旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

第三期地球防衛艦隊 建造スケジュール

 

 宇宙戦艦ヤマトの鬼門は何度も言うが、数字だ。特に艦隊建造のタイムスケジュールは最悪。それはたとえ無人艦隊であっても事情は同じである。

 

 


 無人艦隊の萌芽
 恐らく、無人艦隊の建設はガミラス戦時から考えられていたとするのが妥当だろう。戦力が例え壊滅しても軍人の数を維持できる方法、それは軍事力の低下を最小限に抑える方法といえるだろう。
 その一つの答えは当然、戦闘衛星という事になるだろう。無人で地球の持てる技術力の範囲で戦闘衛星に搭載できる範囲の最大火力を持たせた拠点防衛用の装備。ガミラス戦時の地球の技術では、これ以上の物は望みがたいだろう。
 もう一つは、無人艦隊。戦闘衛星の上位互換で機動戦を行える無人の拠点防衛用の装備――ただ、これは地球の当時の能力では全く持って実現不可能。浮かぶだけがせいぜいだっただろう。なにせ、地球にとって対艦装備として必須のショックカノンすらなかったのだから。

 当時の能力を考えると、戦闘衛星がベストな選択だったといえるだろう。
 


 しかしイスカンダルからの技術がもたらされた。

 地球そのものも復興し、大型の軍事力を維持できるだけの力を持った。さらに、ヤマト2においてヤマト出動阻止のために稼働させた戦闘衛星が使えん代物であることが露呈。何せ機動性がろくになく、火力もあんまり高くないし速射性も特にない。ダメ押しにラーゼラーの降伏勧告艦隊の迎撃に戦闘衛星を集結させたが木っ端みじん

 ただひたすら火力が足りなさ過ぎた。機動性もやっぱり話にならなかった。
 

 

 機動性と火力を持った戦闘衛星に代わる無人防衛手段の必要性――これはかつて考えたものの実現に至らなかった無人艦隊を再検討すべき段階に来たという事に他ならない技術を重ねた地球にとって無人艦隊は出来て当然のレベルまで落とし込まれている。計画を解凍しないという選択肢はない無人艦隊を建設し、差し当たっての太陽系圏内の防衛を行う。長期的に見てベストかどうかは微妙だが、短期的に見ればベストな選択肢と判断可能。

 ガミラス戦時において求められた、軍事力を維持させたまま、無理な攻撃をさせて消費しても痛くない戦力の完成系。それが無人艦隊だ。

 

 


 建造工程
 大型艦と小型艦の形状から考えて、第一期地球艦隊の戦闘艦艇や第二期地球艦隊の戦闘艦艇の形状とそう違いがない。特に、第一期の司令船と第二期の巡洋艦無人艦隊小型艦と類似した全長と形態である。どちらも設計に流用可能。流用せずとも参考にはなるだろう。
 ここから考えてどの程度建造が容易になるか――

 

 ガトランティス戦役までに残存していた司令船は転用の第一候補。オーバーホールしてもどこまで役に立つのかは不明だし、何より古い。第一期と戦列を組ませるには射程等々で非常に難しい。新鋭艦艇の建造に転用して根本からリペアするのが有用だろう。


 ガトランティス戦役後の残存艦艇の内、損傷のひどい巡洋艦――特に白色彗星迎撃に参加し命からがら脱出に成功した艦であれば、波動砲関連の機構に損傷があっても不思議はない。というか、だから土方総司令は第二波攻撃が出来なかったと以前想定した。であれば、巡洋艦を修繕より抜本的に改造した方が安上がりと考えても不思議はない。

 

 大型艦は、エンジン回りが巡洋艦のそれに近いが一方で全体的なデザインや全長はアンドロメダのそれに近い。ヤマト2においてはアンドロメダは前半で5隻……アンドロメダを含めて6隻か、それは解釈の違いだろうが――後半には10隻体制ないし11隻を土方総司令から要求された。
 アンドロメダ喪失で-1、残り9ないし10、超巨大戦艦の砲撃で損傷を負ったのが2程度だとして残りは7か6。半分が完成度が50パーセント程度、残りが20パーセントと仮定して、20パーセントを半ば放棄。完成度50パーセントのアンドロメダ級を無人艦隊に改造した方が戦力化が早いだろう。エンジン部周りの工作が難しいと判断した場合は建造度20パーセントに注力し50パーセントを半ば放棄となる。

