旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ストーリー考察Ⅲ・疑惑の人事――宙ぶらりんの土方さん――(主にさらば)

 

 

  なぜ宇宙戦士訓練学校の土方教官が、第11艦隊の司令官という格的に異例な配置換えになったのか。またヤマトクルーの人事はいかにして行われたのか。色々疑問が生じている。

 これは中々に考証・考察のし甲斐があるのではないだろうか。

 これは中々に考証・考察しなければならない事案なのではないだろうか。

 

 

 

 土方人事の疑義

 さらばにおける宇宙戦士訓練学校の教官職から前線の艦隊司令職への配置換えは結構珍しいといえるだろう。ましてヤマト2における総司令官就任は、教官からの登用だと正直……合理性が無いといえばウソだが、妥当かどうかも微妙なラインである。

 現実問題、教官から前線の隊司令になるって……あんまり聞いたことがない。

 旧海軍を例にとっても普通は艦長職。校長ならば艦隊司令もあり得るというか、校長ならば規模のデカい艦隊の指揮官に転出するのは古今東西、半ば当然。ただ、名誉職が強く実際に敵をひねりつぶす事を期待されているかといえば微妙。

 

 海上自衛隊では教育機関として幹部学校、幹部候補学校、術科学校とを設けているが、これらの学長を務め上げた人物は後に総監を務めるか退官。あるいは後方の高位司令官が後職だったりする。無論、隊司令に復帰する例もあるが大体70年代と色々あった時代。あの時代が特異。

 陸海空合わせた大学校や幕僚学校でも大して事情は変わらず、総監への昇進や退官が多い――というか、前者に至っては歴代文民だし。少なくとも、海上自衛隊で教育者から前線指揮官になるという例は稀、と言えるだろう。

 

 帝国海軍時代、つまり俗にいう江田島の事だがこちらも教官だと艦長職に就くのが当たり前。小沢治三郎教官も転出して〈摩耶〉、〈榛名〉艦長を務めた後再び教官に戻ると言った経歴を持つ。その後に第一艦隊参謀を挟んで校長に就任、前線に出て南遣艦隊司令長官を務め、以降は皆の知るところ。ただし、1941年以降は実際に何らかの業務に携わったかといえば疑問でそもそも任期が短いし、一部期間は兼務した伊藤整一中将と被っている。

 一方、教官から校長まで務め教育畑を突き進んだ井上成美も表舞台に立ったことがあるが、それは後方での作戦指揮だったりする。

 要するに、たっぷり教官として学校で務めた人物がころころ前線に出て行くことは、敗色濃厚な時期を除きあり得ない。司令官クラスに就任するには校長クラスでなければあり得ない。

 

 土方さんは宇宙戦士訓練学校の教官ないしヤマト2の総司令職を鑑みバーターになり得る校長職から、第11艦隊の司令官あるいは地球艦隊総司令に就任した。

 普通に考えれば稀な人事と、説明することが出来るだろう。

 まれな人事が行われるという事は、稀な事が起きたというほかない。それが論理である。つまり、それは…… 何か、裏に動きがあったとするのが――すっきりした説明と言えるだろう

 

 

 動きの推測
 パターンⅠ:本人の意志
 土方竜という武骨男の性格からして不思議はない

 教育というものを当然軽視はしないだろうが、防衛軍全体の現状を鑑み戦闘の専門家が一人ぐらいは前線の最も危険な任務に当たっても罰は当たらないだろう。で、自分が出来人だから前線勤務を要望した。そういう判断。

 普通、この手合いの人事は通らない。何でもかんでも当人の意思ばかりを優先などしていたら組織が持たんわい。が、防衛会議のあの様子を考えるとあり得ない話ではなくなってくる……。だって、あの反骨精神――防衛会議からすれば鬱陶しい以外の何物でもなかろう。

 

 

