旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ストーリー考察Ⅶ ――指揮系統の混乱と卑怯・卑劣な異次元の罠――

 

 

 第14話――安直なヒューマニズムバース星を見事に滅ぼした宇宙戦艦ヤマト。彼らの背後にあの卑怯なキザ野郎が迫る。

 

 

 

 古代君が不意に土門に艦橋勤務を命じ、戦闘を監督させた時から意味不明かつ非合理的なストーリー展開が始まるのであるが――

 

 その前に、戦闘の内容をざっくりと振り返る。戦闘考察じゃないけど。

 考えてみれば、あのとっぽい副官の方がまともな人間。他方でフラーケンだっけ? あの艇長、自分の部下を嬉々として犠牲にする人でなし。彼のあの指示では伏兵の用をなさない、囮としても戦死を前提とした戦い方。他に幾らでも手段があるのに、わざと戦死を前提とした戦い方をするのは軍司令官として落第どころか人間として失格

 

 伏兵は戦略的に価値のある事でありかつ、生存の可能性があるからこそ意味がある。囮だって、有る程度の生存性を確保したうえでの決行や、他に手段がないからこそ決行する。だからこそ部隊として囮にせよ、伏兵にせよ、能力が発揮できる。

 ところがあのガルマンスピッツだか何だか知らんが髭野郎、全く生存の見込みがない配置にしてわざとヤマトに攻撃させた。2号艦をヤマトの前へ、前のエピソードで喪失したはずの3号艦をヤマト後方に配置して、狙い撃ちさせたのだ。その隙を狙って亜空間魚雷をぶっ放す戦術――包囲して雷撃、直後に撤退し再び補足してから雷撃を行う。

 ヤマト側は潜航艇の捕捉に苦労し、また彼我の速力にさほどの差はない。つまり、そもそも論として、わざわざ包囲殲滅を狙う必要なんてない。普通に同航戦用の部隊と、待ち伏せして奇襲する部隊に分けて戦う方がよっぽど理に適っているのではないだろうか

 なんなら、包囲してしまえば的が小さい分、フレンドリーファイアの危険が高まる。であるのにもかかわらず、髭キザは包囲しての雷撃にこだわったのである。

 ひょっとして……コスモダート・ナスカ以来の愚将なんじゃないのかコイツ。ナスカは臆病な上に高飛車という作戦や采配の質を低下させる個人的要因があり、着眼点は良かったものの自分自身に振り回された感があった。だが――フラーケンは違う。ただ単に作戦立案能力が最低レベルで、ヤマトと自艦隊に無駄に損害を与えて楽しむサイコパス

 

 この戦闘で喪失した戦力は3隻、11隻ないし10隻中の損害であるから約3割の損耗率である。しかもヤマトが演出上もたらされた余計な設定の余波による指揮系統の混乱から、ド下手な戦闘を行った上でのことであるから、ヤマト2のようなまともなプロの仕事をヤマトがしていれば次元潜航艇は全滅していてしかるべき

 それで勝ったような面をしているから、どれだけ普段の損耗率が高いのかと気になるところ全体的に妥当な描写がない

 

 

 そして――やっぱりヤマト艦長は大けがするんだね

 コンソールが爆発して古代艦長、ケガとして表面にあるのは右腕だけだが、爆発の衝撃や感電だので重症に。そのおかげでヤマト艦内が浮足立って翌話で宇宙で最も愚かなハゲにとっ捕まってしまう。ちなみに、逆に有能なハゲはキーリング。

 

 浮足立った理由はひとえに指揮系統の混乱副長がどうやら同格という最悪な条件で二人もいるという、元から無理な設定のおかげで逆に混乱が妥当なものになるという不名誉な整合性

 島君は航海班であり、戦闘に対する造詣は深くはない。一方で真田さんは戦闘にも造詣が深いのだが、今は亜空間ソナーにかかり切り。戦闘に専属で差配できる人間が居ないぞ……。

 さらに、島君のミスによって事態はさらに混乱する。つまり、土門に戦闘を任せたままという事

 土門が戦闘の差配を出来ていたのはあくまで玄人の古代が居たからといって差し支えないだから古代が退場した段階で土門に代えて南部を登板、何なら波動砲でもぶっ放して次元潜航艇をビビらせてやるのが妥当なストーリー展開だったはず。にもかかわらず、わざわざ戦闘の差配が初めての人間にずっと、それもちょっと劣勢なのにも拘わらず戦闘を任せ続けた。確かにあのタイミングで土門を下げれば彼は傷ついただろう。しかし、100名からなるクルーの命には代えられない。なのに島君はクルーの命より荒廃の成長を取った……何という教育魂か。

 どうしてだろう、ここまで合理性の無い描写が完成させられるのか。

 結論から描き、展開を焦るから全くのご都合主義になり下がっている。

 

 

 まあ、ガイデルにとっ捕まったのは仕方がないアイツの要塞の機能が意味不明かつ非合理的なのが悪いのであり、島が問題行動をしたわけでもない。戦闘を差配する土門が今までの自分の活躍で浮足立っていた、太田が普段と違い役に立たなかった――等々色々アレな部分もある。そうではあるが、ガイデルの要塞の設計そのものの全くの合理性の無さに起因している。

 演出マターの展開。これはクルーがどんなにまともに雨後歌としても、ご都合主義で捻じ曲げられるのだから仕方がない

 

 

 

 

 と、冷静に徹底酷評している私だが、どっかでみた出渕監督のインタビュー(我らガトランティスの誇る潜宙艦に対し、不遜にもがっかりした旨を述べたもの)の裏返しのフラーケンdisも多分に含まれているため、非常にバイアスのかかった記事――というのは否めない。

 反省……。

 

 

ストーリー考察Ⅵ バース星到達、ボラー連邦との遭遇

 

 

 第10話の団船長のエピソードは、地球連邦政府の危機管理能力の欠如を表すエピソードである。また、ヤマトシリーズ史上度々見受けられる古代君の使命感の強さが仇になったエピソードでもある。

 そもそも論として、敵対勢力が存在し得る広大な宇宙を考えれば地球防衛軍護衛艦艇を張り付けても当然だったのではないだろうか。

 

 その意味では、幾ら最重要任務を任されているとはいえヤマトは――行きぐらいは護衛しても良かったんじゃないのかな? そんなに航路から外れないし、気象観測船は非武装だし、戦闘があった領域周辺での活動だし、その方が安全で互いにWin-Winだって、ここで見捨ててたら、知らせを聞いた宇宙開拓省は恨むだろうし、きっと船が遭難した理由をヤマトの行動に求めるだろう。あるいは、顛末を知った世論が「防衛軍が見殺しにした、ヤマトが見殺しにした」とか騒ぐだろう。弱ったことに、ヤマトの出動理由はこの時点ではまだ秘匿されているため、反論のしようがない為……

 護衛して損はなかったし、後でダゴンに襲わせればエピソードの展開の差は最小で済んだはずなのだが……。

 

 団船長の態度にイラっと来たのは、神経が張り詰めている軍人という立場からしてわからないでもない。特に若者にとって年長者のあの系統の態度は、結構腹が立つ。

 団船長は悪い人ではないのだが、どうにもお堅い人で、その割にフィーリングを大切にする系の人これは、若人には非常に面倒に感じられる。相手に頭ごなしに否定的感情を想起させることもしばしばある――一方で誠実ではあるから、人物像に惚れ込む人も少なくないだろう。だからややこしい。

 それはそれとして。実際的にダゴン艦隊を発見し、その脅威を感じているのだから護衛してもらう権利があるだろう、しかしそれを正式な形でのオファーにしなかった。これは団船長の方に問題があると言える。

 だが、断ったのはヤマト。この先ダゴン艦隊がヤマトに攻撃を仕掛けてくる=どっちみち時間を割かざるを得ない事ははっきりしているのだから、少々の遅れなど最早問題にならない。それぐらいヤマトは派手にダゴンと戦争をしている。

 故に、護衛をしないという判断は、後々問題になる事が容易に予想されるのだが、それを受け止めるだけの根性があるんでしょう、ヤマトには――と、この程度の指摘にとどめておく。

 

 団船長にまつわるエピソードはある意味で、23世紀にまで影響を及ぼし続ける行政の縦割りの弊害と表現できるだろう。前途多難な道のりを決意の元に歩む青年たちと、それに感銘を受ける漢という関係性、これがエピソードの中核。

 中核を短時間で深く掘り下げる為に、幾らかの相互不信や行政の弊害を挿入することで、双方の信頼関係醸成の期間短縮に成功。視聴者に対し、団船長をロマンの分かる漢、武士とも評せるキャラクターと印象付けてその悲劇的な最期の演出効果を最大化させたと言えるだろう。

