旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ガトランティス人――その生体的考察――

 

 

 劇中に幾らかガトランティス人という存在の生体的考察に寄与し得る情報があった。国家体制であるとか部隊編成であるとかの考察を終えた今だからこそ、深く掘り下げうるのではないのか。

 今回はガトランティス人という生物そのものの考察を行いたいと思う。また、抜けてしまっていた階級であるとかの補足的考察も合わせて行いたい。

 


 ガトランティス人の生体的考察
 ガトランティス人はご存じの通り緑である。これが最大の特徴で、さらばとヤマト2ではほとんど差がない。

 一方で体格は別段地球人のそれと大差なく、地球人が生存できる範囲内かつガミラス人も生存できる範囲内の艦橋において生存可能。視力・知力・体力全てもまた、地球人のそれと大差なく、有るのは考え方の違い程度である。

 メーザーを基準とすると――脈拍数90、呼吸15回に血液成分は白血球1万2千、脳容積1600立方センチ。血液型物質=抗原は地球人の中に同型のものが存在する。


 要は地球人のそれと全てが大差ない。血も赤いし。

 

 他方、別の星で別の進化をしたのだから、全く同じ遺伝子というわけでは無いだろう。ただ、生物としての形態がおおむね地球人と同じがゆえ、地球人の遺伝子に比定可能な情報が非常に多い。だから、地球人とガトランティス人はほぼ同じとしても――まあ、妥当性は確保できるはず。

 非常に類似した両者ではあるが他方で、外見的な特徴は地球人の中でも白人や黄色人種や黒人で割合顕著に差異があるのと同じように、ベースとして地球人とガトランティス人には外見的な差異が存在する。

 

 

 外見的特徴
 外見的には、最も顕著なのは緑色の肌に大抵は太めの眉毛。もみあげとつながるまで長い例もあるというのは、かなり特徴と言えるだろう。髪色も青系が多く、黒や茶色系も存在しているが、さほどではない。

 老化の面はゴーランドやゲーニッツからして、恐らく地球人と同様に禿げる。ゴーランドの場合はファッションかもしれないが。ヤマト2のゲーニッツなぞ、さらば版より生え際が相当撤退しており、板垣退助バリの髭と物凄い対比を成す。白髪は大帝とゲーニッツ、さらば版サーベラーだが――多分老化でメラニン細胞がダウンするのだろう。

 サーベラーに関してはヤマト2の場合は十中八九ガトランティス人と異なる人種だろう他方でさらばの方は、人種が異なるという可能性も捨てきれないが、突然変異に近い色素が特別薄いガトランティス人という可能性の方が高いだろう。老化で白髪になるのであれば、アルビノは地球人と同じように、白ベースとなるはず。

 


 詳細の検討

 眉毛ともみあげが、つながっている。これがガトランティス人の特徴と言われていたし、私もそう思っていた。しかし――よくよく見てみると実は私も気が付かなかったが同一人物でも稀に眉毛ともみあげが繋がっていない時がある。

 要は、毛並みは地球人のそれと大差ない人物が結構多いという事である。つまるところ、一部はもみあげと眉毛がつながる人物もいるが、多くは髪型のせいでまるで眉毛ともみあげがつながっているように見えるだけ。という事だ。


 前者は恐らく、ズォーダー大帝とゲルンにナスカと補給基地司令。後者はゲーニッツ、ヤマト2版ミル、連絡将校っぽい人にゲルンの副官か旗艦の艦長。どっちつかずがラーゼラーとメーザー。
 イレギュラーなのは眉毛ないか薄いバルゼー総司令とさらば版ミルにデスタール。そして禿げたゴーランドにゲルン旗艦空母の航空部隊司令。この二人はファッションハゲという可能性は捨てきれない。二人とも髭がお洒落だし。

 

