旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ストーリー考察Ⅴ・ガミラス人の環境順化

 

 


 ガミラス人の特徴の一つは、放射線源の存在しない空間では生存できない事だ。
 無論、短時間なら問題ないのだろう。運動のような事をしなければ問題ないのだろう。だが、基本的には放射線源の無い空間では生存できない。
 だからこそ、遊星爆弾で地球をガミラフォーミングしたのである。
 

 しかし、ガトランティス戦役においてガミラス人はそれを簡単に克服した。
 その理由を考察せねばなるまい

 

 


 注意:PS版は想定から除く。プレイ動画しか見た事ないし、後付け満載だから収拾がつかなくなる。

 可能性として一番高いのは、体内に放射線源を取り込んだ事。恐らくは、カリウムや炭素の同位体だろう。


 はっきり言って、獣医としては完全にやぶ医者。生理学系の学者ではない、外科が専門の佐渡酒造が発言した事だから正直当てになるかは不明だが――ガミラス人と地球人はそう大きな差はないとされる。まあ、脈拍と白血球数と呼気のガス成分の解析しか劇中のセリフには無かったから、後のガトランティス兵(メーザー)の割合詳しい解析とは程遠いから――やっぱり当てになるか不明。

 ただ、ガトランティスが地球人と血液型まで含めて類似した形態の存在であることは確定的。それと同じ空間に長期滞在できるようになったのだから、第一作の時点よりも一層地球人と同じ環境にいることが出来るようになった。

 これは進歩と言うより進化に近い。

 


 それは置いておいて、

 体の構造がガミラス人と地球人とガトランティス人が大差ないならば、これらはいづれ炭素生物と言える。ゆえに恐らくガミラス人は地球人と同じ構成物質なのだろうと推測できる

 であるならば、生体反応の大抵は地球人と同じと考えられる。だから元から体内に存在してもおかしくない物質を放射線源として取り込めれば、拒絶反応を低減した上で内部で人工的に被ばくを起こせる。

 この内部からの被ばくであれば、α線β線のような微弱な放射線を用いることで体外に放射線をまき散らす事なく過ごすことが出来る。他者と交われないガミラス人にとって、かなり有益な事だろう。

 金属系の放射性物質となる可能性は――さすがに低いだろうが、案外大丈夫かもしれない。ともかくとして、長期的に放射線をそこそこのスパンで出し続ける放射線源であれば何でもいい。何ならウラン系の重金属を生体由来の材料で包み、拒絶反応を防いだうえで存置するという方法もあり得るだろう。そこそこ半減期の短い物質でなければならないし、定期的に手術をしなければならないが、国家レベルの利便性を考えれば選択として普通にとり得る選択だろう。

 


 一番可能性の低いのは遺伝子をそのまま作り変える事。この場合、必然的にクローンを速成して総統やタランの記憶のみを新しい体にダウンロードするという方法になる。

 ただし、さらばであれば、この選択肢は決してあり得ないものではない。何といっても二人しかいないのだから、簡単だし、総統が命じればタランも同意するだろう。たった二人だけならば、まとめてこの手段を取って執念の根源であるヤマト撃滅に向かわせた。としても何の問題も無い。

 この件に関しては元から大帝の気まぐれに近い案件であり、大帝がうんと言えばその通りになる。良くも悪くも気を利かせてくれる大帝であるから、純粋に良かれと思ってしてくれたこととすることも可能。


 こういうのは多分リメイクアニメっぽい話になるが、少なくともさらばであれば、合理性を持たせる術として短絡的に放射線を不必要にしたクローン体に、意識をダウンロードさせる方法があり得るという事。
 当然、ヤマト2においては不可能。人数的に無理だし、この戦役後の事を考えると余計に不可能。

 

 

 

 なぜ第一作の時にこの手段に出なかったのか。
 妥当な想定としては、ガミラス星の代替である地球を手に入れる前提であったから

 仮に地球征服が不可能な場合を想定したとすると、他の惑星なりを征服する他に、別の国家に身を寄せるという可能性も想定しなければならないだろう。しかしプライドの高いガミラス人が他の国に身を寄せる可能性は少ない。大体、ガミラスが健在なうちはデスラー総統がそれを嫌がるだろう。

 とにかく居住可能な他の惑星を独力で征服しなければならないし、そのつもりなら惑星自体を変えればいいだけで、自分たちを変えるという発想には至らなかった

 頭の片隅にはあったかもしれないが、緊急の必要性も、将来的な必要性も感じず、実行には至らなかったと説明できる。

 

