旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ストーリー考察Ⅷ 後半部の諸々(ヤマトよ永遠に)

 

 前回の諸々一括考察は前半部。今回は後半部の諸々を一括で考察したいと思う。

 正直、あまりにもあまりな展開が多い為、モチベーションは非常に低い。でも見て見ぬ振りしたらただの信者になってきたしまうため……だが、ディスり過ぎても今以上に嫌なやつになっちゃうしねぇ……。

 

 

 

 考察①:黒色艦隊消滅

 敵中間補給基地を撃破したヤマトは一路、敵母星を目指しておとめ座方向へとひたすら前進する。しかし目の前に立ちはだかるのは巨大な暗黒銀河――外縁部のスピードは極めて速く、一方中心であれば大回りをするのに比べてリスクとメリットの観点から航路として有力だった。

 暗黒銀河の中心部へと突入するヤマト。そこへ暗黒星団帝国の増援部隊が迎撃に現れた。これを山南艦長の機転で撃滅――直後、カザン率いる黒色艦隊が後方から奇襲を仕掛けて来たのである。連続の戦闘を避けるべく、退避するヤマト。

 その先に待ち構えていたのは、7基のゴルバ型浮遊要塞……。

 

 ハッチの閉め忘れはもう触れません。暗黒星団帝国も意外と暗黒星雲の中では行動するのにてこずっているのも触れません。ストーリーの妥当性のみに焦点を当てます。

 ゴルバ型浮遊要塞が7基炉心ごと誘爆、恐らく9発全弾を使えば惑星を破壊できるであろう空間重魚雷がまとめて49発誘爆。6個ぐらい惑星を破壊できるだけのエネルギーがあの地点で集中して解放されたのだ。黒色艦隊が近傍空間に待機して浮遊要塞包囲網にヤマトを押し込めていれば――誘爆もしよう

 

 あの爆発が傍で起こっているのにヤマトが無傷生還というのも正直ご都合主義だが――浮遊要塞が時間差で爆発していったことと、場合によって空間重魚雷の爆発が不十分=数発不発弾となった可能性も設定は可能。また、爆発の衝撃波がうまい具合に干渉しあってヤマトの位置ではその威力が極めて低減されかつ暗黒星団帝国のような誘爆をする理由がない為、沈没は免れた。加えて戦闘域を脱出する際にワープスピードまで加速(完結編で明言された物凄いエンジンフル回転状態)したとあれば、なおの事に誘爆せず離脱する事は容易になる。

 そうすれば何とか合理性を保てるだろう。平均台の上に載っている気持だが

 

 ただ、黒色艦隊についての言及が一つもなかったこれはマズイ。だって背後に接近して、実際に攻撃を加えていた黒色艦隊の姿が急に見えなくなったのである。普通に考えれば、コスモタイガーを飛ばして偵察し、安全を確認する必要が有るだろう。

 なのに全く――シーンをカットしたなら、やっぱり澪ちゃんとのロマンスという大して意味のないシーンの連続をさっぱり綺麗に切り取って差し替えた方が、ストーリーとして整頓できたのではないだろうか。

 新たなる旅立ちで「あの惑星を砲撃したのはお前か」のセリフが関連シーン冒頭部をカットおかげで全然繋がっていなかったのと逆パターンで、冒頭があるのに終わりがない残念賞だ

 

 

 

 考察②:古代、まんまと騙される

 ゴルバ型浮遊要塞を7基まとめて撃破し、黒色艦隊すら誘爆させたヤマト。彼らはとうとう、暗黒銀河の中心部を突破し敵母星予想地点へと到達したのである。暗黒を抜けて彼らを出迎えたのは予想だにしない光芒、きらめく銀河。白と黒の2つの銀河が重なる宇宙の脅威――そのうち、ひときわ輝く光点に彼らは接近した。

 その星は何と……。

 

 地球――。

 

 最初のパネルに映った映像で度肝抜かれた古代君。この時点で、もう負けている。しかも、整理がつかない間に探査チームとして降下してしまった。事実上の副長であり、艦長がヤマトに残るのだから当然彼が行かなければならないのだが――もう少し気を強く持てよ古代。

 挙句、サーダらが仕掛けた暗黒星団帝国が仕掛けた最新型オレオレ詐欺にも引っかかってしまった。島君が途中で疑念を持ったものの、古代君の謎の気迫に負けて折れてしまう。何なんだこいつら……

 

 無論、あそこまで手の込んだ大型詐欺だ。『あんなわかりやすいのにだまされるなんて馬鹿』とか『だまされた方が悪い』とは言えない冷静に考えればすぐに見破れるものを、シチュエーションで冷静さを失わせて詐欺る。だから、みんな騙される。これこそが大型詐欺の根幹。

 問題はそこではなく、信頼している友人であり航海班のトップが疑念を有しているし、自分たちの知っている地球とは結構様相が異なっているという事実を前にして――自分だって疑いを上陸前には持っていたのにもかかわらず、否定した事である。これは信頼の問題と危機管理の問題だ。君だけは騙されてはいけなかったのだよ古代君……。

