旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ボラー連邦兵器群 旗艦級戦艦:ハーキンス艦/バルコム艦

 

 ボラー連邦である意味特徴的なのが、旗艦級戦艦を用意しているところだろう。指揮官が極めて特別な職責である事を示すとい反面、ボラー連邦では一般と指導部との乖離が激しいという事の――ある意味わかりやすい表現なのかもしれない。

 

 

 第8親衛打撃艦隊旗艦:ハーキンス艦(Gunship Harkin)

 艦級名:不明
 全長:不明
 エンジンノズル:1基(箱型)
 武装:艦央部大口径砲(ボラー砲)1門、艦首直列格納式砲塔3基、円盤部格納式副砲塔3基、艦首方向ミサイル発射管片舷4門、前縁部ミサイル発射管6門、同後縁部ミサイル発射管4門、艦橋前部垂直方向ミサイル発射管3門、ボラー砲基部舷側ミサイル発射管片面4門

 

 ボラー連邦の南西部領域の戦闘を預かる第8親衛打撃艦隊の旗艦がこのハーキンス艦である。M1678散開星団域へと出撃し、ガルマン・ガミラス北部方面艦隊と交戦した。

 艦橋はラジェンドラ号と同様。全体として、ガルマンガミラスの次元潜航艇に近い。あれの後方艦底部にヤマトの第3艦橋ないしドメラーズ2世に近い形状の円盤を引っ付けたような形。全体として赤い。

  ボラー連邦らしい形状に仕立て直したデストロイヤー艦という言い方も可能な見た目。正直、お菓子のトゥインキ―っぽい。

 海外ではGunship〈Harkin〉と砲艦扱いらしい。

 

 武装

 火砲を多数擁し非常に強力だが、ミサイル兵装の方がより強力

 結局劇中ではタイプAと共に砲撃した以外の戦闘シーンはなかった。が、そのシーンから鑑みるに、火力はタイプAと同等以上であり、手数が多い分この艦の方が総投射量では上。艦首方向へは6門の主砲とボラー砲1門に加えて副砲6門と数は極めて強力で無比に近い。ただ、砲撃シーンはボラー砲のみ。

 何で艦央部にあるのかは不明だが、配置上主砲の射撃を邪魔するものでは無い為、意味のある配置ではある

 

 ミサイル兵装は総数30門のミサイル発射管を備える明らかに重ミサイル戦闘艦だ。ボラーにしては珍しい。他にはゴルサコフ艦以外に類例がないといえる。

 考えるべきは第8打撃艦隊の特徴的な部分はデストロイヤー艦の比率が明らかに多い事。第23話の以前にデストロイヤー艦のみで編成された水雷戦隊をヤマトに差し向けたし、23話のスカラゲック海峡星団域においても多数のデストロイヤー艦を前衛に配置していた。

 この前提条件を鑑みると、第8打撃艦隊はミサイルによる飽和攻撃や遠距離戦を基本戦術とした艦隊であると推測できる。ボラー連邦としてはあまりにミサイル兵装が強力過ぎるし、普通の戦闘艦としてもミサイル過多に思われるが、第8打撃艦隊の旗艦としては当然と言って差し支えないミサイル量と言えるだろう

 戦艦タイプAの能力補正版、デストロイヤー艦の大型強化版といったところか。

 

 

 全長の推測
 周囲の戦闘艦がタイプAが中心である為、意外と全長は大きくないだろう。1.5倍ないし2倍程度である為、ヤマトと同じぐらいの260メートルから350メートルもあれば妥当か。幅はかなり狭く、タイプAと同じくらいの70メートル程度が妥当な線。

 再設定を行う場合は、全長は580メートルから720メートル程度だろう。
 仮に第23話の特攻シーンを前提にすると、500メートル弱程度。再設定を加えた場合は1.2キロほどが妥当なラインだろう。意外と小さい、ボラー連邦中最小といって差し支えないほどの小型艦である。

