旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ストーリー考察Ⅹ 巡礼船との遭遇

 

 

 太陽制御失敗を目撃した古代ら。そのお詫びにと、総統はヤマトにガルマン・ガミラスの周辺域にあった惑星ファンタムの情報を渡す。

 惑星ファンタム、未知の惑星へとヤマトは旅立った――第18話ラストの話である。

 

 そこから話は飛んで翌第19話――冒頭のヤマト艦内のシーンは……航路計算がおかしい時点で何か気が付けって話だよねそれは別として、宇宙移民本部のシーンはひどかった。現実感があり過ぎて恐ろしいほどのリアリティ(超☆皮☆肉)。何じゃあの会議は。

 

 

 吊し上げ会議

 居並ぶ面々は恐らく政治家だろう。こいつらは計画の進行がうまくいかない事を全て藤堂本部長に責任をおっかぶせようと躍起になっていた。つまり、太陽が制御できなかった、今現在地球に物凄い被害が出ていると長官に詰め寄って――って、大して役にも立ってないくせに、威張って言うなや貴様らつーか、何で本題に入る前にマウント取ろうとしとんねんしかも、一回目の太陽制御失敗は黒田博士がしくじった。二回目の太陽制御失敗は恐らく、フラウスキー少佐が計画を立てた段階よりも燃焼異常増進が進んでしまっていた事が原因で不可抗力。要は、長官にはおおむね責任がないと言える。

 もっと言えば、黒田博士のあんな分かりやすく失敗しそうな計画を大統領にレクチャーしている、エネルギー省の見識が大いに怪しい。こちらの方を先に追求すべきだろう。彼が問題を認識しておきながら政治的理由で隠した事も事態を悪化させた原因だし。むしろ、長官はその危険性を認識して手を打っていたのだから賞賛はしなくとも、吊し上げにあう筋合いはなかろう。

 

 そもそも論として自然相手の不確定要素が非常に大きい事案は、計画がたとえ手ぬるかったとしても、余程の過失がない限りは概ね不問。過失がないのにもかかわらず不問に付さない場合は、多くが政治的なスケープゴート

 例えば、イタリアのラクイラ地震最高裁で無罪(「安全です、家にいて下さい」とミスリードした上に、インタビューの内容がレベルが低かったベルナルディニス副長官は猶予付きの禁固刑)だったし、東電の旧経営陣も結局あのクラスの津波は~と無罪、あまりに愚かで図々しい経営陣だったが、確かに3.11クラスの津波が運転中に襲ってくるか、その確率を考えれば――悔しいが堤防の高さについて経営判断を優先させてしまうのもわからんでもない。マクロ的視点が欠如していることに間違いはないが。

 まして藤堂長官はやれるだけの事をやったのだが……批判だけとは、ずいぶんと簡単なお仕事ですね

 

 さらに言えば、人類が居住可能な惑星の発見が困難を極めるなんて、はじめっからわかっていたはずだ

 なぜマゼラン雲からガミラス帝国がわざわざ地球へ移住をしてきたのか。なぜ暗黒星団帝国がボディを求めて地球まで遠征してきたのか。人類や同様の生態を持った生物が生命をはぐくむのに適した位置取り=ハビタブルゾーンにある惑星がない、あっても大きさが不適切でどうにもならない。だから地球のほかに選択肢がなかった。

 リアル(現実という意味)でも、恐怖の大魔王説もマヤの滅亡説も全て乗り越えてしまい、この2020年に至っても宇宙人が到来しない事実や、第2の地球候補が浮かんでは消えを繰り返す事実を考え合わせれば、明らかに移住先の惑星を火星以外に見つけることなど極めて困難という事は明白。そして劇中では結局火星も太陽に呑み込まれることが確実だった故、移住する意味がない。

 幾らヤマト世界では光速を突破できる移動手段があるとしても、発見に物凄く時間がかかるのは仕方がない事。発見できなかったとしても不思議はない、発見できてもすでに別の存在が住んでいても不思議はない。都合よく移住先の星が見つかるはずなど、元より無かったのだ。

 

 

 無論探査の方法については問題があるかもしれない。というか、多分重大な欠陥がある。故に攻めるならばこちらを攻めるべき。

 

