旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

地球防衛軍の人員・質への考察

 

 

 あれだけ毎年地球に敵対勢力が侵攻してきてよく地球防衛軍が持つな。実際、恐ろしい回復力と評価できよう。この点を考察せずしてヤマトのご都合主義への合理的な説明が出来たとは言えないだろう。 

 

 

 現場指揮官の質
 地球艦隊司令官の質は作品中、向上はしなかった。良くて維持、悪くすると緩やかな下降線を下る――

 といっても、目立って登場した現場指揮官は沖田艦長、アンドロメダ艦長(さらばのみ登場)、土方総司令、ヒペリオン艦隊司令、山南艦長、第4期地球艦隊司令、水谷艦長の7人及び斉藤隊長。これらに加えて第一空母艦長、321ないし324磯風の艦長、603朝霜の艦長など非隊司令クラスの指揮官らが登場している。

 そもそも登場した人数は多くはないんですよね。

 

 世代を見てみると、沖田艦長、土方司令、山南艦長は多少期が前後するが事実上の同期として扱っても構わないだろう。水谷艦長もそう年齢が下には思えないヴィジュアルである為――山南艦長の一期か二期程度下の世代と推測可能だろう。さすがに少し時代が下がる為、水谷艦長は沖田艦長の後輩世代と言えるかもしれない。
 沖田さんより上の世代は恐らく、7年かかったガミラス戦役に多数が戦死してしまったとして不思議はない。無論、生き残った戦士もそれなりの数いただろうし、そのうち幾人かは軍の最高幹部にはなっただろう。タイタンで土方総司令の作戦に対して疑義を呈した幾人かの指揮官は同世代か兵学校で一つ二つ上の卒業生とみても矛盾は無かろう。
 このなけなしのベテランをほぼ全て失ったのがガトランティス戦役……。これは痛すぎる、短期的には防衛軍の質が上がるどころか下がって当然だ。

 

 

 宇宙戦士訓練学校の人事

 山南艦長は、もとは宇宙戦士訓練学校の校長。恐らく……宇宙戦士訓練学校の教官などを務めただろう沖田艦長が前線に出る一方で、土方さんが校長(ヤマト2の場合)として後方に下がり、その土方さんが前線に出たため山南艦長が校長職に就いたという時系列になるだろう。

 兵学校の校長の入れ替わりは割とよくある事で、必要な人材だと判断されれば前線指揮官として転出するのは帝国海軍でよく見られたし、現在でも様々な国の軍学校校長が最高司令官格の役職に転出する事が度々ある。


 沖田艦長が校長であったかは不明だが、最後の艦隊を率いかつ病魔に侵されていた事を考えると最初は前線に出ても途中で後ろに下げられ、いい加減まで後方にいたと考えていいだろう。だが、予備役に入れるのはもったいない沖田艦長の胆力や寄せ集めに近い部隊をまとめ上げる能力は期待に値する。宇宙戦士訓練学校に携わらせて戦力を育ててもらう必要がある。艦隊司令を務める有力指揮官としても、校長でなくとも教官ぐらいは勤めて当然。まだほかに戦えそうな人間がいるにもかかわらず、死にそうな人間を優先して前線に出す理由は薄い。戦争が最悪な状況を迎える前であれば沖田艦長のお出ましを願うよりも治療と後輩育成に努めてもらった方がずっと合理的で論理的。 

 で、実際にピンチになった為沖田艦長のお出ましを願った

 

 その際に下げられたのが土方総司令とするのがストーリー展開上も人材の配置的にも妥当なのではないだろうか。土方総司令ならば前線で活躍をしてくれることは間違いないが、死なれて後輩教育に支障がきたす方がマズイ。ルーデルと同じである。

 実戦系の教育で何より大事なのが時代のニーズに合った人物の創出。今行われている戦闘、その前線で得られた今生きた戦訓を以て新世代を育成する必要性が当時の地球には間違いなく沿ないしていただろう。より攻撃的な次世代の軍人を求めるならば、きっとかなりエグイ戦闘を展開したであろう土方総司令が宇宙戦士訓練学校で教鞭をとるなりしてくれた方が、大局を見れば妥当な判断となる。また、沖田艦長と土方艦長はどの作品でもそれなりに親交があった事を思わせる為、代わりの人事としては教育の方向性がある程度保てるため適任だろう。

