旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

護衛戦艦 ノーウィック――垂直離陸式戦艦――

 

 何とソ連の戦艦である。ヤマトⅢに登場したこの護衛戦艦ノーウィックは、そのおよそ戦艦らしからぬ特異な見た目と塗装と立ち位置でファンの目を引いた不明な地球戦艦である。

 

 

 ――データ――
 艦名: ノーウィック 
 類別:戦艦/艦級名不明
 全長:不明 
 全幅:不明

 主機:波動エンジン1基、非ノズルコーン式
 補機:不明2基(増槽2基が付属の様子)
 兵装:艦首連装砲塔1基ないし3基、艦央部三連装砲塔1基、艦後部舷側砲塔2基、補助エンジン上部三連装砲塔各1基(+艦後部上面中央に三連装砲塔1基の可能性) 
 艦載機:不明

 

 太陽観光船や宇宙気象観測船を武装させたような見た目。艦首と艦中央が赤い――若干おめでたい感じの塗装である。メインエンジンを積んだ胴体部と左右に補助エンジンを積んだトリマランで、多分増槽が底部についている。特殊なのが普通のロケットと同様の発射形式である事。
 劇中ではソ連の戦艦であるという説明は特にないが、一応世間的に知られた設定ではある。だから物凄く、形状が他の護衛戦艦と違うのだろうが……少々やりすぎな感があるような。

 


 何だかよくわからない武装群の考察
 多分かなり非力か、エグイほど強力のどちらかだろう。また……波動砲はあるかもしれないが、ないかもしれない艦首がすぼまっているようなので、なさそうとは思う。近接戦闘系っぽい癖のある武装であるから、波動砲が無かったら無かったで問題はなさそうだが。

 一方で無人艦隊のようにエンジンと直線でつながなくとも波動砲は搭載可能故、艦底部にある可能性も存在する。せっかくの必殺兵器なのに全然わからないから困った話である。

 

 全長がかなり小さければ、全ての武装は当然非力だろうし、挙句に艦載砲は結構小型砲である為輪をかけて非力になる。他方、全長が目もくらむような巨大さであれば、小型砲であってもそこそこの大きさに換算できるため物凄く強力になる。

 基本的に連装砲が多く――見えてないだけで3連装かもしれないが――結構砲塔が多いのが特徴。つまり、最小で17門ないし最大で24門、或いは底部が同じ配置であった場合にプラス4基から4基ほどが期待でき、11門から14門となる。故に計算上最小が17門で最大が38門となる。妥当なラインでも30門弱ほどだろうから意外と数は多い。いかんせん登場シーンが少ないから判然としないが。
 多分、砲の多さと小型さからして近接戦闘が主眼になるのだろう。防空であるとか、小型艦艇の掃討ないし排除など本当に護衛任務のみ――もし、仮にヤマトや意外と馬鹿にならない雷撃力のアリゾナとの戦闘を想定しているのであれば、わからないでもない兵装。主砲塔っぽい大型三連装砲塔が1基しか見えないのは驚くほど火力不足な気がするけど

 どうせ遠距離戦では波動砲とショックカノンとコスモタイガーを擁する彼らには敵わないのだから、無理にでも高速で接近して至近距離で機動戦を行ってヤマトやアリゾナを撃破するという戦闘プロット。

 戦う相手が違うと思うけどね

 

 これはかつてソ連がミサイル飽和攻撃を目指し、アメリカがイージスシステムでこれを迎え撃った“故事”の逆転版。全球一致体制だった≪さらば≫ないし≪ヤマト2≫から時間がたち、そこそこ豊かになった結果――再び、西と東の対立が発生し、技術が西側の方が高まったとすれば……東側はその後塵を拝さなければならなくなる。後塵を拝しているばかりでは話にならないため、何とかしてこれに対抗しなければならない。
 そこで、波動砲攻撃を捨てて(兵装廃止という意味ではない)ショックカノンに注力することで一発当たりの威力を出来るだけ高めることで西側の誘導弾攻撃を迎え撃とうとした。兵装で勝てないならば、その差は戦術で埋めるしかない。

 とすれば、死角をゼロにして迎撃する必要性や、機動性を持たせて敵の死角を自身の最適な射角にする必要に迫られても仕方がない。戦うべき相手が違うし、頭のいい方策とは思えないが。限られた地球のリソースでがいてきとたたかうのだから、そもそも手を結べという話である。

 


 全長の推測

 全く推測できる要素が無い何なら艦自体よりもむしろ、登場口の高さの方が問題だったりする……


 〈アンドロメダ〉に近い形状の無人艦隊大型艦は全高が94メートルであるらしい。これを考えて、仮に〈ノーウィック〉に使用された搭乗口がドックのそれとおおむね同程度の高さにあれば……ノーウィックも100メートル程度となるだろう。スペースシャトルのそれと同じ程度であれば、40メートル以下となるだろうから非常に小型。
 仮にヤマト世界の宇宙戦艦にありがちな300メートル前後とすれば――あの搭乗口は200メートル程度の高さに設けられたことになる。

 まあ、828(実質は636)メートルを誇るブルジュ・ハリファや632(実質565)メートルの上海中心など、超高層なビル=超重量物は存在するから、正直どの程度の大きさでもさほど問題はない。 多分立てられる。