 放映当時は知られていなかった事かもしれないが、どうやら銀河にもハビタブルゾーンがあるらしいという説がある。つまり、宇宙における位置は、組成が類似した惑星や構成が類似した星系であれば、銀河における位置によってその年齢が大体推測できるらしいのだ。

 宇宙の中心から遠い位置にあれば早くに形成され、早くに宇宙の膨張に伴い遠方へと移動していった星や星系。中心から近い位置にある星や星系は遅くに形成されているため、中心から十分な距離が取れていない――という事である。

 これがマクロ=全宇宙的にもミクロ=恒星系レベルでもいえることらしいのである。

 

 これが正しいとすれば、常識で考えれば、まず銀河系と同じぐらいの年齢の星系を見付けたい。プラスマイナス数億年程度の範囲内であれば、地球人にとっては多少暮らしずらいかもしれないが、生存は可能となる。つまるところ、結局は天の川銀河における銀河系と同じような位置にある星系以外に選択肢がないという事。それ以外は、よほどうまく条件が整わないの限りは、移住に適する星があるはずがないのである。

 つまるところ、こと座・ベガ方面は全くの無駄骨といっていいプロキオン方面とカシオペア方面もまた、見込みのある範囲は非常に狭い。イプシロン方面も見込みは薄い。という事は、探査ルートの設定が無茶更に、出動させる調査船団の数もあまりに少ないこれでは余計に新惑星探査がはかどらないのではないだろうかこんなに分かりやすい突っ込見どころがあるのに、なぜ見逃すのだあの会議の参加者たちは……。

 

 

 幸い(というか当然ながら)ヤマトⅢは架空の話で、現実ではない。だから、ある意味安心して見れるのだが――もし、現実にこのような根本がずれた指摘や見識で、挙句自分を曲げない上に棚に上げるタイプの人物が集まったならば、それは建設的な議論は望めない。そして、それは地獄

 最近見た気がしないでもないが……

 

 

 というのはこのエピソードの中心ではない――エピソードの中心はシャルバート教巡礼者との出会いだ。そして、腐れ縁的なハーキンス中将との第一戦である

 

 シャルバート教巡礼船

 シャルバート教巡礼者との遭遇は全くの偶然だった。信者の子供がいたずらで発進したSOSをヤマトがキャッチし、急行したために起きた事である。

 

 巡礼船は25年にわたる長期航洋とボラー連邦やガルマン・ガミラスの攻撃にさらされてボロボロになり、ついに小惑星のくぼみに不時着。以降、長期にわたってそこに足止めとなってしまった。

 SOS信号を出そうにも、天の川銀河は大抵がボラー陣営かガルマン・ガミラス陣営に属しており、シャルバート教信者に居場所はない。まずありえないだろうが、仮に同胞が救助してくれる見込みがあったとしても、SOS信号を先にボラーやガルマン・ガミラスが受け取ってしまえば攻撃にさらされること必至。だからSOS信号を打てなかった――のであるが、子供がいたずらしてたまたま発信。それをヤマトがたまたま受信したのだった。

 うん、ちょっと偶然が過ぎる全くない話では無いのだろうが、別に不自然かどうかは微妙なラインだが、「随分うまく収まったね」という表現になってしまう。

 このような展開をご都合主義というんですよね。

 

 さて、この巡礼船のリーダーである長老は、古代と通信を結ぶと救援に感謝しつつ、とつとつと、自分たちの苦境や目指す先を語る。ガルマン・ガミラス帝国とボラー連邦の熾烈な戦い、迫害に次ぐ迫害を受けて来た歴史。苦難のにじむ話であるのだが――25年にわたる戦乱って、一体彼らはどの勢力による迫害から逃れて来たのか。ガルマン・ガミラス帝国ってそんな昔からあったっけ? 