 つまるところ――結構眉ともみあげがつながっていない人が多い……らしい。やはり、髪型によって繋がっているように見えただけ、といった方が妥当なのだろう。

 実際、山崎賢人だろうが横浜流星だろうが眉尻が髪に隠れたら「眉尻どこだ?」って、ッぱっと見がつながって見えるというのと同じ。例えが適切かは不明だが。要するに繋がっていようがいまいが何か文句りますか問う事。

 

 ただ……大帝のみ、眉毛について妥当な説明が難しい。ままある一本眉に加えて前髪を垂らしているからそう見えるという風に捉えれば何とか説明がつくかもしれないが、不自然。

 さらばやヤマト2のサーベラー、ラーゼラー、バルゼーに関しては、前髪を垂らした髪型として、何とか説明可能だろう。髪型に見えない点は作画の問題として責任転嫁

 

 結論としては――ガトランティス人では、割合前髪を眉間近くまで垂らすのが流行り。次点あるいは同率で前髪やオールバック系短髪これがガトランティス人の髪型のマスト、であるとすれば――大抵は一本眉プラス前髪、として何とか説明できるはず。

 皆さん結構なくせ毛というのはほぼ確実で、これを思う髪型に変える過程でワックス使いまくりであんな形になった、とういう事に。

 

 

 

 肌の色
 肌の色が緑色の理由はブログで以前述べた―記憶があるが、定かではない―と思うが、陽光の問題が一番大きいだろう。


 波長260nm付近の紫外線を受けることでDNAは損傷し、修復することすら不可能になるが、反対に311nmの波長当たりならばむしろ皮膚疾患に効果がみられる。あるいは、熱による損傷もある程度までは熱ショックによる細胞活性化が見込まれる。
 緑色の光線=中波長域の光線が強すぎる環境において、この光線による細胞損傷を退ける為に体が緑色という可能性は十分ある。この想定の場合は、緑色の光に包まれた世界が彼らの根源たる発生地という事になろう。

 ウールピットのグリーンチルドレンそのものである(ご存じないなら調べて下さい)。

 

 食べ物の中に、緑色に体を染める色素なりが入っている可能性もなくはない。銀皮症のような、致命的ではないが、問題がないわけでは無い症状の可能性だ。フラミンゴに例えても構わない。
 この想定の場合でも、緑色の恒星の元に生活していたという可能性は排除する必要はない。何せ、身を守る術とたまたまの食生活が合致していたというだけの話になるのだから。別の身体機能系の被害は、死者をもよみがえらせるガトランティスの大科学力で治療は可能だろう。

 

 他にも、RNAウイルスの感染による遺伝子の変質の可能性も理由として挙げられる。

 人間もレトロウイルスに感染した事により、その遺伝子をゲノムの中に取り込んでウイルス遺伝子の変質しやすさを獲得して多様性を確保し一層の複雑化をみた。これと同じことがガトランティス人にもおき、その過程で緑色になったのか、緑色を嫌うようになったのか。ともかくとして、現生地球人とたとえ同質の存在であったとしても、差異が幾らか現れた。


 以上がガトランティス人が緑色の肌をしている理由として挙げられるだろう。結局、どれが一番妥当なのか、設定が確かでないためわからん。

 

 

 ただ、声にエコーがかかり理由は分からん。ヤマト2の場合、必ずしも一貫した描写ではないし。無理やりでっち上げるならば……

 チベット密教の聲明や、モンゴルのホーミーに類似した発生原理なのかもしれない。つまり――ガトランティス人の咽頭構造やその動き、喉の形状及び発音の際の口の形状という条件が複数重なり合った結果生まれたエコー

 別にエコーがかかっても特にメリットはないが、原始の時代に種族が絶える要因となるような程の問題でもない。という、ほとんど偶然に近い理由

 という事にしておいてください。

 

 

 制服の検討

 別に忘れた訳ではないが、全体として考察を終えた今だからこそ今一度考察を加えてみたいと思う。なぜなら制服は一般的に、それが制服であれば所属する集団の何がしかの組織構造を表す仕組みが含まれているからだ

