旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

登場人物考察 暗黒星団帝国

 

 暗黒星団帝国は割に多彩な人材を持つ国である……見た目だけは。ところが、その大部分は不明な事ばかりだ。そのため、今回は分かる範囲で出来るだけ深く考察したいと思う。判る範囲で

 

 

 

 新たなる旅立ちにのみ登場――国家元首級――

 氏名:グレートエンペラー(本名不明)
 年齢:不明
 階級/役職:不明(君主国の常より大元帥と推測)/グレートエンペラー
    容貌:わかるわけないじゃん。画面に出てないんだもの

 

 ヤマト史上唯一の、地球攻撃を全く意図せずに登場した国家元首

 そりゃそうだ、ガミラシウムの採掘を目的にマゼラン方面軍を差し向けたのだから。彼の行動には当たり前だが地球の存在は一切考慮されていない、何なら即日の報復を含めた侵攻計画は影も形もない。グレートエンペラーが職なのか氏名なのかが判然としないが、仮に役職や立場であれば恐らく本名もカタカナ表記だろう――つまりヤマト史上唯一、カタカナオンリーで表記されている人物となる。

 グレートエンペラー……多分、大帝という日本語ないし中国語を英語に直訳したようなもので……ズォーダー大帝の次に出てきた勢力の国家元首という前提があるおかげで何だか非常に安直に思える。ちなみに、大帝という尊称は普通the Greatであり、大王と大帝に区別はない。 ただ大を表現するのみで、色んな称号に付属させることが可能。結構便利だ。

 何はともあれ、非常に大きな権力を有しているとみらる。何せ、あのメルダーズが冷や汗かきながら通信していた事でもそれはうかがえるだろう。輔弼機関は無いか存在しても権限は大して無い、グレートエンペラーに統治の大権が集中し完全に掌握されている状態なのだろう。

 その一方、メルダーズに対する態度は威厳あるが同時に丁寧な物で頭ごなしに叱責をするタイプではない。グレートエンペラーとは安直だが、ズォーダー大帝の次に登場する国家元首として相応しい要素を備えていると推測できる。

 以上。以降の消息不明。

 

 

 新たなる旅立ちにのみ登場――部隊指揮官級――

 氏名:メルダーズ(名前の由来:不明/英語表記:Mölders)

 年齢:不明

 階級ないし役職:長官(軍政長官あたりか)/マゼラン方面軍総司令(上級大将ないし元帥相当)

 容貌:禿頭、比較的若年かつ細身、白い制服

 名前の由来は全く見当もつかないが、ドイツのエースパイロットにヴェルナー・メルダースという人物がいる。 Möldersで英語版表記と苗字が一致するため、これだろうとは思う。ちなみにムルデ川に由来する中高ドイツ語の姓。或いはエストニア由来の姓であるモルダー(Mölder)。オランダ語で製粉業者に由来するmolderというのもある。多分、深い意味なく語感での命名だろうて。

 

 性格は非常に冷静で丁寧悪く言えば慇懃無礼。結構きれいな見た目と非常に貴族的で優雅な雰囲気。グレートエンペラーというのだから暗黒星団帝国は新たちでは君主国だろう、代々の宇宙艦隊に仕官する割と広めの領地を統治している貴族の家系、という裏設定が仮にあったとしても全く違和感がない。

 それゆえ、から――誤解を恐れずに言えば十代目松本幸四郎(七代目の市川染五郎のこと)っぽい。正直、染五郎さん以外に見えない……髪は別だが。ついでに言えば、中の人は時代劇でよく悪役を演じるお方。余裕たっぷりな悪役っぷりが板についておられ、メルダーズの性格や行動を裏付ける風格を見事に醸し出した。

 描写をそのままに受け取った場合――あえて長官と総司令を分けているという見方もできる。総司令長官なんて呼び方は普通しないが、一方で尊称代わりに長官を使う場合もあろうとは思う。だがそう言ったことを全部無視すると、マゼラン方面軍全体の軍事と政務の双方を司る総督、東洋的にいえば都督に近い存在としてみることも出来るのではないのか。ガミラシウムの採掘が数日で終わるとも思えないし、実際に生じたように敵対勢力の襲撃、あるいは逆に友好勢力になるかもしれない存在との接触があるかもしれない。そんなときに軍事だけ任されていてはあまりにマゼラン方面軍の行動が制約されてしまう。帝政ロシアでは政治家が総督職に就くこともあるが、一方で軍人の事例も少なくない。新たに手に入れた属州の場合、正式な統治を開始する前の暫定政権は大抵軍人がそのトップを務める。

