旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ヤマト世界のネーミングセンス

 

 宇宙戦艦ヤマトのある意味、驚異的な点はそのネーミングセンスであろう。凄く悪い意味で……。シリーズ全般及び、旧作の一部製作陣が参加した2199で遺憾なく発揮された数々の名称。刷新された2202のド直球な姿勢。

 驚くほど安直なネーミング、安直だが効果的なネーミング、語呂はいいが中身のないネーミングなど様々あるが、他方で……その並びで使ったらマズイだろう、配慮が足りないだろうというものもある。よくこれで世界展開――大抵は翻訳の過程でざっくり変更されるが――しようと思ったなと、驚くものもある。それは2199や2202も同じ。

 今回はこのネーミングセンスに焦点を当てたいと思う。

 

 

 

 宇宙戦艦ヤマト(第1作)

 ダイヤ戦線より抽出・第3空母(雷撃隊)司令クロイツ

 ルビー戦線より抽出・第1空母(戦闘機隊)司令ゲットー

 

 はい、アウト。クロイツだけでも微妙なラインであり、それも止めておくのが妥当だった。最悪、クロイツだけだった変な名前、と問題もなかっただろうが――それが、ゲットーと一緒に顔を出すと、途端にナチスの匂いがしてきてしまう

 クロイツだけなら問題ないと強弁可能。なぜならそれは単なる十字架を意味するだけのドイツ語であるからだ。無理くり軍の匂いをさせたとしても、それは国軍の印である鉄十字(Eisernes Kreuz)のイメージの範囲を超えない。何なら帝政オーストリアの通貨単位であるクロイツァーを持ち出したってかまわない。要は、ハーケン(Haken=鉤)なクロイツ(Kreuz)というのがマズイ。

 ではなぜ、ゲットーと組み合わさるとハーケンなクロイツをイメージされても仕方がないかといえば――

 

 ゲットーとはユダヤ人居住区の事である。内容は時代や住む住人によって多少変わるが、富裕層を含むゲットーでは当然裕福な暮らしを行えたし、ドイツ地域の宮廷に財政顧問などと言う形で雇われたりもした。反対に貧乏な層があつまると、それは当然のごとくスラム化する。ユダヤ人はキリスト教徒などから弾圧ないし白眼視をされることがしばしばであり、身を守る為に場合によっては内側から外部に対して封鎖を行う事もあった。ナポレオンのような宗教を気にしない人間などが度々開放したりその権利を認めたりすることもあったが、基本的にはキリスト教社会とは隔絶された存在だった。

 古代から中世にかけての実情は、強制居住区であり基本的に立場は弱かった。ただし、うまくやれば先に述べたように住人が富裕層化して独自の規律や国家に対する影響力を発揮することも可能だった。そして、あのナチス・ドイツ時代においては強制居住区以外の意味を持たず、強制収容所ないし絶滅収容所へのワンクッションでしかなかった。無論、戦争が好調だった時代は意外と大人しい迫害というか、単なる圧政レベルであった。しかし、戦争が苦境を迎えると、それを察したユダヤ人たちの蜂起なども相まって、本格的に民族浄化へとひた走る様になる。その中でめまいのするほど大勢のユダヤ人がゲットーから収容所、収容所から死の世界へと送られてしまったのである。

 現代においても一部地域のユダヤ人居住区に対しても指し示すことがあるが、我々素人はやめた方がいい。

 なお、ポーランドにおけるゲットー風ユダヤ人居住区:シュテットルは、自発的に集まった自警団というか自治体みたいなもので、ゲットーとは本質的に異なる。ポーランドは歴代王様が割と良い人というか、手ぬるい人であったため、度々国の中に自治的集団が誕生してしまう。ある意味、ポーランドの良心的側面。

 

 お分かりの通り、組み合わせなければクロイツはただのドイツ語っぽい名前というだけ。他方でゲットーはもう、救いようがない。だって人名には使わないものこの2つを組み合わせて使ったらもう、ナチス以外のイメージは浮かび難い。この点は、ガミラスナチス・ドイツっぽい雰囲気という事も含めて、擁護の術がない。ユダヤ人団体がこの件について触れないのは不幸中の幸いだろう。