 特にガトランティスは皆兵的な国家体制であり、制服も軍的要素を強く内包していても不思議はない。その法則を見つければ、それは各々の立場を明確にするものであり、組織構造やそれぞれの地位を明らかにすることが可能になる。

 描写が一貫しない時があるからかなり苦しいが。

 


 さらばにおいて――

 ガトランティスの制服は地球にもありそうな普通のシルエットの軍服で、これにマントを合わせた外観である。ただ、軍服なのかコート・ユニフォームなのかは判然としない。それは現場指揮官も同じで、軍服的とは言い難いシルエット。

 高官と現場指揮官で一致している点は――どの人物も必ず装飾的な模様が服のそこかしこにあしらわれ破線模様と三角を組み合わせた装飾ラインの組み合わせが胸にあり、どうやらこれで階級ないし所属を表しているらしい。ベルトにはベルトの色に合わせたホルスターが左側につく。ただ、ミルだけは金具と同じ色のホルスター。

 ズォーダー大帝は黒い生地で上下一体に見えるウェットスーツ的な服装をし、赤い線と三角をあしらった白い手袋がさし色的に使われている。左右の腰側方、ひざ下、袖口に黄色い横長の破線をあしらう。また、白い三叉のラインが左右の肩と喉元にかけて伸びており、真ん中のラインは正中線に沿ってあしらわれている。黄色いベルトをしており、ホルスターに収めた大型を右側に引っ提げている点はかなり目立つ。大帝のシルエットを形作る上で最も特徴的なのが裏地が赤い黒のマントで、左肩でパルダメントゥムを使い留めている、ローマ的というかビザンツ的でもある服。意外と足元は普通の靴だったりする。

 ゲーニッツら高官の服装はマントを付けた軍服で膝、肘に横線が複数本あしらわれている。また肩から腰にかけての二列の破線がある一方で腰にしたベルトより下は横線へと変化する。首周りにも囲むように直線と破線が組み合わされて矩形を形作る。胸はエレベーターのボタンよろしく三角が複数個あしらわれ、その底辺の向きや個数で階級ないし所属を表すと思われる。服の色は3タイプに分けられゲーニッツは濃紺でマントの裏地が赤、線は黄色。ラーゼラー以下の面々はスカイブルーでマントの裏地が濃紺、線が黄色。ミルのみ白い服でマントの裏地が紫、線が黒で金具がピンクだったりする。立て襟から覗くローマンカラーはそれぞれの破線と同じ色が用いられている。ベルトは意外と細い。また、彼らは足の甲に破線をあしらった靴を履いているらしい。

 バルゼーら現場指揮官(艦隊)マントではなく立て襟のコートを羽織っている。コートは破線は左胸と右胸に袖口がそれぞれ横線が数本、肩には肩章らしいラインがあしらわれている。また、生地は濃いめのオリーブ色で裏生地は赤。このコートは縁と肩章で階級を示す事が可能らしくバルゼー黄色く縁どられ肩は赤、ゴーランドは赤い縁で肩が黄色となっている。

 特徴的なのがコートの下の制服で、襟が無い為に寄り画だと普通のTシャツに見えてしまう。上下一体であるらしく、ウェットスーツな感じ。コートより若干薄いオリーブ色でこちらの縁も階級で色が異なる模様。一方共通なのが首元から正中線に沿って白い破線というより小さな長方形が連綿と繋がり、同じものが腰に縦方向、さらにひざ下にも短くあしらわれている点。軍服だと胸にある三角は現場指揮官だと首元にあしらわれる様子。ある意味当然だがブーツを利用している点がゲーニッツらとの小さな違いである。更に、ベルトはバックル付きでかなり幅の広いものを常用するらしい。

