旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ガルマン・ガミラス兵器群 中型戦闘艦――ガルマン・ガミラスの主力戦艦――

 

 

 中型戦闘艦はガルマン・ガミラスの中核を担う攻撃型の戦闘艦である。多数の火力と多数の僚艦を以て敵と対峙するさほど大きくない艦であり、シリーズ中を通して登場し果敢に戦った。

 

 

 ――データ――

 艦級名:不明
 全長:252メートル
 武装:艦上部艦首側3連装砲身付き砲塔2基、同上部艦尾1基、艦首連装砲前部回転速射砲塔1基、艦最前部連装固定砲1基

 

 ガミラスグリーンよりも深い、モスグリーンな塗装だが、艦首の最先端と艦橋最上部前半がオレンジ色に塗られている。また、エンジンノズルも黒く塗られている。艦の前半部と後半部では形状が異なり、艦首側艦底部はガトランティスの大戦艦に近い。しかし、後半部は前半部との接合部艦底部に艦首を向いたくぼみが一つ、その中から角が出ている。ぱっと見はメダルーザの火炎直撃砲口に近い。


 艦橋は分厚い板が3枚重なったような見た目ではあるが、ガトランティス駆逐艦に近い形状となっている。フィンは艦首上面に1、艦尾底部に1、艦橋最上部後方両端から2本。艦首の黄色く縁どられた開口部はシュルツ艦のそれと同様、用途不明。

 ちょっとした商業ビルの吹き抜け並みの階高を持つ艦橋。艦長席は人の背丈より高い位置に据えられ、背後に専用のランウェイがある。幅は成人男性3人ほどが横並びであるける程度。このランウェイ側面にも、艦橋全体の側面にも司令部要員が詰めており、それぞれ椅子に座ってモニターを見る。ざっくり、体育館ほどの面積があろう。


 困ったことに、第2話であるとか第6話でそれぞれ艦橋の描写が異なり、第6話では物凄く大きい司令官用のテーブルとジャストサイズのイス一脚が艦橋後方に一段高まって配置。前方にはオペレーターがが複数人座ってモニターを操作、その前方には窓がありこれは三角形。階高も大して高くなく、普通の会議室の1.5倍もあればいい方。意外とこじんまりしたものになっている。

 もしかすると第二艦橋とかそういうところか。

 結構画面に登場し活躍したのだが――個別の艦名や艦級名が劇中で与えられることはついぞなかった。一方海外では戦艦扱いでBattleship〈Conqueror II〉と呼ばれている。ちなみに最初の〈Conqueror〉はシュルツ艦の事を指す。

 

 

 火力・装甲
 ボラー相手では、実はB-と言って構わないだろう。バース星艦隊相手にむしろ圧倒されている感があり、タイプA戦艦相手には一発で撃破できたもののタイプB相手では敵の装甲をあまり打ち破れず。しかも、味方は一発か2発程度喰らっただけで爆散してしまった。
 無論、ガルマン・ガミラス艦艇の中では、攻守バランスの取れた戦闘艦だが……相手が意外と堅い上に火力の高いボラー相手だと、どうにも苦戦してしまう


 装甲の最も派手な醜態は第24話のシャルバート星上空。ここでボラーの戦闘機部隊の機銃掃射を受けて大型戦闘艦共々爆散という惨事を見せた。さすがにコスモタイガーの銃撃で爆散はしなかったが、しかし炎上はした。この点、ボラーより派手に燃えていた。ダメージコントロール力はかつてのガミラス艦より圧倒的に向上しているのだろうが、それでもボラーほどではない模様
 火力は当然、回転砲塔のそれとは異なり砲身付きの3連装砲塔がある故、射程はどうも長めらしい。これは高評価。また無力ではない様で、ちゃんとボラー戦艦の装甲を撃ち抜いた。何なら大型戦闘艦より戦艦らしい火力を有していると言えるかもしれない。しかし、この火力は決して敵を圧倒できるだけの能力を担保できなかった事は考えなければならないだろう。

 


 他にも懸念として、ミサイル兵装があるのかないのか――どうもなさそう。だとすると、敵の迎撃も敵への攻撃の手数の内、非常に大きな手段を一つ失っていると言えるだろう。この艦にミサイル兵装があれば、より汎用的な戦闘艦になったのではないだろうか。
 多分だが、高圧直撃砲はない。が第11番惑星域における戦闘では、発射準備は中型戦闘艦においては行われなかったことは間違いない。この場合、ベースの火力は高いが、必殺兵器が無い分……いざという時の能力は駆逐艦より格落ち……

 

 

 この中型戦闘艦は、確かに火力は高いのかもしれない。が、あまり信頼性がない能力。また、駆逐艦と同数混合の艦隊を運用する必要性はない。駆逐艦とは分離し、単独で艦隊編成。あるいは対艦戦闘能力の低いデスラー砲艦の護衛が妥当だろう。武装から推測するに、ちょっと癖のある運用。

