旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

暗黒星団帝国兵器群 巡洋艦/護衛艦――数量的中核艦――

 巡洋艦護衛艦は暗黒星団帝国艦隊の数的中核を担う戦闘艦である。残念ながら活躍と言えるほどの活躍を見せられなかったが、暗黒星団帝国という勢力を考える上で非常に鍵になる戦闘艦ともいえる。

 まずは巡洋艦を考察したい。

 

 ――データ――

 艦級名:不明
 全長:220メートル
 全幅:168.9メートル
 全高:85.6メートル
 武装:3連装砲塔3基(艦首並列2基、後部1基)、艦底部大型ミサイル2基、艦底部小型ミサイル2基、艦首大型ミサイル発射管4門、同小型ミサイル発射管4門、艦尾小型ミサイル発射管6門

 

 ヤマトよ永遠にのみに登場。名前だけは新たなる旅立ちにおいても言及。

 デザインは護衛艦と巨大戦艦の中間のような見た目であるが、砲の配置などは護衛艦のそれに近い。他方でフィンなどの装飾的な部分は巨大戦艦に近い。

結局のところ、詳細は不明。全長や武装から考えて戦艦のスケールダウン、護衛艦のスケールアップという事だろう。対ガミラス戦で致命的だった護衛艦の打撃力不足を何とかしなければならない中で登場したとすれば、存在の妥当性は確保できる。
 戦場の想定は砲戦というより、ミサイル兵装を重視した日本でいう〈大井〉や〈北上〉のような重雷装艦に近いイメージだろう。運用のされ方もこれらの想定と同じく、敵艦隊にたいし奇襲的に攻撃をかけて混乱させるというものだった(相手が無人艦隊であり、全く参考になるものでは無かったが)。

 

 残念ながら劇中では特に何の名称もつけられず、公式でも単に巡洋艦としか呼称されていないが――海外ではHeavy Strike Cruiser〈Kileah〉という名前で通っているらしい。

 


 艦の立ち位置
 この艦の評価は非常に難しい。


 護衛艦や巨大戦艦とは大幅に異なる兵装を擁する。つまり前述の通り重雷装艦であるとかミサイル巡洋艦の類になるだろう。懸架式の4発に加えて15門の一門当たり2発がせいぜいだろうから30の合計34発。4発を敵にぶち当て無力化するのをベースとした場合、一隻当たり8隻を迎え撃てる。あらかじめ発射管に装填し、その予備が2発であれば搭載ミサイル数が最大49発に増加し迎撃可能数も12隻に増える。

 これだけあれば接近する敵艦載機に対する迎撃の余力も出来るだろう。反対に、これ以上積みこむと……被弾した場合の危険性が増すためやめるべきだろう。


 砲撃力も艦の全長と砲門数から護衛艦を明らかに、圧倒的に上回れる。決して馬鹿にならない火力であるし、僚艦を多数集結させれば十分な砲戦部隊を編成できるだろう。

 が、第二期地球艦隊より明らかに一回り小さい。エンジン出力にもよるのだろうが、格上の相手と戦おうとした場合は非常に不利。一隻の戦艦を集団で襲うのであれば別だが、数的な優位が確保しがたい状況では競り負けてしまうかもしれない。無論、そんな状況に置く指揮官の質が悪いのだが、奇襲というアドバンテージが無い状況では非常にもろい

 

 決して弱くはない。いくらでも使い道がある。護衛艦より圧倒的に強力で、巨大戦艦より圧倒的機動力を持つのがこの巡洋艦である。

 だが、結局、防空戦には巨大戦艦のお出ましを願う事になってしまい、護衛艦が盾になってくれなければ艦隊として数的優位が確保しがたい。となると、巡洋艦単独の運用は非常に厳しい。相手が本気で迎撃を考えてきた場合、途端にこの艦の優位性は消滅してしまうのだ。何せ、敵はこの艦よりちょっと強い戦闘艦を前進させればいいだけなのだから

 

 

 全長の妥当性
 護衛艦クラスの小型艦体でこの重武装であった場合はそりゃねぇだろと突っ込みたくなるが、困ったことにそんなに小さくない。艦内描写も無い為、どの程度が妥当なのかもいまいち不明。何より、幅が広いからおかげで妥当なラインが判然としない。
 巨大戦艦の全長を再設定した場合の数値である3倍、これをあてはめて――