 これらの要素を鑑みて、メルダーズがただの軍司令官に留まる職責ではないと見てもいいのではないのだろうか、と個人的には思う。

 

 貴族的な雰囲気のメルダーズだが、ただの青瓢箪ではない。むしろかつての時代のような強力な軍司令官であり、実際には戦闘のセンスはかなり能力が高い。交渉のセンスも同様に高く、自らが陣頭指揮を執って以降はゴルバの強力さも相まって戦闘をほぼ完全に掌握していた

 しれっとヤマトとイスカンダルの間の位置に陣取ることで波動砲を一時的にではあるが防いだし、突進してくるガミラス艦隊を慌てずに余裕を持って迎撃している。加えて目端は非常に利く方で、デスラー総統が必殺のデスラー砲をかまそうとしたのに気が付き、ゴルバをバトルモードからディフェンスモードへと移行させてこれを防いだ。これは中々に手堅く、素早い反応と言っていいだろう。名将というほどではないが平凡というにはスマートな動き。

 彼のもっとも特徴的なのはその紳士的な人柄だろう

 奇襲攻撃をされたガミラスに対しては怨みに近い暴言を吐いていたが、しかしてその救援に現れたヤマトに対しては「地球の戦艦よ、お見事な戦いぶりであった」などと必要にして十分な礼節のある態度を見せた。即時の戦闘には入らず、自分たちの目的を明確化したうえで立ち去る様に勧告するなどこれもまた紳士的。必要かつ十分な外交的反応だろう。10分の猶予時間はちょっと短い気がするが……

 また、弱小勢力の場合は彼の言葉をどこまで信じていいかは不明だが、劇中においては帝国の指示に従う範囲においては一応スターシャらに危害を加えないと宣言した。そして実際、脱出ポッドに対しては一切の攻撃を加えなかった。別にあのタイミングでなら脱出ポッドに攻撃を加えてもヤマトやデスラー総統が反撃の出来る状況ではなかったから、ルガールJrなら絶対に攻撃する状況で攻撃を我慢した。どうやらメルダーズは結構約束を守る人物らしい

 武士道的フェアプレーを目指したガミラス絶対的自信を以て正々堂々と戦ったガトランティスこれらに続く貴族的戦闘スタイルの暗黒星団帝国(メルダーズ)と表現することが出来るだろう。

 総論として、かなり有能な人物と言える。しかし、残念ながらイスカンダル星の爆発に巻き込まれて戦死してしまった。

 

 

 氏名:デーダー(名前の由来:不明/英語表記:Deider)

 年齢:不明

 階級/役職:不明(大将クラス)/マゼラン方面軍第一艦隊司令長官

 容貌:禿頭、中年風、がっしり体型、常にではないが力が入るとケツ顎、白い制服

  名前の元ネタになったかは別として、レーダー(Raeder)という似たような姓は存在する、意味は車大工。ドイツ海軍総司令のエーリヒ・レーダーが有名だろうが、実はノルウェーに多い。このレーダーをどことなく悪役っぽい名前にすると――多分デーダーになる。いや、わかんないけど。

 マゼラン方面軍第一艦隊旗艦〈プレアデス〉に座乗、隷下に採掘作業船団とその護衛艦隊を擁し、自らはガミラス星の周辺域を警戒していた。見た目と言い細かい描写と言い、何とも親分的。貴族的なメルダーズとはかなり対照的だが、メルダーズが意外とデーダーにフリーハンドで指揮権を渡していた様子で、関係は険悪では無かろう。戦死報告の時にはきつい事言われてたが……。

 

 艦隊に対する指揮能力は割と低い明らかに誘われているのに航空戦力をそのままヤマトに突っ込ませるという残念な指揮に加えて、その大惨事を見ておきながら艦載機群の後を追わせる形で巡洋艦隊を突撃させて見事に全滅させられる醜態をさらした。他方で、単艦での戦闘はまともイスカンダルを背にしてヤマトの波動砲を封じた――が、決戦なのにレーダー員がぼーっとしてたのか一瞬の隙をつかれて敗北してしまう。目視だったのかな? よく言えばそれだけ味方のステルス或いはレーダー欺瞞能力が高く自艦のレーダーにも支障がきたすほどという見方も出来なくはないが、普通は致命的凡ミスとみるだろう。