 以下は数値のざっくりした予想である。一部、数値に乱れアリ

 タイプA比較全長:約300メートル(再設定値:620メートル)
 タイプA比較全幅:約70メートル(再設定値:180メートル)
 ガルマン大型戦闘艦比較全長:約500メートル(再設定値:1200メートル)
 ガルマン大型戦闘艦比較全幅:約170メートル(再設定値:350メートル)

 

 

 立ち位置・運用

 明らかに水雷戦隊(ミサイル砲撃部隊)指揮戦闘艦であろう。

 十分な火力を有しているため、通常の戦艦としても十分利用可能であるが、出来れば特筆すべき程強力なミサイル兵装を生かしたいだろう。となれば、同様の兵装がベースとなるデストロイヤー艦を多数擁する水雷戦隊の旗艦というのは自然な流れだろう。

 仮に艦隊がデストロイヤー艦より多数のタイプAを抱えていたとしても、艦隊の総合力としてミサイルが重要な攻撃手段となる艦隊であれば、このハーキンス艦はミサイルのプラットホームとして艦隊の攻撃力をアップさせ、十分に任務を果たせるだろう。

 ハーキンス艦は艦隊の戦闘を突っ切っていっても火力で敵艦隊に対し打撃を与えられるし、重ミサイル武装でも同様に打撃可能。他方で、劇中で見たように戦艦に混じっての砲戦もデストロイヤー艦に混じってミサイルぶっ放すことも可能。

 

 しかし、いくら合理的な説明や運用が出来たところで、ミサイル過多であることには違いない為――若干、被弾が怖いが、それがこの艦の能力を棄損するものかといえば、そうではない。劇中の描写を考えても、装甲も決して紙装甲ではないだろう。

 つまり、能力としてはかなりバランスの取れた良艦といえるだろう

 

 

 劇中の活躍
 第22話にて初登場、ハーキンス率いる第8打撃艦隊の旗艦として出撃。続く第23話でスカラゲック海峡星団域にてガルマン・ガミラス北部方面艦隊と交戦、艦首ボラー砲を以てヤマトを圧倒。しかし、割って入っていったガルマン・ガミラス北部方面艦隊との交戦を強要される。火力物量で北部方面艦隊をも圧倒したものの、北部方面艦隊は体当たり突入を決定。

 彼らの果敢なるその驀進を前に第8打撃艦隊はなすすべなく突入を許し、ハーキンス艦も敵旗艦たるグスタフ艦と衝突し爆沈。

 

 

 

 第1主力艦隊旗艦:バルコム艦(Battleship Balsom)

 艦級名:不明

 全長:不明
 エンジンノズル:不明(恐らく大型並列2基、直下に小型2基。或いは伝導管付き大型ノズルがこれに加わる)
 武装:艦橋前部直列伸縮式砲2基、艦橋基部大型ミサイル発射口片舷1門。他に艦底部に何ぞの大型砲口1門、連装ミサイル発射機構5器があるかもしれない。

 

 外見上はほとんど戦闘空母と同じだが、艦載機を有するのかは結局不明。また、前後の艦体が離れていた戦闘空母とは異なり、その間が極めて詰められている点が異なる。また、開口部はかなり大きく、アンコウみたいなことになっている。エンジンノズルなのか、ミサイル発射機構なのかよくわからない物体が艦尾にでかでかとついているのも異なる点か。ただ、ベースは戦闘空母と同じ。
 
 艦橋は普通に戦艦タイプAと同様。若干Bっぽいか……。
 内部は中央部に大きな円形の羅針儀か何かがある。最後部に司令官席があり、一段高まったところから艦橋全体を見渡せる。副官は左側が定位置の模様だが、席も何も用意されていないため、突っ立たざるを得ない。オペレーターは3人一組でそれぞれ椅子に座って作業を行う。配置の形状から、恐らく4組を以てオペレーティングを行う模様。全体として赤い部屋。

