旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

2202の真面目な考察Ⅳ 技術のリアリティと妥当性

 

 2202においては2199以上に目を見張る描写や兵器、構造物が登場した。ヤマトに登場する架空の技術は旧作において現代のファンから相当非難を受けたものである。これを無理やり合理的な内容に落とし込むには、作品の設定を一部批判したり、現代に至って初めて判明したり立証されたり考え出された技術を投入しなければ説明がつかなかった。これは事実であり、当時であれば絵空事以外の何物でもなかっただろう。

 リメイク作においてはこの辺りの説明も期待されたが――2199は今回さておいて、2202ではどうであったのか。旧作と比較できる部分は比較しながら考察してみたい。

 

 

 ガイゼンガン兵器群

 生体技術による生み出される戦闘艦群の事。正直よくわからん

 無機物たるはずの戦闘艦が徐々に成長=建造され、成体が戦場に赴くというのだが、これ凄い発想。だが、26話の中ではろくに表現できず、取っ散らかった上に合理性が逆に乏しくなっている。

 生体技術は基本的に生物の構造を模倣ないし参考にするものであり、そのまま利用するものでは無い。多分、この辺りの認識が製作陣は一般とずれていたんだろう。

 

 仮に艦が生まれてくるとして、設計図はどうするのか。設計図自体はガトランティス人ないし科学奴隷に担当させ、それを何がしかに取り込ませ……一種の卵を作ったとして、それならばまだまだ理解可能。ただし、この場合は成長過程によって――優先すべき構造を最初に創り上げるのが機械にせよ生物にせよ当たり前であり、発生と誕生までの間で姿が変わっていて不思議はない。エンジンが作られ、次いで艦内構造が生まれて最後に装甲板がその骨格を覆う、と言うような手順。この手順を踏んでしかるべき。生まれた後も成長する可能性はあるかもしれないが、それだと今度は不完全な兵器を前線に送るという事になってしまうため、どうにも合理性がない為、やはり完成形での誕生が妥当だろう。

 が、これらの複雑な過程は存在せず、直接完成形のまま卵の中に封入されていた。この、ただ単に拡大するというのは建造課程として大いに疑問で、この建造方法なら今度は成長過程を経る必要性がない。端っから520メートルでの登場が当たり前だし、それ以外の全長での登場は合理性ゼロ。艦内は一体どうなっているのか。520メートルが完成形だとすれば、300メートル程度の全長ではこれ、元来の58パーセントほどしかない。通路が全部元来の半分となって、どう考えても通りにくいだろう。元から艦内スペースが艦橋を見てもわかるように激セマであるからして、これ成長途中で出撃させたら誰も中に入れないんじゃ?

 仮に、内部に入る必要のない無人艦の類であればこれは250万だろうが別に浪費しても惜しくはないだろう。テキトーに星を潰してエネルギーにして、それを利用して生み出すのであれば、いくらでも簡単に生み出せる。仮に、生物の類だからちょっと躊躇したとあれば、今度はガトランティスが勝利か死かの純然たる二択というのが整合性が付かなくなる。

  この成長過程で大きさが異なるという設定……必要が有るとすれば、演出の為に画面上に必要な大きさを選択するための――ローランド・エメリッヒゴジラ演出以外に説明が出来ない

 

 

 そうは言っても、このシステムは興味深いし、合理的な面もある

 エネルギー供給さえ絶やさなければいくらでも同時建造が可能なのがガイゼンガン兵器群であるから、これは非常に強力で魅力的。工廠の数によらず、いくらでも建造可能だし、負傷艦はテキトーに前線に放り出すなりインフェルノ・カノーネにでも使えばいい。

 

 それがなぜラクルム級とアポカリクス級の2艦種のみなのかが非常に非合理的。数が必要なナスカ級やククルカン級は当然、ガイゼンガン兵器群に組み込んでしかるべきだろう。仮にミサイル兵装が生産できないとしても、あとから外部ユニットとして付けられるようにすればいいだけ。仮に上記2艦種は実はアケーアリス軍艦として艦隊を構成していたとして、これだけが建造可能なデータであった。他は入力しても建造不可だったとすれば……まあ、説明は出来るか。それでも他にデータ発掘できなかったのかという疑問がある。