 原案であるとされる団船長クズVerエピソードにならなくてよかった

 

 

 

 

 話は飛んで――第12話及び第13話、バース星での出来事に移ろう。華麗なるダゴン艦隊の敗北は戦闘考察にて重点的に解剖します 

 

 ガルマン・ガミラス天の川銀河攻略が着々と進む中。

 他方で太陽の制御に失敗した地球連邦政府は、ついに星間移民を決断。直ちに計画を立案、移民船の建造を行い同時に、ヤマトを含む探査艦隊を天の川銀河5方面へと派遣し、新たなる母星を見つけるべく探査を開始した。

 

 

 その頃――うかつな行動に出るヤマト

 これまで散々利用可能惑星において何度も何度も敵対勢力からの攻撃を受けているのにもかかわらず何と彼らは全く警戒せずに探査目標の惑星へと接近

 思いっきり奇襲的迎撃を受けたのであるが、挙句にこれが強力で見事炎上してしまう。威力偵察かもしれないなどとほざいているが、かなり強力な攻撃……もはや負け惜しみではないのか……。そしてしっかり攻撃を受けた後に、名乗るという――なぜ、接近する前にさっさとなぜ名乗らぬのか。おかげで要らぬ損害を受けてしまう。

 なぜ要らぬ損害だったかといえば、探査目標であった惑星はバース星だったのだ。あのラム艦長が必死に守った母国だった。あの人、ちゃんと本国と緊密な連携を取ってたのね。そして、誤解がとけた後はレバルス隊長の旗艦に誘導される形でヤマトはバース星に降り立った。

 

 さて、ヤマトは初っ端から禍をまき散らすつまり、強制収容を発見し、ヤバそうだと認識した上でわざわざ立ち入ろうとするのである。レバルス隊長から許可を受けて植物採取をしている最中にたまたま見つけた施設――で、警告を受けた途端に土門が「何だとォ!」と危うく一戦交えようという。ほぼ初めて外交関係を構築したといっていいバース星相手に、その内情を全く知らない状態で、ただひたすら地球人の正義感で介入しようという恐ろしいまでの暴挙。他のキャラクターとの行動とも相反し、とがった正義感しかない。言っちゃ悪いが、火のないところに火種を創って戦争をおっぱじめるアメリカと同じ感覚……。ヤマトシリーズのメッセージとは相反するもので、正直度し難い。

 挙句、艦内に戻った土門はバース星を精神文明の程度が低いなどと揚羽にのたまう決めつけというか、もはや差別である――彼らが一体何をしたのか、囚人とバース星とその関係性や事実が何一つ全く分かっていない段階での発言だ。それで、よくもここまで決めつけられる……救いようがないラム艦長や一般兵とレバルス隊長の肌の色の差や、総督というワードを彼らが認識していれば、バース星の政治状況がどんなものかは判るはず。つまり、バース星側に収容所の如何について何ら決定権がないというのは明白なのだ。分かったその上での発言ならば、お前たちは一体何様のつもりか。18歳かそこらだとして、この程度は理解できるだろうに。

 更に彼らは、勝手にバース星の極秘探検をしようという。問題を起こしてはダメそうな星だと、危ない星だと自分たちで認識しているのにこの馬鹿二人

 

 

 この残念なヤマトクルーに引換え、この星の統治者であるボローズ総督至極一般的な人物だった

 ボラー連邦からの派遣された人物である以上、当然ボラー連邦を持ち上げた言い方をするのは当たり前。だからといって、地球に対して高圧的な対応を取るわけでは無かった。おおむね対等といえる関係性を彼の言葉から期待できた。

 WWⅡ中に少数見られた、まともな感覚で占領地域を統括する総督みたいな感じ。

 

 

 アル中ヤブ医者の飲み屋話は知らん

 正義ぶって他者を抑圧するのは地球上のすべての国が一度は通った道だし、地球連邦も『さらば宇宙戦艦ヤマトー愛の戦士たちー』で覇権国家然とした態度を見せたそれに、どうせ現在進行形だろうだって護衛戦艦は欧米列強の艦名しかないのだから。お前が言うな感がたっぷりである。

 加えて、バース星にとってはガルマン・ガミラスの脅威は事実である。バース星独力ではあれを退けるのは不可能だし、バース星住民がガルマン・ガミラス支配下でどれだけの自由を得られるのかは、未知数。

 力のない国が、どこかの庇護かに入るのは打算ではあるが、利口な判断である。それを織り込んだ上で大国は小国に接する。これの関係性は残念ながら、永遠に繰り返されるだろう。

 

 

 

  そうはいっても、バース星で最大かつ唯一の影が、強制収容施設であろうことは間違いない。

 主義主張の違う陣営との交渉の上で非常な懸念材料になる。治安維持的にも、幾らでも暴動の種になる収容所は非常な懸念材料。いつかバース星が自由を手に入れた時、収容所は完全に負の遺産となるのだから

 

 

 

 そして事件が起きる。囚人たちが騒動を起こし、電気柵を突破し何とヤマトに乗り込んだのだ――っておかしいだろよく、構造も何も知らない宇宙戦艦に簡単に乗り込めたね。群がること自体は不思議ではないが、一気に機関室を占拠されるとは――ご都合主義だろう挙句シャルバート星へ連れて行けとのたまい、機関部員の皆殺しをちらつかせる。にもかかわらず古代は彼らにシンパシーを感じてしまった。意味が解らん

 ひょっとしてこれ、素直に解釈すると……古代艦長は乗組員の命の安全より、自分自身の政治信条の方を優先してしまったという事になるのか……

 古代よ直ちに、地球防衛軍を退官してくれ。

 全宇宙のために

 

 

 この哀れな星は、宇宙の塵となる運命を背負っていた。ヤマトとかかわったばっかりに……この星を滅ぼしたのは誰か? それは古代進その人だろう

 第13話の話である――バース星守備艦隊は壊滅し、これを受けてボラー連邦本国は対策を打つ。つまり、本国はバース星を見捨ててはいない、同時に巨大艦隊を派遣できるだけの余力があるという事を示すため、ベムラーゼ首相直々の閲兵式を執り行うのである。物凄く強烈な政治的メッセージだが、艦隊を増派・駐留させないのであれば軍事的には大した意味はない。

 どうやらベムラーゼ首相、対応が後手後手で策自体の効果は薄いくせにやってる感を出す、そのための効果的な手を打つのはお得意らしい危険地域を突っ走って、バース星に赴いたその度胸は評価するけど

 それはそれとして、平たく言って最悪のタイミングだった。だって、囚人の暴動とヤマトクルーという、ボラー連邦にとって二大厄災が同時並行的に存在……。

 

 

 さて、イデオロギーで宇宙に戦争の種をまきがちな古代進と、逆らうものを認めないみみっちいベムラーゼ首相の取り合わせ……破滅は時間の問題だった

 

 当然、ベムラーゼ首相の対応にも問題はあろう

 地球をただバース星に味方しただけで、ボラー連邦の属国扱いという……自意識過剰も甚だしい。ボラー連邦も地球についてあまり情報がない中で勝手に属国扱いをしたのもいただけない。挙句、自前で独立を維持できるといっただけで反乱扱いなのは最早暴挙、狂気の沙汰。

 このベムラーゼという男、どうにも自身と国家に対して自意識過剰。そのくせ、みみっちい我らがズォーダー大帝の爪の垢でも煎じて飲んでもらいたい挙句の政治的にも軍事的にも有能とは言えない

 この面倒なおっさんの逆鱗に触れないようにするのはボローズ総督大変だろう。事実、先ほどまでの紳士的な対応とは異なり地球に対して失礼な態度を取った。きっと心苦しかっただろう

 

 他方で、囚人たちの処分に首を突っ込むのも話が違う

 囚人たちがボラー連邦の法を犯したのは事実だし、地球でもいくら信仰に基づく行動だとしても、他者の身を危険にさらす行為は許されない。まして命を奪おうとしたのだから、話にならない。そんな彼らに寛大な処分を望むのはお人好しをはるかに超えて、愚かに近い。

 更に、仮に囚人たちを古代が逮捕して身柄を確保していたのであれば話は変わっただろうが、事実はそうでない。身柄を確保していれば、「我々の法を犯したのだから、我々が裁く」という事も、不可能ではない。しかし、囚人たちは一人残らずヤマトの手を完全に離れていた……。

 それなのにもかかわらず囚人たちの処遇に対して口を出すのは筋違いも甚だしい

 

 

 

