旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ボラー連邦兵器群 戦艦タイプA/タイプB ――中核戦闘艦――

 

 戦艦タイプA・タイプBは共にボラー連邦艦隊を構成する主力艦である。圧倒的多数を以て敵を踏みつぶし、画面を埋め尽くしたのがこの戦艦。第22話の主力艦隊出撃シーンはまさに圧巻。

 他方、戦艦と言いつつ駆逐艦とか巡洋艦ばりのヘビーユーズされる割に、数の暴力を展開する以外あまりカッコいい描写がない戦闘艦でもある。

 

 

 戦艦タイプA

 艦級名:不明
 全長:不明(約176.4メートルとの説)
 エンジンノズル:大型2基(箱型、横並列)、中型2基、小型2基(中型と大型ノズルの間)
 武装:伸縮式主砲(艦首部ボラー砲)1門、艦首格納式砲塔2基、同砲艦橋前部1基、舷側格納式対空砲塔片舷3基/未確認だが――艦首ミサイル発射管片舷2門、目玉様兵装片舷1門、艦首底部格納式対空砲片舷1基

 

 全体的に青く塗装され、艦首とエンジンノズルが黒く塗られている。艦首の形状は角のように突き出て、全体的に細い印象の艦容。でも恐らく断面は四角い。劇中では艦底部の様子が不明だが、多分インテークがあるはず。

 艦橋のレーダーパネルは横に大きく長く伸びて若干小動物っぽい印象。艦体の上部艦首側にガミラスの目玉っぽい何かが設けられているため、より動物っぽい見た目になっている。赤だから物凄く充血しているのだろう。

 海外でも呼称は特になくBattleship〈Type A〉と呼ばれ、全く捻りがない。

 

 

 全長の推測
 これはシーンによって異なる。例えば、第23話のシーンを参考にすると、後に登場するデストロイヤー艦と同等の大きさであることは確か。
 幸か不幸か、タイプAとタイプBはシーンとして、混合した艦隊を組んではいないため――どうとでも説明は可能。つまるところ、176メートルでも問題はないという事。幅は恐らく比率から言って70メートル程度か。つまるところ、再設定値で400メートル程度。

 ただし、先に述べた第23話のシーンではガルマン・ガミラスの大型戦闘艦との比較できるシーンがあるが――こちらを前提にすると、400メートルはなければならない計算になる。ボラーの数値が全て倍が妥当(スペイン・トンとイングランド・トンが実は数値が異なる、みたいな話)という話があれば何とか――340メートルと比率として何とか妥当なラインに落とし込める。この場合の再設定値は730メートル程度になろうか。


 全長に関しては――ちょっと確定的な言い方が出来ない……。参考値として挙げると次のようになる。一部数値に乱れアリ。

 ラジェンドラ号比較全長:約170メートル(再設定値:390メートル)
 ラジェンドラ号比較全幅:約70メートル(再設定値:180メートル)
 第23話前提全長:約400メートル(再設定値:880メートル)
 第23話前提全幅:約240メートル(再設定値:320メートル)

 

 
 武装
 艦首ボラー砲が一応決戦兵器として設けられている。ただ、射角はあまり広くなく後方には指向できない。真横も怪しい。仰俯角は柔軟な為、さほど砲撃に不自由はしないだろう。貫徹力も他の砲に比べて描写からして、鷹目に見える。とはいえ、あまり機能的な装備ではないが――だが、これはまだマシな方。敵艦撃破において、十分機能していた。


 問題なのが、主砲塔であるこれは旋回不可能である為に仰俯角しか取れない。そのため、側面からの敵の接近に対しては全く無力なのだ。威力はガルマン・ガミラス艦隊を十分撃破できるだけの結構な威力を持っているのだが、旋回不能なのだ。非常に使い勝手が悪い主砲塔である。なんでこんな形状にしたんだろ……。

 せめて舷側向きなど、配置に工夫してくれればよかったのだが

 唯一、プレート式であるため多連装砲よりも必然的に砲身幅が取れる為その点、威力の増大が見込める。ただ筒状の砲身が収束率を高める目的である可能性が高いが――プレート式だとその収束率が見込めないため、貫徹力は劣る。物量で押し切るボラー連邦だからエネルギー投射量の総量を優先したとすれば不思議はないが。また、ボラー砲がある以上は貫徹力はあちらに任せプレート式は投射量というように、それなりに対艦戦闘でグラデーションを付けた砲撃戦が可能になるとは思う。

