旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ガミラス兵器群 駆逐艦/惑星破壊ミサイル母艦

 

 駆逐艦と惑星破壊ミサイル母艦はあまり画面に登場しなかった戦闘艦である。その真価は劇中では――発揮されなかったと言えるだろう。

 今回はこの2艦をまとめて考察したいと思う。

 

 

 駆逐艦

 データ
 全長:不明(約231メートル)
 武装:艦首高圧直撃砲1基、艦首回転速射砲塔2基、同艦尾1基、艦央部連装固定砲1基、艦橋指揮所側面長砲身砲2門、舷側格納・固定式連装エネルギー砲2基1セット多数、艦橋前部3連ミサイル発射管

 

 ガミラスグリーンよりも深い、モスグリーンな塗装だが、艦首の最先端がオレンジ色に塗られている。また、エンジンノズルも黒く塗られている。艦の前半部と後半部では形状が異なり、艦首側艦底部はガトランティスの大戦艦に近い。と、ここまでは中型艦と同様だが、中型艦にあった艦底の角のような黄色い突起はない。艦首の開口部もない。が、ベースとして、ヴィジュアルは中型艦と違いはほとんどない

 艦橋内部は中型戦闘艦に似ているが、中央の司令官席は一段高いところとは言え単なる椅子のみ。大分距離を挟んで前方、窓の前にオペレーター席が3つ程。目の前には埋め込み式の操作パネル群がある。階高は5メートルか6メートル程度だろう。どうでもいいが、艦橋その物に、艦長席とか指揮所のあるエリアに思いっきり角状アンテナのような(ずっとアンテナだと思っていた)長砲身砲が据えられているし使用シーンもある。ないよりはマシかもしれないが、ある意味で謎な構造。

 海外では意外な事に戦艦扱いらしく、〈Conqueror II Prototype〉というクラス名で呼ばれている模様。

 

 武装

 中型戦闘艦のダウングレード版、ガミラスナイズされたガトランティス駆逐艦、あるいはガミラスナイズされた主力戦艦というのが妥当だろう。妥当な表現が多すぎて、その癖かつてのガミラス艦の中には同様の戦闘艦を見出すことが難しい。

 

 艦首方向へは6門+艦橋砲2門が対艦兵装として、艦尾方向へは2門のみ。舷側方向へは6門。ただ、長距離攻撃に供せるのは恐らく固定の大型連装砲だけだろう――火力を担保するには常に艦首を敵に向ける必要が有る。そうはいっても、かつてのミサイル艦やクルーザー艦に比べれば射角と速射性が確保できるため圧倒的に使いやすい武装だし、長距離砲戦を念頭に置いていないなら、主兵装が事実上の両用砲である回転砲塔という兵装も妥当。

 長距離ないし中距離戦闘能力をオミットされている分、対艦戦闘において若干、中型戦闘艦への負担が大きくなる。だが、そのための決戦兵器的な高圧直撃砲だろう。中型戦闘艦が敵をさばいている間に、逆転の必殺技を繰り出すとかそんな感じの戦闘プロット。

 これが中型戦闘艦のダウングレードと表現する理由。申し訳程度に艦橋に長砲身砲を備えているが、固定砲台だから有効かどうかは微妙なライン

 

 高圧直撃砲がどんなものかは不明だが、これはどんな兵器にも決戦級兵器を載せたがるガミラス人らしい兵装だ。多分、通常の火砲と同じような砲だがその威力と効果範囲が数十倍に高められているのだろうと推測できる。

 無きゃ無いでいいし、高圧直撃砲よりミサイルあたりを積みこんだ方が艦の使い勝手が良くなる気もするが――積まないよりはか火力が増すから間違った選択とはいえない。

 

 正面に集中しているとはいえ、割に高い投射力は大型戦闘艦よりも濃密な武装で、この点ガトランティス駆逐艦っぽい。一方で必殺であろう高圧直撃砲を擁する点は決戦兵器好きなガミラスらしい武装。つまるところ両者の特徴を併せ持った戦闘艦――と表現可能だろう。

 他方、長距離砲戦能力は疑問だが、武装の傾向は地球の主力戦艦に近い。万能艦ではなく、割に特化した能力を有し、最悪の状況をひっくり返す必殺兵器を擁するそこそこ多数を用意可能な戦闘艦――とも表現可能だろう。

