旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

スーパーアンドロメダ――戦闘カタパルト艦――

 

 スーパーアンドロメダはスーパーと名のつく割にあんまりスーパーになっていない艦である。その上に、あまりにも多数過ぎて、コピペ艦隊とかいろいろ言われるし、多分この時の艦隊が福井大先生をヤマトの醍醐味が巨大艦隊同士の戦闘であると勘違いさせ、2202の艦隊が無駄に多数になってしまった一因ともいえる戦闘艦で……。

 

 

 

 データ
 全長:不明(推定300メートル)
 全幅:不明
 武装:艦首拡散波動砲2門、艦前部3連装主砲塔2基、同砲艦尾1基、艦橋後部側面連装副砲塔片舷1基、8連装ミサイルランチャー艦橋前部1基、艦橋基部舷側格納式滞空パルスレーザー砲
 艦載機:コスモパルサー
 搭載機数:不明(艦底部増槽風部位に格納、発進口片舷2口ワンセット7組)


 艦の形状はベースとしてはアンドロメダのそれに近い。しかし、艦首底部側にも衝角が据えられている。艦底部フィンは一通り撤廃されかつ、補助エンジンもなし。アンドロメダでもあった増槽は、幾らか大型化しかつ艦底部に直結する形で艦載機格納庫となっている。
 艦首フィンは艦央部に近い第一主砲塔のライン舷側に大きく移動させられている。このフィンの前方に旧アンドロメダにあったようなインテークがある。
 艦橋はその増槽の縦軸ラインにあり、航海艦橋・探査艦橋・戦闘艦橋の順で段々に据えられている。艦橋のデザインは完結編の巡洋艦に幾らか類似し、アンテナ一本。それがおかげで作りかけかうっかり落として壊してしまったプラモデルのような見た目。艦橋後部はカステラが3本並列に伸びて、外側2本の側面には副砲が生えている。
 全体的にグレーだが、舷側に赤い帯が塗装で設けられている。また、波動砲口とインテーク端部、艦尾舷側のほんの短く狭い帯状部分のみ黄色い。艦尾ノズルはバラ窓みたいな複雑な構造で、表現しがたい。


 グリーバス将軍の旗艦である〈レヴォランス〉や〈インヴィジブル・ハンド〉っぽい見た目。スタイリッシュにするために第3艦橋を廃したというが、艦橋回りが面積的にも見た目的にも大分重たい為、成果が出たとは言い難い。

 つか、小林メカに未だかつてスタイリッシュなモノがあったのk――

 


 武装
 砲戦能力はオリジナルのアンドロメダの3/4に落ち込んでいるし、ミサイル兵装等のその他に類する兵装も微妙にグレードダウンしている

 そうはいっても対艦・対空ともにバランスの取れた武装内容となっているため、大量の僚艦と共に大艦隊を以て敵に当たるのであれば何の問題もない。加えて結構な量の艦載機を擁しているため、これを加味すればむしろ十分すぎるという見方も可能だろう。


 色々と見た目も貧弱になったがそれでも健在なのが艦首連装拡散波動砲。この有用性に関しては――と言いたいところだが、旧作でも大きさはさほど変わらなかったが、今作ではますます全長に違いがない。
 旧作の場合は、主力戦艦の波動砲口は微妙にすぼまっていた為に横から見た印象よりも幾らか面積は小さい。一方でアンドロメダの場合は高さが小さいものの扁平で、しかもそれが2門。故に面積としてはアンドロメダの砲口の合計は主力戦艦の2/3前後程度の範囲内で収まるだろうから取り立てて小さいというほどではない
 が、復活編のスードロメダスーパーアンドロメダドレッドノートと全長及び幅はほぼ同じでしかない。つまり、ドレッドノートの半分程度がせいぜいの小さい波動砲といって差し支えないだろう。となると、それは威力があるのか不明。収束力が高まることで貫徹力が高まるという可能性は十分考えられるが、あの圧倒的多数である事を考えると一隻当たりが二門である必要はない。艦隊が連携を取って砲撃を行えば切れ目のない拡散波動砲の浴びせかけを行えるため、やっぱり2門で一人時間差ならぬ一隻時間差で撃つという必要性はない。結果、拡散波動砲に関してはドレッドノート級との差別化が図れていない
 収束波動砲であった場合はある程度は説明が理に適うし、そう言う記述もあるらしいが――このご時世に資料で説明が違うって何だよ。

 


 全長の調整・艦載機運用能力
 この艦の格納方式もよくわからないが、ブルーノアの時に行った想定=発進口は幅14メートル程度をあてはめると、大体98メートルを全体の数値として見込む。増槽風の格納庫の全長は発進口部の2.5倍ほどであるから、250メートルか。
 幅はかなり小さく、どう頑張っても1機がせいぜいだろう。故に搭載機総数は28機となる。補用はうまくいけば艦首方向に6機、艦尾側に2機の両舷合計16機プラスできるかもしれないし、もしかしたらパイロットの居住区や弾薬の替えなどかもしれないが、これは搭載機数の総数が軽空母程度である為いくらでも検討や設定が可能だろう。復活編をリメイクする際にどうとでも可能。

 