 


 ミサイル兵装も問題で、使用シーンがないし設定上もあるようには思えない。これではただでさえ側面からの攻撃に弱いうえに、迎撃まで脆弱なのである。ただひたすら正面への攻撃のみの戦闘艦である。

 さすがに対空砲は配備されているため、一応艦載機に対する迎撃の力はあるし、意外と強固な装甲である為それなりに持ちこたえられるだろう。が、如何せん受動的。また、攻撃側に回る際の攻撃手段が極めて限定的となってしまっている。投射方向まで前方限定では色々辛い。
 まあ、ミサイルがないはずはないだろう。あの明らかにミサイル発射口に見える部分が単なるデザインでなければ

 

 

 立ち位置・運用
 まず、タイプBの戦艦と組み合わせて運用されているだろう。ボラー連邦には巡洋艦に当たる艦種も駆逐艦に当たる艦種もなかった。後に出て来たけど。
 という事は、戦艦が万能である必要はないが、巡洋艦駆逐艦と同程度の使い勝手の戦闘艦の範疇で収まらなければならないだろう。少なくとも、デストロイヤー艦の登場までは、戦艦が巡洋艦である駆逐艦である必要が有った

 そこでこの戦艦タイプA。砲撃重視であるためどちらかと言えば、タイプBよりも戦艦としての性格が強い戦闘艦と言えるだろう。全長の比率から言えば、巡洋艦かもしれないが……立ち位置は駆逐艦巡洋艦のように柔軟性を持ちつつ、戦艦らしく艦隊の火力供給源。

 まあ、要するに立ち位置がブレている

 

 運用としては――元から砲撃の物量ごり押し作戦であるボラー連邦。正面へ集中的に攻撃力を設け、更にボラー砲で一定程度その砲撃に機動性を持たせる。もはや彼我の如何を問わずミサイル攻撃を考慮せず、迎撃も味方艦隊の砲撃による弾幕で無理やり押しつぶす――という事になるだろう。

 若干の懸念が装甲がタイプBに比べて薄い可能性が高いという点。運用の方法から言えば大した問題ではないが、喪失率に寄与してしまうため出来れば厚い方が良かったが……。量産可能であるため、ある程度の損失は補充すればいいだけであるため懸念には及ばない

 

 

 劇中の活躍
 ヤマトⅢ第一話に登場、僚艦と共にバース星守備艦隊を構成した。しかし、ダゴン艦隊の惑星破壊ミサイルを阻止すべく体当たりを敢行したが敵わず爆散。後方の惑星ごと僚艦と共に消滅した。

 本格的な再登場は第13話、バース星守備艦隊を構成する主力艦として出撃するも、ヤマトの攻撃に敵わず。更にベムラーゼ首相の命令によって母星もろとも破壊されてしまう。
 第22話、第23話にて第8打撃艦隊及び第1、第2主力艦隊を構成する戦闘艦として出動、ガルマン・ガミラス北部方面艦隊やヤマトと交戦し、全滅した。
 第24話および最終話にも登場、それぞれゴルサコフ艦隊やベムラーゼ親衛艦隊を構成する戦闘艦としての参加だったが、前者はハイパーデスラー砲で消滅。後者はデスラー砲の連射で消滅した。

 

 

 

 

 戦艦タイプB

 艦級名:不明
 全長:不明(約285.6メートル)
 エンジンノズル:大型ノズル1基、中型2基(縦に直列)、小型2基(中型を挟んで配置)
 武装:艦首格納式砲塔2基、艦首連装固定副砲2基、(舷側格納式砲塔片舷3基)、艦底部格納大型ミサイル1基。未確認だが――艦首舷側ミサイル発射管片舷3門、艦首底部目玉様砲片舷1門、舷側下方部格納式砲塔2基

 

  全体的に青く塗装され、艦首とエンジンノズルが黒く塗られている。艦首の形状は金槌の打ち面のように平ら、全体的にずんぐりした印象の艦容。

 艦中央部の艦底部(エンジンの前方)には下方に出っ張ったミサイル格納庫があり、ここから艦の全長の1/4程度の巨大な惑星破壊ミサイルを投下する。格納部の前面はインテークになっている模様。この格納部よりさらに下エンジンノズルが出っ張っているため、物凄く、背が高くなってしまっている。