 ドメルがかつて言ったように――使命感救世主のような気持ち、つまり安直なヒューマニズムこれが前面に出てしまったのが第13話だ

 この安直なヒューマニズムによってヤマトクルーはバース星と関係をこじらせる。更に古代は囚人の処刑を阻止するためにバルス隊長やバース人によって運用されている軍団を虐殺した。追手として出撃してきたバース星守備艦隊を迎撃し、すべて撃沈してしまった。これが引き金となってブチ切れたベムラーゼ首相はバース星ごとヤマトを破壊しようと大型ミサイルをぶっ放す

 おかげでバース星は消滅。無垢な市民も軍人も、派遣された本国人も流された囚人もみんな死んでしまったのである

 

 

 確かに、バース星守備艦隊に対する迎撃は仕方ないとしても……ヤマトはベムラーゼ親衛艦隊によるバース星攻撃を阻止しようとはしなかった。これは驚くほどの人道的問題で擁護のしようがない

 直ちにショックカノンを放つ、煙突ミサイルや艦首魚雷、パルスレーザーをぶっ放して迎撃できたはず。それなのに、全く行わなかった。転舵して囚人を救うとか何とかほざいた戦闘班長もいたが――100%間に合わない。そして市民はどするつもりだ。救う気なかったのか? 考え方として、残虐行為が行われているのを仮に知らなかったとしても周辺住民は知らなかったでは済まされない傾向にある。しかしそれで殺されるのはあまりにあまり。

 だが、古代は全く後悔していない様子。ただひたすら囚人にのみ……こういうのを自己投影とか言って、感情移入しがちだが、政治家や軍人はそういう事を極力してはいけないのだ。安直なヒューマニズムに流れてはいけないのだ。

 

 拘束を拒んだのは当然だが、それ以外の古代の行動は残念極まる行動としてはわからないでもないが作品として主人公としての行動としては全く相応しくない仮に作品を深く掘り下げる為にわざわざ、安直なヒューマニズムによって暴走した、ボラー連邦やガルマン・ガミラスの鏡写しの地球人を描くことで戦争のむなしさを表現した――という事であるならばわからないでもないが、それにしては古代が英雄じみた描かれ方をしている、土門や揚羽が純粋な人物として描かれているというのに大きな疑問が生じてしまう。

 要は、失敗演出。これじゃ古代が宇宙人一般をペットか何かのようにしか思っていない、ただの頭のおかしい冷徹ろくでなし。

 

 

 古代進が少なくともこのヤマトⅢにおいては人間としても軍人としても失格中の失格、ワーストクルーであることは断言できるだろう。古代進というキャラクターを、この描き方を続行してしまってはラジー賞も夢ではないレベルだ。

 ある意味逆説的だが、富山さんが頑張れば頑張るほど、技を見せれば見せるほど腹立たしいキャラクターとして成長してしまう。困った話である……。

 

ストーリー考察Ⅴ 山上一家、バーナード星の悲劇

 

 

 ヤマトⅢは乗組員の成長も描こうとしていたといわれる(単なる又聞き、未確認情報)。故に銀河系大戦の推移から言えば、枝葉といって差し支えないエピソードが度々差し挟まれていた。

 バーナード星での一件も同じだろう。

 

 

 

  第8話、バーナード星の山上一家

 個人的にはどうしても「てじな~にゃ」で一世風靡した山上兄弟を思い出す。はい、全く関係ない話でございます。

 前話にて、数次にわたり奇襲を受けたヤマトは、攻撃の起点をバーナード星域と推定。これを受けて直ちに発進、同星域へと進出した。

 

 第8話においてヤマトは、惑星探査の目標でもあった当該惑星に降下しその様子を探る。極寒の、希望の見出せない世界がパネルに映し出される最中、不明な通信を確認した。

 通信の正体を確認するために古代らはコスモハウンドを駆って惑星に降り立つ。そこで出会ったのは――この、ある意味気の毒な一家との出会いはヤマトクルー的にはあまりいい思い出では無い。結果的に奇襲を受けるきっかけを作ってしまった出会いでもあるし……正直、ストーリー展開上はいくらでも代替案を提示できるレベル。他方、演出的な目的はというと……

 

 

 と、山上一家の話の前に黒田博士の悪あがきをさっくり振り返る

 彼は太陽エネルギー省において、太陽から中継基地を経由し地球に転送されるエネルギーをマイナスに転化させて太陽に送り込む冷却作戦を敢行。

 これ、地味にまだ異常増進を認めていないだって、燃焼の異常増進は普通に考えれば恒星内部の“燃料”がなくなったから起きる現象のはず

 

 太陽に限らず恒星は、長い年月をかけ中心核がカスカスなっていくに従い収縮し温度が上がり、周囲に核融合で出来たヘリウムの層を形成する。最終的に内部の水素を核融合に使い切った時、今度はヘリウムの核層を中心にその周囲にある水素が核融合を始める=赤色巨星化。中心は以前から続く重力によってしかも核融合でのエネルギーがないからより収縮していくし、しかし縮むから熱は発する。で水素を使いヘリウムも核融合に使うと、中にはより重い元素による核が形成される。ここまでくると星が大きすぎて重力の統制が効かず、外縁部の水素などから成る‟大気”が逃げてしまい核が露出してしまい――白色矮星となる。

 太陽の8倍ほどの質量を持っている恒星の場合は、核融合による膨張と重力による収縮が繰り返され、核も依然高温を保ち反応が鉄になるまで融合が起きる。鉛が原子崩壊の最終形=安定形であるように、鉄が核融合した物質の最終形態=安定形である為、これ以上の反応は起きない。核融合が起きないという事は、膨張せずに重力が強まるという事でありしかも収縮するため熱が生じる。そこで光崩壊が生じ、それによって核がもろくなり重力を支えられず重力崩壊、超新星爆発を起こす。

 

 これを冷凍ビームでどうにかしようというのは根本から意味不明で間違った方策だろうそりゃ、差し当たっての期間は何とかなるかもしれないが、根本的な解決策ではないから常にエネルギーを照射し続けなければならない。そもそも恒星を冷やすってどんな発想だよ……。

 

 黒田博士の計画は、原理としては恐らく、レーザー冷却(ドップラー冷却)の一種をやろうとしたのだろう。原子の進行方向へ迎え撃つ形でレーザー光を照射し、その光圧によって原子の動きを止める。動きが止まればエネルギーを受けてはいるがしかしそれは温度とは関係なく、動かないという事はこれは冷却が出来ているという事。水蒸気はあっちこっち分子は動いて霧散する、水は自由に形状を変えるが霧散はさすがにできない、氷に至っては形状を変えられない。というように分子の動きは冷えれば鈍くなる。

 

 或いは陽電子ビームをぶちかます

 陽電子は正のβ崩壊で放出させるか、1.022 MeV以上のエネルギーの電磁波と電磁場の相互作用で対生成が可能と割と達成条件は簡単。空想科学ではなく実際に利用されている技術だ。問題はこれをどう利用するかという事で――黒田博士はきっと……量子電磁力学の何かしらの現象を用いて、太陽が発する光を陽電子にブチ当ていわばディラックの海にぶち込んで、太陽の核融合異常増進により発生したエネルギーを全部なかった事にしようというパターン。

 わかって話してると思う? 微妙なラインです。これが文系人間の限界解説

 ともかく、黒田博士のやり方は根本から間違っているという事が言いたかった。多分、この点だけは正しいはず。

 当然ながら、このダメダメな計画は大失敗してしまう

 

 

 

 さて、山上一家のエピソードに戻る。

 このエピソードを、ヤマトⅢという作品全体=マクロ視点で見ると一つの大きな問題にぶち当たる。つまり、この人たちのエピソード、本当に必要だった?という点だ。

 真田さんが疑ったように、怪通信をダゴンの謀略としてバーナード星域での戦闘のボリュームを厚くして古代の艦長としてのセンスを演出するエピソードに代えても、シリーズの構成上問題はないはず

 

 構成上は他のエピソードを用意しても問題ないようなエピソードをわざわざ挿入するという事は――おそらくだが、新天地を目指すヤマトクルーとの重ね合わせであるとか、ヤマトⅢという作品50話の中のメリハリとしての、作品としての厚みを増すべく挿入したエピソードという事になるだろうが、手段が目的化している。

 エピソードも登場人物も――バーナード星のエピソードは山上一家が明確にコンコルド効果に捕らわれてしまって、挙句に人の命を振り回したじーさまの行動が派手過ぎて感情移入できない魅力的な人物が登場しないのだ

 

 

 ちなみに、コンコルド効果とは普通はサンクコスト(埋没費用)効果と呼ぶ。直接的に述べれば、「これだけ頑張ったんだから今やめたらもったいないよ」という圧力の事だ。本人がそれに陥る場合もあるし、周りが陥って圧力をかける場合もある。非常に迷惑な話である。

 失敗が目に見えていたり、当初から目的がずれたりしてもお構いなしで突っ込んでいってしまう、しかもこの「もったいない」というのが大義名分化しているから厄介。

 