 


 垂直離床形式
 この方式を採用している理由は正直不明。通常艦の大気圏内姿勢制御に必要なEMドライブや反重力装置のような非燃焼系の動力ないし制御装置を組み込まず、その分さえも武装であるとかに転用した。そのため離床方式は通常の飛行機のような離陸滑走か、垂直離床の二者択一となった。この場合、艦の形状から離陸滑走などできるはずもない為、艦に無駄な負担をかけずに発進できる垂直離床方式を採用した。
 として説明できるのかもしれないが、ケチるなそれぐらい

 あるいは、大気圏内での戦闘を完全に切り捨てたか惑星防衛戦で大気圏内に侵入されている時点で敵に殆ど負けている状態逆に自分たちが侵攻側なら味方艦隊がわざわざ敵惑星に降下して戦闘する必要はなく大気圏外から艦砲射撃すればいい。これらの前提に立てば、大気圏内での水平方向=通常の水上艦のような戦闘を切り捨てたとしても問題はないかもしれない。また、宇宙空間ならば三次元的機動が容易であるのだから、水上艦的な敵艦と遭遇してもさほどの問題ではないはず。


 つまるところ、本当に宇宙空間専門の戦闘艦。ちっとも大気圏内での戦闘を考慮しない戦闘艦。それでも垂直離床式にする必要性が結局不明だが……プロパガンダ的な存在で、ソ連が強かった時代=ロケットをバンバン打ち上げていた時代をイメージさせるためにわざわざ垂直離陸をさせるノスタルジーを採用したという見方もできるかもしれない。

 


 劇中の活躍
 第12話に移民局発足と探査本格開始に伴い所定の宇宙港に開港された護衛戦艦の1隻として登場。第20話に登場するかと思いきや、登場せず。言及もなし。

 どこの船団を護衛するために出撃したのか不明な為、帰還出来たのか撃沈されたのか不明。また、予想もつかない。

 

 

 活躍の想像
 この〈ノーウィック〉は近接戦闘を前提とした戦闘艦とすれば、合理性のある設計。だが、活躍する場面が想像できない

 地球艦隊必殺の波動砲を搭載していない場合、組織だった敵戦力に一撃も与えられ無かろう。砲の大きさから遠距離も中距離戦闘も出来ないこの艦にとっては近接戦闘以外に全く方法がない。したがって、とにかく多数の砲を以て来襲する敵を多数の砲塔を用いて撃破する

 これでは絶対、派手な戦闘にはならない。また、巨大艦隊相手では抗し切れないだろう。対艦戦闘でも心もとない。多分、ソ連も砲撃型戦艦とかミサイル戦艦とか用意しているでしょう。これら主力戦艦の護衛としてハリネズミ化させた防空戦艦がノーウィックもし用意していなかったら唖然とする独自設計の艦ではある。

 一方で調査船護衛で対艦戦闘がどうしても必要かといえば、微妙だろう。本来は、そもそも戦うべきではない。武装船を伴うならば、普通は敵と対峙し続けるよりも逃げの一手に賭けるべきと言って構わないはず。この場合間違いなく、敵艦と戦う事を念頭にしていないこの艦を付けるのが有益だろう。死角なく、多分足が速くて、手数が多い防空艦。防空能力の不十分な戦艦より安心はできる。

 

 ボラー連邦に限らず、遠距離の相手には遠距離で利用可能な攻撃手段を第一に打つ。ミサイル攻撃や不十分な数とはいえ艦載機を繰り出し、そして必要があれば敵に接近して砲撃戦へと移る。

 だからこそ純粋な砲撃型戦艦より手数が多い防空戦艦の方が戦いやすい。手数が少ないと敵の数によってはアップアップしかねないが、防空戦艦であればその時のための存在であり多数の敵を前にこれを撃破していくのは本職である。まして撃破しやすい小型目標をパルスレーザーやショックカノンで迎え撃てば弾数制限もなく余裕を持って防戦を行える。敵艦接近に対しては普通に逃げればいいだけ。

 第一、わざわざ敵陣を突破してまで惑星調査をする必要はないから大型砲は護衛任務に必ずしも必要はない。仮に敵艦隊を攻撃してまで第2の地球を探すとすると、それはガミラスと同じ行為になる上に、強力な艦隊を用意できる可能性が小さい当時の地球にとって、それは不可能な話。移民船がまず七面鳥撃ちされてしまう。だから敵が見えた時点で調査船と共に逃げればいい。敵にとって遠距離戦闘であっても、味方にとっては敵艦が近づいてこない限りはただのやるべきことは近接防空と大して変わらない。そこで大型砲が必要かといえば、甚だ疑問で手数が多い方が重要。


 多分、この艦では誰にも勝てないだが、誰にも負けはしない

 仮に調査船の船足が早ければ十分に戦場を離脱し、ノーウィックはその殿として離脱を援護するという事になるだろう。幸いな事にこの艦の死角は少ない。敵に背中を見せても十分、安全に退避可能である。

 ひたすら砲をぶっ放し敵ミサイルを撃墜して全速力で敵射程外へと逃げるのだ。それで十分。