 艦橋はAタイプに比べて潜水艦の環境に近く、レーダーパネルが若干小型。Aタイプでは上面に設けられていた目が艦底部に設けられているという違いがある。役割は不明。

 内部はラジェンドラ号に近いが、窓が複雑な正面の大型一枚と側面の複数枚で構成される。床は床だし、窓は艦橋の前半部程度に収まる。幅は同じであるが、長手方向はラジェンドラ号の2/3弱程度、高さは半分弱。ラジェンドラ号では艦長席があるあたりが、タイプBの艦橋の天井に当たる。内部配置は明瞭で、前方にオペレーターが3人仲良く並ぶ。大分空間をあけてその後方、そこにもオペレーターが4人程座ってパネルを操作する。物凄く高い位置にあるモニターにはどうやら階段で昇って確かめる模様で、色々、やはり旗艦たるラジェンドラ号より設備が貧弱。

 残念だが、この艦もタイプA同様に海外でも捻りなくBattleship〈Type B〉と呼ばれるのみ。

 

 

 全長の調整
 これはよくわからない。例えば、ラジェンドラ号はヤマトと同等であり、タイプAとよりかはタイプBの方がラジェンドラ号に近い。ラジェンドラ号とタイプBがどれだけ類似した大きさなのかは参考になるシーンが大してない為不明だが、一回り程度は小さいとみられる。つまるところ、240メートル程度が妥当

 艦橋の描写からすると、艦橋の為に長手30メートルは容易に確保可能な原作設定値の280メートルが妥当である為、全景描写との齟齬がどうしても生じてしまうが……。再設定で480メートル程度だろう。幅は比率から言って90メートル程度から再設定値で180メートル程度と推測可能。


 ただし、シリーズ後半のコスモタイガーとの戦闘シーンではどうにも一回り大きく見えるシーンが多い。また、バース星爆破シーンでは大型ミサイルを投下してみせたが、ヤマトより一回りないし二回り小さい程度の惑星破壊ミサイルを内包しているため、どう考えても600メートルはなければならない計算になる

 いや、デカすぎるだろ。しかも、ひとつ前のエピソードではタイプBとヤマトは大して大きさの差がない描写が有る。艦橋描写ともヤマトとの比較以上の大幅な齟齬をきたし、ラジェンドラ号以上の巨大艦橋になってしまう。仮にこの600メートル設定でヤマト再設定値と揃えると――1.5キロの超大型艦となってしまうだろう。

 やべぇ矛盾


 なお、こちらの方がひし形の断面が予想され、スマートに見えるはずだが艦首のどん詰まりな印象とやたらに高い背のおかげで、タイプAよりずんぐりむっくり感が強い。

 全長の値を整理すると以下の通り――一部数値に乱れアリ

 ラジェンドラ号比較全長:約240メートル(再設定値:480メートル)
 ラジェンドラ号比較全幅:約90メートル(再設定値:190メートル)
 第13話前提全長:約600メートル(再設定値:1500メートル)
 第13話前提全幅:約200メートル(再設定値:420メートル)

 


 武装
 基本的には戦艦Aタイプと大して変わらない。ただ、第22話を見ると、ミサイル兵装があるかもしれない描写がタイプAより強調される形でみられる。単なるデザインかもしれないが、ミサイル発射口であってほしい。


 絶望的なのは主砲塔が旋回できない事であり、当然舷側方向への攻撃は極めて徹底して限定的というか、ほとんどない。

 しかもこちらはまだボラー砲すらない。よって、砲撃については絶望的と言わざるを得ないだろうそりゃ、図体が1.5倍であるから、タイプAに比べて相対的に火力は高いだろうが、即応性が低くなってしまっている。


 ただ、その代わりに惑星破壊ミサイルベムラーゼ首相曰く、大型ミサイル)を内包しているため、攻撃におけるエネルギー投射量に関して言えばミサイルや大型艦であることを考えればタイプAを凌駕していると言える

 このミサイルを格納しているため、ベースであろうタイプAの艦体よりひし形になり、かつ全長もかなり伸びてしまっている。ただ、この変更は考えようによっては、艦の性質を特徴づけるもので、タイプAより有機的な運用が可能である為、価値は高いかもしれない

