旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ガミラス兵器群 不明艦艇(新型駆逐艦/パトロール艇)

 

 宇宙戦艦ヤマトには多数の戦闘艦艇が登場する。

 タイムテーブルの関係上掘り下げられずに終わった戦闘艦も、そもそも設定がテキトーだったりする例も少なくない。第一作に至っては、アニメーター諸兄の技術であるとか効率というものも追いつかず、途中で消えた設定もあったりする。

 今回は、その中でも特になんだかわからなかったものを考察したいと思う。

 

 

 新型駆逐艦ヤマト第一作において、ドメル艦隊の来航と共にバラン星に配備された戦闘艦艇である。

 

 データ
 全長:不明
 全幅:不明
 自重:不明
 武装:艦首ミサイル発射管4門、艦橋基部固定砲4門、他不明


 基本は高速巡洋型クルーザー艦から目玉を取り除き、艦首に分厚いカナード翼を付けたような見た目。割と艦橋はガトランティスの大戦艦に似ているが、ガミラスの特殊な戦闘艦艇にありがちな角が生えている。地球の主力戦艦にも見えなくもないが、ともかくガミラス艦のデザインとはかなり異なる。

 無理やり例えるなら潜水艦〈アブデュルハミト〉に戦艦〈大和〉の艦橋最上部を引っ付けたような見た目。

 

 武装/その他

 艦橋に埋め込むような形で砲が4ないし6門あるように見える。4門とも同時に発射することも、2発ずつ発射することも可能。割合に速射性能が高いようだが、射角がどれだけ取れるかは不明。何より、艦橋砲以外にろくな武装が見えないため――これは火力が高いかどうかは正直疑問。

 ただ、突破力はあるだろう。艦首方向に集中的な火力配置をしているため、たとえ仰角・俯角が取れなかったとしても猛打を浴びせればそれで充分。4次元空間=異次元の空間においても航行が十分できる為、性能は十分高いといえるだろう。

 

 が、立ち位置としてはかなり疑問。

 他の艦艇とは違い、旋回砲塔が存在しないという事は正面方向以外への攻撃が不可能という事。これは奇襲を仕掛ける戦術や敵陣突破以外の場面ではエグイほど不安要素となってしまう。しかも、駆逐型デストロイヤー艦も異次元空間で活動できているため……どうしてこの艦が必要になったかは不明。

 合理的説明の可能性としては、駆逐型ミサイル艦の代替という事になるのだろう。武装配置など、類似点は多いし、同じようなコンセプトの艦が登場する場合は普通は代替とするのが普通。

 正直、ミサイル艦との差別化が図れていない。良さもない。これは登場しなくなって――当然ではないだろうか

 

 登場/活躍
 第15話、1月5日にドメルのバラン星赴任と共に同基地へ配備。さらに15時から行われた第6区四次元演習場にての大演習にも登場。ドメル艦隊に先んじて一隻が前進、ヤマトと遭遇。砲撃を加えた。また、ドメル艦隊には同型艦が多数配備され、ヤマトと戦闘を行った。結局ドメルの慎重すぎる深読みが思いっきり仇になってヤマトを捕らえ損ねた。

 結局、この艦は一体何がしたかったのか不明。何が出来たのかも不明。これらを明かせるだけの登場時間もなかった……。

 

 

 

 トロールは太陽系圏内においてガミラス勢力の活動を補佐するため、地球勢力の活動を監視するために配置された小型艇である。

 

 データ
 全長:不明
 全幅:不明
 自重:不明
 武装:不明
 搭載:戦車2両

 

 上面図は高速空母に近く、アームの短い高速空母を上下逆さまにして、中央部にフルーツ絞り器を載せたような、横から見るとカップケーキかずんぐりしたタジン鍋

 エンジン噴射口は底面らしく、その付近の極めて狭い幅を白に塗られ、基本的にはグリーン塗装。一部に白い円形突起や、ジュース絞り器の棘は深緑に塗られたりと、結構複雑なカラーリング。胴体に搬入口が4つ設けられ、ガミラスの宇宙重戦車が丁度一両出し入れできる。

 

 全長の推測・運用の推測

 恐らく、円周は160メートル程度だろう。だから直径も50から余裕を持っても60メートル以内、高さも50メートルかそこら。意外と大型。3連装170mm衝撃波砲1門を搭載するガミラス戦車を格納するが、一層10両程度は十分搭載可能だろう。2層なら20両。が、乗員が2ないし1人は必要で、パトロール艇の乗員と被っているなら――運用の限度は2両となる。

 武装はあるようには見えず。通報と兵力の迅速な展開が主任務だろうし、それだけならば――この程度でも問題はないだろう。

 

 全長:85メートル
 全幅:60メートル
 自重:不明
 武装:自衛火器数門
 搭載:運用戦車2両(輸送可能量:20両)


 運用のイメージとしてはビーチング方式の輸送艇にコルベットの役割を持たせているといったところか。地球勢力の脆弱な戦闘艦艇を考えると、たとえ武装がなかったとしても速力があれば十分退避できるだろう。ただ、パトロール艇と戦車の搭乗員がどうやら同一という、無意味な省力化が行われているのは疑問。情報を重ね合わせると、輸送艇をパトロール任務に使っているとするのが一番だろうではないだろうか。

 この類の警備用舟艇が太陽系圏内に多数存在しているため、概ねヤマトの行動は冥王星のシュルツにばれていたと考えていいだろう。だからといって、この艇ではヤマトの行動を阻止するには至らなかった事は確実だろう

 

 

 登場/活躍

  第6話にて≪ガミラストロール104≫のコールサインを持つヤレタラ艇が登場。すぐさまタイタンに着陸して戦車を繰り出し、古代らを襲撃したため艇としての活躍はない。以降の出番もない。

 これじゃ評価のしようもないごめんね……。

 

 

 

ガミラス兵器群 高速空母――ストーリーに埋もれた新鋭艦――

 

 高速空母(十字空母)は視聴者にガミラス有機的デザインを決定的に刻み付けた戦闘艦艇である。残念ながら登場シーンは少なく、むしろ2199でヒットした艦艇ともいえた。なんかイラっと来るが、考察してみたい。

 

 

 データ
 全長:不明(予想:260メートル強)
 全幅:不明(予想:260メートル強)
 自重:不明
 武装:不明
 搭載機:不明(予想:最低40機)
 機種:ガミラス戦闘機

 

 デザインは4本腕のヒトデ。4つの目のような黒い半円が生えているため、側面はカマキリの顔に見えなくもない。ヒトデの裏はガミラスパープル。胴体部の底にエンジンノズル的な何かがある一方、艦載機射出口は腕にある。

 軍艦というより海底生物な雰囲気が強い。

 

 

 全長の推測

 搭載機であるガミラスの戦闘機が約20メートルという設定があり、そこから換算するとアームは70メートル強、中心からアームの先端までは130メートル強で全長は260メートル強となる。高さは不明だが、20から30メートルは下らないだろう。艦央部は直径120メートル。
 腕一本につき約10機強を発進させたため、収用機数は最低でも40機となるだろう。中央部ならば3段ほど、アーム部でも2段ほどが積める。中央は円状に並べるとして2列か3列、アーム部でも2列。半円で6機程詰めるだろうか。一周だと12機かそこら。一段内側だと10機か9機程だろう。
 ここから概算すると……アーム部は一本につき8機、中央部は42機かおまけして50機。総計すると、82機が最大搭載機数となるだろう。最大機数を収容する必要はないから、70機前後ぐらいで十分だろう。つまり――


 全長:270メートル
 全幅:270メートル
 全高:60メートル
 自重:不明
 武装:不明
 搭載機:常用60機+補用10機
 機種:ガミラス戦闘機

 

 数値を再設定するとしても……いや描写から推測したのだから妥当な値になっているはず。最悪、多少高さを盛れば、燃料等の格納も可能になるから、空母としての機能は確実に確保できるはず。
 仮にヴィジュアルというか、他艦との比率をそろえるならば――戦闘空母の再設定値に基づいた再設定を行うとしても、1.5倍程度にして405メートルぐらいだろう。この場合は120機程が常用として見込まれる。

 全長:405メートル
 全幅:405メートル
 全高:90メートル
 自重:不明
 武装:不明
 搭載機:常用120機+補用20機
 機種:ガミラス戦闘機

 

 艦内部にCICのような部署があり、中央に円形の大型ガミラス的モニターが配置され、更に一回り小型のものが幾つか、さらに小型のものが幾つか配置されている。室内の壁4面は円形の舷窓のような外部の状況を映すモニターになっている――と推測できる。面積は恐らく18畳から26畳の間と広いのか広くないのか微妙なライン。多分20畳前後が妥当なラインだろう。床置きモニターのせいで大分スペースが取られるため、あんまり広くはないか。

 

 

