旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

暗黒星団帝国兵器群 デザリアム星――欺瞞

 

 デザリアム星について視聴者を驚かせたのは間違いなくその壮大な偽装だろう。星をそっくりそのまま地球に偽装してしまったのだ。

 今回は、どうやって偽装したのか考察したいと思う。

 

 

 偽装の様相

 どうやって偽装したか。まず、ヤマトクルーを出迎えた部分は実体があるだろう

 第一に水晶都市の"聖総統府”に直通あるいは謁見室に直通するパイプの上面に地球なり、地球に似た惑星の土を運んで敷き詰める輸送艦にテキトーな場所の土を詰め込んで数回運搬すれば、数百万リットルの土を輸送可能だろう。土砂1立米が1.8トンか2トン程度。10キロ平米に土を敷いて、2万トン程度か。

 この土台上に別に実際的な機能を施す必要はないのだから、張りぼての都市を造る書割みたいなものでいいだろう。金属どころかプラスチックとか、或いは廃材をテキトーにぶち込んででっち上げればいい。物質の組成が微妙に違ったとしても、新技術を使ったとか、ある程度までは聖総統の南部博士並みの声の説得力(希望的観測)で強弁可能だろう。

 それに――古代君は雪が心配過ぎて第一作で見せた精細さはあまり見られなかったし、肝心の科学担当である真田さんがヤマト居残り組みであった為、サンプルを取るという頭にはならなかったのも幸い。ここは幸運に救われたと言えるだろう。

 ただ、私はウラリア人ではないが……相原君の手癖の悪さには閉口したがね。あれはダメだよ。

 

 では、地球全体の偽装はどうすべきか。地球とデザリアム星では、比べるまでもなく明らかにデザリアム星の方が小さい。どう頑張っても小さい。配置を考えると、ゆで卵で黄身の位置がえぐいほどに偏った断面――に近い形になるだろう。

 問題は、全球に物理的な偽装を施したか……という事で、まずないだろう意味がない。地球占領作戦が成功している段階では別にデザリアム星におびき寄せるという作戦そのものに妥当性がない。他方、封鎖ラインを突破してくる敵は十中八九ヤマトだろう。アンドロメダ級の再建造艦という可能性もあるだろうが、実績という観点でいえばヤマトに全てを掛けるのが地球のマインドとして妥当。

 どうせ単艦、コスモタイガーはせいぜい40機。つまるところ、ヤマトには全球を綿密に探査できるだけのキャパシティはない。仮に可能であったとしても、通信をインターセプト出来ればそこでデータをごまかしてしまえばいい。であるから、ヤマトの使節団を迎える部分だけの偽装を本気で行い、あとの部分はホログラム辺りで代用すれば十分だろう。

 ゴジラ ファイナルウォーズのX星人みたいな凡ミス(あれはデスラー総統の方針を手ぬるいと考えた北村一輝がわざとやった可能性もあるか……)をしなければバレることはないだろう。実際、似たようなことやったけどさ……。少なくとも科学技術の水準は地球より上、イスカンダルガミラスよりも上であることも予想される暗黒星団帝国が、技術という面においてこの電子欺瞞で後れを取るはずはない。

 よって、全球にわたった偽装はあり得ないし意味もないと想定できるだろう。そして、実は劇中で偽装されたのはヤマトが接近してきた部分のみしか実行されていないとしても何ら不思議はない。

 

 

 偽装の期間

 偽装の期間というとなんだか違法性たっぷりの響きがする。実際、宣戦布告もなしに、予防的措置としても妥当性を欠く戦争を仕掛けて来た暗黒星団帝国に違法も合法もないが。

 

 まず、地球という存在を確認した新たなる旅立ちの終わりマゼラン方面軍全滅後であることは確実。具体的な時期は正直不明だが……資材調達は地球侵攻の数カ月前だろう。何なら岩盤ごと周辺の地球型惑星から引っぺがして移植するという荒業も想定の内に入る為、この場合はそれこそ後は張りぼての都市を建設するだけ。地球では岩盤移植など行われた事はない為、必要な期間など判るはずもないが、まさか半年もかかりはしないだろう。故に、多分短期間で可能だろう