 その直撃世代が古代進だった。そうやって古代進に土方イズムが注入され、司令部の命令も正しいと思ったことを前にすると軽く無視する世代が出来上がった――出来上がってしまった。土方総司令が訓練学校でどんな職に就いていたかは、想定に幅合っても問題ないだろう。古代の居た時期には教官だったが、火星で特別訓練を受けるタイミングで校長になった。あるいは古代とは一年程度しか付き合いがなかったが、あまりのキャラの濃さによく覚えていただけという話でも整合性は取れるだろう。

 ただ、数年でガミラス戦役はヤマトの活躍によって終焉。この攻撃的な戦士を産む体制は役目を終える土方竜という男の性格を鑑みれば――新設されたか、刷新されたかは不明だが自己保身的な防衛会議にとっては彼は危険分子以外の何物でもない。絶対に排除せねばなるまい……そこで、白羽の矢が立ったのが山南艦長。人当たりの良さそうというか、無能な人間から見れば無能に見える山南さんに宇宙戦士訓練学校の校長職が舞い込んでも不思議はないだろう。無能な防衛会議ならば、彼が自分たちと同じ無能に見えても不思議はない。

 代わりに土方総司令をおくりだした。これにより背後で何ぞ画策されることはなくなり、反対に土方総司令は正面切ってシビリアンコントロールの洗礼を浴びることになる。人事権者であろう防衛会議の期待とは異なり、あんまり洗礼を浴びなかったが

 

 そうやって新補された山南艦長もとい校長だが、実際には彼はかなり確固たる自己と自信を有する。その裏付けがあって部下に対する信頼や指導者としての振る舞いが出来る人物なのだ。防衛会議が望むような冷たい機械人間を量産するような体制は山南艦長の居る限り成立し得ないのである。挙句、山南校長は長官の密命を帯びてヤマトを預かすとう任務まで遂行しているのだから事実上防衛会議の目論見は木っ端みじんとなった。

 しかし、そんな山南校長も地球を救うため、自ら育てたクルーや先輩たちが育てた旧クルーと共に往復80万光年の旅路に就いた。絶対に勝たねばならない作戦、長官がヤマトと真田技師長を預けるほど全幅の信頼を置いた山南校長もとい艦長。だが彼も地球を救う戦いの中で倒れた。

 あの時点では最上級の指揮官だっただろう、指導者でもあっただろう。いうなれば山南艦長はあの時点ではヤマト以上に地球にとって虎の子と言ってもよかったかもしれない。そしてこの虎の子を永遠に失った


 多分この挽回は短期的には難しいだろうし事実、完結編では微妙な結果をもたらした。指揮官は無能ではないが、しかして詰めが甘い。艦長たちもめぼしい者がいるには居るが、しかし技術や理論が不十分。完結編での艦隊も全滅し、人員的な大損害を創出してしまった。物理的に人員確保が困難になった以上、より人員の質の確保は困難になったと言えよう。

 ただ、希望はあるだろう。沖田艦長や土方総司令、山南艦長らが立てた教育のプロットを慎重に実現していけばいい。理論が間違っていなければ、何より何が大切で何が大切でないかを見定める方針が間違っていなければ、時間をかけて戦士を訓練すればが解決してくれる。

 復活編を見る限り、不十分だったようだけどね。

 

 

 現場指揮官の確保困難

 ガトランティス戦役で名将から凡将までをまんべんなく失った。せっかく育てた航空戦力も一気に失う。中にはガミラス戦役の生き残りもいただろう。
 ウラリア戦役では重要だから下がったのか、或いは指揮能力に不安があったから前線に出なかったのか。いづれにせよ指揮官を重ねて失った。基地にまで損害が出た。最悪だったのは山南艦長の戦死。全体的に満足感の下がった中での名将から凡将まで、しかも今回は艦隊と空間騎兵の指揮官をまんべんなく失った。

