旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

銀河系大戦(ヤマトⅢ)参加部隊 ボラー連邦②――本国艦隊――

 

 

 ボラー連邦は天の川銀河の一翼に広がる巨大星間国家である。極めて多数の戦闘艦艇を有し、これを集中的に運用することで個々の弱点を物量でカバーし、敵を飲み込む戦闘スタイルを持つ。

 一方で物量だけではなく、艦隊の性格を明確化し、使用場面の適切かを図る作戦展開の細やかさも見せていた。

 

 

 名称:第8親衛打撃艦隊
 規模:複数個艦隊
 戦力構成:デストロイヤー艦多数、戦艦タイプA多数、旗艦級戦艦1規模
 隷下部隊:デストロイヤー戦隊(デストロイヤー艦13:ハーキンス指揮下)

 戦力総数:200有余隻

 配備地/作戦域:不明(作戦地域にM1678散開星団を含む)/首相の命ずる地域
 指揮官:ハーキンス中将
 所属:不明 

 

 ヤマトがボラー連邦の支配下にある惑星ファンタムへと舳先を向けたころ。ヤマトがデスラー総統の盟友であることを鑑み、彼らの行動を重く見たベムラーゼ首相。丁度、当該方面を作戦域に含む第8親衛打撃艦隊へ、中央作戦室から首相令が発せられた。

 

 戦力構成

 高機動艦が中心となった艦隊である。つまるところ、対艦専科艦隊。

 タイプBを保有していない可能性が高く、粛清戦や惑星制圧戦のような巨大火力を必要とする戦闘には向かないだろう。この艦隊では大型ミサイルが決定的に不足していることが明白であるため、仮に制圧戦を任されたとしても敵を震えさせるまでには至らない。それどころか、大気圏内での戦闘に引き込めれば泥仕合を展開できるため、むしろ第8親衛打撃艦隊の方が劣勢になる危険性さえある。挙句地上部隊を有していないのだから、どうあがいても惑星制圧戦は不可。

 しかし、対艦戦闘であれば極めて有力。

 ミサイル飽和攻撃という迎撃側がうんざりする攻撃を本当に飽和的に行える艦隊である。しかも砲撃力も十分保有した艦隊だ。砲戦距離を避けて戦闘を行うとすれば、ミサイルなどの長距離兵器を用いる必要が有るが――第8親衛打撃艦隊のミサイル力を超えるのは容易ではない。ミサイルを避けて接近し、中距離戦闘を行うとしても、全艦が4門を艦首方向へ指向可能な割とちゃんとした砲戦艦隊だ。余裕をかまして迎撃可能。

 近接戦闘になった際や、航空戦力を差し向けられたときは少々厄介だが、依然としてミサイル攻撃を行えば有る程度の損失を覚悟すれば、十分敵艦隊を撃破できる。

 下手に空母を擁していないし、リスクになりえるタイプBもないがゆえに、対艦戦闘に限ればいくらでも柔軟に戦える艦隊といえるだろう。

 総隻数は第23話の描写と彼らの基地である第8親衛打撃艦隊前進基地の規模から考えて、200隻ほどが妥当だろうが――描写によってローランド・エメリッヒゴジラ並みに大きさが変わる為、妥当な数値は分からないのが正直な所。

 

 戦術

 とにかく機動戦。敵より早く攻撃態勢に入り、敵より早く敵より多くのミサイルをぶっ放す。出来るだけ艦隊の遠方で勝負を付けたい。

 もしもミサイルの有効範囲より接近されたのであれば、敵の性質を鑑みつつ割り切って砲戦へと移行する。

 

 劇中の活躍
 第19話に登場、デストロイヤー戦隊が出撃しヤマトの行動を阻止すべく戦闘を開始した。しかし、コスモタイガーとヤマトのショックカノンに阻まれ、目的を果たせず。また、シャルバート教の巡礼船にも大きな損害を与えることはできなかった。

 第22話ではベムラーゼ首相の命令で再出撃し、その戦力のほとんどを投入。第23話にてルダ王女の奪還目指してヤマトと交信。一応、平和的解決を求めてはみたが「どうなんだ!」「断る!」の身もふたもない応酬の後、戦闘を開始。約30隻+αの第1戦隊と20隻+αの第2戦隊に分かれ、ひし形の陣形を組んでヤマトに接近、猛打を加えた。だが、ヤマト死守の命令を受けたガルマン・ガミラス北部方面艦隊が決死の体当たり突入を敢行。これに抗しきれず艦隊は壊滅した。

 

 

 

 名称:第1主力艦隊
 規模:5個艦隊級
 戦力構成:デストロイヤー艦多数、タイプA多数(以上、バルコム艦護衛隊)/大型空母多数、戦闘空母多数、タイプB多数
 戦力総数:1000有余隻
 配備地/作戦域:本国/首相の命ずる地域
 指揮官:バルコム提督
 所属:不明