 海外ではBattleship〈Balsom〉と戦艦扱いだったりする。

 

 全長の推定
 前提として、幅と全長の比率が1対2。結構ずんぐりとした艦容である。
 第22話の出撃シーンでは大型空母と共に登場したため、タイプBとの兼ね合いから考えると、全長1.4キロないし1.3キロが妥当。幅は700メートル前後程度で、発進口は400メートル近い。
 ところが、実は小型である疑惑がある。
 そもそもの第22話の登場シーンだが、仮に大型空母が260メートル程度の全長であった場合、必然的に250メートル程度で幅は130メートル程度となる。発進口は90メートルは下らない。他方、第23話にての登場シーンでは、周囲に展開する艦のベースはデストロイヤー艦であり、他の艦はタイプAとどちらも170メートル前後。これらの艦とほぼ同等か、一回り大きい可能性がある程度である。ヤマトと比率を合わせる為に再設定をしても400メートルがせいぜい。
 もし、大型戦闘艦とタイプAが同等の大きさであれば、この艦も大体400メートル程度の大きさになるし、再設定を行った場合は900メートルを見込むのだが、ベースとして割と小型艦と言える。
 ボラー連邦の旗艦級戦艦としてかなり小型の部類に入る戦闘艦である。

 大型空母比較全長:約1400メートル(再設定値:3600メートル)
 大型空母比較全幅:約700メートル(再設定値:1700メートル)
 タイプA・デストロイヤー艦比較全長:約400メートル(再設定値:900メートル)
 タイプA・デストロイヤー艦比較全幅:約200メートル(再設定値:250メートル)

 

 

 艦載機運用能力

 恐らく、戦闘空母と同程度だろう。戦闘空母以上の艦載機運用能力を有する必要はなく、大量の大型空母を投入できるボラー連邦がこのバルコム艦にわざわざ巨大な航空戦力を持たせることはむしろ疑問だろう。

 推測として、300機程度が妥当なラインだろう。収容能力としてはすでに述べたように、戦闘空母と同等であろうと推測が出来る為400機ほどを見込める。が、そこまでの強力な航空戦力を持たせる必要性がない為、300機でも多い方かもしれない。

 航空戦力の運用としては、恐らく――艦隊防空系だろう。300近い機数を全て敵艦隊にたたきつけても、戦果が得られない可能性があるが、艦隊の援護に300近い機数を回せるならばこれは味方対空砲火と相まって強力な防空戦力となるはず。

 旗艦であれば同型艦を複数隻組み合わせる必要はなく、航空戦力の大規模確保は不可能。戦闘空母などが別個にある為、やはりこの艦自体にまとまった航空戦力の運用能力は必要ないだろう。

 

 

 立ち位置・運用

 当然、本国第1主力艦隊旗艦である。ハーキンス率いる第8打撃艦隊の5ヴァイの戦力を誇る同艦隊を率いる中核たる戦闘艦。

 艦の能力としてだけ見れば、ボラー連邦がおおむねにおいて用いているタイプAとタイプBで構成された艦隊の防空力の担保だろう。艦橋も割と大型である為、指揮通信能力を担保できるだけの容積があるとみられるため、多分能力は高いだろう。砲戦はそれなりに行えるであろうと予測はされるが、大型空母に比べて砲門数の絶対数が足りない。きっとボラー砲が有るから、貫徹力は担保できるだろうが、通常の砲撃力は大して高くないとみられる。普通は後方に位置する艦であろうから、攻撃力が高い必要性はないが。

 ただそれより問題なのは――

 

 最大の疑問

 何でこいつだけ赤くないの? もっと言えば、第3話でバース星守備艦隊の一角をなす戦闘艦として同型艦が多数投入されていた。全然旗艦級ではないし、旗艦仕様でもない。にもかかわらず、明らかにバルコムはこの艦に乗り込んでいたのである。どう考えても描写から言って、この艦が旗艦のはずだ。