 この状況では、セオリー通りの攻撃しか行わない艦隊司令が生まれても不思議はない。しかも、新戦艦はヤマトに近い武装と言う以外は特にこれと言って特徴のない戦闘艦で、相手は艦隊戦を挑んできたのだ。波動砲攻撃を優先させたのも無理はない。相手が大型戦艦で固めてきた以上、取っ散らかった武装巡洋艦駆逐艦では無く戦艦で固めるというのもわからなくもない。
 取っ散らかった武装駆逐艦ではヤマトを効果的に掩護することは難しかっただろう。しかも寄せ集めの可能性が高く、水雷戦隊としてまとまり切れず指揮を効果的に出来なかった可能性は十分ある。
 残念と言わざるを得ない艦隊を、十分と断言できない能力の指揮官に任せればそりゃ、勝てない可能性の方が高くなる

 


 誰それが居なくなったから艦隊が弱くなった。これはあまり類例のある事ではないし、地球艦隊の場合――名将の損失も度々あったが、それよりも総合的な人的損失の巨大さゆえの面がかなり大きいといえよう

 が、この名将の不在に地球艦隊の弱さを求めることも可能といえば可能だ。


 オランダの誇る闘将ミヒール・デ・ロイテルは祖国のために死力を尽くして英仏の二大大国の艦隊に対して果敢に立ち向かい勝利を挙げた。しかしその死後、オランダ海軍は決定的に劣勢に追い込まれてしまう。
 オーストリアの誇る勇将ヴィルヘルム・フォン・テゲトフは海軍の育て方の妙を知っていたが、彼の死去後そのメソッドを失ったオーストリア海軍は何十年分も後ろ向きに進んでしまう。
 ロシアの猛将ステパン・マカロフはその熱意によって不十分な状態の太平洋艦隊の能力を引き揚げ、日本海軍にとって十分すぎる脅威へとまとめ上げた。さらに積極攻勢の構えも見せて、徹底的に日本艦隊とにらみ合う。しかし、その突然の死は艦隊の士気を思いっきり低下させることに繋がり、積極攻勢を微塵も取らなくなってしまう。
 フィクションの世界であればアクバー提督。彼亡き後のレジスタンス軍が一体どうやって、やたら目ったら強いファースト・オーダーと戦うのだろうか。あげくホルド提督まで失い、それで戦術的勝利のみ……。彼等が居ても大分劣勢だったのにね。

 

 地球艦隊も名将と言われる存在を度々失い、普通の指揮官すら多数失った地球艦隊に、戦略的に敵より優位を確保できる人間は――ほとんどいなかったのだろう。であるならば見方は純粋な火力勝負となり、敵は少し頭を使うだけで十分勝てたのかもしれない。

 


 人員の変遷
 第二期地球艦隊の人員確保は大して難しくなかっただろう。突撃駆逐艦の人員が50名程度、司令船が100名程度と仮定した場合。撃沈されたとしても数名は生存が見込めるだろう。大破したとしても十数名は生存しているとみても問題ないはず。
 火星圏がガミラスの手に落ちたとしても、ヤマトがそれなりに航行可能かつ土星圏まで割合普通に航行できたことを考えると――ガミラス艦隊の数はさほど多くないことや地球艦隊が無理なりに善戦した事が想定可能だろう。

 

 2000年代以降の現代海軍において、超大国は大体1000隻前後で人員も200万人前後。航空戦力も3000前後が目安になる。
 この数字は中身のあるものかと言われれば正直微妙でアメリカが11の空母を保有し中国が4・5隻保有を目指す。強襲揚陸艦アメリカが10ほど、フランスは3に加えて中国やイタリアが2隻ほど。これらに準ずる大型艦を日本は4、ブラジルなど複数国が1ないし2隻以上を保有している。
 300メートル前後の大型艦は全世界を対象にすると、恐らく40ほどか。人員はアメリカのずば抜けたそれを含めて2万6000、英仏伊などが合わせて8000、これにほぼ同数の航空要員――合計6万8000人。揚陸艦は全部あわせて1万人ぐらいだろうか。

 170から130メートル以上の中型艦を考えると日本は8、スペインやイギリスなどは約5、えげつないアメリカは20と案外世界中多数存在する。まともな海軍を持っている国は案外この手合いのを型式は別にすれば数として5以下は保有している。これを考えると全世界に100隻は下らないだろう。どの艦も大体300人ほどが人員であろうから、3万人は下らない。
 
 現在の地球上にある海上戦力を運航するには、航空要員も含めると人数としては10万人は最低ラインとして設定可能だ。これを地球防衛艦隊に落とし込んでいく。

 


