旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ヤマトご都合主義の解決への試み――沈み込む艦載機、すぐ直る第三艦橋――

 

 

 ヤマトにおけるご都合主義、或いはSFから外れた描写として挙げられる事はいくつか代表例がある。

 発進の際に沈み込むガミラス艦載機。
 下方に落ちてゆく戦艦。
 下方に兵装の無い戦艦。
 生える第3艦橋。 

 確かに矛盾やご都合主義と言える。いや、そう見える。まれにだが、一々本気で揶揄する反応があったりする。

 

 素晴らしいよ。その熱意、熱量。

 だが、しかし、まるで全然、妥当性に欠ける指摘と呼ぶほかない

 

 

 

 まずは戦艦の武装配置について説明を試みる。これを説明することで、落ちる戦艦というものも説明が付けられるからだ


 常々ヤマト世界において艦載機は実際の世界と同様か、それ以上に艦載機が重要であると述べて来た。理由は非常な攻撃力を有するが一方で小型、高速である為、パイロットや操縦支援装置、或いは迎撃側のコリジョンコース現象によって非常に迎撃が困難であることがあげられる。


 艦載機はその操縦がおおむね座って行われるが、場合によっては寝そべっても行われる。前者であれば首は自由だが、後者であれば――それ以上は顔を上げられない。つまり、攻撃の方向が限定されるという事。首を上に上げられないなら、下方から上方へ向かう攻撃コースは結構苦しい。休暇中にうっかり太ってしまったパイロットなんかが居ようものなら首の肉で一発アウトだ。他方で上方から下方への攻撃コースは簡単

 

 

 迎撃側はどっから攻撃が加えられても迎撃が出来るようにしなければならない。迎撃が容易になる様にできれば予想コースを見付けて、重点的に配備したい。
 攻撃側は物理・肉体的に困難の少ない上から下への攻撃コースがほとんど唯一であり、最も効果の高いコースである。


 迎撃側はどうせ敵は上から来るのだから、艦上方へ対艦載機戦用の火砲を集中させるのが最も合理的で効果的
 攻撃側は第一波の攻撃が多少でも成功して、敵のコンピューターに損傷や過負荷でも起これば、第二波以降の攻撃は容易に成功し得る。たとえコースが予想されていても、そこは自身の技量と機体の能力で何とか出来る。
 つまり、迎撃側も攻撃側も艦上方からの攻撃コースを旨とするのが最も合理的であると論じられる。

 

 

 下方に落ちていく戦艦も説明は簡単。
 艦の武装が上方に集中しているため、艦底部を晒す事だけは避けねばならない。特に離脱ないし落伍中の緊急事態で、艦の能力が脆弱な中で武装の無い艦底部は晒せない。

 敵が前方の居る中でそれを避けるには、上方へ向かってしまってはむしろ艦底部を晒してしまう。

 横へそれるといっても、味方がその離脱先にいないとも限らない。艦隊運動的にも横方向への運動の可能性は高い故、横へそれたら激突する可能性も高くなる。

 他方で、艦隊運動的に少数艦艇であればなおの事、下方への運動はかなり少ないだろうと推測できる。そして、ヤマト世界においてはほとんどが数十隻程度で艦隊を編成、2202のような数千数万などという途方もない数での戦闘はあり得なかった。縦軸に分厚い艦隊陣形を組むことはまずありえなかった。


 であるならば……下方こそ、はけるべき方向。

 

 下方へはければ、敵艦隊に頭を下げる格好になり――艦長的には不愉快かもしれないが――必然的に装甲が分厚く、火力が温存できていれば砲撃続行も可能。そして、弱点である艦底部は味方艦が守ってくれる。

 という事で、艦は下方へ落ちてゆくのではなく、わざわざ選んで下方へ離脱して行っているのである、といえる

 
 


 沈み込むガミラス艦載機に関しては、これは制作側はどう思っていたのか正直不明だがどうも情熱を以て描写した可能性がある。何といってもあのゴルバ戦でスクランブル発進を見せたが、全機一度沈み込んでからゴルバに突撃していった。

 

 艦載機が発艦時に沈み込むのは現実の(地上)世界ではよくある話
 飛ぶのに十分な揚力は生まれているが、飛行甲板から飛び出した際に、今まで揚力に上乗せされていた地面効果(いうなれば甲板効果か)がゼロになったために、甲板高分沈み込んだだけ。


 宇宙空母の場合はこれとは多少異なるが、外見的に同じようになる説明を付けることは可能。つまり、飛行甲板に人工重力が作用しているという仮定だ。

 人工重力が飛行甲板に掛っているという事は、飛び立った直後は、脚が押さえつけて抗っていた分の重力を推進力のみで抗わなくてはならなくなる。この離陸したタイミングで飛行甲板の人口重力に引っ張られる形で沈み込み、多少エンジンをふかすことで無事離脱する、と説明できる。このような経過をたどれば、理由は大きく異なるが外観としては実際の空母と同じになる。つまり、十分合理的な描写
 最初から私は、そうやって説明を付けていたから疑問に思っていなかった。だからこれがご都合主義とか、なんちゃってリアリティとして挙げられているとはつゆ知らず。ネットって広いですね。

 


 人工重力をどうやって作るかはまた別問題。今度考えます。

 


 直ぐに治る第三艦橋については正直、知ったこっちゃないといいたい。我らガトランティス人はヤマトの第三艦橋が無い状態を見たことがない。多分、ウラリア人もボラー人もディンギル人も見た事ないだろう。

 恐らく、第三艦橋見た事あるのはガミラス人だけだろう


 つまるところ、第22話のドメル決死の自爆第23話でボケーっとしてとろかしたあの時だ。

 タイムスケジュールとしては第21話では地球滅亡まであと215日だから長くかかったとしても七色星団決戦は1日程度だろう。他方、第23話では地球滅亡まであと164日とテロップをうたれている。差し引き……50日前後の期間がある。2ヶ月弱だ

 まあ、疲弊した状況での工作は――2か月でやって出来ない事はないだろうが、かなり難しいだろうだが、第三艦橋がやたら被弾数が多い事を鑑みて事前に、第3艦橋のガワを造っていたとしたならば、ある程度工期短縮は望める。資材に関して言えば、バラン星で使えそうな鋼材をあらかたかっぱぐって積みこんだとしても、不思議はないだろう。ビーメラー星なんかで現地補給しようとしたのだから、バラン星で何とかしようと考えても不思議はない。

 

 第24話では地球滅亡まであと161日とテロップをうたれている。結構長かったガミラス本土決戦。何なら一日か二日ずっと漂っていたらしい。古代お前……
 他方で第25話では地球滅亡まであと131日と――概ね1ヶ月ゆっくりしていたらしいこりゃ藪もイスカンダルになれて反乱を起こしたくもなる

 この131日が、ガミラス戦後ただちにイスカンダルに向かったのか、数日修理をイスカンダルガミラスの中間域で行ったのかは不明。


 説明を付けるならば、艦底部の修理を緊急的に行い、一定程度の成果を見たところでイスカンダルへ降下した――とすれば描写とタイムスケジュールを両方満たせる。
 ガミラス星から飛翔したのは恐らく、敵の残存戦力からの攻撃を恐れての事と説明できる。そこから1週間程度、うずうずしながら修理にいそしんでからイスカンダルへ。さらに水中工作班でもあれば投入して修理続行。地球滅亡まであと131日の時点で修理完遂し、地球へ向けて進路を取った。
 と言うようなことになるだろう。かなり無理はあると思うけどね

 

 完全に機能をもった第3艦橋を2度も3度も復活させるのは難しいだろう。普通に考えて。だからこそ、次のような想定が考えられる。つまり――機能に関してはほとんど一切消滅し、完全なる張りぼてヤマトの外観を保つためだけに頑張って第3艦橋っぽいものを艦底部に張り付けたという事だ。

 

 

 

 形を保つ理由

 ヤマトが形を保つ理由は……さしずめ威嚇だろう。根拠はシュルツの言葉

 彼は特攻を仕掛けた時の理由の一つに、ヤマトの修理完遂を阻止するためと述べた。修理が完遂すればガミラス艦隊は全く歯が立たないことが予想されるが、損傷を負った段階であればもしかすると勝機はあるかもしれない。そう彼は考えて全艦隊にヤマトへの突撃を命じた。諦観もあっただろうが、ガンツ冥王星前線基地の勇士たちはシュルツの命令に同意し、攻撃を仕掛けた。
 他にも補強材料はある。

 ズォーダー大帝もボロボロになったヤマトを戦闘力なしとみなして放っておいた。損傷発生が多発したヤマトに対し、沈没の危機感を感じたグスタフ中将は一命を賭けてかばった。
 完全なるヤマトであれば、恐ろしい存在だが、損傷をしていれば必ずしも恐るるに足るものではない。実際、そういう場面は多い。


 ここから、ヤマトが全力発揮した場合の脅威性はとてつもないものであるが、損傷を受けていれば必ずしもそうとは限らないというのは、ヤマトと戦う人間にとって共通認識と言える。


 実際、損傷を負って出撃した完結編では見事に波動砲口が損傷。エンジンも損傷してしまっていた。となれば、ヤマト側のとり得る方策は外観だけでも常に万全の体制にしておくという事。そうすることで戦闘力が万全であるとこけおどし出来る

 


 判り易く言えば〈メスディイェ〉。これはオスマン帝国海軍が近代化に奔走していた時期に改装された旧式装甲艦である。慢性的な財政難に加えて一気呵成に装甲艦を近代化改修しようと試みたために財源が枯渇。結果、肝心の主砲身が木製のダミーで当然、使えない。何の意味があるんだと突っ込みたいが、外観上は格好がつく。それで妥協しなければならなかったのだからオスマン帝国がどれだけ困窮していたのかがわかるだろうが……。
 挙句、他の装甲艦群も近代化改修されたものの――主砲は後装式にするつもりが大抵前装式のままだったり、結局近代化改修が中途半端に終わってしまった。

 何が言いたいかといえば、アホみたいな話だがダミーで何となくあらを隠すという事はありえるという事。

 


 とくにヤマトの場合はある意味その存在自体がかなり驚異である為、能力が万全であると見せかけることが戦闘を回避する事に繋がり得る
 何なら、ブラックタイガーを全部潰してでも、外観を整備する資材を確保する必要性があるかもしれない。


 ヤマトとしては第3艦橋が残存している事自体が重要なのであって、機能しているかは問題ではない。第3艦橋が艦底部に張り付いている事がある意味、防御性能を底上げしている。そう論じた場合には何を差し置いても第3艦橋を復元せねばならない。であるからこそ、かなり早いスパンで復旧した。と言えるだろう。
 

 

 説明が苦しいものもいくつかあったかもしれない。だが、一定程度合理的な説明を付けられたと思う。少なくとも、考え方として様々な理由づけの方法があるという事を見せられたのではないかと思う

 

 

ガトランティス・ガミラス共同戦線――その成否

 

 ガミラスとガトランティスの共同戦線構築は両者の将兵同士の軋轢によって失敗してしまった。その経過を考察し、仮にがっちりとスクラムを組んだ場合の予想される成果も含めて一つの考え方を明らかにしてみたいと思う。

 

 


 ガトランティスガミラス共同戦線
 ガミラスとガトランティスの共同戦線は両国の同盟にその端を発する。
 つまり、命を助けられたデスラー総統と彼の執念に魅せられたズォーダー大帝の個人的友情。更には進路上に地球があったという一種の偶然により、総統は宿敵であるヤマト撃破を、大帝は地球人類の奴隷化・天の川銀河征服の拠点化という一致した利害関係によって友人二人の向かう道は完璧に重なった

 

 主目的はヤマトを撃滅する事。これによって地球侵攻を容易かつ完全に達成する事。ここに同盟の軍事的価値が存在する


 さらばにおいては、総統は客将ないしワンランク落ちる食客として登場。とはいえ、大帝は総統に絶対的な信頼ないし一目を置いていた為にその活動はヤマト撃滅ただ一点のみにおいて彗星帝国に貢献する事とされていたとみて不思議はない。

 だとすれば、立場こそ脆弱だが信頼度に関して言えばヤマト2とさほど変わらないと言えるかもしれない。

 

 


 さらばにおいて
 さらばにおいてガトランティスガミラスと共同戦線を張ったとは言い難い


 ヤマトはテレサと地球を結ぶ結節点であり、ガトランティスの秘密を握る極めて危険な艦である。その侵攻阻止は絶対に成し遂げなければならない

 そう書けばさもガトランティス大戦略において欠かすことのできない事に思えるが、実際問題としてヤマト1隻が地球艦隊に参加しても、さらばにおいては大きな役割は果たせずむしろ枕を並べて討ち死にという可能性の方が高かった。居ようが居まいが関係ないというのが正直な所。

 他方で、高々数隻の宇宙駆逐艦と新造されたか改装されたデスラー艦と極めて少数の戦力――一隻の戦艦相手には結構な戦力だが――しか供出されなかったという事を考えても、ガミラスとガトランティスは確固とした共同戦線を構築したとは言い難い。


 どちらかといえば、大帝が久しぶりに得た友人ないし弟分のたっての願いを聞き入れたという方が実情に近いだろう。総統敗死の報を受けた時の反応もこの見方を補強してくれる。

 

 

 


 ヤマト2においては、戦力的にはかなり強力な布陣をテレザート域に展開し共同戦線を構築した。だが、反対にさらば以上の困難に直面してしまう事になる


 まず、総統が連合艦隊の指揮官であり当該方面軍の指揮官でもあるという極めて高い立場に置かれることとなった。国家元首が指揮をするのだからそれぐらいの格はあって当たり前だろう。、高々一年前程度に現れた病人がガトランティスの医療によって復活し、大帝の友人となってデカい顔をしている。というまごう事なき事実が存在する。これは面白くないだろう。

 この心理的な不和というものはどうしても連合軍の能力を減じてしまう要因になる

 


