを妥当な数値に設定し直したとしても、230メートルはそれなりに大型であり――最悪拡大するとしても1.5倍程度か。ヤマト2の第3話でのガミラス艦隊集結において、戦闘空母とほとんど同じ全長であろうことが推測されるため、340メートルほどが妥当だろう。

 大型戦艦などと太田に指摘されたが、どう考えてもヤマトの方が巨大に描かれている。やはり、能力が限定的な戦闘艦であるからこそ、割合に小さい全長で済んでいると言えるのだろう。

 

 

 

 デスラー砲キャリア

 初代デスラー艦と同様に基本はデスラー砲のキャリア艦である。ある意味メダル―ザと同じ軸線の戦闘艦

 確かに大レーザー砲を所有しているが、正直そんな設定あったっけ? というレベルで、劇中では全く影も形もない。艦首のミサイル発射管だって使用はない。小砲塔群もヤマト接近によって砲撃を開始するという事も無く、結果お飾り状態に近い。

 

 結局、正常に運用できたのはデスラー砲と瞬間物質移送器ぐらい。

 まあ、端っからデスラー砲キャリアであるとすれば、別に自衛火器が大して役に立たなくとも大きな問題ではないともいえる。ある意味、順当。

 

 ヤマト2においては、アンドロイド制御に代わりデスラー機雷と磁力性制御システムの運用が見られた。こちらの場合は、そもそもガミラス人によって運用されているため少々話が異なる。ただ、18話で白色彗星から放出されることが有ったので、無人ないしリモートコントロールでの運用が可能なのかもしれない

 

 決戦砲のキャリア艦として、或いは指揮戦闘艦としてはスペック的にはメダル―ザより上である。事実上ほとんど同じ能力を基幹としているが、しかしデスラー艦の方が手数が多く自衛能力が高い。運用に難があったというのが正直なところだが、しかし端っから自衛火器が2門の固定砲台のみのメダル―ザよりかは能力が高いとするのが妥当だろう。

 が、結局のところデスラー砲の能力に頼った性能であり、しかも緊急的に小砲塔を作動させられなかったというのは……艦の制御システムに不備があるとしか言いようがない。

 

 

 劇中の活躍

 さらばとヤマト2では微妙に活躍が異なる。また、各戦闘でのデスラー艦の様子も異なる為、分けて述べる。


 さらばにおいてデスラー艦は終盤に登場。

 デスラー襲撃をバックに登場したガトランティス駆逐艦の主砲斉射によって戦闘開始。デスラー艦は遠方より、ガトランティス駆逐艦を瞬間物質移送器によってヤマト近傍空間に転送、これによってヤマトの全ての戦闘力を封じた。更に総統はその息の根を止める為にデスラー砲を発射――だが小ワープによってかわされてしまう。デスラー艦はこの体当たり突撃を避けることが出来ず、衝突し横っ腹にヤマトの艦首がめり込んでしまった。これにより白兵戦に突入する。

 戦闘自体は比較的デスラー艦側に傾いていたものの、古代と真田さんの活躍により主力兵力であったアンドロイド兵の制御機構が破壊されて以降は完全に逆転。艦橋に突入した古代と総統の対決は……

 さらばにおいて、終始艦自体の能力は失われなかった。失われてはいないが、しかし肝心の総統とタランが失われては……デスラー艦にはどうしようもなかった。


 ヤマト2においては第3話から登場、残存艦隊を取りまとめてテレザート星域へ赴いた。デスラー艦が戦闘に参加したのは第12話。このエピソードにおいてタランがあらかじめ“ちくわ”に仕込んでおいた装置を遠隔作動させる。これによってヤマトを拘束に成功。デスラー砲をお見舞いするも……サーベラーによってタイミングをずらされて不発。デスラー砲不発伝説がある意味確定的になった最初の事例だろう。