 ガルマン・ガミラス艦の中ではオールマイティーさを目指したまさに中核艦といった雰囲気であるが――あんまり役に立っている様子がない。残念ながら大型戦闘艦よりかはマシといった程度。

 ただし――ダゴンが勢いだけの指揮官だったという事であれば、これらのネガティブな評価は一変する。アイツがゴミみたいな指揮官で、能力不足でただ単に物量で押し切っただけという事。だから、名将ラム艦長相手に競り負けた。

 そうであれば、劇中で中型戦闘艦はほとんどその真価を発揮した事はないという事になる例外はグスタフ中将で、彼はハーキンス艦隊の圧倒的物量にひっくり返された者の――概ね能力を最大に近い形で発揮させた。劇中では全然映ってなかったけどね。

 

 つまり、射角を上下左右に大きくとれる中型戦闘艦は、ボラー艦隊の側面へ高速移動できれば固定砲が中心のボラー艦隊相手に圧倒的優位に立てる射程も幾らか長めであろうことが第23話にて判る為、決してボラー艦隊に一方的にやられるわけでは無い

 ボラー艦隊に対して正面かつ近距離で戦えば、この中型戦闘艦は負ける。何なら勝ち目がないレベルである。しかし、側面攻勢をかけたり中距離砲戦に集中したりする場面おいては明らかにボラー艦隊に勝る火力を提供できる

 いわば、勝てないパターンがはっきりしている戦闘艦。であるならば、それに応じた運用をすればいい。

 その勝てないパターンに追い込まれ得る編成や戦場への投入を控え、早期に戦闘のイニシアチブを握って勝てるパターンに相手を引きずり込む。

 これがベストな中型戦闘艦の戦い方だろう。

 

 

 

 運用・立ち位置
 中距離ないし長距離砲戦を行う汎用的戦闘艦としての運用なのだろう。大量に建造されている点も考えれば、帝国の中核戦力としての位置づけ。大艦隊においては最前線に立つ砲戦源、小艦隊においては中核の砲戦源という配備方針の切り替えを行う。

 

 

 どうも大型戦闘艦は図体がデカいだけで打撃力があまりなく、その兵装からして戦闘艦としての立場が疑問。この点を大きくとらえれば、

 中型戦闘艦こそが対艦戦闘において戦艦に近い立ち位置を任されていると予想できる駆逐艦と同等に量産されている点も、帝国の広い範囲で運用される、運用すべき艦であるという点がピックアップできる。故に、戦闘の中核として運用されていると説明が可能。

 これは、日本や日本の傾向を引き継いだ装甲巡洋艦。あるいは大火力の先鞭をつけたアメリカや続いた日本、イタリアの重巡洋艦に比定出来る。

 これらに共通する点は準主力艦=準戦艦という事。割合に大量建造できるという点も、中型戦闘艦を装甲巡洋艦重巡洋艦に比定出来る要因になるだろう。

 

 大型戦闘艦と比べれば圧倒的に火力が高く、決戦兵器を除けば駆逐艦より強力。砲の射程がボラー戦艦と同等程度に長い為有用性は高い。戦隊旗艦としての任務は十分果たせるだろう。別の戦闘艦の援護も十分できる。これらの統率・嚮導的任務の他に、そのバランスの取れた火力を以て多数の同艦と共に砲戦艦隊を編成すれば、戦艦による砲戦艦隊と同等の火力・信頼度を置けるのではないだろうか。

 他に頼れる艦がない為、ほぼ確実にこの中型戦闘艦がガルマン・ガミラスの中核的戦闘艦となるだろう。


 一方で、局所的には大活躍を期待できるデスラー砲艦や大型戦闘艦に比べて特化した能力がない――つまり何でも出来過ぎて、反対にどの場面で活躍できるのかが不明瞭。差別化がしづらい。絶対に使えない場面が限定できず、同時に絶対に投入したい場面も限定できない。これは運用の最適解がないという事だ。先に述べたように、避けるべき場面しか判明していないのはちょっと運用するのに面倒。

 この中型戦闘艦はガルマン・ガミラス艦の中では極めて優秀。ただし、汎用ゆえに馬鹿でも簡単に使えるが、最大の能力を引き出すには運用者の頭が試される艦。と表現できるだろう。

 


 立ち位置としては、デストロイヤー艦の後継となる戦闘艦。これが最もおさまりのいい説明になるだろう。過不足なく何でもこなせる戦闘艦

 デストロイヤー艦も他の戦闘艦に比べれば大火力かつ重装甲であり、圧倒的多数で敵を圧倒する電撃戦を担っていた。この艦の後継として、中型戦闘艦は十分な能力を有していると言えるだろう。

 戦艦に近い火力と射程、中々沈まない防護力。大量建造されていることから推測するに、割と量産しやすい構造や価格、様々な場面で使える汎用性

 まさに、デストロイヤー艦の再来。だから、別にブレているわけでは無いのだが――デストロイヤー艦と同じように、一見すると運用方針が意外とブレた感じになる。

 

 

 

