旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

戦闘考察4+1/2 バース辺りの戦闘(ヤマトⅢ)――卑怯者め byグレムト・ゲール――

 

 バース星周辺では極めて卑怯卑劣な戦闘ばかりが繰り広げられた。

 といっても2つしか戦闘は起きていないが――中でもあのガルマン・スピッツ(本人談)の戦闘はまさにゲール君が2199で述べていた「卑怯者」の戦闘。オリジナルらしく、2199のあのギロロヴォルフ何とかさんより卑怯さが隔絶的に上。

 内容が気分悪い為、さっさと考察して終わろう。なお、個人的に大事な数字であるⅣは使いたくなかった為、数字の4による表記を行った。

 

 

 バース上空戦

 バース星側参加部隊:バース星守備艦隊
 戦力:戦艦タイプA/タイプB多数
 指揮官:不明 
 最高司令官:ボローズ総督

 

 ボラー連邦側参加部隊:第17空母艦隊
 戦力:旗艦級戦艦1、戦艦タイプA/タイプB多数
 最高司令官:ベムラーゼ首相 


 地球側参加部隊:ヤマト 
 戦力:戦艦1

 指揮官:古代進

 

 展開

 第12話の続き、第13話――ボローズ総督の言葉に引っかかりを感じたヤマトクルー。しかもバース星の収容所にぶち込まれていた囚人がヤマトに乗り込み、シャルバート星へ連れていけなどと騒ぎが発生。駆け付けたレバルスがこれを鎮圧して事なきを得たが、バース星やボラー連邦の裏側を彼らは見てしまった。

 更にバース星を保護国としたボラー連邦の最高権力者:ベムラーゼ首相がこの星を視察に来たため、表敬訪問を行った。その際、ボローズ総督との会話の中での引っかかりをぶつけてしまい、ベムラーゼ首相の逆鱗に触れてしまった。

 危うく捕縛されそうになったところを間一髪、総督府から脱出に成功。コスモハウンドでヤマトへ帰還する途中で行きがけの駄賃とレバルス警備隊長を射殺し、囚人を開放する。

 

 そこへヤマト撃破の為に地下基地から出撃したバース星守備艦隊。だが、ヤマトには敵わず、散々に打ち破られてしまう。この最悪な状況に激怒したベムラーゼ首相は、直ちに大型ミサイルの発射を命じた。

 さすがのヤマトも、これを止める事が出来ず。バース星は爆炎の中に消えていった。

 

 描写の妥当性

 ヤマトクルーの偽善者っぷりには閉口したが、仕方がないさ昔っから、ああいう人達だもんね

 

 戦闘の内容に関して言えば左右に回頭しながらバース星艦隊を砲撃したのはこれは意外と妥当な判断。ボラー製の戦闘艦は砲が基本的に旋回できないため、容易に射角から逃げることが可能。

 いくら追いすがろうとも、ガルマン・ガミラス艦艇に結局競り負けてしまった——しかも名将ラム艦長亡き今のバース星にヤマトを撃破できる力など、初めからなかったのだ。果敢にヤマト撃滅に向け襲い掛かっただけでも良しとするほかない

 

 ベムラーゼ首相に関しては、あの行動はまずいだろう。保護国なのだから、彼の所有地ではないのだから、我慢するべきだった

 一応幹部会にでも議題をかけてから星ごと粛清する――ベムラーゼ艦の中に相当な閣僚がいたと思われることから、容易だったはず。もしかしたら閣議決定とか首相令とかを緊急に出したのかもしれないが、大分急ぎ過ぎた判断だったと言わざるを得ないだろう。

 だって彼はこの行為によってガルマン・ガミラスを挟撃できる拠点を一つ失い、挙句ガルマン・ガミラスに傾きがちな第3勢力を思いっきり「少なくともボラーの敵」という立ち位置に押し込めてしまったのだから。

 結果、これが彼の命取りとなってしまった。

 

