旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

戦闘考察S バース星守備艦隊VS第18機甲師団艦隊

 

 ヤマトⅢの冒頭は全く地球が関係なかった。地球の預かり知らぬところで大規模な総力戦が繰り広げられていたのである。

 その中で天の川銀河の命運を左右する一戦――後に地球に関わることとなるバース星を巡った大決戦が発生していたのだ。 

 

 

 

 第一会戦(ペルセウス腕辺境域戦)
 ガルマン・ガミラス帝国側参加部隊:第18機甲師団艦隊
 戦力:中型戦闘艦多数、駆逐艦数十隻、惑星破壊ミサイル母艦4
 指揮官:ダゴン将軍


 バース星側参加部隊:バース星守備艦隊(主力) 
 戦力:複数個艦隊(総数20前後)

 戦力内訳:戦艦タイプA/タイプB多数、大型空母多数
 隷下部隊:前衛艦隊(大型空母旗艦)、後衛艦隊

 総指揮官:ラム艦長

 

 展開

 第1話冒頭――ペルセウス腕、バース星よりはるか前方にて激突した両艦隊。ダゴン艦隊は鶴翼の陣に近い散開体型で前進、他方でラム艦隊は偃月にちかい突撃隊形でこれを迎え撃った。

 戦闘はダゴン艦隊が口火を切って砲撃を開始、応じる形でラム艦長も砲撃を開始。猛烈な打撃戦となった。序盤はラム艦隊がダゴン艦隊を圧倒――戦況を一挙にひっくり返すためダゴンは惑星破壊ミサイル母艦を前進、直ちにミサイルを発射し小惑星ごとラム艦隊の主力を無理やり粉砕した。

 この際、一発が軌道をずれて宇宙を漂流していったのである……。

 

 描写の妥当性

 先頭序盤、鶴翼の陣で翼包囲を狙ったダゴンを正面投射力と速度・突進力でラム艦長が押し切った形である。実際、シリーズ通して一貫してどうもボラー艦の方が火力は高いらしく、バース星守備艦隊の数は明らかにダゴン艦隊と同等の隻数をそろえて来た――それを考えれば、ダゴン艦隊が劣勢になるのは仕方がない

 これを覆すための戦術として惑星破壊ミサイルをぶっ放したダゴンは、あの性格も鑑みれば選択として当然だろう

 

 惑星破壊ミサイルを止めようとするタイプAの姿は、まるでガンダムみたいな展開だったが、身を挺して押し留めようとしたのも、これは妥当。実際には押し出されたのかもしれないが……。

 惑星破壊ミサイルが全量反応を起こしてしまえばえげつない爆発力に巻き込まれて艦隊は消滅してしまう。後方の惑星まで到達しなければ、恐らく反応量は不十分なものになっただろう、そうなれば艦隊はかなりの部分で被害を免れる。それを狙ってタイプAが決死の体当たりを試みたが――敵わなかった

 ダゴンの発言と若干食い違うが、後方の惑星ごと、ではなく普通あのミサイルを発射するならば後方の惑星を狙うべき

 

 この戦闘に参加したバース星守備艦隊は、恐らく赤い大型空母を旗艦とする前衛艦隊と〈ラジェンドラ〉を旗艦とする主力艦隊惑星破壊ミサイルに対し決死の覚悟で立ちはだかった後衛艦隊の3個艦隊が見込まれる。

 前衛、および後衛は大損害を受けたとみて不思議はない

 

 一方でダゴン艦隊も意外と損害を受けていたと思われる。ダゴンの計算上、容認できる損害を超える打撃をラム艦隊が繰り出した結果、「意外にやるじゃないか」的に惑星破壊ミサイルを発射したのだろう。とダゴン艦隊の状況と、ダゴンの表情の描写から十分説明が出来る。

 

 

 意義

 バース星守備艦隊にとっては、ガルマン・ガミラス――正確にはダゴン艦隊と戦うには正攻法で戦っては敵わないという事が意義だろう。決戦兵器の威力が段違いなのだから。やはり、保護国のモンキーモデル艦隊の悲哀といったところか。ただし、副次的な効果として、ダゴン艦隊に惑星破壊ミサイルを使用させたことでバース星自体への攻撃を未然に防いだともいえる。