 武装/運用

 武装は艦体最上部に設けられたミサイル発射機構より放たれるガミラスミサイルに頼る。7発を同時発射可能であるが、発射機構が円形なのかどうなのかは描写がアレなので判然としない。艦載機の攻撃が通用しなかった場合の鷹の爪的なイメージなのだろう。

 基本的に快速であることを活かす運用、それも対艦戦闘が大前提なのだろう。イメージとしては三段空母に電撃戦に随伴可能かつ火力支援が可能な能力を付与したという事。つまり、三段空母の前線展開型

 であるならば、対艦兵装が中心とした武装であることも合理性は保てる。しかし、空母のくせに敵空母艦載機の攻撃にかなり脆弱というのは問題アリ。特に、ヤマトという航空戦力の塊のような存在が登場したとあらば――たとえ最新鋭であったとしてもこの高速空母はコンセプト自体が対応不可能。運用を中止する、少なくとも銀河方面軍における配備が中止されたとするのが妥当だろう。

 これをほとんど登場しなかった事に対する説明としたい。

 

 

 劇中の活躍

 ヤマト第一作の2話と4話に登場。

 第2話においてがれき状態のヤマトに対し大気圏内辺りで艦載機群を放出、艦自体もヤマトに接近して観測を試みるも――ヤマトのショックカノンに返り討ち、大爆発をしてしまった。

 第4話においては月軌道のヤマトを迎撃に出動。艦載機を放出するもブラックタイガー隊によって阻止され、艦によるミサイル攻撃に移行――するも着弾直前にヤマトがワープ。これ以降の出番はなかった。

 

 

 残念ながら活躍はしなかった

 多分、大人の悪い癖で忘れちゃったのだろうが、それで話を終わらせてしまうのはあまりに寂しい。この途中でフェードアウトした事実に妥当であろう説明を付けるならば……ヤマトという砲力と航空戦力を併せ持った、ガミラスにとっては新しい敵に遭遇したことで以前の対地球戦のドクトリンや戦闘プロットが全く通用しなくなってしまった。だから、最早時代遅れな上に潰しの効かないこの艦は、以降の戦闘に顔を出さなかった、出せなかった。そう説明可能だろう。

 よく言えば、このテキトーな扱いによってガミラスという勢力の歴史であるとかを推察できる非常に強力な情報となり得たのではないだろうか。

 劇中において活躍はしなかったが、視聴者の妄想の上には十分活躍したといえる。

 

 リメイクで出世したんだからいいんじゃない? 知らんけど。

 

ガミラス兵器群 タンカーロケット


 タンカーロケットは500日ごとにガミラス惑星派出部第8支局からビーメラー星に派遣され、ローヤルエキスを集荷し帰還する輸送用タンカーである。

 

 

 データ
 全長:不明
 全幅:不明
 自重:不明
 武装:不明

 全部不明

 

 ガミラス惑星派出部第8支局所属の物が登場。3つの球状タンク部と4本一纏めのロケット部と先端のキャップ状部分で構成され、先端部が操縦室になっている。また、昇降口はココのみの模様。
 水平離陸が可能なように、タンク部にもハニカム構造のエンジンノズルが内包されている。適宜設けられている赤い穴は迎撃用のレーザー砲だったりする。興味深いのは迎撃態勢に移るのに上下を反転する事。ほとんど直接的に地べたに降下するタイプの着陸方式であるらしく、恐らく底部は強固なのだろう。先端の操縦室がジャイロ的構造で上下が保たれていると予測される。

 大きさの推測はかなり難しいというか、文系の私には無理。
 見た目からして、比率からして参考になるのはLNGタンカーだろう。つーか、まるまる独立モス方式のタンカーそのまま。例えば、球形タンクを4つ備えた東京ガス(正確にはその子会社である東京エルエヌジータンカー)の誇る〈エネルギー フロンティア級〉LNGタンカーは289.5メートルと長大。幅も49メートルと大変巨大なタンカーだ。ちなみに一番船は〈エネルギー フロンティア〉、以下それぞれアドバンス、プログレス、ナビゲーターと国内ガス事業のリーディングカンパニーらしく中々カッコいい名前。
 で、ガミラスタンカーはこれより小さいだろう。
 確かに、エンジンノズルとタンクの接合部がかなり長めだが、何といってもタンクが3つだ。ざっくり30メートルは小さく見積もっても構わないだろう、幅も10メートルは削っても問題ないはず。

 ざっくり、極めてざっくり計算してみると次の通り。


全長:250メートル
全幅:40メートル
自重:不明
武装:レーザー砲4基


 ガミラスタンカーのそれはそれとして、この艦の最大の意義はガミラスが健康食品についてかなり気を使っていたという事だ。作品的な意義はそこにある。
 この艦の登場によりガミラスについて考えられる事は次の二つ。

 一つ、ガミラスは健康食品をレーションに組み込む極めて合理的で兵士を最大限活用するためには、そこに資金投入することをいとわない軍であるという可能性。
 二つ、ガミラスの貴族ないし富裕層はビーメラー星産ローヤルエキスを珍重し、その供給をガミラスは国有財産として扱っているか、国有企業がこれを独占的に販売しているという可能性。

 兵士までいきわたらせるというのは、まあ、あり得る話だろう。兵士が健康になったらまずい勢力はおそらくボラー連邦だけ。ガミラスはあれで滅亡寸前であるから、少しでも健康で少しでも能力を高く発揮してくれるように兵士の健康に気を遣うのはある意味当然だろう。かつての日本軍でも、現在のアメリカ軍でも、レーションの味と実際的な機能性の向上にはかなり気を使っていたわけだ。不思議はない。
 他方、富裕層の為のローヤルエキスであっても問題はない。国有企業を通して、或いは帝国が直接販売する事によってその売り上げを直接国庫へ入れる事が出来れば万々歳。最悪、中間マージンが取れればそれで充分だから国がほとんどの株なり経営権を掌握しているのだろう。

 富裕層からすれば恐らく、兵士と同じレベルの物を供給されるのはあまりうれしくないだろう。だが、兵士の方は、むしろ富裕層と同じものを摂取できるというのはかなり心情的に訴えるものだある。
 日本でも明治時代は白米が食べられるという事で徴兵をしやすくしていた。人によっては自衛隊でも退官して予備役になったタレントがお替り自由を宣伝していたり、食べ物は案外訴える力が強い。希少品であればあるほど、軍に入れば自由に手に入れられるという環境を造ることは軍に入る若者を確保する上で効果的になる。

 


 結局、ガミラスタンカーが何者だったのかは不明。ビーメラー星のローヤルエキスが何に使われているかも不明。しかし、その描写だけでも様々な妄想が膨らむ。
 ガミラス軍はほぼ確実に弱体化しつつあるタイミングだろう。あるいは、以前から同様の体制だったのか。

 いづれにせよ、このタンカーロケットの存在は、ガミラスを掘り下げうる重要な描写であるといえよう。

 

ガミラス兵器群 ドメル艦隊旗艦(ドメラーズ2世/3世)

 

 ドメル将軍は非常に癖の強い指揮官である。また、立案する作戦も彼の性格同様に癖が強く、専用の艦や艦隊を用いる必要が有った。

 今回は、ドメル将軍の旗艦=ドメラーズ2世/3世を考察したいと思う。

 

 


 旗艦級戦艦(ドメラーズ3世)
 全長:不明
 全幅:不明
 自重:不明
 武装:艦首側・大型無砲身3連装砲塔3基、同砲塔艦尾2基、同砲塔艦底部1基、艦上部・艦尾無砲身3連装副砲塔2基、同砲塔艦底部・艦尾2基

 

 艦の概要

 全く不明の戦闘艦で、劇中においては姉妹艦の登場はなかった。なぜかガミラスグリーンではなくグレーブルーに塗られ、艦首側主砲が基部共々赤く塗られるという不思議なカラーリング。艦影からしても塗装からしても一目で旗艦であることがわかってしまう。PS版では〈ガーラ〉や〈ドーラ〉という名前の姉妹艦が登場するらしい。 カラーリングは同じらしい。

 この艦の立ち位置は微妙なラインで、ルビー戦線からの凱旋・総統の信任を以て赴任した銀河方面作戦司令長官だから座乗艦となったとするのが妥当なラインだろう。

 この艦もシュルツ艦と同様にCICのような設備があるらしく、大モニターとヘッドセット付の椅子が3脚が備え付けられている。

 中央は指揮官あるいは艦長、左舷側が艦の運航担当と思われる。この艦の奥行きは意外と狭く、普通の護衛艦の艦橋のそれと同程度。幅は割合に大きくとってあるが、非常識な大きさというわけでは無い模様。ただ、部屋の高さはかなりあるらしく、5メートルは見込む。計器は面取りがほとんどされておらず、シュルツ艦のそれに比べて有機的な印象が低く、デスラー艦に近い。他方で、パープルな内装で、これもシュルツ艦と似たような色合いである。ワイヤレス指揮の通信装置と連動したモニターがあるが、シュルツ艦のそれとは異なる形式。

