旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

暗黒星団帝国兵器群 デザリアム要塞星――暗黒銀河の向こう側――

 

 

 暗黒星団帝国のもっとも驚異的な技術はその遮蔽システムや大型艦における防護力――などではない。彼らの本拠地たる、デザリアム星。ほぼ人工の天体であり、波動砲すら通用しない巨大な要塞だ。

 

 

 デザリアム星とは

 何度も述べるが、暗黒星団帝国の本拠地である。本拠地は大抵の勢力が天然の惑星であるが、しかしこの暗黒星団帝国はガトランティスに次ぐ人工天体を利用す珍しい勢力だ加えてデザリアム星の前面域にある暗黒銀河で欺瞞し、この天然の要害を以て本星を更なる強固な縄張りを形成していた

 

 この星は形状は表現しがたく、楕円形の中心核から幾本もの支柱が伸びて6、7本の肋骨状外殻を引き付けるという――人間の胸部に近い構造。中心部が心臓で、外殻が肋骨と癒合させる軟骨、接合する支柱は血管。ただ、背骨も肺に当たる構造もない。ベースとして黒い超合金で固められ、その接合部ないし必要な開口部から赤紫色の光が周囲に漏れる。暗黒星団帝国はデザインが非常に有機的であるが、その最たるものがこのデザリアム星であろう

 内部の構造は外観以上に説明しがたく、中心部には水晶のような透明感のある都市が存在している。中心から外へと向かって水晶が成長した球状クラスター。核にはエネルギー供給措置でもあるのだろう、内部から光芒が漏れてより幻想的な雰囲気を醸し出す――がしかし、この都市のビルは多数が巨大ミサイルである。ミサイル発射台と普通の都市が混在しているのか、或いは脱出ポッドの転用なのかは不明。

 

 

 大きさの推測

 大きさは不明だが偽装状態では観測上は直径1万2742キロであるとするのが妥当だろう。じゃなかったら一発でバレる。いくらロダンの考える人の左右をミスる彼らでも、そこまで馬鹿じゃないはず。

 

 未偽装状態はこれも結局不明

 南極と北極と中心部をつなぐ“地軸パイプ”はその内径がヤマトの全高の7倍から8倍程度である為……原作設定値のヤマトの全高77メートル、再設定値は169メートルを元に計算すると――大きめに見積もって616メートルから再設定で1352メートルとなる。割とゴルバも出入りできそう。

 問題なのは、パイプの厚みである。入り口の描写からすれば、パイプの直径は内径の倍程でが考えられる。まあ、これは不思議でもなんでもなく――本拠地であるし、このパイプを突破された場合、暗黒星団帝国は即死である。実際、波動砲で内部を破壊されて大惨事を招いたのだ。だいぶ分厚い装甲であると考えてもおかしくはない。また、あのままでは全く意味がない状態である為、地軸パイプの周囲にライフラインを含んだ複数のパイプラインがあると考えた方が正しい。つまるところ、パイプの直径は1848メートルから再設定値で4056メートルとなる。パイプの全長は恐らく、直径の11ないし12倍と描写されているため、全長21キロから再設定値で48キロとなる。

 パイプの太い部分は全体の1/3弱程度で太さが2倍程度あるから――推定直径3.8キロ、全長7キロ。再設定値で直径8キロの全長16キロとなる。

 おそらく、内部の水晶都市は1キロないし再設定で4キロ程度ではないだろうか。あの闇に浮き上がるような描写とかち合ってしまうが、内部が光を反射せずに吸収するような材質でおおわれていたならば、どんなに接近しても反射しないのだから宙に浮いたように見えるのは当然。

 

 

 天体としては非常に小さいが、人工物としては非常に巨大と言えるだろう

 ただし、中間補給基地が推定全長18キロ、再設定で54キロから考えると――困ったことにデザリアム星の方が小さいという事になってしまう。そりゃ球体と半球以下であるから印象としてはデザリアム星の方が圧倒的に巨大に見えるだろうが、実際はそんなに違いがない……。しかし、これ以上巨大化させるとヤマトとの比率が絶望的におかしくなるため、大きくできて一回り程度だろう。

 

 

