旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

戦闘考察Ⅳ デスラー帝国危機一髪~巡礼者遭遇(ヤマトⅢ)

 

 

 シャルバート信者という強烈な伏兵に苦しんだ本星防衛線、巡礼者に構った結果うっかりハーキンスの襲撃を受ける。ダブルでシャルバート信者に苛まれて、それでも共感してしまうヤマトクルーの‟振り子メンタル”には辟易するが――

 少なくともガルマン・ガミラス本星防衛線は、ヤマト古参ファンにとってはそれなりに楽しめた面のあるシーンでもあった。

 

 

 

 ガルマン・ガミラス本星防衛戦

 ガルマン・ガミラス帝国側参加部隊:防衛衛星、戦闘衛星、地上ミサイル陣地、デストロイヤー艦戦隊
 戦力:防衛衛星(探知衛星)多数、戦闘衛星多数、ミサイル砲台多数、デストロイヤー艦8
 最高司令官:デスラー総統


 地球側参加部隊:ヤマト 
 戦力:戦艦1

 指揮官:古代進

 

 ボラー連邦側参加部隊:ボラー連邦前線基地 
 戦力:ミサイル陣地複数

 指揮官:古代進

 

 展開

 第17話――ダゴンの愚か者を排したデスラー総統。再会するに及び総統と古代は和解に至った。更に総統はヤマトを本国へと呼び寄せる。

 本国の宇宙港へと到着したヤマトを表敬訪問する総統は、艦橋へと足を踏み入れ、初代艦長沖田十三の顕彰碑に向かって膝を折る。そして更に、ヤマトへの攻撃の贖罪として彼は太陽制御を申し出た。

 断る間もなくヤマトを辞した総統は直ちに制御班を派遣すべく、工作艦艇を宇宙港へと回航させた。しかしその時、すでにガルマン・ガミラスとの境界ラインにあったボラー連邦南西部辺境域の惑星前線基地より長距離ミサイルが放たれていた。

 

 第一波ミサイルはワープしてガルマン・ガミラスの警戒網を突破して、本星衛星軌道へと直接に到達。ガルマン・ガミラスは直ちに要撃を開始、戦闘衛星のミサイル攻撃でこれを迎え撃ったが――非力で地上砲台も要撃に参加。幸いにも全弾を撃ち落すことに成功した。

 間髪入れずに、第二波襲来。悪い事にATACMSやその他のミサイルと同様の多弾頭形式で、親ミサイルに対しての攻撃は通用しなかった。更に、シャルバート信者の破壊工作によって防衛システムに損傷が発生して地表に被害が出てしまう。落ち着いたタイミングで総統は戦闘艦艇を発進させ、前進してミサイルを迎え撃つべく策を打ったものの――ガミラス時代の戦闘艦でボラー連邦の最新鋭ミサイルには敵わず。更にシャルバート信者の破壊工作は徹底したもので、防衛機構は大損害を受けていた。

 第3波襲来、最終攻撃は何と惑星破壊ミサイルだった。ぎりぎりのタイミングで工作艦は発進し、防衛機能回復までには後30分をめどに完了できる――だが、惑星破壊ミサイルは180秒後に着弾する。当然、戦闘衛星程度では全く歯が立たない。

 ヤマトは工作艦を援護するため発進、これを守る為に波動砲を以てこれを撃滅。しかしながら、武力に自信を持つ総統と、シャルバート信者に洗脳されつつあった古代との間にわずかな溝が生じてしまった。

 

 描写の妥当性

 戦闘の内容については別に何の不自然もないだろう。数撃ちゃ当たるとはよく言ったもの、ガザ地区イスラエルの武力衝突を見ればわかるだろう。イスラエル軍アイアンドームはよくハマスのロケット攻撃を防いだが、完璧では無かった。一方でハマスも大して高くもないロケット弾でアイアンドームの量産するからこそ安く済む弾を無駄に撃たせていた。

 要するに、敵弾が多ければ多いほど幾ら優秀な迎撃システムがあっても打ち漏らしはあるという事。しかもガルマン・ガミラスに関しては、一般兵の中にシャルバート教のテロリストが混じっていた為、より分が悪かった。

 

 しかしまぁ――ガルマン・ガミラスが滅びたところで、ボラー連邦からの弾圧は確実なのだから、何の救いにもならないはずなのに……シャルバート信者の思考回路には辟易する

 さらに言えば、しょーもないヒロイズムを発揮し喚く土門、防衛戦闘の失敗の直接的原因はシャルバート信者であるのにガルマン・ガミラスの科学力の敗北だのとのたまう古代。この二人のセリフというか、キャラ造りの意味不明さは――しかも自分が一番武力を使って地球の敵を、地球の敵という理由で踏みにじって来たのに、お説教という……救いようのないストーリー展開。

 だったら君ら、一作目でガミラスに滅ぼされてなさいよ。我らガトランティスに素直に滅ぼされなさいよ。ウラリア人にボディ提供してあげなさいよ

 平和を実現するためには、戦っちゃいけないんでしょ? 戦わない事が平和なんでしょ?