 

 全長の推測

 残念ながら丁度いい推測の出来るような描写がない。遠近というものがあるし、平場で待機のシーンも無い為――全く参考にならない。強いて言えば、デストロイヤーよりずいぶんと大きいという程度。この場合、全長はせいぜい360メートル程度になる。艦の描写として、大してマズイシーンが無い為……別にこのままの設定でも十分通用するだろう。

 

 他方で、再設定した戦闘空母のそれと倍率を合わせると、576メートルとなる。ヤマトの再設定値に近い。一回り大きく650メートル程度でも合理性がない反面、問題もないという……。直接の交戦がなかった為、設定値に関してはいくらでも逃げ道のある艦といえよう。

 

 

 運用

 運用の仕方がいまいちイメージできないのがこの艦

 武装から考えると、どっしり構えた砲撃戦の為の戦闘艦というのが恐らく性格として妥当。しかし、これはガミラス電撃戦からすれば大分かけ離れたというか……使いづらいコンセプトと言える。船足が遅いか早いかは微妙だが、仮に遅ければそれだけ高機動戦の足手まといになるし、旗艦級戦艦が必要であれば――これはシュルツ艦で十分。むしろ、あっちは砲撃戦もクルーザーのそれより強力な火力を有しいざとなればドバーっと魚雷を鬼のようにお見舞いしてくる厄介な戦闘艦。

 

 純粋な指揮戦闘艦であれば明らかに重武装過ぎるし、シュルツ艦を改装して機能を整頓してやればいい。

 砲撃戦の為の戦艦であれば……これはガミラスの戦闘プロットが大きな転換を迎えたという事になるだろう。これは十分あり得る。ガルマン・ガミラス時代での認識ではオリオン腕は文明が高度であるという。これがガミラス時代から同じであるとすれば、本腰入れて地球を制圧するのであればその後来襲してくるであろう敵対文明と腰を据えて戦うように従来の電撃戦ではない、正攻法を念頭に置いた作戦を組み立て始めても不思議はない。

 

 数が揃っていない段階において、差し当たっては拠点防衛用の大型戦艦ないし、不相応に高機能な旗艦としての運用になるだろうか。そのつもりだったか。

 

 

 登場・活躍

 第15話、1月5日――デストロイヤーを引き連れ堂々登場。その艦体は他の艦の倍。余次元空間も十分航行できるかなり体力のある戦闘艦だ。ただ、結局ドメルの慎重すぎる深読みが思いっきり仇になってヤマトを捕らえ損ねた。
 また、ヤマト20話にも登場。この艦の生み出せるエネルギーはバラン星の人工太陽を十分操作することが出来るほどで、かなりの出力。ただ、ドメルが積極砲戦を行わなかったため、自慢の大型砲を披露することはなかった。
 これで登場終了。

 

 以降の登場がなかった理由は、ガミラスが地球制圧に失敗したから、放浪の旅に出る羽目になったからといえよう。

 戦闘空母という艦隊の基幹になり得る艦を中心とした艦隊であれば、シュルツ艦さえいらない。後詰がない以上は常に電撃戦で戦わねばならない以上、ミサイルをぶっ放して相手を迅速に制圧する――少々の空母とデストロイヤーが多数いればそれでいい。拠点を防衛するにしても、本拠地になり得ない惑星にずっと留まる必要は大してない。早く本拠地を見付けて要塞化を始め、旗艦であるデスラー戦闘空母が防衛に当たりデストロイヤーが周辺域の安全を確保する。この段階であればドメラーズの利用価値もあろうが……いかんせんこの段階に到達するまで必要性が薄い。

 この艦はガミラスの戦術発展を思わせる極めて特徴的で興味深い戦艦である。しかし、残念ながら、ガミラス電撃戦に頼らざるを得ない状況に追い込まれ続けた。その中でこの艦の活躍する場は……どう頑張っても与えられなかった。

 そう解釈できるだろう。

 

 

 

 白色円盤旗艦(ドメラーズ2世)
 全長:80メートル
 全幅:80メートル弱
 自重:不明
 武装爆雷多数、瞬間物質移送器1組、ミサイル発射管4門。

 

 〈ミレニアム・ファルコン〉の親戚。オフセットされたコックピットはないが、反対に新造時にあったシャトル部分はちゃんと埋まっている。と言うような見た目。別にゴジラに出て来たミレニアンの宇宙船でも構わない。

 なお、ドメラーズ2世の艦橋は〈ミレニアム・ファルコン〉でいうところの震盪ミサイルのラック部の上あたりにある。

 

 武装/瞬間物質移送器

 自爆装置が組み込まれているが、恐らく指揮戦闘艦であるため鹵獲された場合に機密情報が敵側に漏れることを防ぐためだろう。別に、単純に爆雷格納庫に火を付けるだけかもしれないが。また、元々は瞬間物質移送器を保有していなかったが、ドメル艦隊に編入されるにあたって新設した。

 それ以外は自衛火器すらろくにない。ミサイルと前述の爆雷はあるのだが、後者は別に自衛に限ったものでは無いだろう。ミサイルにしたって大して大きくない上に薄い艦体を考えるとそんなにミサイルに替えがあるとは思えない。

 基本的に能力は非常に弱く、戦闘には供すことは難しいだろう。そりゃ、やって出来ない事はないだろうが。

 

 全長の妥当性・再設定
 艦内描写からして、原作設定値に妥当性はない。ちっちぇもん、比率おかしいもん。

 艦橋は体育館並みか一回り小さい程度の大きさだろう。であるとすると、34×42程度は床面積として欲しい――原作設定値の半分を占めてしまう。再設定が必要だろう。体育館をそのまま当てはめると艦橋部の盾よこの比率がくるってしまうため、30×50とする。この数値を妥当として、計算すると艦幅は大体150メートル、全長は200メートルとなる。

 

 全長:150メートル
 全幅:200メートル
 自重:不明
 武装爆雷多数、瞬間物質移送器1組、ミサイル発射管4門。

 

 運用 

 旗艦任務に供されたが、案外別の目的での建造という話があっても十分整合性は取れるだろう。例えば爆雷の投下という点を考えて――もっと言えば、案外色んな軍事用語を混同しがちなヤマトスタッフという前提を以て機雷敷設艦という捻り出しがあっても面白いのではないだろうか。

 〈ヌスレット〉は大戦果を挙げた機雷敷設艦として有名だし、〈グルィフ〉は一応旗艦任務もこなした敷設艦だ。ドメラーズ2世が〈グルィフ〉と同じようなタイプをたどった艦として説明をしても、面白いと思う。私はね。

 

 登場・活躍

 ヤマト第一作の第21話、第22話に登場。

 第1から第3及び戦闘空母からなるドメル艦隊の旗艦として登場。瞬間物質移送器を新設し、決戦の場である七色星団へと向かった。

  戦闘中は旗艦であり指揮専用であるという性格から後方に下がって艦隊指揮を敢行、艦隊が全滅した際も比較的小型かつ艦隊の後方に位置していたため誘爆被害から免れる。これにより、ドメルは本艦を以てヤマトの進撃を阻止すべく突撃。爆雷を頭上から見舞い、徹底して攻撃を行うが――決定力不足により自爆によるヤマト艦底部への攻撃を決意。恐らく、艦橋にへばりついたとしても副砲がぐるぐる旋回して邪魔されるより、艦底部に素直にへばりついて大損害を負わせた方が阻止は簡単と考えたのだろう。

 ドメルは沖田艦長との通信の後、自爆スイッチを作動。本艦は巨大な火球となってドメルやゲール君と共に爆沈した。

 

 

 意外と二次創作においてこの艦はいじりがいのある艦であるといえるだろう。

 限定されているような、いないような微妙なラインの性能であり、他方で確実に伸びしろのある艦。2199のようにゼルグートの艦橋に仕立てるのも一つの手だろうし、もっといろいろな可能性というのがあっても面白い。

 案外、考察してみると好きになる艦かもしれない。

 

 

ガミラス兵器群 初代デスラー艦――脱出用武装シャトル――

 

 初代デスラー艦はテレビシリーズのみに登場する戦闘艦艇である。ようやく銀河系へと帰還を果たしたその瞬間から総統はヤマトに対する最後の攻撃を始めた。

 その、切り札にして総統の身を守った秘密兵器。それが初代デスラー艦である。

 

 

 データ
 全長:不明(230メートル)
 全幅:不明
 自重:不明
 武装:艦首デスラー砲1門、艦首ミサイル発射管8門、移乗戦用チューブミサイル、フィン基部大口径レーザー砲3門

 