 幸いな事にヤマト世界における戦闘艦はかなり省力化が進み、ヤマトのような巨大戦艦でも100強で運行が可能となっている。どう多く見積もっても艦の規模や任務からして先に述べたように突撃駆逐艦の人員が50名程度、司令船が100名程度と仮定可能だし、これよりも少ない人数でも運航自体は可能だろう。

 第一期の場合、全般として艦艇が一回り小さく、沖田艦も200メートル前後、突撃駆逐艦は設定では70メートル以下で再設定しても140メートルを上回らないだろう。

 これを考えると数的には第二期のそれを何割か上回る数を確保出来るだろう。また、第一期においては人員の面では現代艦艇の1/10から1/100ほどを当然見込めるため、現代海軍と同じ数の人員を確保出来るならば艦艇は10倍を確保可能になる。
 第二期地球艦隊と現代の大型から中型の戦闘艦艇の数が近接していることを考えると、地球型の文明や人口では物理的に整備し得るのが大型艦が多くて50、中型が多くて120程度と推測できるだろう。戦艦が90名、巡洋艦が50名、駆逐艦が30名程度と予測すると1万人強。その他艦艇も合わせても1万1000人前後と推測できる。

 

 地球史上最大の戦力、第二期地球艦隊の運航に必要な計算上の総人員が、実際の軍艦の運航に必要な総人数の約1/10程度に収まる事を考えると航空要員も含めても人数としては――地球防衛艦隊を運航するには人員1万人程度を最低ラインとすれば十分だろうつまり十分要員は予備役含めて3万人程

 これらに加えて、支援艦艇や事務(地上勤務の司令部要員)などを含めた場合、10万から20万人を確保できれば地球防衛艦隊は機能可能と思われるただし、当時の地球の人口が不明であるから――これがどの程度の規模といえるのか評価は不能

 

 

 艦隊人員変遷の予想は次の通り―― 

 第一期 主力・支援艦隊人員合計約3万。志願増加を鑑みて主力艦隊人員4万から5万ほどが最大。支援艦隊は2万前後で推移。戦死を6割前後として残存は2万。負傷兵は予備兵へ。事務3万。
 第二期 主力艦隊人員約2万+新規数千。支援艦隊は予備役ないし新規約を回して1万に圧迫。結果ほぼ全喪失、残存は負傷兵1万程度か。事務3万、幾らか被害。
 第三期 名目上ゼロ。実際は新規教練中2万人+治療中の予備兵1万。事務3万、多少の被害。
 第四期 主力艦隊人員/約2万人+先の戦役での喪失分補充(新規・予備兵)1万。支援艦隊人員/新規1万+復帰予備兵数千。ほぼ全喪失。事務3万。

 

 なお、事務職員の人数は、日本最大の官庁たる厚労省を前提に3万とした。これだけの規模があれば、完璧とは言わないまでも効率化を推し進めれば恐らく、太陽系全域の保安任務の事務を担える――はず。

 

 

 存外に第二期地球艦隊の建設は簡単かもしれない。第四期も第三期に人員がほとんど前線に繰り出されなかったからこそ、あの安定した建設が可能だったかもしれない。第二期と無人艦隊の失敗を念頭において原点回帰=人間が運航のイニシアチブを握る艦艇へと戻したのかもしれない。この場合は第四期は航空戦力を除いても人員定数で第二期を抜くだろう。

 が、ディンギル戦役後には恐らく――ほとんどの戦力が失われていただろう。地表の宇宙港まで攻撃を受けたのは痛かった。これで事務職や技術職まで相当数被害が出た可能性が高い。

 

 仮にこの状態で翌年、敵が来襲した場合は恐らく……かき集めて艦隊戦力1万人で迎え撃たなければならなくなるだろう。ヤマトもいない。
 そうなった場合、完全に詰みだった

 

 

 

 陸戦兵の人員変遷
 要塞の人員は平時は1000名強が普通だろう。エバン・エマールのような、まあまあな規模という前提で。いや、少ないか……。
 街規模であれば、戦時であればどこも大体3万は投入する。ガリポリでもオデッサでも――後者は12万にまで最終的に戦力が投入されたが。ディエンビエンフーの戦いではフランス側は1万3000程度であるが、それでもマジノ線みたいなのに頼りたくなるほど人口減のきつかったフランスの戦力から考えれば結構大量といえよう。
 マジノ線レベルになると、小要塞が100から200人、基幹要塞になると500から1000人を擁し、これらの要塞が108個15キロに及んで並ぶ。最低でも2万人ほどがはりつき、10万人ほどを戦力として投入可能な防護用巨大要塞である。