 可能性としては、この艦が旧型戦闘空母という話が出来る

 戦艦としての機能と空母としての機能、艦載機格納と艦運用システムがうまく分けられていなかった戦闘艦。そうであった場合、別なより高度に内部を構成された同じコンセプトの戦闘艦が必要となることは間違いない。

 シリーズ後半に登場した戦闘空母は明らかに推進部と艦載機格納部が分けられていた。確実に運用は簡単だろうし、最悪の場合のダメージコントロール=“火薬庫”たる艦載機格納庫を完全に切り離すことさえ可能。だが、バルコム艦と同型の戦闘空母では、これはあれほど推進部と他の構造が物理的に距離が近い、切り離せるであろう部分がない、とあれば――まず、機能を完全に分けることはできないだろう。

 ただ、そうはいっても対艦戦闘と艦載機運用の2場面を効率よくさばく必要のある戦闘艦であり、戦闘指揮のキャパシティは十分にあると予想できる。仮にその機能を指揮通信に全て振り分けた場合は、自艦の戦闘指揮をこなしつつ艦隊全体への指揮通信か、大規模かつ性格の異なる複数艦隊の同時並行的指揮通信が可能になるだろう。指揮官の質は別にして。

 

 なぜ、バルコムはこの艦を選んだか。選んだ理由は前述の通りである。では、なぜこの艦に乗り込まなければならなかったのか

 可能性を上げるとすれば、ベムラーゼの命令が極めて短期的な時間的猶予で発令されたという事があげられる。

 第8親衛打撃艦隊はすでにヤマトと戦闘を行い、当該方面の担当であろうから、ヤマト及びシャルバート星攻撃への準備を怠ることはあり得ない。即座に大量の戦闘艦を派遣することは十分可能だろう。他方、バルコム率いる第1主力艦隊はあくまで本国を母港とする艦隊のはず。いつ出撃しても構わないだけの整備をされていることと、実際に速やかに出撃できることは必ずしも同じラインで語るべきではない

 つまり、バルコムはどこか別の所にいたか、彼本来の旗艦がドック入りしていて緊急発進できなかった。であるとすれば、彼が差し当たっての旗艦としてあの戦闘空母を選んだとしても不思議はない

 戦闘空母としては旧型であっても、戦闘や空母としての運用ではなく指揮通信艦としての運用であれば、その通信キャパシティから十分艦隊式は行えるだろう。大量の戦闘艦を保有する第1主力艦隊であるから旗艦が襲われる可能性は低いだろうし、そもそも第8親衛打撃艦隊の援軍としての参戦であるから――多少軽装でも問題はないはず。バルコムの無駄を省く傾向と、割とプライド高い傾向を考えれば、この選択は不思議はない。

 

 ところが、実際に戦闘に参加する羽目になり、普通の戦闘艦と大差ない装甲であったことがあだとなり、結果的に撃沈されてしまった

 こうすれば結構おさまりがいい。第1主力艦隊が簡単に壊滅した理由も、指揮官が居なくては艦隊は組織的な戦闘が出来ない、早々に旗艦がやられた――と、少しは説明が付けられる。防空戦にしても、高々40程度のコスモタイガー相手に艦載機を出すまでもないと考えても、バルコムの悪い意味で豪快で割り切った性格から考えれば当然。

 

 

 劇中の活躍
 一応、第22話にて登場。第1主力艦隊を率いる旗艦として出撃。

 続く23話に登場、艦隊の中央に陣取り、ヤマトを挑発。しかしながら言い方がまずかった点も鑑み、ヤマトを必要以上に焚きつけた結果――猛烈な逆襲を喰らい、戦闘の割に早い段階で被弾、爆散。指揮官を失った艦隊はなすすべなく全滅してしまった。

 つまるところ、全く持って能力を発揮する機会は……なかった。