 もしもの備え

 デスラー艦は、元々は天井都市のを構成した総統府の一部である。これに脱出機能を持たせたもので、他の天井都市のそれと同様と言えるだろう。艦首には必殺のデスラー砲を備え、その他多数の自衛系火器を搭載しているがこれの使用シーンはない。

 

 天井都市にみられるあのミサイル群だが、恐らく元来は脱出ロケットだったとするのが妥当だろう。まして岩盤や建築物の構造に問題が生じ落下した場合、ロケット推進による落下防止というのは別におかしな発想ではない。これを利用し、ミサイルとしてヤマトにお見舞いしてやるというのも発想的にはあり得る。この作戦があったからこそ、ヤマトを本土決戦に誘い込んだともいえよう。

 天井都市にロケットブースターが付いている理由だが――行政官庁になにがしかの備えがあるのは当たり前であるし、例えば水害の激しかった利根川荒川水系その他もろもろ大型河川の流域は昔は上げ舟の備えは決して珍しくなかった。最近においては東日本大震災における津波被害を受けて、南海トラフなどの津波を伴った災害に対応するため津波救命艇を地域のハブ的な施設に配備しておく計画が発表・推進された。
 これを鑑みれば天井都市に脱出機能があるっても、不思議はない。脱出機能という点についてだけね

 

 みんな、天井都市って発想やべぇと思ったでしょ。アレで岩盤を動かして直接地球に移植とか、まあ色々考えられはするだろうが……ねぇ? 私も、元々天井都市の発想自体どうかと思う。カッコいいという事と合理性と安全性は大分乖離があるという意味で、大いにどうかと思う

 

 

 兵装・運用

 元来は脱出用、転じてデスラー砲キャリア、これが第一だろう。

 そもそもデスラー艦の発進自体が緊急事態である為、兵装は少なくても構わないだろう。対艦戦闘より逃げることに重点を置いた、脱出用船艇なのだから。また、波動砲は戦闘艦の積みうる兵装の中でただエンジンに直結させればいいだけ、或いは薬室を確保すればいいだけであるから、実のところ開発さえできてしまえば最も搭載しやすい兵装といっていいだろう。

 仮にデスラー砲を新しく開発したにせよ、昔からあったにせよ、デスラー砲をデスラー艦に新規に搭載しても不都合はないだろう、無理もないだろう。昔から搭載されていたとしても、最も簡単に搭載できる兵器であるから選択肢としてあってしかるべき。

 ただ、足を止めて発射準備をする必要が有る、この一点のみが扱いづらく、ガミラスにとって汎用兵器になり得なかった。そう説明可能。

 

 指揮通信能力が高いかどうかは不明証明できるシーンがないからただし、比較と類推は可能

 旗艦級戦艦――例えばシュルツ艦や戦闘空母やドメラーズ3世を鑑みると結構重武装。決戦兵器がなくとも、艦隊の総数が劣勢でも旗艦が踏ん張れば十分戦えるレベルの大火力を有している。他方でデスラー艦はドメラーズ2世と同様に武装が大したことない上に設計思想を感じさせない

 この脆弱な武装は旗艦が敵と正面切って遭遇する場面にはかなり問題があるだろう。同じガミラスの中では、前述のドメラーズ2世と同様の傾向=戦闘には出来るだけ供さないという前提が相応しい戦闘艦である。

 これを考えると、ガトランティスの超巨大戦艦のような昔の拠点ないし拠点再建設=都市帝国再建のための道具、と言うような事はデスラー艦にはあり得ないだろう。ここは、脱出ポッドが本来であるとした方が簡単に話が収まるのではないのだろうか。とすれば、脆弱ではない――だからと言って艦隊の基幹となるような通信能力はないと論じても構わないだろう。

 

 

 登場・劇中の活躍

 第一シリーズ第26話に登場。

 一度デスラー砲発射を試みるも、図らずもヤマトがワープでこれを回避。これを受けて総統は緊急的にワープを命令するが――うっかり座標がかち合い横っ腹に突っ込む。銀河系圏内でのこと。この際、どう考えてもデスラー艦の方が被害が大きかった。

 白兵戦を試みたものの、うまくいかず結果撤退。

 ヤマトが地球への帰還を目前にしたその瞬間、総統はデスラー砲を再度発射しこれを一挙に葬る作戦に出た。が、真田技師長の空間磁力メッキによって跳ね返され、直撃を食らって爆沈した。

 元々が単なる脱出ポッドに近いとすれば、十分妥当性のある描写といえよう。割と硬い(物理)艦体と微妙過ぎる自衛能力は全体として貧弱な設計だが、脱出ポッドであるとするならば、全て説明がすっきり整う

 正面切って殴り合う設計ではないのだから、と全てが説明可能になるのである。

 

 

 デスラー総統やガミラスのしぶとさを如実に示すような戦闘艦。

 この艦自体にどうこうというエピソードや設計の特異さというものは大してないが、インパクトは十分。見た目的には好みは分かれるだろうが、存外に妄想考察しがいのある戦闘艦と評せるだろう。

 

ボロディノ級戦艦 駄作か、傑作か、あるいは……

 

 ボロディノ級戦艦は日露戦争のハイライトである日本海海戦を戦ったロシアの主力艦である。5隻中4隻が完成次第、全艦第二太平洋艦隊に編入し日本へ回航。対馬沖で日本艦隊と正面から砲撃戦を行った。

  なお、私はボロディノと発音しますが、他の方はボロジノだったりしますので気にしないで下さい。

 

 

 データ(ごめんなさい、手元に資料がなかったのでウィキの記事をベースに)
 設計排水量:13,516トン(実際常備:14,091~14,415トン)
 全長:121メートル(水線長:118.7メートル)
 全幅:23.22メートル
 設計吃水:7.97メートル(実際:8.24メートル)


 機関: ベルヴィール式石炭専焼水管缶28基+直立型三段膨張式四気筒レシプロ機関
 設計最大出力:16,300hp(実際15.012~16,378hp)
 推進:2基2軸
 設計最大速力:17.8ノット(実際:16.2~17.64ノット)
 燃料: 787トン(常備)/1,235トン(満載)
 航続距離:10ノット・2,600海里(常備)/10ノット・5,000海里(満載)


 乗員:835名
 兵装:オブホフ1895年式30.5センチ40口径砲・連装砲塔2基、1892年式15.2センチ45口径速射砲・連装砲塔6基、1892年式7.5センチ50口径単装速射砲・20基、オチキス 4.7センチ43.5口径単装速射砲・20基、マキシム7.62ミリ機銃4基、38.1cm水上魚雷発射管2門、同水中魚雷発射管2門(パラノフシキー 6.35センチ19口径野砲・2基、
機雷50個)
 装甲(クルップ鋼):舷側・152〜194ミリ(水線部主装甲)、165ミリ(弾薬庫)、145ミリ(艦首尾部)、38ミリ(水線下隔壁)/甲板:75ミリ(主甲板)38〜51ミリ/主砲塔:254ミリ(前盾・側盾)、63ミリ(天蓋)、主砲バーベット部:229ミリ(甲板上部)、102ミリ(甲板下部)/副砲塔:152ミリ(前盾・側盾)、30ミリ(天蓋)、副砲バーベット部:127ミリ、7.5cm砲ケースメイト部:76ミリ/司令塔:203ミリ(前盾・側盾)、37ミリ(天蓋)

 

 

 ぶっちゃけると、フランスに建造を依頼した〈ツェザレウィッチ〉のロシアナイズ品。自国の軍事技術の醸成と国内の重工業の振興を兼ねたプロジェクトで、5隻が建造された。塗装はバルチック艦隊仕様であるが、建造直後ないし以前から太平洋艦隊編入が決まっていた特殊な立ち位置でもある。

 

 

 

 武装
 ロシアらしく、フランス流の傾向が非常に強い武装セレクトとなっていることは言うまでもない。ただ、本家フランスに比べて武装過多な傾向にあることは否めないだろう。

 

 主砲たる1895年式30.5センチ40口径砲(12"/40 морская пушка)はオブコフ社(工場)が製作する国内生産・海軍専用砲ではあるが、ベースは外観も形式もフランス流。ようやく無煙火薬に対応した大型砲で、国内初生産のある意味偉業。〈シソイ・ヴェリーキー〉に搭載されて以降、4艦級及び3隻にワンオフ戦艦に搭載された。
 元々はクルップ社製の砲を使用していたロシア海軍が、その命中率の中途半端さに業を煮やして奮起、制作にこぎつけた砲である。同盟関係であり、曲がりなりにも海軍大国のフランスの偉人カネーやシュネデールの協力を得て、ドイツのそれよりも強力な砲の設計に着手、3年ほどの月日を経て完成。初期型は油圧駆動、後期型は電動により装填から発射までを約90秒でこなした。一門当たり60発の砲弾を備える計算。
 仰角が15度までというのは他国も大して変わらない。装填、照準、射撃、再装填までが4分はかかるという――結局、良く言えば他国の砲とそん色ない悪く言えば優れている点も特にないといえる。ロシアは初速を上げて貫徹力を高めようとしていた為、元々採用していた砲弾よりも幾らか軽い331.7キロとし、結果日本軍のそれよりも幾らか能力が劣る事となってしまう。日本軍の砲弾の方が50ないし60キロ重く、その分いくらか威力は上。

