旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

戦闘考察Ⅶ グロデーズ迎撃戦+ハイペロン爆弾突入戦(ヤマトよ永遠に)

 

 グロデーズ迎撃戦は地球に偽装したデザリアム星の上空において発生した戦闘である。終始劣勢ではあったものの、攻勢に転ずることで状況を打破。しかし同時に……。

 他方、地球ではハイペロン爆弾を解体すべく、空間騎兵隊が総力を挙げて襲撃。何としても内部へ突入すべく猛攻撃を開始していた。

 

 

 グロデーズ迎撃戦
 暗黒星団帝国側参加部隊:デザリアム守備艦隊
 戦力:戦艦5
 指揮官:氏名不明


 地球側参加部隊:ヤマト
 戦力:戦艦1
 指揮官:山南艦長

 

 展開 

 聖総統スカルダートは地球侵攻の理由を説明し、同時にヤマトに星に留まる様に要請をする。この説明に疑問を感じたヤマトクルー。しかし、事実であるかもしれないという不安と、一方でとにかく地球に帰還しなければならないという使命感からヤマトは出撃した。

 スカルダートは直ちに迎撃部隊を出動、グロデーズ級戦艦で構成された戦隊によって

ヤマトの星域脱出の阻止を試みた。グロデーズの巨体から放たれる砲撃はヤマトを着実に痛めたものの、決定打を与えることはできない――そこでスカルダートは決戦兵器無限β砲の使用を決定。対するヤマトも新波動砲によって一挙にグロデーズ戦隊の撃滅を試みる。

 ここに決戦兵器同士の直接対決が発生。

 結果は波動砲の完全勝利だった。しかし、その余波を受けて地球デザリアム星が誘爆してしまい……。

 

 

 描写の妥当性

 そもそものスカルダートの説明がちぐはぐで頓珍漢である。肝心の部分が答えられていないそれは別にして、逃げようとするヤマトをグロデーズ戦隊を以て撃滅を図ったのは当然の反応だろう。

 だって自分たちは偽地球人だってわかってるものね。

 

 出撃させたのはレベルの低い巡洋艦などではなく、曲がりなりにも戦艦。数も5隻と手抜かりはなかった。残念ながら決定打を与えることはできなかったが、反対にヤマト側もグロデーズ戦隊に対して効果的な反撃が出来なかった――珍しく、ヤマトが劣勢の状況である。たった5隻でこれを創り出したのは驚異的ともいえよう

 ところが、無限β砲である。

 スカルダートは自信を持ってこれの使用を命じた。グロデーズ戦隊が母星に回るような位置に陣取った――ヤマトに喰らい付いて周囲で砲撃を続ければよかったのである。それをわざわざ距離を取って相手に反撃の隙を与えたのである。物凄い愚策である。無限β砲が残念だったのはそれはそれとして、物凄い愚策だった。

 結果論だからあまりきつく言うのも聖総統が可哀想かもしれないが。

 

 そして波動砲と無限β砲が直接の砲撃対決になった。

 燃える展開かもしれないが、合理性は乏しい。グロデーズ戦隊が遠ざかったタイミングで波動砲発射準備を行ったのは当然だが、他方でグロデーズ戦隊が密集して無限β砲発射準備にかかったのは疑問。だって危ないって判ってるのに密集隊形で砲撃だもの。そもそも無限β砲を使う必要のある場面では無かった。

 さらに言えば、たった一隻を波動砲が貫き、周囲の艦に誘爆し、惑星表面まで誘爆する。これは意味が解らない。それまでの波動砲の威力から考えれば、たとえ無限β砲が押し留めたとしても、多分5隻ぐらいはまとめて光芒の中でとろかされるだろう。それがなかった。残骸が惑星に落ちてしまうのは、引力を考えれば当然という見方も可能。ただ、波動エネルギーが大気圏も突破してそのまま流れ落ちて惑星全体を誘爆させる……これはご都合主義だろう。