 この記事を読んで腹を立てた皆さん、当時の製作陣が政治的な面において色々無知なだけなんです、見逃してやってください。

 そして、このマズイネーミングセンスと思考パターンはなんと――2199にも引き継がれてしまう。

 

 

 さらば宇宙戦艦ヤマトー愛の戦士たちー

 ガトランティス第7遊動機動隊 

 ただ第7遊動機動隊と呼称しただけなら何の問題もなかっただが、何の前触れもなくバルゼーは第6遊動機動隊の指揮官に転出して地球を攻めに掛ったのである。何故ナンバリングが変わったのか……。この変な変更が、忖度を匂わせてしまう。忖度の匂いによって、疑惑が生じてしまうのだ。

 ナンバリング7の艦隊といえば、日本人にとっては横須賀に駐留中のアメリカ合衆国海軍太平洋艦隊隷下第7艦隊がなじみ深いだろう。忘れてはならないのが、当該艦隊の陣容が空母1、大戦艦多数、潜宙艦複数という戦力、そして艦隊を率いたのがバルゼーという名前の指揮官である点。

 空母を基幹として周囲に対空ないし対艦の護衛艦艇に加え、警戒のために潜水艦を前進させる。これはどう考えてもアメリカが組む空母任務群の陣容を前提としているとしか言わざるを得ない。日本海軍のやり方であれば、潜水艦は完全なる別行動で事前に作戦水域に派遣しているというのが当たり前で、艦隊と共に出撃するという事はない。どうあがいてもアメリカの空母任務群をモデルとしたとしか言いようがない。

 

 バルゼーといえば、一文字違いのハルゼーが思い浮かぶだろう第二次世界大戦や太平洋戦争を知っているのに、彼の名前が頭に浮かばないというのは、これは真っ赤な嘘。虚偽答弁だ。彼は言わずと知れた水雷指揮官から空母部隊指揮官へと転身した猛将である。正確は一々思い込みの激しい系な面倒な人物ではあるが、その遺伝子レベルで刻み込まれた戦闘の士気とセンスはただものでは無い。彼のせいで何隻の日本艦艇が沈んだのかわかったものでは無い。

 

 第7遊動機動隊という部隊名称、空母1、大戦艦多数、潜宙艦複数という陣容、バルゼーという指揮官これを全て重ね合わせると、見事にアメリカがイメージとして出来上がってしまう。これをアンドロメダが撃破するのだから――政治的意図というか憂さ晴らしがなかったかどうかは、製作陣にポリグラフ検査を受けながらインタビューする必要が有るだろう。

 問題というべきかどうかは微妙ではある。国際問題になったとは聞いた事はなく、今騒いだとしても、何事も意外と寛大なアメリカ海軍が問題視するかといえば多分しないと思う。ネットでの盛り上がり方を見れば下手すりゃアメリカ人の方がヤマトが好きそうな感じだしね。

 ただ、ちょっと……だったらバルゼーをもっと勇将な感じに描くのが、エチケットだと思った次第。一方でヤマト2の方は強く描かれたから、それはまあ、よかったとは思う。

 

 

 ヤマトⅢ

 護衛戦艦〈アリゾナ〉〈プリンス・オブ・ウェールズ〉〈ビスマルク〉〈ノーウィック〉……逆によく、これだけのラインナップを出来たなと悪い意味で感心する並び

 軍艦が好きな人間なら、緒元までは分からずともどの時代にどの国に存在し、どんな末路をたどったのかすぐにわかるだろう。そして私が危惧する理由がすぐにわかるだろう。

 USS〈アリゾナ〉とは、真珠湾攻撃で艦前方に大損害を負い最終的には放棄されてしまった戦艦である。今も真珠湾アリゾナ記念館の下に眠る。同時に攻撃を受けた戦艦群の内、うっかり喪失してしまった〈オクラホマ〉を除き、唯一全く再建を試みられることなくそのまま留め置かれた艦。

 HMSプリンス・オブ・ウェールズ〉とはイギリス東洋艦隊の旗艦であり、マレー沖海戦で僚艦〈レパルス〉らと共に日本軍の空襲を受けて沈没した新鋭戦艦である。

 ビスマルクはまあ、いいとしても――〈ノーウィック〉はロシア帝国海軍の防護巡洋艦で、快速自慢の艦艇として有名だった。黄海海戦に続く宗谷沖海戦では、日本海軍の防護巡洋艦千歳〉と〈対馬〉と砲撃戦の末に損傷激しく、鹵獲を防ぐために擱座。しかし日本軍はこれを何とか回収し、通報艦〈鈴谷〉として復帰させた。