 また、非ガイゼンガン兵器群がなぜあんなに大量に建造されていたのかの合理的説明が出来ないヤマトシリーズの兵器としても、異星人の兵器として見た目的にナシなニードルスレイプや、なぜか小型化されたデスバテーターなど、より大量に必要な兵器が卵から産まれる形で大量育成されない理由も、正直言って意味不明。

 

 ガイゼンガン兵器群が精神操作を受けるというのも、合理的説明もできなくはないが、なんだか二番煎じじみて面白みに欠ける

 精神操作を単なるドローンを操作する遠隔通信に置き換えた場合、結構合理的な考え方。旗艦のみ別個に造って人間を乗り込ませ、全艦を操作するというのは発想としてわからなくもない。また、冒頭のあの岩塊からの登場シーンも無人で運用できるからこそあのような状態で運べたし、即時戦闘に移れたというのも合理的に説明可能となる。ただ、無人艦であるなら、カラクルムの大気圏突入のプロットでニヤッと笑う乗組員というプロットとガッツり齟齬が生じる。

 元来さらばはヤマト2よりも軍事的側面が薄いが、それでも冒険モノの範疇にあった。他方で2202はイデオンとかエヴァのような宗教や精神世界的な側面を大きく内包するSFの系統に属するといえるだろう。スターウォーズでは、小説の方の最後、エピソード9ではフォース・ライトニングで艦隊が大損害を負った。

 ガイゼンガン兵器群はこれを非常に強く印象付けたような物で、後付けかつ他作品へのあこがれを匂わしてしまい――非常に残念

 

 

 

 何もかもがちょっとずつズレて、合理性が欠け、結果出来上がったのがそれっぽいSFフィクションというよりファンタジーだが。

 生体技術を用いて建造するガイゼンガン兵器群なんて言い方をせずに、ガトランティスの艦艇建造が全て生体技術を利用した建造に代わっていったとした方が話は楽だったのに。まあ、前作で異星人の古代兵器とガミラスの最新兵器を組み合わせたという事になっていた火焔直撃砲がバカみたいな数量産されている時点で色々描写が破綻しているし、シリーズの前半と後半で説明が変わってしまったり、色々整合性が取れないから――2202の体質なのだろう。

 さらばも駆逐艦が急に登場したり中型高速空母が級にいなくなったり、無理くり説明をつけなきゃ筋が通らない描写はあったが、説明不足だからこそ簡単に説明をつけられた

 それなのに2202では結構説明を製作陣がいろいろしゃべって、それで、こういう破綻。2202で旧作のダメなところまでなぞることないのに。つーか、旧作をなぞっちゃいけないところばかりなぞってる

 

 

 クローニング技術

 まあ、これは分からんでもない。特に現在のリメイクという点に置いて、この程度の進歩的なSFはあってしかるべき設定だろう。別に無きゃ無いで構わないが

 2199の時点でも人員の足りなさや忠誠の確保のために親衛隊をクローニングで確保したという事らしいが、その流れを考えても自然。これはサイフォ=ディアスがカミーノ人に依頼していたクローン・トルーパーと似た感じ。面白いのが、こっちは結果的にダース・シディアスに悪用されたカミーノ人がブチ切れて反乱を起こしたり、散々反乱がおきたためクローンだけだとトルーパーの供給が追い付かなくなり、人間も士官学校に入れたり拉致ったりして投入しているから逆パターン