 古くはアケメネス朝ペルシャギリシャ連合軍の戦闘。
 アルテミシオンの海戦にせよ、サラミスの海戦にせよ、アケメネス朝はその国家体制からどうしても統一艦隊では無く各地から供出された戦力を持って編成した連合艦隊にならざるを得なかった。問題は、彼らが利害がアケメネス朝と必ずしも一致していなかった事。下手をすればギリシャ側に心を寄せた部隊さえあった。
 これは陸上でも同じでマラトン、プラタイア、ミュカレでアケメネス朝軍は多国籍軍を以て進軍した者の、国籍は違えど一応同じギリシャ人で構成された連合軍に散々に打ち破られてしまった。
 クライマックスはエウリュメドン川の戦い。アケメネス朝の水上部隊と陸上部隊ギリシャ連合軍に襲撃を受け、それぞれが連携も取れず反撃も中々ままならず壊滅してしまったのだ。


 プレヴェザの海戦はヴェネツィアジェノバ聖ヨハネ騎士団スペイン帝国教皇領のそれぞれが艦隊を供出してオスマン帝国と戦ったが、これが大失敗。
 そしてトラファルガーではスペインとフランスが連合艦隊を編成したものの、これが実は物凄く仲が悪かった。スペインから見ればフランスはひよっこの海洋国家、フランスから見ればスペインなどただの数合わせでいわゆる「くたばりぞこないに何が出来るって言うんだ!」状態だった。当然、ろくな戦いが出来ずに個々での決死の戦闘という事になってしまった。

 近代でいえば――アメリカ第58任務部隊とイギリス太平洋艦隊は決して不仲であったわけでもないし共同戦線構築に失敗したわけでは無いが、高官同士はその戦後を見据えた互いの行動というものがお世辞にも友好的では無かった。
 近代でひどい事例といえば、中東戦争だろう。アラブ側が思いっきり不和でまともな連携が取れず、それぞれの兵士はかなり頑張ったものの……開戦しない方がよかったかもしれない事態に。


 何が言いたいかというと、不和が起こる理由は多数存在する。その原因が何であれ、乗り越えることが出来なければ作戦遂行に致命的なダメージを追わすことになってしまう。


 ただし、多国籍多民族が必ずしも不和をもたらすとは限らない
 オーストリア艦隊は多数の地域から参集した乗組員によって操艦されたが、テゲトフ提督に率いられた主力艦隊は一切の不和などなく、果敢にイタリア艦隊に戦いを挑み勝利した。
 


 何を重ねて言いたかったかというと――
 肝心なのは誰が、どうやって、何のために率いるのかである

 

 

 

 ヤマト2、共同作戦経過

 地球攻略に当たり、各種の情報を地球側に提供する可能性の高いテレサの幽閉を完遂すべくゴーランド艦隊が前面域に展開し、テレザート地表面にはザバイバル機甲師団が展開していた。これが事前に展開していたのか、デスラー総統と共に展開したのかは明確ではないが、少なくとも展開する事だけは決定しただろう。


 ここで大帝の裁定が下る。つまり、ほぼ確実にヤマトがテレザートに接近するとなったことで、デスラー総統の宿願を果たさせるべく方面軍司令官職に当たらせたのである。これによりゴーランド艦隊やザバイバル機甲師団が総統の下につく事になった

 

 これがまずかった。
 まず、今までの征服の歴史上、ガトランティスにとって勝利は大前提と言える。

 だが、デスラー総統は負けた。しかもヤマトただ一隻に負けたのだ。そして国や民を失ったのである。これは……ガトランティス基準だと無様というか、尊敬するに値しないという評価が下ってもおかしくはない。仮に容認できたとしても、部下や同僚ならいざ知らず、上官にはしたくないだろう

 そんな総統の下にゴーランドとザバイバルが入り、ついでにナスカも連携ないし指揮下に入ることになった。

 

 自意識過剰なナスカはどーでもいいが、自分で馬鹿デッカイ銃をぶっ放す武人的なゴーランドや、明らかに肉体派で歴戦の勇士であろうザバイバルにとっては屈辱以外の何物では無かっただろうこれでは共同戦線を張れるわけがない。

 

 実際、ナスカ艦隊はヤマトの奇襲的攻撃を受けて壊滅。

 ゴーランド艦隊も前進してヤマトと戦闘を繰り広げたが敵わず。両提督共に、デスラー総統のガミラス艦隊の増援を受ける選択肢はあったし、そもそもヤマト撃破に関して言えばデスラー総統が先任。しかし、プライドが邪魔をしてその選択が出来なかった。
 ザバイバル将軍に関しては……本国の政治状況も絡んでいるため一概には言えない。まあ、ゴーランド艦隊が壊滅したあおりを受けたと言えば、受けたといっていいだろう。

 

 一見妙案に見えた共同戦線構築は、初めから構築などされておらず、砂上の楼閣よりも脆く崩れ去った

 

 

 

 

 両軍、もし手を携え得たならば

 もし、ガミラスとガトランティスががっちり共同戦線を構築したならば。
 そもそもそんなことが出来るのだろうか。性能という方面にウェイトを置いて考察してみたい。

 


 まず、ガミラス艦隊の戦術の基本は何かといえば――電撃戦であるガミラス艦隊は火力が低いが、そこそこの数を集中的に運用できることに加え、高い士気と練度を有する。故に腰を据えた戦闘は分が悪いといわざるを得ないが、ヒット&アウェイの高速戦闘ならば十分敢行できる。むしろそれ以外に戦う術がないに近い。
 他方でガトランティスは敵よりも勝る数を集中運用しロングレンジ、出来ればアウトレンジ戦闘を行う。これらの外観的な戦闘プロットからイケイケの攻撃特化に見える戦闘を行うように見えるが、実際には比較的安全策を取るのが彼らのやり方である。


 電撃戦どっしり構えた正攻法水と油といっても過言ではない


 これは……指揮官同士の連携を前提とした共同戦線は……不可能ではないだろうか。あまりにも両軍の戦闘プロットが違うのだ。ここはやはり、大帝が命じたようにデスラー総統が艦隊の総指揮権を保有するか、反対にガトランティス軍司令官が艦隊の総指揮権を保有するかのどちらかしか、あり得ないだろう。

 


 ガミラスがイニシアチブを握った場合、どんな戦闘になるだろうか
 まず、ミサイル艦隊を隷下に置くだろう。味方艦隊の攻撃前にミサイル艦隊の圧倒的投射力を以て敵艦隊を漸減し、突破口から進入して砲撃戦を行う。あるいは、殆ど同時進行的に攻撃を敢行し、ミサイルか艦の迎撃かを敵に強いて、迎撃を分散させる。といった戦闘が行えるだろう。

 どっちに転んでも高速戦闘を旨とするガミラスならば対応できるし、不安な火力を補えるのだから一石二鳥
 駆逐艦も快速でしかも打撃力がかなり高い。デストロイヤーの上位互換、クルーザーの代わりに編入することで全体の火力向上につなげられる。

 


 使い勝手が悪いのは――恐らく大戦艦だろう。快速ではあるが、駆逐艦並みだが的がデカい。しかも衝撃砲が使えなければ火力に大きな不安が残る。たとえ使えても、2202のようにご都合主義旋回が出来なければ射角が正面に限られ、側面からの攻撃に対しては艦首を回さなければならない。敵の高速運動に対抗できるかは不明である。
 同じ理由で、電撃戦に向かない潜宙ガミラス的には利用価値が低いだろう。

 

 次いで、超大型空母ガミラス的には邪魔だろう。何せ巨大な的。超大型空母が現実的の数値設定はキロ越えである。反対にガミラス艦隊は現実的な数値設定を行ったとしても三段空母で400メートル弱程度で要求された能力も軽空母か中型正規空母程度。超大型空母の全長や能力は言うまでもなく、ガミラスからすれば手に余るし目立つだけの戦闘艦である。

 もし運用するならば……よくて要塞や移動司令部扱いぐらいだろう。ガミラスにこの空母を運用する基本的なノウハウがない。


 微妙なラインが中型高速空母メダル―ザ。メダル―ザに関しては、デスラー砲があるし、瞬間物質移送器で戦闘艦を直接ワープさせればいいだけだから……必要性が薄い。
 他方で中型高速空母も微妙なライン。能力的には三段空母の上位互換として、戦闘空母扱いで前線に出すことも可能だろう。現実的な値に設定値を直した場合はかなり巨大化するため、使い勝手が微妙になるが、依然として三段空母や戦闘空母の上位互換としての価値がある。ただ、ガミラスは艦による電撃戦という、生存性を出来るだけ高めた戦闘を行うため、どうしても損失が大きくなりがちの航空戦力による電撃戦は行わない傾向にある。この傾向が改まらない限りは中型高速空母も、艦隊の直掩程度の任務しか活躍の場がないだろう。

 

 デスバテーターは恐らく活躍の場がないだろう。
 ガミラスにとっては雷撃艇扱いになるだろうが、しかしこれならばより強固であることが望めるミサイル艦を保有している。デスバテーターはプラットホームが無ければ活動は難しいが、ミサイル艦は曲がりなりにも艦でありプラットホームがあろうがなかろうが長期航洋が可能。
 ミサイル艦よりも有用であることを示さなければならないが、いかんせん艦載機であるデスバテーターにそれは難しい。

 


 ベースとして、火力と足の速さが命のガミラス艦隊を補完できる戦力でなければガミラスにとっては編入する価値はない。

 残念ながら、ガミラスにとってガトランティスから供出してほしくなるような艦種はミサイル艦と駆逐艦程度にとどまるだろう。

 


 

 ガトランティスがイニシアチブを握った場合、どんな事が予想されるだろうか。
 まず、ミサイル艦クルーザーは必要ないだろう。どちらも火力が中途半端でそれぞれデスバテーターや自軍の駆逐艦ないし大戦艦で十分代用できる。能力的にも任務的にも全部被っているし、しかも自軍の兵装の方が上回っているのだから、編入して活用する理由がない。

 

 三段空母戦闘空母に至っては全く使い物にならないだろう。
 数が高々60機、しかも数隻しか集められない。デスバテーターに積み替えるとしても……どう頑張っても7機。設定し直しても20機程度と、全く編入する意味がない。三段空母でこれなのだから発進口が限定されている高速空母など話にならない。
 小型の雷撃機爆撃機が欲しいとしても――別にイーターに無理にでも爆装でもすればいいし、そもそもデスバテーターで十分。ガトランティスガミラス軍機を採用する理由は乏しい。
 直掩程度なら、何とかならないこともないだろう。だが、すでに高速空母がその任務に就いているし、艦隊規模によっては超大型空母がその任につく。わざわざ三段空母を編入したとして、戦闘空母を編入したとして、結局は食料や燃料を無駄遣いするだけにしかならない。

 

 戦艦(シュルツ艦)やデストロイヤーならば、何とか利用価値があるだろうデストロイヤーはそこそこの火力と速力と装甲を有しているため、海防艦的任務や通報艦として前進する等の艦隊補助の任務があるだろう。
 シュルツ艦も火力は不安だが雷撃力は馬鹿にならない。ガトランティス軍に欠けた巡洋艦を埋める存在になり得るだろう。空母の護衛やミサイル艦隊の護衛戦力として、接近してきた敵戦闘艦への砲雷戦を敢行し、身を挺して守るという任務にはうってつけだ。実体弾による攻撃は全般、粒子兵器より通用しやすい傾向にある為、あのやたらに設けられた発射管は安心材料である。

 

 同じ戦艦でも、ドメラーズは使い勝手が悪いだろう。砲撃しか行えないとみて間違いないこの艦は、もし砲が敵に通用しなかった場合はまるっきり存在意義が無くなってしまう。しかも微妙に図体がデカい為、的になりやすい。

 


 ガミラス艦は全般、ガトランティスの要求スペックを満たせていないといっていいだろう。少なくとも舳先を並べるにはあまりに艦の能力が違う。

 護衛であるとか別動隊であるとか、ならばなんとかなる。しかし、戦隊や艦隊に両者を組み込んで混成部隊にするのは――無理といっていいだろう。

 

 

 

 案外、大帝の判断は無難だったといえるだろう。

 だが、それは将兵がある程度信頼関係を結んでからの話であり、上下というものを意識しないか意識しても考慮の外におけるような段階になってからにすべきだった。だが、残念ながら1年間ではその信頼関係の醸成は完了しなかった


 複数国家の混成はぱっと見、燃える展開である。しかし、幾つかの前提条件を満たさなければ、機能する事はありえない。これを無視して機能させるのは残念ながらご都合主義。

 正直政治マター、政局による不和は見ていて鬱陶しいし、フィクションなんだからそれぐらい――とも思うが、それをしてしまっては逆にご都合主義

 

 テレザート域におけるガミラスとガトランティスの不和は、案外合理的な不条理と評する事が出来るかもしれない。困った話ではあるが。
 

天才技術者・真田志郎――偉業と存在の妥当性――

 


 旧作ヤマトをあえて今、徹底的に考察し説明を付けるという事にこだわって来た。

 旧作に対して常に口にされるご都合主義という言葉だが、それは単純に知識不足とか発想力不足に起因するものが大半である。なぜそうなるかといえば、固定概念というか否定の為の否定だ。リメイク作に対する無理筋な擁護――この辺りを突っ込んでも喧嘩になるだけなのでやめておきます
 ただ、確率論というか論理的思考で確実に一つ、ご都合主義中のご都合主義と呼ばれる人に対する疑念を粉砕しておきたい。

 

 


 地球人類最高の頭脳――真田志郎


 縁の下の力持ち。敵の新兵器の弱点をたちどころに見抜き、幾たびもヤマトの危機を救った勇士である。技術部門においてその頭角を発揮し、ヤマト復活編において地球防衛軍のトップにまで上り詰める。

 この敵側新兵器の弱点を見抜く、あらかじめ対抗可能な兵器を用意しておく――そのスゴ技から彼は常にご都合主義など言われてきたところがどっこい、彼の存在はそんなに不自然でもなければご都合主義ではないのである。
 

 

 天才にはざっくり2種類存在する。(天才じゃない私があれこれいうのはおこがましいが)

 一つには統合の天才、もう一つには創造の天才である。

 前者は現時点から過去に至るまでの発明や発想を出来るだけ網羅的に知識として吸収し、整理し、過去の発明や発想の弱点であるとか足りない部分を補完する。過去のある時点では技術が不足していた為に実現できなかったり、設計者が発想し損ねた難題への解決法を別の分野から導入する。そうして新しい(正確には新しくはないのだが)発明を生み出す。これが統合の天才である。
 例えば、知の巨人レオナルド・ダ・ヴィンチが代表。ベルナー・フォン・ブラウン博士もこのタイプに入るだろう。最近ではITの革命家スティーブ・ジョブズ孫正義社長あげられる。他にも、ハンガリー勢では泣く子も黙るジョン・フォン・ノイマン、航空工学の父セオドア・フォン・カルマン生理学者にして大政治家セント=ジェルジ・アルベルト、数学のリース兄弟