 

 別に、〈ミズーリ〉にしろ、などと言うアヴァンギャルドな事を言うつもりはない。ただ、〈ケンタッキー〉とか〈フィラデルフィア〉とかいくらでも“色のついていない”艦名候補はあったはず。イギリスなら〈ネルソン〉や〈ウォースパイト〉といった有名どころがある。なぜ故、日本軍が沈めた艦中心にラインナップしたのか……。

 ドイツ軍艦の場合、単純に知らなかったという擁護はできるだろう。しかし、わざわざ〈ティルピッツ〉ではなく〈ビスマルク〉とした点と、〈プリンス・オブ・ウェールズ〉と同時に登場させたというのがなんとも性格が悪いというか、デンマーク海峡戦を思い出させるようで気分が悪いが。考えてみれば、この艦だけ日本関係ない名前。

 〈ノーウィック〉は変化球過ぎて微妙なラインだが、他の護衛戦艦とのネーミングの並びが悪い。〈アルマース〉や〈グロモボイ〉なら日本にとっても当たり障りない艦名であり、ノーウィックという艦名を知っている人間ならどちらも知っていて当然。

 

 全体として配慮が足りないというか、配慮をしないという配慮をした――と邪推されかねない艦名の並びである

 ビスマルク以外は日本とのかかわりが非常に大きい艦艇でもある。どれも単体なら、ただの艦名として余程穿ってもなければ問題にも思わない。しかし、この4隻が並ぶと何がしかの意図が込められているのではないのか、そう勘繰られても不思議はない。

 

 

 警備隊長バルス

 もうアウト。救いようがないネーミング。何で他のボラー連邦の人間は割とロシアっぽい名前なのに、この人だけレバルスなのか。レパルスは単なる英単語であって人名には使わないものであり、同じ作品に登場した護衛戦艦〈プリンス・オブ・ウェールズ〉の存在によって、もう巡洋戦艦〈レパルス〉以外に思い浮かぶものがない。

 

 ヤマトⅢのネーミングは屈指のまずさと言えるだろう。たとえるならば――

 ≪バトルシップ≫で〈ミズーリ〉が活躍したのを「やべぇ! 戦艦が宇宙人と殴り合ってる! かっけぇ~」という意味合いではなく、政治的な理由で喝采を送った人たちと同じ感性なにおいがして、物凄く情けなくなった次第。

 

 

 他にもまだある。まあ、安直という意味でだが。

 ヤマトよ永遠にで登場した暗黒星団帝国黒色艦隊技術将校のアルフォン少尉。実はキーマン少尉として登場予定だったという話があるとか無いとか。キーマンだからキーマン。まるでスズムシの脳みそ並みに安直。

 ヤマトⅢのゴーマン大統領率いる未登場国家・ゼニー合衆国……本当に救いようがない。ベムラーゼの原案ベムーリンも辟易するが。

 

 実在の人物を念頭に置いた名前を否定するつもりはない。ただし、名前をもじるなら、オマージュとして完結させるのが礼儀。最悪、パロディ。それが出来ないなら端っから別の名前にすべき。たとえ敵の名前であっても、これを怠るべきではないだろう。

 この手合いの想像力のないような安直なネーミングは擁護はできない。見たままのネーミングの方がよっぽど合理的で妥当。中途半端にあまたをひねった方が印象は悪い。

 

 

 

 以下はリメイク作

 2199よりクライツェ

 何でそっち変えるかな……。名前を変えるならどう考えてもゲットー一択のはずだが……山本の性別を変更したり、大して意味のない新機軸を求められていると思って投入なさった方々だから、やべぇ部分を取り違えたのかもしれない。

 が――この変更のおかげで原作が「やっぱりハーケンクロイツだったのか!」なんて言われかねない。

 李下に冠を正さず。 

 

 