 意義

 ヤマトや地球にとっては、バース星にはいい人がいたかもしれないが、その宗主国であるボラー連邦は非道かつ地球とは相いれない文化の国であることがはっきりと分かった。これで十分だろう。

 バース星にとっては、いまさら遅いがボラー連邦の味方をするより素直にガルマン・ガミラスの軍門に下った方が良かったのかもしれない、というのがわかった。本当にいまさら遅かったが。

 一方でボラー連邦にとっての意義は地球が明確に敵であり、差し当たって脅しても逆に相手を奮い立たせてしまう――直接対決するより、最後まで距離を取って圧迫する方が対ヤマト戦術としては妥当だろう。という事が判明した。

 

 バース星側損害:バース星消滅
 ボラー連邦側損害:特になし
 地球側損害:なし 

 

 

 

 ヤマト捕獲戦

 ガルマン・ガミラス帝国側参加部隊:東部方面軍司令部、次元潜航艇隊
 戦力:機動要塞1、次元潜航艇10ないし11
 隊司令:フラーケン少佐(大佐に昇進の模様)

 最高司令官:ガイデル提督


 地球側参加部隊:ヤマト 
 戦力:戦艦1

 指揮官:古代進

 

 展開

 第14話から第15話――右腕に近い立場だったダゴンを失ったガイデルは腹心の部下であるキザ野郎:ガルマンなんとかさんを招集、これによってヤマトを捕獲しようと余計なことを始める。

 亜空間に潜んで待ち伏せるという極めて卑怯で救いがたい戦術をぶっ込むガルマン何とか。ヤマトにとってこの手合いの卑怯な相手との戦いは半ば初めてであり、しかも数が多い。半ば一方的に攻撃を受けるものの、亜空間ソナーを短時間に完成させてこれを以て次元潜航艇を粉砕しようと試みた。

 このソナーは傑作で見事に次元潜航艇の優位性を大幅に引き下げたが、しかし髭スカーフの卑怯かつ非人道的な囮作戦を敢行してわざとヤマトに味方を殺させる狂気の沙汰。こんなとんでもない作戦など、まともなヤマトクルーにとっては想定外であり、結果罠にかかり東部方面軍機動要塞へと誘い込まれてしまう。

 まるっきり無意味な要塞の展開に阻まれヤマトは離脱に失敗――だが、いざ総統へとヤマトを献上する段階に至って、ヤマトが総統にとっての好敵手であることが判明。ガイデルもキザの屑も赤っ恥をかく羽目になった。

 ヤマトのネームバリューに負けるという、ある意味珍しい敗北を喫した二人である。

 

 描写の妥当性

 3号艦が第3主砲で粉砕された翌話でも3号艦が登場するというとんでもない失態を犯している。凡ミスも甚だしい。おかげでヤマト後方で爆沈した艦のナンバリングが判らなくなっている

 

 戦闘だが――亜空間というのが卑怯でセコイしかも戦術として凝ったものをヤマトにブチ当てた訳でもない。あの腐った卑怯者のダゴンですら、力のある時は正面から戦う最低限軍人らしい戦い方をした。

 だというのにあのガルマンスカーフの情けない戦闘よ……このガルマンなんとかというキザなスカーフ髭野郎は栄光あるガルマン・ガミラス軍人にはふさわしくない極めて卑怯で陰険な戦い方を行ったそれ自体が実は整合性に欠ける戦闘で、彼の存在をご都合主義足らしめている。後に登場するグスタフ中将とは雲泥の差だし、彼の登場によってガルマン何とかの存在だけが、ガルマン・ガミラス帝国のアウトラインからずれてしまい、彼自身の存在こそが整合性に欠ける演出マターのご都合主義な存在になってしまっている。

 シュルツなど、かつてのガミラス帝国軍人と比べてグスタフ中将の方が筋が通っているため、ずれているのは間違いなくガルマンスカーフ。

 

 また、あれだけ巨大な帝国で、一応正規軍らしい存在が一提督の子飼い状態というのも解せない。彼ら近代的な軍事国家だよね?