 この発想としてはあっても、実行する気などさらさらなかった方策を取り入れたのは――ガトランティスが良かれと思って総統の蘇生手術に上乗せして組み込んだ事にあるだろう。
 ガトランティスにとって、死体同様から蘇生させることは大して難しい事ではないのだろう。特にガミラス人の細胞が強固で宇宙の低温が逆に保存に寄与したならば、なおの事蘇生は容易だっただろう。内臓の再建や血管、筋肉の再建――これらを機械の支援とドクターの技を以て同時に行う。サーベラーも絶対に近い自信を見せていたのだから、本国随一のドクターであると同時に、術式として完成された蘇生術があったのだろう。
 その手術の間に、ガトランティス人と同じ空間に長くいる為の方法を組み込まれた。と言うのが中々いい線ではないだろうか。


 


 全てをちゃぶ台返しする想定としては、実はそもそも高い放射線を必要としない、という可能性がある。何せ、ガミラス人捕虜がヤマト艦内で長時間生存していられたのだから、放射線の無い空間に放り出されると即死亡な都という事はない。

 そこから考えると最も妥当な想定は――ガミラス人は放射線に滅茶苦茶強い、放射線を新陳代謝に使う、と言う程度であって必ずしも強力な放射線は必要ないということだろう

 あくまで耐えられるだけ、あるいは利用しているだけ、であるならば第一作の放射性物質のガスをヤマトに充満させたのはある意味当然。敵は耐えられないが自分たちは耐えられる環境で戦う、まるで二ホンミツバチみたいな発想だが、これは理に適う。

 あるいは、戦闘であるからには心拍数や呼吸数が上がるだろう――そういった環境下では放射線を用いて新陳代謝を活発にする必要が生じる。とか、放射線になれた状態の体であると、急に放射線の無い空間に落とし込まれた時に体内のガス交換に不調をきたす、と言うような説明があれば、コスモクリーナーが起動した際に総統が焦って撤退転進したのも当然。

 つまるところ、アレは比較的特殊な事例であり基本的にはそんなに高くない放射線の中を生きていると説明しても矛盾はない。

 


 そうであるならば、元来は地球人が生きられる程度の放射線であっても活動は可能と言える。当然ながら順化できれば、地球人が死んでしまう程の放射線下でも活動できると説明出来る。
 放射線を新陳代謝の一助とするならば――普段に関して言えば、長期に放射線がない環境であれば当然新陳代謝等に支障がきたすのだろう。だから地球制圧に関しては地表にたっぷり放射能を持たせて、地球人やガミラスの植生を荒らすだろう地球の植物を完全に消滅させた。本当に移住する段階においては、過剰な放射能を除去する。という事になるだろう。
 これならば、イスカンダル人もガミラス人同様に放射線にものすごく強いのであって、放射線を新陳代謝に用いるのであるが、地球人の生存できる環境でも生存はできる。と説明できる。

 この説に寄る形で、イスカンダル人がガミラス人よりも先に絶滅状態にあるのも、地表の放射能が長い間かかってゼロに近くなり、新陳代謝に必要な放射線すら確保できなくなり、しかしそれを運命として受け入れた。だからたった二人の姉妹しか生き残れなかった。あの二人が生き残ったのは一番若かったからとか、そんなところだろう。

 

 コスモクリーナーも元々は遊星爆弾を以て星を蹂躙し、過剰な放射能を除去して自分たちが住める程度に星を改造する装置であったと説明できる放射能の除去する度合いによってガミラス人が住めるレベルに調整するのだから、地球人が住めるレベル=かなり低い放射能に調整することも可能。という事だ。

 地球に狙いを定めたのは立地や、或いは他の惑星を征服して結局維持に失敗したのかもしれない。ともかくとして、複数の惑星で移住に向けた各種の実験が行われた事は確実。その中で開発されたのがコスモクリーナーであると説明しても何ら不思議はないだろう。これを、スターシャは古代守への愛やその故郷への敬意からこのコスモクリーナーの融和的利用法を地球に提案した。

 割合に合理的な説明になるだろう。

 

 


 さらばやヤマト2でガミラス人とガトランティス人と地球人が、場面は違えどそれぞれが同じ環境に存在する。これは説明するにはかなり苦しく、確定するには情報が少ない。しかし、全て可能性としてガミラス人と放射線の関係を説明付けられたと思う。

 

 この異星人との交流や和解というのは松本作品の冒険的側面であることは間違いない、だが、これをそのままぶっこむのは――せっかくSFとして成立させようとしているのに、少々いびつになってしまう……。だからと言って大胆に放射線の設定を取っ払ってしまうのも配慮と言えば配慮だが、ヤマトの原作からは大幅に姿が変わってしまう。

 結局、大人の事情と言うか、大人の記憶力の関係なのだろうが――できればこういうファンが説明に困るような描写とか設定の追加は……辞めて欲しいというのが本音。