 戦闘指揮の放埓っぷりや、豪快な笑い方からして雑な人物に見えるが意外にもホウレンソウをしっかり行う真面目な側面を持つ失態を隠さず上司のメルダーズに伝え、収集出来た情報を全て上げる。その一方でメルダーズが必要と判断して渡した情報はちゃんと重んじ、波動砲に対する極めて単純だが効果的な防護法を実行した。基本的には冷静な人物で隷下艦隊の司令が悲鳴を上げても別に騒ぐわけでもなく、直ちに直属艦隊の出撃を命じる大人物さは有している。意外と悪い人ではなさそう、唐山陶人的な感じがして。

 どう考えても名将ではないが、だからと言って愚将というわけでは無い。唐山陶人的に足をすくわれて戦死したが……。

 興味深いのが、彼にはなぜか副官が2名もいて、しかもでっぷりした体型という事。多分、後にサイボーグ設定が付けくわえられた(という疑惑があって、どうにもそのあたりがいまいち判然としない)から整合性が取れていないのだろうが、それにしても同じような体型の人を集める事ないのに――と思った次第。どんな演出的効果があるのか、不明。まあ、色々と妄想はしやすい。副官のいない体制の強い暗黒星団帝国の、冷たい感じのキャラクターの中で割合親分肌な感じを醸し出すには十分。

 前述の通り、波動砲の直撃により旗艦〈プレアデス〉と共に爆死した。

 

 

 氏名:護衛艦隊司令(本名は不明)

 年齢:不明(多分、結構若い)

 役職/階級:護衛艦隊司令/不明(准将か少将クラスか)

 容貌:若年風、華奢、禿頭、白い制服

 個人情報としては一通り不明泣きが入った声で敵襲の一報をデーダーに入れたのみの登場で、多分ガミラス星の爆発に巻き込まれて戦死した模様

 惑星の外に護衛なり偵察なり警戒艦を出していないという、ヤマトにありがちな致命的凡ミスをしてくれた人物。デーダーにガミラス星周辺の警備をしてもらう、という事であったかもしれないが――そうであっても自前で一定程度警戒する必要はあっただろう。そして、見事に奇襲を受けてしまった。

 奇襲を受けた後は仕方がない。残念だが、彼にできることなど無い

 後に判明するが、護衛艦はヤマトのショックカノンに二枚抜きされてしまう程度の紙装甲。そんな雑魚が、いくら数があってもなんぼのものか。多分ガミラス艦より紙装甲なのは間違いない。そんな艦艇では奇襲を受けてしまえば壊滅必至。指揮官の腕を見せるまでもなく敗北しかなかった。

 その点では、彼は不運だった。まともな艦隊を渡された際の彼の能力が如何ばかりであったかは永遠の謎である。まあ……あの動揺の仕方からして、あまり軍歴は長くないタイプ。多分、年齢も若い。貴族の子弟で階級だけ高く、実務はあまり場数を踏んでいないという可能性も指摘出来よう。何といっても空き家の惑星の鉱物採掘の護衛という、あまり危険性のない任務なのだから経験豊富である必要は大して無い。だから人に就いたが、哀れ結構な強敵の襲撃を受けてしまったと。

 そんな感じのキャラクター。

 

 

 その他備考――

  新たなる旅立ちにおける暗黒星団帝国は制服がベースとして白く、ロング丈のブーツや同じくロングな手袋が黒い。黒いベルト(イエローなホルスターをぶら下げるのは構わないのだが、バックルだの何かのボックスなどが色々付属。邪魔だろうに)とデコルテ部分の黒い装飾や縫い目に当たりそうな部分に施された黒い破線が共通デザイン。詰襟から覗くローマンカラー(襟の前側、顎の下の部分。司祭の服とかの白い部分の事――あれ、カラーが前では無くて後ろで留めるから襟の前が必然的にカラー丸出しになる)風な装飾は階級等で色が変わるらしく、最高司令は赤で中級司令が蛍光イエロー、より下位はオレンジ色と設定されている模様。ただ、デーダーと副官らしい背後に控えていた人物と服装的な差はほぼ確認できない。

 将官(司令官や参謀)クラスは黒いマントを着用している。他方で一般将兵は黒いヘルメットを着用しているのである。あまり重量級とは思えない護衛艦隊司令からマントを着用できるらしい。ヘルメットの形状は耳当てが一体化しているようで――なんともかわいらしい見た目になっている。

 デザイン性はそれなりに高く、割と多層的な階級表現がなされているといえる。ただ、ガトランティスに比べればかなり簡素で大枠でしか判断できない程度の不十分な物でもある要するに階級表現が雑

 

 

 

 