 

 第8親衛打撃艦隊の援軍として急遽首相命令で出撃した本国所属の戦闘艦隊。極めて大規模で、画面を埋め尽くすほどの戦力を誇った。 

 

 戦力構成

 バルコム艦の周辺と、それ以外だと結構様相が違うため注意が必要。

 まず、艦隊全体としては大型空母や戦闘空母といった航空戦力が数十隻から。圧倒的に巨大な航空戦力であり、まさに本国が養うべき柔軟な戦力。特にボラー連邦は傾向として惑星制圧には艦載機を用い、破壊に関しては大型ミサイルを用いる。つまるところ、この本国第1主力艦隊は惑星制圧も視野に入った大型艦隊という事になる。

 最悪の場合=惑星制圧に失敗した際のことを鑑みた数十隻に及ぶタイプB戦艦の圧倒的大量投入も特徴的。つまるところ、この艦隊は敵にブチ当てれば惑星を征服することも粉砕することも容易であるという事。これだけのタイプB投入に加えて更にタイプA数十とデストロイヤー艦数十までを投入し、どんな対艦戦闘や対空にも対応できる途方もなく巨大で柔軟な戦力構成である。

 ただ、攻撃側のねらい目としてはバルコム艦の周辺だろう。ハーキンス艦隊と同様の戦力であり、敵艦隊との近接戦闘や敵艦載機の空襲から身を守るという点において最も効率のいい艦隊編成。だが、反対に言えば艦隊総司令がこの割り切った普通の戦力に守られているという事は、万が一この部隊へ接近できれば無理やりにでも近接戦闘を挑めば――もしかすると旗艦を破壊し艦隊を機能不全に陥れられるかもしれない。

 ここはちょっと、ウィークポイント。

 戦力総数はどれほどかは不明だが、バルコムの発言が正しければ5ヴァイの戦力。つまり、約1000隻。

 

 戦術

 恐らく、元来は敵の主力艦隊と雌雄を決し戦争の帰趨をボラーへなびかすべく編成された艦隊だろう。無論、粛清を容易にするという作戦も、ボラーによる銀河統一という目標からすれば第1主力艦隊の任務の範疇といえる。

 これだけ巨大だと、はっきり言って戦術はいらないレベル。旗艦にさえ敵の攻撃が届かなければ、どれだけ困難な戦闘であったとしても十分に采配は振るえるし、艦隊は機能不全を起こすことはないだろう。

 何でこんな巨大艦隊をヤマトごときに差し向けたかといえば――ヤマト迎撃以上にヤマトとガルマン・ガミラス艦隊の合流が恐ろしかったのだろう。或いはそこへシャルバート帝国艦隊が合流したならば、ボラーにとっては最悪の事態。この数百年は活動を停止しているシャルバート帝国だからこそ、初動は鈍い可能性が高い……ならば、そのタイミングを逃さず猛攻を加えて一定程度戦力を低減させられれば、銀河最強の戦闘国家相手にもボラーでも十分に互角が望める。

 

 劇中の活躍
 第22話、首相の命令によって緊急発進しハーキンス率いる第8新鋭打撃艦隊の援護に回った。第23話、ハーキンス艦隊が壊滅した後、満を持して前進。ヤマトに降伏を迫ったが拒否られ、キレたバルコムは10秒以内の攻撃開始を下令する。しかしこの猶予でヤマトは艦隊の攻撃から逃れ、更に大艦隊という動きの鈍い存在に対して高機動戦を仕掛けたヤマトを補足しきれず。艦隊中枢、旗艦への直接砲撃を許してしまう。挙句運悪くバルコム艦が被弾し、爆散。途端に統制が取れなくなった艦隊はヤマトのなすがまま、ほとんど壊滅してしまった。

 

 

 名称:第2主力艦隊
 規模:複数個艦隊
 戦力構成:タイプA多数、タイプB多数、大型空母多数、戦闘空母多数
 戦力総数:1000隻弱

 配備地/作戦域:本国/首相の命ずる地域
 指揮官:ゴルサコフ参謀長
 所属:不明

 

 緊急発進したバルコム艦隊の命令に間に合わなかった一群、或いは残存バルコム艦隊で構成されているであろう一群。ベムラーゼ首相の右腕であるゴルサコフ参謀長に率いられた戦闘艦隊。とにかくシャルバートを潰せるならばつぶしたい、味方に引き込めるならば何としても引き込みたいボラー連邦がシリーズ再後半に繰り出した大艦隊の一つである。

 