 続々と登場する強力な後発戦艦に対抗すべく、5番艦〈スラヴァ〉のみ仰角を25度にプラスし射程は21,022メートルと6,382メートルアップした。

 

 副砲は素直にカネー砲をライセンス生産した1892年式15.2センチ45口径速射砲(152-мм пушка Канэ)を連装砲塔に収めることで、ケースメイト式より重量を削減しつつ火力を確保。1分あたり10発の速射が可能――というのは万全の状態だけであって、実際には7発程度、〈ペトロパブロフスク〉などのひどい艦になると2発程度にまで落ち込む。41.4kgの砲弾で射程は11,500メートル、仰角は困ったことに主砲のそれと同等。
 ボロディノ級に搭載された砲塔は、旋回角度は中央砲塔は180度、前後砲塔はそれ以下の大体135度。困ったことにあんまり速射性は高くなく、1分当たり2発から4発程度。一門当たり180発ほどの砲弾が用意されていたとの事。

 水雷艇用の備砲はこれもまたカネー砲のライセンス品である1892年式7.5センチ50口径単装速射砲(75-мм пушка Канэ)を搭載。これをタンブルフォームの“中腹”に20基も単装で設ける。仰角が大して取れず、13度ほどだが4.6キロの砲弾を6,405メートルの距離までぶっ放す。300発ほどが一門当たりに用意されており、非常に水雷艇の事をロシアが恐れていたと言えるだろう。また、オチキスから普通に導入した4.7センチ43.5口径単装速射砲をあちらこちらに備える。これは1キロの軽量砲弾を毎分15発ぶっ放す。

 
 水中魚雷発射管は6発の予備を備え、水上の予備4発を加えて結構な数の魚雷を抱えていた。また、停泊地の安全を確保するための機雷を50個ほど用意していた。


 火砲は全てフランス製がフランス砲のライセンス品か、フランス人が設計に関わっている。その形状もまたがっつりフランス流で、砲塔が楕円形。バーベット直結時代の洋ナシ形でもなく、英米流の亀甲型でもなく楕円形。
 武装配置もフランスの様に前方に対する火力集中を指向している傾向が強い。別に舷側に弱いわけでは無く、絶対的に敵艦に対して火力が上回れる方向が艦首に設定してあるという事。何せ主砲1基2門と副砲塔4基8門を指向可能であることは非常に大きく、イギリス流の砲塔配置ではどうあがいても主砲1基2門とケースメイト4ブロック4門程度。一回の斉射で4発は確実に敵を上回れる。彼我の速射力が同等であればイギリス流では14発に留まるが、露仏流配置では26発に上る。12発も速射砲が相手を襲うのだからかなり恐ろしい。計算上であったとしても、これが可能であるという事は決して無駄ではない。また、砲塔内に収めた事により、2門ずつまとめて照準、発射可能である為に一定程度以上の命中率確保が可能。

 照準が甘かったら2発ずつ無駄にしてしまうのだから余計アレな場合もあるにはあるが……。

 

 

 防御性能

 厚みは別に他の国に比して大して薄いと言うようなことはない。幅は心もとなくとも、そこまでヤバいわけでは無い。
 艦上部構造物の内、煙突周辺は事実上単なる空間装甲みたいなもので、内部に何か重要な部分があったというわけでは無いから特に問題はなかった。艦橋も、当たらなきゃ大したことないし、この時代は特に当たれば大惨事であるからこの艦ばかりがまずいわけでは無い。砲塔周辺も、特段薄いわけでは無い。

 しかし舷側に関してはちょっとまずかっただろう

 幅が微妙に足りず、うっかりすると水中に没するか、あまり軽すぎても装甲帯の下が丁度海面に付近になってしまう。これはさすがに擁護できない。しかも日本海で戦ったのがまずかった。
 霧はあっても波はない黒海や、敵の程度がたかが知れているバルト海であればよかった、穏やかな黄海であっても問題は大きくはなかったはずだ。だが、日本海だもの。波の高い日本海――どうあがいてもどのタイミングであっても、舷側の装甲帯の上やら下やらが丸出しになって砲弾も魚雷もウェルカムになってしまう。


 元から太平洋艦隊向けと言って差し支えない戦闘艦で、この設計はまずかっただろう


 


 形状
 よく言われるタンブルフォームの欠陥だが、この艦に関して言えば別に大した問題ではない何せ無茶な運動を行わなければならない時点で味方は完全に劣勢、ここから挽回は難しい。あとは撃たれて撃たれまくるのみ。。また、戦闘において人も艦も過労状態かつ過積載状態で戦った日本海海戦に関してはこの艦の真価を見るには適さないと断言できる
 13度だかそこらがカタストロフと言われ、それを超えると復元性を発揮できずに横転するという。一方でそれに対し根拠がないとか色々あるが――これも別に大した問題ではない。ノビコフ氏がそういう話を聞いたとあれば、それはそれ。事実であれば、少なくともロシア帝国海軍はこの角度に警戒していた、その前提で艦隊運動を考えようとしていたとなるだけ。形状の弱点を把握ないしある意味過大評価していた。甘くは見ていなかった、というだけ。これが計算してみて事実でないならば、ロシア帝国海軍の勘違いならばそれはそれ。

 

 

 上部がすぼまったツボのような縦断面をするのがタンブルフォーム。どうあがいても下方の方が重量がかさむ=重心が下がるのは誰が見たって判る事だろう、強制的に重心を押し下げるのがこの形状の目的である。目からうろこな感じの形状の設計である。強引ではあるが、有効な策だ。


 ただ、この形状にも問題はある

 復元性の問題など、後でどうにでもなる事であり、ベースラインで心配する問題ではない。心配すべき最大の問題は、どうにもデッドスペースが解消できないという事だろう。どうやったって舷側に兵装を設けるならば、上部を切り欠くような空間設計か完全に外に迫り出す他ない。倉庫だとしても大して使い用がない。この微妙に不足したスペースを確保するために微妙なスペースを上部に設ける、或いは設けないのだが防護のために装甲をやぐらにする、という事をするとうっかり重量が増えてしまう。元来、重心を下げ、重量を低減し、それによって武装や装甲を充実させるための形状が――むしろトップヘビーを促進しかねないのだ。フランスは本家本元らしく、うっかりこれをやってしまった。

 

 タンブルフォームを採用したボロディノはトップヘビー傾向だ。背が高いのはまごう事ない事実である。だが、絶対に忘れてはならない事として……この背の高さはこの艦に限った話ではないという事だ。ロシア軍艦の傾向として全体的に背が高くなるである
 背が高ければ当然、敵より早く敵を発見できるからそれだけ味方が有利になる事には違いない。だから別に悪い事ではないのだが、無計画にやるとこれ、艦全体のバランスを崩しかねないため慎重にしなければならない。どういうわけか艦橋を乗せる甲板の位置とか、全部の部品が大型であるとか、色々積み重なって結果……艦橋や艦前半部が凄く背が高い。

 理由は知らんが――ともかく、ロシアはこの形態の艦橋やデザインベースを合理的なものとして捉えていたのであろう、だから……これは仕方がない。「トップヘビーで危ないですよ」、と忠告しても「その危険を犯す価値はある」と言い返されてしまえばそれまで。2代目装甲巡洋艦リューリク〉になってようやく艦橋が低くなった。他は皆背が、高い。

 

 例えていうならば、小林誠アンドロメダのリファインを頼めば当然あまたでっかちの“タコドロメダ”が完成するのは目に見えていた。ヤマトのリファインも絶対どうにかしてあまたでっかりにする、絶対やるぞアイツは。
 という話と同じ。これが正しい事だと思ってやっているのだから、傍から見てそれが合理的であるとかどうのこうのは、本人にとってはまったく関係ない事。というか、本人は合理的だと思って、カッコいいとともってやってることなんだろうし。いくらダサいといっても通じないわな。ヤマトのメカとして不細工と言っても本人がそうは思っていないのだから聞く耳持たないわな。聞き心地のいい意見以外はブロックするわな。
 他人の金を使ってそれをやるのが倫理的、道徳的、プライド的にどうなんだという話はあるだろうが。
 

 

 要は、ロシアがフランスに頼んでベースを作ってもらった戦艦を、ロシアが更に自分たちに使い勝手がよくなるように変更した結果――思った以上にうまくいかなかったというだけ。"よかれ”が裏目に出て“よからぬ”事になったが、それでも必要な最低限の性能はちゃんと果たせるレベルにまでは仕上がっていた
 タコドロメダとは違って、そこまでぼろくそに言われるような戦闘艦ではない。

 

 では、この艦級はどうすれば活躍できたか?