 

 後者はその人物が発明を考え始めた時点での技術をベースにしているのは当然であるが、しかしながらそれ以前の才人たちの発想とは方向性も利用も結果も異なることを考え出すタイプである。当時の社会状況を加味しないで自分の発明を創るもんだから、その発明品はあまり一般受けしない同時代人の尊敬を受けるか受けないかは完全に個人の性質による。
 奇才ニコラ・テスラは確実にこのタイプだ。他にはアインシュタイン博士やジョン・ホーキング博士がいる。前澤社長ホリエモンもどちらかといえば、こちらのタイプだろう。何ならここに古代宇宙飛行士説のデニケン氏を入れても構わない(一方で彼の弟子? のジョルジョは一方で前者の統合型タイプ)。とにかく、奇才。
 ハンガリー勢では量子力学の大家ユージン・ウィグナー、憎い四角ルービックキューブの父ルビク・エルネーインテルの剣アンドルー・グローヴ、心身医学の功労者フランツ・アレクサンダーなど。

 

 さて、ハンガリーに驚異的天才が集中しているため、ハンガリー人は実はうちゅ人なのでは無いか、などというジョークがあったりする。確かに、天才の度合いが半端ではない。なのにオーストリア帝国と歩調を合わせるどころか、足を引っ張って海軍を10年以上足踏みさせたハンガリー王国の皆さん……
 何が言いたかったかといえば、海軍は整備に金と時間がかかるという事と、同時期であるとか特定地域に超有名な天才が数的に突出して現れるという小説みたいな話が存在するという事。あと、そういう地域であるからと言って全員が全員天才的であるとは限らないという事。

 


 さて、真田さんはどのタイプだろうか。
 ちょうど中間ではないだろうか。

 


 テレビシリーズ1stヤマトで冥王星前線基地を破壊したのちの話。ヤマトは補修と冥王星基地残存艦隊からの襲撃に備える為、アステロイドシップ計画を発動した。ヤマト出撃以前から温めていたような節もあるが、実行できたのはあのタイミングという事になるだろう。
 岩塊で艤装するというのは誰でも考えつくだろう。岩塊をくりぬいて宇宙船に仕様なんて話をする人がスタトレファンを始め、古代宇宙飛行士説論者等のいろんな人間が発送しているのだから。ここまでは統合の才。一方でそれをリング状に纏めて防御に使うというのは頭をひねっても浮かばない可能性が高い。それもぐるぐる回して敵弾にぶち当てに行くという制御法は何ともうがばないだろう。つまり、創造の才


 同シリーズ最終盤、デスラー総統がヤマトを追って銀河系まで到達した時である。ヤマトがあと一歩で帰還できるという時に総統は狙いを定めて必殺のデスラー砲を放った。その時、他のクルーは高エネルギの束にビビっただけで何もできなかったが、瞬時に真田さんはその性質を見破り、冥王星前線基地での経験をもとにして完成させた空間磁力メッキを展開させ、見事にヤマトを守り抜いた。
 まず、ガミラス波動砲の威力に苦慮していた以上、どこかのタイミングで同様の兵器を使用するというのは誰でも察しが付く。反射衛星砲みたいなのがあれば、すごく有用そうだなというのも誰でも思い至る。それを組み合わせてうまい具合に処理するのだから真田さんはすごい。統合の才――いや、創造の才か

 

 完結編において。対ハイパー放射ミサイル艦種ビーム砲は、初期の戦艦群が魚雷から身を守るために設置していた水雷防御網を形式として同じである。あとはミサイルのデータだけ。ルガール2世がいつもの詰めの甘さで奇襲かけてくれたおかげで、ハイパー放射ミサイルの詳細なデータが手に入った。だから難なく完成できた。こちらは統合の才

 

 このような事案から真田さんはちょうど中間の天才、オールラウンドプレーヤーといえるのである

 

 


 ここで真田さんの功績の数々をざっくりまとめてみたいと思う

 

 

 ヤマト第一シリーズ
 ステロイドシップ計画(反重力感応機):第9話にて真田さんが初めてヤマトクルーと視聴者に披露したビックリメカ。解りやすく言うと、岩塊を纏わせ、ヤマトを小惑星化する計画。シュルツ率いる冥王星前線基地の決戦兵器・反射衛星砲で損害を受けたヤマトを修理しつつ、残存艦隊から身を隠すために発動した。作戦監督としてではあるが、何気に古代を呼び捨てにしている。これ以前は君付け。

 

 ステロイドリング:岩塊の拘束を解除し、リング状にして艦の周囲を回転させたもの。2本のリングからなり、高速回転でガミラス艦隊の砲撃からヤマトを守り、リングを解体するその余波で岩塊を散弾の様にして攻撃を行った。

 

 機雷除去作業:第11話にて、アナライザーと共に作戦。戦慣れしていない他のクルーとは違い、機雷の性質を正確に見抜く。しかも酔っぱらったアナライザーを一応信頼して解体作業を試みる度胸の強さ。翌週でも総統の発明品・ガス生命体の性質を見抜くファインプレー

 

 シームレス戦闘機:正確にはヤマトの工作機の働きであるが、設計をしたのは十中八九真田さんだろう。これは第18話宇宙要塞13号から発せられるマグネトロンウェーブの影響を排除しつつ同要塞への肉薄をするために制作された機体である。この回で真田さんの四肢が義手義足であると判明、しかも必殺の爆弾を仕込んである。なんてお人……

 

 ガミラス人地球移住計画の看過:第21話で明確になったガミラスの地球侵攻理由。バラン星基地に残された資料(ドメル将軍、勝つ気満々で資料を処分しなかったらしい。この人、致命的に詰めが甘いんだよな……)から“あくまでも俺の推論だが”と、見事に目的を的中させた。

 

 ドリルミサイル処理:第22話、七色星団決戦にて。だから詰めが甘いんだよな、ドメル将軍……。真田さんが沖田艦長に絶対の信頼を得ていることが確認できるエピソード。前回の機雷処理ではおおむねアナライザーが処理に当たったが、今回は真田さんが主に処理に当たった。この回を見ればわかるが、沖田艦長は盛大に敵艦隊に波動砲をぶち当てる気満々だった。

 

 失敗例―強磁性フェライトおよびガミラスの海の性質の見落とし:第23話にてガミラスの放ったミサイルに仕込まれていた物質で、迎撃したためにまき散らされてしまった。この時は真田さんが珍しくその危険性を見落としてしまい、ヤマトはガミラス本星に引きずり込まれてしまった。ついでに着水の衝撃でアナライザーがバラバラになるという……お前が肝心な時に作動しないから第三艦橋が……翌週、真田さんにせっつかれながら火山脈を発見したから挽回したともいえるか。

 

 コスモクリーナーDの受領:第25話にて搬入と組み立てを監督。翌週判明するが、テレビシリーズでは酸素原子を利用した放射能強制除去らしく、おかげで雪が……。真田さん曰く、この欠点は改善可能らしい。初見なのに断言できる真田さんの圧倒的信頼感。

 

 空間磁力メッキ:第26話(最終話)にて登場、反射衛星砲の構成要素である反射衛星を元に作成。見ただけで仕組みが判る真田さんのすごさ。普段から高エネルギー兵器の反射方法を考えているから発想と技術が結び付くのだろう。

 


 ヤマト2
 ヤマト:第2話にてヤマトの主砲を長射程化、艦動力部縮小、タイムレーダー新設等々の改造を施した。防衛司令部はアンドロメダ準拠の無人化を要求しており、これを反乱でしれっと脱出する形で中止。しかし、ヤマトが欲していた改造は一通り確保したため、改造は完璧。これにより、太陽系外縁部でのデータしかなかったナスカ艦隊を大混乱に陥れた。

 

 ステロイドシップ計画Ⅱ(エネルギー吸収装置付き反重力感応機):第10話にて登場。ガミラス戦役時に利用したアステロイドシップ計画の改良版である。ゴーランド艦隊のミサイル攻撃から身を守るために使用した岩塊がバキューム鉱石であったという最悪の事態。おかげで乱流脱出時にはエネルギーが尽きた状態となってしまった。しかし、ゴーランドの金髪副官の予想を裏切り、「多分こんな事もあろうと思って」用意しておいた新機能により波動砲1発分のエネルギーを岩塊から取り出し、即時攻撃につなげた。

 

 宇宙蛍の解明:第11話、うっかり屋さんのバンデベル将軍がばらまいた罠。正体は鉄を食べるバクテリアで、真田さんがその存在に対して興味を持ったことからその危険性が判明。ついでに無重力下でも真田さんが自由に艦内を回れることも判明。この回ではバンデベル将軍より空間騎兵と不良船員の方がよっぽど脅威だった。

 

 重力アンカーの解除発案:第12話にてタラン将軍が仕掛けた罠、ちくわ惑星こと空洞惑星からの脱出の為に波動砲発射の反動を利用した。うろたえてしまった戦闘班長とは違い、冷静に敵に対処する真田さんって一体……第14話でも陸戦用の兵器も組み立てているから、この人の専門が判らん。ただ、この重力アンカー解除は新米のつぶやきがひらめきの原点だが。

 

 フェーベ沖・プロキオン方面軍偵察:第20話にて、土方総司令より空母艦隊を任されたヤマト。シリウス方面軍(バルゼー直属の戦艦部隊)の後方に位置していたプロキオン方面軍(ゲルン指揮下の空母艦隊)の偵察にアナライザーと共に出動、衛星フェーベ近傍空間に展開していた部隊の発見に成功した。

 

 デスラー機雷解析:第23話、復讐の鬼デスラー総統がヤマト周辺に瞬間部室移送器を以てばらまいた機雷の性質を見事見破った。また、島や古代が決心できなかった小ワープの決行を後押しする。またデスラー砲、直撃せず。ただし、白兵戦の途中で島を吹き飛ばしたので、総統は総統で大戦果を挙げた。

 

 ガトランティス本星解析さらば宇宙戦艦ヤマトにおいて、デスラー総統が遺した白色彗星の弱点を解析。波動砲攻撃を成功に導いた。その後、動力源爆破の為に都市帝国へ潜入、隊長と共に見事爆破に成功。第25話において、パラノイアの出撃パターンから艦載機射出口を推測させた。さらばでの土方艦長の役割――代わりに新米がコンピューター室で戦死。その後、都市帝国内部に真田さんたちは侵入し動力源を捜索、一人でガトランティス側増援を抑えて無事生還。

 

 

 ヤマトよ永遠に
 ヤマト:全天球レーダー室新設、砲塔無人化、スーパーチャージャー新設等の改装を行った。この時、ヤマトはイカルス天文台の内部にモスボールされていたわけであるが、3度目のアステロイドシップ計画ともいえる。本格的に真田さんのおもちゃになってしまった回。

 

 波動カートリッジ弾波動砲の100分の1の波動エネルギーが封入された砲弾。実体弾の形式をとり、炸薬として波動エネルギーが封入されている模様。未テストで実践投入されるという、ヤバい展開だったが天才の思考実験をなめてはいけなかった。

 

 失敗例――暗黒星団帝国の使用物質の性質の見落とし:反タキオン粒子を動力源としているのだろうか、或いは単純に熱に弱いのか。ともかく、余計な被害をデザリアムにもたらしてしまう。大した問題では無かったが、一応。

 

 

 ヤマトⅢ
 ヤマト:調査用各種設備新設。理由は第5話にて真田さん曰く、アナライザーの計器が信用ならないから。全く、あなたという人は……。

 

 ブラックホールへの波動砲発射発案:第11話にて、ダゴンの円盤旗艦の牽引ビームを振り切るため、ブラックホールに飲み込まれつつある中編み出した妙案。ブラックホールそのものにぶち当てるのではなく、飲み込まれつつある小惑星にあて、反動で消し飛ばす。珍しく真田さんが運に頼った作戦

 

 亜空間ソナー:第15話にて登場。卑怯にも亜空間から攻撃を繰り出すガルマン・スピッツ(本人がそう呼んでいいって言ったから)をあぶりだすために急遽開発したソナー。一日か二日程度で完成という驚異の政策スピード。にもかかわらず有効に作用し、次元潜航艇を追い詰めたが、スピッツさんの作戦が宇宙要塞への誘導に変更したため……東部方面機動要塞のステルス性の高さも相まって……

 

 太陽制御プロジェクトへの参加:第18話前後にて地球側の技術者代表としてプロジェクトに参加。計画の一部不安定な部分に懸念を示した。太陽系帰還後、フラウスキー少佐のサポートとして別働部隊を指揮。プロジェクト失敗の責任を命で取ろうとしたフラウスキー少佐を必死に説得したが……

 

 ハイドロコスモジェン砲受領:第24話にて。真田さん、何で異星人の武器を平気で地球の戦闘艦であるヤマトに接続・運用できるんでしょうね……。

 

 

 ヤマト完結編
 対ハイパー放射ミサイル艦首ビーム砲:亜空間ソナーと同じバルバスバウ部に格納しているため、多分ベース技術を流用。ヤマトが身をもって収集したハイパー放射ミサイルのデータをもとに、水雷防御網的に作成。ハイパー放射ミサイルに着弾させる事なく着弾状態として認識させる模様。真田さんテストは!?

