旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

暗黒星団帝国兵器群 巨大空母――悲運の大型空母――

 

 

 巨大空母は劇中ほんの少しだけ登場した艦艇である。

 活躍しないまま撃沈されてしまった哀れな戦闘艦なのだが、これが意外にもそこそこ詳しい設定があったりして作品中の立ち位置として興味深い。ある意味、幅や全高の端数の値まで設定されながらこの扱いというのは哀れともいえる。

 そんな艦艇を今回は考察したい。

 

 

 ――データ――

 艦級名:不明
 全長:480メートル
 全幅:429.8メートル
 全高:163.3メートル
 武装:3連装主砲4基(右舷並列2基、左舷並列2基)
 搭載機 :戦闘爆撃機

 搭載機数:不明

 

 おおむね巨大戦艦に近いが、艦体のど真ん中を滑走路としており、そのため左舷側に艦橋を配置している。艦底部には第3艦橋的なものが付いているが、利用法は不明。滑走路を挟んで両舷艦体には自衛用の火器が据えられ、これは巡洋艦と同等の火力を有するものと思われる。

 艦名やクラス名などは特に設定されておらず、そもそも大して画面に登場して居ない。一方で海外では〈Harvester〉つまり収穫機とか刈取り機などという空母に使うにはあまりに不気味な名前を貰っているらしい

 

 

 搭載機数の推測
 困ったことにナスカと同じデザイン。つまり、格納部分がおおむね両サイドしかないという事。しかも搭載する戦闘爆撃機は全長60メートル、高さ10メートル、幅53メートルの超大型機。あのデスバテーターよりデカい


 滑走路は恐らく幅は120メートル以上。故に両サイドは合計360メートルであるから、片舷180メートル。高さが微妙なラインで50メートル程度か。
 これらから計算するに、片舷につき格納庫内は横に最大3列の3段に縦に最大7列が予想される。つまり63機、合計126機である。ただこれは方形であった場合の話であり、片舷につき12機分のスペースは欠損するし、更に12機分のスペースが実際に使用できるかどうか怪しい。故に通常は78機、最大102機となる。

 

 全長:480メートル
 全幅:429.8メートル
 全高:163.3メートル
 武装:3連装主砲4基(右舷並列2基、左舷並列2基)
 搭載機数:常用60機+補用10機
 搭載機種:戦闘爆撃機


 積みこむ機体が大型である為必然的に機数が少なくなるが、しかしかなり大型であるし、割合に常識的な機数の空母といえよう。

 燃料等の搭載スペースは元来積みこめるであろうプラス30機分の格納可能スペースを利用することで、数回の燃料なり武装なりの補給が可能になるだろう。また、中間補給や輸送艦が近い範囲に存在しているため、艦自体は爆撃機発進の安全かつ快適なプラットホームを提供できれば、それで十分とも考えられる。
 思ったより積めた。

 

 別に必要ないのだが、巨大戦艦とヴィジュアルを揃える為に3倍すると――
 全長:1440メートル
 全幅:1289.4メートル
 全高:489.9メートル
 武装:3連装主砲4基(右舷並列2基、左舷並列2基)
 搭載機数:常用180機+補用30機
 搭載機種:戦闘爆撃機

 と、非常に強力な戦闘力を有することになる。

 

 

 

 艦の運用

 運用方法は巨大戦艦とは違い、敵火器の射程圏外での活動を前提とし、集中運用による航空戦力として比較的攻撃的な運用になるだろう。敵艦隊への攻撃や敵拠点への攻撃、或いは大機動部隊に対抗する防空ないし奇襲的航空戦力。