 

 積まなきゃよかった。
 長期航洋の為に様々な物資を積みこみ、場合によっては食用にウシだのを積みこんでみたりと艦内の至るところに物資を詰め込んだのだ。一体何百トン計画よりも増えてしまっていたのだろうか。

 〈アリョール〉の開戦直後の写真を見れば、明らかに艦首の水上魚雷発射管がギリギリ水上に出ている状態でずっと航海していたのがわかる。艦尾の水上魚雷発射管なんて事実上水中魚雷発射管状態だったことも見て取れるだろう。本来は艦首水上魚雷発射管のもうちょい下あたりを水線にする予定ないしそれが通常らしく〈ボロディノ〉の衝角の目盛りがそれを物語るのだが――目盛りの結構上まで水面が来てしまっていた。

 後代に戦闘に参加した〈スラヴァ〉に関しては、ちゃんと計画通りの位置に水面が来ていることから考えて、〈ボロディノ〉から〈クニャージ・スワロフ〉まで、全艦過積載だったというのは明白だろう。


 訓練してからにすりゃよかった。
 訓練しながらの航海――これは冗談では無く後悔しかないだろう。右も左もわからない新兵や新技術についていけない老兵を満載した新戦艦。修練航海すらできていない、戦闘もドッカーバンク事件を除いてぶっつけ本番だったのだ。

 どう考えても無理だろう。

 無論、まともな兵士も多数乗っていたには乗っていたのだが、新鋭の戦艦の乗り組みは勝手が違う。微妙に今までのロシア戦艦とは性質の違う戦艦であれば、なおの事問題がある。そんな状況の中で彼らは戦ったのである。また、ロシア革命前夜という事も加味しなければならないだろう。飯もまずい、帝政府の政治もまずい、外交もまずい、フランスの支援も中途半端でまずい、ロジェストヴェンスキーの艦隊運営もまずい。まずい事尽くしの中の航海なのであった。

 これ、全部艦の能力とは無関係。驚くほどのめぐりあわせの悪さが、この艦の能力を明らかに減じてしまった。

 他方、日本艦隊は猛訓練に次ぐ猛訓練。全力でイギリスに頼った対ロシア圧力に加え、ずっとバルチック艦隊にイギリス艦隊が嫌がらせを続行。まるであおり運転のような悪質な接触まで行ったのだからもう――バルチック艦隊の皆さんが可哀想になってくる。さらにイギリスはロシアの同盟国フランスにも圧力を加え、ロシアの退路を断った。また、日本は日本で土下座外交高橋是清の活躍で資金調達に成功。天皇から平民まで全ての国民が団結、帝国の未来をかけて戦争に喰らい付いていた。

 

 バルチック艦隊が勝てるかこんな状況で

 逆にどうやったら彼らは勝てたんだよ。

 

 

 日本海海戦で忘れてはならないのは――バルチック艦隊が日本艦隊に対して惨敗したのは確かに世界を驚愕させる事だった。新鋭戦艦4に“巡洋戦艦”1に旧型戦艦3+海防戦艦3に加えて装甲巡洋艦3と防護巡洋艦5に駆逐艦9。これだけの数をほぼ全滅させ、ウラジオへの逃亡すらほとんど阻止することに成功した。

 これはまさに完勝である。

 バルチック艦隊が引き分け=ウラジオ突入に持ち込むタイミングはいくつか存在した。引き分けになるという事はその時点で戦略的勝利という事になる。これを阻止したことが連合艦隊の偉業であり、大型艦の喪失なしで達成したという圧倒的勝利。日露戦争のほとんど決定的な勝利の要因と言えただろう。

 日本海軍は楽な戦いをしたわけでは無い、ただ、勝つ可能性を十分確保できた戦いだった。奇跡的ではあったが、奇跡では無かったという事。ロシア側も相当困難な状況にあったという事は忘れるべきではないだろう。

 

 

 

 スラヴァの活躍
 確かに、1番艦から4番艦までは散々だった。だが、5番艦は違った。
 1905年就役した〈スラヴァ〉は、戦後回収できた〈ツェザレウィッチ〉と共にバルト海における中核戦力となった。地中海方面にも足を延ばして練習航海なども行い、たまたま遭遇してしまったメッシーナ地震の際には同島の住民を救助するなどの人道支援を行った。
 残念ながら1910年に缶の故障という最悪な事故を起こし、結果的にフランスでオーバーホールをしてしまう。

 就役から9年、第一次世界大戦勃発に伴い同艦はバルト海艦隊の中核戦力として〈ツェザレウィッチ〉や後発の準弩級戦艦パーヴェル1世〉らと共にリガを中心とした海域の防衛に当たる。1915年8月8日、第一次リガ湾攻防戦。戦艦7、巡洋艦6、駆逐艦24他多数からなるドイツ艦隊の進入に対し〈スラヴァ〉と砲艦3隻が迎撃のために出動、機雷原を嫌ったドイツ艦隊は戦闘を切り上げる。続く16日には再度ドイツ艦隊が侵入、翌17日にも侵入してきたドイツ艦隊に対し〈スラヴァ〉は再度迎撃のために出動、これと交戦するも形勢不利により撤退。
 他方でロシア側も反撃を試み陸戦隊の戦闘では〈スラヴァ〉は火力支援を行う。
 翌年、ロシア革命発生。艦隊は臨時政府を経てロシア共和国の所有となる。

 同年10月17日、ムフ海峡の戦い。
 弩級戦艦2、巡洋艦2からなるドイツ艦隊が侵入。これに対し闘将ミハイル・バーヒレフ中将は装甲巡洋艦バヤーン〉を旗艦とし、〈スラヴァ〉、〈ツェザレウィッチ(この時の艦名はグラジュダニーン)〉と他水雷艇8隻を以て迎撃を試みた。
  機雷原を避けたドイツ艦隊はたまさかに沿岸砲台の射程圏外を航行、水雷艇を警戒の為に前面に出して前進していた。これを捉えたロシア艦隊は果敢に最大射程で砲撃を開始、先頭を走っていた〈スラヴァ〉が戦端を開いた。他方、ドイツ側は急遽水雷艇に代わって弩級戦艦が前進し応戦開始する。
 果敢に砲撃を行った〈スラヴァ〉の他方、僚艦は射程が短く砲戦に加わること敵わず、機雷原除去を試みる掃海艇に対して砲撃し、行動阻止を試みていた。ほとんど単艦で戦っていた〈スラヴァ〉は早々に艦首主砲を故障によって失い、大きく火力を減じる。また、敵の命中弾が続発し浸水激しい〈スラヴァ〉のこれ以上の戦闘続行は不可能と考えたアントーノフ艦長は撤退を決意。反転し艦尾砲を以てドイツ艦隊を砲撃しつつ撤退を開始した。途中、ドイツ軍機を高角砲にて撃墜するなど、旺盛な戦闘意欲を見せたが、敵わず。また、バーヒレフ中将もこれを支援すべく〈グラジュダニーン〉と〈バヤーン〉を以て援護射撃を敢行、その離脱を支援した。しかし、ドイツ艦隊の砲撃は苛烈であり2艦とも被弾してしまう。
 さらに底の浅い周辺海域の水道を、浸水により喫水の深くなってしまった〈スラヴァ〉は――通れなかったのである。

 結果、艦長は自沈を決断、同艦は放棄された。勇敢な戦艦の最期である

 

 たった一隻の前弩級戦艦。しかし2隻の弩級戦艦相手に大立ち回り、行きがけの駄賃に爆撃機を撃墜する大活躍を見せた。確かに戦争の帰趨には大して影響しなかったのは事実である。

 だが、知恵と勇気と運があれば隔絶した戦力差も互角に渡り合えるという事を示した。そして、この艦のベースとしての設計が決して駄作では無く、計画通りの状態で投入されさえすれば、十分な能力を発揮する。

 

 

 ボロディノ級戦艦が傑作艦であるかと言えば正直нет。しかし、駄作艦と言えばそれもнет。普通の、十分練られた設計の戦闘艦であるか、これは да。

 

 

 

 各艦の相違点

 当時の戦艦にありがちな、一隻一隻見事なまでの相違がこの艦級にも存在する。正直、ロシアで一番個体差の大きい艦級なのではないだろうか。

 