 パターンⅡ:防衛会議
 言ってしまえばパターンⅠにGoサインが出されたのと同じ理由。防衛会議にとって、あの武骨で強引なワンマンは確実に邪魔だだから排除しようとした土方さんって、説明って物を省く癖があるから、能吏以外は周りが付いてこれない。パワハラというか、モラハラチック……よく言えば職人気質だろう、見て盗めと。つまるところ昭和の武骨男の典型例みたいな人だ。
 無論、長い付き合いだとこれが大体察しが付いてくるし、別に下に責任を押し付けるタイプでもない、何ならかぶってくれる。しかも彼の行動は一貫している。これ、一度なれると、ゆとり世代も悟り世代も案外普通に付き合える可能性がある。

 が、防衛会議の意に沿う行動をするかといえば――多分答えはNOだろう。むしろあの危機感のない雰囲気と平気な懲罰人事。特に大きな問題を起こしたわけでは無いのに、不当な人事。そんな事を平然と行うような彼らを放っておくとは思えない。


 防衛会議としては、次世代を育成する立場で数年がかりで防衛会議の危険の種をまき散らす土方教官(あるいは校長)は……ガミラス以上の敵と言えるかもしれない。

 ならば、ちゃっちゃと前線に出してうっかり敵と戦って戦死してくれた方がうれしい。そしてあと一歩のところまで防衛会議の未必の故意は実現に迫ったのである。

 


 パターンⅢ:長官の要請
 これは意外とあり得るパターン。しかもパターンⅠ・Ⅱの複合という可能性もある
 何といっても、ガミラス戦で多数の宇宙戦士を失い、防衛会議はあの体たらく。防衛会議の人事案を唯々諾々と受け入れてはどう考えても地球の為にはならないだろう。誰か、信頼できるちゃんとした艦隊司令を一人ぐらいは置いておきたい
 そんな中で目に留まったのが土方竜

 長官と親しかった沖田艦長の同期で、古代が宇宙戦士訓練学校にいたころの教官。つまり、現在戦闘の最前線にいる人間たちの機微が判る人間だ。艦隊司令に適任。適材適所だ。

 土方さん本人も前線で指揮を振るう必要性も感じていただろう。

 防衛会議も前線に放り出したかっただろう。長官が口添えをすれば、防衛会議的には待ってましたという人事だろうし、土方さんとしても断れない。


 多分、長官も土方さんも、第11艦隊という辺境地域の艦隊司令というのはさすがにびっくりしただろう。が、拒否する理由というのはほとんどないだろう。

 

 

 

 教育畑からの転出。その理由
 みんな教育というものの威力を軽んじているのではないだろうか。教育の内容、それは一個の人間を大きく左右し得る。これは軍だろうが一般教育だろうが関係ない。

 

 以下、一般論。
 昨今、無償化ラッシュで色々と教育環境が変わり、歓迎する向きもあるが――懸念はある。一つは、無償の範囲内に教育の規模が縮小してしまう可能性。従来通りの教育では無償化の予算では足が出てしまう場合だ。もう一つはそのカリキュラムをお上が完全に牛耳るという事。無償化の財源を提供するお上の定めた教育課程以外は認めない――無償なんだからそれぐらい我慢すべきという世論形成は容易だ。教育の内容が事実ではなく、真実であったとしても、容認されてしまう危険がある。
 教育は冷静に見ると人間形成という日の当たる面と政治という暗い面の背中合わせなのだ。

 

 

 土方校長率いる宇宙戦士訓練学校では、どんな卒業生が輩出されるだろうか
 恐らく、セオリーを破った戦闘を行う事に果敢に取り組む戦闘的な指揮官や戦死が輩出される。多分、防衛会議の指針にもNOと突きつけるという事もあるだろう。防衛大学校は一年に500人ほどの卒業生を輩出す。同数を宇宙戦士訓練学校が排出するとすれば5年で2500人、もの土方イズムを受け継ぐ防衛会議の敵が排出され、防衛軍の要職に任官され得る。防衛会議からすれば、物凄い影響力を持つ反対勢力、ものすごい数の敵であるといえよう。
 さっさと切らねばならない。土方さんが教官だろうが校長だろうが危険性は変わらないのである。