 ヤマトよ永遠にのみ登場――国家元首――

 氏名:スカルダート(名前の由来:不明/英語表記:Skulldart)

 年齢:不明

 階級/役職:不明(国家元首故、おそらく大元帥)/聖総統

 容貌:金髪の地球人風なナイスミドル→禿頭、青白い肌、赤い目のやべぇ骸骨

 仮に名前が英語由来であるとすれば、直訳すれば〈汚いガイコツ〉。言っちゃ悪いが、素顔を見ればわからんでもない。ちなみに、ロシア人の名前にかなり多い○○フ、○○スキーは、前者は○○の息子という意味。後者は○○一族の~とか言うような意味合いで、аやyaで終わると女性形。○○ダートという名前が出てくる地球上の文明は……アルサケス朝パルティアぐらいか。ミトラダテスとしてよく知られる名前は実はギリシャ語形で、現地語読みでは実はミフルダートとなる。

 何が言いたいかといえば、多分造語。特に深い意味はないか、直訳の汚いガイコツが正しい意味合いになると思う。

 

 初登場はぬっと床から玉座ごとせりあがってのワンシーン表現しがたい形の赤い服装が印象的。強いて言えばロシア皇帝パーヴェル1世の正装姿に近いか。スカルダートは山南艦長よりずっと健康的な肌色で金髪のナイスミドル、声のおかげで頓珍漢な説明も南部博士並みに説得力がある不思議な人物。しかし、実態は他のウラリア人と同じように思いっきり血色の悪い肌と禿げ頭に加えて珍しい赤い目をした――相原君が思わず声を上げてしまうほど恐ろしい容姿。まさに、ダートなスカルっぽい見た目。

 彼に軍事指揮官としての能力を要求する必要はないかもしれないが、多分ゼロ。コイツがヤマト接収を無理にカザンに急かしたために、ヤマトが切り札だとバレてしまった。挙句、無限β砲の威力を過大評価してせっかく優勢だった戦闘をむしろ味方の敗北に追い込んだり、全要塞群にヤマト迎撃を命じた割に総力を結集させなかったり、内部の警備兵にちゃんと警戒をさせなかったり――残念さはヤマト2のサーベラー以上と言えるだろうあっちは政治力を発揮したり、それなりに部隊を動かしたりと全く無能ではなかったが聖総統は……

 正直、あまり頭のいい人とは思えない。だって、珍しく普通の事しか言わなかった古代をあしらいきれなかったのだから。ハイペロン爆弾(重核子爆弾)をなぜ地球に差し向けたか、古代に突っ込まれて「その通り、」と言葉を一度は絡め取ったまではよかったが、結局「アレは……」と一瞬答えに窮してしまう。いやいや聖総統、それぐらい考えておいてくださいよと。

 聞き分けのない一部の人間に対する脅しにすぎん、というのは確かにそこまで悪い回答とは思わんが、一方で言葉が足りなさすぎる。例えば……より一層の発展を200年後の今もたらす為、今の技術を200年前の地球にもたらし、それによって目的を実現するのだ――というところまで説明して初めて意味が通る。過去でなければ修正できない200年後の今の地球に存在する問題を合わせて古代たちに披露する必要があるが、何とか誤魔化せはするだろう。

 とにかく、聖総統は言葉が足りない。すぐに結論に話を持って行こうとする。おかげで古代はふんわりした疑問・疑念を抱いたままヤマトへと帰還し、地球へ帰る事を強く決意してしまった。

 この程度のレスポンスが出来ないというのはちょっと政治家として、国内では通っても対外的には頼りない事甚だしいほぼ、良い声で誤魔化していると言っていいだろう白のサルマンみたいな人ですわいね。指導者には声も重要なファクターだけどさ。

 

 そんな聖総統だが好感の持てる部分もある――何度もスイッチを押してしまったり、サーシャの対処に物理的に自ら動くなど、巨大帝国の国家元首にしては小物っぽい面がかなり大きい人物。これはちょっとかわいいそしてまた、小物らしく無駄にあふれるガッツを持ち、ぎりぎりまで粘ってデザリアム星の中枢閉鎖を試みた。これは国家元首として見上げたものだ。

 また、演じた大平さんの説得力ある声も相まって、意味不明な言葉の羅列を“それっぽい演説”に昇華させるカリスマ性を持っている。恐らく、自己演出などの能力も恐らくは長けているだろう。本当は、政治家としては結構危険なぐらいに潜在能力を秘めた人物と言える。これに政策立案力が伴えば、本物の政治家になれただろう……だが立案力に期待できないのが問題。それでは政治家ではなく政治屋さんになってしまう。政局にのめり込み、実行力が欠如した政治屋さんに国家運営は担えない。

