旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

戦闘考察Ⅲ 白鳥座域決戦(ヤマトⅢ)

 

 アルファ星第4惑星から白鳥座にかけての宙域はヤマトとダゴンが血みどろの戦いを繰り広げた舞台である。ストーリーのボリュームも何と5話も費やしている

 その割には中身のない戦いだが――考察しよう、パート2

 

  

 

 白鳥座域決戦・ロス第154惑星域戦

 ガルマン・ガミラス帝国側参加部隊:第17空母艦隊
 戦力:戦闘指揮艦1、戦闘空母3、2連3段空母1
 指揮官:ダゴン将軍


 地球側参加部隊:ヤマト 
 戦力:戦艦1

 指揮官:古代進

 

 展開

 第10話――団船長の気象観測船を囮的に攻撃し撃沈したダゴン。そして、ヤマトはまんまと誘いに乗ってしまう。

 敵発見は双方同時、ヤマトは直ちにコスモタイガーを2部隊発進させ一方でダゴン艦隊も艦載機部隊を繰り出して迎撃。第一会戦は見事ヤマト航空隊に軍配が上がった者の、2連3段空母の迅速な補給に後れを取ったヤマト航空隊は発進できず裸で空襲を受ける羽目になった。

 このままでは座して死を待つのみ――ヤマトは小ワープでこれから退避を試みた。ところが、その前に機関が損傷してしまう。ダゴンはなおも攻勢を仕掛け……その攻撃に敵わずヤマトは徐々に白鳥座の赤色イオン流に押し込められてしまった。

 

 第11話――幸いにも気流を突破したヤマトだが、直後に空襲を受ける。これを瞬間物質移送器による空襲と判断した真田さんだが、イオン流突入の過程で砲塔基部が損傷した状態ではヤマトも打つ手がなかった。更に艦載機発進口まで攻撃を受けて全く打つ手なし。

 パルスレーザー砲を手動で動かす奥の手を発動し、空襲を耐えて小惑星の陰で態勢立て直しを図る。そこへダゴン艦隊が接近、これを鹵獲しようとヤマト上空へ展開し降伏を勧告する。ところがヤマトは降伏する気などさらさなく、通告猶予の直前に砲撃を開始。正面に展開した第1戦闘空母、右舷に展開した第2戦闘空母、左舷に展開した第3戦闘空母、上空に展開した2連3段空母がそれぞれ主砲と副砲、煙突ミサイルで見事に返り討ちに遭う。ダゴンの旗艦も機動力を見せてミサイルを大方回避したものの、被弾。対艦戦闘能力の低いこの艦はワープして逃げるほかなかった。

 

 

 描写の妥当性

 ヤマト側は別に不思議な行動はしていない。団船長の思いを踏みにじったわけだが――ドメルの言葉を借りれば、使命感をくすぐられた状態「安直なヒューマニズム」を見事にダゴンに利用されてしまった

 

 一方でダゴン側はただの愚か者

 2連3段空母の艦載機だけで攻撃したというのは全く持って意味不明かつ非合理的な描写。戦闘空母3隻で2連3段空母1隻分だと仮定しても、艦隊の半分の航空戦力を端っから使わないという愚かさ、しかも大抵は全機発進は原理的に不可能なのだから必然的に2連3段空母の搭載機の半数程度しか繰り出せない。出撃し、損害が出ればそれだけ航空戦力は刻一刻と縮小されてしまう。

 挙句、部下の歯の浮くようなおべっかにまんまと載せられて艦隊を前進させる愚行しかも、ヤマトが明らかに不穏な動きをしているのに気が付かない

 で、艦隊を見事に消滅させられる。こいつは本当に愚か

 ヤマトを勝たせたいばっかりに、印象的なシーンを作りたいばっかりにご都合主義をやらかしたとしか言いようがないだろう。脚本家も書いてて「おかしいなぁ~」とか思わなかったのだろうか

 

 

 意義

 愚か者にまともな艦を渡しても無駄にするだけ、戦果は望めない。以上

 

 ガルマン・ガミラス帝国側損害:戦闘空母3.2連3段空母1
 地球側損害:特になし

 

 

 

 ダメダメダゴンにだって執念はあるのさ! 

  白鳥座域決戦・第二会戦

 ガルマン・ガミラス帝国側参加部隊:第17空母艦隊
 戦力:戦闘指揮艦1
 指揮官:ダゴン将軍


 地球側参加部隊:ヤマト 
 戦力:戦艦1

 指揮官:古代進

 

 展開

 第11話後半――白鳥座イオン流からワープして退避したダゴン旗艦。これを追って直ちにワープしたヤマト。だが、その先は白鳥座名物のブラックホールだった。 

 ダゴンはヤマトがワープアウトしたのと同時に牽引ビームを発射、これによってブラックホールへと叩き込もうと試みた。ダゴン最後の作戦である。

 

 ダゴン艦が放った牽引ビームは見事ヤマトに着弾。さらにブラックホールを前にダゴン艦は分裂し、両サイドからヤマトを引っ張り上げる。

 一方でヤマトは波動エンジンを全速回転させ、波動砲口をエンジン噴射口代わりにして逆噴射を行う。しかし、これでも振り切れない。また、ショックカノンやパルスレーザーもブラックホールの重力に捉えられてダゴン艦に当てられない。そこで真田さんは、ブラックホールに吸い込まれる途中の小惑星めがけて波動砲の発射を提案、これによって牽引ビームを振り切ろうとした。

 この計画は見事的中、ダゴン艦は爆発の衝撃派にもまれて互いに衝突し牽引ビームを保持できなかった。そしてそのままダゴン艦はブラックホールの中へとぐるぐる回りながら消えていった。

 

 

 描写の妥当性

 ひとつ前の戦闘がダゴンの壊滅的な無能を晒したため、サシの勝負なのに盛り上がりに欠ける。多分、どうせ碌な事にならんだろうと

 

 それはそれとして――ブラックホールの超重力を振り切れるダゴン艦の推進力の強さは驚くほど。加えてあの牽引ビームがブラックホールの影響を受けず、ヤマトの推進力でも振り切れないのは驚異的。牽引ビームは下手な武器より強い逆に言えば、ヤマト2のちくわ惑星で見たあの電磁拘束も同等より幾らか劣るぐらいの強度という事だから、あれも結構驚異的だった――ガミラスの科学力やべぇな。

 ガトランティス戦役においてちくわで一度、似たような状況での戦闘を経験しているためヤマトクルーは逆に対処しやすかったかもしれないゆえに、波動砲の反動を利用して脱出する等のはヤマトクルーなら気が付いた事だし、確実にガルマン系のダゴンは知らなくて当然。あの流れになるのは妥当だろう。

 ダゴン艦が2隻互いに衝突したのはアメリカンクラッカー的でご都合主義に見えなくもないし、アメリカンクラッカー的が故ある意味合理的な描写ともいえなくもない。

 

 正直、ダゴンざまぁ以外に言葉がない

 

 

 意義

 ヤマト側は――昔の手法もやりようによっては今も通じるという事が判った。つまるところ、温故知新。

 ガルマン・ガミラス側は――ダゴンが死によった。お荷物が消えよった、これで戦闘が順調に進む。以上

 

 ガルマン・ガミラス帝国側損害:戦闘指揮艦1対
 地球側損害:特になし