 


 でも、別に不祥事は無いんだよな……。

 

 

 さて、後方に下げられる指揮官とはどんなものか。

 ずっと日本であてはめて来た故、目先を変えてアメリカを例にとって見てみよう。

 ウィルソン・ブラウン提督は健康問題と攻勢への積極性欠如の二点で後方へ下げられた。フレッチャー提督ゴームレー中将もまた、それぞれの理由によって最前線から後方へと下げられた。彼らの場合は、更迭というよりよりふさわしい任地への配置転換だから気に病むほどの事はなかっただろう。
 キンメル少将パウナル少将の様に思いっきり更迭されて後方に下げられる人物もいる。これはちょっとかわいそうな面のある人物だが、それなりの理由があって後方に回された。

 
 教育に回される指揮官はどんなものか。

 例えばタワーズ大将は航空戦力の育成に従事し、本人は前線に出たがっていた節があるが――色々とあって戦闘には参加できなかった。先ほど例に出したパウナル少将は更迭された先が最初はハワイの航空指揮官、次が飛行学校の教官。戦後に関して言えば、スプルーアンス提督も大学校長に就任してそのキャリアを終えた。


 平時において教官を務めている人物は、戦時において前線に引っ張り出される例は結構ある。ただ、校長クラスだとまずない。特に大学校ではあり得なかった。
 例えばエドワード・カルブファス大将ウィリアム・パイ中将なんかは(後者は一応前線指揮官でもあったが)大学校長(President of the Naval War College)として教育の拡充やその効率化を図るために走り回ったが、前線指揮はしなかった。戦中戦後も前線への、配置転換もなかった。

 海軍士官学校長(Superintendent of the United States Naval Academy)でも大差はなく、ウィルソン中将こそキング中将の幕僚部に迎え入れられたが、後任で開戦後すぐに校長に就任したビアドール少将は前線には顔を出していない。フィッチ大将もまた、元々は前線指揮官だったが大戦末期に後方に回って以降は前線には立っていない。

 

 要するに、中堅以下の教官であれば配置転換で前線に赴く可能性もあるが、トップまで上ると前線には顔を出さなくなる。キャリア的には悪くはない待遇である為、より上級職に転属することも十分あるが、しかし、前線で部下と共に航海などという事はなくなるのだ。


 なお――最初の方で述べたように、日本の場合は事情が異なり指揮官たる人材の枯渇がかなりきつかった。結果、結構校長クラスが前へ出たり色々あった

 資源がないというのは辛いのである。

 

 

 前線指揮官を後方に下げる。こういった人事のいい面は、現行・最新の戦闘を後方へ伝え、最新の戦闘に順化した戦士たちを送り出すという理に適った側面もあることだ。部隊を率いるには運や度胸に多少の難があっても、頭が切れる人物ならば失いたくはない。無理に前線に出して危険を冒すよりも、後方に回って後進育成に力を入れてくれた方が有意義。

 いくらでも有意義な面は上げることが出来るが、今回はこれまで。

 

 

 

 さて土方さんはどうか。
 ガミラス戦役中は基本的に宇宙戦士訓練学校在職だっただろう。それ以前に前線に出ていたかは不明だが、出ていても不思議はないはず。

 そんな彼が後進育成に当たるとあればアメリカ軍なんかの例を見れば……ほぼ確実に前線指揮官としてのキャリア終了と言えるだろう。もしキャリアアップをの望むならば、この後は長官直属の顧問や防衛会議のメンバーに名を連ねる事になろう。それが順当。日本の場合でも、指揮した部隊が大きければ大きいほどキャリアの終わりに近くなる。

 

