旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

戦闘考察Ⅵ シャルバート上空戦~太陽前面域決戦

 

 

 ヤマトⅢ、シリーズの佳境であるシャルバート到達から太陽系帰還にかけてのエピソード。それは佳境に相応しく幾多の熾烈な戦いに彩られていた。

 長かったヤマトⅢ戦闘考察、今回でようやくの区切りです。

 

 

 シャルバート上空奇襲戦 

 ガルマン・ガミラス帝国側参加部隊:デスラー親衛艦隊(直属戦隊)
 規模:1個戦隊     
 戦力:旗艦級戦艦1、大型戦闘艦3、中型戦闘艦12 
 指揮官:デスラー総統

 ただし、出撃した艦隊はより大規模な戦闘艦隊。複数個艦隊規模であり戦力は画面上で新型デスラー艦、大型戦闘艦4隻、中型戦闘艦10隻、デスラー砲艦21隻

 あくまで画面上の話であり、左右のバランスから言えば――前衛に中型戦闘艦が4隻、直後に上段5隻と下段4隻。その後ろに新型デスラー艦を中心に菱形に前後左右を4隻の大型戦闘艦が囲み、先頭の大型戦闘艦の両舷に3隻ずつデスラー砲艦が陣取る。で、その下段に6隻。新型デスラー艦及び大型戦闘艦の左右にもデスラー砲艦が4隻ずつ展開。新型デスラー艦の艦尾に位置する大型戦闘艦の左右にも2隻ずつのデスラー砲艦――か中型戦闘艦、更に殿として2隻ほどのデスラー砲艦ないし中型戦闘艦が陣取っていた。

 つまり凡そ新型デスラー艦1、大型戦闘艦4、中型戦闘艦13から19、デスラー砲艦20から26の総数38隻がシャルバート星周辺に到着していた計算になる。

 


 地球側参加部隊:ヤマト 
 戦力:戦艦1

 指揮官:古代進

 

 ボラー連邦側参加部隊:第2主力艦隊(推定)
 規模:連合艦隊(第一・第二主力艦隊残存艦全力) 
 戦力:旗艦級戦艦1、戦闘空母多数、大型空母多数、デストロイヤー艦多数、戦艦タイプA、タイプB多数

 指揮官:ゴルサコフ参謀長

 

 展開

 第24話――シャルバートに到着したヤマト。しかし、ヤマトを迎え入れたが為にシャルバートと外界を隔てるゲートが一時的に開放状態になってしまっていた。そこへグスタフ艦隊の増援へと向かって果たせなかったデスラー親衛艦隊が遭遇、ヤマトを追ってシャルバート上空へと到達したのである。

 シャルバートの実在に感慨深げなデスラー総統。だが、それ以上に驚いたのがシャルバートの現状であった……彼の目に映ったのは全くの非文明的にも見える今のシャルバート星の姿である。かつて宇宙に覇を唱え天の川銀河制した強力な戦闘艦隊など影も形もない。シャルバート星はまさに丸腰なのだ。

 そんな丸腰なシャルバートを前にした総統は、騎士道精神というべきか最早シャルバート占領の意思を失ったのである。彼が恐れていたのはシャルバート星が未だ宇宙に覇を唱え得る力を蓄えている事、それがボラー連邦に与する事であった。もはやシャルバート星にその力はない――それを確認したデスラー総統はシャルバート星征服の意思を捨てたのだった。

 

 直後、ゴルサコフ参謀長率いるボラー艦隊が奇襲的攻撃をシャルバート及びデスラー親衛艦隊、ヤマトに空襲を仕掛けて来たゴルサコフ艦隊もヤマトと総統を追ってゲートを通過していたのである

 完全無防備であった親衛艦隊は複数隻が撃沈され、抵抗の手段を持たないシャルバートは全く歯が立たない。即座にコスモタイガー隊が迎撃に当たり、地上では上陸済みのクルーがボラー降下兵との白兵戦を繰り広げる。

 

 直ちに反撃を開始し地上戦、空中戦において概ねボラー側の攻勢を押し返すことに成功しつつあったヤマト。他方、ゴルサコフ艦隊主力の接近に際しデスラー艦は艦首を廻し、その射線に艦影捉える。

 発射準備完了、満を持して放たれたハイパーデスラー砲はゴルサコフ艦隊を呑み込み、消し散らす赤く広がる光芒が消えた頃には敵の姿は一欠けらもなかった

 

 

 描写の妥当性

 防衛に必要な装備一式を全て王墓の中に隠してしまっているのだから、逃げ惑うしかないのは仕方がないだろう。非暴力不服従の態度の不徹底=あのじい様のある意味で勇敢な態度、アレが彼以外に見られなかったのは……世代の違いというべきか、あるいは決意の次元が違うという事か

 でもさ、シャルバート人が全滅したらあの超兵器群が全部敵に渡るんでしょ?