 エンジン回りが結局巡洋艦のそれに近いのか、ヤマトのそれに近いのか判断に迷う所であるが、すでに地球防衛軍が何度か試した推力方式の発展型といえよう。これを考えれば、そう工期が伸びるとは思えない。

 

 以上のように、割合転用可能なガワの確保には困らないし、建造工程を大小は別として共通化させることは可能である。そのため、100隻未満程度の隻数であれば十分ガトランティス戦役直後の地球でも調達は可能だろう。 

 不要な武装は破棄すればいいし、追加の武装も場合によっては地上配備のいくつかの砲台を転用してもいいだろう。ディンギルに空襲を受けた港の防衛砲台のアレなんて何となく無人艦隊の舷側砲に似ている。

 

 

 建造数の割合
 画面が一々暗い上に大型艦と小型艦は艦影がそんな違わない。さらに画面上あんまり詳しいシーンがない為、比率が不明だが……恐らく大型艦と小型艦の比率は1対10ほどか。小型艦は画面上では20かそこらだが、演出の具合や黒色艦隊の規模から考えて総数50隻強ぐらいと推測できるだろう。想定として大型艦は5隻程度となる。

 最大で70隻クラスの戦闘艦を月軌道から地球へ投入し占領部隊を攻撃できるとなれば、守が頼ったようにたとえレベルの低い操り人形でも戦果を見込めるだろうか。

 

 


 建造スケジュール

 頭をひねらなければならないのが建造スケジュール。現実の艦艇の改装でも大抵半年はかかるが、仮に未来の技術で高速化が可能であったとしても抜本的に近い改造である為……最低でも1年は確保したい。

 

さらばベース
 2192~2199年頃:対ガミラスの戦闘兵器として計画。戦闘衛星と無人艦隊の拠点防衛用装備コンペに戦闘衛星が勝利、無人艦隊計画は一時凍結へ。
 2200年9月頃:ヤマト帰還。(ガミラス戦役終結
 2201年8月頃ガトランティス戦役開戦。
 2201年11月頃ガトランティス戦役終結。戦闘衛星の能力不足露呈+本土防衛装備の必要性確認。無人艦隊計画再始動

 2201年12月中イスカンダルにて対暗黒星団帝国戦闘開始。
 2201年4月中無人艦隊設計プラン完成、廃艦予定艦艇を転用し建造へ
 2202年10月前後無人艦隊第一陣就役。以降順次完成次第戦線投入へ
 2202年11月前後暗黒星団帝国地球襲来。無人艦隊壊滅

 

 ヤマト2ベース(2200年9月まではさらばと同じタイムスケジュール)

 2201年11月頃:ヤマト出動阻止失敗。戦闘衛星の能力不足露呈、無人艦隊計画再開
 2202年1月頃ガトランティス戦役終結。 
 2202年2月頃イスカンダルにて対暗黒星団帝国戦闘開始。
 2202年4月頃無人艦隊プラン完成、無人艦隊建造開始
 2202年10月頃無人艦隊第一陣就役。
 2202年11月前後暗黒星団帝国地球襲来。無人艦隊壊滅

(場合によっては襲来が若干後ろ倒しになって2203年初頭だが、聖総統の説明と異なる為2202年以内と想定したい

  

 厚手の軽装なのか薄手の重装なのか判然としない服装の一般人と、つるべ落としに暮れる夕日を鑑みて暗黒星団帝国の襲来は秋ごろと想定。秋ごろならば、多少寒いころ合いであれば冬至に近く、それだけ以前行った基地制圧に関しての仮死状態からの蘇生もリミット的に整合性が綱渡りだが可能になる。

 