 地上兵の現場指揮官はこれが更に服装が異なり、コートは着用しないしベルトは細目。また、破線は少し軍服チームに似ているものの、基本的には艦隊指揮官と同じ。肩と肩口、腿の側面とひざ下に長方形な破線があしらわれ、同じ破線がブーツと手袋にも端に服と外観上繋がる形であしらわれる。服の色は艦隊指揮官とほぼ同じだが幾らか茶色っぽい。破線も薄茶色だが、白より汚れが目立ちにくいからその方がいいのかもしれない。

 一般兵(艦隊)は薄いブルーグレーの生地でウェットスーツ的な服。三叉なラインの黒い破線があしらわれ、交点は三角が上向きにあしらわれている。またひざ下と袖に黒い破線があしらわれているが腰回りなどは無地。また、バックルがスカイブルーな細いベルトと、ヘルメットを常用する。これ、服だけ言えば実は大帝に結構近かったりする。その一方で地上の一般兵は緑の強いオリーブ色の生地と黄色い破線を利用する。ザバイバルの服装と大してさはない。

 

 

 大枠で述べると――

 大帝の前に列する上級指揮官は破線装飾がドイツ帝国の槍騎兵将校用の軍服のような印象を与える。他方、現場指揮官はコートを羽織り、艦隊も機甲師団も緑色の服というのが基本で前者は緑が強く後者は茶色が強い程度と案外見分けがつかない。

 これらの要素に加えて先に述べたように色で恐らく部署が分けられ、三角模様によって更に細分化という事になろう。白はサーベラーのように特別職、他は色が濃くなればなるほど大帝に近い役職という事か。また、艦隊指揮に直接関わる人間であろう大帝(最高司令官)やゲーニッツ(遊動艦隊司令長官)が現場指揮官のバルゼーと同じように手袋をして居ることから、手袋は戦闘に一義的にかかわる人間の証という事だろう。

 また、大帝の服装と一般兵の服装が極めて似通っているのは何とも象徴的で一兵卒を彷彿とさせる姿なのは、軍権の保持者であることを示したり、前線に立つという気構えを示すマッチョイムズの現出などと表現することができるだろう。軍役を拒否したクリントンに対し共和党系が民主党所属という事以上に拒否感を見せる理由だったりするのと同じで、軍司令官それも現場を知る者という形がガトランティスの指導者には必要という事で説明が出来る。

 リビアのかつての指導者ムアンマル・アル=カダフィカーネルカダフィカダフィ大佐)と名乗っていたというのに比定できる。問題はカーネルが指導者を意味するだけという場合もあって、その場合はこのたとえは成立しない。


 かなり明確なのは胸の三角模様が多いと下級、少ないと上級と推察できることだろう。何せミルが4つ、ラーゼラーが3つ、ゲーニッツが2つの三角模様であり、現場指揮官でかなり高官であることが予想されるバルゼーも組み合わせ方の違う2つ三角だった。また、最高権力者たるズォーダー大帝は一つ三角であることからも、恐らくこれでざっくりした上下を確認するというのがだろうだろう。

 一方で現場指揮官の場合は線の色も一つ要素として加わるのだろう、多分黄色が格上。大帝と直接通信したバルゼーが黄色で、通信しなかったゴーランドが白だから。

 完全な例外はサーベラー総参謀長で、一般兵と同様の服装だが白ベースに赤い破線。彼女が軍人に重きを置いているのか他の面々のように行政官っぽさを見せているのか、予想がつかない。大帝に近い服装だから、その意味では軍人に重きを置いていると表現できるのかもしれない。

 他は正直。考察に自信ない

 

 

 

 一方ヤマト2においては――

 シルエットとしてはさらば版の服装と大きな変化はないと言える。特に一般兵に変更はない。一方で将官は着用する人物が大幅に変化し、どうやらシルエットごとに地位に差がある模様。