 結論的には、ガミラスが今まで遭遇した勢力の中で優秀と判断した戦闘艦をガミラスナイズした戦闘艦。だから意外と前身に比定出来る戦闘艦がない。

 

 

 全長の調整
 調整の必要性は低い。艦橋内も特に巨大という印象は受けないし、艦の全長がそもそも200メートル越えと大型である為に原作設定値のままでも十分整合性が取れる。

 仮にヤマトの再設定値に合わせるならば、500メートル弱が丁度いい値になるだろう。

 

 運用・立ち位置

 当然、駆逐艦雷撃能力がないという点はかなり疑問な点だが、駆逐艦は防空任務も担う。その意味では、回転砲塔の速射性からして十分防空任務に供せる駆逐艦は多数の艦艇が集まってこそ能力を発揮する、その意味でもこの艦は当然多数の戦闘艦を集めてこそ力を発揮するため、駆逐艦らしいと言える。

 

 開発の方向性としては先に述べたように、ガミラスにはこれまで存在しなかった純然たる駆逐艦。今までガミラスの戦闘艦は方向性がブレて、デストロイヤー艦が戦艦か重巡洋艦みたいなことになっていたし、クルーザーは何がしたかったかわからなかった。ミサイル艦は武装が癖が強すぎて汎用性が低かった。戦艦は重雷装。

 これらのマズイ傾向を一新し、正統派駆逐艦として相応しい能力を持たせた艦を建造する――というコンセプトの元に設計・建造された艦だとすれば、この駆逐艦の兵装は極めて合理的といえる。別に製作陣はそんな事考えていなかっただろうが、説明としては一番スッキリだろう。

 純然たる駆逐艦と表現して構わないだろうガトランティス駆逐艦をベースに、主力戦艦に準じた決戦兵器と武装の削減を重ね合わせた結果がこの駆逐艦。わざわざゼロから艦艇を設計する必要などないし、まして性能要求がこれまで出会った戦闘艦の中に求められるならば、これに求めても問題はないだろう。むしろ自然ではないだろうか。

 

 劇中の活躍
 ヤマトⅢ第1話から登場、複数隻が登場し第18機甲師団を構成した。第7話バーナード星第一惑星でのシーンに至るまで度々登場したものの、続く第9話の中で……多分波動砲によって基地ごと消滅させられた。が、描写はなし。
 第22話でも登場した可能性があるが、画面上は不明瞭で中型戦闘艦との差が艦首のみで判別が出来ない。多分、第22話では登場していないという事になるだろう。

 その場合、第7話が最後の登場シーン

 

 ガルマン・ガミラスにとって全く新しい戦闘艦それがこの駆逐艦。そう結論づけられるだろう

 

 

 

 

 惑星破壊ミサイル母艦(惑星破壊超大型ミサイル母艦)
 全長:336メートル(ミサイル装着時648メートル)
 兵装:惑星破壊プロトンミサイル1発、艦首無砲身三連装砲塔2基、艦橋指揮所側面長砲身砲2門(駆逐艦と同タイプ)

 

 猛烈にダウンスケールした中型戦闘艦が本体で、その下部に支柱があり、これで惑星破壊ミサイルを懸架している。本体は全体的に黒く塗られ、艦首最先端がオレンジ、あのくぼみから突き出した角が青黒く塗られている――と思いきや、黒い艦体の物は初登場時の一隻のみで他は普通にガミラスグリーンで一通り中型戦闘艦のダウンスケール。ただ、武装の傾向は駆逐艦のダウンスケールに近い

 ある意味の亜種であるグスタフ艦というものも存在するが、ミサイル母艦はあまり印象の大きい戦闘艦とは言い難いだろう。

 海外ではMissile Ship〈Devistator〉と呼ばれているらしい。

 

 武装

 戦闘艦としては、落第。よりによって無砲身砲らしいのだ。これは致命的でどうしようもない。

 無砲身砲は何度も述べたように、仰俯角がうまく取れない。速射性も特に高くない。これでは自衛火器として――回転砲塔という極めて強力で優秀な武器があるのになぜ使わないのか。しかも自衛火器の数があまりに少ない。