 時間軸の錯綜が激しい

 まず、建国が昨年の事でそもそも天の川銀河突入が2202年以前はあり得ないデスラー総統が、ガルマン・ガミラスの出現が戦乱の起点である問い可能性は除外せざるを得ない。となると、ボラーと他の劇中に登場しなかった――設定案にあったと言われるゴーマン大統領率いるゼニー合衆国に原因を求められるかもしれないが、よくわからん。が、少なくとも長老の語ったボラー連邦とガルマン・ガミラス帝国の争いが彼らの行動の原因ではない。総統がタイムマシンを持っているのなら別だが。

 長老の話がホラではないとすれば、シャルバート帝国消滅後の速い段階で迫害対象として天の川銀河に拠する多数の勢力から危険視されたのだろう。シャルバート帝国の強さを知っている勢力であればあるほど、その傾向は強まっただろう。また、結構面倒な教義がある故、他の宗教と食い合わせが悪い為に迫害を他の国民が受け入れやすい。

 これは地球でも古代史からある話で、現在進行形でも宗教が理由で迫害される集団などごまんといる。そんな集団が巡礼の旅に出るのはよくある話。これは集団規模の大小や教義の排他的で有る無し、犯罪性の有無は全く関係ない。

 で、この苦難の歴史を現在進行形で生じている銀河系大戦とうっかり混同してしまった。というのが説明として最も妥当だろう記憶が入り混じって、実際には存在しなかった話を創作してしまう事はよくある似たような話をうっかり取り違えたりもよくある。酷い場合は、数カ月単位で前言と矛盾することを言ってしまう事もあるだろう。特に、感情が入り込んだ言葉は容易に混同を引き起こす。だって冷静じゃないから

 嘘とか騙しではないが、しかし実際には事実と異なる事を話してしまう――誰にでも一度はある事だろう

 

 まあ、迫害がなくとも戦乱があったのは間違いないだろう。ボラー連邦とガルマン・ガミラス帝国以外にも、現時点でバース星などの戦闘艦隊を運用可能な勢力が残存していたのだから、昔はもっと強勢だったに違いない。そんな彼らが殴り合い掴み合っていたという歴史が簡単に想像できる。天の川銀河って、結構アブナイ空間なのかも……シャルバート星が身を隠すのも無理はない。

 

 

 一番の疑問は、彼らの境遇に猛烈にシンパシーを抱く古代君正確に表現すれば、ヤマトⅢという作品の方向性の外観を表現する演出。この演出の妥当性に疑問が生じる

 

 安住の地を求めて、という点以外はヤマトとの共通項がほとんどないシャルバート教巡礼者。しかも、貧すれば鈍するというべきか、小惑星に降りて巡礼船に最初に乗り込んだ土門や揚羽に襲い掛かった……徹底した平和主義といえるほどの行動ではない彼らに、どうしてシンパシーを抱いたのか。これだと上から目線の憐れみに近い感情を表現せざるを得ない。

 また……巡礼船の信者を全面的に非難するわけでは無いが、長老から一言詫びがあっても良かったはず。感謝の言葉でこれに替えたのかもしれないが。

 

 若干、今までの考察というか論調から外れてしまうように思われるかもしれないが――ヤマトは明確な敵対関係にある相手以外には第一撃を加えないように、未確認や無関係の相手に攻撃を嬉々として加えた事はなかったと言えるだろう。

 ヤマトやヤマトクルーは好戦的・攻撃的性質はあるが、相手を見極めることを怠りはしなかっただから度々葛藤する。戦うべきなのかと

 ガトランティス戦役では、ガトランティスの特殊性ゆえに葛藤が見えずらかったし、ウラリア戦役では古代らに葛藤は無かった。その代わり、アルフォン少尉を通してウラリアの哀しさを見た雪が大いに葛藤していた。一応、ヤマトはヒューマンドラマの側面もあり全員が全員、毎回毎回軽々戦うわけでは無いのである

 

 しかし、バース星の騒動やガルマン・ガミラス本星での破壊工作といい、シャルバート教信者の一体どこに共感すべきところがあるのか……。シャルバート教信者をひいきして見極めたとしても、彼らが常に憐れまれる存在とは言えないだろう。

 確かにガルマン・ガミラスでは抑圧された存在であり、そこで起きた一連の破壊工作は抑圧者に対する反乱と言える。ボラー連邦とは違い、流刑ではなく処刑なのだから強い反発が起きても不思議はない。これは、ガルマン・ガミラスの方が悪い感が強い。だからと言って破壊工作で関係ない人を巻き込んでいいのかという問題もある。

