旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ストーリー考察Ⅰ 地球連邦政府の隠蔽と不可解人事

 

 

 

 天の川銀河局部銀河群に属する直径10万光年、厚さ1000光年を誇る棒渦巻銀河である。地球の属する太陽系はオリオン腕の辺境域に位置し、よって地球から見える夜空はこの天の川銀河の美しい側面図である。

 我らが母星・地球。太陽系は持ちろん、地球は天の川銀河全体のハビタブルゾーンに属しているという事も考えられ、地球の位置取りは天の川銀河の奇跡ともいえるかもしれない。

 

 

 

 太陽観光船の遭難事故

 ヤマトⅢの第一話において太陽観光船の遭難事故が起きた。

 悲しいかな、この事故自体は仕方がない。海の上でも陸の上でもこの手合いの衝突事故はままある。コリジョンコース現象。誰でも被害者になり得るし、誰でも加害者になり得る。だから、かもしれない運転が大切なのである。

 それに、惑星破壊プロトンミサイルが流れ弾になって太陽めがけて飛んでくるなんて普通は思わない

 一連の事が組み合わさった結果、回避に失敗してしまった。これは避けられない事故だったと言わざるを得ない。事故そのものはあまりに不運、責められるべき第一の人間はダゴンその人だ。

 

 ただ、忘れてはいけない当事者の存在がある地球防衛軍

 太陽というエネルギー供給源に対して全く無防備というのは情けない。太陽から得られるエネルギーは太陽系の維持には欠かせない、文字通り生命線であることはガトランティス戦役で経験済みのはずにもかかわらず、太陽系圏内であるのに、防衛上の巨大空白があるとは何事か

 惑星を基準とした防衛ラインの構築であった為、警戒網に穴が出来るのはあらかじめ分かっていた事であるはず。アステロイドベルトであれば太陽系をほぼ小惑星帯である為、ほぼ確実に防げたはずだが――なぜに打ち漏らしたのか。もしアステロイドベルト基地で不十分ならば、要塞なりをおいて戦力の空白を埋めるように努めなければならないだろう。にもかかわらず、防衛軍は何もせず、その重要性を上申している節もない。自宅でボヤが出ているのに、全く関知していない。連邦政府もアルファケンタウリへの未練が捨てきれずにいる

 こいつら、救いようがないぞ……。

 

 それよりなにより隠蔽はまずいでしょう、隠蔽は事故の背景は全く隠され、連邦政府にも知らされず、防衛司令部内にその情報は止めおかれたのである

 シビリアンコントロールというか、軍に対する政治のコントロールが全く効いていない。これ、結構致命的である。

 

 軍と政府の関係性のまずさもあるが、根本として惑星破壊ミサイルの飛来をひた隠しにした防衛司令部――これは最悪の対応だ

 無論、前段階として、連邦政府と連邦大学の間のやり取りやサイモン教授と黒田博士のやり取りなど、地球を守ることが使命である地球防衛軍的に政府が信用できなくなったもの無理はない。こういう時、普通の軍なら反乱を起こす。タイ軍やかつてのトルコ軍やエジプト軍はこんな感じでよくクーデターを起こす。実際的に国民を守っているのは政治家ではなく軍人だしね。

 それをしなかっただけでも藤堂長官、結構冷静というか穏便な対応。うっかり内々に処理する点や、黙ってもおかみに従うなど、ある意味、日本的ともいえる。

 なのであるが――それはそれとして、ミサイル飛来をひた隠しにしたのはマズイ。太陽観光船の遭難事故にも関係しているのではないかと独自予想を立てているというのに、それをどこにも知らせていない模様。実際問題的にアステロイドベルト域まで惑星破壊ミサイルが到達しているのだから……政治が考えなしに首突っ込んでいい事案ではないが、防衛司令部の一部だけで情報を独占するのはいかがなものか

 ヤマト2の時も重大情報を連邦政府や防衛司令部はしれっと、ストという事で適当にごまかした過去があるが、あれと同じ。体質が変わっていない……。まあ、現実の世界でも漢級の領海侵犯や〈広開土王〉によるレーダー照射事件での日本側の動きなど、無い話ではないようではあるが……。

 

 つかさ、惑星破壊ミサイルの射程どんだけなげぇんだよ。

 

 

 

 土門・揚羽の不可解人事

 話題は打って変わってヤマトクルーの人事。揚羽はまあ、アイツは戦闘機乗りとしての才能があったから別にいいのだが、土門は別だ。バリバリに戦闘訓練を積み、しかも最新鋭の訓練を施され、成績も十分な精鋭を何故に炊事係か。炊事係がどうでもいいとかいう話ではない、高度な訓練を受けて優秀な成績を収めた訓練生を、なぜにわざわざ専門外の炊事係にするのかという合理性の話。それも、動機は古代の個人的なモノというのがどうも話の展開からして推測される。

  確かに、人事評価は艦長が口を出して当然だろう。まして土門を立派な宇宙戦士に育ててやろうという兄貴的な――育てようというその意思は素晴らしい。素晴らしいさ。でもね、卒業時の評価を前提として人事の采配を振るうのが当たり前の場面で、全く個人的な感情で配属先を決めるのはまずいって。そう言う事はやってはいけませんって、判るだろうに。

 もはやガミラス戦役、ガトランティス戦役、ウラリア戦役と歴戦の勇士様には常識は通じないのだろうか……

 

 

 異星国家間の大決戦から始まり、重大事故の発生。目くるめくオープニングから始まる設定をガラガラポンした挙句に、妙にリアリティのある隠蔽と、ご都合主義人事。

 ヤマトっぽさが悪い意味で絶妙に感じられるストーリー……という表現しかないだろう。もうちょい、何とかならんかったのか

 そりゃ、お前が修正しろなんて言われたら――降参する他ない。だって、この辺りは根本からしてストーリーの大工事をしなけれなならないから。しかも、変更したらストーリーの根幹を脅かしかねない、結構難しいところであることも間違いないから。

 正直、やって出来ない事はないと思うけど。