 

 偽地球の迫真の偽装映像、地球らしい大気、そして地球人らしい姿のサーダ。圧倒されてしまうのも無理はない。更に、訳の分からないままに連れていかれた先はエーロ・アールニオのボールチェアが映えそうな――1960年代から70年代の独特な雰囲気を醸し出す空間。あれは結構地球っぽい雰囲気を醸し出していた。そして自分たちの航海の歴史……。

 ただ、聖総統のとっ散らかった説明に納得してしまったのはまずかった。だって古代君、ごく単純だがまっとうな疑問を真正面から投げかけたのである。実際、聖総統は答えに窮してここ最近の日本の国会よろしくご飯論法をぶちかます他なかった。そのご飯論法で納得するなって。君は聖総統の支持者か? と。

 疑問に思うなら、そこで突っ込まなきゃ昔の君のガッツはどこへ行った

 

 結局、地球であるか否かに関しては疑問に思わず、ただ使命として自分たちの地球へ帰還するためにヤマトは発進した。これは山南艦長の指導力と、古代君の基本性質である情熱と地球や残してきた雪への想いが奇跡的に軌道修正したと言えて、妥当ではある。古代君たちに限って、妥当。

 結果オーライとはよく言うが……ほんと、危なかった。

 

 

 

 考察③:サーシャ残留

 聖総統の謁見を終え、ヤマトへと一時帰還する一同。しかしサーシャだけ、足取りが重い。すると彼女は突然走り出す――この星に残ると言って。

 思わず追う古代。だが、サーシャは立ち止まらず、古代を振り切ってしまった。

 彼女は彼女の使命を果たすために……。

 

 意味が解らん

 残留動機として、彼女は偽地球の方が暮らしやすいという事を挙げていた。君はイカルス天文台でいじめられたのかい? 真田さんの姪という触れ込みの人をいじめるのは――真田さんと信頼関係があるとみて当然な技術班はしないだろう。そしてまた技術班の目の届く範囲では、彼らが盾になるだろう。急成長という点についても、ガミラス人、イスカンダル人、ガトランティス人、データは収集できなかったとはいえウラリア人と4種類の異星人と交流を行いその存在を認識した。そんな地球人が、特にイスカンダル人の血を引く彼女が好奇の目にさらされる可能性は低いだろう。

 いくら嘘っぱちの理由とは言え、ちょっと弱くないかい? 古代君だから半分騙せたわけで……。一方、残った動機を彼女の言葉ではなく真の目的=地軸パイプのハッチを開く特殊任務の為に志願したという部分はご都合主義というより使命感といった方がいい。妥当であるとか合理的であるとかの問題ではない

 それよりも……

 

  何で地軸パイプがあると思った。

   何でそこが弱点だとわかったんだ。ここがご都合主義洒落にならない大規模なご都合主義だろう。初めて行く星ですよね、暗黒星団帝国が何者かわかっていませんよね、偽装見抜いてませんよね。見抜いていて黙っていたならそれは問題だろう。クルーの安全の為に。もし、彼女が黙ったことが原因でヤマトが発進を取りやめたらどうするつもりだったのか。

 母であるスターシャのイメージは仕方がない。この部分に関しては文句の言い用はない。だってあれを見たのは彼女だけだから。どうにだって説明は可能。

 たださ、どうしてパイプがあるってわかったのよ……それに一人で突っ込むより何人かで班として挑んだ方が成功確率が高くなるだろうに。どうして困難で難しくなる方に、難しくなる方に傾いて行動するのか、そこがわからん

 

 サーシャ関連のシーンはあってもなくてもいいシーンか、もう一言二言説明が必要な中途半端なシーンが多い気がする。当該部分のみを切り取って見れば、感動シーンではあるのだが。

 

 

 

 考察④:ハッチ解放、悪夢再び

 ヤマト発進に対し、聖総統はこれを留めんとグロデーズ5隻を出動。当然ヤマトはこれを迎え撃つ。激戦の末、隙をついて波動砲を発射したヤマト。このエネルギーが敵母星までを巻き添えにして大爆発を巻き起こした。

 地球は地球では無かった。人工惑星:デザリアムだったのである。

 デザリアム星の本性が見えたのと同じころ、サーシャは決死の覚悟でデザリアム星の中枢へと潜入し、ハイペロン爆弾の操作機構を使用不能にし、デザリアム星の内部へと通ずるパイプをヤマトの為に解放したのである。一方、同じころ地球ではハイペロン爆弾の解体に全力を注ぎこれに成功、雪の手によりヤマトに一報が届けられる。

 ヤマトは地球を救うべく、全速力でデザリアム星の中へと突入していった。

 

 