 武装

 デザリアム星には決戦兵器はない。これは人工天体で要塞であることが前提の本拠地にしては珍しい。まあ、他に類例がガトランティスの都市帝国か、SUSの要塞ぐらいしかないから珍しいと言い切れるほどではないが。

 ある意味、前面の暗黒銀河も守勢的な武装という見方もできなくはない。

 

 基本的に攻撃の種類はひたすら砲撃するのみで、外部に対するミサイル攻撃能力は皆無。ビームであるか粒子砲であるかは不明だが、ともかく連射ないし長時間照射可能な性能としては割と高い兵器を多用する。

 砲撃方法であるが第一には外殻の埋め込み式砲台4門ワンセットらしい砲台が無数に埋め込まれてこれが猛烈な速射を浴びせる。残念ながら仰俯角左右射角は限られるが、帯状の砲撃遅滞を展開しているため、ヤマト以外の敵ならばこれで十分だろう。

 更に、デザリアム星の肋骨外殻に適宜設けられた開口部からぬっと触手状の中口径砲台がせり出し、柔軟かつ執拗な砲撃を行う。恐らく機動性や柔軟性を重視したのだろう残念ながら、この砲台の耐久性は極めて低くヤマトのダイレクトアタックによってちぎれてしまった。長さは別にして、直径がヤマトの艦体の1/3程度と結構細身。単体で見れば十分巨大ではあるが。

 別のパターンとして、周囲に複数展開している隕石要塞とか言う浮遊要塞が、砲台と同様に猛烈な砲撃を加える。砲門数は不明だが、劇中では3門を使用。見た目は完全に地球に落下した鉄隕石(あれって無機物なのに、いびつさが絶妙に有機物的見た目してるでしょ? あんな感じ)ヤマトの6倍はあろうかという割と大型な兵器だ。

 デザリアム要塞砲がオレンジの火線である一方、この要塞の火線は黄色。違いの理由は不明。

 

 この外殻の圧倒的砲撃力とは打って変わって、内部は自爆的ミサイル攻撃の連続となる。ガミラスの天井都市のそれのように、水晶都市のおおむねのビルがミサイルで、先端部が飛び出し途中でパカッと外装がはがれて直撃する。このギミックは最終兵器であるミサイルの被撃墜率を下げる為に装甲代わりにでもしていた、と説明可能。ミサイル自身も脱出ポッドとか、ビルの発電装置とか幾らでもでっち上げは可能。

 反対に、なぜ最もビルっぽい部分が飛び出し、特に窓っぽいのがない基部がそのまま存置されるのかは説明が難しすぎる。普通、基部がビルで上部が脱出ポッド転用ミサイル、となるだろうに……。

 ちなみにミサイルは全長がヤマトの1/4程とかなり巨大

 ただ、威力は限定的でどちらかと言えば質量兵器に近い性質を有する。だって当たっても特に爆発しないんだもの。爆発よりむしろ掠めて艦長室を物理的に削り取った時の方がヤマトの被害が大きいのだ。ちょっと意味が解らない……。 

 

 

 その他の能力

 不明。ただ、推測可能なのは一定程度の母港や工廠としての機能保有していて当然と言えるだろう。そりゃそうだ、本拠地なのだから。

 パイプラインの規模からして、すべての戦闘艦が通行可能。再設定値でも余裕。空母だけ、艦長がボケッとしていると舷側をパイプにこすってしまいそうだが、基本的には問題はない。故に少なくともバンカー機能は十分に果たすことが可能と言えるだろう。

 問題は、あの水晶都市が詰まった状態の内部空間で軍艦が建造できるかという事。水晶都市に軍艦の建造能力がないのであれば、内部での建造は不可能。そしてあの水晶都市に建造能力はない。だって直径が数百メートル――再設定でも1キロかそこら程度では、暗黒星団帝国艦隊を構成する割と大型の戦闘艦群を建造はできない。容積的に。

 

 となると、軍艦の建造能力を保有した別個の要塞を周囲に確保しておく必要が有るだろう。考えてみれば、サイボーグであるウラリア人が肺呼吸オンリーである必要はない。人工心肺を胴体部に内蔵していれば、無酸素も怖くない。呼吸しなければいいだけだから。であれば、物理的に安定したプラットホームが供給できればそれで造船所の機能は確保可能。内部で胸いっぱいに空気を吸えるような設備を造る必要はない。