 

 山上一家は5年前からバーナード星第1惑星の開拓を行ってきた

 この5年という月日はじーさまを第1惑星に縛り付けてしまうのに十分な時間だっただろう。それに地球の財産はすべて処分しただろうし、じーさまの嫁はとうに亡くなっている様子。唯一の家族と思われる息子一家を引き連れての星間移住だから、地球に帰還するという考えは彼にないのはある意味当然。

 しかしながら星間ロケットを爆破したり通信機を破壊したりはやりすぎ挙句に地球人であろうことが容易に推測できる恰好のヤマトクルーに対して威嚇ではなく当てに行った射撃をくらわすとは何事

 結局のところ、このじーさまは目の前で息子が死にそうというのをずーっと、漫然と眺めていただけで手を打っていなかった。ここまでくると……感情移入はしがたい。そして息子の死を発端として突然湧いてきた望郷の念。

 色々山上一家にも事情があるのだから、早く帰ればよかったのにね。などとは口が裂けても言ってはいけないが、だからといって同情はしがたい

 

 

 この第8話を評価しがたいエピソード足らしめているのは、場所がバーナード星第一惑星であったという事だろう。

 ヤマトはエピソード終盤で新反射衛星砲の奇襲を受けるが、ダゴンバーナード星方面に潜んでいることは以前受けたミサイル攻撃で解析済み。また、バーナード星は探査目標である。

 要するに、山上一家との絡みが無かったとしてもどっちみちバーナード星には向かわざるを得なかったし、そこで戦闘になるのも物の道理という奴である山上一家が居なければ成立しないエピソードではないし、彼らの存在がシリーズ全般に決定的な役割を果たすこともなかった。挙句にじーさまのハッスルで感情移入はしがたく、演出的にも大したやくわりを果たしたとは思えない。

 だから、このエピソードの価値というものに大きな疑問が生じるのである

 

 

 

 ――番外的解説――

 エピソードの細部の話だが、ご都合主義に思われがちな突然の病状悪化――実は、これは意外と説明がしやすい。

 例えばガンは若年性だと結構早く進行する。若ければば若いほど、細胞の活性が高く病原体や悪性腫瘍も割に活発になってしまう。認知症も若年性は一般に進行が早いと言われる。

 

 故に、逆説的だが年齢が高いと体力的に手術がしづらいという事があるものの、ガンの進行は遅い傾向にあるという。認知症も種類によるが、一定程度緩やかな進行が期待できる。

 だからバーナード星第1惑星の風土病が年齢依存性の物で進行が速くなるのであれば、若い息子の方が致命的で劇症的になりがち。一方でじーさまの場合はどれだけ自覚症状があったのか不明だが、基本的に症状は軽い状態で長く推移しある時突然に重症になる。そして重症化した時点では手の施しようがない。

 風土病にり患したそのタイミング自体は、実際にはじーさまも息子も同時か、何ならじーさまの方が早くり患していた。

 と説明が可能なのである。

 

 

 ――エピソードを総括します。

  はっきり言ってじーさまのキャラクターのせいでトモ子さんと旦那さん(名前設定なし、この人が一番の被害者)に感情移入というより、哀れという感情しか抱けないこの一家は事情が特殊過ぎて、激情にまみれすぎてクルーと重ね合わせるにはあまりに不適格な存在わと言わざるを得ない。

 無理に重ね合わせようとするがゆえに、余計にセリフが白々しく聞こえてしまっている。基本的にヤマトⅢは感情移入がしづらい。ストーリー展開もとっ散らかって、残念至極……。その傾向が如実に出たエピソードである。

 

 このエピソードの必要性を強いてあげるならば、バーナード星系に隠れていたダゴン艦隊本陣に対し、ご都合主義過ぎないように、偶発的に最接近する機会を与え、新反射衛星砲の奇襲攻撃=ビックリ演出につなげた。また、多くなり過ぎた新クルー(女性中心)らを退艦させるきっかけを作った。

 これらは演出的に成功だと思うし、シリーズの整合性・共通性を見出せる。更に、結局宙ぶらりんであった看護師の皆さんを帰還させたのは、アニメーターの仕事を幾らかでも減らせただろうし、シーンも節約できただろう。

 これらの点は評価してしかるべきだと思う。

 

 

ストーリー考察Ⅳ バーの一件、懲罰案件

 

 

 ヤマトⅢは乗組員の成長も描こうとしていたといわれる(単なる又聞き、未確認情報)。故に銀河系大戦の推移から言えば、枝葉といって差し支えないエピソードが度々差し挟まれていた。

 例えば第3話の南十字島の相原君と昌子さんとの出会いと危うくの逃避行。総統の内面的成長を表す第4話の御前会議でヒステンバーガーが命拾いするシーン。あるいはヤマトの火星圏での戦闘訓練、第5話ラジェンドラ海王星寄港から続く第6話の弔い合戦

 これらは東宝怪獣映画に挿入される人間模様・恋愛エピソードと同様で……あった方がいいかもしれないが、無きゃ無いでいいようなエピソードあんまり長くなると冗長になり、短いと脚本家の腕によっては挿入が無意味になる

 反面、効果的に短く挿入した方が重心を引き付けることが可能になるからチャレンジしたくなる気持ちもわかる。特に、ベースとして軽く見られがちな対象年齢低めな作品ほど、この手合いのエピソードに力を入れて格を上げようとする方向性が見られ――人間エピソードの投入について、シンゴジで頭を抱えたとされる庵野監督の気持ちもよくわかる。

 

 

 人間模様は作る側も、本気の製作者集団であれば頭を抱えて悩みに悩むだろう。他方、見る側もその苦悩が何となくわかるが同時に、うっとうしい。製作者側と感性が決定的にずれている場合は悲惨で……要は、人間模様は非常に考察しずらい要素である。 

 ヤマト2の考察時に第2話第3話のヤマトの改装や古代と雪の絆第7話第8話の空間騎兵隊との軋轢第14話のラストから第16話にかけての島とテレサのロマンスやテレサの決意第17話テレサのテレザートを以ての白色彗星侵攻阻止第18話のヤマト艦内の様子第23話第24話の古代と雪。そして第25話第26話のヤマトクルー周辺の描写を全くないし、ほとんど触れなかったが、それと同じ対応。

 よくよく考えれば、結構重要エピソードである第22話の都市帝国による月の砲撃と地球連邦の降伏にかけても……十分な考察とは……。

 

 という事で今回は色々すっ飛ばしてヤマトⅢ第7話、アルファ星第4惑星の一件に続いて、第8話の太陽冷却作戦とバーナード星の山上一家のストーリーもさっくり考察したい。

 

 

 

 第7話、アルファ星第4惑星

 アルファ星第4惑星はキャップの話だと白金族元素であるオスミウムが取れてちょっとした賑わいだった星らしい。オスミウムが地球の現代で指し示すところのオスミウムであるならば、これは少し話が変

 

 多分だけど、仮にアルファ星第4惑星が地球と似たような環境や成分構成や歴史をたどった惑星であるとすれば、オスミウムが単体で取れる可能性は低い。もっと言えばオスミウム自体はそこまで利用価値(利用価値と値段は必ずしも一致しない)の高いものではないのだから、コレをこれを目的に賑わうほどの大量採掘をするという事が正直合理性があるとは思えない。

 そこでオスミウムに焦点を当てると――天然ではオスミウムという金属はあの希少元素イリジウムと共にオスミリジウム、イリドスミウム、イリドスミンを形成する。しかも、その化合物はオスミウムの発見の歴史からわかる様に、プラチナと共に産した。という事実が判明する。

 つまるところ、アルファ星第4惑星がにぎわったのは本当はプラチナが第一の目的では無かったのか幾ら技術が高まったとしても、ほんの数年程度で鉱脈を全て掘りつくという可能性はゼロといっても過言ではないだろうにもかかわらず、なぜアルファ星第4惑星が廃れたのか

 

 無論、オスミウムイリジウム非常に硬い金属で波動エンジンの部品に使えるという事もあるかもしれないが、決して宇宙艦隊の縮小期ではない当時の地球においてその需要が低下するとは思えない。しかし、惑星を枯渇させてしまうほどの宇宙艦隊の建設は完成していない。これではますます廃れる理由はない

 

 

 一方で、プラチナが目的なら――実は第4惑星鉱山は、”廃れる理由”以外存在しない

 まず、工業的にプラチナは触媒として煤煙処理などに使われるが、23世紀の地球はガミラス戦役で地下生活=排気ガスが致命傷になりうる生活を経験している。恐らく、排ガス処理よりも、そもそも論的に排ガスを出さないエネルギー抽出を行っていると考えて妥当だろう。多分、あの透明なハイパーループの中を通っている車はリニアとかの電気自動車の類だろう。磁性体としても、恐らく採掘が海が干上がったことで容易になるであろう希土類に劣る。つまり、23世紀の工業においてプラチナはいらない子……