 一方でボラー連邦は先に述べたように信者は割と流刑が多い。だからバース星のヤマトを巻き込んだ騒動生じたのである。しかも結果として、あまり関係のない他者を巻き込んで大惨事を招いた。

 思い出してほしいのはシャルバート教信者は本来平和を愛し平和を希求する存在だろう。だのにこの加害者傾向の強さは一体なんだと。傍観者も同罪というのであれば、まだ理解は出来るが一方でその方向へ考え方がシフトしていくとだんだんと選民思想になり平和思想とは必ずしも同じ着地点にならなくなってしまう。彼らの願いや言葉に平和の文字が溢れれば溢れるほど、彼らのを平和から遠ざけ加害傾向を強調してしまうのだ。物凄く残念だけど。

 

 宇宙に一般的に存在するシャルバート教信者は残念ながら――ただ単に現状の打開のみを望む、教義に忠実ではないタイプのシャルバート教信者。宇宙の愛とかを叫んでいたヤマトクルーが、彼らの何に共感してしまったのか

 彼らはさらば宇宙戦艦ヤマトで見た、普遍的かつ包容的宇宙の愛とは残念ながら一致しない存在としか言いようがない。これを悪と呼ぶかといえば、そこまでではないが……シャルバート教信者はかなり独善的な行動をしがちである。なのであるのだが、なぜだかヤマトクルーはシンパシーを抱いてしまった。無茶な感じが強いように思われるのだが……。

 

 まあ、長老はヤマトの護衛に感謝しているから、彼に関してはシャルバート教の教義に対して概ね誠実といえるだろう。ボラー連邦の兵士にも哀悼を捧げて欲しかったが、それがない分……長老には少々失望

 ただ確実に一ついえる事は――この巡礼船エピソードはヤマトⅢという作品には必要な演出だったかもしれないが、ストーリー展開上では無かったらなかったで構わなかった普通にハーキンスとの戦闘をたっぷり描いても、問題なかったはず

 例えば、基地建設に邪魔な原住生物を虐殺するハーキンス艦隊に鉄槌を下すヤマト、でも何の問題もなかっただろう。原点回帰的なヤマトⅢであれば、マンネリとか使いまわしなどではなくリスペクト・オマージュとして評価可能なのだから。

 個人的にはこっちの方が見たかった。

 

 

 

 ハーキンスとの初戦

 無事巡礼船の修理を終え、送り出したヤマト。しかしそこへ、ベムラーゼ首相の命を受けたハーキンス率いる第8親衛打撃艦隊が現れた。

 

 ハーキンス艦隊の出動理由は、ベムラーゼ首相が命じた予防的措置目的はヤマトの進軍阻止である

 ヤマトの目的地である惑星ファンタムは、困ったことにガルマン・ガミラスとボラーの勢力圏のはざまにあり、たどり着くにはどうしてもボラーの勢力圏に近づかなければならなかった。この脅威をベムラーゼ首相は大きくとらえた。故に、ヤマトの‟進軍”を阻止をすべく、隣接地域に展開しているハーキンスの第8親衛打撃艦隊に出動を命じたのである。

 

 高速艦艇を招集して編成されたハーキンス艦隊は2部隊に分かれ、巡礼船とヤマトを同時に仕留めようとミサイル攻撃を開始。これに対し古代はコスモタイガーで巡礼船を護衛、他方で自艦も波動爆雷弾幕を張り敵艦を射程圏に捉えると同時にショックカノンでこれを砲撃。

 ほどなくして、足の遅い巡礼船はハーキンス艦隊に捕捉されるが、これに対してコスモタイガー隊はミサイルサイロを中心に攻撃を加え見事に誘爆をさせ、艦隊を殲滅。更にヤマトも自慢のショックカノンで敵艦を全て撃ち沈めた。

 

 足の速い艦が他になかったのかもしれないし、結構昔から運用されている艦なのかもしれないが少なくとも劇中では初登場のデストロイヤー艦を集中投入するという――ハーキンス、あんた思い切った事するね。役立たんかったらどうするつもりだったんだい? よく言えば柔軟で明るい脳みその持ち主ともいえるが