 政治とは本来、実行力と対立相手との妥協の産物であるが……聖総統はそれを全く行わない政治を言葉のみに集約させ問題を問題ではなくしてしまう――やはり恐ろしい声だ。先に述べたが、白のサルマン並みかもしれない。ただ、結局は論点ずらし的な傾向はぬぐえず。別の手段が取れるだろう地球人のボディを奪おうとしたり、古代の詰問を誤魔化したり、根本的な対処は得意ではない模様。そこが小物っぽさの所以か。

 そうはいっても――恐らく前作では君主制だったとみられる暗黒星団帝国を総統=選挙で選ばれる民の代表が統べる国へと変革を遂げたのが‟永遠に”における暗黒星団帝国である。その体制の大転換を成し得るだけのカリスマ性を持っていると評価してもいいかもしれない。レーニンだってプロパガンダというフィルターを取っ払えば大人物というより、短気で間違いを認められないタイプのよくいる禿げたおっさんだしね。

 色々奮闘したのは間違いない聖総統しかし、最期は古代進怒りの波動砲発射の巻き添えで光芒の中に溶けていった

 ちなみに海外だと、Great Emperor Skulldartと呼ばれ、聖総統がグレートエンペラーという事になっている。ちょっと面白みに欠ける感じ。 

 

 

 

 氏名:サーダ(名前の由来:不明/英語表記:Sada)

 年齢:不明

 階級/役職:不明(多分文官、割と高官)/聖総統付き秘書官(推定、実際は不明)

 容貌:青い長髪、地球人的肌色、大きな目、青いドレス姿

 松本美女ではない容姿の美女。サルダないしサーダはサルデーニャ地方由来の様々な物品等によく付けられる名称。ネパールなど、全く別の発生で同様の名称のものもある。要は、彼女の名前の由来は分からない

 

 秘書官のような立場らしいが、全体として不明。立ち居振る舞いからしてさすがに情婦では無かろう。そして残念ながら全くの役立たず。これが彼女一番の特徴だろう。

 握力が弱いのか知らないが、肝心のタイミングで手袋を外してしまったり、サーシャを見失ったりと――わざと足を引っ張っているのではないのかと思うほど残念な行動ばかり。しかも、思わせぶりな行動をする以外に特に能力がないときたもんだ。聖総統と合わせてダブル・サーベラーとでも言うべき余計な事をしてくれた人物である、多分聖総統より貢献度は高かろう。ある意味、地球にとっては恩人なのだが

 そんな恩人ではあるが、最後は不明。また、素顔がどんなものなのかも不明。マスクをかぶっているのか居ないのか、ウラリア人であるのか否かも全く分からなかった。

 お前一体何者なんだよ……。

 

 

 

  ヤマトよ永遠にのみ登場――部隊指揮官級――

 氏名:カザン(名前の由来:不明/英語表記:Kazan)

 年齢:不明(中年前後と推定)

 階級/役職:不明(上級大将ないし元帥クラス)/地球占領軍総司令官兼務黒色第3機動艦隊総司令

 容貌:禿頭、ケツ顎、つり目、スマートな体型

 タタールスタン共和国の首都とおんなじ名前で意味はタタール語で大鍋とかボイラー。人名では有名な映画監督エリア・カザンギリシャオスマン帝国出身のアメリカ人)が同姓としてあげられるだろう。苗字のカザンは地名由来の姓で、イランとトルコのそれぞれにカザンシュ都市がある。他にも古代宇宙飛行士説関連で有名なソ連アレキサンドル・カザンツェフなど、たまに見る姓である。

 ただ、このキャラクターの由来になりそうな人物は特に思いつかない。どうでもいいが黒色艦隊の正式名称は黒色第3機動艦隊らしい。みんな黒色艦隊としか呼ばないけど。

 

 顔も声も怖い上に結構有能な指揮官。副官二人を引き連れ階段上るシーンは結構怖かった。失敗の可能性を念頭に置き抜け目なく慎重で、それでいて果断・苛烈な攻撃を加える闘争心を有している中々な指揮官だ

 彼の素晴らしい点は徹底して奇襲戦に集中、イスカンダル上空戦での失敗を全て学習し、正面切っての戦闘に耐えられないという自軍の弱点を理解した上での戦闘を行った事だといえるだろう。全盛期に比べれば圧倒的に能力の低い地球防衛軍相手とはいえ、完全に翻弄、空間騎兵隊と無人艦隊を粉砕することに成功した。しかも艦隊戦とは勝手の違う地上制圧戦も展開してみせた為、多くの分野にわたって指揮能力を有することを見せた。前作でいう所のデーダー司令よりはメルダーズ長官に近い立ち位置だろう。