 仮に長期間かかったとしても問題はないヤマトクルーが着陸したあの周辺域には全く地球の史跡らしい史跡はなかった。つまり、あの部分だけはいつどこでどのような計画で整地されても何の問題はない反対に、全球的にそこここに見られた地球の史跡は全て建築する必要は一切なく、ホログラムで十分代用可能。地球のデータがいついかなるタイミングでもたらされたとしても、ヤマトがデザリアム星に到着する前であれば――それこそ1時間前であっても対応は可能だろう

 これらから考え合わせて、恐らくデザリアム星の偽装に要する期間は3カ月もあればで十分ではないだろうか。さすがに一か月は期間が短い気もするが、最近では武漢でプレハブの火神山、雷神山の両医院が10日間で完成した事を考えると……やって出来ない事はないだろう。

 

 

 効果

 一定程度は効果があったと言えるだろう。

 実際、古代たちをひっかけた。ヤマト残留した事によって真田さんも偽装を見破れなかったし、山南艦長も見破れなかった。その意味では非常に効果があった。また、あのままうまくだませれば費用対効果は非常に高い作戦だったと言えるだろう。あのままうまくいけば、の話

 

 

 崩壊の理由

 波動砲の直撃を喰らったグロデーズからの誘爆、それが地表をなめた結果、誘爆に次ぐ誘爆で全球が燃え上がってしまった。

 誘爆してしまった事自体もはや論じるべくもない。無茶なご都合主義設定

 少なくともあの液体が流れ落ちるような描写は無理だろう。いくら粒子であっても、家電状態高エネルギー状態で何ら電磁拘束などの力を加えられていないのだから、それが水やらの物質的振る舞いをするわけでは無いのだから。

 描写を整頓するならば、まず隕石状になったグロデーズの残骸が地表面に次々と突き刺さる、そこからすでに相互反応を起こしていた残骸から誘爆して全球に及んだ――とする方が整合性が取れて勝見栄えがするだろう。少なくとも、大気も何も無視して滝のようにエネルギーが零れ落ちる描写よりマシと思われる。

 波動エネルギーとの反応が比較的ゆっくりなものであるという前提というか条件付きだが。

 

 まず、ヤマトクルー着陸地点は、十中八九反応を起こすだろうし、普通の炎でも恐らく張りぼてだから簡単に木っ端みじんになるはず。これは、自然。

 全球……投影装置が爆発ないし、万が一バレそうになった場合の偽装を施した投影装置の周辺が燃えて燃えてとんでもない事になっているシーンを宇宙空間に投影してしまった。だからあの地獄絵図となった。苦しい説明だが、全球がホログラムでおおわれていたとすればこれは意外となんとかでっち上げられるだろう。

 

 メタモルフォーゼシーンについては説明不可演出マターだからあんまり説明する気分にもならない。演出的な意味はあったのだろうし、聖総統もハンサムマスクを脱ぎ捨てたのと相関関係として――筋は通っているだろう。ただ、現象として説明できるものではない。

 まあ、映像投影担当のオペレーターが女性で、彼女も同じようにハンサムウーマンマスクをかぶっていて、それが燃えてしまった……だとすれば、画面から離れて医務室行けばいいのにね。

 

 

 作戦の成否から言えば、失敗だった

 古代の問いかけに対し、答えに窮した聖総統。彼の失敗がヤマトクルーの疑念を強くさせてしまったと言えるだろう。そしてヤマトクルーの団結に関し、教育者としての手腕をいかんなく発揮した山南艦長――彼がヤマト飛翔の強力な後押しとなった。そして偽装工作に止めを刺した工作班の凡ミス、サーダの凡ミスというダブルパンチ。

 作戦自体は詰めが甘いものの別に間違ったものでもないし、失敗の過程をさもあり何とたどったとは言い難い。しかし、それ以外の不確定要素に阻まれてしまった。

 その結果、大失敗してしまったのである。