 何でつぶさなかったんだろうね。何でかね? 何でかね?

 

 

 ヤマト側は、ボラーがシャルバートを征服しようとしているのは認識としてすでに持っている。シャルバートが非武装の惑星であるという認識である以上、しかも好意で招いてもらっているのだから、守る手段を持つ人間として、目の前の人間を守るのは当然だろう。

 ヤマトを飛翔させるには多少時間がかかるし、差し当たっての敵はボラー艦載機や降下兵であるのだから、コスモタイガー隊を向かわせるのは当然だし妥当。更に、デスラー総統に敵意が無いというのは確認済みであるから、接近中の敵艦への対処は彼に任せることが可能と考えても不思議はない。

 親衛艦隊も空襲受けているし、卑怯な手を嫌う総統の性格からして、絶対に戦闘に参加するという見込みは十分あった。だからヤマト側の行動は全て合理的

 

 一方でデスラー親衛艦隊――ガミラス時代から続く、周辺警戒の雑さがガルマン・ガミラスにまで受け継がれてしまった。という感じ。そんなにボラー艦隊がステルス性が高いという描写は特にない(第23話のバルコム艦隊は小惑星帯に隠れていた故の発見の遅れと説明が可能)のだから、なぜに空襲を受けるまで気が付かなかったのか。

 この点はご都合主義といっても構わないだろうが、BGMと相まって演出効果は高かったと思う。ガミラスが火力重視で紙装甲なのはいつもの事だし、今更……

 また、大型戦闘艦が使えないというのはグスタフ艦隊対ハーキンス艦隊で見た通りだから、あれが手もなく爆沈するのは当然。中型戦闘艦が爆沈したのは痛いし情けないが一方で下方からの攻撃であるから、これは警報が遅れた以上は抗する手段が無かったともいえる。だから戦闘の中身まではご都合主義というほどではない。

 何にせよ、デスラーが通用してよかった。ほんと、良かった。正確にはハイパーデスラー砲だけど

 主力艦隊接近に対応しての一挙に葬る必殺兵器。以前のデスラー砲ならば艦隊なぞ葬れるとは思えないが、ウラリア戦役後の復讐心を込めた新兵器であろうから艦隊を一挙に葬れるほど威力が向上しても不思議はない。プラットホームも以前の6倍近い規模だし、機関部をそれだけ強化したならば威力は……6倍? 

 もし、ボラー艦隊が以前のデスラー砲のデータのままに接近してきたとすれば、あの「私達を丸焼きにしてください」といわんばかりの密集隊形もわからんではないだろう。だから余計に効果的に作用してしまった。

 とすれば十分整合性は取れるだろう。カッコいいシーンだし。

 

 

 ゴルサコフ艦隊の動きは――艦隊を二手に分けてシャルバートへの攻撃と敵艦隊への攻撃にそれぞれを集中させたのは頭がいいし、妥当な判断だろう

 あまり接近したくない敵艦に対して無理に艦隊戦を挑むより艦載機で襲撃するのは良い手。また、デスラー砲というものを知っていれば、あの微妙な威力や効果範囲を知っているのだから逆に侮って密集隊形で接近するのもわからんではない。直撃を受けなければ怖くもない、密集隊形なら敵の高速艦艇に対し火力を集中させられる。だから危険はないと。

 だが、うかつどう見ても敵旗艦、バカでかいじゃないか……。

 せっかく電撃的縦深戦術を成功させたのに、うかつに接近したことで首脳部が一瞬にして崩壊。それじゃシャルバート星制圧部隊も機能しなくなるだろうし、対艦戦闘に回っていた残存艦隊も機能しなくなって崩壊必至。多分これ、第20話でヤマトに手を引いてくれと総統がボラー連邦に連絡入れた時ベムラーゼ首相が「デスラーともあろうものが、気の弱い事を」とか「ヤマトを見逃してくれとは老いたものだ」とか侮ってたのが凄く大きなファクターになったんじゃなかろうか。コスモダート・ナスカと同じでさ、あの人も侮った相手が警戒する相手を同じように侮った結果大失敗したじゃん?