 

 ニュートリノビームの看過:大総統ルガールが無情にも息子を見殺しにしたアレである。ニュートリノに無理やり荷電させた防御膜およびビームなのだろう。これを看過し、急速反転をさせた――

 


 
 よく見て欲しいのが、ご都合主義といわれる割にはほとんどの発明や発案は状況からかなり発想元というか、データとして利用できそうな材料が事前に敵側から提供されている

 要は、合理的な考え方を持って各種の事実を組み合わせる事で完成させられ得るものであるという事。ベースとなる圧倒的知識や計算技能やらの超高度な能力があって初めて実現できるから、真田さんが超人というか天才である事には変わりないが、ご都合主義というのは妥当性に欠く

 

 シームレス機による接近は、偵察機のマグネトロンウェーブによる破損状況の記録を見れば才人ならば十分思いつくだろう。

 空間磁力メッキも、反射衛星にインスピレーションを得て様々な物理現象や方程式を駆使して偏光バリアか類似したものを展開したのであろう。

 デスラー機雷ヤマト2バージョンの性質を見破ったのも、本人が語った通り砲撃や接触での爆発が限定的であることから推察したのであるし、さらばでガス体の弱点を見破ったのも総統の遺した言葉と全滅した地球艦隊の被害状況を見れば推測できる。
 これらの功績は統合の天才ならば当然のごとく完成し得よう

 

 ゼロから生み出した発明、例えばアステロイドシップ計画は少々事情が違う。つまり、以前から温めていた計画であり、あの場で思い付きで作ったわけでは無いという事。

 亜空間ソナーは宇宙戦士訓練学校に亜空間戦闘の科目があることから、亜空間に対する脅威というものや利用というのが以前から想定されていたことは想像に難くない。

 対ハイパー放射ミサイル艦首ビーム砲も、すでに被弾済みだからこその発明。

 波動カートリッジ弾もまた、イカルス天文台で工作していた可能性が高い。つまり、彼は波動砲発射への長いシークエンスをカットして、高威力かつ普遍的な攻撃手段を求めたのだろうという事。

 これらはどちらかといえば必要に迫られて創った発明、創造の天才必要に感じたならばこそ創り得る

 


 つまりいうほど、ご都合主義ではないのだ。そもそも、ご都合主義は説明しようと思えば説明できる時点でご都合主義ではない。ぱっと見合理的であったり、演出効果は高いが説明しようとしたときに破綻するのがご都合主義というものである


 出撃時、地球最強の戦艦であるヤマトに、ベテランを少数しか乗せなかったのは、ヤマト出撃後の地球防衛の為に振り分けた勝ったとして説明できるが、他方で人類の存亡をかけたヤマトに、手持ちの天才を出し惜しみする必要は全くない
 いくつかの奇跡的な展開についても、奇跡が一切存在しない戦争というのも中々にリアリティがない。第二次ウィーン包囲リッサ海戦日本海海戦のような十分な準備と共に絶妙タイミングでの会敵という偶然があったからこそ華々しい。

 ギリシアの火鉄甲船ガレアス船は戦況をひっくり返したし、戦況を変えることはできなかったが一矢報いたアルキメデスの鉤爪蒸気式大砲などの割合と急に登場した兵器もある事にはある。そしてこれらは世界史に特筆すべき活躍を見せたのである。

 アグリッパオクタヴィアヌスマリア・テレジアポンパドゥール夫人にエリザヴェータといった同時代にまみえることが出来た人物。これらの出会いがあったからこそ世界史が劇的に変わった。ハンニバルスキピオに至っては会敵から戦後までもが小説のような味わい深さがある。

 まさに、事実は小説よりも奇なりの言葉通りだ。
 

 

 要は真田さんが天才であってはならない理由はないし、天才であることがご都合主義の指摘の根拠にはなりえない。

 


 勝手に新兵器造るというのは実際は軍紀違反という話もある。確かに黙って勝手に作ったのならばマズイだろう

 ただ、アステロイドシップ計画についてはちゃんと艦長に確認を取っている。それにヤマトの作戦自体がクルーに全権委任的な作戦であり、特異な環境下での任務であるという事を加味すれば多少違った判断もあるかもしれない。
 また、ヤマト2で真田さんは地球防衛軍の科学部門で明らかに機器を自由に使える立場である事は、テレサのテープ解析の描写で確実。つまり、左遷気味なヤマトクルーの中にあってそれなりに昇進していらっしゃる模様。ヤマト改装についてあまり強い立場ではないようだが、それなりに階級が上ならば意見が通しやすくなるのは当たり前。

 ヤマトよ永遠にではイカルス天文台を完全に任されているため、一定程度の裁量が許されていると考えても不思議はない。ヤマトⅢにおいても同様の待遇だし、完結編においては観測任務での特派だったらしいヤマトに乗り込んでいるのだから第一級の技官扱いなのだろう。

 ずっと触れてこなかったが、復活編では長官にまで上り詰めている。この時、ヤマト再建に関わる一切を担当していた模様。トランジション波動砲ってあなたねぇ……

 

 正直、真田さん――ヤマトをおもちゃにし過ぎだと思う。この人すぐにヤマトを改造したがるし、しかも毎回派手。事実上、防衛軍にとって戦闘以上に技術面において成果を出している、何なら古代君より戦上手な真田さんは政治に口を出さなければ十分伝家の宝刀と言える存在だろう。待遇が古代君たちに比べて上で、がっつり上に食い込んでいることを考えて、彼が新兵器の私案をいくつも誰に頼まれるでも無く考えているのは常態化し、防衛軍も見逃しているのだろう。

 それはそれでまずいが、あの防衛会議を抱えた防衛軍だ。ガバナンスが残念でも不思議はない。

 

 

 この記事で明らかにしたかったことは、真田さんの発明は全て下準備が行われた上であるという事。そして、驚異的な天才は存在し得るという事。あとハンガリーは何かスゴイ国という事

 真田志郎というキャラクターはご都合主義でもなんでもない。ごく自然な存在である

 

 

 

ストーリー考察Ⅲ・疑惑の人事――宙ぶらりんの土方さん――(主にさらば)

 

 

  なぜ宇宙戦士訓練学校の土方校長が、第11艦隊の司令官に配置換えになったのか。リアルにはあまり聞かない人事である。また、ヤマトクルーの人事、というのも中々に疑問がある。特に前者はご都合主義展開と言われかねない

 これは中々に考証・考察のし甲斐があるのではないだろうか。

 これは中々に考証・考察しなければならない事案なのではないだろうか。

 

 

 

 土方人事の疑義

 宇宙戦士訓練学校の校長職から前線の艦隊司令職への配置換えは結構珍しいといえるだろう。合理性が無いといえばウソだが、妥当かどうかも微妙なラインである。

 

 現実問題、教育部門から前線の隊司令になるって……あんまり聞いたことがない

 海上自衛隊では教育機関として幹部学校、幹部候補学校、術科学校とを設けているが、これらの学長を務め上げた人物は後に総監か退官あるいは後方の高位司令官が後職だったりする。無論、隊司令に復帰する例もあるが大体が70年代と色々あった時代。

 陸海空合わせた大学校や幕僚学校でも大して事情は変わらず、総監への昇進や退官が多い――というか、前者に至っては歴代文民だし。

 少なくとも、海上自衛隊で教育者から前線指揮官になるという例は稀、と言えるだろう。

 

 宇宙戦士訓練学校の校長職から第11艦隊の司令官に就任。普通に考えれば稀な人事と、説明することが出来るだろう。平然と述べてしまったが、そんな人事が普通に行われるというのは、それはそれで合理的ではない。これを説明するには……
 何か、裏に動きがあったとするのが――すっきりした説明と言えるだろう

 

 

 

 動きの推測
 パターンⅠ:本人の意志
 土方竜という武骨男の性格からして不思議はない

 教育というものを当然軽視はしないだろうが、防衛軍全体の現状を鑑み戦闘の専門家が一人ぐらいは前線の最も危険な任務に当たっても罰は当たらないだろう。そういう判断。

 普通、この手合いの人事は通らない。が、防衛会議のあの様子を考えるとあり得ない話ではなくなってくる……。

 

 

 パターンⅡ:防衛会議
 防衛会議にとって、あの武骨で強引なワンマンは確実に邪魔だ土方さんって、説明って物を省く癖があるから周りが付いてこれない。パワハラというか、モラハラチック。昭和の武骨男の典型例みたいな人だ。
 無論、長い付き合いだとこれが大体察しが付いてくるし、別に下に責任を押し付けるタイプでもない、何ならかぶってくれる。しかも彼の行動は一貫している。これ、一度なれると、ゆとり世代も悟り世代も案外普通に付き合える可能性がある。


 が、防衛会議の意に沿う行動をするかといえば――多分答えはNOだろう。むしろあの危機感のない雰囲気と平気な懲罰人事。特に大きな問題を起こしたわけでは無いのに、不当な人事。そんな事を平然と行うような彼らを放っておくとは思えない。


 防衛会議としては、次世代を育成する立場で数年がかりで防衛会議の危険の種をまき散らす土方校長は……ガミラス以上の敵と言えるかもしれない。

 ならば、ちゃっちゃと前線に出してうっかり敵と戦って戦死してくれた方がうれしい。

 


 パターンⅢ:長官の要請
 これは意外とあり得るパターン。しかもパターンⅠ・Ⅱの複合という可能性もある
 何といっても、ガミラス戦で多数の宇宙戦士を失い、防衛会議はあの体たらく。防衛会議の人事案を唯々諾々と受け入れてはどう考えても地球の為にはならないだろう。誰か、信頼できるちゃんとした艦隊司令を一人ぐらいは置いておきたい
 そんな中で目に留まったのが土方竜

 長官と親しかった沖田艦長の同期で、古代が宇宙戦士訓練学校にいたころの校長。つまり、現在戦闘の最前線にいる人間たちの機微が判る人間だ。艦隊司令に適任。適材適所だ。

 土方さん本人も前線で指揮を振るう必要性も感じていただろう。

 防衛会議も前線に放り出したかっただろう。長官が口添えをすれば、防衛会議的には待ってましたという人事だろうし、土方さんとしても断れない。


 多分、長官も土方さんも、第11艦隊という辺境地域の艦隊司令というのはさすがにびっくりしただろう。が、拒否する理由というのはほとんどないだろう。

 

 

 

 校長からの転出。その理由
 みんな教育というものの威力を軽んじているのではないだろうか。教育の内容、それは一個の人間を大きく左右し得る。これは軍だろうが一般教育だろうが関係ない。

 

 以下、一般論。
 昨今、無償化ラッシュで色々と教育環境が変わり、歓迎する向きもあるが――懸念はある。一つは、無償の範囲内に教育の規模が縮小してしまう可能性。従来通りの教育では無償化の予算では足が出てしまう場合だ。もう一つはそのカリキュラムをお上が完全に牛耳るという事。無償化の財源を提供するお上の定めた教育課程以外は認めない――無償なんだからそれぐらい我慢すべきという世論形成は容易だ。教育の内容が事実ではなく、真実であったとしても、容認されてしまう危険がある。
 教育は冷静に見ると人間形成という日の当たる面と政治という暗い面の背中合わせなのだ。

 

 

 土方校長率いる宇宙戦士訓練学校では、どんな卒業生が輩出されるだろうか
 恐らく、セオリーを破った戦闘を行う事に果敢に取り組む戦闘的な指揮官や戦死が輩出される。多分、防衛会議の指針にもNOと突きつけるという事もあるだろう。防衛大学校は一年に500人ほどの卒業生を輩出す。同数を宇宙戦士訓練学校が排出するとすれば5年で2500人、もの土方イズムを受け継ぐ防衛会議の敵が排出され、防衛軍の要職に任官され得る。防衛会議からすれば、物凄い影響力を持つ反対勢力、ものすごい数の敵であるといえよう。
 さっさと切らねばならない。

 


 でも、別に不祥事は無いんだよな……。

 

 

 さて、後方に下げられる指揮官とはどんなものか。
 ウィルソン・ブラウン提督は健康問題と攻勢への積極性欠如の二点で後方へ下げられた。フレッチャー提督ゴームレー中将もまた、それぞれの理由によって最前線から後方へと下げられた。彼らの場合は、更迭というよりよりふさわしい任地への配置転換だから気に病むほどの事はなかっただろう。
 キンメル少将パウナル少将の様に思いっきり更迭されて後方に下げられる人物もいる。これはちょっとかわいそうな面のある人物だが、それなりの理由があって後方に回された。

 
 教育に回される指揮官はどんなものか。
 例えばタワーズ大将は航空戦力の育成に従事し、本人は前線に出たがっていた節があるが――色々とあって戦闘には参加できなかった。先ほど例に出したパウナル少将は更迭された先が最初はハワイの航空指揮官、次が飛行学校の教官。戦後に関して言えば、スプルーアンス提督も大学校長に就任してそのキャリアを終えた。


 平時において教官を務めている人物は、戦時において前線に引っ張り出される例は結構ある。ただ、校長クラスだとまずない。特に大学校ではあり得なかった。
 例えばエドワード・カルブファス大将ウィリアム・パイ中将なんかは(後者は一応前線指揮官でもあったが)大学校長(President of the Naval War College)として教育の拡充やその効率化を図るために走り回ったが、前線指揮はしなかった。戦中戦後も前線への、配置転換もなかった。

 海軍士官学校長(Superintendent of the United States Naval Academy)でも大差はなく、ウィルソン中将こそキング中将の幕僚部に迎え入れられたが、後任で開戦後すぐに校長に就任したビアドール少将は前線には顔を出していない。フィッチ大将もまた、元々は前線指揮官だったが大戦末期に後方に回って以降は前線には立っていない。

 

 要するに、中堅以下の教官であれば配置転換で前線に赴く可能性もあるが、トップまで上ると前線には顔を出さなくなる。キャリア的には悪くはない待遇である為、より上級職に転属することも十分あるが、しかし、前線で部下と共に航海などという事はなくなるのだ。


 日本の場合は事情が異なり、戦前戦中に小沢中将や井上大将なんていう学校長経験者が前線に引っ張り出されたりあるいは引っ込んだりと色々な例がある。
 人的資源の枯渇という理由もあるだろうが。

 

 

 前線指揮官を後方に下げる。こういった人事のいい面は、現行・最新の戦闘を後方へ伝え、最新の戦闘に順化した戦士たちを送り出すという理に適った側面もあることだ。部隊を率いるには運や度胸に多少の難があっても、頭が切れる人物ならば失いたくはない。無理に前線に出して危険を冒すよりも、後方に回って後進育成に力を入れてくれた方が有意義。

 いくらでも有意義な面は上げることが出来るが、今回はこれまで。

 

 

 