 ナスカ級・ククルカン級・ラスコー

 2199で登場したガミラス艦を思い出してほしい。デストリア、クリピテラ……この2艦級は絶対、デストロイヤーとクルーザーのもじりである。2202においてこれらは致命という説明を受けるらしいのだが、ともかくとしてわかりやすいもじり。

 一方でガトランティス艦艇はひねりもしていない。そのまま名前をあてはめただけ。しかも、 時代が全てバラバラという雑さ。ガトランティスアトランティスのもじりであり、古代宇宙飛行士説ではアトランティスは実は宇宙船だった――とジョルジョが言ってた。だから地域がバラバラになるのは構わない。が、時代がぼろっかすに一致していないのは、これは統一感がなさすぎる。直接名称を利用したのも疑問で、例えばポルメリア級なんてものは、ガミラスがドイツオマージュという事を考えれば……歴史をちょっとでもかじった人間ならば誰だってポンメルンが思い浮かぶ。

 この些細だが気遣いにも思えるような丁寧な名称設定に比べ、ガトランティス艦艇だけが異常なまでに雑な設定をされている。ガルーダにメを引っ付けただけのダガームの旗艦艦名も含めて本当に雑。そんなに嫌いなら登場させなきゃよかったのに。ドメルマンセー・シーンをでっち上げる以外には登場する必要なかったんだからさ

 

 

 ゴランダガー

 ダガーム=ダガーというのは、ガトランティス人のネーミングとして割と正統派であるから評価できる2202よりも、何なら原作の統一感ない氏名よりも好感が持てる。が、ゴランというのが危なっかしい。南スラブによくある男性名であるか、ヘブライ語で巡回や周行を意味する単語であるかによってヤバさが異なる。2199ガトランティスはラスコーだのククルカンだのナスカだの古代ないし中世文明由来のネーミングが多い。

 次席司令のイスラ・パラカス(イスラの綴りは不明だが、仮にイスラエルと同じイスラであれば、ヘブライ語で“戦う”という意味になる為、拡大解釈すれば――ネーミングのラインとしてガトランティスらしいともいえる)なんてわかりやすく地名。そこから推測すると旧約聖書の都市ゴランないし、その都市に由来する地域名=ゴラン高原が由来とするのが妥当だろう。そう推測してしまう。

 やべぇって。

 加えて、ガトランティスが蛮族として描かれ――丞相だとか大都督だとかと中華王朝風な役職、メガルーダの満州文字風レタリングなど、今時の反中な世相に乗っかろうとした雰囲気がある。

 はっきり申し上げるが、騎馬民族は農耕民族からすれば野蛮かもしれないが、非常に合理的な生活スタイルと極めて高度な戦闘プロットを持つ集団である。決して馬鹿などではない。私個人とすれば、中華王朝など世界史的に見て、欧米国家や遊牧帝国に比べれば取るに足らない程度のレベルでしかない。が、これが反中の盛り上がりの中で、仮託されるのは非常に疑問かつ不安。旧作のそれだって、今から見れば政治色強い――後に暗黒星団帝国やボラー連邦、ディンギル帝国が現れたから薄まったが――設定だった。それをリメイクで引きずるとは……日本のアニメの行く末が心配でならない。

 

 2202よりキーマン

 物語の鍵を握るクラウス・キーマン……このカギを握る人物がキーマンという名前という構図は、先に述べたようにヤマトよ永遠にですでにボツ案にあった。

 こういう、旧作にあったマネしてはいけない部分を優先的にまねしていく2202のスタイルは本当に呆れを通り越して、感情が怒りに回帰する。コスモタイガーⅠを性能が良すぎてボツになった、とかいう設定を平気で入れ込む人たちだから一般とは感覚がかけ離れているのかもしれないが……。

 

 ラクルム

 ラクルムって一体なんだ……。前にも述べたが、モンゴル帝国の首都・カラコルムや南米の都市国家ラクムルというのは存在する。しかしカラクルムはない。

 無論、ゴストークというような造語(ゴーランド提督に由来する名称だそう)が有るから、ある程度は言い訳の道もある。が、2199においてククルカンやラスコーあるいはナスカと言うような、もろに地球の地名であるとか神名を冠した艦級が存在している。メガルーダだって、メを除けばガルーダだ。そこへ来て、カラクルム――これは単純なカラクムルの読み間違えという方が妥当な推測(きっと製作陣は否定するだろう)ではないだろうか。2202登場のアポカリクス級だって、ほとんどアポカリプス=黙示録と同じ発音。急にカラクルムだけ頭をひねりました、というのもなんとも……。