 他方で貴金属などの面――金やダイヤモンドと同じで非常に資産として価値の高いプラチナ。23世紀の物質文明の境地においては、あの白く輝き銀よりも扱いが楽な金属。これは魅力だろう。人間の贅沢に対する根本的欲求・追及からすれば、プラチナが23世紀においても価値が維持し得る余地がある、といえるのではないだろうか。

 であればこれは実は産出量の人為的低下する可能性が非常に高く確実となるのだ。

 

 先に述べた通り、金や銀やダイヤモンドなどの希少物質は資産としての価値を認めらている。この資産形成に関わる物質は、その重要性ゆえに意図的に市場の流通量を操作されているという――話があるらしい。という程度にしておいてください(怖いから逃げを打ちました)。

 つまるところ、どっからどう考えても、金や銀並みの扱いを受けるプラチナだけがバカスカ掘って市場に投入する必要性も合理性も妥当性もない。これを市場に大量投入となれば、少なくとも地金業者やジュエリー業者や投資会社が黙っていないだろう。企業同士で血を血で洗う戦争が起きていても不思議はないし、あんまりにも価格が暴落すれば地球で業界内で自殺者が激増していても不思議はない。

 

 もしアルファ星第4惑星でプラチナラッシュが発生し、市場にあふれることが確実となれば――全地球の業界人を挙げて阻止する他ない。阻止する以外の選択肢があるなら教えてほしいレベル。私が関連業界人だったら絶対に阻止すると、自信を持って申し上げる。

 恐らく、この惑星は宇宙開拓省の管轄だろうそうであれば、現代のように連邦の族議員が圧力をかけて宇宙開拓省なり、資源省(あるかどうかは知らない)なりを操作し同惑星のプラチナラッシュを強制終了させるとしても不思議はない。非常に危険なかほりのする話に容易に転じる。

 

 では世論はなぜ動かないのか? この手合いの談合じみた話は世論の反発を非常に強く受けるはずなのに。

 

 ガトランティスの直接攻撃や暗黒星団帝国の占領を受けてもなお、地球市民は火星やその他のスペースコロニーより地球を選ぶ。そして他の惑星については、地球の勢力圏内部の本来はくまなく知っておきたいはずの情報なのに、入手できる情報が又聞き程度の〈らしい〉程度の内容。にもかかわらず、特に疑問を抱かない。

 それじゃ世論は動かないだろう。基本的に世間というものは、問題の重要度より話題度の方に比例して盛り上がるものだし。

 さらに言えば、ヤマト2で発覚したように、地球連邦政府は結構情報操作をうまくやっている。この地球連邦政府の手にかかれば、余程気骨のある雑誌や新聞社でなければこれは暴けないだろう。

 

 

 

 さて、話はバーでの一件に移る

 一言、あれはマズイ。単純に監督不行き届きで救いようがない、更に大甘処分で――どうやらヤマト艦内は相撲協会よりはるかに風通しが悪いらしい

 

 初めに現場に遭遇した副長彼は新米クルー相手にはヤマト副長以上に航海班長だし先輩である。ガミラス戦とガトランティス戦とウラリア戦を経た歴戦の勇士としての風格を全力で見せつけてやればよかったのだ。そもそも論として、喧嘩を止めることは当然の事であり何ら問題はない。止めて当然。

 つまり、全てにおいて、新米クルーは島副長の言葉に従うべきだったのであり

 仮に、それで止まらないというのは、これはクルーの方が悪い。すべてにおいてクルーの方が悪い。露呈するかもしれない指導力の無さ以前の問題に、規律に従わない新クルーが悪いのだ。必要に応じて、戒告どころか、なんなら不名誉除隊でもしてやればいい。

 しかし、ちゃんと止めなかった事で副長にも責任というものが出てくる

 

 さらに古代艦長が途中から現れるその際に彼は静止を躊躇ったが――判断としては、わからんでもない。後に二人が語る様に、この問題の落としどころを見付けるのは非常な困難

 島は友人だし、ここでクルーとの信頼という副長との格の差を見せてしまえば島は存在意義を失う。だが、止めるべきだった。最低でもバーの主人の安全を確保してやるべきだった。

 しかし、折衷案というものは存在しえただろう。

 島副長は航海班長を兼務したままだし古代艦長は戦闘班長を兼務したまま。つまるところ、それぞれがその班長権限において乗組員を押さえつけたってよかったし、それで体面は保てたはずだ。航海班は航海班で結束していたし、戦闘班は戦闘班で結束していた。故に、それぞれの班長が同時に静止すれば十分喧嘩の終了が見込めた

 にもかかわらず、笑ってそのまま……。だから、話がおかしくなる。頭がおかしいぞ、二人とも。そしていつの間にか始まった戦闘に彼らは飛び出していった。

 

 おい、貴様らバーへの謝罪はどうした? 割れた窓やグラスやイスは補償されたのだろうか。これは防衛司令部の責任で何とかせざるを得ない。一体いくらになるだろうか。

 少なくとも騒動を大きくした雷電やキャップは懲罰決定だろう――と思ったがそういった描写はなく、バーナード星域で活躍しているのだから不問に付されたらしい

 それはダメだってば。最悪、喧嘩が起きるまでは何とか擁護可能。しかし、それ以降のバーやかかわった人物に対する関連の描写全てがダメ。

 もやはご都合主義の範疇すら超えてしまっている

 

 

 そもそも、ヤマトに二人の副長というのがまた疑問というか演出マターだって意味がねぇもん

 副大統領とか副知事が二人というのはあるが……どっちにせよ、結局は誰が上位であるかを明確にする必要は有る。いざという時の権限の継承というものはコレ、明確にしなければならない。

 また、軍艦というものはすでに細分化された組織であると考えられる。これを再統轄する長職とその次席というのが艦長と副長である。それをどうして副長を二人も設けて役割を再分割しようとするのか、どうせ中途半端になるのが判っているのに意味の分からない――救いようのない描写だ。

 また、島君が一体今までヤマトの作戦や戦略的運航の何に貢献したというのか非常に疑問である一方、真田さんに副長を任せることによって彼に不必要な仕事まで任せてしまっているのではないのか。ヤマトの機能を充実させる観点からすれば、すでに古代君が序列をすっ飛ばして艦長に就任している以上、島君単独で副長を預かるのが合理的な展開だっただろう。

 ゆえに、二人の副長というのはまったく、効果がない上に妥当性に欠く演出。残念無念、また来週。

 

 

  

ストーリー考察Ⅲ ヤマト名物・派閥闘争

 

 

 ヤマト名物はいくつかある。例えば誘爆、時間軸のすっ飛ばし、数値の明らかなズレ。そして忘れてはならないのが、必ず起きる派閥闘争である

 ヤマトⅢ、第2話の話である。

 

 

 以前の闘争

 ガミラス戦役においては、これは反乱という形で起きてしまった。つまり、藪らイスカンダル残留派と古代ら主流派。まあ、期限までに帰還できるかわからない、帰還できても地球が再生できるかわからないのだから、人類種を残すという観点からはわからないではない行動。

 雪を拉致った、気味の悪い行動ではある――14万8000光年の長大な宇宙空間を孤独ともいえる過酷な環境を過ごしてきたのだから、多少狂った行動を取るのも仕方がない面もあるのかもしれない。もっと言えば、艦内の意思統一がうまくいっていなかった――艦長代理の威厳の問題もあるにはあった。

 

 ガトランティス戦役において各所で地獄のような闘争が繰り広げられ

 さらばの方では明らかにヤマトクルーが冷遇されていたが、長官の存在を鑑みるとこれはガミラス戦役従軍者に対する冷遇という表現が可能だろう。つまり、ヤマト派と新地球艦隊派とが結構入り組んで闘争を繰り広げていたのである。

 他方でヤマト2においては白色彗星の脅威評価やヤマト出撃にまつわる明確な意見の衝突。この派閥闘争が更に発展し、何と1個エピソードとして描かれるに至る。つまり、第18話の土方艦隊司令部派と参謀らの防衛司令部(防衛会議)派の指揮権をめぐる対立だ。忘れてはならないのは、シリーズ通して底流として存在する防衛司令部内部の長官ら艦隊派と防衛会議・連邦政府派の対立、これも見逃すわけにはいかないだろう。

 

 防衛会議関連の政治的闘争は論外として、しかし防衛司令部と艦隊司令部の対立は秩序と緊急事態における実際的な問題の対立である為、起きてしかるべし。少なくともその指導者である藤堂長官(当時は個人名なし)と土方総司令の底部では共通していても立場が違うために互いに相いれなかった。