 さて土方さんはどうか。
 ガミラス戦役中は基本的に校長職在職だっただろう。それ以前に前線に出ていたかは不明だが、出ていても不思議はないはず。

 そんな彼が後進育成のトップを務めるとあればアメリカ軍なんかの例を見れば……ほぼ確実に前線指揮官としてのキャリア終了と言えるだろう。もしキャリアアップをの望むならば、この後は長官直属の顧問や防衛会議のメンバーに名を連ねる事になろう。それが順当。

 

 だが、彼は前線に出た。

 珍しい事と言えるだろう。彼は単なる教官ではない、校長先生だ。校長は訓練学校の最高指揮官である。講師レベルの教官や学科や学部長レベルではない。若手指揮官や中堅指揮官ではなく大規模部隊を仕切れるクラスの将官である必要が有る。

 そんな人物の転出先であるならば、同じだけの格が必要


 果たして、宇宙戦士訓練学校の校長職が第11艦隊司令官と同格なのかは……不明だ

 訓練学校がアナポリスレベルであれば、階級的にはギリギリあり得る差配に落とし込める。が――やはりアナポリスと大学では格が違うのだ。後者は平時なら当然4つ星提督ぐらいは必要。前者の3つ星提督とはワンランク異なる。
 ちょっときついか。

 

 

 かなり、いびつな人事と評せざるを得ない。

 やはり、これらの中々にいびつな人事を説明づけるには政治マターな案件だったと理由づけるのが妥当だろう。


 防衛会議にとって、土方校長がカルブファス校長よろしく、良い教育の為の指揮権拡大などを目指すようなら、それは目障り以外の何物でも無い

 彼が校長職についたという事は、これから一筋縄ではいかない土方チルドレンがたくさん生まれてくるという事、土方イズムが染み込んだ面倒な士官がわんさか。防衛会議にとっては地獄だろう。
 戦時においては、そういう武骨で頑固な軍人の存在は決して邪魔ではない。前線で死をも恐れず地球の為に戦う、そういう戦士諸君こそ必要


 だが、平時においてこの頑固者集団は面倒の種以外に形容しがたい。しかも、校長というバリバリ影響力を行使できる立場、後には防衛会議メンバーなどの高位官職が待っている立場。これはマズイ。さっさと引き摺り下ろして、適当に現場の雑務を挟んで昇進の道を断ち、退官間際に幾らか階級を進ませてあげれば問題ないだろう
 防衛会議がそう判断してもおかしくはない。だって防衛会議だもの

 であるならば、第11艦隊司令職を土方さんに伝える事も不思議ではなくなる。また、土方さんがその辞令を甘んじて受けるというのも、この体たらくを憂いてこそとすれば不思議はない。

 

 

 防衛会議にとって誤算だったのは第11艦隊がガトランティスに襲われた事であり、土方司令が戦死しなかったこと。
 奇襲とはいえ襲われて敗死すればさすがに、土方イズムを絶対視することは難しくなる。土方チルドレンも大きな顔はできなくなる。

 だが、生き残り、敗軍の将は兵を語らずと――もう、この姿勢自体が土方イズムだ。今まで以上に絶対視・神格化が進む可能性もある。しかも、白色彗星=ガトランティスが敵であると判明し、その脅威を放置した防衛会議は赤っ恥を描いた。
 もう、防衛会議は土方さんの事は放置する他ない。突っついた途端にブーメランになって帰ってきてしまう。

 

 

 ヤマト2においても事情は大差ない。
 艦隊総司令というのは戦時にならなければ大きな力を発揮しない

 予算だのは全く自由にならないし、作戦プロットは当然防衛会議の制御下にある。人事だって普通の軍隊ならば、艦隊の上に立つ長官の専権事項だし、その長官は防衛会議には敵わない。

 土方さんは地球艦隊総司令になった所で、何一つ自由にはならないのである。

 

 なぜ防衛会議は土方さんを恐れるのか?

 それはある意味、仕方のない事である。宇宙戦士訓練学校の校長職では軍人教育の専門家でなければ――あるいは土方さんを良く知る人物でなければ彼の真意を見抜くことは難しい。そうして刷り込まれた土方イズムはいつか防衛会議に牙をむく。

 第18話で見た独断専行、あれが頻出しかねないのだ。

 

 それを防ぐには、昇進に近い形でより重い役職に持ち上げるのが妥当。たとえ実権があっても縛れる程度、役職に基づいた派閥形成の難しい立場。長官の幕僚になっては困るから、防衛会議の制御下における程度の立場。

 艦隊総司令職が相応しいだろう名誉だし、高官だし、艦隊を勝手に動かしたら懲罰すればいいだけだ。艦隊総司令には絶対的に覆されない権限というものが一ミリも存在しなし、存在しえない。

 ちょうどいい役職が見つかった。

 

 

 例えるならば……奏者番にならずに寺社奉行になってしまった大岡越前だろうか。

 寺社奉行は所詮旗本の役職である町奉行とは異なり、役職の独立性が強くまた、就任するには大名格でなければならないため必然的に格式も高い。

 忠相は血筋も結構優秀だし、何より頭が良い。ただ、現有の家禄では……大名には足りなかった。実は、寺社奉行には専用の詰め所がなく、だから寺社奉行は普通は兼務される奏者番の方の詰め所を利用する。ただ、奏者番は大名じゃないとダメだったりする。忠相、まだ大名じゃないんだよなぁ……。

 この事態が発生してから大分後で気が付いた新さん。この人、何でか知らないが、割とざっくりした人なんですよね……もっと早く気づいてって。で、気が付いた新さんは寺社奉行専用の詰め所を開設。奏者番なしの寺社奉行なんてあんまりあることじゃないから、殆ど忠相の為に創ったようなもの。

 

 

 


 ともかくとして、防衛会議には宇宙戦士訓練学校の校長職に土方竜を置いておく理由はない、むしろ置かない理由の方がたくさんあった。

 

 さて、後任人事はどうであったか。ご存じ、山南さんだ
 山南さんは黙っているようでいて割としゃべるが、しゃべる割にはその頻度は少ない。自分で腹案を持っていそうなのだが、しかし周りの進言というものに大いに左右される。


 まあ、無能な人間から見れば彼は自分と同じく無能に見えるのだろう。
 だが、普通の人間から見れば十分有能と言える。これは別の記事に纏めたいと思う。


 何はともあれ、防衛会議は土方さんに代わる後任人事というものは幾らでもあったという事。だから政治の絡む長官とは異なり、土方さんの事は気兼ねなく干せた。出来るだけ速く影響力の小さい部署へと放逐しようと試みた。

 その結果が第11艦隊司令。あるいは地球艦隊総司令。確かに高位だし名誉な事ではあるが――結局のところ、防衛会議にたてつくにはあまりに政治力・権限・影響力が小さすぎる。そういう役職に追いやった。

 そう結論付けられるだろう。


 結局、自らの悪行と運命の差配によって防衛会議は自壊してしまったが。

 

ストーリー考察Ⅱ ――違法辞令、そして反乱――(さらば/ヤマト2)

 


 さらば宇宙戦艦ヤマト、ヤマト2(以下、ガトランティス戦役)の第一の問題はこのヤマト発進自体にある。いわゆる、ヤマトの反乱だ。

 

 

 松本作品らしい冒険譚の始まりとしてはこれ以上ないものだろう。だが、軍というものに属しているヤマトがそれをしては本来はマズイ。いかなる理由があろうとも、実力部隊が法や規則に従わないとあればそれは即刻進退どころか逮捕事案となる。

 にもかかわらず、不問に処せられているのだから大変だ。桜木版小説では最後の方まで反逆者扱いだが、映画・テレビシリーズ共に不問に処せられている。


 普通に考えればヤバい。
 これの事案を検証し、筋道を立てた理由づけを試みたい。

 

 

 

 まず、第一に――これは軍紀違反だ。

 軍法会議ものである。

 

 

 

 ヤマト発進・クルー目線
 発進理由は極めて明確防衛会議がポンコツでちょっと口答えしただけでブチ切れて大人げない懲罰人事を展開した。これにある。
 さらばに至っては――戦闘のプロを、対外戦闘の経験者を、宇宙戦士訓練学校の教員なり補佐なりに採用することもなく、本部に置くこともなく、周辺域の探索や警備に用いることもない。つまりは全く能力を評価しない人事を敢行した事自体がそもそも問題なのだ。挙句にあっちこっちへ、数日の有余すらない移動命令

 これは不当人事以外の何物でも無いだろう。

 

 普通に防衛軍の法務部に訴えれば少なくとも移動命令の発動自体は一定期間憂慮され得る。人権は弁護士に頼めば恐らく、人権侵害として防衛会議相手に訴訟だって考えられるレベルだ。


 さらに言えば、長官の沈んだ表情から推測するに、彼は防衛会議の一通りの懲罰人事抵抗したと思われる。古代の発言のおかげでヤマトもとばっちりを食らい、長官は防衛会議から目の敵にされる。

 普通に懸念を伝え、不審を伝えただけなのにこの反応は……これは防衛会議自体が腐っていると評せざるを得ない。2201年に文春や新潮が生き残っていればほぼ確実にスクープを取りに行くレベルの事案だ。

 

 

 懲罰人事だけではない。

 ヤマト廃艦はより、話にならない。


 陸海空自衛隊だって、予備機として古い機体をモスボールする例は結構ある。専用の練習艦の代わりに、型の古くなった護衛艦を当てて一種のモスボールとすしてしばらく運用する事もある。
 アメリカもしばらくの間戦闘艦艇をモスボールとしてそのままにしている。無論、記念艦としての任を受ける場合もあるが、大きな改修を施して準然たる記念艦とすることはない。

 

 が、地球防衛軍はどうか。ヤマトはどうか。

 どうも怪しい。まだ利用可能な戦闘艦を即刻廃艦とする必要性など無いし、栄光の艦として記念艦とする――地球防衛艦隊は再建途中であり大型艦の数は限られている。自ら戦力を縮小するのは愚策以外の何物でも無い。
 仮に新主力艦隊と戦列を組めないならば、沿岸防衛艦として配備すればいい。それもしない。

 すべき事を一つもせず、検討すべき事を一つも検討せず、合理的な行動もしない。

 はっきり言って防衛会議は背任行為を行っていると断じざるを得ない。

  

 

 止めに、白色彗星に対する侮りだ。
 全く詳細不明の敵かどうかもわからない相手に危惧を示すのも確かに過剰反応だったかもしれない。テレサのメッセージだってあやふやだ。
 だが、敵だった場合の対策を全く建てようとしなかった。防衛会議が正気かどうか怪しい。挙句の果てに現有戦力で簡単に対処できるなどと豪語アイツ誰だよ即刻防衛会議を追放だ

 

 それを目の前で見せられれば誰だった立ち上がって抗議をしたくなる。

 史上初の天体現象を確認しておきながら、それを観測し様ともしない、調査しようともしない。この、ガミラス戦役後にもかかわらず……21世紀のダメ官僚並みの腐り方だ。

 普通、戦争した後なのだから上から下まで感覚が研ぎ澄まされ、なお一層慎重な動きをしても当然なのに。


 目の前でこんな無法を行われては、黙ってはいられないだろう。そこを黙ってこらえるのが軍人なのだが……

 

 

 

 ヤマト発進・防衛会議目線
 防衛会議は新しい問題に直面した。ヤマトクルーだ。たかがガミラスと戦った程度の小童どもが、偉大なる防衛会議を侮辱したのである。許すわけにはいかない。専門家でもない虫けらが専門家集団である防衛会議にたてつくなど、あり得ない。徹底的に潰して、後に続くような無能反乱分子を殲滅せねばならない

 地球防衛艦隊の新しい設計に、全く適合しないヤマトなど、活用する価値も隙間もない。スクラップにならないだけ泣いて感謝すべし

 緊急発進? 軍法会議にかけて処罰すべし。一人残らず処罰すべし。全ての勲章や肩書をはく奪し不名誉除隊の上、懲役刑。なんなら絞首刑でも構わない。

 

 

 要するに基本的にこいつらは単なる権威主義寄生虫
 御用学者だってもう少しマシな行動をするだろう。御用学者は政府の行動を全て性善説で捉え、それを受けて進言するからまるっきりお話にならないが、それでも限定的な場面においては言っていることは正しい。
 が、この防衛会議は丸っきり妥当性を欠く。

 単なる税金泥棒、パワハラモラハラ集団以外の何物でも無い。保身と地球への背任行為しかやることのないらしいね

 

 


 ヤマト発進・長官目線
 不明天体現象、不明なメッセージは現実として存在している。これをまるっきり無視するのは防衛会議の職務放棄以外の何物でも無い。地球の危機かもしれない何事かを議題にしているのにもかかわらず、途中でヤマトクルー個人の問題に論点がすり替わっているというのも、不信感満載。


 確かにヤマトクルーの発言も行動もかなり行き過ぎたモノがあるといわざるを得ないだが、彼らの地球を守りたいという意思は疑うべきではないし、防衛会議の面々よりも正義感も強い


 出来れば、ヤマトクルーを守ってやりたい。


 だが、自分にはそれだけの権限がない。自身の権限の範囲内で出来ることをしてヤマトクルーの行動を阻害しないこと以外は、出来ない……

 


 防衛会議の力が強すぎて長官はほとんど身動きが取れないとみて相違はないだろう。

 普通に考えれば、ヤマトクルーと防衛会議の折衷案としてヤマトを調査に向かわせるという方法もあっただろう――いや、あの防衛会議ならそれすら却下するはず
 問題なのはあの防衛会議の面々にどうやら政治家らしい人物が顔を出しているらしい事。また、長官とは別派閥の軍人も顔を出しているらしい。下手な動きをすれば長官自身の首が危ない。ガミラス戦役で重大決断を下し続け踏ん張った長官で、恐らく同じくガミラス戦役で命を張った軍人たちは従わないだろう。

 仮に論功行賞や政局で長官の後任人事が決まれば防衛軍の士気や組織構造が悪い変化を見せかねない。

 組織を守らなければ=健全に保たねばならない長官としては、防衛会議をないがしろにするわけにはいかないだろう

 

 


 では、なぜ止めなかったか。

 

 まず、ヤマトクルーは決意を以て飛び立つのだ。止めるわけがない

 仮に白色彗星が杞憂だったとしてもやるだけの事をやったのだから、軍法会議で有罪になっても構わないはず。それだけの覚悟を以て出航したはず。
 端っから軍紀違反というのは十分理解していた