 サーシャを信用した暗黒星団帝国が悪い。つまるところ、この時点まではヤマトをだませていると思っていたらしい――実際、騙せていたが。

 内部に潜入し、量子コンピュータなりでハッキングし、それによって内部情報を得る。このこと自体は別にできない話ではないだろう。暗号解読やそれと同等の事が出来さえすれば、出来ない話ではないはず。よくわかんないけど。

 すっごく小型の解析装置を真田さんが作ってた、そうしておこう。

 

 最初にハッチが開かれたのは、この際……まあ仕方がない

 唯一騙せた――とサーシャを勘違いした聖総統なりサーダなりが手厚いもてなしをした過程でうっかり……盗聴器でも仕掛けたか何かして探ったというシナリオも可能だろう。何せ描写が全くないからいくらでも何とかなる。

 

 でもハッチを開かれるわ、ハイペロン爆弾の操作回線を切られるわ、どうなってんだよデザリアム星警備員居なかったのかよ。艦隊に人口全部ぶっこんで本拠地は残留者10名だから手が回らなかったとかそんな感じだったなら説明はつくが、艦隊が敗北すれば民族絶滅で妥当な合理的とは思えん。

 そりゃ武闘派サーシャに全員倒された、という可能性もあるかもしれない。だが、サーシャ一人に壊滅させられる警備隊って何なんだよ。仮に警備隊に損害が出たとして、それにしたって気づくの遅い。大体、何で聖総統がわざわざ警備に行かなきゃいけないのか意味が分からん。

 ほんと、この辺りは正直ご都合主義

 

 

 

 考察⑤:二重銀河消滅

 内部へと突入したヤマトだが、デザリアム星の中枢たる水晶都市の猛攻に手も足も出なかった。サーシャ救出の暇など無く、波動砲発射準備に掛らざるを得ない。その中で山南艦長が戦死、さらにサーシャも中枢奪還に動いた聖総統によって致命傷を負う。

 怒りに任せて古代は波動砲を発射、直ちに水晶都市は消滅し、そのエネルギーが連鎖的にデザリアム星本体、二重銀河と誘爆が及んだ。

 連続ワープで逃げるヤマト――間一髪、危機を脱出した彼らは、戦争の虚無と同時に人類が救われたという唯一の希望を胸に地球へと舳先を向けた。

 

 偽装地球の誘爆の時点で銀河まで誘爆すrという予想はついたにはついたが、マジでやるとは恐ろしい。しかもこの悪い意味での大胆さがヤマト完結編にも引き継がれるのだから恐ろしい。やっちゃだめだよこのちゃぶ台返しは……

 

 まず、直径が50キロ弱の球体全部が対消滅なり、或いはタキオン粒子の対消滅により通常の対消滅より強烈なエネルギーを以て爆発した。という事があったとしても、数万キロ以上の間を以て公転するそれぞれの惑星が連鎖的に誘爆するとは思えない。普通、隕石は星々の間を離脱速度という非常に速い速度で飛翔し――でもね、高速の99パーセントよりは早くは飛べないのよ

 デザリアム星が爆散したとして、その残骸がヤマトよ永遠にの幕終わりまでの間に別の惑星まで到達するとは思えない。仮に到達しても、その爆発が別の惑星に伝わり最終的に銀河全体を爆破できるとは思えない。

 安全地帯が次から次へと危険地帯へと変化していくから、次々とワープしなければならないのはある意味当然。しかし、描写そもそもの前提であるヤマトの速度より速い爆発連鎖は……無理があるだろう。

   

 百歩譲って……すべてがホログラムという可能性。この場合は二重銀河崩壊に合理性を付与できる可能性がある。石津版第一作ヤマトに近い展開と言えるだろう。

 暗黒星団帝国は存在していたが――戦争に負けて国力が極めて減少し、ウラリア人という民族としての体を成さず機械によって国家としての機能を補完していた。天体としての二重銀河など端っから無く、こけおどしとしてのホログラム。実体としては暗黒星雲といくつかの星系の集合体がせいぜい。決して銀河二つ分などというたいそうな規模ではない。

 そうであったとすれば、防衛機能としてのホログラムは防衛機能の中枢あるいはあの時点でそれを担っていたデザリアム星が爆発した時点で機能不全をきたし、崩壊(自壊)した。二重銀河がデザリアム星崩壊と共にデータ的には崩壊し、二重銀河をデータ的に構築するための投影装置が全て同時多発的に損傷、装置の周辺物質も爆発に伴い誘爆したためそれが反映されてあの映像になった。としても何とかならないわけでは無い。デザリアム星のメタモルフォーゼシーンと同じ原理。

 実際には二重銀河は物理的には崩壊していない――そもそも二重銀河自体が存在したとは言い難い存在……自分でもかなりキツイ説明だと思ってる。

 

 

 正直な話、新たなる旅立ちは島倉千代子さんの歌声を、ヤマトよ永遠には布施明さんの歌声を楽しむために見る作品……なのかもしれない。映画を総合芸術としてみた場合の楽しみ方として。