 さらに、味方を思いっきり見殺しにする戦術。デスラー総統がかつてガトランティスの宇宙駆逐艦を犠牲にしてデスラー砲を発射したが、あれはあくまでガミラス臣民ではなくガトランティス帝国人であってデスラー総統が保護すべき対象、愛しむべき対象では無かった。だから平気でぶっ放せた。だが、髭キザは自分の大切な部下を、確実に死地に追いやったのだ。人間として、腐っている

 

 作戦としても次元潜航艇自体が不必要。機動要塞に誘引したいのならば、別の機甲師団艦隊を招集して攻撃させて誘導すればよかった。そもそも機動要塞自体が出動してヤマトと直接対決をしたってよかったのだ。

 しかしながら、それをしなかった。つまるところ、ガイデルは単なる腑抜けだし、そんなのを慕っているガルマンスカーフも大概。ガイデルは強力かつ堅固な要塞に居ながら、自分の身を危険にさらすことはなかった。髭の屑もまた、自分の身を危険にさらすことだけはしなかった。なぜ故、他の指揮官が陣頭指揮を執る中で、自分たちだけ危険を避けるのか。ガミラス軍人の風上にも置けない

 大体、こいつらがとった戦闘指揮は、人でなしな部分以外は誰にでも出来るレベル。逆にあの程度の戦闘が出来ない人間が存在するのか疑問なレベル。彼らが途中で戦死しても艦隊からすれば、恐らく支障など無いだろう。

 

 

 それはそれとして――ヤマト側の戦闘もちょっと意味が解らなかったあくまで機動性はヤマトの方が圧倒的に上である事は間違いなく、幾らでも戦闘の方法はあっただろう

 敵魚雷をパルスレーザー砲で弾幕を張って迎撃しても良かったし、コスモタイガーを出しても良かった。少なくとも、土門の報告によればヤマトを視認するためには次元潜航艇は通常空間に潜望鏡を出す必要が有った――これを見付ければいいだけだ。別に難しい事はない、実際の戦闘でも潜水艦発見には上空から見たりピンを打つなりするのが手っ取り早い。この艦載機で敵を見付ける戦法は2199でもあったが……あちらの場合は逆に、あの小惑星帯からさっさと逃げるかパルスレーザーをガチャ押しすればよかったという別の問題があった為、ご都合主義の修正には至っていない。

 あと、波動爆雷はヘッジホッグより派手な形式でぶっ放しているが、だったらヤマトの周囲にばらまきゃいいだろ。浮上した哀れな2号艦と3号艦との位置から亜空間魚雷の射程は容易に分かったはず。だったら周辺にぶっ放しまくればよかった。ぶっ放して着弾を待たずに小ワープで逃げて、周囲にあらかじめ波動爆雷をばらまいてやっても良かった。上手く行けば弾幕にもなっただろう。そして何より、艦内工場でいくらでも次弾装填が可能なヤマトの強みを生かす戦術をするべきだったし、今までのヤマトの戦績を考えればそれぐらいクリエイティブであっても何ら問題はない。

 

 ハッキリ言って、ご都合主義にとらわれ過ぎて、それを排するための逆ご都合主義と言える。つまり、度々指摘されていたであろうヤマトのあまりの強力さを低減する、あまり意味のない試み。

 製作側とすれば、リアリティを持たせるようにと気を付けた結果かもしれないが、むしろリアリティの無い行動。ご都合主義なわざと負けるように戦っているかのような戦闘内容になってしまい逆効果だだった。

 

 意義

 卑怯な奴はどこまでも卑怯な手を取る。まさか同じぐらいの奴が後年、冥王星域に現れるとは……思わなかったね。

 

 ガルマン・ガミラス帝国側損害:次元潜航艇3(2号艦、3号艦とナンバリングがダブった艦)、ガイデル提督のメンツ、フラーケンの部下からの信頼
 地球側損害:なし