 結局劇中ではゴルサコフ直属の艦隊しか消滅する描写が無かった。

 が――恐らくというか、妥当に考えれば、コスモタイガー隊がゴルサコフ艦隊の別動隊に空襲を仕掛け、残存のある程度はデスラー親衛艦隊が引き受け、全体を通してみれば共同で撃滅したという事になろうか。

 描写が無いからここはいくらでも説明は可能。

 

 

 意義

 本来、この時点でハイパーデスラー砲の危険性をボラー連邦は認識すべきだった。出来るだけ当たらないに越した事はない兵器であると、狙われたらまず逃げるという判断をするように認識を変更すべきだった。あと、深追いはしない方がいいという事も学ぶべきだった。が、どれも学んでいないから意義があってもなくなってしまっている。

 地球側――というより、ヤマトクルーは総統が決して敵では無いという事、理念や手段が多少異なろうとも意図して阻害しようなどとは考えていないという事が判った。これは気分的な問題だが、それなりには意味のある事だろう。また、一連の戦闘の献身によってハイドロコスモジェン砲を譲渡するという決意をルダ王女にさせたのだから、この部分に関しては決定的な作用をしたと言える。

 ガルマン・ガミラスとしては、従来極めて危険だと思っていたシャルバートが大した事無かったという事が判っただけでも十分。その上、ボラー連邦の軍事上は確実にNO.2であろうゴルサコフ参謀長を葬ったのは大金星といえる。また、念願のデスラー砲が敵に着弾し、殲滅する事に成功したというのも実に華々しい。

 

 この戦闘は一見するとガルマン・ガミラスの大惨事にも見えるが、実際は最も成果を得たのはガルマン・ガミラスだったと説明できるだろう。

 

 ガルマン・ガミラス帝国側損害:大型戦闘艦多数、中型戦闘艦多数 
 地球側損害:なし(シャルバート人に多数の死者)

 ボラー連邦側損害:第2主力艦隊全滅、司令官戦死

 

 

 

 太陽前面域・最終決戦

 ガルマン・ガミラス帝国側参加部隊:デスラー親衛艦隊(主力艦隊)
 規模:連合艦隊(総数約100隻)     
 戦力:旗艦級戦艦1、デスラー砲艦多数、駆逐艦多数 
 指揮官:デスラー親衛艦隊


 地球側参加部隊:ヤマト 
 戦力:戦艦1

 指揮官:古代進

 

 ボラー連邦側参加部隊:ベムラーゼ親衛艦隊 
 規模:連合艦隊 
 戦力:機動要塞1、デストロイヤー艦多数、戦艦タイプA、タイプB多数(総数不明)

 総指揮官:ベムラーゼ首相

 

 展開

 第25話――ようやく太陽系へ帰還したヤマト。司令部への連絡をそこそこに、直ちに太陽前面域へと進出、ハイドロコスモジェン砲を以て太陽制御を試みた。

 その瞬間、背後からの猛烈な砲撃を受けたヤマト。何と、ベムラーゼ首相の機動要塞が親衛艦隊を伴って太陽前面域へと進入してきたのである。首相直々の復讐戦、心を込めた首相のプレゼント=ブラックホール砲が炸裂し、ヤマトは手も足も出なかった。

 

 そこへ、颯爽と駆け付けたのは他ならぬデスラー総統率いるガルマン・ガミラス艦隊。陣容を整え、ベムラーゼ首相を追って太陽系へと突入してきたのである。

 展開をし終えた親衛艦隊は直ちにデスラー砲の一斉射撃を以てボラー艦隊を一掃。古代らへの挨拶もそこそこに、第二斉射を機動要塞に定めて放つ――だが、悪夢の不発……。

 その時、ベムラーゼ首相の高笑いが響く。なぜなら全ては総統をおびき出すための、罠であったのだ。ガルマン・ガミラスを一挙に崩壊させる為その国家元首であるデスラー総統を本国の護衛戦力から引き剥がして葬る、その為に彼は出撃した。ベムラーゼ首相にとって、ボラー連邦にとって、ヤマトも地球もどうでもよかったのである。

