ガミラス兵器群 タンカーロケット
タンカーロケットは500日ごとにガミラス惑星タックス部第8支局からビーメラー星に派遣され、ローヤルエキスを集荷し帰還する輸送用タンカーである。
――データ――
艦級名:不明
類別:判然とせず
全長:不明
全幅:不明
自重:不明
武装:不明
全部不明
第16話にガミラス惑星タックス部第8支局所属の物が登場。3つの球状タンク部と4本一纏めのロケット部と先端のキャップ状部分で構成され、先端部が操縦室になっている。また、昇降口はココのみの模様。
水平離陸が可能なように、タンク部にもハニカム構造のエンジンノズルが内包されている。適宜設けられている赤い穴は迎撃用のレーザー砲だったりする。興味深いのは迎撃態勢に移るのに上下を反転する事。ほとんど直接的に地べたに降下するタイプの着陸方式であるらしく、恐らく底部は強固なのだろう。先端の操縦室がジャイロ的構造で上下が保たれていると予測される。
普通は劇中のようにガミラス側ではタンカーロケット、地球側ではガミラスタンカーと呼称される。しかし、厳密な名称は不明。海外でもTanker〈Container〉とあんまり気の利いた名前ではない。
大きさの推測はかなり難しいというか、文系の私には無理。
見た目からして、比率からして参考になるのはLNGタンカーだろう。つーか、まるまる独立モス方式のタンカーそのまま。例えば、球形タンクを4つ備えた東京ガス(正確にはその子会社である東京エルエヌジータンカー)の誇る〈エネルギー フロンティア級〉LNGタンカーは289.5メートルと長大。幅も49メートルと大変巨大なタンカーだ。ちなみに一番船は〈エネルギー フロンティア〉、以下それぞれアドバンス、プログレス、ナビゲーターと国内ガス事業のリーディングカンパニーらしく中々カッコいい名前。
で、ガミラスタンカーはこれより小さいだろう。
確かに、エンジンノズルとタンクの接合部がかなり長めだが、何といってもタンクが3つだ。ざっくり30メートルは小さく見積もっても構わないだろう、幅も10メートルは削っても問題ないはず。
ざっくり、極めてざっくり計算してみると次の通り。
全長:250メートル
全幅:40メートル
自重:不明
武装:レーザー砲4基
ガミラスタンカーのそれはそれとして、この艦の最大の意義はガミラスが健康食品についてかなり気を使っていたという事だ。作品的な意義はそこにある。
この艦の登場によりガミラスについて考えられる事は次の二つ。
一つ、ガミラスは健康食品をレーションに組み込む極めて合理的で兵士を最大限活用するためには、そこに資金投入することをいとわない軍であるという可能性。
二つ、ガミラスの貴族ないし富裕層はビーメラー星産ローヤルエキスを珍重し、その供給をガミラスは国有財産として扱っているか、国有企業がこれを独占的に販売しているという可能性。
兵士までいきわたらせるというのは、まあ、あり得る話だろう。兵士が健康になったらまずい勢力はおそらくボラー連邦だけ。ガミラスはあれで滅亡寸前であるから、少しでも健康で少しでも能力を高く発揮してくれるように兵士の健康に気を遣うのはある意味当然だろう。かつての日本軍でも、現在のアメリカ軍でも、レーションの味と実際的な機能性の向上にはかなり気を使っていたわけだ。不思議はない。
他方、富裕層の為のローヤルエキスであっても問題はない。国有企業を通して、或いは帝国が直接販売する事によってその売り上げを直接国庫へ入れる事が出来れば万々歳。最悪、中間マージンが取れればそれで充分だから国がほとんどの株なり経営権を掌握しているのだろう。
富裕層からすれば恐らく、兵士と同じレベルの物を供給されるのはあまりうれしくないだろう。だが、兵士の方は、むしろ富裕層と同じものを摂取できるというのはかなり心情的に訴えるものだある。
日本でも明治時代は白米が食べられるという事で徴兵をしやすくしていた。人によっては自衛隊でも退官して予備役になったタレントがお替り自由を宣伝していたり、食べ物は案外訴える力が強い。希少品であればあるほど、軍に入れば自由に手に入れられるという環境を造ることは軍に入る若者を確保する上で効果的になる。
結局、ガミラスタンカーが何者だったのかは不明。ビーメラー星のローヤルエキスが何に使われているかも不明。しかし、その描写だけでも様々な妄想が膨らむ。
ガミラス軍はほぼ確実に弱体化しつつあるタイミングだろう。あるいは、以前から同様の体制だったのか。
いづれにせよ、このタンカーロケットの存在は、ガミラスを掘り下げうる重要な描写であるといえよう。