旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ガルマン・ガミラス兵器群 中型戦闘艦――ガルマン・ガミラスの主力戦艦――

 

 

 中型戦闘艦はガルマン・ガミラスの中核を担う攻撃型の戦闘艦である。多数の火力と多数の僚艦を以て敵と対峙するさほど大きくない艦であり、シリーズ中を通して登場し果敢に戦った。

 

 

 ――データ――

 艦級名:不明
 全長:252メートル
 武装:艦上部艦首側3連装砲身付き砲塔2基、同上部艦尾1基、艦首連装砲前部回転速射砲塔1基、艦最前部連装固定砲1基

 

 ガミラスグリーンよりも深い、モスグリーンな塗装だが、艦首の最先端と艦橋最上部前半がオレンジ色に塗られている。また、エンジンノズルも黒く塗られている。艦の前半部と後半部では形状が異なり、艦首側艦底部はガトランティスの大戦艦に近い。しかし、後半部は前半部との接合部艦底部に艦首を向いたくぼみが一つ、その中から角が出ている。ぱっと見はメダルーザの火炎直撃砲口に近い。


 艦橋は分厚い板が3枚重なったような見た目ではあるが、ガトランティス駆逐艦に近い形状となっている。フィンは艦首上面に1、艦尾底部に1、艦橋最上部後方両端から2本。艦首の黄色く縁どられた開口部はシュルツ艦のそれと同様、用途不明。

 ちょっとした商業ビルの吹き抜け並みの階高を持つ艦橋。艦長席は人の背丈より高い位置に据えられ、背後に専用のランウェイがある。幅は成人男性3人ほどが横並びであるける程度。このランウェイ側面にも、艦橋全体の側面にも司令部要員が詰めており、それぞれ椅子に座ってモニターを見る。ざっくり、体育館ほどの面積があろう。


 困ったことに、第2話であるとか第6話でそれぞれ艦橋の描写が異なり、第6話では物凄く大きい司令官用のテーブルとジャストサイズのイス一脚が艦橋後方に一段高まって配置。前方にはオペレーターがが複数人座ってモニターを操作、その前方には窓がありこれは三角形。階高も大して高くなく、普通の会議室の1.5倍もあればいい方。意外とこじんまりしたものになっている。

 もしかすると第二艦橋とかそういうところか。

 結構画面に登場し活躍したのだが――個別の艦名や艦級名が劇中で与えられることはついぞなかった。一方海外では戦艦扱いでBattleship〈Conqueror II〉と呼ばれている。ちなみに最初の〈Conqueror〉はシュルツ艦の事を指す。

 

 

 火力・装甲
 ボラー相手では、実はB-と言って構わないだろう。バース星艦隊相手にむしろ圧倒されている感があり、タイプA戦艦相手には一発で撃破できたもののタイプB相手では敵の装甲をあまり打ち破れず。しかも、味方は一発か2発程度喰らっただけで爆散してしまった。
 無論、ガルマン・ガミラス艦艇の中では、攻守バランスの取れた戦闘艦だが……相手が意外と堅い上に火力の高いボラー相手だと、どうにも苦戦してしまう


 装甲の最も派手な醜態は第24話のシャルバート星上空。ここでボラーの戦闘機部隊の機銃掃射を受けて大型戦闘艦共々爆散という惨事を見せた。さすがにコスモタイガーの銃撃で爆散はしなかったが、しかし炎上はした。この点、ボラーより派手に燃えていた。ダメージコントロール力はかつてのガミラス艦より圧倒的に向上しているのだろうが、それでもボラーほどではない模様
 火力は当然、回転砲塔のそれとは異なり砲身付きの3連装砲塔がある故、射程はどうも長めらしい。これは高評価。また無力ではない様で、ちゃんとボラー戦艦の装甲を撃ち抜いた。何なら大型戦闘艦より戦艦らしい火力を有していると言えるかもしれない。しかし、この火力は決して敵を圧倒できるだけの能力を担保できなかった事は考えなければならないだろう。

 