 長官もまた、止めないだろう。そもそも、ヤマトクルーそれぞれの現在の上司が察知して彼らを止めるのが道理

 止めるのに失敗したとしても憲兵なりが彼らを調査し、反乱の兆しがあればその前に逮捕すべき。長官が前面に立ってヤマトクルーをどうのこうのというのはある意味越権行為。不可能だし、構造的に不可・不自然
 軍人の反乱を止めるのは軍として当然だし、事前に阻止すべき。それが出来なかったのだから防衛軍全体に構造として問題があるといわざるを得ない。この場合、結局長官も責任を負って進退を考えなければならないだろう。
 だったら、出航を止める必要性はない。
 やるだけの事をやらせてあげて、長官に損はないし何より――悔いは残らない

 

 

 興味深いが、深く考えると防衛会議もまたヤマトを止める必要はなかったりする。


 長官はあまりにも軍人側に立ちすぎる。彼が軍属であろうとなかろうと、その立場は防衛会議にとっては不愉快だ。長官を排除するにはまず失点を出してもらわなければならないヤマトの反乱はその一大好機と言えるだろう

 しかもヤマトクルーは防衛会議に対して不満を持つ不遜な輩ヤマトが反乱を侵すことで長官もヤマトクルーも一時に葬ることができる。
 もしヤマトの出航を止めてしまえば、一つ一つ対処せざるを得なくなる。

 一気呵成に全てをガラガラポンした方が手っ取り早いと、あの防衛会議メンバーなら考えてもおかしくはないだから、彼らはヤマトを止めなかった。止める気がさらさらなかった。
 

 

 

 では、なぜ不問になったのか。
 政局に要因があるといえるだろう。誰もヤマトを責めても得をしないのだ。

 

 


 ヤマトクルーはそもそも不問にするしないの決定を出来る立場にはない
 仮に自身を律するとしても、正しいと思って出撃したのだから罪に問う必要はないと判断するだろう。あの人達、そういう人たちだもの。

 悪法も法というが、別の法とかち合う場合はそれは正しい法ではない。相対的な判断でどうなるかが別れ、結局司法の場に出て正面からぶつかり合うしかない。


 それに、防衛会議が背任的な地球への脅威の不適切な評価を下した。それに対するために出航したという大義名分・錦の御旗がヤマトにはある。少なくとも全てをぶちまければ世論がヤマトの味方になる可能性は十分ある。
 勝機はある。だから自身を自身で不問に付しても不思議はない。
 軍人なんだからそこは規則通りに行ってほしいが

 


 長官はヤマトと同じ立場と言えるだろう。
 防衛会議の腐った様子からすれば、調査の為の戦闘艦派遣だって否定するだろう。地球の危機かもしれない事に何一つ対処しないのだ仮に長官がヤマトクルーに要請して特務艦として派遣できるならばそれが一番だが、防衛会議はそれを差せないような懲罰人事を発表したのだ。
 長官自身がヤマトクルーをそそのかせば、前代未聞の大不祥事になる軍紀を守らせなければならない立場、軍の平時における最高司令官が軍紀を自ら無視するように仕向けるなんざ最悪だ。巡り巡って政権が倒れる事も可能性としてはあり得るし、それを危惧した首相は長官を切り捨てる判断をしかねない。だが、幸いにもヤマトクルーは責任感と正義感を以て自ら出航した
 まず、長官は自身には非がないというか――止める手立てがなかったと申し立てることが可能。うまく立ち回れば責任を追及される側ではなく、責任を追及する側になれる。


 さて、ここからが長官の政治手腕。
 長官は空間騎兵隊をこっそり乗り組ませたこれは反乱が防衛軍の指揮系統に不満を持っただけの事か、地球に対するものかを見極めなければならない、だからその役割を持たせたと各所に説明できる。起きてしまった反乱を武力で潰せば禍根が残ることは必定。それを回避するための、同じ軍属でむしろ乱暴な空間騎兵隊による同調での説得を試みた。あくまでこれは白色彗星が敵ではなかった場合の説明


 実際に白色彗星は敵であった。第11艦隊の壊滅で判明したのだ。

 要は、長官は賭けに勝ったのである。


 ヤマトが先んじて出撃してくれていてよかったといった具合である。ここで、全てをひっくり返すウルトラC的説明をする必要出来る。むしろ、ウルトラCを決める機会はココしかない。


 つまり、ヤマトを反乱時まで遡って特務艦として派遣したと議事録や命令を書き換えるという事だ

 端っから特務艦として派遣し、有事に備えて空間騎兵隊を乗り組ませた。完璧な危機管理能力として称賛されるだろうさすが、ガミラス戦役で指揮を振るっただけの事はあると称させることは間違いない

 世論を味方に付ければ、政治家も味方につけることは容易。政治家じみた防衛会議を黙らせることなど赤子の手をひねる様なもの――むしろ、赤子の手の方が心がとがめて捻れないレベル。

 議会でも議事録を書き換えたという事を明記した上で削除・文言追加はままあるから珍しい事ではない。同じことをヤマトに関する記録でやればいいだけの事だ。難しくはない。
 ヤマトは初めから特務艦として派遣されたというシナリオであれば、全ては丸く収まる。長官の絶妙なシナリオ。

 

 

 

 意外な事に、防衛会議も不問に付すしかない。
 なぜなら、第11艦隊が壊滅してしまったからだ。


 実際に白色彗星が脅威であり、事前にヤマトクルーはそれを危惧し報告を上げていたにもかかわらず、退けた。これは不作為の罪というヤツバレたら世論が黙っていないだろうまして相手はガミラス戦役の英雄たちだ。ある事ない事週刊誌や報道に載せられ、家族も又そのターゲットになる。下手すりゃ、自分たちの政治生命もおしまいだ。

 
 しかも、長官は空間騎兵隊をこっそり乗り込ませている。第11艦隊が壊滅した今、これはむしろ名采配という事のなるだろう。脅威評価を適切に行い、手立てを打った。という事になるだろう。

 反対に防衛会議はまるっきり長官に後れを取り、存在意義すら疑われてしまうレベルだ。完全に後れを取ったといえる


 挽回せねばならないあるいは、全部を隠蔽する他ない。残念ながら、今更危機感を高めて機動的に動いたとしても、初動の遅れは後々までつつかれてしまうから――いかんともしがたい。

 


 防衛会議に勝機があるとすれば、空間騎兵隊の事前乗り込み。つまり、長官がヤマトの反乱を容認したという事だ。
 ヤマトに対しては防衛会議は完全敗北だが、長官に対しては痛み分けが可能――反乱を知った上で留めなかったのなら、ガトランティス戦役発生は塞翁が馬としても、結局はどこかで罪の問われねばならない。

 

 もし、長官が自身の黙殺行為の黙殺と引き換えに防衛会議の不作為の黙殺を承諾すれば、全ての失敗はなかったことになる。

 ヤマトクルーは長官を信頼しているし、自身が更なる正義感に突き動かされて防衛会議の不作為を暴けば長官だって傷つくことぐらいは理解できるだろう。長官が防衛会議を許せば必然的にヤマトクルーも防衛会議を見逃さざるを得ない長官はヤマトクルーを守りたいのだから、防衛会議に忸怩たる思いを抱いたとしても、その提案に乗らざるを得ない。


 確かに、ヤマト出航時点ではヤマトは反乱者以外の何物でも無い。それを裏からサポートした長官も防衛軍を追われる立場だっただろう。
 だが、第11艦隊の壊滅が全てを変えた
 ヤマトの出航は正しい事であったと、事後に判明したからだ。これで、不問に付す以外の選択肢は存在し得なくなった。

 

 

 正義感に燃えて立ち上がったヤマトは、愚かな防衛会議から地球を守った。そんなヤマトを万全の状態で出向させた長官は名伯楽。防衛会議は下手すりゃガトランティスより地球の敵と言えるだろう。

 このシナリオだけは避けなければならない

 


 もし、防衛会議が軍律に従ってヤマトクルーを軍法会議にかけたとしても世論の後ろ盾は期待できない。政治家が首を突っ込んでいる防衛会議はこの状況をよしとしない。長官は端っからヤマトを不問に付したいと思っているだろうし、ヤマトクルーは判断する立場にない。

 仮に、防衛会議が踏ん張ったとしても結局は大した罪にも問えない。
 下手に不名誉除隊でもしようものなら、どっぷりかかわった長官にも飛び火する。防衛会議にとって、藤堂長官はそこまで悪い人事ではない。うっかり防衛会議が首相に潰されればそれも洒落にならん。


 長官は軍人に寄り添いすぎるが、しかし自分の政治力や立場を判っているゆえに防衛会議を立ててくれる。これが軽い神輿だとそうはいかない。馬鹿であれば余計なことをして防衛会議の闇を図らずも暴露しかねない。重い神輿だと改革の矛先を防衛会議に向けかねない。

 そこへ行くと藤堂長官は絶妙な立ち居振る舞いをしている。防衛会議としてはむしろ、彼の影響力が一回り小さくなる程度で良しとするかもしれない。あんまり権限を小さくして辞表でも出されたら迷惑だし。
 それに、長職だ。恐らく、首相が組閣した内閣の一因だろう。下手に突っかかっても首相や大統領を敵に回す藪蛇にもなりかねない

 だったら、長官を牽制がてらに八つ当たりでヤマトを叩き、しかし結局は不問に付すというのが防衛会議の賢い立ち居振る舞いといえよう。とっても情けないが。

 


 つまるところ、者三様にヤマトの出航を不問に付す以外の選択肢を持ち合わせていないのである

 ウロボロスの様に全てが絡み合っているため、発端をなかったことにすれば全てがなかったことになり得る。

 発端が無ければ、誰も傷つかない。

 

 やだねーこの不気味なリアリティ。
 ヤマト2においては更に艦隊司令部まで絡んでくる。

 

 

 

 

 ヤマト2において。


 どう考えても防衛会議に忸怩たる思いを抱いている土方総司令が、ヤマトを見逃さないはずはない正確に言えば決意を固めたヤマトを見逃さないはずはない。
 土方総司令はあくまで命令を遂行するためにアンドロメダを進めただろうし、ヤマトの進路に立ちはだかった。そうしなければ自分の部下が全員処罰されかねないし、もう一つ、先輩としてヤマトが直面するであろう困難を体現する必要が有る。ヤマトクルーの決意の確認だ。

 つまるところ、ヤマト阻止に積極策を取らなかった長官と同じ。ヤマト出航の意義を認め、かつシンパシーを抱いていたという事。


 防衛会議はこれも糾弾しなければならない――が、土方総司令が総司令職に就任してそう長くはないはず。だとすれば新任早々に不祥事を起こしたとして、長官や人事を承認した防衛会議自身の失点となるだろう

 


 避けなければならない。

 

 

 土方総司令はヤマトを補足に失敗を告げている。参謀長は長官に逆らう形で防衛会議の指針を履行した。長官は参謀長を咎め、ヤマトの反乱をみすみす見逃した。

 これら混沌とした状況において、防衛会議は動かない事が最善策となる


 なぜなら、長官を咎めれば長官に反旗を翻し、地上への危険を無視した過剰とも思える行動をとった参謀長もまた咎めなければならない。防衛会議を忖度してくれたお友達にもかかわらず。下手に切れば誰も従わなくなる

 嘘の報告をした土方総司令も咎めなければならない。だが、土方総司令は防衛会議自身が承認した人事であろうし、そもそもヤマトクルーの危惧を取り付く島もなく一蹴した防衛会議の議事そのものにも問題があるといわざるを得ない。

 

 

 つまり、防衛会議は誰を咎めてもブーメランとしてその非難が自分たちの頭にぶっ刺さるという事。

 


 幸いにも、土方総司令は嘘をついた。長官は反乱を見逃した。ヤマトクルーは反乱したが、土方・藤堂両名には恩義がある。参謀長は防衛会議の指針に基づいたとはいえ暴走。
 これらは、バーター取引で防衛会議の不作為の罪をなかったことにするためのカードとして使える


 つまり、ヤマトの反乱自体が無ければすべてはなかったことに出来る。名付けて“ウロボロス的隠蔽構造”だ。


 特に、防衛会議は不問以外選択できない。
 ガトランティス戦役終盤には地球が直接砲撃を食らった。ヤマトは死に物狂いでガトランティスと戦った。これで最初は防衛会議を原因とした反乱だったとか、防衛会議がいじめ的不当人事をしたとかばらされたらヤバい

 長官は捨て身、ヤマトクルーは当然捨て身。防衛会議が敵う相手ではない

 首相や大統領は政治家である以上本能的に保身に走る。多分、朴槿恵政権における海洋警察の様に切り捨て・解体の憂き目を見るだろう。

 つまり、防衛会議はヤマトクルー、長官、首相、大統領、地球市民の全てを敵に回してしまうという事になる。多分、この話を聞いたらデスラー総統も防衛会議を嫌悪し侮蔑するだろう。

 防衛会議は、ヤマトの反乱は存在せず、初めから特務艦として派遣されたという長官のシナリオに乗っかるほかないのだ。

 


 この防衛会議の打算は自身の影響力低下を招いた。ざまあねぇな

 

 防衛会議は決心もなく打算で全てをなかったことにした結果、常に長官に脅される立場になってしまった。だって、防衛会議のあの体たらくを暴露されたらその時点で参加メンバーの政治生命は立たれてしまうから。下手すりゃイタリアの地震学者よろしく刑事訴追されかねない

 当然、ヤマトも防衛会議より上の立場となるだろう。彼らも長官同様、色々知っているから

 首相も大統領も、もし事実を知ったとあらば――この無能な連中を大切に扱うはずもない。いつか、自らが失態をしでかした時の為の捨て駒扱い防衛会議の価値はそれがせいぜいだろう。


 防衛会議は自分たちの思うがままに決定を下した結果、常にヤマトが立ち上がらなければ地球は滅亡してしまったかもしれないという事実におびえなければならなくなった。自らの影におびえる……実に滑稽。

 仮にその事実が世間の目にさらされるとあらば、もう防衛会議を専門家が集う必要不可欠な組織とは誰も見ないだろう。単なる無能なエゴイスト集団。何なら大統領選挙では当然防衛会議のあり方が争点の一つになるだろう。もう、防衛会議は死に体だ。