全長:660メートル
全幅:506.7メートル
全高:256.8メートル


 と、地味に大型化する。これはヴィジュアルの問題だ。

 となると実に幅が広い。巡洋艦にしては非常に大型の類であるし、これが重雷装艦であると考えたら背筋が寒くなる。普通に大型化してしまうと巨大戦艦がそこまで巨大ではなくなってしまうため、倍の全長440メートル/337.8メートル/171.2メートルも、いい線かもしれない。これは好みの問題だろう。

 


 暗黒星団帝国の艦隊は巨大戦艦以外は実は無人なのではないのかという可能性がある。この巡洋艦もご多分に漏れない。だからこそ、紙装甲という説明も可能。撃沈されても、軍人の数が減らないのであれば、無駄に装甲を厚くする必要はないのだから。まして、AIのような技術があれば、完全無人でも問題はないだろう。技術的・通信的に何かあった場合は即全艦を喪失しかねないのは非常に危険だが

 まあ、規模が大きい事を考えると人間が乗り込んでいても不思議はないだろう。

 が、それでも3人程度がせいぜいと思われる。この場合は、護衛艦よりはマシな装甲を持つだろう。人員に関して、暗黒星団帝国の進んだ機械技術を鑑みれば艦の保守は十分機械で出来るとみて不思議はない。艦に乗り込むのだって戦隊旗艦だけで十分、旗艦から戦隊全体に命令を出せばいいだけ。

 


 劇中の活躍

 実は画面が暗すぎてわからない。僚艦と共に無人艦隊に砲撃を加えたり、ヤマトに砲撃を加えたりを行っているのだが、いかんせんよく見えない。しかも、護衛艦と大差ない攻撃・大差ない防護力しか持たない描写。これは評価のしようがない……

 

 

 結局、新作劇場アニメを作るのに、新しい艦がグロデーズのみというのは寂しい。艦隊を構成するのが巨大戦艦と護衛艦のみというのもなんとも寂しい。そんな感じで――いわば、PS版のガトランティス巡洋艦のような賑わい的に生み出されたのではないのか。残念ながら、そんな匂いのする戦闘艦だ。

 いくらでも整合性が取れるような説明は可能なのだが……。

 

 

 

 ヤマト史上屈指の紙装甲艦である護衛艦は、たった1艦種のみカラーリングの傾向が異なる暗黒星団帝国の中でも見た目的に少し珍しい戦闘艦だ。また、巨大戦艦同様に新たなる旅立ちと永遠にの両作品に顔を出した皆勤賞艦でもある。

 護衛艦の考察に移ろう。

 

 ――データ――

 艦級名:不明
 全長:108メートル
 全幅:96メートル
 全高:75メートル
 武装:3連装砲塔2基(艦首1基、艦尾1基)、艦首光線砲2基、光弾機銃10門、艦首ミサイル発射管2門(予想)

 

 デザインは円盤に円筒が突っ立ったような感じ。艦首は黄色に塗られているのが特徴的だが、それ以外のカラーリングは巨大戦艦のそれと同じ。全体的に巨大戦艦のとげとげしさや装飾的な部品を全て取っ払ったような感じ。非常にシンプルなデザインで、シイタケをひっくり返したようにも見えなくはない。
 武装で特徴的なのが艦首光線砲で、これらせん状に発射される。ただ、命中精度はあまり高くないのか、思いっきり外した。

 劇中では特に名称が呼ばれることもなく、公式でもただ単に護衛艦とされるだけ――一方で海外ではFrigate〈Defender〉という名称が設定されているらしい。

 

 武装
 非常に役立たずな戦闘艦。小さい癖に艦砲を多数積みこみ、小粒でも効果の高いミサイル兵装を減らすという大惨事な設計機動性が高いというのが大きなアドバンテージであるが、反面装甲は非常に薄い。いや、装甲が薄すぎる。何せショックカノンに二隻同時に打ち抜かれる醜態をさらしたのだから。
 本当に護衛任務、それもコルベット的な任務しかできないだろう。だってガミラス艦以上の紙装甲でガミラス艦に競り負ける火力しかない。これでどうやって敵と効果的に戦えというのだろうか。主砲は射程が8000で、これがメートルなら8キロと光線やら粒子兵器なら確かに長射程だろうが……高速で敵に接近しなければこの砲が役に立つ場面は少ないだろう。

 

 武装は先に述べた通り、ミサイルは2門程度が発射管と見込まれるが、恐らく4発ないし8発程度が限度だろう。攻撃力の中心は6門の砲と機銃10門であるが、艦体が小さい為に小口径にならざるを得ない。