 第23話において再度ヤマトと戦闘、急降下爆撃機を瞬間物質移送器で送り込んでヤマトの戦闘力をあらかた削いだ。さらにデスラー機雷を送り込んで波動砲口をふさぎ、反撃の手を止めることに成功した。止めを刺すためにデスラー砲の使用に至るも――さらばと同様に小ワープでかわされ、激突。艦長が何を思ったのかうっかり舵を切り間違えてヤマトの艦首を思いっきり横っ腹で受け止めてしまい、白兵戦に突入することとなった。

 戦闘はタランの活躍により比較的優勢であった者の、機関部の損傷により艦は保てず。結果、古代との対決の後、艦を放棄することとなった。

 

 完結編においてなぜかゲスト出演。

 ガルマン・ガミラス本国も大変な事になっていたが、恐らくめどをつけたのだろう、ヤマトのピンチに大量の駆逐型ミサイル艦と共に駆け付けた。

 最後にはデスラー砲をお見舞いし、邪魔者を粉砕。そしてヤマトの最期を見届けた。

 

 

 機関部の損傷について

 さらばにおいては強固さを見せたが、ヤマト2においては機関部の損傷が発生するなどのもろさも見せた。


 機関部の損傷は船にとってほとんど致命傷に近い

 特に機関科員の損害というのは最悪で、他の科ならなんとか補充や兼務なんかもできなくはない。が、他の科に比べて専門性が高い上に案外危険性の高い機関科が戦死多数というのはマズイ。


 デスラー艦においても同じように機関部に損傷が発生し、機関科員が戦死したとあれば艦の維持は不可能になるだろう。 元来何とかなったはずの損傷でも担当がいなければ悪化した可能性も十分。いくら高度化された機関を持っていたとしても、結局制御するのは人間である。それは今も昔もこれからも基本は変わらないだろう。

 また、デスラー艦の機関に損傷が発生した理由はヤマトとの衝突というわけでは無く、十分な整備が行われておらず2回のデスラー砲発射に加えての衝突という想定以上の負荷がかかった為としても問題はない。

 

 ちゃぶ台返し的発想だが――

 実際は、デスラー艦は機関部に爆発が生じても爆沈はしなかった。そのあとずっと、爆沈しなかった。実は損傷は大したことが無かったんじゃね?

 これは……実はタランの報告が誇張されたものであるという説明の付け方が出来る余地を残す。つまり、タランが総統の御身を案じて、もしかしたら爆発するかもしれない艦に留まるよりも、第一空母へ旗艦を移した方が安全が確保できると判断したという可能性もある。

 また、復讐の鬼となっている総統が勝利条件をしてあげるのは恐らく、ヤマトクルーの殲滅だろう。だが、これは非常に困難でありまた、敗北を悟ったヤマト自身が自爆という選択を取った場合に総統まで巻き込まれてしまう。ヤマトが地球の為に戦い続けるのだからこの選択はあり得ないのだが、しかしあくまでガミラス人の視点から見れば――タランがそう判断しても不思議はないだろう。少なくともこの時点ではガミラスは地球の敵である事には違いない為、ヤマトが自らと引き換えに総統を討取るという可能性も排除できない。

 だから、総統からこの泥沼的戦闘から引き上げる為にわざと誇張した損傷を報告し、誇張した危険の為に脱出退艦を迫った。これも案外妥当な考察ではないだろうか

 

 


 戦闘においてデスラー総統は第一作の時に行った作戦をほぼそのまま返されてしまった。つまり、突撃を敢行して白兵戦に突入する事である。困ったことにこれが古代にひらめきを与え、むしろ総統自身の身を危険にさらすこととなった。総統もこの辺りは決して手抜かりはなく、さらばにおいてはわざわざアンドロイド兵を配備し、ヤマト2においても多数のガミラス軍人を乗り込ませて速やかにヤマト陸戦隊の攻撃に対抗した。

 


 デスラー艦は見た目が非常に目を引く。真っ青な艦体、独特な艦影……何より総統の旗艦である。しかし、ほとんど活躍らしい活躍も、大した粘り強さも見せられなかった。

 だが、この表現しがたい哀愁というのがなんともデスラー総統らしい。デスラー艦は総統を語る上で欠かせない戦闘艦である。だからこそ、この艦の人気が衰えないのであろう。