 仮に、暴露されなかったとしても――全く誰にも牽制が利かない。権勢が無くなる。そんな防衛会議は最早、単純に合法的に組織を運営するためのプロセスの一つとなり下がる。単なるパフォーマンスの一つでしかなくなる。

 以降のヤマトシリーズで全く登場しなかったこともうなずけるだろう。

 

 


 結果として、誰もかれもがヤマトの反乱を止める必要性を感じなかったし、不問に付す以外の選択肢を持ち合わせなかった。地球の為、保身の為、それぞれの判断で同じ決定を下したのである。

 そして、ガトランティス戦役が始まった結果、この本来ならば非難されるべき構図はうやむやにせざるを得なくなった。一種の超法規的措置といえよう。

 今回はそう結びたい。

 

 

エピソード考察Ⅰ 重大インシデント発生(さらば/ヤマト2)

 
 
 さらば、ヤマト2共に発生したアンドロメダ護衛艦のニアミス。ただし、その性質は両者で大いに異なる。内容も、評価も、影響も全く異なるのだ。

 今回はこちらを検証したい。

 

 

 


 さらば宇宙戦艦ヤマトにおいて、進宙式を終えたアンドロメダは即時公試運転に移る。他方、第三区輸送船団護衛艦は宇宙港への進入航路へ乗る。

 ここでたまたまタイミングがかち合い、両者はニアミスを起こしてしまった。

 

 

 はっきり言って重大インシデントだ。

 

 

 広いお空の上でそんな馬鹿な、という向きもあるが――実は空は決して自由な空間ではないのだ。空港はどこも進入経路を何十キロも前からほとんど機体と同じ幅で設定している。時代によって多少異なるが、航路中にチェックポイントをいくつか設けたり、大体最短コースと判明している航路の上をなぞったり、あらかじめ機械に入力して自動運転等、ほとんど限定的な航路しかたどらないのだ。
 要は、空の上にもハイウェイは存在するという事。むしろ一般道か。

 

 空の上を飛ぶのは宇宙戦艦も同じ。

 であるならば、航空機とは別の航路だろうが、宇宙艦同士の定められた航路があってしかるべき。だからニアミス自体はあり得るだろうと推測できる。
 だからと言って起きていい話ではない。

 


 ぶつかりゃ片方、下手すりゃ両方が墜ちる。

 まごう事なき重大インシデントだ。

 


 状況は前に述べた通り。
 普通に考えて護衛艦のたどった航路自体は以前から頻繁に用いているものだろうと考えられるほとんど遅れなく航行していたのだから時間もおおむね予定通りだろう。

 通信障害はアクシデントだが、しかし特段の報告が入らなければ、宇宙港側は護衛艦は予定時刻通りに予定航路で進入すると考えて当然。その前提で受け入れをするべき。

 そして、護衛艦は予定通りの行動をしている。


 護衛艦アンドロメダの航路を知っていたかは不明だ。

 地球から大分遠い空間を運航していたのだから知らなかった可能性も多少はある。普通に考えれば直前に伝えられただろう――が、案外嫌がらせで何となくでしか知らされなかった可能性もあろう。

 まあ、アンドロメダを知っていれば、式典と共に出航するとわかっていれば、事前通達がなくとも航路は予想が付いただろう。

 が、時刻に関しては確定的な事は分からなかったとしても不思議はない――というか、わからなかったとしても仕方がないだろう。式典の進行によって時刻は変更になる可能性があるのだから。

 何にせよ、これは管制官にでもアナウンスしてもらえればいいだけだ。
 ならば、護衛艦側の瑕疵はないと言える。

 

 アンドロメダ側はどうかといえば、式典を終えての出航だった。航路そのものは基本的に従来のそれに則った者だろう。特別な航路を用意していてもおかしくはないが。
 ともかく、式典の進行に合わせた出航と航路と言える。出航時刻は、式典がどれだけの時間を要するかによって幾らか幅が出るだろう。普通に考えれば式典の方を出航予定時刻に合わせるべきだが。であるならば、アンドロメダ首脳部には基本的に航路選択や出航時刻の選択は基本的に出来ない。

 護衛艦の進入に限らず、宇宙港の近くを通るのだから防衛軍の艦艇やらが錯綜するのは端っからわかっている事だし、当然地上の管制官の指示に従えば何の問題も無く飛び立つことが出来る事もわかっている。

 つまり、アンドロメダ側にも大きな瑕疵はないだろう。

 

 


 なら、どこに瑕疵があったか。
 管制官だろう。

 

 


 宇宙港が軍民併用なのかまるっきり不明だが、どちらでも大した問題はない管制官の所属が宇宙港になるのか、防衛軍防空局辺りになるのかの違い程度。


 まず、護衛艦の航路・到着時刻は何日も前からわかっていたはず。

 アンドロメダの航路・出航時刻も何日も前からわかっていたはず。

 

 確かに護衛艦の方は通信障害で一時様子が判らなかった。が、普通に考えれば普通の航空機の様に他の艦に第三区船団の護衛艦の様子を聞けばいい。これ、案外あり得る話で、別に空の上では不思議な事ではない。自分たちから情報を取りにいかなかった――管制官の瑕疵だ

 アンドロメダの式典は、横目で式典の進行状況を認識していたとしてもおかしくはない。もしかしたらテレビモニターでウォッチしていたって不思議はない。当然、管制官アンドロメダの出航時刻について大まかな予想が出来たはずだ。それも精度の高い予想。これに合わせて周囲の艦に指示を出せばよかった。全艦の進入を一時待ってもらえばいいし、余程の事がある艦であれば別の宇宙港へ誘導すればいい。それをしなかったとあれば――管制官の瑕疵パート2

 

 

 管制官のみが完璧に周囲の状況を把握できた唯一の存在と言える。

 つーか、そのための管制官

 


 この唯一の存在がアンドロメダ護衛艦を差配しなければならないのだ。にもかかわらず、結局航路が錯綜し、ニアミスしてしまった。

 防衛軍が事前に全ての宇宙艦を排除してアンドロメダの為に航路を開けた可能性もあるが、燃料の関係上どうしても寄港しなけれならない艦もあるだろう。場合によっては杓子定規に拒否はできない。だとしても、アンドロメダの航路を変更するなりさせればいいだけ。

 

 護衛艦の進路を変えさせても構わなかった。

 復路優先とはいえ、アンドロメダは艦隊総旗艦という優先権を保持した戦闘艦だ。法や規則に照らし合わせて差配すればいいだけ。特にさらばでは、古代艦は別に損傷を負ったわけでは無いのだから、当然、航路を譲ってしかるべき。

 

 

 管制官は一体何をしていたんだ。

 


 護衛艦アンドロメダ同じ航路に同じ時間帯に載せてしまった。これは最悪のミスだ。謝罪で済む問題ではない。内部調査必至。

 仮に、労働環境のせいで正常な判断力が無くなっていたとあれば、宇宙港の管理者に責任がある。防衛司令部防空局が担当であれば――であるとしても、同じ。早急な構造改革をしなければならない。

 


 護衛艦にもアンドロメダにも、ニアミスする以外の選択肢はなかった。ニアミスを避けるようにできたのは管制官だけだったが、管制官はそれに失敗した。

 この重大インシデントにおいて責められるべきは第一は管制官のみ。事故調査によって上司や宇宙港管理者にまで類が及ぶかは不明だが、少なくとも護衛艦アンドロメダに瑕疵はないとする事故調査報告が出来るだろう

 

 幸いにも両者はギリギリのラインで距離を取ってすれ違う事に成功した。本当にギリギリだった。大事故が起きなかったのは不幸中の幸いといえよう。

 

 

 

 ヤマト2においてはこれはまるっきり要素が異なる。

 これはヤマト側に大きな瑕疵がある。

 


 確かに外周艦隊第3護衛隊は不明な敵の襲撃を受けて損害を負っていた寄港も緊急を要する。その目の前にアンドロメダが現れた。


 このアンドロメダは地球防衛艦隊総旗艦である。航路の優先が内規ないし法令で決まっているのだ。しかも乗り組む土方総司令は最先任士官であり、古代進のような木っ端指揮官とは格が違う。いくら復路優先とはいえ、優先事項を二つも抱えたアンドロメダには敵わないのだ。まして味方の損害を伝えなかったヤマトが敵うはずがない。


 第3護衛隊にも前述の通り優先される事情はあったし、危機管理という意味で乗組員の生命確保という意味でアンドロメダが航路を譲るという選択肢もあった。多分、土方総司令なら道を譲った。

 が、いかんせん古代は艦隊の損害を報告しなかった。それではどうやってもアンドロメダに航路を譲ってもらえるわけがない。これは古代の個人的な新旗艦アンドロメダに対する悪感情によるところと推測できよう。

 


 ともかく、古代は適切な情報を上へ上げなかったことだけは事実。もしこの判断で死傷者が増えたならば軍法会議にかけられても仕方ないレベルだ。

 幸いにも土方総司令はきつい叱責だけで済ませてくれたからよかったものの、もしマジで防衛司令部に上げられては確実に防衛会議で針の筵になる。免職=不名誉除隊は免れない。私だって防衛会議のメンバーだったら古代を不名誉除隊にするよう投票する。

 

 古代にとって幸いだったのは、土方総司令が全てうやむやにしてくれたこと。
 ニアミスが起きた事自体はまごう事なき事実であり、しかし、恐らく……土方総司令はヤマトとの通信が上手くいかなかった、あるいは初期不良で自動航行やフライトサポートに問題が起きていた、等々の理由でごまかしただろう。

 それはそれでだめなんだが。

 

 

 この場合、重大インシデントであることには違いないが、どちらかといえば防衛軍のガバナンス問題という方が正しい。

 

 


 さらばにおいては事故重大インシデント

 管制官の差配の未熟さによって引き起こされた非常に危険な出来事。ただ、この件に関しては古代もアンドロメダ艦長も特に瑕疵はない、処罰される理由もない。

 

 ヤマト2においては軍法会議もの

 艦長同士の個人的な感情によって引き起こされた出来事で、軍律やガバナンスの大いなる問題だ。まあ、誤魔化そうと思えば誤魔化せるレベル。だが、やっていい事ではない。

 ただ、鑑みなければならないのは……これを表面化させると土方総司令のガバナンスに問題ありと防衛会議に利することになる。つまり、この事案は長官も古代も土方総司令も誤魔化すだけの価値のある事だし、ことさら取り上げるには値しない事ともいえた。いや、組織としてはまずいんだけどね。でも、お咎めなしになる理由は存在するといえるだろう。

 

 

 このような形で結論付けたいと思う。

 

拡散波動砲――第二期地球艦隊の切り札――

 

 
 拡散波動砲はさらばとヤマト2において登場した新型波動砲である。

 さらばにおいて第二期地球艦隊の華々しい戦果を印象付ける決戦兵器であった。ヤマト2においても白色彗星のガス体を取り除く圧倒的な威力を見せつけ、第二期地球艦隊の強力さを印象付けた。

 しかし、その存在は説明が非常に難しい。

 

 

 

 拡散波動砲、その能力
 通常の波動砲が点と直線を制する兵器であるならば、面と領域を制する兵器である。

 発射直後においては通常の波動砲と変わらないが、しかし一定程度進んだのち華が開くようにパッと拡散し、塊状になった波動砲の欠片が円錐状の空間を貫く。拡散した後の一発は原作の描写によれば4、50メートルほどの直径で大戦艦を文字通り粉砕した。

 

 拡散波動砲一発当たりの射程は不明。

 さらばにおいてアンドロメダ単艦での発射が見られたものの、射程等に関する数値読み上げなしであった為不明。他方げヤマト2において全艦隊による一斉射撃の準備の際に各種数値が読み上げられた。
 そこから推測するに、射程は11万宇宙キロほど。白色彗星の強大な超重力の作用に抗い6600キロ以上の円錐直径に拡散、これによって全体からガス体に過負荷を与えて崩壊させた。故に万全の状態における拡散範囲の数値は確定できない。が、アンドロメダのモニター描写から推測すると約5万宇宙キロから3万宇宙キロが拡散域と思われる。

 

 拡散したエネルギー塊一つ当たりは――恐らく3TNT換算エクサトンぐらいだろうか。物凄くテキトーな単純計算だが。

 これは拡散波動砲の一発が拡散するとそれが1000分の1程ならばの想定。途中で雲散するエネルギーだとか拡散した波動砲同士の干渉によるエネルギーの浪費等は全くテキトーに放置して計算したため、目安程度。まあ、これぐらいは見込める。
 また、拡散した一発は簡単にそのエネルギーが発散されるわけでは無く、恐らく塊状になったその形状ゆえに内部にエネルギーが対流するような形であれば、一隻や二隻を破壊した程度で全てのエネルギーが解放されるはずはない。

 

 つまるところ、拡散波動砲ヤマトの波動砲のように幾らか解釈の幅を持たせられる形式では無く、少なくともというかほぼ確実に単純な荷電タキオン粒子砲という事になろう。そうでなければ、拡散させることが難しいし、拡散させる道理が無くなる

 波動砲は水鉄砲とは異なるが、しかし凝集した粒子がそれに近いふるまいをすると考えれば、拡散させる方法は対流のさせ方でいくらでも可能。発射角であるとか、磁力の拘束であるとか……。だが、波動砲そのものが他の原理であるとかをベースにした場合はかなり拡散させるのが苦しい。

 

 波動砲がその正体としてホーキング輻射なり、情報奔流なりの説明がつけられる。

 が、後者なら一束のエネルギー流れは不可分。情報奔流がバラバラになった場合、味方はその影響の全てを把握しきれないかもしれない。反応し損ねた反物質みたいに、ほんの僅か反応し損ねた波動砲塊が出てしまうという珍事も発生しかねないだろう。

 前者の場合、重力なり磁力なり、或いは輻射自身の反射か何かで拡散させるのだろうが――そもそもホーキング輻射を拡散させられるか大いに疑問。ホーキング輻射は熱的なエネルギーであり、エグイほど小さいブラックホールでなければ利用可能なほどのエネルギーは得られないだろう。どちらかといえば気流というか、小川のようなこの輻射がそもそも波動砲に使えるか考える必要が実はあるのだが、元から少なくとも凝集・エネルギー発生量が性質として低レベルなホーキング輻射を拡散してしまうと一発当たりが非常に小さなエネルギーになってしまう事は想像に難くない。