 これはいづれ到来する危機として事前に対応策や法律の内容を調整しておくべきだったが、多分に政治的対立も背後にある為当事者同士ではどのみち調整はつかなかっただろう。ただ、政治がどれほど地球の命運を真剣に考えたかは不明だが、防衛司令部内では、あの参謀ですら戦略的観点からの発言に終始した。その意味では方針は違えど目的は一致出来ていたと言える。いわば、まともな人間同士がまともであるがゆえに起きた闘争。

 

 小さなところでは空間騎兵隊とヤマトクルーの対立が見られたが、これは親分同士の話し合いで割合簡単に片が付いたから、まだかわいい方。あと、人間教育派と技術革新派の対立もあったが、あれは土方総司令の存在のおかげでいい感じのラインに落とし込まれた。

 

 

 幸いな事にウラリア戦役では派閥闘争的な対立は――ないわけでは無かった

 有人艦艇派と無人艦隊派の対立である。ガトランティス戦役当時の防衛会議の明らかに利己的で無意味な輩のかましに比べれば、無人艦隊派にも有人艦隊派にもそれぞれ大義名分があった。人間を根幹とし、そのサポートを機械が行うとすべきという有人艦隊派、人員が確保できないのだから無人に頼らざるを得ない無人艦隊派――この闘争の発生は合理的だろう。

 縄張り争いのようなことになれば大惨事だが……。

 

 

 今回の闘争

 はっきり言って最も醜い類の、嫌な闘争である。完全に学閥とかその類の闘争で、地球人類の未来を守るという議会に全く欠けた内容だ。どこにも正義などありはしないという救いようのない闘争。

 

 地球連邦大学宇宙物理学部長サイモン教授はいち早く太陽の異常増進を観測・確信した人物である。一方でその対立相手となった黒田博士は太陽エネルギー省観測局長――つまり、地球連邦政府の内部の専門家である。テクノクラートという事だろう、日本出たと言えるならば気象庁長官に近いか。

 問題は黒田博士が政府のパワーを利用して地球連邦大学総長を味方につけてサイモン教授を追い出した事。地球連邦首相、あのおっさんやりやがったな……大学は常識で考えれば呼び方はどうあれ文科省や教育省の管轄だろう。この類の省の管轄権を利用して大学に圧力をかける、その上でサイモン教授を追い出す。しかも自分の観測データや学説といったものを援護するための行動であるのだから擁護はできない。

 

 このような緊急の事態においての学閥闘争は現実世界にはあまりないやってる場合じゃないもの。普通は平時に行う事――だから緊急時に行われたサイモン教授対黒田博士の闘争は一切擁護すべきではないし、しようがない。

 

 

 現実世界の学閥闘争で有名なのは――東大対京大だろう。東大の白鳥庫吉から始まる邪馬台国九州説と京大の内藤虎次郎から始まる邪馬台国畿内説。内藤湖南による唐宋変革論も、日本国内で唐と宋で変革が起きたという点においては一致しても……後に宮崎市定ら京大系の中世から近世への転換という学説と、周藤吉之ら東大・歴研系の古代から中世への転換という時代区分論争。

 はたから見ていると馬鹿らしいが、内幕を少しでもみると――大人げないというか、人間ってこんなに醜い……という感想を持ってしまう。そう言う事が実際にあったりなかったり。 「何かがあった」こと以外は全く不確かで、実際とは離れた部分があるかもしれない、見方によっては多少受け取り方が違うかもしれない。そう言ったことに対して大きく見解が乖離し、結果的に何が妥当な見解なのかわからなくなっている。 

 

 学閥闘争に縁がない場合は、政治を思い浮かべて欲しい。

 政治家対キャリア官僚対ノンキャリ官僚、野党対与党。本気で国や国民のために闘っている人もいるが、どう考えてもそうではない人もいるし、無抵抗という背任行為をする人もいる

 税と予算で君臨し政治家をも圧迫する最強官庁・財務省、日本を背負う自負・外務省、日本を実際的に守る防衛省、公明ポストで日本の‟血管”を守る国交省、最大官庁・厚労省、安倍政権の屋台骨・経産省、最高格官庁・総務省、司法を司る・法務省、日本の未来を司る・文科省。これらはそれぞれ物凄い闘争を、はたから見てもわかる程激烈に行っている。

 おおむね――文科省は大抵の場合なきを見るし、法務省は特に最近では官邸の暴走答弁のおかげで割を食っている。国交省は連立の関係から可もなく不可もなく。総務省は閣内論功行賞の結果ヘンな大臣を戴く反面、国内の時間全般に口が出せる権限を有する。巨大すぎて自壊寸前だが、巨大がゆえに独自の論理が通る厚労省。他官庁どころか政治家に対して、圧倒的に強力なパワーを有し、結局大蔵省からの改組がせいぜいで聖域状態の財務省。ここが最強で、実際長期政権とはいえケチが付いた途端に財務省にボロ負け……。経済重視の安倍政権下では強力な力を発揮して一時は財務省すら退けたのだが、政権にパワーを依存しすぎて最近はメッキがはがれてきた経産省。地味に予算を押し通し続けているが、一方で政権のイメージ戦略にも使われがちで国防的に意味があるかわからない選択をさせられている防衛省。そして官邸に集められた出向官僚――それぞれがそれぞれの理論(別に間違っているとは言わないが、分別を以て我を出してほしい)で動いているから……今回の惨事である。

 

 

 サイモン教授対黒田博士の闘争はこれらに類する、残念な闘争だ

 本質から全く外れた議論に終始しているのだ。挙句、二人の場合は太陽の異常増進が実際に起きているという緊急事態。本人たちは真剣だろうが、遊んでいていい状況ではない。

 

 

 政治下手のサイモン教授

 一見すると黒田博士が悪者に見えるが、実のところ最初に火をつけたのはサイモン教授といえる。黒田博士の逆鱗に触れたのには、それなりに理由がある。彼の政治下手ゆえに、逆に派閥闘争が激化してしまったのだ。

 

 サイモン教授の何が問題って、彼は自分のコネを使ってか大統領に直訴したのだこれは非常にマズイ。他の誰かに報告したのかといえば、黒田博士や大学の動きを考えれば――サイモン教授はあふれる危機感によって、一足飛びに直訴したという事が想定できるだろう

 この直訴はたとえサイモン教授が意図せずとも、「あなたの事を信用していません」というメッセージを大学側や首相あたりに送ってしまったといってよく、ダークヘルメット卿でなくとも頭越しに事態が進むのは非常に不愉快。

 

 さらに事態を悪くしたのはサイモン教授が孤立してしまっていた事である。挙句に彼が頼ったのがよりによって藤堂長官だった事。どちらも最悪の選択だ。

 まず、同僚や別の同じ分野を研究する仲間に‟検算”してもらうべきだった。そして複数人からの同意を確保し、集団として警告を発する。発起人の国籍が複数にまたがれば、たとえ連邦政府であろうとも影響力を行使しずらかったはず。まず、自身の観測・研究の信頼性を確保し、仲間を確保しておくべきだった。

 次いで、頼ったのが藤堂長官というのが大失敗。これはメディアか恐らく業務縮小傾向にあっただろう宇宙開拓省、ここに話を持ってくべきだった。前者はセンセーショナルな話題に食いつくか隠蔽のどちらかの反応を示すだろうが、どちらにせよ最初に打ち上げる‟花火”が大きければ大きいほど、メディアの反応は燃焼促進剤にしかならないから好材料。後者は行政組織として官僚組織として当然の反応である権限行使の範囲拡大を望むだろうし、アルファケンタウリでの開拓もあまり上手く行っていないのだから――NASAが時々飛ばし記事かますのと同じように、サイモン教授の観測結果は宇宙開拓省の注目を引くという目的のため、目立つ話題の後ろ盾になるという行動に繋がる。

 

 

 黒田博士の場合、大学や政治に深く結びついている人物であろうことが推測される。いわゆる御用学者。であるならば、想定外の異常事態に対して追認する事を幾らか躊躇うのも無理はないし、メンツをつぶされかけたとして復讐のために政治的パワーを使うのも無理はない。

 残念ながら御用学者は得てして、目の前の事象を政府が望む結論の範囲内に帰結させようと助言を行う癖がある。黒田博士はまさにそのタイプの学者だったと言えるだろう。って――

 どうしてこんな簡単な予想をサイモン教授は出来なかったのだろうか。これでは学者バカというより、バカ学者と表現せざるを得ない……。

 言っちゃ悪いが、政治力も学者の才能の内である。これはどんな分野の学者であっても同じことで、評価を受けるには目新しい学説の他に個人的な政治力も大切なのだ。だから在野の学者の意見は大して教科書に反映されず、大して重んじられない。