 だが、この程度で大ガミラスの総統デスラーが動揺するはずもない。彼はこの手であなたを葬ると宣言。これにベムラーゼ首相はブラックホール砲の連続射撃を持って答えた。

 

 ヤマト、デスラー艦とボラー艦隊との死闘が繰り広げられる。

 混戦の隙をついてハイドロコスモジェン砲発射を狙うヤマトだが、その機会が無い。機動要塞を仕留めようにもブラックホール砲の攻撃を前に手が出せないデスラー総統。一方で艦隊を失い機動要塞だけでは決め手に欠けるベムラーゼ首相。

 一進一退の攻防の中、揚羽機が対空砲火の中無理に要塞に突っ込んでいく。機体する危険も構わず突っ込んだ先は機動要塞のウィークポイント。突入直後に大爆発を引き起こし、機動要塞はその機能の一部が停止する。

 揚羽の犠牲を無駄にするわけにはいかない。機動要塞が体勢を立て直す前にすかさず、総統は必殺のハイパーデスラー砲を発射、その光芒の中へと機動要塞を滅す。そしてヤマトはハイドロコスモジェン砲を発射、その作用を以て太陽制御に成功。

 

 こうして――地球の運命は救われ、激烈を極めた銀河系大戦も大きな転機を迎えたのである。

 

 

 描写の妥当性

 ここまでくると描写の妥当とかそういうレベルの話ではない。基本的には力押しの戦いでほとんど戦術が駆使されていないため、妥当かどうかを考察する必要のあるシーンがそもそも存在しないのである。だから割とのったりくったり戦闘が前に進まなかった。

 ベムラーゼ首相旗艦機動要塞はブラックホール砲の力押し、ヤマトはコスモタイガーの力押し、デスラー艦はハイパーデスラー砲の力押し。三者ともかなり拮抗した力であった為に戦線は膠着したのである。

 

 考察すべき部分があるとすれば、ベムラーゼ首相旗艦機動要塞か。

 もし、要塞の表面装甲が実弾にもある程度耐えるが、エネルギーを散らすような特殊塗装を施されていたとすれば。それを保持するため、あるいは損傷の無い塗装部を前面に出すために電流を流し続ける必要が有るとしたならば。例えるなら電気防食的防護策。

 揚羽が突っ込んでいったのが排気口なり、星間物質を取り入れるインテークであったのならばそこが弱点なのは当然だろう。また、要塞の一部機能が停止すれば一体として防護を行うならば――構造体全てが弱点化するのは当然だろう。

 そして、ハイパーデスラー砲がその機能不全に陥った区画を粉砕し、その破孔から内部にエネルギー流を強制注入し全体を機能不全へと落とし込み、そして消し去った。

 とすれば十分妥当な展開と言えるのではないだろうか。

 

 総統が太陽系圏内に突入してくるのは、ベムラーゼ首相が動いた事を知れば、それは宿敵を討つ機会であると同時に好敵手にして友人のヤマトを救う事になるのだから当然の流れ。また、味方艦隊も正直ボラー連邦艦隊相手にあまり圧倒は出来た事が無い。たとえ強力なヤマトでも、中々戦えるものではない。そこで総統は元々の艦隊規模よりも多く、決戦用にデスラー砲艦を大量にそろえ太陽前面にはせ参じた――こうすれば、いきなり大量のデスラー砲艦を率いて太陽前面に現れた、一見すると整合性がないように見えるシーンがむしろバッチリ整合性が取れているのである。

 加えて、ブラックホール砲に対抗すべくハイパーデスラー砲に頼ろうとした総統をタランが押しとどめるシーンは、第20話の振る舞いからすれば齟齬が出ているように思われるだろう――だが違う。太陽制御失敗によって第20話ごろから機嫌が悪くファンタムやシャルバートに囚われていた総統だが、彼は第24話でシャルバートの無防備さを見て憑き物が落ちたようになり冷静さを取り戻す。その流れで突入した第25話だ。

 激怒の第20話が起点で、この話までは古代がかつて友情を結んだデスラー総統と、かつて戦った独裁者としてのデスラー総統が入り混じっていた。むしろかつて戦った独裁者としての側面が強かった。しかし第24話で折り返し、友情を結んだ英雄としてのデスラー総統という威厳を再び見せた。だから古代も総統の助力を素直に受け入れたし、タランも怯えることもなく総統の命令に異議を唱え、そして勝利をも手に入れた。