 劇中の描写からして軍艦の建造能力については大いに疑問があるが、別に不可能と結論付けらる程の決定的描写もない。とだけ言っておく。

 

 

 

 内部の様相

 おそらく、中心は宇宙空間と同等の真空状態であろうと推測できる。じゃなかったらパイプの開閉という機能自体を保有していないはずだから。で、真空ゆえに浮いている水晶都市を電磁力か何かで固定しているという形式。恐らく要塞の9割ほどの区画が真空であろう。

 先に述べたように、ウラリア人が活動できるのは体内の電子機器が正常に作動できる空間であり、人間が通常生きられる環境である必要はない。だから内部が全て真空や空気が希薄な環境であっても大した問題ではないだろう。そこから考えてデザリアム星は居住スペースのような区画では生身の部分に負担をかけないように空気があるという状況であろうと考えられる。空気があった方が当然、温度変化が調整しやすいし、区画によって真空と空気アリと分けている方が勢力として特徴が出て面白い。

 

 どこからエネルギーを得ているのか。

 恐らく、水晶都市内部に核融合炉があるのだろう。ここから取り出したエネルギーを振幅状にして要塞各所に転送する。何ならあの内部の猛烈に暗い空間が、水晶都市から多少漏れる漏れちゃいかん光すら吸収してエネルギー転換するとしても整合性は取れるだろう。どう見たって動力炉を設置するスペースが少ないデザリアム星であるから、主動力炉から得られるエネルギーはわずかなりとも逃したくはない。

 デザリアム星の外部装甲は自動惑星ゴルバのそれと同様だろう。であるならば、外部からの動力導引は期待できない。防護機能が下がってしまうから。

 

 居住区がどこか、収容能力はどれ程なのか、全く不明

 人員居住区の最有力候補は水晶都市、その他の場所にあるのかと言えば――それは疑問。この水晶都市は形状と推定の直径からして、収容力は蕨市の4倍=40万人か、巨大高層ビル群を考えて更に2倍の80万人以内と推測可能だろう。全部根拠のない推測だが。別場所に居住区があるかと言えば、相当機械化された暗黒星団帝国では、デザリアム星維持のための保守要員が大量である必要はない。そこから考えれば別場所には待機所程度と考えられる。

 

 

 だが、それでも拠点としての能力は脆弱。人口を確保するという意味では脆弱。必ずしも飯を食う必要はないウラリア人の事情を考えると、スペースをガン無視すれば……数百万人から1千万人程度ならば十分養えるだろう。

 考えてみれば地球人の体を移植するウラリア人が数十億もいたら物理的に手術は不可能だろう。数億だって無理。何年かかるかわからないし。

 暗黒星団帝国全体の人口はどれほどなのか――マゼラン方面軍のように、複数方面に艦隊を派遣したとして、それぞれ人員は1万か2万程度を見込む。地球は相当の戦果を期待できるため、見込みがあるため、5万規模で集中的に戦力投入すると仮定する。これらの前提を踏まえると、通常の国家は人口の0.3パーセントを兵員として見込む。逆算すると、暗黒星団帝国の国民は全体で…ざっくり5000万人程度か。巨大な星間国家にしてはかなり人口が少ない気がする

 これだけ少ない人口であったとしても、残念ながらデザリアム星で暗黒星団帝国国民の全体を養う事は不可能であろう。全人口の1/100程度分しかキャパシティがない。たとえ国民の数が1/10になったとしても、それでもデザリアム星を拠点とするには……正直能力不足と言わざるを得ない

 

 機能として水晶都市にデザリアム星の中枢があるのは間違いないだろう。聖総統が居た場所も恐らく水晶都市。

 外殻部分では万が一の損傷が怖い為、中枢機能を置くには不適切だろう。水晶都市はデザリアム星の中心である地軸パイプの中央部に位置するため、どう考えても最も安全な場所であり、特殊装甲で構成されたデザリアム星であれば元来はほぼ鉄壁の防御と言えたはず。この水晶都市以外に中枢機能を置く理由がない。