ボロディノ〉(Бородино=ボロジノの戦い:ミハイル・クトゥーゾフ率いるロシア帝国陸軍対ナポレオン1世率いるフランス陸軍の決戦
 サンクトペテルブルクは新アドミラルティ造船所で建造。シアの強い艦首で、割合に高い位置に国章を配置。艦首最上部には観音開きでライトなり備砲なりを展開できる構造――のはずなのだが、この艦のみ、これがいまいち確認できていない。
 艦橋は平面が6角形であるが、これがかなり強い印象。艦橋部最上甲板は海図室床部の左右部よりも張り出しが小さい、また同床部が大きく突出しており、司令塔床部よりも前面に立っている。他の艦とは異なり、艦橋はマストを挟んで前後に分離されているのも特徴的。アンカーダビットは鋭角的で、アンカークレーンの基部が丸見え。副砲全面には防護壁も何もないが、幾らか覆いかぶさる形で前後砲塔に構造物がかかっている。後部艦橋の床面は大きく突出しており、かなり目を引く。最も特徴的なのが推進部のプロペラで、風力発電機のような細い3枚羽で、これはこの艦のみ。また、機関もフランスの丸々コピー品。
 甲板は艦首から艦尾にかけての軸線で隙間なく並べられるが、当然材木の長さには限度がある。この限度を一定間隔で横並びに切りそろえる形で並べているらしい。これは確認できているのがこの艦ぐらい。

 日本海海戦では早期に落伍したスワロフ、アレクサンドル3世に代わって艦隊を率いるも集中砲火を受け、頑強に抵抗するも――火薬庫に火が回ったらしく爆発の後、転覆してしまった。

 

 

 〈インペラートル・アレクサンドル3世〉(Император Александр III:第13代皇帝アレクサンドル3世
 サンクトペテルブルクはバルチック造船所で建造。艦首形状は緩やかで、上下の丁度中間に国章が配置されている。特徴的なのが周囲に装飾を設けた同艦級において最も華美。

 丸みを帯びたボートダビットを持ち、艦橋平面は6角形。艦首及び艦尾副砲塔の前面に防護壁が設けられ、これが艦橋部と合体して一体的な外観を持つ。艦橋基部が方形であることも特徴的。艦尾艦橋床面は突出しており、しかし防護壁のような物は突出部には無い。タンブルフォームの形状の接続が非常に唐突で、艦尾甲板と舷側が物切れ状態。艦首艦尾双方の艦橋構造物は面取りをされており。全体的に丸みを帯びた印象がる。また、艦橋左右のブリッジが非常に大きく張り出しているのも特徴的。

 日本海海戦ではスワロフ落伍後、変わって艦隊を嚮導。この艦も落伍したが、一時回復して先頭に立つも再び集中砲火を受けて落伍。戦列後方にて踏ん張るも傾斜回復が出来ず、転覆。

 


 〈アリョール〉(Орёл=鷲
 サンクトペテルブルクはガレールヌイ島造船所で建造。大きく湾曲する艦首形状を持つ。国章を艦首上部に配置、ライトが必要になった場合は国章が真っ二つに観音開きになる模様。

 アンカーダビットは鋭角で、アンカークレーンもその基部がダビット内にある模様。艦橋平面はインペラートル・アレクサンドル3世と同じく6角形で、防護壁を含む司令塔部床面と海図室床面の双方が大きく突出している。艦尾構造物も、一段目の防護壁を持った床面が大きく突出していた。
 戦列後方に位置していた為、日本海海戦では損傷はまだマシ。降伏、鹵獲、接収され戦後に〈石見〉として再就役した。副砲塔6基を中間砲ともいえるアームストロング 20.3センチ45口径速射砲6門へと換装、重量削減と火力維持・向上を試みた。艦首艦橋は司令塔を引き抜いて一段低め、後部艦橋も同様に一段低められている。4つあった大型クレーンも1基のみとなる。備砲もイギリス流に改められたが――こちらは大した意味がなかった。また、ケースメイトの速射砲12門は全廃、舷側の形状が全体としてフラットなイギリス戦艦になった。

 

 

 〈クニャージ・スワロフ〉(Князь Суворов=アレクサンドル・スヴォーロフ公爵)
 サンクトペテルブルクはバルチック造船所で建造、ロシア帝国海軍第二太平洋艦隊旗艦。艦首形状は割合フラットだが、水線部に賭けて緩やかに突出。艦首の国章は発射管と艦首先端の中央に配置されている。

 アンカーダビットもインペラートル・アレクサンドル3世と同様、形状が丸みを帯びていることが特徴。副砲塔の前縁ないし側面に擁壁を設けている。時期によって微妙に形状や塗装が変わることも特徴的で、配備前ないし直後は艦尾側構造物が鋭角なのだが、出撃直前となると面取りされていたりする。艦橋前面部はほぼ平ら、司令塔の床面が前方に突出、艦尾側床面の突出も他艦に比べて短く上下揃っている。副碇や予備碇の配置も他艦と異なり、空中通路の形状も恐らく他艦と大きく異なると思われる。

 日本海海戦では集中砲火を食らって早々に戦闘力をあらかた喪失、舵機損傷によって戦列を離れてしまった。日本海軍の夜襲で魚雷攻撃を受け、爆発をおこし転覆。

 

 

 〈スラヴァ〉(Слава=栄光/光栄
 サンクトペテルブルクはバルチック造船所で建造。シアの非常に弱い艦首で、国章の位置はクニャージ・スワロフと同様に中間点。クニャージ・スワロフと同様の艦橋の形状であるが、左右の展開はボロディノのそれと同様。インペラートル・アレクサンドル3世と同様の床面形状を持つ後部艦橋は観測所を持っていたのだが、1916年の改装の際により、下部の海図室と共に撤去した。この艦橋基部は丸窓と方形窓の組み合わせで、何とも特徴的。

 全体的な印象として、それまでの4隻のハイブリット。日露戦争の結果を受けても、意外と形状は変わらず。武装も幾らか削減したのみ。

 その名に違わぬ、大活躍を見せロシア海軍の意地を見せた。

 

第三期地球防衛艦隊 建造スケジュール

 

 宇宙戦艦ヤマトの鬼門は何度も言うが、数字だ。特に艦隊建造のタイムスケジュールは最悪。それはたとえ無人艦隊であっても事情は同じである。

 

 


 無人艦隊の萌芽
 恐らく、無人艦隊の建設はガミラス戦時から考えられていたとするのが妥当だろう。戦力が例え壊滅しても軍人の数を維持できる方法、それは軍事力の低下を最小限に抑える方法といえるだろう。
 その一つの答えは当然、戦闘衛星という事になるだろう。無人で地球の持てる技術力の範囲で戦闘衛星に搭載できる範囲の最大火力を持たせた拠点防衛用の装備。ガミラス戦時の地球の技術では、これ以上の物は望みがたいだろう。
 もう一つは、無人艦隊。戦闘衛星の上位互換で機動戦を行える無人の拠点防衛用の装備――ただ、これは地球の当時の能力では全く持って実現不可能。浮かぶだけがせいぜいだっただろう。なにせ、地球にとって対艦装備として必須のショックカノンすらなかったのだから。

 当時の能力を考えると、戦闘衛星がベストな選択だったといえるだろう。
 


 しかしイスカンダルからの技術がもたらされた。

 地球そのものも復興し、大型の軍事力を維持できるだけの力を持った。さらに、ヤマト2においてヤマト出動阻止のために稼働させた戦闘衛星が使えん代物であることが露呈。何せ機動性がろくになく、火力もあんまり高くないし速射性も特にない。ダメ押しにラーゼラーの降伏勧告艦隊の迎撃に戦闘衛星を集結させたが木っ端みじん

 ただひたすら火力が足りなさ過ぎた。機動性もやっぱり話にならなかった。
 

 

 機動性と火力を持った戦闘衛星に代わる無人防衛手段の必要性――これはかつて考えたものの実現に至らなかった無人艦隊を再検討すべき段階に来たという事に他ならない技術を重ねた地球にとって無人艦隊は出来て当然のレベルまで落とし込まれている。計画を解凍しないという選択肢はない無人艦隊を建設し、差し当たっての太陽系圏内の防衛を行う。長期的に見てベストかどうかは微妙だが、短期的に見ればベストな選択肢と判断可能。

 ガミラス戦時において求められた、軍事力を維持させたまま、無理な攻撃をさせて消費しても痛くない戦力の完成系。それが無人艦隊だ。

 

 


 建造工程
 大型艦と小型艦の形状から考えて、第一期地球艦隊の戦闘艦艇や第二期地球艦隊の戦闘艦艇の形状とそう違いがない。特に、第一期の司令船と第二期の巡洋艦無人艦隊小型艦と類似した全長と形態である。どちらも設計に流用可能。流用せずとも参考にはなるだろう。
 ここから考えてどの程度建造が容易になるか――

 

 ガトランティス戦役までに残存していた司令船は転用の第一候補。オーバーホールしてもどこまで役に立つのかは不明だし、何より古い。第一期と戦列を組ませるには射程等々で非常に難しい。新鋭艦艇の建造に転用して根本からリペアするのが有用だろう。


