旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

第一期地球艦隊 宇宙戦艦(沖田艦)――砲撃専門艦――

 

 M-21741式宇宙戦艦はヤマト史上、画面に初めて登場した地球側艦艇である。潜水艦のような特徴的な艦影に特徴的なカラーリングが目を引く戦闘艦だ。

 

 

 ――データ――

 艦級名:M-21741式宇宙戦艦

 種別:宇宙戦艦
 全長:不明(200メートルないし92.5メートル)
 全幅:不明(27.5メートル)
 全高:不明(32メートル)
 自重:2,800トン
 主機:不明
 兵装:三連装フェーザー光線砲塔艦上部1基、同艦橋砲1基、同艦底部艦首側1基、同艦尾艦底部1基、艦首誘導弾発射管8門
 搭載機:不明(一機分の格納スペース有)

 

 艦上部は赤で塗られ、艦底部は白。ところどころに黄色や黒の指し色が入った極めて視認性の高いカラーリング。ベースとしては潜水艦の様で紡錘形の艦体であり、艦首に十字に設けられたフィンや艦尾にも垂直のフィンが設けられており、マグロのような回遊魚的印象を持つ。
 しかして非常に、最も興味深いのが艦橋で……砲塔の天蓋上に設けられているのだ。やべぇだろ。

 艦級名は〈M-21741式宇宙戦艦〉、登場した艦名は〈司令船225号〉と決まっている珍しい艦。ただ、結局はみんな沖田艦としか呼ばないし何なら通称で〈英雄〉と呼ばれることが多いと思われる。〈司令船225号〉まさか225隻目の艦とは思えない為、2が国籍か所属艦隊で2が艦種で5番目の建造だから5、とかそんな感じで説明すれば納まりが良くなるだろう。実際がどうかは知らん。

 海外では艦名は特に決まっていないか、クラス名と艦名が一致しているのか判然としないが〈Mogami〉と名付けられている。ただし、類別がCruiserとして表現されており、格下げ。確かに、大きさ以外に突撃駆逐艦と違いはなく巡洋艦とみられても仕方がない感じもするが……。

 

 火力、その他

 フェーザー砲の火力は非常に低いガミラス艦の装甲も打ち抜くことが出来ない。ガミラスと違い、色が蛍光グリーンであるが――恐らく発振に用いる物質の差が色の違いになったのだろう。


 問題は、口径はデストロイヤー艦と同等かそれ以上にもかかわらず、全く歯が立たなかった事。純粋に出力の問題だろう。12門の砲門を持つが、作画の関係かあるいは出力の問題から基本的に同時射撃は3門がせいぜい。

 合理的説明を付けるとすれば、宇宙艦のエンジンとしては十分とは言えども、戦闘艦としては実に恐ろしく実力不足なエンジンを搭載していた。だから全然ダメダメだった――という事になるだろう。仮に、波動砲的に全エネルギーを艦前部主砲に込めたとして、それでパシャンとはじかれたのであればもう……
 これじゃ勝てんわな。


 魚雷発射管は存在しているが、8門。魚雷の本数としては予備を含めて16ないし24本が妥当だろう、これは十分な門数かもしれないが――続々と襲来するガミラス艦隊相手には心もとない。しかもこの艦はさほど機動力が高いわけでは無いのだから、いくら誘導弾とはいえ全く見当違いなタイミングで見当違いな方向に撃つのは、無駄遣い。艦首固定だと、正直無駄弾を討つ確率がこの艦の場合は高くなるだろう。


 えげつないのが艦橋が砲塔の天蓋の上に設けられている点。度肝抜く。
 確かに……類例がないわけでは無い。定遠級戦艦はフライングデッキ上に司令塔を置いたが、その真下は自慢の12インチ連装2基を搭載している。フランス戦艦〈オッシュ〉も、USS〈モニター〉も砲塔の上ぐらいしか司令塔の置き場がないのだから仕方がなかった。
 沖田艦についてはまあ、きっとエンジン部がかなり容量を食って艦内にCICを設けることも、別個に艦橋を設けることもできなかった……という事にしておく。にしても危険すぎるだろうて
 えぐいのが、この艦橋砲は額面通り受け取ると砲撃中はぐるぐる回りまくる可能性があるという事。だとすれば沖田艦長を初めとした司令部員全員酔ってしまうだろう。恐らく、ジャイロで一定程度の水平等の軸線を確保しているのだろう。感じから言って水平の安定を保つのは難しいだろうが、少なくとも砲塔が回転しても艦橋が回転しない工夫ぐらいはできるはず。じゃなきゃ三半規管がぶっ壊れる……

 

 エンジン形式は不明だが、ノズルコーンを持っているため……第二期地球艦隊の巡洋艦などの小型艦、或いは第三期以降の地球艦隊と同様の形式なのだろう。この艦に採用されているエンジンノズルの形式が、恐らく地球の元来のスタンダードな形式という事になるだろう。