 だが、彼は前線に出た。珍しい事と言えるだろう

 教官であれば、隊司令としての転出はあまりに奇妙で珍しい。まだガトランティス戦役で幹部人材に大損害が出る前の話であるのに。

 校長職であれば、隊司令はあり得る。訓練学校の最高指揮官である。講師レベルの教官や学科や学部長レベルではない。それゆえ、校長職を務めた人間が受け持つのは大抵大規模部隊を仕切る。果たして、宇宙戦士訓練学校の校長職が第11艦隊司令官と同格なのかは……不明だ

 訓練学校がアナポリスレベルであれば、階級的にはギリギリあり得る差配に落とし込める。が――やはりアナポリスと大学では格が違うのだ。後者は平時なら当然4つ星提督ぐらいは必要。前者の3つ星提督とはワンランク異なる。
 ちょっときついか。

 

 何にせよ、かなりいびつな人事と評せざるを得ない。

 やはり、これらの中々にいびつな人事を説明づけるには政治マターな案件だったと理由づけるのが妥当だろう。


 防衛会議にとって、土方教官(校長)がカルブファス校長よろしく、良い教育の為の指揮権拡大などを目指すようなら、それは目障り以外の何物でも無い

 彼が校長職についたという事は、これから一筋縄ではいかない土方チルドレンがたくさん生まれてくるという事、土方イズムが染み込んだ面倒な士官がわんさか。防衛会議にとっては地獄だろう。
 戦時においては、そういう武骨で頑固な軍人の存在は決して邪魔ではない。前線で死をも恐れず地球の為に戦う、そういう戦士諸君こそ必要


 だが、平時においてこの頑固者集団は面倒の種以外に形容しがたい。しかも教官なら実際に訓練生たちにイズムを叩き込める。校長というバリバリ影響力を行使できる立場なら、後には防衛会議メンバーなどの高位官職が待っている立場で……これはマズイ。

 さっさと引き摺り下ろし、適当に現場の雑務を挟んで昇進の道を断ち、退官間際に幾らか階級を進ませてお茶を濁さなければ。防衛会議がそう判断しても不思議はない。だって防衛会議だもの

 であるならば、第11艦隊司令職を土方さんに伝える事も不思議ではなくなる。また、土方さんがその辞令を甘んじて受けるというのも、この体たらくを憂いてこそとすれば不思議はない。

 そんな流れの中で、第11艦隊は辺境域の微妙な戦力の艦隊だが隊司令抜擢はむしろ厚遇に見せかけられる教官から直接なら、望むべくもない職だからだ。たとえ戦艦の艦長を挟んでも、そうすぐには隊司令に就任できるものではない。だから一見すると防衛会議が土方さんを重んじたようにさえ見せかけられる。無能ではないのだから抜擢であっても、能力を見込んでと説明できる。実際には追放だったとしても

 

 

 防衛会議にとって誤算だったのは第11艦隊がガトランティスに襲われた事であり、土方司令が戦死しなかったこと。
 奇襲とはいえ襲われて敗死すればさすがに、土方イズムを絶対視することは難しくなる。土方チルドレンも大きな顔はできなくなる。

 だが、生き残り、敗軍の将は兵を語らずと――もう、この姿勢自体が土方イズムだ。今まで以上に絶対視・神格化が進む可能性もある。しかも、白色彗星=ガトランティスが敵であると判明し、その脅威を放置した防衛会議は赤っ恥を描いた。
 もう、防衛会議は土方さんの事は放置する他ない。突っついた途端にブーメランになって帰ってきてしまう。

 

 

 この大きな流れはヤマト2においても事情は大差ない。
 総司令官職前提だから、格的に互換性のある校長職が前提であるが――この艦隊総司令というのは戦時にならなければ大きな力を発揮しない、平時では大したことのない名誉なだけの職である。表現が難しいが。

 たとえ艦隊総司令でも予算だのは全く自由にならないし、作戦プロットは当然防衛会議の制御下にある。人事だって普通の軍隊ならば、艦隊の上に立つ長官の専権事項だし、その長官は防衛軍の監督の為に作られたのだろう防衛会議には敵わない。

 となると――土方さんは地球艦隊総司令になった所で、何一つ自由にはならないのである。シビリアンコントロールを利かせるのは大事、シビリアンコントロールの前では軍人は何も自由には出来ないのだ。相手が土方総司令だから凄く悪い事のように聞こえるが、本来は大事な事。

 そんな、難しい立場に押し込めれば、階級が上がっても恐ろしくもなんともない。

 

 なぜ防衛会議は土方さんを恐れるのか?