  これらの数値を想定の前提とする

 

 惑星一つに1要塞というわけはないだろう。複数個が展開していて当然。

 拠点となる要塞が3つか4つ、その援護用要塞が10。これを駐屯地の広さに合わせて全球状に5以上は設けたいだろう。ぶっ放す砲長、旋回担当砲手、仰俯担当砲手、装填担当調整担当砲手、プラス補助。これらが砲には絶対必要で、大型であればあるほど補助が必要だったりする。別に海軍でも陸軍でもそう大差はない。


 ヤマト世界の場合は省力化が極めて進んでいるため、装填はほぼ確実に自動。照準や旋回に角度調整も補助が付いているだろう――これらの状況を鑑みると要塞砲も一門に何人もへばりつく必要はないはず。第11番惑星派遣隊のように1基につき一人が張り付いて攻撃を行ったが、別に防衛システムが完全に機能していればヤマトのパルスレーザー砲群のように自動的に砲撃だって可能だろう。たとえ、相当数の砲を擁する要塞であったとしても、それだけの人員が必要とは限らない。


 地球本土、月面、火星、木星圏、土星圏、天王星海王星冥王星、第11番惑星。それぞれに基地を設けたとして、全球状に15ほど要塞コンプレックスを設けよう。一つの要塞コンプレックスを15キロ圏内を縄張りにさせ、周囲100キロ圏内を担当させれば全球をくまなく防衛することは不可能だが、それでも半分強はカバーできるだろう。


 第二期の時点で基地戦力は平時には200人程度で一個を運用してもらうとして全球で2000人程度を基準とすると――冥王星と第11番惑星はそれぞれ2000人強。月面、火星は倍の5000人で天王星海王星及び木星圏、土星圏は散らばる衛星に駐留させることとなる為平均して1惑星に3個衛星基地で6000人。本土に1万人で合計すると4万8000人程。ここに航空要員を上乗せすると一気に倍の総数8万から最大10万は配備人員として見込まれるか。

 

 惑星基地要員の変遷予想は以下の通り――

 第一期 元来8万、最盛期10万から12万を推定。基地は順次放棄して撤退すれば損害は抑えられるため戦死は意外と少ないと考えられる。損失は3万弱ほどか。事務は各惑星5000人、総数4万。
 第二期 ガミラス戦役残存5万+予備ないし新規5万前後。内、航空戦力は4万前後。さらばでは火星基地等、大損害。ヤマト2では航空要員ほぼ全喪失、複数基地に損害。損失は6万から7万。事務総数4万、損失多数。
 第三期 ガトランティス戦役残存3万+本土戦力より抽出6万+新規・予備3万。損失1万から最大8万人。最悪の場合、ほぼ壊滅。事務総数4万、相当数損害。
 第四期 残存戦力約3万人+本土戦力より抽出航空要員2万の陸戦転用+艦隊より抽出1万から2万、加えて新規2万。事務総数2万5000。損害多数、数万を見込む。

 

 基地の事務要員数はそこそこの規模の県庁の行政部門職員を前提に算出。また、地球本土には歩兵・機甲師団・航空戦力合わせて40万+事務職15万人をみこむ。事務職はアメリカ国防総省の文官と武官の割合を参考にした。

 

 

 ガミラス戦役もガトランティス戦役もかなり痛いが、建て直しが不可能というほどではなかったはず。特にガミラス戦役は大した問題はなかったはずだ。

 地球本土戦力を中々、惑星基地に送れないが――それは惑星基地側のキャパシティの問題であり地球本土を多少手薄にしても本来は数万単位で惑星基地に送り込むのが本来取るべき手段だろう。

 地球防衛軍の陸上戦力にとって最大の危機は……多分、戦力を補完するために圏内に配置した部隊が一年とたたずに暗黒星団帝国にやられたあの時だろう。あれはガミラス戦役やガトランティス戦役とは異なり陸上戦力が戦いの中心であり、奇襲を受けて大損害を負ってしまった。あれは非常に痛い。痛すぎる。まさか本当に全滅したという可能性はないだろうが――相当数の被害が考えられるだろう。

