ガルマン・ガミラス兵器群 デスラー砲艦――汎用デスラー砲キャリア艦――
デスラー砲艦は主に最終話に活躍した戦闘艦であり、それまでガミラス艦隊総旗艦のデスラー艦にのみ許されたデスラー砲を汎用化したそのキャリア艦である。やられメカの傾向が強いが――今回はこの艦を考察したいと思う。
――データ――
艦名等:不明
全長:234メートル
全幅:不明
武装:デスラー砲1門、回転速射砲塔艦首2基、後部1基、舷側デッキ片舷1基
形状は小型な大型戦闘艦というのが最も近い。艦橋が若干形状が変更されているが、ベースラインは変わらず。フィンは大型のものが艦橋の後方に、小さいフィンが艦首の上面に設置されてある。左右に張り出したプラットホーム的インテークが大幅に規模を縮小され、プラットホーム上部にインテークが移動された点が大型戦闘艦とは異なる点ではあるが、ざっくりした形状は先に述べた通り、大型戦闘艦と同様。
ちなみに海外ではBattleship〈Galmania〉と呼ばれる。Gunboatではないらしい。
幅の推定・全長の調整
本来はメカコレでも使えばいいのだろうが、残念ながら私は製作していないため測ることが出来ない。そのため、劇中の描写から推測すると、幅はざっくり50メートルか60メートル弱程度であろうと予想する。
考えてみるにちょっと原作設定値が大きい気がする……。確かに、新型デスラー艦が1.3キロであれば、第25話での描写から鑑みて新型デスラー艦の1/4程度の範囲内に収まる様に見える。つまり、大きく見積もっても280メートルは超えない。が、700メートルが設定値として設けられている場合、こちらが妥当であった場合は180メートルとかその範囲内という事になる。大幅に相違が出てしまうのだ。そして、デスラー艦の具合からして、後者の方が数値として妥当。
仮に、全長を再設定する場合、ヤマトとの比較において、2倍程度(この艦の性質からしてさほど大型化する必要性はない)がせいぜいであろうから、最大で500メートル程度が再設定の妥当な値と言える。しかし、700メートルが前提となると350メートルが妥当となる。ややこしい……。
武装・運用
汎用決戦兵器となったデスラー砲を主兵装――正確には主砲とし、自衛用の回転砲塔を擁する、完全なるデスラー砲キャリアだ。ガトランティスの技術を明らかにもらい受けたあの回転砲塔の速射性はガトランティス戦役で見た通りであり、十分艦載機やミサイル兵装の迎撃に有用。
敵艦隊との直接砲戦において主砲同士の攻撃であれば、この艦は全く役に立たない。近接戦闘でも全く役に立たない。敵艦載機に対する防衛能力は十分であろうが、敵艦とのタイマンでの戦闘は木っ端みじんなほどに弱い。
しかし、この艦の真価はそこではない。
艦首に堂々と据えられたデスラー砲、これこそがこの艦の中枢であり存在意義である。デスラー砲は波動砲と同等の射程を誇り、威力も同等か若干低い程度。艦載砲としては破格の威力を持つことは間違いない。
つまり、デスラー砲艦は親衛艦隊の構成艦として敵の接近に際し大火力で敵を殲滅。或いは、味方艦隊の後方にあって、前衛が退避なりを緊急的に行い間髪入れずに砲撃を行う事によって敵を殲滅するという奇襲的攻撃が可能。単艦ではあまり効果も能力も高くはないが、多数をまとめて運用することで地球艦隊並みの大火力艦隊の編成が可能。この強力な砲戦艦隊に対しては、多少なりとも別個に護衛艦=実際に編入された中型戦闘艦を割く意味はあるだろう。費用対効果は十分。
また、艦隊の総合力としては、最悪一隻減った程度では大して減少はしない。これは魅力だ。何せデスラー砲キャリアであり、砲戦やミサイルや航空戦力の供給は行えないのだから、他の砲艦が有機的に運用されさえすれば火力維持は問題ない。
裸で出せば単なる的でしかないが、しかしごり押しの強い電撃戦のガミラスにおいては、非常に使い勝手の良い戦闘艦に仕上がっていると言えるだろう。
運用面の実際に関しては少々残念。
デスラー親衛艦隊という極めて限定的な運用が行われる艦隊に集中運用、これでは総統の威厳は増すだろうが有機的な運用に疑問符が付く。集中運用における戦術はそれこそ、地球艦隊と同様が見込まれる。実際、地球艦隊と同様に敵の体制が整う前にデスラー砲をぶっ放した。
集中運用は正しいし、中型戦闘艦と組ませて喪失の危険を低減をした艦隊編成は理に適っている。総統ならば、割と平気にガンガン個の艦隊を運用してくれる可能性もあるが、そうでなかった場合はせっかくの巨大火力も宝の持ち腐れになってしまう。仮に、銀河系大戦初期にデスラー砲艦が完成していたならば、それでいい加減まで投入しなかったとすれば……これは悪い傾向が出たと言わざるを得ない。
もう少し、運用面は総統が思い切った施策をする必要が有るだろう。
推力
これは意外に弱いと思われる。大型の戦闘艦であるが、ヤマトやデスラー艦とは異なり、ブラックホール砲の餌食になってしまった。
デスラー砲が仮に、波動砲とは微妙に異なる性質・プロセスの砲であり、仮に威力の増幅が難しいとあれば――そうであった場合、増幅装置は地球艦隊のそれよりも大規模であるとか数を多く配さなければならないだろう。
インテークが小さく、増幅装置に頼らざるを得ず、その能力増幅策が砲撃にパラダイムを振っていた場合、これは推力には寄与しない。デスラー砲の威力を上げることを目的としたキャリア艦であるという前提の下であれば、推力が不安であっても仕方がない面もあるかもしれない。が、これが仇になってブラックホール砲の餌食になってしまった。
劇中の活躍
初登場は実は第16話の建国記念パレード。ただ、全く触れられずにフェードアウト。再登場はなんと第25話で、ひとつ前の話には全く姿がなかった。
ボラー連邦がヤマトを追跡して大艦隊を太陽前面域に投入、ハイドロコスモジェン砲の発射を妨害し始めた。挙句にベムラーゼはブラックホール砲をぶっぱなし、その中にヤマトを叩き込もうとしたのである。
その大ピンチの時、デスラー総統は約100隻からなる親衛艦隊を以て戦闘宙域へと突入、デスラー砲艦はその中の主力艦として姿を見せた。艦隊は展開すると同時に驚愕のセリフ「全艦デスラー砲発射。目標、ボラー連邦艦隊」との命令の元、全艦がデスラー砲をぶっぱなしたちまちボラー連邦艦隊を撃滅。
更なる攻撃でベムラーゼ首相旗艦機動要塞へと砲撃を集中したが、その護衛艦隊を殲滅したものの要塞には打撃を与えられず。残念ながら、機動要塞の反撃を喰らい、ブラックホール砲の餌食となってほとんど全滅した。