 はっきり言ってホーキング輻射より、中性子星のジェットの方が非常に強力な電磁波と放射線を非常に狭い幅に集中噴射である為威力が高いことが予想される。ブラックホールの想像図のあの南北ジェットはプラズマ。ホーキング輻射は関係ないらしい。

 

 ともかくとして、波動砲の威力を減じてまで拡散させる道理が無い。だって多数の艦が舳先を並べて戦うのだから、効果は飲位の拡大は十分担保可能なのだもの

 

 

 拡散への疑義への回答

 ビーム兵器を拡散させる――そもそもビーム兵器では無く粒子兵器とするのが妥当。

 高エネルギービームではない、水鉄砲的なエネルギー奔流。ビームの場合質量を持つほどの高エネルギー・凝集するようなものの場合は、そもそもビーム兵器かどうか怪しい。水鉄砲的エネルギー奔流であれば凝集し、一定程度結合を伴うようなものであれば特に自身が質量を持ち当然の如く発射後射手の手を離れても自由落下的に空間を直進するだろう。敵にぶち当たるまで、拡散した一発は空間を進む。つまり――

 拡散させて何が悪い

 使用目的によって拡散と直流で分けて庭に水を撒くだろう、車や家を掃除するだろう。それと大差ない。規模がまるっきり異なるが……確かに一発一発の威力は多少減じるが、高荷電によって一時的に質量を持ったような形である為、敵を巨大流星帯に叩き込んだような形に出来るもっと言えば、一発で敵を消し飛ばす必要はない。何発かぶち当てて無力化できればそれでいい。そっちの方が相手は味方艦の回収や修復に手間取って自軍の戦略的優位確立に寄与できる。

 

 つまり、拡散させる意味がないという発想自体がナンセンスで、全く描写もそもそもの設定もわかっていない発言質問者が戦略的発想も、柔軟な発想も何ら持ち合わせていない査証となってしまう
 屈託のない純粋なまなざしで問いかけるなら、有りの質問。だが、したり顔で質問したら赤っ恥必至とだけ述べておく。

 

 

 

 拡散の原理
 波動砲の原理自体不明。故に拡散原理も不明だが、推測は可能だろう


 可能性としては、エネルギー奔流にストレスを与えることでライフリング(磁力線のこと)とは逆方向の力を貯め、その磁力線の弱まった地点で一気に発散し拡散させる方法という可能性。

 主力戦艦の波動砲に見られる中央仕切り版によって、中途半端にねじられた二つのエネルギー奔流が双方ぶち当たってねじれて、それを無理やり磁力線によって拘束する。磁力線の力の強さによって射程は前後し、しかし全般として最大11万宇宙キロほどまでしか保てない。11万宇宙キロほどの地点では元来後方11万宇宙キロほど程の空間と磁力線がつながるはずだが、それが伝達できず、弱点となる。そこで拡散。わずかに残った磁力線が拡散のガイドとなって、スプリンクラーのように敵艦隊に高荷電タキオン粒子が降り注ぐ。

  他にも、理由は考えられるだろう。が、私には思い浮かばなかったので端折る

 中央仕切り版は恐らく……無理やり高荷電状態にしたニュートリノ何かを結晶状態にさせたとかだろう。波動エンジンが粒子をバラバラに再構築するのだから、その過程で当然ニュートリノが発生してもおかしくはない。高荷電状態にすることが可能であれば、当然拘束できる。これを中央仕切り版周辺に展開できればその高密度のメッキで仕切り版と波動砲の間に緩衝空間を設けることは可能だろう。であるからこそ、都市衛星ウルクとの戦闘でニュートリノビームを真田さんが見破った=地球にも同様の考え方があったが、コスパの問題で切り捨てた。という話にもつなげられる。 

 

 

 巡洋艦の場合

 恐らくどうしても艦の全長から波動エンジンの大きさが小さくならざるを得ないだろう。つまり、出力が戦艦のそれに比べて非常に小さい。当然、波動砲発射に必要なエネルギーの総量自体が小さくなるだろう、タキオン粒子の生成量も限定されるだろう。

 その限定されたタキオン粒子を前方に投射、他方でエンジンは全力運転を行い磁力線を強力に前方投射しタキオン粒子の奔流がその先端に到着した時、この磁力線のかごを突き破って発散・直撃。結果として主力戦艦やアンドロメダのそれと同じ拡散波動砲とすることが可能。

 純粋なタキオン粒子砲であれば、磁力線による拘束はエネルギーをタキオン粒子に加えることにもつながるだろう、であれば敵への直撃直前に猛烈な磁力を突破する行程はむしろ波動砲の一発一発の威力を担保する事になるだろう。元から強力な主力戦艦のそれでは磁力線の強度が担保出来ず不可能だが、巡洋艦程度の波動砲ならば可能――という事が説明できる。

 巡洋艦の拡散波動砲は中型艦が大型艦と同じ火力になる様に必死に考えた苦心の作品、という事になるだろう

 

 


 アンドロメダの場合

 波動砲はそれまでの設定では波動エンジンが生成するエネルギーを全て一時に前方に投射するため、1門であることが当然であった。
 しかし、アンドロメダは連装である。ちゃんと理由を付けなければ、ご都合主義とつけ入れられる隙を作ってしまう

 

 説明の一つは、実は連装ではないというもの
 つまり、単純に砲口が二つ付いているだけで、発射機構は単一であるという仮定。

 薬室から放たれたエネルギー奔流が二つに砲口に流される――なんでそんなことをする必要が有るかといえば、拡散させるためというのがあげられるだろう。あるいは、砲口(砲身部分――があると言えるのかは疑問だが)を出来るだけ小さく開ける事で波動砲の軌道を収束させるためという想定もできる。自由に動き回れる状態の粒子が、簡単に雲散してしまうのは想像に難くはない。その雲散を止める為に収束させる必要があるが、砲口を小さくすることでその収束率を可能な限り高める。

 

 もう一つの説明は、この場合は薬室は並列で独立していて、薬室までのエネルギー伝導路が共有という想定。連装自体の理由は、前述と被るが、拡散させるために連装としたというもの。


 何で2門あれば拡散できるのかといえば、“波動ミスト”を生成する方法の一つにそうあるから。
 ミスト用のノズルヘッドにはいくつか形状があるが、複数の水流をノズル先端の極小開口部めがけて高圧で送り込む形式が一番単純なノズルヘッドの形だ。逆に、水流は一本だが、複数の高速空気流をぶち当てて細い開口部から膜状の液体を噴射、その膜が自然崩壊して霧状になる形式もある。スプレーノズルはこの形だ。

 少し変わったミスト用のノズルヘッドは霧のいけうちが開発したドライフォグ(私が朝、ベースとして見ている番組がバレてしまう……)これが私が2門あれば~と考えた発想元。

 

 単純なノズルヘッドを角度を付けて向かい合わせにしてその霧をぶつけ合い、更に圧搾空気をぶち当てる事で極めて細かい粒子となった水を前方に噴射する方式だ。
 何が言いたいかといえば、ミスト化するには水流にストレスを与える必要があるという事。これが波動砲でも通用する原理であるとすれば、拡散波動砲もできなくはないだろう。荷電粒子砲にその理論が通用するかどうかは疑問だが、一方で一応タキオン粒子も物質ではあるのだからそれなりに物理の法則にしたがう必要が有る。

 量子流体力学って学問もあるそうですし、本気の考察はそういう学科を専攻した方に譲ります。

 

 

 

 あるいは、主力戦艦とおおむね同じ形式だが、威力を高めるために連装。基本的には主力戦艦と同じやり方で拡散させる。

 アンドロメダの砲口内側は微妙に外側に向くような傾斜を設けられているが、他方で舷側は傾斜なしの直進の磁力線を発することが出来るだろう。つまるところ、外側に飛び出そうとするエネルギー奔流を強力な磁力線によって無理やり拘束する。この無理やりの二乗な拘束を行うからこそ、主力戦艦よりもさらに強力に拡散させることが可能。という説明。

 二門あることが、中央仕切り版を設けたのと同じ作用をもたらすという事。

 

 

 一応、どの想定でも連装であることと拡散させることを結びつけられたと思う。

 採用した理由としては主力戦艦方式とアンドロメダ方式のどちらがより威力を高めた拡散が出来るか、その実験という事になるだろう

 

 

 

 アンドロメダと主力戦艦の砲口の違いが、拡散方式の違いに起因するとすれば、アンドロメダが唯一の連装砲搭載艦である理由も説明がつく。


 艦隊旗艦としての運用を前提にしたとしても、整備のために同等の能力を持った艦が必要になる為、複数隻の建造が必要だ。大和型戦艦であるとか、こんごう型護衛艦であるとかが例に挙げられる。
 一方で、必要だから作ったが――同時に多数ある必要がないから多くは作らなかった艦もある巡洋戦艦フッドや戦艦ヴァンガードが判り易い例だろう。どちらも一種の技術的到達点として建造が許可されたが、「時代に合わない」として複数隻の建造は中止された艦。

 

 アンドロメダは後者の事例に近いだろう。拡散波動砲の拡散方式のバリエーションや、効率を確認するためのプロトタイプ。であるならば、アンドロメダのような連装波動砲搭載艦をやたらに作る必要はない。すでに完成されている主力戦艦の方式をベースとして、ひょっとしたらのレベルで、装備させてみた。これで具合が良ければ、本採用で主力戦艦の形式は用いないという事になっただろう。つまるところ、仮にアンドロメダが新戦艦のプロトタイプとして採用されたとしても、それは戦艦の性能のプロットとしてであり、連装砲をそのままにするかは不明。結局主力戦艦の砲口形式を採用する可能性だってある。

 ふわっとしたように思われるかもしれないが、事実は小説より奇なり。やってみた程度でやらかすクリエイティブな人が海軍には多い地球防衛軍にそういうクリエイティブな人がいない、なんて想定はむしろご都合主義。

 

 

 2202の話なんか知らん。あれ、私が文系のせいで理解できないのか、理系が設定に関わらなかったのか、少なくとも表になっている設定に関して言えば、まるっきり理解に苦しむ設定。何で直列で2門扱いになるのか。

 挙句、拡散波動砲が最大の効力を発揮する、搭載する理由を持つパトロール艦に装備させないというのがもう意味不明。しかも主力戦艦は発射しないというのだからなお、話にならない。

 

 あの時点でエンケラドゥス守備隊が敗北したならば、土星圏がガトランティスの勢力下に落ち、防衛戦闘が苦しくなる――のにあんな能力の艦隊を配備する。これも意味不明。敵艦隊は勝手に接近してくれているのに、すでに射程圏内に捉えているのに発射しない。結局本隊は到着と同時に拡散波動砲をぶっ放しているのだから発砲制限を行う意味もない。一通り、合理性の無い展開……。

 それっぽい演出、それ以上ではない。としが言いようがない。

 

 

 劇中の活躍

 ぱっと見にはご都合主義だといわれてしまうため、個別に出来るだけ詳しい考察を加えたい

 さらばにおいては土星決戦終盤においてその力を発揮、バルゼー艦隊の主力を撃滅した。更に続く白色彗星に対し、主力戦艦や巡洋艦と共にマルチ隊形を展開、これを迎え撃った。しかし、白色彗星のガス体を打ち破る事叶わず、全艦喪失の憂き目にあった。

 これは恐らく、白色彗星が万全の状態であったことが要因だろう。さらばにおいては白色彗星は一度も大規模エネルギーの投射を受けていなかった。だからこそ、通用しなかった。だからこそ、ヤマトの弱点を貫いた波動砲が確実に効果を発したという事が出来る。

 

 ヤマト2においては、直進するバルゼー艦隊を迎撃するために拡散波動砲発射隊形を展開、一斉射撃を以て決着を付ける――はずが火炎直撃砲の連発によって叶わず。

 何とかバルゼー艦隊を撃滅した地球艦隊は白色彗星の緊急ワープにも耐え、マルチ隊形を展開。拡散波動砲の全艦一斉射撃を以てこれを迎撃した。これによりガス体を取り払い、都市帝国への直接攻撃につなげた。

 説明としては、やはりテレサの捨て身のテレザート大爆発により一時的とはいえ、都市帝国は大ダメージを負った。恐らく、ガス体がなければあの時点で都市帝国は崩壊していただろう、それを防いだが――代わりに制御装置に損傷が発生してしまったと考えて不思議はない。しかもテレザート爆発からそう長い時間たっておらず、土星圏への緊急ワープであり、ワープ直後の波動砲迎撃であるから過負荷が起こってもおかしくはない。

 であるならば、ヤマト2において地球艦隊の拡散波動砲が白色彗星のガス体を取り払ったのも、非常に合理的と言えるだろう。他方で、都市帝国に対して全く影響がなかったこともまた、合理的と言えるだろう。

 

 

 拡散波動砲は非常に有用な決戦兵器である。

 どうやっても一発当たりは数TNT換算テラトンは下回らないだろう。ショックカノンなんかよりはるかに強力。これを巡洋艦のような中型艦艇や護衛艦のような小型艦艇に載せれば、非常な火力を艦隊総力として保有することが出来る。単体でも、敵艦隊に襲われた際に最低でも離脱することぐらいは可能になる。これほど艦の生存性を高め、汎用な兵器はヤマト世界では他にほとんど類例がない。


 にもかかわらず以降の登場が見られないのは白色彗星に対する敗戦の記憶だろう。

 人員を失ったことで中途半端な無人戦艦を投入して地球を守る羽目になった。敵要塞に対する恐怖から拡大波動砲などという別形式の波動砲を作り上げてしまった。これは迷走というほかない。普通に拡散波動砲を標準装備しておけばよかったのに。

 

 

 

 ヤマト作品は忌憚ない表現をさせてもらえば迷走している。旧作もリメイク作も大迷走している。

 結果、合理性の高い拡散波動砲は日の目を見ず、復活編という中途半端な作品で引っ張り出された。作品の中の兵器としての価値では無く、ファンを引き留めるための決戦兵器として持ち出された。何とも不運な兵器である。

 まるであだ花の様な兵器……