 一般論として足元が無地の黒いロングブーツに統一で変更され、ズボンの裾が中に入る。また生地が全体的に青ベースで統一され、裏地も黄色へと統一的に変更された。大枠の服装も一般兵に変更はないが、尉官ないし佐官と推定される人物は隊司令でも羽織る物なしの素体制服、高官はインバネスというよりアルスターコートに近い立て襟のコートを着用し最高幹部はマントを着用する4タイプ(大帝とサーベラーを含めると6タイプ)に大別出来る。

 それぞれの制服には実は階級を表す証が特になく、コートやマントの有無でのみ判別が可能。マントを留める金具は基本的に黄色というか金色だが、ミルに関しては青。(ごめんなさい、結構さらばと違う見た目でした)


 細かい変更点は――三角装飾が廃され線模様一本に絞られる。が、大幅に数や覆う面積が減っている。デコルテ部分が全体的に黒く塗られ、肩口にも太い線状に伸びる。また、破線だった2列のラインも黒い直線に変更された。右側の直線には沿うように黒い破線が短く、左のデコルテ下部にも横向きに小さな黒い長方形がいくつか配されている。

 この左側にある横破線が階級か何かを示すらしく、ゲーニッツは3つバルゼーは2つでナスカの副官は一つ。モブにはついていない者もいた。デコルテ部分にも証があり、左の赤い小さな正方形があしらわれており、多分ナスカなどそこそこの現場指揮官を表すと思われる。黄色い場合もあり、こちらはバルゼーが該当する。右側に加えて左側にも並ぶ場合があり、黄色い正方形がゲーニッツは2つぐらいが配されていた。

 階級か何かを示す証は他にもあり肩から伸びる直線の下端、或いは肩の直線も色が黄色や赤になる。ナスカやその副官ら肩の下端が赤い、ゴーランドやゲルンあるいはラーゼラーはコートにそれが記され前者は黄色であるがラーゼラーは肩の直線自体が赤と珍しい。

 また詰襟から覗くローマンカラーらしき物の色でもある程度推測可能。無地より赤、赤より黄色の方が高官らしく最高幹部ゲーニッツは黒い詰襟に黄色のローマンカラー。それより下のバルゼーやラーゼラーは黒い詰襟に赤いローマンカラー。一方のナスカは赤い詰襟に黄色のローマンカラーでこれは士官クラスのごく一般的な階級章と思われる。例外はミルで黒い詰襟に黄色い模様付ローマンカラーと傾向が全く異なる。そもそも彼に関しては服のデザインがさらばとほぼ同じで首周りの破線が少し変化した程度とこの部分も例外的。副官の場合オレンジと規定されている、可能性があるのだが……単に塗り間違いとかいう可能性が十二分にあるから正直そこは自信がない。

 折り返された袖口もラーゼラーが青い生地に黒い三角が連なる、ゲーニッツが黄地に赤い縁でゴーランドが黄色地に黒い三角、本国勤務のモブ士官が赤地に黒い三角とざっくりした所属ないし階級分類が可能とは思うのだが微妙。例外が多くデスタールは丈の長い手袋をして袖口がインしているし、ナスカは袖口に折り返しがない、つまり無地。無理やり説明するなら、袖口のある方が階級が高く本国勤務が可能。赤は下っ端で黄色は高官のオーソドックスな分類。となるだろうが、いまいちわからん。

 ちなみにザバイバル戦車軍団も少しだけ服装が変わっており、破線は肩を除きほぼ省略されていた。

 これらと系譜の違う服装は第14話に出ただけの警備兵衛兵)。彼らは白っぽいヘルメットを着用し、しかして高官のようにマントまで着用する。士官の服に近い上着であるが首周りの黒い模様は全て削除されており、胴体正面にあしらわれた2列の破線が残るのみ。反対に首元から胸元に黒い横線が何本かあしらわれ、二の腕にも縦線が幾本かあしらわれる変更が観られた。ベルトは青で黄色い円形バックル。ただ、白手袋というのは他の軍人と変わらない。

 