 ただ、ヤマトを連呼したため藤堂長官に恐怖心を見透かされてしまった。これは痛かった……聖総統に急かされたというのもあるが、これは痛い

 この凡ミスがヤマトを結果的に炊き付けてしまったと言えるだろう。見た目はかなりいかついが、聖総統と同じで意外と小心者なのかもしれない。完全に大人物だったメルダーズ長官とは対照的に、演出的な部分での余裕や高圧的な態度だったのかもしれない。ただ、それなりに普通の感覚を有しているらしく藤堂長官に余計な罵倒も浴びせなかったし、ヤマトの新ワープにも素直に「なんと早いワープだ」などと感心していた。その点、柔軟性を有していることを推測させる。軍政を敷くことが可能なだけの知性と感性は間違いなく有しているだろうい。

 ヤマト補足時のセリフから、聖総統への心酔度はかなり高く、なんならサーダよりも上の可能性がある。これは意外ではないが、キャラクターとしての味付けに利用することのできる要素。

 

 危険な存在であるヤマト発進を受けて艦隊を招集、緊急発進して撃破を狙ったが取り逃がす。それでも構わず全速で追撃、本国からの増援艦隊がヤマトを足止めしている最中にヤマトを補足成功。間髪入れずに砲撃を開始し――ヤマトを再び取り逃がしたものの、グロータス指揮下の浮遊要塞が待つ作戦域へと誘導に成功した。

 本人曰く、「思う壺にはまって来たぞ」と作戦の全体図をちゃんと描いたうえで戦闘を行えている様子がわかる。また、微妙に消極的な表現であるから失敗する可能性もある程度念頭に置いていたのだろう。ヤマトがイカロス天文台から発進したのをキャッチすると早急に迎撃態勢を構築し、あと一歩まで迫れたのは間違いなくこの慎重で失敗することを念頭に置いた作戦指揮が好材料となったというのは間違いない。

 しかしてその最期は不明散々活躍したのだが、最期は不明という不可解かつ雑な展開に。一応、浮遊要塞群の爆発に巻き込まれて指揮下の艦隊と共に爆死したと思われる。さすがに浮遊要塞がボロ負けするとは思わず、そこから逃げよとするヤマトを迎撃するために張り付いたと説明できるが……なんか惜しい感じ。

 

 

 氏名:アルフォン(名前の由来:不明英語表記:Alphon)

 年齢:不明(20代ぐらいと推定)

 階級/役職:少尉/暗黒星団帝国・地球占領軍技術部情報将校

 容貌:若年風、ぞっとするほど美男、青い目、長い金髪

 アルフォンなんてありふれた名前であるが、どうもドイツ系っぽい名前。ちょっとほかの名前よりは統一感がない。まあ、メルダーズ長官の例もある事だし、東ドイツという事で統一感のある名前と強弁できなくもない。

 

 ざっくりいえば、雪に恋しちゃった迷惑な将校。立ち居振る舞いや要望など、全体的にイケメンというかハンサム男。コイツのせいでハイペロン爆弾が機能不全に陥ってしまった。おかげで帝国の大戦略はぶち壊し、聖総統も冷や汗をかく羽目になった。そりゃ、悪い人ではないさ。情が深くなければ一目ぼれなんてできやしないし、祖国と雪との間で揺れ動いたりはしない。

 でもさ、あなたという人は……。

 襟部分の装飾はオレンジで、総合的に勘案すると階級と慣例からすれば小隊長か中隊付きぐらいのレベルだが……物凄く高位っぽい振る舞い。尉官は別に低級というわけでは無いが、しかし――勝手に地球人捕虜を囲ったりできるほどの権力を持っているとは考え難い。お前は何者なんだ……。正直、将官クラスの設定でよかったのではないだろうか。最低でも大佐とか。

 戦闘指揮の能力は不明だが、コイツの立場からして戦闘を大なう必要は希薄だろう。実際、地球側のレジスタンス(彼の言い方を借りればパルチザン)との戦闘にはほとんど彼は関与せず、技術関連の収穫が得られそうな場面に登場したというのは妥当と言えるだろう。

 最期は空間騎兵隊に狙撃され、念願だった雪の膝枕の上で絶命。貴様ァ……。

 

 