 ダゴン艦隊側は、手を抜いたり侮ったりすればせっかくの優勢が引っ繰り返されかねないという戒めになった。

 

 ガルマン・ガミラス損害:中型戦闘艦多数、駆逐艦多数 
 バース星側損害:戦艦タイプA/タイプB多数、大型空母多数
 

 

 

 

 第二会戦(バース星前面域戦)
 ガルマン・ガミラス帝国側参加部隊:第18機甲師団艦隊
 戦力:中型戦闘艦多数、駆逐艦数十隻
 指揮官:ダゴン将軍


 バース星側参加部隊:バース星守備艦隊(主力) 
 戦力:数個艦隊(約30前後)

 戦力内訳:戦艦タイプB多数(おそらくタイプAも含む)、大型空母多数
 隷下部隊:なし

 総指揮官:ラム艦長

 

 展開

 第2話中盤の出来事。ペルセウス腕周辺部で大損害を受けたバース星守備艦隊は一路本国へ帰還し、戦力を再編。一方でダゴン艦隊はこれに喰らい付く形でバース星前面域まで突入しこれを粉砕しに掛った。

 ダゴン艦隊は二手に分かれ、ラム艦隊はこれを無視して全力で前進し迎え撃つ。戦闘の経過の如何は不明だが、激戦が繰り広げられ大型空母の多数と戦艦の多数が撃滅されてしまう。

 しかし、ダゴン艦隊はバース星への直接砲撃を諦め、バース星周辺域を占領して孤立を狙う飛び石作戦を敢行。ラム艦隊は一定程度バース星守備の役割は果たしたのだった

 

 

 描写の妥当性

 恐らく、ラム艦長は練度が一段低下した艦隊を率いていただろう。その場合、艦隊運動はあまり多くを期待できない。練度が低ければ艦隊運動は単純な突撃しかなくなる可能性が高い一方でダゴン艦隊の第一波砲撃をかわす事が出来れば反航戦の性質上、振り切ることも不可能ではない。振り切れれば、ダゴン艦隊が追撃戦に移りバース星から引き離すことが出来る。そうすれば母星の安全を守りつつ、死力を尽くして戦う事ができる。

 他方、ダゴン艦隊の行動もこれ当然で、ボラー艦艇は一通り砲を旋回できない。出来てもタイプAの艦首ボラー砲1門のみ。射角も大してない故、ガルマン・ガミラス艦は圧倒的に有利。火砲の自由度を最大限に生かすため、ダゴン艦隊は左右に分かれて両舷から側面攻撃した。バース星も攻撃できるし、敵主砲も避けられて一石二鳥。しかる後に追撃戦に移行、敵艦隊後方に付いて執拗に艦尾へ攻撃を集中する艦隊運動を行えば一方的に撃破できる

 

 と、両者の行動を説明する事が可能。これは結構まともな描写というか戦闘展開といえるのではないだろうか。

 

 

 意義

 先に述べたように、ラム艦長からすれば、バース星をダゴン艦隊の直接砲撃から守った事が一番大きい

 

 他方、ダゴンも珍しく、まともな判断――自艦隊を最も有利な位置へと動かす差配は、間違いなくダゴンがもぎ取った勝利と言える。これは意義が大きい。

 それでも徹底抗戦してくるラム艦長。彼はたとえ中途半端な戦力であってもまとめきれる、バース星の盾であることがよくわかった。つまり、バース星を陥落させるにはまず、目指すはラジェンドラ号を撃ち沈める事。これがはっきりしたことも結構意義が大きい。

 

 ガルマン・ガミラス側損害:中型戦闘艦多数、駆逐艦多数 
 バース星側損害:戦艦タイプA/タイプB多数、大型空母多数

 

 

 

 

 第三会戦(アルファ星第4惑星前面域戦)
 ガルマン・ガミラス帝国側参加部隊:第18機甲師団艦隊
 戦力:中型戦闘艦多数、駆逐艦数十隻
 指揮官:ダゴン将軍


 バース星側参加部隊:バース星守備艦隊(主力) 
 戦力:数個艦隊(約30前後)

 戦力内訳:戦艦タイプB多数(おそらくタイプAも含む)、バルコム艦型戦闘空母
 隷下部隊:なし

 総指揮官:ラム艦長

 

