旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ガミラス兵器群 ドメル艦隊旗艦(ドメラーズ2世/3世)

 

 ドメル将軍は非常に癖の強い指揮官である。また、立案する作戦も彼の性格同様に癖が強く、専用の艦や艦隊を用いる必要が有った。

 今回は、ドメル将軍の旗艦=ドメラーズ2世/3世を考察したいと思う。

 

 


 旗艦級戦艦(ドメラーズ3世)

 艦級名:不明
 全長:不明
 全幅:不明
 自重:不明
 武装:艦首側・大型無砲身3連装砲塔3基、同砲塔艦尾2基、同砲塔艦底部1基、艦上部・艦尾無砲身3連装副砲塔2基、同砲塔艦底部・艦尾2基

 

 艦の概要

 全く不明の戦闘艦で、劇中においては姉妹艦の登場はなかった。また、艦名も艦級名も実は劇中では全く出てこなかった。2199でいう所のゼルグード級である。

 この艦はなぜかオーソドックスなガミラスグリーンではなくグレーブルーに塗られ、艦首側主砲が基部共々赤く塗られるという不思議なカラーリング。艦影からしても塗装からしても一目で旗艦であることがわかってしまう。

 劇中では特に名前を呼称された事無く、〈ドメラーズ3世〉という艦名は後付けと言っていい。PS版では〈ガーラ〉や〈ドーラ〉という名前の姉妹艦が登場するらしく、カラーリングも同じらしい。ちなみに海外だとドメラーズはBattleship〈Audacious〉という艦名で通っているらしい。

 

 この艦の立ち位置は微妙なラインで、見た目など普通の戦艦では決してない。その為、ドメル個人の旗艦というよりマゼラン方面作戦司令長官という大幹部というのが大前提にあり、ルビー戦線からの凱旋・総統の信任を以て赴任したマゼラン方面と同格の銀河方面作戦司令長官だからそのまま旗艦として利用しているとするのが妥当なラインだろう。

 旗艦級戦艦らしくこの艦もシュルツ艦と同様にCICのような設備があるらしく、大モニターとヘッドセット付の椅子が3脚が備え付けられている。

 中央は指揮官あるいは艦長、左舷側が艦の運航担当と思われる。この艦の奥行きは意外と狭く、普通の護衛艦の艦橋のそれと同程度。幅は割合に大きくとってあるが、非常識な大きさというわけでは無い模様。ただ、部屋の高さはかなりあるらしく、5メートルは見込む。計器は面取りがほとんどされておらず、シュルツ艦のそれに比べて有機的な印象が低く、デスラー艦に近い。他方で、パープルな内装で、これもシュルツ艦と似たような色合いである。ワイヤレス指揮の通信装置と連動したモニターがあるが、シュルツ艦のそれとは異なる形式。

 

 

 全長の推測

 残念ながら丁度いい推測の出来るような描写がない。遠近というものがあるし、平場で待機のシーンも無い為――全く参考にならない。強いて言えば、デストロイヤーよりずいぶんと大きいという程度。この場合、全長はせいぜい360メートル程度になる。艦の描写として、大してマズイシーンが無い為……別にこのままの設定でも十分通用するだろう。

 

 他方で、再設定した戦闘空母のそれと倍率を合わせると、576メートルとなる。ヤマトの再設定値に近い。一回り大きく650メートル程度でも合理性がない反面、問題もないという……。直接の交戦がなかった為、設定値に関してはいくらでも逃げ道のある艦といえよう。

 

 

 運用

 運用の仕方がいまいちイメージできないのがこの艦

 武装から考えると、どっしり構えた砲撃戦の為の戦闘艦というのが恐らく性格として妥当。しかし、これはガミラス電撃戦からすれば大分かけ離れたというか……使いづらいコンセプトと言える。船足が遅いか早いかは微妙だが、仮に遅ければそれだけ高機動戦の足手まといになるし、旗艦級戦艦が必要であれば――これはシュルツ艦で十分。むしろ、あっちは砲撃戦もクルーザーのそれより強力な火力を有しいざとなればドバーっと魚雷を鬼のようにお見舞いしてくる厄介な戦闘艦。

 

 純粋な指揮戦闘艦であれば明らかに重武装過ぎるし、シュルツ艦を改装して機能を整頓してやればいい。

 砲撃戦の為の戦艦であれば……これはガミラスの戦闘プロットが大きな転換を迎えたという事になるだろう。これは十分あり得る。ガルマン・ガミラス時代での認識ではオリオン腕は文明が高度であるという。これがガミラス時代から同じであるとすれば、本腰入れて地球を制圧するのであればその後来襲してくるであろう敵対文明と腰を据えて戦うように従来の電撃戦ではない、正攻法を念頭に置いた作戦を組み立て始めても不思議はない。

 

 数が揃っていない段階において、差し当たっては拠点防衛用の大型戦艦ないし、不相応に高機能な旗艦としての運用になるだろうか。そのつもりだったか。

 

 

 登場・活躍

 第15話、1月5日――デストロイヤーを引き連れ堂々登場。その艦体は他の艦の倍。余次元空間も十分航行できるかなり体力のある戦闘艦だ。ただ、結局ドメルの慎重すぎる深読みが思いっきり仇になってヤマトを捕らえ損ねた。
 また、ヤマト20話にも登場。この艦の生み出せるエネルギーはバラン星の人工太陽を十分操作することが出来るほどで、かなりの出力。ただ、ドメルが積極砲戦を行わなかったため、自慢の大型砲を披露することはなかった。
 これで登場終了。

 