 防空をこれだけの大型艦を集中出来れば完璧に近いだろう。自衛は周囲に配する護衛艦に任せ、本艦は速やかな戦闘爆撃機の発進に努める。

 攻撃側に回るには画面に映ったのが3隻、全体では概算で……10隻かそこらだろう。全部送り出す可能性は低いだろうから、仮に地球側の航空戦力・艦隊戦力が強力であった場合消耗戦になってしまいかねない。しかも民族の未来をかけた戦いとも言えるため、出来るだけ確かな勝利を目指したいだろう――だとすれば、やはり奇襲以外に方法はないだろう。結局航空戦力による奇襲は行われなかったが

 奇襲だったら5隻でも十分すぎる戦力であり、敵を粉砕することは可能だろう。かのプロキオン方面軍であっても、この巨大空母が集結し防空を担う艦隊相手であれば、撃滅するのは容易ならない。奇襲をかけられた場合、ヤマト2のような展開にならないとも限らないだろう。

 それを、暗黒星団帝国側が奇襲側として引き起こすのである

 

 と、色々と述べたが……まあ、おそらく、敵拠点への制圧的攻撃というのが一番妥当
 戦闘艦によってあらかたの大戦力を粉砕し、しかる後にプレアデスやガリアデス、輸送艦搭載機にって行われる空襲――で決定的効果が薄かった場合、後から前進して大量の艦載機を以て当該地を殲滅する。という運用。

 護衛艦艇の能力不足や、この艦をあまり数が用意されていない点も鑑みると、艦隊決戦ではあまり能力を発揮できないというか、自衛火力の無さを考えると非常に不安である。反撃できないレベルに敵を粉砕し、しかる後地上を殲滅する。というのが一番安全な運用だろう。特に対地球戦闘においては地上戦を非常に重視した暗黒星団帝国であれば、地上占領を支援する存在というのは当然必要になるだろう。


 ソ連なんか地上戦に全てを賭けて、海空全ての戦力は全てその支援に回るというプロットがあったし、アメリ海兵隊も海軍に強力な火力支援の出来る戦闘艦を求めたりと地上戦に対する強力な火力支援・爆撃支援は非常に重要なものであることは間違いない。
 この巨大空母はそれを提供することが第一の目的となるだろう。

 

 

 武装の脆弱さ

 困ったことに、この艦には12門の巡洋艦クラスの火砲しか自衛火器がない。

 絶望的とまではいわないが、大型艦艇の接近に対しては無力。仮に戦線を突破され、艦載機隊が破れた場合は護衛艦が捨て身の援護をしつつ退却する他ない。

 また、極めて珍しい事に、この艦は横方向に対する攻撃に非常にもろい変な配置をするから、円盤の強みを活かせていない。おかげで横方向へは3門、うまくいって6門しか向けられない。数パーセントとはいえ、横を向くと的が大きくなってしまい、わずかに被弾の可能性が高くなる。反対に正面方向へは12門を全て向けることが可能で、自軍の巡洋艦2隻程度の火力を確保可能。ガミラスのような小型艦艇が主力の勢力愛でに対し、正面で戦えば――多少のアドバンテージが確保できよう。

 が、これ以外の武装が全くないらしい。非常に問題。どうやって接近する小型艦艇や艦載機を撃ち落すつもりだったのか……やはり護衛艦に犠牲になってもらうほかないのであろうか……。

 まあ、後方での前線の下支えなら、そんなに敵と遭遇する機会もないのだから、自衛火器も無きゃ無いでいいのかもしれない危ないけどね

 

 

 劇中の活躍

 劇中の活躍はない。派手に誘爆し、姉妹艦共々炎の塊になったのみ。本当にコメントのしようがないほど、活躍がない。描写もなかった。無念

 

 

 幸か不幸か、これらに対抗し得る地球の巨大航空戦力はガトランティス戦役ですべて失われてしまっていた為、初めから出撃する機会があり得ようはずも無かった。暗黒星団帝国が比較的慎重で巧妙な戦略を立てて敵と対峙するというその性格付けには非常に役に立った。

 ただ、それは二次創作であるとか考察して専門家ぶりたい人間にのみ有用であり、劇中においてはまったくのかませ役であった。