旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

第一期地球艦隊 突撃駆逐艦――汎用快速艦――

 

 突撃駆逐艦(正式名称:M-21881式雪風型宇宙突撃駆逐艦)はヤマトの事実上の主人公である古代進の兄:守の乗艦であり、第一期地球艦隊の数的中核を担った高速艦である。

 

 

 ――データ――

 艦級名:不明(登場個艦名〈ゆきかぜ〉)

 種別:突撃駆逐艦
 全長:不明(68.5メートル)
 全幅:不明(24メートル)
 全高:不明(23メートル)
 主機:不明
 武装:艦首3連装ミサイル発射管1基、艦後部・上部三連装小口径光線砲1基、艦底部中央砲塔1基


 潜水艦の艦首にスコップを付けたような見た目で、人造シュモクザメ的なデザイン。スコップと艦尾の舷側3枚フィンが赤く塗られ、艦首と艦橋は白。艦央部から艦尾は黄色だが、赤い縦線が砲の背後辺りにぐるっと艦体を一周する形で描かれている。

 

 個艦名や艦級名を設定された事はないらしく古代艦と通称される〈ゆきかぜ〉以外を指すときは突撃駆逐艦と普通に呼ぶ以外にない。そもそも冥王星での決戦では2艦種しか画面には登場して居ないのに、多分このクラスの事を指すだろう突撃艦とか、護衛艦=〈ゆきかぜ〉など色々錯綜した呼び方で戦闘に参加していた。

 海外ではTorpedo Destroyerと何となく日本通じる分類でクラス名が〈Lightning〉となっている。

 

 

 火力、その他

 艦体に不釣り合いなほど巨大な3連装砲塔を装備しているが、どうも発射シーンはなし。砲撃に関する装置をほとんど砲塔内に設置し、旋回部のみを艦体に設置というのが妥当だろう。
 旗艦級の戦闘艦のエンジンの出力でも全く敵わなかったのだから、より小型のエンジンでは恐らく、ろくな出力を得られないだろう。場合によっては、蓄電池的にエネルギーをバックアップし、一時にそのエネルギーを用いて砲撃するのかもしれない。ただ、その場合……初弾以外はものすごくひよわな攻撃しか繰り出せない事になる。

 

 ガミラス戦時においては艦首魚雷発射管が活躍した。
 通用した理由に関しては、徹甲弾を用い弾殻が非常に硬くガミラス艦の装甲を破ったか――或いはユゴニオ弾性限界を超える圧力を一点に集中させて装甲を突破した。その中で誘爆的に艦内部を破壊したと言うような事が理由としては考えられる。
 問題はミサイルを抱えているという事は自分が撃ち抜かれたら誘爆する危険が非常に高いという事。特にこの細い艦体で数発の予備を設けるとなると、相当分厚い装甲を設ける必要が有るだろうが……旗艦級でも容易に撃ち抜かれてしまうのだから、量産品品質では無理だろう。

 

 エンジンノズルは後の地球艦隊のそれと同様に、ラムジェット的にノズルコーンを内包した形になっている。ヤマトや第二期地球艦隊の大型艦のみ本当にノズル形式が異なっているといえよう。

 ちなみに、地球上では宙に浮いたりはせずに飛行機の様にタイヤで移動する。

 

 

 全長の妥当性・再設定
 数値の妥当性に関して言えば、旗艦と大して変わらないか幾らか小さい艦橋描写を考えると……原作設定値はちょっと小さい。

 約倍の140メートル程度が妥当だろう。幅を持たせて120メートル前後としても、描写との乖離や実際の数値的な乖離は少ないと見ることも出来るのではないだろうか。

 

 

 恐らく、ヤマト帰還後に使用しようとしてもあまりに能力が低く――海防艦程度の任務も若干怪しい。

 ガワだけならば、形状から言ってある程度第二期地球艦隊に転用できるだろうが、すでに完成している艦や修理済みの類であれば……廃艦か海防艦しかないだろう。

 

 無論、エンジンをオーバーホールするのは大前提。故に使おうと思えば波動砲という選択肢もあるだろう。仮にあの大型主砲を取っ払ってパルスレーザー砲に変更し、対空能力と雷撃力を備えた――アメリカでいうところの護衛駆逐艦化すれば、それなりに利用は出来るだろう。船団護衛や機動的対空砲台としてならば、価値はあるはず。

 

 

 劇中の活躍

 登場艦:ミサイル艦17号〈ゆきかぜ〉及び、艦名不明の複数艦。

 第一話ガミラス戦役において地球艦隊が最後に敢行した冥王星決戦の数的中核を務めた。複数の戦闘艦が参加し、ガミラス艦隊と対峙したが、旗艦たる沖田艦の主砲でも撃ち抜けなかったガミラス艦の装甲を突撃駆逐艦の主砲が通用する可能性などほとんどなかった。

 しかし、ミサイルは通用した。主砲と同等の直径を誇るこの艦のミサイルは割合に高速でガミラス艦の必死の回避運動も敵わず、爆沈。だが、恐らくこのミサイルをしこたま積んだものの、第一の攻撃が全出力を集中させたであろう主砲による砲撃戦であった。この戦術的なミスが響き、雷撃のチャンスをみすみす逃してしまった形になってしまった。合理的な説明を付ければ、この大量のミサイルを撃ち抜かれ、誘爆してしまい次々と爆沈してしまったという事だろう。

 

 中でも古代守の乗艦である〈ゆきかぜ〉の奮戦はすさまじく、戦果を挙げた後、旗艦の撤退を支援すべくガミラス艦隊に突撃、複数艦にミサイルを直撃させる健闘を見せた。しかし、集中砲火を受けてあえなく撃沈されてしまった。

 再度〈ゆきかぜ〉を含む複数艦が登場したのは第18話であるが、これは回想シーン。冥王星決戦に赴く艦隊を構成し、約40から遠景で見たように80隻程が富士山麓のドックから発進した。しかし、帰った艦は一隻もなかったとされる……。

 

 

 非常に軽量級で快速、設計としては優秀な戦闘艦の部類に入るだろう。他方で実体弾とフェーザー砲の双方を軸に据えて設計されたバランスのいい戦闘艦と言える。同じ技術力の勢力相手ならば十分に脅威として認識されただろう。

 しかしガミラス艦隊が有する、地球艦隊のそれに比べて強力な装甲を持ち、高い出力を持つエンジン相手には全く歯が立たなかった。

 戦役末期においては、残念ながら――消耗品に他ならなかったのである