 これは、総統の内面的変化を総統のセリフに寄らず、しかも端的に表すという中々どうして高度な演出テクニックを駆使していたと言えるだろう。

 

 土門や揚羽のアレな行動は場数を踏んでいない新人宇宙戦士、それもティーン特有の蛮勇ともいえる行動という事である程度落ち着くだろう。確かに現代のティーンはもっと思慮深いかもしれないが、かつてのティーンは15の夜に盗んだバイクで走り出すなんて事も全くないわけではなく。まあ、そういう事。

 これを美しく体裁整えたのが先輩であり上司である加藤の涙ながらの揚羽連呼、その様子を見ていた(通信を聞いてたんでしょうね)デスラー総統が「見たかタラン、地球の少年が命を懸けて咲かせた美しい花を。あの花を無駄に散らせてはならん」とハイパーデスラー砲をベムラーゼ首相旗艦機動要塞に放ちこれを殲滅する。一連のシーンにより最大限に情緒豊かに表現し、同時に土門のシーンへと移す。

 全体で見るとお話にならん事の多いヤマトⅢなのだが時折、猛烈に演出の仕方が美しいシーンが登場するから侮れない

 

 整合性はそんなに毀損されていないし、そもそも戦闘としては頭ひねったモノではないから考察するほどの内容ではないというのが正直な所。

 そこで――今回は趣向を変えて見どころを述べたいと思う

 見どころはあの――デスラー君、ようこそ見えられた――から始まる一連の応酬だろうベムラーゼ首相旗艦機動要塞から新型デスラー艦に例の如く通信を飛ばし、互いにモニター大写し。そこでベムラーゼ首相「デスラー君、ようこそ見えられた。我々はヤマトなどどうでもよかったのだ。あなたをおびき出すのが目的だった。罠にはまったな、デスラー」と半笑いで指さしながら挑発するのだ。今まで本人の前では一応総統とかそれなりに読んでいたのに急に君づけだもの。厭味ったらしい。

 これを受けてデスラー総統は冷静に「大将同士の決闘にご招待とは光栄だ」と応じる。そして目をつむり「念のために聞いておきたい……あなたのお葬式は何宗で出せばよいのかな、ベムラーゼ君」と目一杯に溜めて目を見開く。

 これにキレたのがベムラーゼ首相で、応じるように「葬式を出してやるのはこっちだ! ブラックホール砲発射!」と砲撃開始を命じ戦闘は再開された。

 この伝説と言っていい名シーン。これは絶対第20話、「わかった。私が老いたかどうか、いずれ戦いで知ることになろう」の答え合わせだろう。

 久しぶりに再開させたホットラインでヤマトから手を引いてくれと要請した際に「デスラーともあろうものが、気の弱い事を」と、この時総統は思わず「何!?」と機嫌悪いのを表に出してしまった。そしてベムラーゼ首相は続けて「ヤマトをガルマン・ガミラスの先鋒としたやり方はさすがだが、ヤマトを見逃してくれとは老いたものだ」と。で、総統が「わかった。私が老いたかどうか、いずれ戦いで知ることになろう」と述べて通信を切った。

 総統、太陽前面にて有言実行である

 

 

 意義 

 地球人類にとってはこれで再び地球に安心して住むことが出来るようになったという事が意義。また、敵の直接攻撃以外にも危険な要素が宇宙には存在するという事がわかった。

 ガルマン・ガミラスにとっては宿敵ボラー連邦の独裁者を葬る事に成功した。いつか必ず行われるであろう決戦が、図らずも、最も援護に来てくれなさそうなヤマトの支援下にて行う事が出来、そして勝った。これは何物にも代えがたい成果であり、それが意義。

 ボラー連邦にとっては、さほど政治的なセンスのない指導者を追放することが出来たと言える。確かに連邦の権威は傷ついたが、ベムラーゼ首相を放逐できたという事でトントンに落とし込めたのではないのだろうか。

 

 ガルマン・ガミラス帝国側損害:デスラー砲艦多数、駆逐艦多数 
 地球側損害:死傷者複数名、コスモタイガー数機

 ボラー連邦側損害:機動要塞消滅、親衛艦隊全滅、ベムラーゼ首相戦死