 戦艦タイプAが被弾を恐れる必要がない為、物量に任せたごり押し戦法に用いることが容易であるのに比べ……惑星破壊ミサイルに誘爆してしまってはこれは非常に危険。それを考えると、前進させられるタイミングに気を使う必要が有る。だからこそ、存在そのものが牽制に使えるのが戦艦タイプBであり、投入のタイミングで戦闘のイニシアティブを握り得る

 

 要するに、特徴的な能力を有しているため価値のある戦闘艦ではある。しかし、ボラー連邦の戦闘スタイルから言えば、ちょっと使い勝手が悪い艦と言えるだろう

 粛清には物凄く有効だけどね

 

 

 立ち位置・運用
 恐らく、Aタイプが前縁を形成し、その後方で戦闘を支えるのがBタイプだろう。何といっても惑星破壊ミサイルを抱えているのだから、出来れば敵弾の直撃はできるだけ避けたい。タイプAに比べればどうも装甲が厚いようではあるが、だからと言って兵装を鑑みれば前線に出すかどうかは指揮官の考え方によるだろう。

 惑星破壊ミサイルはボラー連邦にとって数少ない決戦兵器であるのだから、浪費したくはないだろう。しかも、次弾装填はその大きさから考えてほぼ不可能。

 であれば、強固な敵陣に突破口を形成したい場合や、形勢が思いっきり不利な状況で乾坤一擲の攻撃を仕掛ける――その際に前面に立って惑星破壊ミサイルをバカ撃ちする、と言うような運用になるだろう。


 立ち位置的には戦艦よりもどちらかと言えば、重雷装艦に近いイメージか。あるいはアーセナルシップ。ただし、これらよりも戦艦タイプBは幾らか特殊で……うまく使えば惑星破壊ミサイルで反転攻勢に成功したダゴンのように、戦闘どころか戦争のイニシアティブを握り得る戦略的な戦闘艦

 とはいえ、武装はタイプAとさほど差別化できていない上に、ミサイルという危険因子を抱えた結果むしろ使い勝手が悪くなっている感じさえある。

 

 

 劇中の活躍
 ヤマトⅢ第1話に初登場、僚艦と共に再建バース星守備艦隊を構成した(艦尾ないし艦底部後方からのあおりシーンがほとんど)。第2話では本格的に戦闘を行い、アルファ星への集中にかまけていたダゴン艦隊への奇襲攻撃であったが――敵わず。

 第12話にてバース星所属のタイプBが登場し、ヤマトの水先案内を買って出た。続く13話ではベムラーゼ首相旗艦の護衛艦として本国所属艦が登場。ヤマトに敗れたバース星守備艦隊をバース星ごと粉砕するため大型ミサイルを発射し、これを完全に破壊した。第22話にて圧倒的多数の僚艦と共に本国を出撃、第23話にて第8打撃艦隊及び第1、第2主力艦隊を構成する戦闘艦として登場。ガルマン・ガミラス北部方面艦隊やヤマトと交戦し、全滅した。
 第24話および最終話にも登場、それぞれゴルサコフ艦隊やベムラーゼ親衛艦隊を構成する戦闘艦としての参加だったが、前者はハイパーデスラー砲で消滅。後者はデスラー砲の連射で消滅した。

 

 

 

 タイプA、タイプB共に、形状は類似した面があり、攻撃方法を砲撃をベースとした設計であると言える。両者の倍近い全長の違いは明らかに大型ミサイルの有無であり、艦載砲も艦体が大きい分タイプBの方が割合に大型である。

 見た目的な印象は別にして、ボラー連邦艦艇として、特に特徴のある艦とはいえず。だからこそ逆に、この艦の性能を基準として他の艦に、艦載機運用能力を持たせるとか雷撃力を持たせるとか、そういったデザインを行った――という感じが見受けられる。

 両タイプを合計すれば確実にボラー連邦艦隊の量的な中核艦であり、ある意味その建造のしやすさ調達のしやすさがそれ自体武器になっている。何なら、搭載されたどの武装より建造隻数の方が、敵対勢力にとって危険で驚異的。ボラー連邦自体も、数の多さが最も危険な要素だったし。

 

 確かに――あんまりカッコいい場面はないが、ボラー連邦のイメージを様々な面で印象付けた艦と言えるだろう。