 ゼムリア人の作った人造人間がガトランティス人の元々――アケーアリスの文明に触れたことがむしろ平和を失ったんじゃねぇのかな、これ――である。

 ゼムリア人は平和の為、自ら戦争を起こす事や戦う事を放棄し、その代わりに戦闘をガトランティス――って全然戦争を放棄していないつーか、ここまで〈スカイ・クロラ。見たことないから断言できないけど。タイプ・ズォーダーが人類抹殺を決意し、それを滅びの方舟で無理やり実行しようとしたのも考えてみれば、マキシマス将軍(映画〈グラディエーター〉の話です)の復讐を宇宙規模に展開させただけともいえるから何ともはや……。

 

 ストーリーの独自性とは別に、物凄く疑問なのが兵士として用意されるはずのガトランティス人が、結構長い期間をもって育成されるという点。兵士ならば、たとえそれが指揮官クラスであっても速成出来た方がいいだろう人間の体のままクローニングを続ける、というのが拡大して艦隊も指揮官もずっと同じものをクローニングして使い続ける=発生した当初に固執し続けるというのにある意味結び付くから、成長にこだわる点に焦点を置くと、面白い話にならなくもない。他方で、クローン・トルーパーのように速成できた方が合理的だろう。何でゼムリア人は面倒な行程を排除しなかったのか。

 2202のガトランティス人はクローニングで継ぐから生殖はできないが、人間と同様に割と長い時間が育成に掛り、感情の萌芽が残っている――なのに兵士として使い捨てにされるってそりゃ地獄だろうて。大体、論理的には戦うという行為は大抵は恐怖の裏返しであるからして、感情がなければ或いは種の保存を本能として持ち得なければ戦うという行動自体が行われないといえる。自律型ドローンではなく、人造人間として兵力供給を試みたゼムリア人の計画自体にに大きな欠陥があったといえる。気づかなかったとすると、それは大いなる愚か者……。

 あるいは、ゼムリア人はとんだサディストというか、サイコパス。そうであれば、わざと苦悩させてそれをショーとして楽しむというという文化的背景を想定できる。まあ、何にせよ、少なくとも地球の生命倫理とは大きくかけ離れている。

 

 ゼムリア≒レムリアはガトランティスアトランティスでどちらも失われた大陸とか巨大帝国とかで、ネーミング的には割と揃ってるから面白い発想というか、粋な設定だけど……いや、ゼムリア人性格悪すぎるだろう。

 

 

 滅びの方舟

 滅びの方舟をコアとして形成したのが今作における都市帝国である、超重力を攻撃主体とし、防護フィールドで身を守る。内部には生命生成界面よりクローニングによる幼体出荷やガイゼンガン兵器群を建造している。

 腹立つことに、松本零士プランだと元来の白色彗星がこれに近い話になっていた危険性がある。イルミダスの要塞をかっぱらって宇宙を放浪――これは大惨事の予感だ。

 なお、白色彗星の名称に古くからいちゃもんが付くが外形的に彗星にしか見えないし白く輝いているんだから白色彗星と呼んで何が悪いか。しかも楕円軌道を描いている。

 空母や駆逐艦だって戦艦じゃないが現代では主力艦であるし、戦闘艦である為、広義においては戦艦と呼んでも間違いとは言えない。コーヒー豆は豆ではないが、豆として一般には通っている。うーめんはさすがに長さで判るが、ひやむぎとそうめんは一見すると同じ。ビールと生ビール、シャープと井桁、ホットケーキとパンケーキ、ウィンナーとソーセージの違いのような物。これと同じで、どーでもいいイチャモン。最悪、法的には異なるわけだから、厳密には混同するとまずいが、見たままという意味ではどれも似たような物。

 白色彗星とした理由が矮星だと難しいから、という単純すぎる理由には閉口する。だが、白色彗星が彗星じゃないといわれても、だからどうしたとしか反応できない。むしろ白色矮星が接近するという方が実は非合理的で、文字通りの白色矮星の接近であれば、太陽系の大分外縁部で迎え撃つ必要に迫られてストーリーが取っ散らかるか、SFとして微塵も成立しなくなる。この件に関して天文ファン以外は述べるべきではないだろう。彼等にとってはまさに、譲れないところであろうから。

 

