旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ガルマン・ガミラス兵器群 グスタフ艦――北部方面艦隊旗艦――

 

 

 グスタフ艦は北部方面艦隊の旗艦にして、ある意味ヤマトの恩人であるグスタフ中将の旗艦である。極めて特異、突飛な武装を持った勇者の艦だ。

 

 

 ――データ――

 艦名等:不明
 全長:不明(推定約640メートル)
 兵装:艦底部惑星破壊プロトンミサイル1発、正面ミサイル発射管1門、艦首三連装長砲身砲塔1基、艦首回転速射砲塔2基、舷側推進ブロック前面三連装ミサイル発射管片舷1基 

 

 中型戦闘艦と同様の艦体であるが、下半分が抉られ惑星破壊ミサイルが格納されている。若干怖いのが、タイプA戦艦2隻分のミサイル先端が飛び出している点。抉られている代わりに小さいフィンが艦首側左右にそれぞれ1本ずつ設置。艦央部が一段盛り上がり、その直後に大きなフィンが垂直に伸びる。艦尾には左右にエンジンブロックが据え付けられ、これの前面はインテークと縦に穴が3つ並ぶ。

 エンジン形式は台形で内部にちょっとした盛り上がりがある――大型戦闘艦のそれと同様。更に中央艦体にもノズルコーンらしき黄色い突起があり、その左右にもオレンジ色のノズルコーン風小型突起がある。


 恐らく、艦橋は艦体にほぼ埋め込まれている。台形の――艦橋基部にしか見えない艦橋があるが、位置と大きさからして多分基部ではなくれっきとした艦橋。

 内部は、艦橋前方、5人のオペレーターが横並びで作業に当たる。その後方に艦長(司令官)席が一段高く設けられている。窓は意外と巨大な一枚のブーメラン型の成型で、通信用モニターが扁平な6角形で天井からつるされる。窓とオペレーターの前に巨大なレーダー画面があり、常時光る。更にオペレーターと司令官席の間にも羅針儀かレーダー画面か何かがある。グスタフ中将はこちらの方を見て、「凄い数だ」と驚いていた模様。

 ちなみに海外ではTorpedo Ship〈Magnus〉と呼ばれている模様。



 武装

 非常に癖の強い兵装傾向を有する。艦首のミサイル発射管と3連の長砲身砲1基が対艦戦闘の基本兵装となる。ただ、あまりにも数が少ない為、長距離戦闘はあまり得意ではない――というか、大して役に立たない。仮にエンジンブロックの開口部がミサイル発射管だとしても、ミサイルをあまり使わないガルマン・ガミラスの戦闘スタイルからして、あんまり、遠距離戦闘では信頼性のおけない艦艇になっている

 一方で中距離戦闘であれば、回転砲塔2基が戦闘に加われるため、中型戦闘艦と同様の戦闘能力を担保できるようになる。砲門数は7門で、決して少なくない。ガルマン・ガミラスにとって標準的な戦闘艦である中型戦闘艦と同等という事は、たとえ単艦でも大型戦闘艦よりは柔軟かつ強力な攻撃が行えるという事だ。

 

 しかし、どう頑張っても普通の戦闘艦程度の能力しかない。旗艦という敵の攻撃が集中砲火を受けやすい立場の戦闘艦にしては、貧弱な傾向にあると言わざるを得ない。挙句に惑星破壊ミサイルを抱えているのだから、単艦でも遠方で敵を倒せる程度の武装は欲しいところなのだが……。

 まあ、旗艦ががっつり敵艦と戦わなければならない状況はあまり引き起こしたくない。仮に直面したとしても護衛艦が周囲に展開して当然であるため、その意味では必ずしも強力な戦闘能力を保有する必要はないから、大火力は必ずしも必要ではないし切り捨ててもいいのかもしれない。正直、護衛艦のいない空間では戦えないというのも何だか情けないが――個艦戦闘能力を上げるよりも、むしろ防護性能の方を高めるのが妥当だろう。

 実際、第23話で見たように僚艦が次々沈む中でハーキンス艦隊の猛火をくぐり、他の艦よりも比較的容易にハーキンス艦への体当たり突入を成功させた。故に、防護性能は非常に高いものといって問題はない。グスタフ艦の最大の特徴で美点はこの防護性能の高さかもしれない。

 

 

 さて、堂々たる威容、艦体が覆いかぶさるようにして保持する惑星破壊ミサイルだが……これは明らかにヤバい。しかも相手がコスモ生命体という特殊な存在とはいえ一発で巨大物体を葬った。これは紛れもない惑星破壊ミサイル。張りぼてではないし、ダウングレード版でもない。