 ただし残念ながら、帰還させる能力と整備能力はゼロ。元から求められていないだろうが、空母ではなく艦載機運搬艦にしかならない。イメージとしてはベースラインは鷹野型給油艦や補給艦〈速吸〉に近い艦という事になるだろう。戦闘カタパルト艦としての運用であり、空母というよりもただの航空戦力源で単艦であるとか単艦種で構成した戦闘艦隊ではその能力は必ずしも発揮できない。無論、多数が集結していることも鑑みればスードロメダを主力とした艦隊の防空力は十分であろうという事は言うまでもないが。

 格納庫は艦全長の1/3程であるから、艦の全長は750メートル。ただ、1/5から1/6は衝角である為、実質は620メートル前後程度となる。

 

 データ
 全長:750メートル(衝角130メートル)
 艦載機:コスモパルサー
 搭載機数:常用28機+補用8機

 

  つまるところタコドロメダ空母型アンドロメダの原型。

 タコドロメダも、どうにも艦載機の射出能力は高いし展開力も高いのだが、母艦としての運用能力が収容力的に多分供給できない。行きはよいよい帰りは怖いという母艦としては出来損ない、無駄とまでは言わないが別の手段があるならそれを使いたくなるレベル。少なくとも、コスパは最低ランク。

 まして、スードロメダもタコドロメダも艦隊防空を行うより戦艦に専念した方がいい火力であるし、艦隊防空を行う前提なら艦隊の前面に出てはいけない。しかしそのどれもが悪い意味でセオリーに当てはまらない運用でどうしようもない。

 

 描写はとっ散らかるわ、設計コンセプトと戦闘のプロットは齟齬が生じるわで救いようがない艦だけを見た場合は見た目がダサい以外はそんなに失点の無い艦であるはずなのに描写のせいで全部ダメダメになってしまっている。この点、タコドロメダのご先祖様らしい。

 あの人、本当に学習しないんだね

 


 コンセプト・立ち位置
 見た目は情けないというか、廃材っぽいがコンセプトについては、実はアンドロメダやヤマトの正統なる後継といっていい内容だろう。つまり、戦艦としての機能と空母としての機能を併せ持ち、単独での運用も可能な万能艦。
 名前倒れというか、こけおどし感の強いネーミングだが確かにアンドロメダの系譜と言えよう

 

 ただし運用は先に述べたようにダメダメな上に意味不明
 移民船団の護衛に艦隊を付けているのだから、端っから直掩を出すべきだった。敵艦隊を視認した直後から艦載機を射出して艦隊と移民船団の援護をさせるべきだった。しかる後に戦艦として戦うべきだった。

 だが、そのいずれも果たされず。元々先に述べたように、ただの発進基地でしかなく、整備が行えないのだからそれは空母として失格。戦闘カタパルト艦としても能力を果たせず、むしろあの運用だと航空戦力のメリットよりも航空爆弾あたりがリスクとして背負う面の方が大きくなりかねない。


 スードロメダは戦艦としての能力は可、以上のラインである為前線でたっぷり戦ってもらいたい。艦隊の火力としての防空もいくらでも可能で、敵艦隊と戦う上では非常に頼もしい。

 空母としての能力は不可のラインである為、一回の戦闘では一回こっきりの運用となる。機体を回収しずらいってば 。それに艦載機の供給源として、対艦戦闘への参加はどうしても直掩展開に要するタイムラグのおかげで遅れてしまう。そのタイムラグ中に波動砲発射準備が行えればいいのだが、補助エンジンがないというのが極めて不安。仮に動力源不足になればそれは致命的――戦闘カタパルト艦としては十分すぎるラインである為、有用である。が、どちらにせよ、前線のような敵艦隊の直接攻撃を受けるような位置にはいないでほしいのだが……。

 

  この辺りのバックグラウンドに対する理解が伴っていないのが小林誠大先生の悪いところ。大枠では見事なのに細部の詰めが甘いか、細部が見事なのに大枠で大惨事。いつものことかもしれないが。

 


 総論としては別に艦として不足している能力はないのだが、大量建造なのがちょっと意味不明ドレッドノート級とほぼ同等の建造数というのが意味わからん
 艦隊の緊急的防空能力源という目的ならばそんなに大量に建造する必要はない。1隻当たり24機なのだから、5隻あれば120機の割と大型の直掩力が手に入る。対艦戦闘においてはこの5隻を後方に、ドレッドノート級を前面に押し立てて奇襲第一波を凌いで、しかる後に直掩と共に敵艦隊に対して反撃を図る。それで十分。

 ドレッドノートと同数に近い建造数を確保する意味はない

 

 

 描写の中で唯一妥当なのは、移民船団の団長が乗り込む旗艦となったことだろう。航空戦力を迅速に展開し直掩を行い、護衛艦隊が敵艦隊と戦っている間に移民船団を離脱させる、その戦闘から離脱に成功した移民船団を援護するための艦としてはベストな選択

 


 劇中の活躍
 復活編の地球防衛軍が擁する9個の戦闘艦隊のうちほぼ半数、おおむね225隻が登場。大ウルップ星間国家連合艦隊と正面から戦闘を行い、敵艦隊をショックカノンで多数撃滅するも約5倍から最大15倍の戦力差には如何ともしがたく大量に戦没艦が発生。アマール域へと到達に成功した艦もあったが、大多数を喪失する結果となった。

 そしてアマール星前面域での最終決戦にて残存ドレッドノート級やアマール星守備艦隊と共にSUS艦隊を迎撃するも、味方ごと粉砕するSUS要塞砲の直撃によって枕を並べて討ち死にした。