 戦力構成

 バルコム率いる第1主力艦隊とほとんど同じ編成。ただ、どうやらデストロイヤー艦は保有していないか、或いはごく少数。この点から考えてもどちらかといえば、出撃に間に合わなかった部隊を取り急ぎまとめた艦隊、或いは第2主力艦隊が出遅れたため元来の指揮官に代わってゴルサコフが指揮を執ったという線が強い。

 デストロイヤー艦がないのは結構痛い。敵の高機動戦に対して巨大艦隊である以上うまく対応できない可能性がある。つまるところ、ミサイル兵装の不足による攻撃の柔軟さの欠如だ。圧倒的多数の戦闘艦を有しているため、弾幕で敵のミサイルや艦載機群を十分迎撃できるだろうが、バルコム艦隊の例もある為に安心はできない。むしろ、あれだけの艦隊でもしくじったのだから、このゴルサコフ艦隊はより警戒しなければより容易にヤマトなどの決死隊に旗艦を仕留められてしまう危険がある。

 

 戦術

 劇中でゴルサコフが言っていたように、電撃戦

 艦載機群を大量投入し、シャルバート星全域を攻撃かつ占領をもくろむ。さらに、上空に展開していたデスラー親衛艦隊に対しても空襲を敢行した。かなりの数の空母を有していたバルコム艦隊に比べれば、航空戦力も多少小さいものの、十分有機的かつ効果的に敵を攻撃できるだけの戦力は確保していた。

 そうはいっても、艦載機だけで敵を殲滅できるとは限らない。実際、シャルバート制圧およびデスラー親衛艦隊撃破の為に砲力を以て戦う場面に直面。こちらも電撃戦を行うべく急速接近し、火力の全てをたたきつけるべく直進したが――ハイパーデスラー砲による返り討ちを喰らってしまった。

 ベースとして、ゴルサコフは電撃戦が得意だった。この艦隊も、彼の作戦を敢行するのに十分な戦力ではあったと言えるだろう。

 

 劇中の活躍
 第24話、閉じつつあったシャルバート星への亜空間通路に強行突入するシーンから登場。シャルバート星および、その上空に展開するデスラー親衛艦隊に対して奇襲・電撃戦を敢行。戦艦3、空母8とアナウンスされたが、正直意味不明。ゴルサコフ艦の周囲の戦闘艦艇という意味ならば筋は通るだろう。

 

 


 名称:ベムラーゼ親衛艦隊
 規模:複数個艦隊
 戦力構成:タイプA多数、タイプB多数、デストロイヤー艦多数
 戦力総数:不明(約200隻)

 配備地/作戦域:不明
 指揮官:不明(最高司令官はベムラーゼ首相)
 所属:不明

 

 ベムラーゼ首相の周囲に展開する護衛艦隊。主力艦隊ほどではないが、非常に多数で強力な戦力を有する。

 

 戦力構成

 まず、第13話に登場した艦隊と第25話に登場した艦隊の2つがある。

 前者はタイプBを多数擁し、何なら惑星すら木っ端みじんに粉砕する事が可能なほどの大戦力である。数としては必ずしも大規模ではないが、潜在的な戦力として巨大。地方視察のための艦隊にしてはあまりに強力過ぎるが、場合によっては目的が粛清にも変わるかもしれない事を考えると、これだけの戦力も不思議はないか。

 他方で後者。こちらはベムラーゼ首相旗艦機動要塞の護衛艦隊である。タイプBの姿がほとんど見えず、代わりに多数のデストロイヤー艦が配属されていた。こちらはベムラーゼの口から語られたように、デスラー総統を迎え撃つための艦隊である。対艦戦闘において極めて強力であると考えられたハーキンス艦隊と同様の戦力構成であり、つまるところ特質も同様であると言えるだろう。

 

 戦術

 第13話であれば、敵艦隊との戦闘より惑星制圧。仮に対艦戦闘を行うとしても、数に頼った猛烈な砲撃、それが敵わないのであればミサイルですべてを一掃する。

 第25話であれば、敵に対して高機動戦を展開するのが基本であり、奇襲的攻撃が望まれる――が、デスラー親衛艦隊の方が先に奇襲を仕掛けたため、ベムラーゼ親衛艦隊は全く役に立たなかった。

 

 劇中の活躍
 第13話にてベムラーゼ艦と共に登場、バース星上空に展開。ヤマトとの戦闘が振るわなかったバース星に対してキレた首相がこれを破壊すべく全艦に大型ミサイルの発射を下令、これによってバース星を破壊した。

 第25話にて再登場。太陽系圏内に突入、ヤマトに猛攻を加えた。しかし、突如として現れたデスラー親衛艦隊のデスラー砲一斉射撃によって瞬時に壊滅してしまった。