 

 

 全長の妥当性・再設定
 艦橋の面積は不明。古いタイプのコックピットと同等の奥行きで、幅は数倍が予想値。An-124 ルスラーンのコックピットなんかの画像を見ると、やはり5人ぐらいいた時代の飛行機のそれが妥当だろう。この機体は全長68.96メートル、幅73.3メートルの世界最大の実用輸送機であるという。
 このルスラーンのコックピットを倍にした面積が沖田艦の艦橋と近似するとして……ざっくり210メートルの全長が比率的に妥当な数値だろう。まあ、もう一回り小さくしても問題はないだろうから、200メートル前後としておく。

 原作設定値が割と妥当な数値に収まっていた。おかげでガトランティス艦の全長設定がいかに雑だったかが際立ってしまう……。

 

 

 この艦を後々運用するとして――まず海防艦。これが妥当な線だろう。規模が大きい分、宇宙駆逐艦よりはエンジンのオーバーホールである程度は戦力化が見込める。またガワだけならば、第二期地球艦隊の中型艦艇の外観とある程度類似しているため転用は一定程度可能なはず。

 本格的に運用するならば、兵装の交換は確実に必要だろう

 艦橋砲は廃止。艦底部砲塔は巡洋艦のそれと同様なものに換装、艦首と艦尾の主砲塔は大型のパルスレーザー砲にでも換装するのが妥当だろう。どうせ艦載機は上からやってくるのだから前後砲塔をパルスレーザー砲を大型ないし中型を8門ワンセットの砲台として、対空性能を強化するのは配置として当然。ガミラスですら一応の航空戦力運用が見られたのだから、敵艦載機の襲来を警戒するのは当然。艦底部にショックカノンを配置するのは、艦底部ならば全周に対して砲撃可能であり、俯角が多少取れるならば十分戦闘に寄与することが可能。

 武装がそのままであれば、どう考えても無力に近いが――適切な兵装へと交換することで海防艦や艦隊ないし輸送船団の防空艦として十分機能させられるだろう。

  

 2202において外観そのままに運用されたが、アレはまずいだろう。海防艦としてはオーバーホールするだけでそのままで十分、通用する――それだって多少疑問だが、海防艦であるならば金剛をそのままにすることは理解できる。

 が、エンケラドゥス守備隊に組み込んだのはどうかと思う。

 何せこの艦程度のショックカノンでは敵を圧倒できるかと言えば数に頼らざるを得ない、波動砲(正確には波動砲風の粒子砲らしい)は寄りによって通常の収束タイプ。これではいくら集まったって猛烈な数をぶち当ててくる人造人間相手にはどうやったって勝てない。エンケラドゥス守備隊をバルゼーが踏みつぶせなかったのはどうにもご都合主義として……

  そもそもエンケラドゥス守備隊は主力戦艦と巡洋艦を中心とした中規模艦隊を編成するのがベストだっただろう。拡散波動砲によって遅滞戦術を展開し、主力艦隊の到着を待つ。その外殻を形成する艦としてなら改金剛も参加する意味はあっただろうが――それにしたって対空なり主砲換装なりをするべきだっただろう。

 そっちの方がリアリティが出たと思う。

 

 

 劇中の活躍

 登場艦:〈司令船225号
 初登場にして最後の登場は第1シリーズ第1話、その冒頭で発生した冥王星海戦、沖田艦長指揮の地球防衛軍最後の艦隊を率いる旗艦としてであった。

 ガミラス艦隊の接近に伴い戦闘配置を発令、敵の攻撃に過剰反応することなく腰を据えての迎撃を開始。照準を合わせ、初弾命中を繰り出すも出力不足で撃沈する事敵わなかった。その後次々被弾。しかも被弾時の衝撃で艦が傾くエンジン出力の弱さを露呈してしまった。しかし、そこそこ分厚い装甲や細分化された隔壁によって誘爆を阻止することに成功。元から誘導弾を降ろしていたのかは不明だが、少なくとも艦内部からの誘爆を回避した事には違いない。

 しかし、沖田艦長の強運と護衛艦〈ゆきかぜ〉の奮戦のおかげで戦域の離脱に成功。途中で古代ら特別訓練生を収容しつつ地球へ帰還を果たした。

 

 

 第一期地球艦隊の最大の弱点は打撃力の無さである。

 この艦に関して言えば、砲撃重視の設計であり地球と同程度の文明相手ではそれなりに有力な戦闘艦となっただろう。であるからこそ――この艦の以降の活躍はなかった

 活躍は、絶対にあり得なかった。何せこの艦の主兵装はガミラスに唯一効果のあった魚雷ではなく、フェーザー光線砲なのだから……当然だろう。出力不足で武器になってない武器を積んでいるのだから