 ガトランティス戦役後の残存艦艇の内、損傷のひどい巡洋艦――特に白色彗星迎撃に参加し命からがら脱出に成功した艦であれば、波動砲関連の機構に損傷があっても不思議はない。というか、だから土方総司令は第二波攻撃が出来なかったと以前想定した。であれば、巡洋艦を修繕より抜本的に改造した方が安上がりと考えても不思議はない。

 

 大型艦は、エンジン回りが巡洋艦のそれに近いが一方で全体的なデザインや全長はアンドロメダのそれに近い。ヤマト2においてはアンドロメダは前半で5隻……アンドロメダを含めて6隻か、それは解釈の違いだろうが――後半には10隻体制ないし11隻を土方総司令から要求された。
 アンドロメダ喪失で-1、残り9ないし10、超巨大戦艦の砲撃で損傷を負ったのが2程度だとして残りは7か6。半分が完成度が50パーセント程度、残りが20パーセントと仮定して、20パーセントを半ば放棄。完成度50パーセントのアンドロメダ級を無人艦隊に改造した方が戦力化が早いだろう。エンジン部周りの工作が難しいと判断した場合は建造度20パーセントに注力し50パーセントを半ば放棄となる。

 エンジン回りが結局巡洋艦のそれに近いのか、ヤマトのそれに近いのか判断に迷う所であるが、すでに地球防衛軍が何度か試した推力方式の発展型といえよう。これを考えれば、そう工期が伸びるとは思えない。

 

 以上のように、割合転用可能なガワの確保には困らないし、建造工程を大小は別として共通化させることは可能である。そのため、100隻未満程度の隻数であれば十分ガトランティス戦役直後の地球でも調達は可能だろう。 

 不要な武装は破棄すればいいし、追加の武装も場合によっては地上配備のいくつかの砲台を転用してもいいだろう。ディンギルに空襲を受けた港の防衛砲台のアレなんて何となく無人艦隊の舷側砲に似ている。

 

 

 建造数の割合
 画面が一々暗い上に大型艦と小型艦は艦影がそんな違わない。さらに画面上あんまり詳しいシーンがない為、比率が不明だが……恐らく大型艦と小型艦の比率は1対10ほどか。小型艦は画面上では20かそこらだが、演出の具合や黒色艦隊の規模から考えて総数50隻強ぐらいと推測できるだろう。想定として大型艦は5隻程度となる。

 最大で70隻クラスの戦闘艦を月軌道から地球へ投入し占領部隊を攻撃できるとなれば、守が頼ったようにたとえレベルの低い操り人形でも戦果を見込めるだろうか。

 

 


 建造スケジュール

 頭をひねらなければならないのが建造スケジュール。現実の艦艇の改装でも大抵半年はかかるが、仮に未来の技術で高速化が可能であったとしても抜本的に近い改造である為……最低でも1年は確保したい。

 

さらばベース
 2192~2199年頃:対ガミラスの戦闘兵器として計画。戦闘衛星と無人艦隊の拠点防衛用装備コンペに戦闘衛星が勝利、無人艦隊計画は一時凍結へ。
 2200年9月頃:ヤマト帰還。(ガミラス戦役終結
 2201年8月頃ガトランティス戦役開戦。
 2201年11月頃ガトランティス戦役終結。戦闘衛星の能力不足露呈+本土防衛装備の必要性確認。無人艦隊計画再始動

 2201年12月中イスカンダルにて対暗黒星団帝国戦闘開始。
 2201年4月中無人艦隊設計プラン完成、廃艦予定艦艇を転用し建造へ
 2202年10月前後無人艦隊第一陣就役。以降順次完成次第戦線投入へ
 2202年11月前後暗黒星団帝国地球襲来。無人艦隊壊滅

 

 ヤマト2ベース(2200年9月まではさらばと同じタイムスケジュール)

 2201年11月頃:ヤマト出動阻止失敗。戦闘衛星の能力不足露呈、無人艦隊計画再開
 2202年1月頃ガトランティス戦役終結。 
 2202年2月頃イスカンダルにて対暗黒星団帝国戦闘開始。
 2202年4月頃無人艦隊プラン完成、無人艦隊建造開始
 2202年10月頃無人艦隊第一陣就役。
 2202年11月前後(場合によっては2203年初頭):暗黒星団帝国地球襲来。無人艦隊壊滅

  

 厚手の軽装なのか薄手の重装なのか判然としない服装の一般人と、つるべ落としに暮れる夕日を鑑みて暗黒星団帝国の襲来は秋ごろと想定。秋ごろならば、多少寒いころ合いであれば冬至に近く、それだけ以前行った基地制圧に関しての仮死状態からの蘇生もリミット的に整合性が綱渡りだが可能になる。

 

 無人艦隊のプラン検討・建造可能期間を明確化すると、2201年11月頃から2202年11月前後の12ヶ月間。さらばとヤマト2では戦闘期間が異なるが、両作品で戦闘衛星が出動したとみられるシーン=前者はバルゼー艦隊の降伏要求、後者はヤマト出動。これが両者ともに11月前後であると予想できるため、意外に容易に猶予を1年は確保可能だ。
 さらばベースであればまるっきり新造するわけでは無いという前提に加えて、超巨大戦艦による損害もない為かなりの確率で数十隻規模で建造可能だろう。半月をかけて司令船の残骸であるとか巡洋艦の残骸を用いてこれを無人艦隊小型艦に仕立てる。これら多少無理をすれば……十分建造は可能だろう。

 そう言う無理が、後々大きな問題を作ってしまうのだが

 

 

 大規模な艦の修繕・改装を施すのには大体半年を見込むのが史実。

 1916年10月に艦首をもがれた〈ヌビアン〉と11月に艦尾をもがれた〈ズールー〉は1917年6月にニコイチで〈ズビアン〉として就役した。
 1927年8月24日美保関事件で艦首下部をもぎ取られた〈神通〉は翌年3月に復帰、1935年9月26日第四艦隊事件で艦首をもぎ取られた〈初雪〉と〈夕霧〉は翌年12月1日に復帰。ただ、後者は設計見直しを含めての工事であり、しかも日本の工業力を鑑みる必要が有る。
 〈橿原丸〉は1941年1月21日に買収され6月26日に進水、翌5月3日に〈隼鷹〉として竣工した。同型の〈出雲丸〉=〈飛鷹〉も同様のスケジュールであり、他にも〈新田丸〉は6月21日から本格的な空母〈沖鷹〉への改装を行い11月25日に改装を終了した。戦艦〈日向〉は1943年5月に改装工事を開始、11月18日に航空戦艦へと生まれ変わった。
 重巡ピッツバーグ〉はコニー台風に遭遇し他結果艦首をもぎ取られて1945年7月16日から翌年3月頃まで修理に専念。

 

 単純比較はできないが、これらいくつかの事実が半年程度で大規模な工作が可能という論拠になる。

 

 

 

 タイムスケジュールからみた自律機能のオミット
 2200年代においてアナライザーのような自律型のロボットが存在していることを考えて、これを艦に組み込むのが自然。
 なぜそれをしなかったのか。正直これに関しては各艦の記事において述べたように不可解だし、やられメカとしてご都合主義な演出。

 

 無理やり説明するならば――

 :元々の計画は戦闘衛星と同様のかなり自律レベルの低い無人艦艇を設計していた。特に電源の問題が解消できず、戦闘衛星が本土防衛策に採用されるに当たって計画が凍結。この計画を解凍したものの、ガトランティス戦役後の戦力穴埋めに全力を注ぐべく基本設計は変えずに武装の更新を行ったのみ。おかげで自律機構の開発を後回しにしてしまいレベルが非常に低くなってしまった。

 :学習の幅を限定したAIでは能力はたかが知れている、アナライザークラスではあまりに個性が強すぎて艦隊運用に支障をきたす可能性がある。これらの落としどころが見つからず、開発を続ける中で後で搭載できるようにガワだけさっさと建造し、結果ウラリア戦役までに自律型機構が完成しなかった。という事になるだろうが説明が非常に苦しい。

 

 

 第三期地球艦隊は無人であるから、ある意味で建設が可能だったし合理性や妥当性が担保出来たといえるだろう。

 仮に人員を満載した艦艇であれば、更なる敵の襲撃にはディンギル戦役以上に苦戦を強いられたであろうし、これほどまでに戦死率の高い艦隊は志願も徴兵もうまくはいかない事が容易に予想可能。ガトランティス戦役のほとんど敗北に近い大損害を考えれば、無理に有人艦隊を仕立てるより国民は出血を躊躇しないだろうし、予算も降り易いだろう。
 ご都合主義と打算の産物な感のある無人艦隊だが、一応説明をつけようと思えばつけられるし――味付けの仕方によってはより深いヤマトの世界観を構築可能。

 そう説明可能だと強がってみる