 ゴストークというのも実は、おさまりが悪い。だってアポカリクス級に〈バルゼー〉という艦が存在しているのだから。ガトランティスガミラスのように艦名に〈○○さんの~〉というような語尾変化を絶対にさせる文化がある、とすればゴストークも妥当性が出る。が、バルゼーはそのまま。語尾変化をさせないとすれば、バルゼーという艦名は妥当だが、今度はなぜゴストークだけ語尾変化したのか。

 2202って本当に細かいところが雑で、学生のノリで仕上がっている架空の国家を創るならば同時に架空の文化も創り上げねばならない。それをすっ飛ばしてしまったのではないだろうか。だから2202ガトランティスという存在が何の裏付けのない極めて薄っぺらい存在になってしまったのではないだろうか。

 

  自滅型攻撃艦イーターI

 自滅型と微妙に外した内容だが、実際には自爆特攻この手合いのものは実は海外ではタブーで国や、政権や放送局の判断などで重要シーンでも結構ざっくり切られる。特に欧米でその傾向が強い。

 キリスト教圏において、自殺は最大級のタブー。

 自己犠牲と、自殺と、自殺強要とその受容では内容が全く異なり――自己犠牲は何かを直接的に救済する、或いは自分しかできない事という傾向が強い。自殺はどちらかといえばあきらめというような傾向で、自殺的命令の受容も同様。要は、自己犠牲はもしかしたら主や父なる神が味方して助命してくださるかもしれないが、自殺はそのあたりが全くあり得ない環境、だから同じ行動であっても前者は顕彰されるが後者は非難される。という感じ。

 この自滅型の場合は非常にあいまい。日本であるから何の考えも、放送に関しての恐怖もなく付けられるネーミングである。もう一度言うが、海外に足を踏み出そうと思うならこの手合いの日本やアジアでしか通用しない自爆は安易に使うべきではない。

 作品の世界を完成させるという意味ではその限りにではないが

 

 インフェルノ・カノーネ

 自滅型攻撃艦イーターⅠと同じ理由で極めて危険。実体としては、乗組員を犠牲にした超荷電プラズマ砲でしょう? 効率が悪いという点も相まって、目を付けられたときの反論のしようがない。

 

 

 

 旧作は全体的に、製作陣の認識の範囲内では問題ないという内容なのだろう。製作陣の知識の範囲内のみのセーフティ。ただ、その内側と呼ぶべきか、裏側と呼ぶべきか、なんだか心理的な側面を感じさせるネーミングセンスばかりというのがいただけない。イデオロギーに基づいたものならまだしも、その手合いの擁護が出来ないようなお粗末で危なっかしいネーミング。

 日本の政治もバラエティも何となくこんな感じと言えるだろう。良し悪しであるとか高尚下劣は別にして、マクロ視点で見ると非常に偏った一面的な感性の完成。

 

 リメイク策はさらに女性の扱いでコンテンツの商業展開に弱含み。困ったことに旧作以上に中途半端で――あんまり全国的なムーブメントにならなかったおかげで火が付かなかっただけといえる。2199の"オタクが描く女子的”な様子……一番ひどいのは2202で出て来た銀河だかムサシだか知らんが、あの女性だけの実験艦――あれ、フェミニスト間で火が付いたら作品が火だるまになりかねなかった。副監督とか構成担当の方の過去作品とかツイートとか見たら爆発ていたかもしれない。

 旧作はカットや吹き替えで強行突破すればよかったが、リメイク作は……。

 

 これらに関して改善策の提案は正直難しいが――まずく受け取られない命名ぐらいは意外と簡単なのではないだろうか。知識量とアンテナの問題で、先んじて避ければいい。どうしても語感が好きなら先んじて言い訳を考えておく。

 基本的にこれは想像力のある脚本家と、豊富な知識を持った監督、総合的観点から大局的に指揮の出来るプロデューサー。そして、非建設的な批判からカバーできるだけの視聴者の熱量、これらを揃える努力が必要だろう。

 大前提として、製作陣が広い視野と柔軟性を持っていなければ話にならないが