 大局的に見れば、ディンギル戦役では惑星基地への攻撃は破滅的なモノでは無かったであろうから、それなりに戦力を温存可能だったはず。まだ、建て直しは可能だろう……が、そうはいっても連戦に耐えられるだけの体力はなかったはず。

 

 

 

 地球の人口は推測できる要素がない。世界人口が2200年前後でどの程度になるだろうか――10年ごとに約10パー増加であれば、2100年に100億を突破し2200年前後には170億人に到達する計算になる。80億人が限界だろうという推測もあるし、何なら先進国病である超低出生率が世界に及んで2200年には現在の人口である75億人強の半分にまで落ち込むという推測もある。


 仮にガミラス戦役時の人口が150億人で、これが地球と火星に分かれて居住するとする。前者が80億人、後者が60億人、スペースコロニーに10億人。仮に80億人であれば、本土60億人、火星に20億人ほど、スペースコロニーに3億人ほどと勘定できるか。

 火星にこれだけのキャパシティがあるかは疑問だが――7年ほどの時間をかけてのガミラス戦によって環境が再び急速に再火星化してしまった為、あのような状態になってしまった。とこじつけはできる

  

 現在、世界中には10を超える2千から3千万の人口を抱える都市圏が存在する。市域に限定してもほぼ同規模の市が10は存在する。一回り規模の小さい市や都市圏はこの倍以上存在する。これらを遊星爆弾で狙い撃ちされた場合、いっぺんに3千万人が消滅しかねない。少なくとも居住域が失われる40発の遊星爆弾が巨大都市それぞれに直撃した場合、最大で5億の喪失は覚悟しなければならない

 仮に人口が現在よりも多ければ、それだけ目標が多くなるか一発当たりのダメージが大きくなるかのいずれか。最悪、10億人が一瞬で消える可能性もある。人口増だけでは無く、サスティナブルな生活の為に先進国が人口を集中させて過疎地を切り捨てて結果的に的を巨大にしてしまうというシナリオもあり得る。
 残りの地球人はアフリカや中央ユーラシアあるいは島嶼部の各国が主力となるだろうが、残念ながら失礼ながらいわゆる先進国と同等の学習環境や経済環境にあるかといえばかなり疑問。即戦力化は先進国の人間を訓練するよりも若干困難になることが予想可能だ。

 

 火星の人類に至っては全員見捨てなければならなくなるだろう。地球に何十億もプラスして養えるキャパシティがあるかは不明であるし、まして遊星爆弾の被害が出ている状態ではなおの事見込めない。

 恐らく地球80億人で戦わなければならないだろう。遊星爆弾の第一波被害が出た途端に70億、地下都市への退避が遅れればそれだけ被害は大きくなり第二波では60億を割り込む。60億にまで落ち込んでも、地下都市の建設が速やかかつ、大規模に行われなければ60億の人間をかくまえない。そうこうしているうちに第三波の攻撃まで受けてしまえば50億、続く第四波では40億まで平気で低下するだろう。
 元が60億人であった場合、第三波の直撃後には30億ぐらいに減ってしまう。第四波の直撃を受けてしまえばWWⅡ前後の人口にまで減ってしまう。仮に地球を先に攻撃された場合、なおの事火星の居住者は切り捨てるという事になってしまうだろう。無論、決死の脱出作戦は行われるだろうが、よくて数千万程度しか脱出できないだろう。


 ガトランティス戦役において、特にヤマト2では地球への直接攻撃が行われた。やたら目ったらにぶっ放したおかげでそんなにヤバい被害はない――かもしれないが、いきなりの砲撃に近く、結構地面を抉っているため、数億人が被害に遭っても不思議はない。万が一都市部に直撃していれば、一発で数百万人は消滅する。

 特に、移動できないお年寄りを中心として大被害が出ているだろう

 


 人口と軍事力の対比から言えば、10億人に落ち込んだとしても、100万人だって依然として確保可能だ。数としては。

 だが、艦隊戦力3万人+基地要員10万人を訓練するには3カ月から半年の年月と数万人の熟達した軍人が必要である。これを支援する人員もまた必要である。彼らが働くために、専門的な技術者も数万人確保する必要が有る。これら背後の人員の訓練も必要である。結局、十数万人の人員を確実に戦力にするのにその3倍近い、背後の人員を確保しておく必要が有る。実はこれが結構厳しい……