 他にも懸念として、ミサイル兵装があるのかないのか――どうもなさそう。だとすると、敵の迎撃も敵への攻撃の手数の内、非常に大きな手段を一つ失っていると言えるだろう。この艦にミサイル兵装があれば、より汎用的な戦闘艦になったのではないだろうか。
 多分だが、高圧直撃砲はない。が第11番惑星域における戦闘では、発射準備は中型戦闘艦においては行われなかったことは間違いない。この場合、ベースの火力は高いが、必殺兵器が無い分……いざという時の能力は駆逐艦より格落ち……

 

 

 この中型戦闘艦は、確かに火力は高いのかもしれない。が、あまり信頼性がない能力。また、駆逐艦と同数混合の艦隊を運用する必要性はない。駆逐艦とは分離し、単独で艦隊編成。あるいは対艦戦闘能力の低いデスラー砲艦の護衛が妥当だろう。武装から推測するに、ちょっと癖のある運用。

 ガルマン・ガミラス艦の中ではオールマイティーさを目指したまさに中核艦といった雰囲気であるが――あんまり役に立っている様子がない。残念ながら大型戦闘艦よりかはマシといった程度。

 ただし――ダゴンが勢いだけの指揮官だったという事であれば、これらのネガティブな評価は一変する。アイツがゴミみたいな指揮官で、能力不足でただ単に物量で押し切っただけという事。だから、名将ラム艦長相手に競り負けた。

 そうであれば、劇中で中型戦闘艦はほとんどその真価を発揮した事はないという事になる例外はグスタフ中将で、彼はハーキンス艦隊の圧倒的物量にひっくり返された者の――概ね能力を最大に近い形で発揮させた。劇中では全然映ってなかったけどね。

 

 つまり、射角を上下左右に大きくとれる中型戦闘艦は、ボラー艦隊の側面へ高速移動できれば固定砲が中心のボラー艦隊相手に圧倒的優位に立てる射程も幾らか長めであろうことが第23話にて判る為、決してボラー艦隊に一方的にやられるわけでは無い

 ボラー艦隊に対して正面かつ近距離で戦えば、この中型戦闘艦は負ける。何なら勝ち目がないレベルである。しかし、側面攻勢をかけたり中距離砲戦に集中したりする場面おいては明らかにボラー艦隊に勝る火力を提供できる

 いわば、勝てないパターンがはっきりしている戦闘艦。であるならば、それに応じた運用をすればいい。

 その勝てないパターンに追い込まれ得る編成や戦場への投入を控え、早期に戦闘のイニシアチブを握って勝てるパターンに相手を引きずり込む。

 これがベストな中型戦闘艦の戦い方だろう。

 

 

 

 運用・立ち位置
 中距離ないし長距離砲戦を行う汎用的戦闘艦としての運用なのだろう。大量に建造されている点も考えれば、帝国の中核戦力としての位置づけ。大艦隊においては最前線に立つ砲戦源、小艦隊においては中核の砲戦源という配備方針の切り替えを行う。

 

 

 どうも大型戦闘艦は図体がデカいだけで打撃力があまりなく、その兵装からして戦闘艦としての立場が疑問。この点を大きくとらえれば、

 中型戦闘艦こそが対艦戦闘において戦艦に近い立ち位置を任されていると予想できる駆逐艦と同等に量産されている点も、帝国の広い範囲で運用される、運用すべき艦であるという点がピックアップできる。故に、戦闘の中核として運用されていると説明が可能。

 これは、日本や日本の傾向を引き継いだ装甲巡洋艦。あるいは大火力の先鞭をつけたアメリカや続いた日本、イタリアの重巡洋艦に比定出来る。

 これらに共通する点は準主力艦=準戦艦という事。割合に大量建造できるという点も、中型戦闘艦を装甲巡洋艦重巡洋艦に比定出来る要因になるだろう。

 

