旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ボラー連邦兵器群 デストロイヤー艦――多用途任務艦――

 

 デストロイヤー艦はシリーズ後半で登場した戦闘艦である。ボラー艦艇にしては猛烈に直線を多用した異質な艦である。しかも主兵装が明らかにミサイルであるという点も極めて異質。今回はこの艦について考察を加えたい。

 

 

 ――データ――

 艦級名:不明 
 全長:不明(約168メートル)
 エンジンノズル:大型2基、並列
 武装:艦央部6連装スペースロック発射管2ブロック、艦首連装大型格納式砲塔2基、艦前方舷側爆雷発射口片舷4門、格納式対空砲座多数、(連装格納式砲塔4基、確認できず)

 

 分厚い木べらのような艦首――2199のドメラーズⅢに近い――から艦体が伸び、断面が6角形のミサイルブロックが2つ、その上にS-300F フォールトと同様のミサイルサイロが設けられている。艦後尾の推進部はミサイルブロックと同じく6角形だが若干長い。艦橋の形状は潜水艦然としているが、家のテレビアンテナのようなアンテナが艦橋後方から生えているのが不格好。しかも推進部をこの艦橋から延びた構造物が縦軸に横切っている不思議。推進はエンジンノズル2基と大変珍しい程に軽装である。

 全体としてボラー艦艇の割に直線が多く、スマートな印象で不格好な色鉛筆っぽい見た目。また、艦首から艦尾にかけて、空中甲板的に繋がれた構造になっている。艦首のみ黒で他は青色だが、珍しい事にエンジン内部は赤く染まっている。

 艦橋内部は特殊で、複数の窓が組み合わされて一枚のような体の窓となっている。意外にも司令官席がなく、立って指揮する模様。オペレーターは2名ワンセットで椅子に座り、部屋の四隅に配されている。艦橋内部はめっちゃ暗く、明らかに光量が足りない。

 

 細かい艦名などは特に設定されておらず、デストロイヤー艦としか知られていない。海外でもあまり細かい設定を付与されることはなく単にDestroyer〈Bolar〉と若干投げ槍にされている感がある。

 

 

 武装

 武装数からいってミサイルが主兵装。12基ミサイルをほぼ同時発射可能で、容積から言って次弾2から3発を見込める。つまるところ最大で36発をぶっ放すことが可能で、160メートル程度の艦体でこの火力は割と強力。しかも搭載するミサイルは威力は通常のミサイルと同様ではあるが、左右に回避行動をとるなど、ちゃんとしたミサイル。割と珍しい。

 

 なお、途中途中でガン無視してミサイルと述べたが――劇中での言及はあくまでスペースロック。戦闘開始直後、ハーキンスはスペースロックの発射を命じた。つまり、繰り返すが名称はあくまでスペースロック。

 という事は、可能性として……アスロックのもじりか何かだろうアスロックとはやまぐも型から〈あきづき〉までの護衛艦に、バージョンアップを挟みつつ長年搭載された対潜水艦ミサイルで、魚雷の後ろにロケットブースターを引っ付けたモノというのが最も簡単な説明。Anti Submarine ROCket=ASROC

 つーことは、言葉尻だけを捕らえるとロケットであってミサイルではないみたいなことを言えてしまうのだが――このミサイル、二つ前ぐらいのエピソードで登場した惑星間ワープミサイルの子爆弾同様に、ヤマト史上非常に数の少ない、ミサイルらしい高い誘導性と自動的な回避行動をとる、現実の兵器に描写を全力で合わせた非常に細やかな武器である。あの作画、絶対大変だったでしょうね。

 今までヤマト世界のミサイルがミサイルと言いつつ直進しかしないロケットであるという……それに引き換え、名称だけ言えばロケットに近い印象だがこちらの方がミサイル然としているという何とも言えない強烈なギャップ。

 

 