 以降の登場がなかった理由は、ガミラスが地球制圧に失敗したから、放浪の旅に出る羽目になったからといえよう。

 戦闘空母という艦隊の基幹になり得る艦を中心とした艦隊であれば、シュルツ艦さえいらない。後詰がない以上は常に電撃戦で戦わねばならない以上、ミサイルをぶっ放して相手を迅速に制圧する――少々の空母とデストロイヤーが多数いればそれでいい。拠点を防衛するにしても、本拠地になり得ない惑星にずっと留まる必要は大してない。早く本拠地を見付けて要塞化を始め、旗艦であるデスラー戦闘空母が防衛に当たりデストロイヤーが周辺域の安全を確保する。この段階であればドメラーズの利用価値もあろうが……いかんせんこの段階に到達するまで必要性が薄い。

 この艦はガミラスの戦術発展を思わせる極めて特徴的で興味深い戦艦である。しかし、残念ながら、ガミラス電撃戦に頼らざるを得ない状況に追い込まれ続けた。その中でこの艦の活躍する場は……どう頑張っても与えられなかった。

 そう解釈できるだろう。

 

 

 

 白色円盤旗艦(ドメラーズ2世)

 艦級名:不明
 全長:80メートル
 全幅:80メートル弱
 自重:不明
 武装爆雷多数、瞬間物質移送器1組、ミサイル発射管4門。

 

 〈ミレニアム・ファルコン〉の親戚。オフセットされたコックピットはないが、反対に新造時にあったシャトル部分はちゃんと埋まっている。と言うような見た目。別にゴジラに出て来たミレニアンの宇宙船でも構わない。なお、ドメラーズ2世の艦橋は〈ミレニアム・ファルコン〉でいうところの震盪ミサイルのラック部の上あたりにある。

 艦名はこれもまた〈ドメラーズ3世〉と同じように艦級名も艦名も劇中には無く、ただドメル艦隊旗艦とだけ呼称されている。海外ではSmite Craft〈Lysis〉と呼ばれているらしいが、一方でただ単にCommand Shipと呼ばれるケースもあったりするようで……。

 

 武装/瞬間物質移送器

 自爆装置が組み込まれているが、恐らく指揮戦闘艦であるため鹵獲された場合に機密情報が敵側に漏れることを防ぐためだろう。別に、単純に爆雷格納庫に火を付けるだけかもしれないが。また、元々は瞬間物質移送器を保有していなかったが、ドメル艦隊に編入されるにあたって新設した。

 それ以外は自衛火器すらろくにない。ミサイルと前述の爆雷はあるのだが、後者は別に自衛に限ったものでは無いだろう。ミサイルにしたって大して大きくない上に薄い艦体を考えるとそんなにミサイルに替えがあるとは思えない。

 基本的に能力は非常に弱く、戦闘には供すことは難しいだろう。そりゃ、やって出来ない事はないだろうが。

 

 全長の妥当性・再設定
 艦内描写からして、原作設定値に妥当性はない。ちっちぇもん、比率おかしいもん。

 艦橋は体育館並みか一回り小さい程度の大きさだろう。であるとすると、34×42程度は床面積として欲しい――原作設定値の半分を占めてしまう。再設定が必要だろう。体育館をそのまま当てはめると艦橋部の盾よこの比率がくるってしまうため、30×50とする。この数値を妥当として、計算すると艦幅は大体150メートル、全長は200メートルとなる。

 

 全長:150メートル
 全幅:200メートル
 自重:不明
 武装爆雷多数、瞬間物質移送器1組、ミサイル発射管4門。

 

 運用 

 旗艦任務に供されたが、案外別の目的での建造という話があっても十分整合性は取れるだろう。例えば爆雷の投下という点を考えて――もっと言えば、案外色んな軍事用語を混同しがちなヤマトスタッフという前提を以て機雷敷設艦という捻り出しがあっても面白いのではないだろうか。

 〈ヌスレット〉は大戦果を挙げた機雷敷設艦として有名だし、〈グルィフ〉は一応旗艦任務もこなした敷設艦だ。ドメラーズ2世が〈グルィフ〉と同じようなタイプをたどった艦として説明をしても、面白いと思う。私はね。

 

 登場・活躍

 ヤマト第一作の第21話、第22話に登場。

 第1から第3及び戦闘空母からなるドメル艦隊の旗艦として登場。瞬間物質移送器を新設し、決戦の場である七色星団へと向かった。

  戦闘中は旗艦であり指揮専用であるという性格から後方に下がって艦隊指揮を敢行、艦隊が全滅した際も比較的小型かつ艦隊の後方に位置していたため誘爆被害から免れる。これにより、ドメルは本艦を以てヤマトの進撃を阻止すべく突撃。爆雷を頭上から見舞い、徹底して攻撃を行うが――決定力不足により自爆によるヤマト艦底部への攻撃を決意。恐らく、艦橋にへばりついたとしても副砲がぐるぐる旋回して邪魔されるより、艦底部に素直にへばりついて大損害を負わせた方が阻止は簡単と考えたのだろう。

 ドメルは沖田艦長との通信の後、自爆スイッチを作動。本艦は巨大な火球となってドメルやゲール君と共に爆沈した。

 

 

 意外と二次創作においてこの艦はいじりがいのある艦であるといえるだろう。

 限定されているような、いないような微妙なラインの性能であり、他方で確実に伸びしろのある艦。2199のようにゼルグートの艦橋に仕立てるのも一つの手だろうし、もっといろいろな可能性というのがあっても面白い。

 また、考察のし甲斐もある艦とも評せるだろう。