 護衛艦にとっての決戦砲扱いなのだろうあの光線砲(以下、螺旋砲と勝手に呼称)が特徴。この砲――見栄えは非常にするのだが、あんまり役に立たない。しかもよくよく見ると光線じゃないぞ!? コマ送りで見ると先端が明らかに砲弾だ……。

 何にせよ、この砲は2発のなにがしかが螺旋状の軌跡を描いて敵に直進するのだが、ある程度は曲射が可能らしい。曲射というよりも正確には、直線コースを光線が描き始めた後はエネルギー流と砲の軸が思いっきりぶれても支障がないという珍しい性能。これは光線であってもまあ、軌跡を揺らすのはあり得ない話ではないのだろうが、砲弾ないしミサイルであればなおの事設定に問題はない。弾をぶっ放し、その推進を後押しするようにエネルギー流を放つ。螺旋に描く理由は滑空する必要のある砲弾を用いているという事になるだろう。

 例えばHEAT弾やAPDS弾の類であればライフリングを施した砲身から放たれるのはかなりマズイ。これらを二発まとめて発射し、これをぐるぐる螺旋軌道を描かせてお互いに惹きつけるようにして砲弾自体は無回転のまま命中度を高める。と言うような事を目したのだろう。無回転シュートを二発まとめてぶっ放して全体として螺旋軌道を描かせたと言うような物。


 この螺旋砲は敵に向かってぶっ放し、軌道に乗った所で艦は早期に退避が可能――結構使い勝手がいい。自走砲みたいだ。
 だが、問題はその威力が微妙なライン、しかもその精度が低いという事。砲弾で無回転でだったらそれは命中率が低くなるのは当然、これを無回転の特質を保持したまま無理やり軌道を収束させようとしているのだからそりゃ無理が出るだろう。普通は砲弾に安定翼を取り付けるみたいな細工をするのが当然なのだが、彼らの発想はそうじゃなかったという事で説明できるだろう。地球人じゃないし。

 


 立ち位置
 困ったことにコルベットがせいぜい、それだって火力が低すぎて不安。うじゃうじゃいるというのはそれなりに有用なのだが、安価に大量生産できるというのはかなり魅力なのだが――いかんせん能力が低い。本当に、単なる旗艦の為の盾や護衛対象の為の盾しかないだろう。


 という事は――この戦闘艦、実は無人艦という可能性が浮上する

 むしろ、無人艦であった方が暗黒星団帝国のの事情からして合理的だ。地上兵力が多数存在しているこの帝国はキャパシティから考えて軍艦の人員は大して割けないだろう。というか、無意味と考えても不思議ではない。

 無人艦であったならば、なんの後ろめたさもなくバカスカ消費して、それでも平然としていられるだろう。単なる歩兵あるいはそれ以下の存在であるならば火砲がそれなりにあればいい、防御力など無くとも数を集めて敵を押し込めばそれで十分。防御力を求めすぎて単価が高くなるようではむしろ逆効果

 多少防護力を挙げた艦があっても不思議ではないし、新たなる旅立ちで見られたように巡洋艦として相対的に呼称されたと説明は可能だが、どうせ――碌な装甲ではないだろう。煙突ミサイルに蜂の巣にされたし……


 再設定をする必要があるかといえば大いに疑問。仮に無人艦であったならばなおの事必要性が低い。仮にするとしても、巡洋艦と同様に倍で十分だろう。

 

 

 劇中の活躍

 劇中の活躍はほとんどない。

 新たなる旅立ちにおいて、大して強くないはずのガミラス艦隊に完全に火力で競り負け、挙句に精度でも劣る面を見せる。さらにヤマトという最凶の戦闘艦登場に際し、巡洋艦などと――結局蜂の巣にされ、一発で二隻同時にぶち抜かれる最悪の展開まで見せた。何ならパルスレーザーでもヤバかった艦であり、どうあがいても活躍とは呼べない。

 ヤマトよ永遠ににおいては影まで薄くなり、機動性も改修されたヤマトに劣るような描写まで付け加わる。山南艦長の指揮がよかったというのもあるだろうが、にしても情けない。

 

 

 結局、暗黒星団帝国のやられメカ以上のものでは無かった。深く考察すれば、暗黒星団帝国という勢力の性格を方向づけられるし、そこから話を広げる事は幾らでも可能だろう。

 だが、そこまでの魅力が……