 大型戦闘艦と比べれば圧倒的に火力が高く、決戦兵器を除けば駆逐艦より強力。砲の射程がボラー戦艦と同等程度に長い為有用性は高い。戦隊旗艦としての任務は十分果たせるだろう。別の戦闘艦の援護も十分できる。これらの統率・嚮導的任務の他に、そのバランスの取れた火力を以て多数の同艦と共に砲戦艦隊を編成すれば、戦艦による砲戦艦隊と同等の火力・信頼度を置けるのではないだろうか。

 他に頼れる艦がない為、ほぼ確実にこの中型戦闘艦がガルマン・ガミラスの中核的戦闘艦となるだろう。


 一方で、局所的には大活躍を期待できるデスラー砲艦や大型戦闘艦に比べて特化した能力がない――つまり何でも出来過ぎて、反対にどの場面で活躍できるのかが不明瞭。差別化がしづらい。絶対に使えない場面が限定できず、同時に絶対に投入したい場面も限定できない。これは運用の最適解がないという事だ。先に述べたように、避けるべき場面しか判明していないのはちょっと運用するのに面倒。

 この中型戦闘艦はガルマン・ガミラス艦の中では極めて優秀。ただし、汎用ゆえに馬鹿でも簡単に使えるが、最大の能力を引き出すには運用者の頭が試される艦。と表現できるだろう。

 


 立ち位置としては、デストロイヤー艦の後継となる戦闘艦。これが最もおさまりのいい説明になるだろう。過不足なく何でもこなせる戦闘艦

 デストロイヤー艦も他の戦闘艦に比べれば大火力かつ重装甲であり、圧倒的多数で敵を圧倒する電撃戦を担っていた。この艦の後継として、中型戦闘艦は十分な能力を有していると言えるだろう。

 戦艦に近い火力と射程、中々沈まない防護力。大量建造されていることから推測するに、割と量産しやすい構造や価格、様々な場面で使える汎用性

 まさに、デストロイヤー艦の再来。だから、別にブレているわけでは無いのだが――デストロイヤー艦と同じように、一見すると運用方針が意外とブレた感じになる。

 

 

 

 全長の調整
 これ、描写的には割と妥当な設定値なのである。元から250メートルと大型で、艦橋も割と大型で、内部は割と常識的な大きさ。更に、第23話や第24話などシーンで中型戦闘艦は大型戦闘艦の半分弱程度と描写されていた。

 つまるところ、どの設定でも概ね250メートル近辺に収まる。これは、ヤマト世界にしてはかなり珍しい、バチっとはまった設定値と言えるある。意味、ガミラス時代からの伝統
 ヤマトの再設定値とヴィジュアルを揃えるならば、550メートル程度を見込めば十分だろう。

 

 

 劇中の活躍
 ヤマトⅢ第1話から登場、複数隻が登場しダゴン率いる第18機甲師団艦隊を構成した。中でも一隻はダゴン将軍の旗艦として運用されていた。第2話以降も度々登場したが、第9話バーナード星第1惑星のガルマン・ガミラス軍前線基地の指揮に使われ、同基地壊滅の際に脱出に用いられた以降は旗艦としての登場はなかった。
 再登場は第22話の中盤、グスタフ中将率いる北部方面艦隊を構成する戦闘艦として3隻ほどが登場。続く第23話で旗艦や大型戦闘艦と共に10隻登場し、ハーキンス艦隊と猛烈な砲撃戦を繰り広げ、最後はヤマト死守するため体当たり突入して全滅した。

 ちなみに、北部方面艦隊の中型戦闘艦は艦底部の黄色い突起描写が度々省かれている。アニメーターさんが駆逐艦のつもりで描いたのかもしれないが不明。

 第24話では、デスラー親衛艦隊を構成する戦闘艦としてシャルバート上空に展開するも、ボラー連邦の奇襲に遭い大損害を負った。
 再々登場はラストエピソードたる第25話。新型デスラー艦に率いられ堂々太陽圏に突入。デスラー砲艦と共に約100隻からなる親衛艦隊を構成しボラー連邦艦隊を撃滅した。だが、機動要塞の反撃を喰らい、ブラックホール砲によってほとんど全滅した。