 無人艦隊のプラン検討・建造可能期間を明確化すると、2201年11月頃から2202年11月前後の12ヶ月間。さらばとヤマト2では戦闘期間が異なるが、両作品で戦闘衛星が出動したとみられるシーン=前者はバルゼー艦隊の降伏要求、後者はヤマト出動。これが両者ともに11月前後であると予想できるため、意外に容易に猶予を1年は確保可能だ。
 さらばベースであればまるっきり新造するわけでは無いという前提に加えて、超巨大戦艦による損害もない為かなりの確率で数十隻規模で建造可能だろう。半月をかけて司令船の残骸であるとか巡洋艦の残骸を用いてこれを無人艦隊小型艦に仕立てる。これら多少無理をすれば……十分建造は可能だろう。

 そう言う無理が、後々大きな問題を作ってしまうのだが

 

 

 大規模な艦の修繕・改装を施すのには大体半年を見込むのが史実。

 1916年10月に艦首をもがれた〈ヌビアン〉と11月に艦尾をもがれた〈ズールー〉は1917年6月にニコイチで〈ズビアン〉として就役した。
 1927年8月24日美保関事件で艦首下部をもぎ取られた〈神通〉は翌年3月に復帰、1935年9月26日第四艦隊事件で艦首をもぎ取られた〈初雪〉と〈夕霧〉は翌年12月1日に復帰。ただ、後者は設計見直しを含めての工事であり、しかも日本の工業力を鑑みる必要が有る。
 〈橿原丸〉は1941年1月21日に買収され6月26日に進水、翌5月3日に〈隼鷹〉として竣工した。同型の〈出雲丸〉=〈飛鷹〉も同様のスケジュールであり、他にも〈新田丸〉は6月21日から本格的な空母〈沖鷹〉への改装を行い11月25日に改装を終了した。戦艦〈日向〉は1943年5月に改装工事を開始、11月18日に航空戦艦へと生まれ変わった。
 重巡ピッツバーグ〉はコニー台風に遭遇し他結果艦首をもぎ取られて1945年7月16日から翌年3月頃まで修理に専念。

 

 単純比較はできないが、これらいくつかの事実が半年程度で大規模な工作が可能という論拠になる。

 

 

 

 タイムスケジュールからみた自律機能のオミット
 2200年代においてアナライザーのような自律型のロボットが存在していることを考えて、これを艦に組み込むのが自然。
 なぜそれをしなかったのか。正直これに関しては各艦の記事において述べたように不可解だし、やられメカとしてご都合主義な演出。

 

 無理やり説明するならば――

 :元々の計画は戦闘衛星と同様のかなり自律レベルの低い無人艦艇を設計していた。特に電源の問題が解消できず、戦闘衛星が本土防衛策に採用されるに当たって計画が凍結。この計画を解凍したものの、ガトランティス戦役後の戦力穴埋めに全力を注ぐべく基本設計は変えずに武装の更新を行ったのみ。おかげで自律機構の開発を後回しにしてしまいレベルが非常に低くなってしまった。

 :学習の幅を限定したAIでは能力はたかが知れている、アナライザークラスではあまりに個性が強すぎて艦隊運用に支障をきたす可能性がある。これらの落としどころが見つからず、開発を続ける中で後で搭載できるようにガワだけさっさと建造し、結果ウラリア戦役までに自律型機構が完成しなかった。という事になるだろうが説明が非常に苦しい。

 

 

 第三期地球艦隊は無人であるから、ある意味で建設が可能だったし合理性や妥当性が担保出来たといえるだろう。

 仮に人員を満載した艦艇であれば、更なる敵の襲撃にはディンギル戦役以上に苦戦を強いられたであろうし、これほどまでに戦死率の高い艦隊は志願も徴兵もうまくはいかない事が容易に予想可能。ガトランティス戦役のほとんど敗北に近い大損害を考えれば、無理に有人艦隊を仕立てるより国民は出血を躊躇しないだろうし、予算も降り易いだろう。
 ご都合主義と打算の産物な感のある無人艦隊だが、一応説明をつけようと思えばつけられるし――味付けの仕方によってはより深いヤマトの世界観を構築可能。

 そう説明可能だと強がってみる