 それはさておき、2202。超重力や防護フィールドは、これはどんな理論を用いても最悪なんでもいい。別次元にエネルギーを飛ばしたとか、それで構わない。ただ、そのような技術や交渉が出来るという事はガトランティス上層部は当然、哲学的にも非常に高度であるとか技術の理解度が遥に高い必要が有るはずだが……彼らはお粗末。お粗末でなければこの2202はそもそもが成立しえないが。

 都市帝国の割と肝の一つである生命生成界面……エヴァっぽい。ガフの部屋っぽい雰囲気がぬぐえず、独自の設定というには何とも。別にダメとは言わないが、二番煎じなんだからドヤ顔はしないでほしい……。

 

 ゴレムで一発バチッとすべてが終わるのもよくわからん。どんな影響なのか。

 原理は別にして――信号を飛ばすというのであれば、これはたまたま惑星なり恒星なりの影響を受けて信号が届かなかった場合、これは意味がない。アケーアリスとゼムリアは別個で、ガトランティス人はゼムリア人の創作でそれを止めるのがゴレムだとすれば、これが方舟に組み込まれているというのがよくわからない。さっさと破壊すればいいのに。

 滅びの方舟も不遜な存在といわざるを得ず、アケ―アリスの性格の悪さを思わせる。残念ながら、これは≪エイリアン:コヴェナント≫のエンジニアと同じストーリー。アケーアリスが人類種をばらまいたのも滅びの方舟を用意したのも、エンジニアたちが人類を創ったり滅ぼすために黒い胞子を創ってばらまこうとしたのもプロットとして同じ。

 そもそもだが、ゴレムで破壊可能な範囲を超え得るタイプ・ズォーダーを製作してしまったことや、メーザーやナスカでみたように感情を発露させかねないという重大な欠陥を放置――ゼムリア人って間抜け過ぎないかな

 

 他方、ガイゼンガン兵器群も破滅ミサイルもそのエネルギー源が全てテレサを見付けたからと説明されている点が、根拠として脆弱。あの女が雲隠れした後はどうすんだよ。破滅ミサイルに関しては普通に反物質でいいじゃん、単純に爆発させればいいのに何で地対空ミサイルじみた破壊方法をするのか。これらはストーリーが進むうちに風呂敷を大きくし過ぎて畳めなくなったのだろうが……まさか、酔っぱらったまま設定を考えたんじゃないですよね? 先生方

 まあ、今更だし&あの製作陣にはどんなにわかりやすく矛盾を説明しても理解してくれないだろうから、指摘するだけ無駄か。

 

 

 拡散波動砲

 ロックオンできるってどうやってだよ。まあ、脅威評価がターゲティングに見えた、という説明もあるだろうしその方が合理的。拡散させる方法自体が左旋波と右旋波の2つの波動エネルギーを同時に放つことでというように説明されているが、それだと主力戦艦のそれが説明――そういえば直列の薬室だったっけ。それでも意味不明前作と今作では波動砲や波動エンジンの原理が完全に逆転している事から考えてもちゃんと説明をつける気がないというのは明白……

 波動噴霧砲も大してはっきり言って小型波動砲と大して変わらん。演出にすら役に立っとらんじゃないか。演出上効果がないし、画面に出せないならそんな細かい余計な設定をして――単なる自己満足じゃないのかな。波動エネルギーはという言いまわしは度々登場したが、波動粒子って……原作アニメ一度でも見たことあるのかな。ってぐらい、意味不明な設定。

 まあ、空母型が設計上ひょっとすると艦載機を射出できないのではないのか、実はタクシーにはなれても整備はできないのではないのか疑惑があって、それを放置したまま「どうだ、かっこいいだろ?」なんてことをやってるんだから、期待しただけこちらが愚かというべきか。

 

 

 時間断層

 反重力特異点であって、次元断層ではないのね。当然、これは旧作には存在しない。

 速さが10倍の特殊空間で、コスモリバースシステムの副作用との事。ウラシマ効果の逆パターンらしく、よくわからん。何で特異点として形成されているのかも含めてわからん。ブラックホールの逆であり、進展する方向に力が及ぶという事。