 氏名:ロータス(名前の由来:不明英語表記:Grotus)

 年齢:不明(50代から60代)

 階級/役職:不明(上級大将ないし元帥クラス)/浮遊要塞総司令

 容貌:中年風、青い目、青白い肌、貴族風の白い巻毛

 一応、W・A・グロータースという人物が存在する。ベルギー(南部のフランス語地域)生まれのカトリック神父で、割と有名な方。あとはラトビアの芸術家ヒューゴ・グロタス(Hugo Kārlis Grotuss)もいる。結局、名前の元ネタは不明

 

 髪ふっさふさのモーツァルト的髪型の男性、メルダーズに続きめっちゃいい声。体型も含め、一通り貴族っぽい人物と言える。いい声が特徴だが、さほどどっしり構えた戦闘はしていない。その点、性質は短気と推測できるだろう。モルダウよりスラヴ行進曲とか好きなタイプ。

 見た目とは違い、戦闘指揮は結構雑。浮遊要塞の攻撃力が大して高くないという問題も相まってヤマトに対して決定打に欠ける戦闘を行わざるを得なかった。挙句に、ただひたすら力押しで押しつぶそうとする通り一遍の攻撃。それじゃ戦闘は膠着状態になって当然――埒が明かないとして、ヤマトが隠れた要塞ごと空間重魚雷でぶっ壊そうとしたグロータスだが、その判断はやべぇよ。

 何といっても、密集隊形で誘爆の危険性を顧みずに攻撃を行ったのはマズイ。万が一の被弾を顧みないというのは驚くべきずさんな戦闘計画。挙句ハッチを閉め忘れるってどういうことだ!

 命令でもしないとハッチが閉まらないというのであれば、相手はヤマトだ直ちに閉鎖を命じるべき。それをしないという……何と残念な戦闘指揮か。百歩譲って浮遊要塞が本来なら同じクラスの要塞が消滅してもそのエネルギーを受け流せるだけの性能を持っていたとしても、本来は足を踏み入れるべきではない危険な領域だ。それを平然と命令するのだから軍司令官としてはあまりにがさつ、指導者としても部下に対する態度は多分かなり冷徹なのだろう。

 最期は自身の指揮する浮遊要塞内部に波動カートリッジ弾を撃ち込まれ大爆発の中に呑まれて戦死した。

 

 

 氏名:要撃艦隊司令本名は不明

 年齢:不明(50代から60代)

 階級/役職:不明(大将クラス)/要撃艦隊司令(仮称:黒色第2機動艦隊司令

 容貌:艦内照明の光量不足により不明

 カザンの親戚かな? と思うほどに容貌は大して違いがない。戦闘指揮は堅実だが反面、想像に欠けるもの。おかげでヤマトに対して決定打を打てず、反転攻勢に出たヤマトに艦隊を踏みつぶされてしまった。

 つまり――ヤマトを補足次第順次砲撃を開始。暗黒物質の"雲”でヤマトを見失った後も警戒は緩めずに行軍、再補足後は巡洋艦隊を前進させて攻撃を行った。しかし、山南艦長の采配を上回ることはできず、艦隊は全滅。旗艦たる自艦は回避運動を取りつつ戦場を離脱する他なかった。

 当然、最期は不明。乗艦の名前すらわからん。不明ばかりで何だか納まりが悪いので、テキトーに黒色第2機動艦隊司令と仮称。今後使う――予定はない。

 

 

 氏名:デザリアム星守備艦隊司令(本名は不明、クレジット的には黒色戦艦艦長

 年齢:不明(50代から60代)

 階級/役職:不明(多分中将か大将程度。根拠はない)/デザリアム星守備艦隊司令

 容貌:カザンとほぼ同一だが、たれ目がちで額が縦に広い

 グロデーズ級戦艦を率いてヤマト撃滅の為に出撃した指揮官。興味深いのが襟の装飾で2本ずつ横線が追加されているグロータス仕様。ヤマトに限らないが、思いっきり声優さんの使いまわしで――同作品の各所でお声が聞ける。

 残念ながら、配備地域が聖総統の直接命令が確実に届く範囲である為、彼自身の司令官としての指揮能力は測りようがなかった。ただ、彼の戦闘指揮に傾向があるとすれば――怒涛の砲撃。砲撃に次ぐ砲撃でヤマトを完全に沈黙させ、高速回避にも対応してヤマトに対して射程を堅持した。 これは意外と正解な戦い方で確かに、決定打に欠いた戦闘ではあったが、ヤマトを圧倒する事には成功していた。その意味では彼は役割を果たしていたといえるだろう。