 あと、ホルスターに関してかなり大きな変更が加わった。ミルを含め、大帝以外は全員がベルトと同じ青いホルスターになっている。着用するのはナスカのような司令官級の士官ないし下級将官以上であり、一般の士官や副官は着用しないらしい。

 また、大帝と一部シーンを除いて基本的には全員が左側につけているのだが――これが何とグリップが相手側に向いている。銃床の底面が見えているのだからほぼ確実だろう。幾ら留め具がついているとはいえ危なくないですかね……高官が暴漢に襲われたら一発アウトになるような……。

 好意的に解釈すれば挨拶のシェイクハンドと同じで、敵対する意図はないという事の証ともいえるかもしれない。命がけという、随分大胆な好意の証だが

 例外は大帝だが、大帝は大帝で銃がデカいから果たして引き抜けるのかが少々疑問。実はもう一人例外がおり、ゲルン提督もホルスターが右側。右手でホルスターのカバーを開け銃を引き抜き、自らの胸を撃った。他にもコート組は右側が多くいるかもしれないが、劇中で確実に確認できるのは彼だけ。

 

 まとめると――
 一般兵は通常のウェットスーツ的軍服に加えてヘルメット、士官はノーヘルで通常の軍服。

 中級指揮官はコートを軍服の上に着用。上級指揮官はマントをなびかせ、最高権力者はパルダメントゥム。無地より赤、赤より黄色が高官。

 というのが非常にざっくりした階級による服装規定と推測できる。サーベラーは完全に例外的な服装をしており、全くどの立場なのか不明。

 一つ注目できるのはマントの付け方で、登場勢力中金具で止めるスタイルの中でかなり背中に寄った位置だが、背中ではない位置で留めている。鎖骨寄りで留めるガミラス、鎖骨ないしそもそも服に一体化させる暗黒星団帝国、完全に背中側で留めるボラー連邦、完全に背中で服と一体化したディンギル帝国とも違う。理由は全く持って不明。正面から見たシルエットは確かに肩回りがもっさりせず、スマートではあるが。

 

 

 人型の理由

 ガトランティス人は地球人と同様、或いは同種と言って差し支えない。地球人型の文明であれば、地球人と同様の姿をとるのが自然なのではないだろうか。

 無論、脳を発達させるには手足――特に手先が器用になる必要が有る。無論、技術発展には貪欲さが不可欠。これはまごう事なき事実であり、これが進化の方向を大きく設定するのだ。

 人間は地球上で指折りの持久タイプ生物と言える。休眠状態では無く、一定期間の生存が無補給で可能。運動も長時間活動可能であり、そのための生体的発達を経た。体温の保持を中心とした体毛では無く、物理的な保護を主眼とした体毛のみの存置、立体視を前提とした目の配置とその十分すぎるクリアな視界。これらは全て前述の脳の発達と貪欲さによるもの。

 

 だから、地球人と同様の文明を持つのであれば、地球人と同様の形態になるというのは妥当と言えよう。そこから先に進んだものが暗黒星団帝国であるとか、別作品だがボーグという事になろう。

 地球人と起源の形態が大きく異なり、価値観や進化の方向性が全く異なれば、それはH.Gウェルズの〈宇宙戦争〉に出て来た火星人のような姿になるだろうし、〈怪獣総進撃〉のキラアク星人のような形態を取る事になってしかるべき。無論、キラアク星人やキアヌ版〈地球が静止する日〉のクラトゥのように人類と交渉するために、類似した形態を取るパターンがあったって不思議ではない。

 この辺りは、幾らでも考えようがあるし、合理性の構築の方法もいくらでもあるというのが実情。作品の受け手の考え方によって、拒否反応が出るか出ないかが決まる。

 

 

 繰り返しになるが、地球人と全く異なる基準や形態の文明であるならば、それは当然地球人とは異なる姿をとっても不思議はない。むしろ、その方が妥当だろう。

 その裏返しで、地球人型の文明であれば、地球人と同じ姿であるとしても不思議はないといえるだろう