旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

戦闘考察Ⅷ・テレザート陸上戦(ヤマト2)

 

 

 テレザート陸上戦は、幾度か行われたテレザート接近戦の後に発生した陸上戦である。また、ヤマト史上ほとんど唯一の地上戦でもある。

 


 ガトランティス側参加部隊:突撃格闘兵団ヘルサーバー
 戦力:一個機甲師団
 指揮官:ザバイバル将軍


 地球側参加部隊:旧第11番惑星派遣隊
 戦力:第11番惑星派遣隊残存全力、ヤマト技術班
 指揮官:斉藤始

 

 

 戦闘経緯・経過
 第13話後半――上陸用舟艇に乗り組んだ空間騎兵隊はテレザート内部空間へと進入、ここでかつて繁栄していたであろう都市の残骸を目にする。降下後、荒野を進み安全を確保し得る平野に出た。
 しかし、すでに出動済みであったザバイバル戦車軍団の猛烈な砲火を受ける。空間騎兵隊は撤退しようにも舟艇を早々に破壊されて叶わず、反撃しようにも携行武器は必ずしもザバイバル戦車軍団に対して有効では無かった。そもそも人数がまるで潜伏する大物テロリストの拠点を襲撃するようなレベルであって、大戦車軍団を相手に大立ち回りすべき数では無かった。
 だが、空間騎兵隊はここが漢の見せ所として踏みとどまる――第14話
 この奮戦に対しザバイバルは残りの持ち駒をすべて投入し殲滅を試みた。
 ところが、空間騎兵隊の徹底抗戦は一種の遅滞戦術的なものであり、ヤマト工作班が搬入した多弾頭砲による反撃の機会を与えてしまった。これにより戦車軍団は壊滅。多少の小競り合いが継続したものの、テレサは解放されてしまう。

 

 

 描写の妥当性

 空間騎兵隊の人数が人数である以上、兵装がアレである以上、あの戦術しか取り得ないだろう。

 ヤマト首脳陣は妨害電波からしてガトランティスの戦力がテレザート内部にも存在していることを認識はしていたが、その程度に関してはどうも大した数では無いと考えていたとみて不思議はない。

 であるならば、概ねの敵を排除したとみて空間騎兵隊を降ろしたとするのは妥当――これが見事に見当違いだった。これが一番痛い。しかも、ヤマト2においてザバイバル将軍は航空戦力を有していない。地上戦力の存在の匂いが非常に薄い戦力分布であり、余計に見当違いな予測を立ててしまったと説明できるだろう。敵を侮ったような戦力分析故、あの必殺・多弾頭砲を後から搬入する事になった。だって、敵がいると思っていれば先に持って来たでしょ?

 しかし基本的に空間騎兵隊側は別におかしな行動はとっておらず、決死の覚悟で肉薄して出来得る限り遅滞戦術を取った。戦車相手に生身で戦うには、肉薄する以外に選択肢は非常に少ない。早々に多弾頭砲の要請を行っている事も鑑みて、ベストな行動をとり続けたといっていいだろう。

 損害に関して言えば見当違いな予測の元にテレザートへ降下した事自体が間違いだった。それ以上でも以下でもない。

 

 ザバイバルも特段マズイ戦術はとっておらず、強いて言えば相手が生身の利点を最大限利用して遅滞戦術を用いたため、これに対抗するべく歩兵を繰り出すべきだったかもしれない。が、高々20数名相手にそこまでする必要が有るかは疑問であろう。

 この疑問を抱えたままでは――当然劇中で見たような戦闘になるだろう。そして、接近された結果押され、多弾頭砲にて止めを刺された。ある意味では負けるべくして負けたと言えよう

 残念ながら戦車は完全無敵では無く、死角からの攻撃であるとか兵士そのものに対しての攻撃に対してはそう強いものでは無い。空間騎兵隊は生身でいくらでも戦車の死角に潜り込め、戦車側が仮にセンサー等で感知しても対処できない場所にへばりつき、奇襲的に攻撃を加えることで一両一両しらみつぶしに粉砕可能。

 第一次チェチェン紛争のそれに近く、この時ロシア戦車部隊は見事に大損害を負った。それと同じ。予想を立てて対策を取るべきだったが――侮ったか、ザバイバル。

 反撃の為に最後の戦力を思い切って投入したが、これがわずかにタイミングが遅くヤマトからもたらされた多弾頭砲によってこれらも粉砕された。タイミングが悪すぎて、多弾頭砲に打ち抜いてもらうために出撃したようになってしまったのは皮肉というほかない。

 

 ただひたすらヤマト側が戦車の弱点を徹底して突いた、これがヤマト側の勝因であり、ザバイバルの敗因。これを補強するのが、タイミングという偶然だった。

 それ以上でも以下でもない

 

 

 意義
 ザバイバルの戦術はそう間違ったものでは無い。中途半端な戦力投入を避け、全力を以て粉砕を試みたが――ヤマト工作班の力を侮った。ザバイバルにもたらされたであろう情報だけではどうあがいても推し量ることなどできなかったであろうが、しかしゴーランドが正攻法を取って敗北しているというのを鑑みる必要が有った

 ガトランティスにとっては不測の事態をやらかすのがヤマトであると肝に銘じるいい機会だった


 他方で地球にとってはテレサと直接交流に成功したことが非常に大きい。また、性格に難があっても空間騎兵隊は非常に強力な戦力であり、いざという時の戦闘は安心して任せることが出来ると判明した。

 ただし、この戦闘におけるデータには、そう大きな意義はないかもしれない。

 

 

 ガトランティス側損害:突撃格闘兵団ヘルサーバー全戦力喪失
 地球側損害:第11番惑星守備隊多数