 だが、まずい事に、聖総統が横やりを入れてくれたおかげ様でせっかくの優位を放棄せざるを得なくなった。その結果、ヤマトの新波動砲の直撃を受けて僚艦と共に旗艦がエネルギー奔流に巻き込まれ……旗艦と共に爆死してしまう

 不運な指揮官だったといえる。不運だ、不運すぎる。

 

 

 

 その他備考――

 ヤマトよ永遠ににおける暗黒星団帝国は 制服のデザインが一新されている上に明らかに階級表現が多彩になった。ただし、赤が最高位であることは維持されている模様。この辺りの色による階級識別法の類似性は前作と今作の暗黒星団帝国が同一組織である可能性を担保可能。

 手袋やブーツに袖をインするスタイルなど、シルエット的には同一。だが、すべてが真っ黒だし制服の生地そのものは濃紺でこちらも黒っぽい。黒い破線装飾は脇腹と肩口以外廃止され、代わって横棒が連なる形になった。また左胸に横線の装飾が追加され3本が最高位らしく、赤と黄色があるがやはり赤が高位。あと、ベルトの邪魔そうだった色んなボックスは外され、ベルトと色を合わせたホルスターだけになった。その代わり倍ぐらいの大きさになったが……。

 襟カラー的装飾は下三角が高官、正三角が副官クラスを表すように変更。襟自体は無地の黒がベースのようだが要塞司令グロータスは襟を一周するような赤い線が2本、アルフォン少尉は襟の縁=ローマンカラーの両隣に斜めの線が2本ずつあしらわれていた。

 部署によって服装に差があるらしく、マントがデコルテ周りの装飾と一体化した艦隊勤務の面々とは違い、要塞勤務のグロータスは鎖骨辺りでマントを金具で止めていた。袖口にも赤い横線が数本引かれており、艦隊勤務の面々とは左胸に黄色い横棒が数本あしらわれるなどの共通点はあるがどうにも差が大きい。当然、技術部情報将校も服装に差があり、ベースは降下兵ら地上の一般兵と大差ないが左右の胸にあしらわれた赤い横棒2本ずつが全て白かったりと結構雰囲気が違う。降下兵もチョッキを着ているような見た目で、艦隊勤務の一般兵とは若干様子が異なるし、一方で艦隊勤務はベルトに白玉模様があしらわれロングブーツの膝部分も白い。デザリアムの大広間で古代たちを出迎えた参謀たち――あの左右に分かれて5人ずつぐらい並んでいた面々は、服装こそ艦隊勤務の将官と変わらないが実はマントの裏地が緑色だったりする。

 グロデーズの司令官だけは微妙な所でグロータスと同じ詰襟を着用している。ひょっとすると、侵攻系の司令官は無地で防衛系の司令官は襟に横線を引くのかもしれない。でもって、要塞勤務か艦隊勤務かはマントの付け方で変わるのかも。

 

 ヘルメットも変更が行われ、アルフォンの物=高級将校用には鼻当てが追加され、ギリシャの兜に近いデザインに変更されている。普通のヘルメットは目のあたりまで保護が及んでいるデザインで、顔面丸出しだった前作の兜とはやはり異なる。が、かわいらしい耳当て的突起は健在。

 アルフォンだけ別仕様でカッコいいのは正直依怙贔屓……。

 

 

 まとめ――

 暗黒星団帝国人、あるいはウラリア人は基本的にスマートな頭をしている。一部を除き、作戦指揮もさほどまずいものではない。副官がいなくても、聖総統やグロータスなどの一部を除き、自分だけでも正解に近い戦闘を敢行できるだけの能力がある点、シリーズ屈指の頭脳派ぞろいかもしれない。

 しかし、頭でっかちで凡ミスあるいは敵の思わぬ行動に足をすくわれる傾向もまた強い。しかも、スカルダートやアルフォン少尉など、感情が割と発露しやすく行動と一致してしまう――機械文明の良点を認識しておきながら、むしろ生命原理そのものに囚われているという皮肉な傾向を持つ。デーダーやグロータスも同じで、こちらは容貌の方に人間らしさを追い求める様子が見て取れ、暗黒星団帝国人の一般的な憧れなのだろう。

 機械による効率や発展を極めた結果、人間らしさに原点回帰しこれを追い求めた。その結果、人間の最もマズイ側面が強調され、そのマズイ側面に滅ぼされた感のある人々である。

 歴代で最も、存在に哀れさを感じさせる民族といえよう