 無論、ヤマトと戦うには少数で対峙するには距離をとることが大事だし、多数で対峙するなら火力が必要。デストロイヤー艦は艦砲がタイプAと同格レベルで、その上にミサイルを有しているから、遠近両用の武装を持った対ヤマトには持って来いの戦闘艦といえるだろう。また、ヤマト相手という前提条件を無視すれば、二手に分かれたのも無理はない。

 ――うん、これは戦闘考察でも述べる話だと思う。何が言いたいかと言えば、ハーキンスの行動・判断は合理的で妥当ではあるが、随分アグレッシブという事。保守的な自分からすれば、彼のような戦闘指揮は出来ないなと思った次第。

 

 そして、この一連の戦闘でヤマトはハーキンス艦隊を撃破。デストロイヤー艦は結局、役立たんかった。というか、ウィークポイントを見事にコスモタイガー隊に突かれてボコボコにされてしまう。ありゃ勝てんわ。ハーキンスは教訓を得られただろう。

 立ちはだかる敵を撃破したヤマトは探査を続行、一方で巡礼船も無事に大宇宙へとシャルバート星を求める遠大な旅へと赴いた。

 

 

 ストーリー展開上の意義としてはまず、初めて見る宇宙船を修理してしまうヤマト技術班の優秀さの描写。ヤマト技術班の能力の高さを推測・考察する上で役に立つと言えるだろう製作陣は思ってもみなかったかもしれないが、ファンはこういう所に目が行ってしまう。

 

 次いで、クルーと巡礼者の交流。この交流を通して、ヤマトの悲壮感や任務の困難さと、一方で完遂するという決意を強調したと言える。ただ、これは誰に感情移入するかによって、受け取り方が異なる可能性が高い

 もし、シャルバート教に同情的な視聴者であれば――シャルバート信者は一部の暴力的信者のせいで全体が弾圧されるいわれのない苦難を生きている。理想郷を求めて、聖地を求めてただ愚直に旅を続ける愛おしくさえある哀れで純粋な一団。という表現が出来るだろう。また、彼らに同情的なヤマトクルーの姿勢もまた、当然至極の事と見えるだろう。

 もしデスラー総統やベムラーゼ首相に感情移入している視聴者ならば――古代君の反応は非常に白々しいというか、意味不明というか。だってシャルバート教はテロリスト予備軍なのだもの。行政権者としては、容易にテロリストに転化するような集団を野放しにはできない。だから弾圧もある程度は、警察権の行使として妥当でさえある。

 このシャルバート教に対する否定的な見方をすれば――古代君は、ただ単に感受性が強すぎてシャルバート教に入信しかけの青年、にしか見えない。

 

 私は後者の受け取り方以外できない。総統支持だから。

 

 

 シャルバート教の教義がガバガバで、信者の行動があまりに残念過ぎて、あんまり効果的な演出にはなっていない。少なくとも、シャルバート教の平和を希求する存在としての表現が曖昧かつ相反しており――これ、狙ってやっているならば、人間の本質を抉るのであれば……非常に深い。恐ろしいほどに深いといえる狙ってない気がするけどね。  

 私なりに正直な表現をすれば、このエピソードはあまりにシャルバート教信者に同情的過ぎる意味不明なほどの贔屓

 意図的に悲壮感を演出しすぎて、他のシャルバート教信者の暴力的行動を一緒に見させられている視聴者にとっては……必ずしもシャルバート教は同情すべき対象ではない。なのにどんどん古代君は彼らに同情していくのだ。神の視点である視聴者からすれば、全く非合理的な展開だ。視聴者を没入させたいのならば不自然な点はすべて取り除くべき、それがこのエピソードは不完全。

 加えて、ストーリー展開上はあってもなくても構わないエピソードである為……ますます何で挿入したのかが不明瞭。ラスト近辺のシャルバート長老のご発言の薄っぺらさを考えると、あんまり深い話とも思えないし。

  結果、エピソード全体が消化不良になってしまったこれがヤマトⅢの限界なのかもしれない

 

 

 これ、私は嫌いなエピソード。最後に白状してしまった……。