 人体以外にも普通に考えればその影響は及ぶはずだし、時間以外にも影響はあるはず。これを遮蔽してしまえば普通の空間――この辺り、どうやって折り合いをつけたんでしょうね。2202って何でも展開するのがお好きなようで。結局畳み方が雑だったけど

 ついでに、2202の時点になってもAI技術が中途半端という驚くべき事実が判明したというのも中々に闇である。何でもっと早くに開発できなかったかな――というか、現代ですでにこの辺りは実はある程度学習出来ているはずなのだが……。このAIのダメダメさは旧作と全く同じ。

 

 

 微妙な齟齬と跳躍

 不遜な表情の女性キャラが、効率的などうのこうのというセリフを述べていたが――そもそも論として人間とは何かを確定する必要が有る。確定してしかる後にその継ぎ方がようやく確定できるだろう。

 知覚という意味では犬も豚もイルカも十分知的存在であるし、彼らの方が芸術的センスが人間の感覚からしても優れている可能性はある。表現方法がないだけで。

 要は、何が知的生命体であるのか。技術なのか、内面なのか、両方なのか。

 

 ガトランティス人が人造人間の類であると類推できた時点で、この哲学や倫理のハードルをまだ乗り越えていない可能性が高いと考えるのが普通だろう。普通の人類以上に自己の存在に対して葛藤があるのは想像に難くない、実際タイプ・ズォーダーですら相当長い間考えてようやく結論が出た。この時点で躓いていれば、どう考えても人間以外の姿を作ってまで次代を継ぐという選択肢はなく、作業としてクローニングを行う方が自然な動きだろう。

 そもそも、生殖が不可能であるという事は――ひょっとすると種の保存という根本的な衝動が働かない、個の生存のみに焦点を置いているという可能性が十分ある。という仮想した方が妥当、となるとそもそもゼムリア人の介在なしでガトランティスは存続しえないのではないだろうか。仮に効率を考えれば軍事国家として成立させるのは当然としても別に人類を滅ぼそうとする必要はまったくない。この非合理な行動を起こしている時点で端っから合理的な選択をしないタイプとするのが妥当。

 

 自己を確立できておらず、非合理な行動を見せている時点で、彼女の発言は飛躍しすぎている。あの飛躍したセリフに、実は2202製作陣の認識が現れているのではないだろうか。本人たちの裏設定でのみ合理性が保たれ、画面上には一切現れない。演出重視でリアリティを無視し、ヤバいヤバいと後から無理やり説明を付けて齟齬を生じさせる。その結果、話が取っ散らかった。

 この点――完結編辺りの旧作製作陣と同じ。悲しい限りである。

 

 

 一度だけ鑑賞するならば、これは意外と度肝抜かれるシーンもあったと認めざるを得ない。しかし、2度目はキツイ。全てを通して鑑賞した場合、画面上には現れなかった裏設定が多数存在しているため、整合性が取れていないシーンが多い。しかも、よくよく考えてみるといくらでも代替え案が存在するような——そして、その代替え案の方が合理性を担保できる……。

 2202の技術面に関しては、これはノリで全部を片付けてしまった感が強い。

 ノリで片付けてしまうのは旧作と同じだし、あれはまだ宇宙どころか太陽系に関しての知識が人類全体で不足していた時代の話である。今は数光年先までそれなりの事が判明し、太陽系圏内はより詳しい知識がある。科学技術や理論だって大いに進歩した。2202はこれを全てすっ飛ばしてしまった感が強い。

 技術や理論に関して知らなかった、わからなかった、勘違いしてしまった。であるならば、お互い人間である以上は仕方のない事。だが、その不手際を後付けでごまかし挙句したり顔は、不誠実。

 

 考えるな、感じろ――などと誰かが呟いたらしい(未確認情報)。ストーリーの面であれば、それも一理ある。だが、それでSFを名乗るのは……やはり不誠実だろう。