 ミサイル兵装に加え、主砲を艦首に並列配置してミサイルブロックの数と射角と砲塔の数を確保した。

 どうせ左右に旋回できないタイプであることに加えて、他に配置する方法がない為、主砲を並列配置させた。そのおかげで艦首方向に4門とタイプAに近い火力を確保することに成功した。これだとむしろ、艦首の形状からタイプA等の戦闘艦より仰俯角共に大きくとることが出来る。よって、タイプAより信頼感のある戦艦という事に……。

 

 全体として、タイプAにタイプBの要素を加えた戦闘艦といえるだろう。或いは、タイプBの汎用化バージョン。つまり、多様な任務や戦場において活躍を期待できる幅広い武装を有した強力な戦闘艦

 この艦のデストロイヤーは駆逐艦という意味より、破壊という意味の性格の方が強いのではないか。と思えるほど、普遍的にかなりの攻撃力を有していると言えよう。

 

 

 驚くべきはその意外な装甲の厚さで、これはある意味武装

 このデストロイヤー艦、艦体に直撃したヤマトのショックカノンを……案外一撃目は耐える傾向にあるのだ。主人公補正のかかっているヤマトの攻撃を必死に耐えるという、割と珍しい艦

 この現象というか、能力発揮は第19話でも見られたが、特に第23話ではこれが顕著。さらに言えば、直撃した際の角度でそのダメージの大きさが変わるとこじつけられるため――投射されたエネルギーを流体として捉えて受け流すような構造という説明ができるだろう。

 ただ、艦体に限った限定的な耐久力であることに変わりなく、ミサイルサイロを集中攻撃されてしまえば手も足も出ない

 

 

 全長の調整
 幸いな事にタイプAの戦艦より一回り小さい描写が一貫している。そのため、原作設定値であっても問題はないし、再設定値の場合は370メートル程度と、他の艦とも大して齟齬がない。
 が、鬼門の第23話。ガルマン・ガミラスの大型戦闘艦との戦闘において、二回り弱小さい程度というのが比率として確認できるシーンがある。つまり――380メートルが最低ラインという事になる。そのまま再設定してしまうと、値が800メートル程度まで到達してしまう。

 タイプA比較全長:約170メートル(再設定値:390メートル)
 タイプA比較全幅:約50メートル(再設定値:120メートル)
 第23話前提全長:約380メートル(再設定値:830メートル)
 第23話前提全幅:約120メートル(再設定値:310メートル)

 

 

 運用・立ち位置

 先に述べたように、タイプBの縮小版かつタイプAの後継艦とするのが妥当だろう。

 使い勝手が微妙なタイプB、砲撃のみで攻撃の手数が少ないタイプA双方の弱点を解消し、長所であるタイプAの小型感とタイプBの手数の多さを組み合わせた戦闘艦、それがこのデストロイヤー艦といえるだろう。

 

 であるならば、前線に立って敵艦隊と対峙するのが当然の運用。

 タイプAからタイプBの間程度の装甲は有しているらしいし、決して単なる的な紙装甲ではない。火力は砲撃もミサイル攻撃も可能と非常に有力。タイプBが決戦や殲滅の為に温存しておきたいし、味方艦の巻き込みも怖い一方でこのデストロイヤー艦のミサイル兵装はそこまで破壊的ではない。だからこそ、いくらでも活躍の幅が有る。

 今までボラーが決戦に用いがちで、うまく使えていなかったミサイル兵器戦術レベルに落とし込んだ最初の例であり、これは彼らにとって非常に画期的だったと評する事が出来るだろう。

  

 

 劇中の活躍
 第19話にて初登場、ハーキンス中将率いる第8打撃艦隊を構成する主力艦としてヤマトと対峙、全滅した。
 第23話にて再登場。第8打撃艦隊及び第1、第2主力艦隊を構成する戦闘艦として出動、ガルマン・ガミラス北部方面艦隊やヤマトと交戦し、全滅した。
 最終話にも登場、ベムラーゼ親衛艦隊を構成する戦闘艦としての参加だったがデスラー砲の連射で消滅した。