 地球側参加部隊:アルファケンタウリ警備隊 
 戦力:戦闘衛星多数(レーザー砲衛星+ミサイル衛星)
 隷下部隊:なし

 指揮官:不明(最高司令官は藤堂防衛司令部長官)

 

 展開

 第3話中盤及び第5話冒頭――バース星を超えてアルファ星第4惑星へ攻撃を加えるダゴン艦隊。突然の攻撃を受けた地球連邦政府防衛司令部は直ちに周辺域の戦闘衛星を集結させて戦闘を支え、同時に出撃させた惑星パトロール艦隊・3個艦隊によってこの危機を乗り越えようと試みた。

 そこへラム艦長率いるバース星守備艦隊が到着。副官の退却という意見具申を退け、ラム艦長は直ちに砲撃を敢行、砲撃戦となった。ダゴン艦隊はこれに応じて攻撃対象を第4惑星からバース星守備艦隊へと変更、猛攻撃を加える。

 全力の攻勢を試みたラム艦長だったが、すでに艦隊の質からして劣勢な自軍ではダゴン艦隊に敵わず。最後まで攻撃しつつ、しかし直ちにワープで戦闘域を退避した。

 

 

 描写の妥当性

 敵に後ろを見せるのは卑怯だが、敵を後ろから攻撃するのはいいのか。という疑問があるとはいえ――まあ、レーダーがあるのに使わない方が悪いか撃たれて初めて気がつくって、ガルマン・ガミラスのレーダー要員は一体何をしていたのか

 

 ラム艦長からすれば反撃の絶好の機会であっただろう。実際、第一波攻撃は成功した。あの第一波砲撃で結構な数のガルマン・ガミラス艦を仕留めた。だが、ダゴンが本腰を入れて反撃をしてからでは分が悪く、早い段階でバース星守備艦隊は撤退に移った。

 ダゴンも、あのままアルファ星第4惑星を攻撃していたら正気を疑われるが、さすがに反転。幾ら射角が広くとれるガルマン・ガミラス艦でも、敵の主砲に比べれば後方に指向できる砲の威力は限られているのだ。直ぐに艦隊を反転させ腰を据えての迎撃を試みたのは至極当然。

 ダゴンもラム艦長も双方ともに、至極当然の艦隊指揮をしたといえるだろう。今回責められるべきはレーダー要員。

 

 忘れがちだが藤堂長官。彼も至極当然な指揮を行ったといえる。

 無理とわかっても一応戦闘衛星を集結させた。これはダゴンが本気じゃなかったおかげで結構持ちこたえていた。また、ダゴン艦隊の規模から3個艦隊を同時に派遣したのも当然。過剰というほどの反応ではない。3個艦隊で勝てたかという点については陣容が不明なため判断に苦しいが、アルファケンタウリ駐留がトロール艦である為拡散波動砲という最強の初見殺しな決戦兵器を搭載していると予想できるため、十分効果はあったはず

 

 結論、みんな結構普通の行動だった。 

 

 

 意義

 天の川銀河で大規模な戦争が起きており、地球も標的になり得るという事が判ったことが地球にとっての意義。即応体制があんまり即応体制になっていなかったことが失敗であり、これが判明したことは大きな意義を持つ――はず。

 バース星守備艦隊にとっては千載一遇のチャンスだったが、失敗。仕方がないといえば仕方がない。一方で明らかにダゴン艦隊が自分で第3勢力を戦争に引きずり込んでしまった――これは、バース星守備艦隊にとっては、うまくいけば味方が増える絶好の機会。立ち回りをうまくすれば起死回生が望める。

 ダゴン艦隊にとっては利用価値の高い惑星国家が周辺にあるという事が判明した事、バース星守備艦隊主力のほとんどを撃滅に成功し、バース星征服が容易になった事。唯一の失敗は肝心のラジェンドラ号を取り逃がした事だろう。

 これらがそれぞれにとっての意義及び失敗といえる。

 

 ガルマン・ガミラス側損害:中型戦闘艦多数、駆逐艦多数 
 バース星側損害:戦艦タイプA/タイプB多数、大型空母多数 
 地球側損害:戦闘衛星大多数

 

 

 

 そしてここから、本格的に地球が銀河系大戦に巻き込まれてい行くのである……。