 これはエグイほどの潜在的戦闘力であるが、リスクでもある

 なんたって、あんな危険なミサイル。仮に被弾すれば大惨事間違いなし。事故でも大惨事間違いなし。宇宙空間でうっかり爆発したならば、反応する相手がいないから大して大きなものではなく、うまくいけば誘爆を避けられ艦隊消滅はないかもしれない。だが、どうあがいても大事故である事には変わりはない。艦隊司令は100パー死ぬし。

 安全を取るならば、惑星破壊ミサイルを抱えたままでは寄港することすら避けるべきだろう。抱えたままでは正直、戦場にも向かってほしくない。

 

 

 このグスタフ艦は本当は絶対、最前線に出してはいけない戦闘艦である。グスタフ中将の性格や勇猛さから考えれば、彼にならば扱える戦闘艦かもしれないが――彼自身の能力を引き出せる戦闘艦では無かったかもしれない。

 

 

 

 全長の推測
 惑星破壊ミサイル(第1話の描写を前提として1.5キロ)が艦体から飛び出している部分が350メートル程。反対にミサイルより長い艦体部分が飛び出した部分(エンジンブロックの事)は飛び出し部分より幾らか長いとみられ、510メートル程と予想可能。

 つまるところ、2.03キロ程度が可能性としてある。


 ただ、大型戦闘艦との比較であれば1.5ないし2倍前後程度の為――850メートル程度か。途中ボラーの惑星破壊ミサイルやタイプBの大型ミサイルなど、近い破壊力のミサイルを鑑みるならば、この全長でも問題はない。

 

 結論、艦全長はよくわからない。

 描写から推測してベースとして850メートル。再設定値で2キロ。どの描写を重要視するかによって850メートル或いは2キロを2倍や2.5倍すれば、その描写ごとの妥当な数値が見いだせる。

 描写ごとの妥当性じゃ、全然確定値にならないが

 

 

 運用

 判り切ったことだが、旗艦としての運用である。最前線で艦隊を率いて敵艦隊に突入するのではなく、本陣とでも言うべき位置にあって戦闘の対局を見る艦。

 

 普通の戦闘艦としては中型戦闘艦と同程度の戦力にしかならず、艦隊の基幹戦力にはならないだろう。通常の戦闘に参加して戦況をひっくり返せるだけの大火力もない。護衛の大型戦闘艦が居なければ、近接戦闘でも若干不安。

 であるからして、戦術レベルで艦隊の前衛に位置する意味はない。故に大前提として、後方で戦闘指揮を行う事限定

 

 では、いつ前進するのかといえば、戦略的に必要となった場合であろう。つまり、この艦の前進は戦略的な意味を持つ

  通常の手段では敵に勝てない、或いは優先して破壊すべき目標が艦隊の前に現れた時、味方艦隊をかき分け敵の前面に躍り出る。そして、その惑星破壊ミサイルを以て目標を完全に破壊し、艦隊を勝利に導く。

 これがこの艦のベストな運用法だろう

 

 結果的には総統の無茶ぶりに近い命令を受けて出撃。

 グスタフ中将も軽い任務と特に疑いも懸念も持たずに赴いたのだろう――が、元来避けるべき敵巨大艦隊との戦闘を強要され、味方艦隊の明らかな弱勢も相まって、敵艦隊への体当たり突入以外に任務達成する方法はなかった。

 劇中に見られたこの艦の最も正しい使い方は、恐らくは惑星ファンタム破壊のシーンだろう。あれは確実にこの艦だからできる任務だった。百歩譲って、ハーキンス艦隊への体当たり突入。あれはこの艦の破壊力があってこそ、意味のある、実現できる戦闘だった。

 

 

 劇中の活躍
 第21話にてグスタフ中将率いる北部方面艦隊旗艦として登場。翌、第22話にて惑星ファンタムを粉砕、続く第23話にて惑星破壊ミサイルを再装填して登場。ヤマトに対しスカラゲック海峡星団域において臨検を試みた。

 しかし同話中、総統からヤマト死守の命令を受ける。運悪く時を同じくしてハーキンス率いる第8打撃艦隊がヤマトに接近し猛攻撃を加えた。総統の命令――ヤマトを死守するために両者の間に割って入り、その砲火を全て引き受けた北部方面艦隊。次々と沈む僚艦の中で、非常によく耐えたのだが……しかし、数の差を覆す事敵わず。

 最期はハーキンス艦に突入し、同艦を巻き添えにボラー連邦第8打撃艦隊を撃滅。勇猛なグスタフ中将とその旗艦に相応しい壮烈な最期だった。