 

 もっと言えばさ古代君……総統が感謝しているのだから、普通に受け入れればいいのにね。何をわざわざ波風を立てるのか。甚だ疑問。

 

 意義

 古代の矮小なヒロイズムのせいで危うくガルマン・ガミラスとの関係が険悪になるところだった。意義も何も見付けられたものではない。

 強いて意義を上げるなら、シャルバート信者が凶悪という事がわかったぐらいか。これはガルマン・ガミラス側の意義であるが。

 

 ガルマン・ガミラス帝国側損害:戦闘衛星多数、デストロイヤー艦多数、都市部複数区画 
 ボラー連邦側損害:特になし

 地球側損害:特になし

 

 

 

 惑星ファンタム往路――巡礼船援護戦

 ボラー連邦側参加部隊:第8親衛打撃艦隊
 戦力:デストロイヤー艦13(戦闘参加は12隻)
 指揮官:ハーキンス中将


 地球側参加部隊:ヤマト 
 戦力:戦艦1

 指揮官:古代進

 

 展開

 第19話――惑星ファンタムへと向かうヤマトを静かに補足したボラー連邦の警戒衛星。この情報は直ちにボラー連邦本星へともたらされた。

 ベムラーゼ首相は事態を重く受け止め、周辺域を担当する第8親衛打撃艦隊に出撃を命じる。参謀長ゴルサコフの直接通信を受けたハーキンス中将は挨拶もそこそこに命令を受領、高速艦艇たるデストロイヤー艦を出撃させてヤマト迎撃に艦隊は出撃した。

 

 一方でヤマトは途中でSOS信号(実は子供のいたずら。ガルマン・ガミラスやボラーを避けるべく、基本的に発信はしていなかった)を受け取り、周辺で小惑星に不時着した見慣れない船を見付ける。この船はシャルバート信者の巡礼船だった。銀河大戦によってもたらされた惨禍を避けるべく、マザーシャルバートを、その総本山シャルバート星への道を25年の間探し求めていた。

 ヤマト工作班はこれを総力を挙げて補修。

 そこへ、ハーキンス中将直々に率いたデストロイヤー艦隊が出現。コスモタイガーを巡礼船護衛の為に繰り出し、一方でヤマトはハーキンスと交渉を試みる。しかし、問答無用と切り捨てられてしまう。

 先に仕掛けたのはハーキンスであり、艦隊を二手に分けてヤマトに対してミサイル飽和攻撃を開始した。迎撃が一瞬遅れたヤマトは第一波ミサイルを派手に喰らうが、波動爆雷やショックカノンを以て第二波以降および艦に攻撃を加えた。

 他方、もう一隊のデストロイヤー艦隊は巡礼戦を砲撃。しかしコスモタイガーの要撃を受けて、しかもウィークポイントであるミサイルサイロに集中攻撃を受けてしまい、本来は比較的強固な装甲も意味をなさなかった。

 

 無事危機を切り抜けたヤマトは惑星ファンタムへ、巡礼船はたとえ安住の地を見付けるのがどれだけ遠くなろうともくじけることなく旅を続ける。

 

 描写の妥当性

 古代君の判断も加藤君の判断も間違っていなかっただろうし、ヤマトとシャルバート巡礼船という危険な存在を取り逃がすことなく踏みつぶそうとしたハーキンスも間違ってはいなかっただろう。

 

 今までの戦闘からして、ヤマトで十分ボラー連邦艦隊は撃破できるため、武器を持たない巡礼船をコスモタイガーに護衛させるのは当然。特に、シャルバート教はボラー連邦も弾圧の対象にしているため、仮に戦闘域外にあったとしても、ハーキンスは追いすがって――巡礼船は十中八九攻撃を受けただろう。それをカバースつにはヤマトの援護より巡礼船の援護を優先するのは当然。

 それにしてもデストロイヤー艦の艦体ミサイルサイロというあからさまなウィークポイント。発射前後に関しては当然次弾装填完了状態であろうから、襲撃を受ければこれは危機的状況。誘爆すれば、普通にミサイルが起爆してしまえばこれは連鎖的に誘爆が起こってしかるべき。

 よく気が付いたね、加藤君

 

 ハーキンスも、端っからヤマトをつぶすために出撃したのだから当然攻撃はする。問答無用で攻撃だ。二手に分けたのも合理的で、ヤマト攻撃に集中する一隊、巡礼船およびコスモタイガーを攻撃する一隊――特に後者は最悪負けても、ヤマト攻撃隊へのコスモタイガーの攻撃を一定時間防げればヤマトの被害は増大するはず。

 多分勝てるとは思っていなかったのか。あるいは緊急命令で取り急ぎ出撃、また改めて迎撃しようと算段していなかったのか。どちらにせよ、どうやらハーキンスは旗艦を戦闘域から離れた位置に置いていた模様。出撃したのは確実に13隻だが太田は12隻と報告していた。まあ、この卑怯と冷静さの間のような判断も、デストロイヤー艦が抱える脆弱性を考えれば仕方がないかもしれない。

 

 巡礼船のじい様はには「黙ってろ」と申し上げる。このじい様の語りが果たしてどこまで事実なのか、時系列が木っ端みじんなので疑問以外の何物でもない。態度も、いい加減まで割と悪かった。

 まあ、シャルバートのじい様に比べれば圧倒的にマシというか普通の人ではあるが。

 

 意義

 ボラー連邦にはまだ中々に強力な武器があるという事が判明した。また、艦隊によって性格が大きく異なるという事も、軍事的センスのないベムラーゼ首相とは違い現場指揮官はかなり手ごわいヤツもいるという事がよくわかった。これは多分、ヤマトの今後の戦闘からして役に立つ情報なのだが――多分気が付いていないんだろうな……。

 一方でハーキンス中将からすれば、デストロイヤー艦の弱点がはっきりわかったしヤマト航空隊が弱点を攻めてくるだけの機転を利かせてくる敵だという事もはっきりした。これだけわかれば結構後の戦いで役に立つだろう。そして、彼は役に立てた。

 

 ボラー連邦側損害:デストロイヤー艦、旗艦を除き全喪失
 地球側損害:特になし