 一方で居住区としてどれだけ設ける必要があるかといえば、別の場所でもよかった感はある。あまり居住区が広がってしまえば、安全なパイプ内部の空間を圧迫して利用範囲を狭めてしまうからである。水晶都市は中枢機能のみで、都市の形態をする必要はあまり無い。そんなに気にする事のない要素かもしれないが。

 

 問題は、あの内部警備の物量的少なさだ

 相手を誘い込む前提の彼らが、サーベラーですらちゃんと警備兵を手配したのに――聖総統が御自らサーシャ探索に向かわなければという時点で……デザリアム星は内部がダメダメだったと言わざるを得ない。デザリアム星の住人が艦隊戦力に全員出払っていれば、手薄なのもわからないではないが、だったら別のロボット兵ぐらい配備しておけって。そうでなくても自動での警戒システムぐらい用意しておけって聖総統。

 逆にいえば、デザリアム星はあれほど機械文明が進んでおきながら機械(ロボット)の利用は乏しいという事になる。なんてややこしい人たち……。

 

 

 その立ち位置

 デザリアム星は明らかに小さい。しかもその防衛設備は微妙。結果的に火力不足だったのは仕方がない――ヤマトが堅すぎたのだ。あれはチート。ただ、ミサイルすら役に立たなかったのはどういうことか。爆発自体が小さい。

 この非常に歪な性能をどう説明すれば筋が通るのか――

 

 可能性としては一つは緊急避難用の要塞を拠点として使っているという事聖総統府のみをデザリアム星に映したという想定

 元来は侵攻拠点となる要塞あるいは中間補給基地であるのだが、暗黒星団帝国の現状と使い勝手の観点から聖総統がこれを拠点として使ったという見方であるだったら、すべての人口を内包できるだけのキャパがないのも仕方がない。端っからそういう設計ではないのだから。よって、帝国の人口は同様の要塞のいくつかに分散し、政権中枢=聖総統府とその付随機関のみがデザリアム星に退避していたと説明できる。だから人口が少なかった、元から少ない人口を当然艦隊用に幾らか割いたため余計に人口が少なくなってしまった。

 例えるなら、クゾートフの作戦。彼はモスクワを明け渡してもロシアがなくなるわけでは無いと言って撤退を強行したが、同様の人物が暗黒星団帝国にもいたとして――要は帝国の劣勢を鑑みコスモ・バルクライやコスモ・クゾートフが指揮して国家を守る為に撤退戦を敢行、成果を上げた結果帝国は滅亡を免れた。

 暗黒星団帝国がガミラシウムを必要とした時に戦っていた相手の戦争は上手くいかなかった可能性がある。勝って居たら、中枢に近づくほどへぼい迎撃部隊を繰り出すなどという疲弊感丸出しには無かろう。

 

 しかし、その過程でグレート・エンペラーから聖総統へと政権交代が行われ、旧勢力の多数残存していることが予想される旧都より、差し当たっての都だったはずのデザリアムの方が彼にとって価値が出て来た。だからデザリアムを新都として遷都し、政府中枢を完全に設置・移行という事になるだろう。別に政権交代に成功した聖総統がデザリアムを指名して主導的に遷都したとしても構わない。

 新政権による遷都は歴史にもままある話で、アメンホテプ4世によるメンフィスからテル・エル・アマルナへの遷都。コンスタンティヌス1世によるローマからコンスタンティノープルへの遷都(していないとする人もいるが、遷都年の確定は別にして彼がローマを首都とする必要性等々、遷都していないとする見方は正直疑問)など色々類例がある。

 

 

 これらの前提があれば、ある程度は聖総統の行動も理解できる

 元からヤマトのような極めて危険な存在と戦えるだけのキャパシティの無いデザリアム星。艦隊の援護がなければ、強力な戦艦相手には必ずしも十分な防衛装備があるとは言えない。であるからこそ、第一に地球への偽装を試みた。次いで地軸パイプより、グロデーズ戦隊を出してヤマトに損害を与えた。これでも撃破できなかったため、最終手段である浮遊要塞などの援護を以ての防衛を敢行。

 ガトランティスの白色彗星からの都市帝国という極めて好戦的でひたすら敵を圧倒するタイプの要塞とは違い、出来るだけ守勢に徹し勝てる可能性の確保出来たタイミングで攻撃に回る要塞。自動惑星ゴルバともえらい違いである。