 申し訳程度についている――と思われる艦橋の長砲身砲は固定であるから、これ威力はきっと高いのだろうが砲としてもう、どうにもならん

 

 ぶら下げているのが、惑星破壊ミサイルなのに、この脆弱さはヤバいだろう。仮に惑星破壊ミサイルを使った後は、ただの的。さっさと退避する他なく、戦闘に寄与は出来ないはず。つまり……戦闘艦としてはこの艦は全く期待できないだろう

 ただ、武装輸送艦としてならば、巨大な輸送力と多少の自衛能力を有するため、そんなにマズイ設計でもない。問題は投入場面。

 

 他方、ミサイル自体の威力は劇中で見たように、非常に強力で、ガトランティスの破滅ミサイルの6倍ぐらいはあるだろう。

 全長が2倍どころではないから、ある意味当然だが

 

 

 

 全長の妥当性
 少なくとも惑星破壊ミサイルの全長がおかしい。


 この空飛ぶ砲身みたいな特殊なこの惑星破壊ミサイルは、第1話で見たように、バース星守備艦隊のタイプAを次々と踏みつぶしていった。その際の比率から言ってタイプAの9倍はあろうかという本当に超巨大なミサイルである。この時点で1530メートルと頭がおかしいレベル。仮に大型戦闘艦とタイプAが同等の全長であった場合は4キロ程度のバカみたいに巨大なミサイルという事になってしまう。

 どの描写や数値を採用すべきか迷うが、少なくとも、描写からしてミサイルが600メートルであるというのはあまり妥当性がない


 母艦の方はどの程度かといえば、こちらも巨大。タイプAの3倍強は全長として見込む。つまり、520メートル程。ただ、母艦と中型戦闘艦との比較においては原作設定値である300メートル強は妥当な値。
 母艦の艦央部より多少後方から延びたアームがミサイルの前1/3程度の位置を掴んでいるため、ミサイル搭載状態の全体としては1.7キロが妥当だろう。仮にヤマトの再設定値を前提とすると…4キロ近い全長に及ぶ。巨大すぎる……。

 

 

 立ち位置・運用

 決戦兵器運搬艦。それ以上の物でもなければ、それ以下の物でもない。

 

 ガルマン・ガミラスや艦隊にとっての障壁であるとか、危険な存在を粉砕するための戦闘艦である。正確には武装運搬艦。どう考えても戦術レベルで使うのは不適切で、戦略レベルで使うのが妥当だ。戦術レベルでは囮以外に使いようがない。

 性質とか関係なしに劇中の描写からして多分、そんな簡単には惑星破壊ミサイルは使えないだろう。あのグスタフ中将ですら、大抵の武装が即座に装填されるヤマト世界なのにもかかわらず、第22話中での再装填は叶わなかった。妥当なのは、総統の命令とか戦略として使うのが普通だろう。つまるところ、戦略的戦闘艦

 

 無論、惑星破壊ミサイルに対する価値観が、例えばダゴンのようなタイプの指揮官であれば戦術レベルで使うだろう。ただ、艦隊に自由にこの艦艇が配備されるのでないならば、元来は戦術レベルで使うべきではない。

 グスタフ中将が惑星破壊ミサイルを戦術レベルで使ったのは他ならぬ「他に手段がなかったから」という事。ヒステン・バーガーならば、苦し紛れに乱発した可能性はある。だってあの人あのままだと死刑だったもの。

 つまり、二人ともほかに手段がなかったから。そう言う場面でなければ戦術レベルでは使うべきではない。艦隊にとっては奥の手だろう。

 


 劇中の活躍
 ヤマトⅢ第1話に登場、3隻ないし4隻が登場し僚艦と共に第18機甲師団を構成した。以降、出番はない。亜種ともいえるグスタフ艦ならば第21話から第23話にかけて登場している。
 惑星破壊ミサイルだけでいえば第18話の太陽制御の際と第22話のファンタム破壊で発射された。また、第23話でもハーキンス艦に突入する際に確実に爆発した。

 なお第4話で登場した惑星破壊ミサイルは色からしてボラー連邦(全長はヤマトの1.5から2倍程、ガトランティスの小型ミサイルに類似したキノコ的形状)の物なので除外。