 そもそも、波動エネルギーってなんだ……波動砲って荷電タキオン粒子がキモなんじゃないの? みんなサラッと使ってるけど……。

 

 

 意義

 ヤマトにとって、最後の艦隊決戦であり――条件が限定的過ぎる為あまり戦訓をくみ取れるものではない。強いて言えば、新波動砲の威力とかが……これもあんまり戦訓にはならない。ただ、デザリアム星の防護を丸裸にした事は最終決戦に向けて大きな一歩ではあっただろう。

 暗黒星団帝国側にとっては、意義はたった一つ。無限β砲がまるっきり役に立たなかった。むしろ普通の砲撃の方がよっぽど信頼性が高かった。変な必殺兵器を使うより、堅実な攻撃を加え続けて動きを封じる方が、対ヤマト戦闘は絶対に確実性を確保出来る。それが判った。いまさら遅いが

 

 

  暗黒星団帝国側損害:艦隊喪失、デザリアム星偽装の喪失
 地球側損害:特に無し

 

 


 ハイペロン爆弾襲撃戦
 暗黒星団帝国側参加部隊:ハイペロン爆弾守備隊
 戦力:歩兵多数
 指揮官:アルフォン少尉


 地球側参加部隊:空間騎兵隊歩兵連隊
 戦力:空間騎兵隊(歩兵)多数
 指揮官:不明

 


 展開

 ハイペロン爆弾の解体は急務であり、最低でもその周辺に展開している暗黒星団帝国の兵力を排除しなければ地球の安全は確保できない。

 特に、森雪はアルフォン少尉より、ある意味挑戦的な――彼女の情報を重く受け止めた長官はレジスタンス部隊に対し、ハイペロン爆弾とその守備隊に対して総攻撃を命じた。

 レジスタンス部隊は直ちに地中に掘った穴倉などから四方八方より神出鬼没的にハイペロン爆弾守備隊を攻撃。肉弾戦のプロである空間騎兵隊はその本領を発揮する形で守備隊を圧倒、部隊は順次ハイペロン爆弾内部へと進入に成功した。

 前進する森雪の前に現れたアルフォン少尉。しかし彼は銃弾に倒れ……森雪は手に入れた情報を元にハイペロン爆弾最深部へと突入、爆弾の心臓部を解体した。そして彼女は爆弾解体の吉報を知らせるべく、ヤマトへと通信を開始したのである。

 

 

 描写の妥当性

 妥当性以前の話。馬鹿じゃねぇのアルフォン。民族の未来をかけた戦いで、アルフォン少尉は自らが使える国を裏切ったのである。冷静に見れば愚か以外の何物でもない。ロマンスといえば聞こえはいいが、売国行為だ。暗黒星団帝国側に感情移入してこの作品を見たならば、アルフォン少尉の行動は不愉快甚だしい。

 戦闘の内容については別にいう事はない。暗黒星団帝国側の防備体制が勝ったと思って手を抜いた、或いはカザンが白兵戦も視野に入れて対ヤマト戦を考えたため、あらかたの部隊を引き抜いて出撃していった――とすれば、残念なあの戦闘も説明は可能。

 しかし――このアルフォン少尉がらみのシーンは馬鹿らしい

 

 

 意義

 地球としては意義も何もあったもんじゃない。手抜かりな敵と戦って普通に勝っただけ。そりゃハイペロン爆弾の解体が出来たのは地球解放の決定打になったが、それはそれ。また、やっぱり空間騎兵隊は純粋な肉弾戦がすごく得意という事が判った。この信頼性の高さは大変すばらしいが、それはそれ。考えてみれば完結編に彼らが居れば島君が死ぬこともなかっただろう。

 暗黒星団帝国側にとっての意義は――女には気を付けろ、キザなヤツは売国奴と思え、ぐらいか。実にバカバカしい。大事な決戦なのだから私情ぐらい押さえなさいよアルフォン。

 

 暗黒星団帝国側損害:ハイペロン爆弾能力喪失、ハイペロン爆弾守備隊全滅
 地球側損害:突入した多数の空間騎兵隊員