 地球防衛軍の人員と、その供給源の関係は――想定としては、日本の人口と自衛隊の人員の比率に近いかもしれない。それって結構苦しいぞ……。綱渡りで、しかも教育部分や財政部分がかなり先行き不透明。

 地球連邦の場合、徴兵制があれば――あるいは、うまく政府がプロパガンダを打てれば志願兵を確保出来るだろう。人員確保としては地球の総人口が10億人を下回らない限りにおいては十分継続して、それなりに安心して数を確保可能ただし、教育をどう行うかが戦力化のネックになるし、何度も負けている点から財政が拡大どころか縮小されかねないいい加減、勝たにゃならん

 

 忘れていたが、地球そもそもの人口の内容がどれだけ充実できるかは考える必要が有る
 ガミラス戦役では初めに年齢的中間層が、次いで若者が前線に立たされた。若者が前線に駆り出されるのは、年齢的中間層が消滅したが、勝てる見込みがないのに結構手をかけて作り上げた戦力を無駄にしないため――非道だが、リスクヘッジという点では理解できる。

 次いでガトランティス戦役地球防衛軍が最も充実していた期間だが――この時においてガミラス戦の生き残りがごっそり持っていかれた。新規編入の幾らかの若者と、移動できない多数のお年寄りが被害に遭った。ガトランティス戦役では社会保障的には割と楽になったかもしれないが……連続二回の戦争で結婚適齢期の人員が多数戦死したのは痛い。

 この総力戦おかげで、あと一歩で年金にお世話になる世代(ギリギリ戦地に投入されなかった世代)と、これから進学するか社会に出るかを決める世代(戦地に向かった若者の弟世代)と赤子しかいなくなってしまった。これはかなりヤバいくらい、いびつな人口構成比だ。まるでナポレオン戦争後や世界大戦後のフランスのよう


 ウラリア戦役では本土防衛で生き残った人員に加えて、四十肩五十肩に苦しむ諸兄が駆り出されたに違いない。まさか赤子や中学生を学徒動員できるはずもない故。だったら、上空から奇襲を仕掛けて来た降下兵に気が付かなかったのも仕方がないかもしれない――マインド的に無茶な首や肩の動きはしたくないのだから。そして、地球はこの戦役で更に大損害。地味に民間人にも被害多数。
 ディンギル戦役時点では地球の人口構成比はほとんどボロボロだっただろう。歴戦の勇士は最早年齢関係なく貴重すぎる戦力だし、若くても活きが良ければ採用、年齢が行っていても技術に対応できるならば投入……奉天付近の日本軍やベルリン包囲を受けたドイツ軍に近い状況だろう。挙句これも結構な数を失う。

 

 全体として、たとえ地球防衛軍を数の上で維持可能な人口を地球が擁していたとして、その人口比はボロボロである為――地球防衛軍の質を維持できていたかは大いに疑問。むしろできなかったとするのがだろうではないだろうか。つまり、もし、あと1勢力でも地球に侵攻していた場合は――地球連邦は木っ端みじんになっていただろう

 少なくとも、完全に波動砲頼りの、極めて頭の悪い戦術を取らざるを得なかったはず。しかもリスクも大きい戦術。

 

 

 地球防衛軍は恐らく、人員の数は案外容易に確保できるだろう。ディンギル戦役においては苦しくなるが、ぎりぎりのラインで確保可能と予想できる。

 ところが、その質に関して言えば戦争を重ねれば重ねるほど、低下して行ってしまう。特に事実上の敗戦を重ねていっているのも痛い。指揮官の質も、主要幹部が次々と戦死したという事も考え合わせると、これも質の低下につながる。地球防衛軍は恐らくガトランティス戦役を前後してその質が決定的に変化し、一部を除いて低下傾向になったと説明できるだろう。

 ボロボロな戦闘しかできなかったというのも無理からぬことかもしれない。ご都合主義というより自然な流れ、と説明可能だ。

 

 戦争は勝ったか負けたかも重要だが、勝ち方や負け方も重要であるといえよう。真面目な話。