 

 

 サイモン教授は致命的に政治力が無い政治的センスもない、それどころか欠片もなかった。それがゆえに、単純に政治とのつながりが深い黒田博士に完敗を喫したのである。

 サイモン教授の致命的な政治下手と、黒田博士の御用学者らしい素直な反応の衝突。このあまりに矮小な衝突がゆえに、人類は危うく滅亡しかけた――といっても過言ではないのであるしかも、専門家同士の衝突であり、当然ながら門外漢には手も足も出ない事案なのだから闘争の危険度は歴代MAX。いやはや最低のエピソードだ。

 何と恐ろしい事か……しかも、構造としては現実世界にも起こり得るのだから背筋がぞっとする。

 

 

 

 

 

ストーリー考察Ⅱ 銀河系大戦拡大・地球に迫る戦火

 

 ひたすら「ダゴンめやりやがったな!」という展開が続くのが第2話以降の話。ダゴンがやらなくていい事をやり、やるべき事を散々後回しにした結果、彼の部下を含めた全員が重大な迷惑をこうむる。

 あのケツ割れ、迷惑至極な奴である。

 

 

 降って湧いたように発生したのがアルファケンタウリの植民地襲撃事件である。突然、偶然に近い形でダゴンに発見された第4惑星が対した理由もなく猛攻を受けた。

 非常に残念なのが、この時の防衛司令部の対応。 

 度重なる惑星破壊ミサイルの飛来――"何か”のせいで地球が、天の川銀河がヤバい事になっている事を身を以て知っているはずなのにもかかわらず、アルファケンタウリ方面に事前に戦闘艦隊を派遣していなかったのだ

 第4惑星自体が基地としてあまり機能しがたいのは仕方がないが、当該方面は太陽系にとっては前庭のようなもの。天の川銀河における戦乱が発生した場合は確実に最初に狙われるのがこの地域だ。反対に、天の川銀河以外からの外敵の襲来に際しては一旦人類を避難させ態勢を整える為にも利用可能。

 アルファケンタウリの植民地は、人類が住み繁栄させるには非常に困難で恒久的な植民地としてはコスパが悪いだが、だからといってそう簡単に手放せるようなものではない。まして戦乱が目の前に迫っているのだからここの警戒は差し当たって厚くすべき。

 それにもかかわらず、防衛司令部はあらかじめ戦闘艦隊を派遣することを行わなかった。あの惑星では大艦隊を養うのは難しいだろうが、維持できない部分は“輸血”して何とかしても良かったはず。それをしないで、後であたふたするというのは非合理的と言わざるを得ない。

 幾ら戦闘衛星を多数配備して必要に応じて集結させた判断は良かった。太陽系圏内にある艦隊を即応体制にしていたのもポイントが高い。だが、そもそも艦隊を派遣しておいた方が被害が少なく済んだはずだろうし、不必要に当該地の民間人の命を危険にさらしたという点で非常に問題。

 ある意味では職務放棄に近いと言わざるを得ないだろう

 

 この戦闘は、戦闘そのものには、合理的な部分が多いが、しかしながらあの劣勢。だったら端っから艦隊を派遣しておくべきだったのである。

 幸いなことにラム艦長率いるバース星守備艦隊が、地球防衛軍惑星パトロール艦隊の任務を偶然にも肩代わりしてくれたおかげで被害は致命的にならずに済んだ。

 

 

 

 アルプス上空戦第3話の話であるが――これはこれで恐ろしい。

 突然ワープアウトしてきたダゴン艦隊所属の駆逐艦が威力偵察を強行してきた。しかも、可能であれば一部を占領しようという意図さえ見えていたのである

 この時点で100パーセント、時間の猶予など無い。そうである以上即刻撃ち落す判断をしたのはすっぱりして気持ちのいいものだし、実際的に脅威だったのだから撃ち落しても当然だった、最悪だったのが連邦政府に対して事前にせよ事後にせよ報告しようという努力をした形跡が見られないという点である。

 防衛司令部……先のアルファケンタウリでの一件も含めて、事前に連邦政府、特に大統領に知らせていたとは思えない

 だってさ、どう見ても平時な地球において、事前に取り決めが無いという事が前提になるが、所属不明の不審艦への対処は一旦政治マターとなるのが普通でしょう。政治判断の後、対処する。それが藤堂長官の判断で撃墜もとい撃沈に至った。アルファケンタウリの一件に比べれば頼もしい判断であるが、シビリアンコントロール的にはマズイ。

 更に、連邦政府のその後の動きを見れば……アルファケンタウリもアルプス上空戦もどちらも事後報告をしたとも思えない。連邦政府はボーっと大した動きを見せていないのである。つまり、他国との戦闘が発生したのにもかかわらず、完全に防衛司令部内ですべてが完結してしまっている

 これはシビリアンコントロール的に最低の状況ストーリ-展開的には非常にテンポが良かったが、振り返ってみれば……この一連の流れを当たり前のように描写したのはまずかったと思う。

 

 

 

 ラジェンドラ号の海王星寄港これはアルプス上空戦と同様に、全体としては素直なストーリー展開である。が、細部にご都合主義と言わざるを得ない展開があった。

 第一として、隣接地域であるからワープでうっかり太陽系に到達するのはある意味仕方がない。これ以前のヤマトの描写としてもそんなに齟齬はない。また、ラジェンドラ号が大損害を負っている状況では、ラム艦長としてもあれ以外の動きようがなかっただろう。更に合理的な説明を加えるならば、アルファケンタウリ周辺の植民地を持っているのは常識的に考えれば地球――であるとすれば、敵の敵は味方として友好的な態度が期待できた。だから思い切って最低限の補修を要請した。

 地球側も、ある意味でアルファ星第4惑星の援軍をはからずも買って出てくれたバース星守備艦隊の旗艦――という点まで認識していなかった節があるが、敵意のない瀕死の艦を見捨てるという非人道的で、現状存在する全ての勢力を敵に回しかねない行動よりも、せめてラジェンドラ号の所属勢力ぐらいは友好関係を築くきっかけになれば、これは幸い。

 ゆえに、このラジェンドラ号周りの行動はラム艦長も地球側も含めて不自然・不思議はない。何ならダゴンもアイツの性格から言って、いきなり海王星に攻撃をしなかった=常識的な行動が出来ただけ褒めてあげるべき。

 

 たださ、地球を守るという点において防衛司令部……不作為すぎないか?

 ラジェンドラ号の不可抗力的な太陽系突入――そう言う事があり得るという事は、太陽系に所属不明の艦が接近してきても何ら不思議はないという危険な状況という事が頻出しているという事。実際、どうやら土星でも同様のアクシデントが起きていた模様しかしながら防衛司令部はそのいづれの事例も確認できていない節がある

 だから……どうして防衛司令部は太陽系の守りを固めなかったなぜに頑なに守りを固めない。挙句、警戒網すらザルだった。お前ら、惑星破壊ミサイルの進入から今日まで一体何をしていたんだよ。お前ら何のために存在している組織なんだよ

 と、そこに話が戻る。大統領権限がガトランティス戦役後やウラリア戦役後に強化され、シビリアンコントロールがシビアになったという説明もできなくはないが、だったらたった一言でも長官が対応に苦慮するセリフを、大統領が開戦を渋るセリフを挿入すべきだった。

 

 

 そして――最後の最後でなぜか我慢できなかったダゴン。君さ、何で第11番惑星域で戦闘を始めてしまうかね。

 古代君の直情的な性格も地球が戦争に巻き込まれる要因になった感もあるが主因としてはこのダゴンという男の存在が、地球を無理やり銀河系大戦に引きずり込んだともいえる

 ダゴンの恐ろしさは、終始一貫した目論見の甘さであるこれは彼我にとっての脅威であり、味方にとっては敗北必至な戦闘に投入され敵にとっては意味不明な攻撃にさらされるという事

 だって明らかに十分な火力を備えていると見た目からわかる宇宙戦艦相手にどうして……しかも航空戦力を含んだ戦力なのである。戦闘の直前とはいえ、事前に近い形でヤマトの手札が見えていた――どうも、味方にとって苦しい相手という事がわかってしまったのである。

 これに対して見切り発車的に攻撃を加えるというダゴンの判断。全く合理的ではない。それに、あのアルプス上空で消息を絶った駆逐艦――あれ探さなかったのかい? ダゴンよ……。

 

 

 このダゴンという男――それにしても愚鈍だ。全部余計な事をしてくれる。

 政治家なら松岡洋右とか軍人なら牟田口廉也やカスター将軍みたいな感じか。徹頭徹尾、都合のいい行動をし、9割方やらなくていい事をやりくさって、たまに合理的な事をして逆に面食らう。歴史上にも実生活上もそんなに数は多くないが、いないわけでは無い存在。