 それはある意味、仕方のない事である。宇宙戦士訓練学校に根を張られては、防衛軍にどんな影響を与えるか分かったモノではない。防衛会議だって一応、地球の平和を守り予算やら人事やら作戦やらを適切に処理するのが第一の任務だろう。それぐらいわかっているはずであるからこそ、土方さんの攻撃的で暴走気味な側面は許しがたい。訓練学校に根を張り、土方イズムを脈々と受け継がれては、刷り込まれ続けてはどんなデメリットが噴出するのか分かったモノではないだろう。職務上追突してしまう防衛会議に対して、間違いなく牙をむく。

 第18話で見た独断専行、あれが数多の指揮官から頻出しかねないのだ。

 

 それを防ぐには、根源を昇進に近い形でより重い役職に持ち上げるのが妥当。たとえ実権があっても縛れる程度、役職に基づいた派閥形成の難しい立場。長官の幕僚になっては困るから、防衛会議の制御下における程度の立場。

 艦隊総司令職が相応しいだろう名誉だし、高官だし、艦隊を勝手に動かしたら懲罰すればいいだけだ。艦隊総司令には絶対的に覆されない権限というものが一ミリも存在しなし、存在しえない。

 ちょうどいい役職が見つかった。

 

 

 例えるならば……奏者番にならずに寺社奉行になってしまった大岡越前だろうか。

 寺社奉行は所詮旗本の役職である町奉行とは異なり、役職の独立性が強くまた、就任するには大名格でなければならないため必然的に格式も高い。

 忠相は血筋も結構優秀だし、何より頭が良い。ただ、現有の家禄では……大名には足りなかった。実は、寺社奉行には専用の詰め所がなく、だから寺社奉行は普通は兼務される奏者番の方の詰め所を利用する。ただ、奏者番は大名じゃないとダメだったりする。忠相、まだ大名じゃないんだよなぁ……。

 この事態が発生してから大分後で気が付いた新さん。この人、何でか知らないが、割とざっくりした人なんですよね……もっと早く気づいてって。で、気が付いた新さんは寺社奉行専用の詰め所を開設。奏者番なしの寺社奉行なんてあんまりあることじゃないから、殆ど忠相の為に創ったようなもの。

 

 ともかくとして、防衛会議には宇宙戦士訓練学校に土方竜を置いておく理由はない、むしろ置かない理由の方がたくさんあった。

 教官にせよ、総司令と格的に互換性のある校長にせよ、どんなシナリオであっても、防衛会議からすれば土方さんはとにかく邪魔だったのである。

 

 

 さて、後任人事はどうであったか。ご存じ、山南さんだ
 山南さんは黙っているようでいて割としゃべるが、しゃべる割にはその頻度は少ない。自分で腹案を持っていそうなのだが、しかし周りの進言というものに大いに左右される。


 まあ、無能な人間から見れば彼は自分と同じく無能に見えるのだろう。
 だが、普通の人間から見れば十分有能と言える。これは別の記事に纏めたいと思う。


 何はともあれ、防衛会議は土方さんに代わる後任人事というものは幾らでもあったという事。だから政治の絡む長官とは異なり、土方さんの事は気兼ねなく干せた。出来るだけ速く影響力の小さい部署へと放逐しようと試みた。

 その結果が第11艦隊司令。あるいは地球艦隊総司令。確かに高位だし名誉な事ではあるが――結局のところ、防衛会議にたてつくにはあまりに政治力・権限・影響力が小さすぎる。そういう役職に追いやった。

 そう結論付けられるだろう。結局、自らの悪行と運命の差配によって防衛会議は自壊してしまったが。