 デザリアム星は守勢的な要塞と言えるだろう。だから要塞でありながら、出来るだけヤマトと対峙させなかった。

 

 別の可能性としては、デザリアム星は本当は拠点ではないという事。デザリアム星は本当にただの要塞で、地球を小惑星と認識してしまうほどかなり大きな惑星を母星として、今現在も本当の首都はそこにあるというパターンだ。

 ヤマトが母星に接近してきたら、本当にどんな大惨事が引き起こされるか分かったモノではない。出来れば、ヤマトを近づけたくない。

 ならばヤマトを誘引して、母星から引き離せばいい。母星とは別におあつらえ向きな要塞=デザリアム星を用意し、これを地球に偽装。ここにヤマトを引き込み本星の安全を確実かつ完全に確保しつつヤマトを破壊し、これによって作戦を完遂する。かなり壮大で、それでいて出来るだけ石橋をたたいて渡る手段と言える。

 作戦のかなめであるハイペロン爆弾の起動は指揮系統から言って聖総統がするべきだろう。また、指導者として絶対に手に入れたいヤマト撃破の陣頭指揮も彼にとっては政治的基盤の確保ないし維持には必要だったと考えられる。だが、安全は確保したい――そこで、あってよかったデザリアム星。

 これらを考え合わせると……合わせなくともデザリアム星の指揮を聖総統が取っていたというのが妥当だろう。また、そもそも対ヤマト専用兵器というか茶番劇の舞台である当然、から住人が生活する予定は端っからない。だから、拠点なのにほとんど住人が見られなかった。そう説明が出来る。

 

 この壮大な偽装劇は実は類例がないわけでは無い

 奇術師として有名なジャスパー・マスケリン。彼は第二次大戦中、ダドリー・クラーク准将率いる〈Aフォース〉通称マジックギャングに参加し、ドイツ軍を散々に打ち破った。このAフォースはイギリスが設立した諜報と欺瞞の専門部隊である。

 彼らは、ドイツ爆撃隊によるスエズ運河空襲の際には、アレクサンドリアの町を別場所に作り見事に損害を封じた。また、バートラム作戦ではモントゴメリー軍の援護の為に明後日の方向に巨大陸上戦力の幻影を創り出し、名将ロンメルを見事に釣り上げたのである。

 彼らだけではなく、ロンドン管理課と呼ばれた欺瞞作戦の統括部署に至っては、WWⅡの運命を決したノルマンディー上陸作戦の成否を担った"ボディーガード作戦”を敢行し、特に中核作戦たるフォーティテュード作戦はあのモンゴメリーを投入したことで、ヒトラーはどうでもいいとして――ルントシュテットロンメルドルマンやシュヴェッペブベルクを見事に欺いた。

 欺瞞が国家の運命を左右することも、有るにはあるのである。

 

 

 どのみち結局、波動エネルギーと炉心誘爆のダブルパンチでデザリアム星は崩壊したし、巻き添えを食って二重銀河まで崩壊してしまったから、せっかく丹精込めて計画した作戦も何にもならなかったけどね。

 あの爆発では首都が別にあろうが何だろうが、逃れられなかっただろう。デザリアム星運用の見通しが甘く、警備をケチったツケが回ったという事。あまりに巨額な授業料だった。

 

 

 デザリアム星は恐らく、暗黒星団帝国始まって以来腰を据えた拠点ではないだろう。割合に最近設定された、もともとは単なる大型要塞の位置づけだったとして矛盾はない。仮に永続的な拠点として利用するには、これは全く問題外にキャパシティがない。

 しかし、差し当たっての拠点であるとか、対ヤマトには十分な機能を果たし得る。正直、拠点としてはかなり脆弱ではあるが――戦略的な運用を行えば十分に利用価値のある人工天体だ。ただ、計画の詰めが甘かったし相手が悪かった。

 結果として、十分な能力を発揮できず、消滅した

 

 私なら地球占領後に拠点を地球に移してデザリアム星は聖総統府ではなく、単なる機動要塞としてワンランク、格を落としての運用とする。もったいないし、中間補給基地より安全で、潜在能力はかなりあるからさ。