 このダゴンというキャラクターの行動という前提が、各種の無理やりな戦闘のきっかけ=ご都合主義に一定程度「ダゴンだから」という希釈された合理性を担保する

 ヤマトⅢの導入部は実はダゴンを中心として回っていたと言っても過言ではない。彼が居なければヤマトⅢは始まらないし、彼が居ればこそ完全無欠のご都合主義が概ね撤廃されるのだ。

 

 ダゴンに始まりダゴンに終わる。ダゴンによって担保されるのが、ヤマトⅢの導入部である。何とも都合のいいキャラを作ってくれたよ製作陣

 

 

ストーリ-考察Ⅰ-2 太陽観光船遭難――破滅的事故――

 

 

 ヤマトⅢを構成する重要な出来事、それが太陽観光船の遭難である。

 

 

 重大事故

 23世紀初頭、地球人類は何と民間旅行で太陽の間近まで到達できるに至った。太陽観光船は宇宙港を飛び立ち、水星の近傍空間で舷窓に広がる宇宙の脅威を観察できるのである。

 

 しかし、そこへガルマン・ガミラス帝国東部方面軍第18機甲師団艦隊の放った惑星破壊プロトンミサイルが偶然にも接近。猛スピードで直進するミサイルに対し、土門の母親が気づいたものの時すでに遅し。運悪く船内が観光モードに入っていた太陽観光船は回避行動をとれなかった。

 ミサイルはそのままフィンで太陽観光船を破砕し、太陽へと突入していった。

 

 

 古代ら戦闘員を含む人員を観光船の航行ルートに投入して捜索を敢行するも――観光船は木っ端みじんになり、残骸は原型をとどめず、残念ながら遺体は見つからなかった。恐らくは水星の引力に引き付けられてしまったのだろう。

 この事件の直後から太陽は太陽の核融合は異常増進を始める。

 

 

 原因と責任

 原因は以前にも述べたようにコリジョンコース現象加えてミサイルの速度

 軍事船舶ではない太陽観光船では、最高性能のレーダーを備えているとは思えない。また、太陽観光船をひっかけたプロトンミサイルはガルマン・ガミラスが誇る戦略ないし戦術ミサイルであるため、恐らくそれなりのステルス加工はされているだろう。

 この想定が正しければ太陽観光船側は目視以外ではミサイルの接近を感知できなかった可能性が高い

 

 レーダーにミサイルが映らなかったとすれば、最早目視に頼るほかないだが、目視で何とかなるような速度であったかは――大いに疑問

 現代の普通のミサイル程度の速度だとすれば、彼我のスピードの差の大きさを鑑みれば視界を横切る軌道であれば目で追えるだろう。まあ、目で追えたとして、丸腰では何かできるわけでは無いだろうが

 ところが太陽観光船の相手は惑星間を飛翔可能な高速飛行体。訓練されていない民間人の目で追えるようなスピードとは……思えない。挙句、真正面に突っ込んできたのである。船内は観光モードでまったり状態、しかも後方からの接近であるから船長も見張り員も一瞬気づくのが遅れても当然だろう。仮にに気が付いたとして、エンジンをかけて回頭して――とやっている間に結局船尾を破砕された可能性がある。

 太陽観光船側が早くに気が付いたとして、どっちみちミサイルのフィンに引っ掛けられて爆散した可能性が高い

 

 つまるところ、太陽観光船も太陽観光船を運航している会社も責任はないと言って構わないだろう

 

 

 

 太陽観光船側に非が無いとすれば、事故を防げなかった点について、これは防衛軍側に責任があるだろう

 太陽系を全周囲うアステロイドベルトに防衛線を敷いているのにもかかわらず、防げなかった。これは防衛線に大きな穴があるという明確な証拠であろう

 結構前からミサイルが突っ込んできているという事を判っていたにもかかわらずどこにも警鐘を鳴らさず、戦闘艦隊を配置することもせず、雷撃艇での迎撃という中途半端な迎撃態勢これは危険を放置したと言われても仕方がない

 

 確かに、防衛軍はガトランティス、暗黒星団帝国の連続した襲撃を受け、大損害を負っている。だが、しかし、そうだとしても、太陽系圏内の防衛戦力が明らかに手抜きといえるほどのレベルの低さ。あまりに質が低い。

 戦闘艦隊の即応体制は全く構築出来ておらず、結局アルファケンタウリでのダゴン艦隊の襲撃に対してワンテンポ遅れてしまった。アステロイドベルトに配備した防衛戦力もあれだったらブラックタイガー隊の方がまだ信頼がおける程度。警戒網も十分ではなく、惑星を基準にしたものであろう、全く太陽系内部をカバーできていない

 戦時体制ではないから、といっても太陽系圏内を危険にさらしても問題ないという事ではない

 特に地球は妙に攻撃対象に選ばれがちな惑星なのだから、それを鑑みて準戦時体制を平時とし、ガトランティス戦役時のように艦隊戦力のほとんどを結集させた状態を戦時として設定して地球圏の防衛に当たるというのが当然のように思われる。

  これはご都合主義な無尽蔵の戦力を避けたというよりも物語を展開させたいが為の結構無理をして手薄にさせた、ご都合主義的な戦力配置という表現の方が正しいかもしれない

 

 

 手薄な戦力配置を多少、擁護すれば――地球の資源状況なども考えれば多少手薄になるのも道理ではあろう。戦力の欠落を埋める為に配した無人艦隊や戦闘衛星はいづれも大した戦力にならず、敵の奇襲に対する急場しのぎがせいぜい。普通に有人戦力を投入した方が確実という判断になるのも不思議はない。

 だったら無人艦隊の性能を上げればいいだけだが、この教訓が生かされていないのは大いに問題だが、完結編の非省力化傾向の原点回帰への巨視的な結節点としては十分評価に値するだろう。

 それに、平時のシビリアンコントロール用の機構=防衛会議がまだ存在しているのならば、彼らが手続き上の障壁になって効果的な戦力配置への転換に失敗したと説明は可能。この場合、第一に責任を負うべきは防衛会議になり、ひいては最高司令官たる連邦大統領が責任を取るべきだろう。

 

 アメリカやイギリスが最盛期から時代を下って、割と非効率な戦力構成になっている、と言うような現実世界にも割とあり得る話だからこの設定や物語自体は者に構えてみれば何とも不気味なリアリティとも表現できるだろう。

 

 

 

 そもそも論として、ダゴンがちゃんと流れ弾の処理をすれば事故など起きなかった。アイツが一番悪いし、報告をさせなかったガイデルも相当に悪質。

 この事故なくたってヤマトⅢのストーリーは十分展開できたのにね

 

 

 影響

 まず、土門君が大きな影響を受けた。不必要なまでにガルマン・ガミラスに対する敵愾心を抱いてしまった。時折見せる不必要な反抗的態度、発想。大きな問題には発展しなかったが、ついぞガルマン・ガミラスとの心理的和解はならなかった。また、太陽制御に対する不必要なまでに英雄的行動に出がちな心理的効果をもたらした可能性も否定できない。

 一方で地球連邦というものには大した影響が良くも悪くもなかった。事故は事故として処理され、責任の所在は劇中では語られなかった。防衛ラインの強化も行われず、ラストエピソードではベムラーゼ親衛艦隊の太陽系侵入に対して全く反抗できなかった。

 

 

 事故そのものは概ねご都合主義ではないむしろ、あまたある恒星の中でなぜ太陽だけにプロトンミサイルが突っ込んだのか。こちらの方がよっぽどご都合主義で整合性を取るのは困難というか、他の恒星で同様の事故が起きていない時点で不可能に近い

 整合性の点では、オリオン腕周辺域で多数の恒星が核融合の異常増進を始めまくっているという異常現象を調査する。ストーリーの発端とした方がよかったのではないだろうか。

 

 事故そのものはその処理も、航空事故などで見られるように、政治やら何やらのパワーが介入するとこんな感じの結末になるという点で、ある意味ではリアリティがある

 ただ、細かいところでご都合主義であったり、ご都合主義ではないが合理的ではない展開、説明不足な展開が多く見られた。また、土門個人のキャラクターを深く掘り下げる為に必要なエピソードであったのだろうが、大して効果的ではない。

 彼は古代の跡に続く存在としての位置づけを想定していたと考えられるが……その意気込みの割には本編にはうまく組み込めず。挙句に、結果的に古代と土門のキャラがただ被っただけで挙句に揚羽が土門と立ち位置が被ってストーリーが重層化したのではなく煩雑化しただけになってしまった。

 

 申し訳ないが――無きゃ無いでいいエピソードだった。そう言わざるを得ないのがこの太陽観光船の遭難事故である