 全長の調整
 これ、描写的には割と妥当な設定値なのである。元から250メートルと大型で、艦橋も割と大型で、内部は割と常識的な大きさ。更に、第23話や第24話などシーンで中型戦闘艦は大型戦闘艦の半分弱程度と描写されていた。

 つまるところ、どの設定でも概ね250メートル近辺に収まる。これは、ヤマト世界にしてはかなり珍しい、バチっとはまった設定値と言えるある。意味、ガミラス時代からの伝統
 ヤマトの再設定値とヴィジュアルを揃えるならば、550メートル程度を見込めば十分だろう。

 

 

 劇中の活躍
 ヤマトⅢ第1話から登場、複数隻が登場しダゴン率いる第18機甲師団艦隊を構成した。中でも一隻はダゴン将軍の旗艦として運用されていた。第2話以降も度々登場したが、第9話バーナード星第1惑星のガルマン・ガミラス軍前線基地の指揮に使われ、同基地壊滅の際に脱出に用いられた以降は旗艦としての登場はなかった。
 再登場は第22話の中盤、グスタフ中将率いる北部方面艦隊を構成する戦闘艦として3隻ほどが登場。続く第23話で旗艦や大型戦闘艦と共に10隻登場し、ハーキンス艦隊と猛烈な砲撃戦を繰り広げ、最後はヤマト死守するため体当たり突入して全滅した。

 ちなみに、北部方面艦隊の中型戦闘艦は艦底部の黄色い突起描写が度々省かれている。アニメーターさんが駆逐艦のつもりで描いたのかもしれないが不明。

 第24話では、デスラー親衛艦隊を構成する戦闘艦としてシャルバート上空に展開するも、ボラー連邦の奇襲に遭い大損害を負った。
 再々登場はラストエピソードたる第25話。新型デスラー艦に率いられ堂々太陽圏に突入。デスラー砲艦と共に約100隻からなる親衛艦隊を構成しボラー連邦艦隊を撃滅した。だが、機動要塞の反撃を喰らい、ブラックホール砲によってほとんど全滅した。

 

 

ガルマン・ガミラス兵器群 大型戦闘艦――大型護衛艦――

 

 

 大型戦闘艦は非常に目立つ見た目で、図体もかなり大きく、旗艦級戦艦の隣には必ず存在する大型の戦闘艦艇である。しかしながら、全くのいいとこなしで終わってしまった戦闘艦でもある。

 今回はこの艦を考察したいと思う。

 

 

 ――データ――

 艦級名:不明
 全長:492メートル
 武装:ブーメランカッターミサイル艦首2発、艦首旋回砲塔(輪胴砲塔)1基、同砲艦央部1基、同砲艦橋前部直列2基、同砲舷側デッキ片舷1基、艦央部連装固定砲1基、艦橋基部長砲身砲2門(推定)
 
 全体としてガミラスグリーンの塗装だが、艦首のブーメランミサイルは黄色い。上面図はインカ帝国が用いた斧型青銅貨。中心となる細長い艦体、艦尾周辺は横に迫り出したプラットホーム状のインテークとなり、その底部にフィンが1本ずつ。艦橋とその後方に一本ずつフィンが設けられている。艦首の形状は中型戦闘艦と同様、どこかガトランティスの大戦艦に近い。艦央部底部にもインテークが設けられている。
 艦橋形状は他の大型戦闘艦と類似しており、具体的には戦闘空母と同形式。物凄く背が高いはずだが、艦橋部分がコンパクトにまとめられているため背が低く忌める。色合いも艦橋前半がオレンジという部分が戦闘空母と同じ。

 劇中では特に何も呼ばれもしなかったが海外ではBattleship〈Galmus〉と呼ばれているらしい。ちゃんと戦艦扱いしてもらっている模様。

 

 

 武装
 輪胴砲塔ないし回転砲塔と呼ばれるガトランティスの通常兵器を装備していることが特徴。艦体が大型である為、かつての大戦艦と最低でも同等の火力のある砲塔であろうことは想像に難くない。砲門数は12程で、大戦艦のそれより多少、火力が高いか。どうせ、相も変わらず2門程度しか同時射撃できないため、砲門数の多さは必ずしも火力向上には寄与しないが。

 

 艦首方向への火力は砲塔5基(困ったことに、固定連装砲の背後の砲塔は、連装砲に邪魔されて艦首方向には攻撃不可)+固定砲2門である為、12門が想定可能。舷側方向へは5基10門が想定可能。後方へはこれはキツイことにプラットホーム上の2基4門しか指向できないため、火力は非常に低い。なんでか駆逐艦と同様の艦橋砲が2門ついており一応火力向上に寄与しているようだが、ガルマン・ガミラスは火力不足を感じるとこの艦橋砲を付けたがる傾向にあるらしい。艦首方向への攻撃が基本だから無駄ではないとは思うが、固定砲台ゆえ効果的とは断じて言えない。あったところで焼け石に水というか霧吹き……。

 これらの砲が有する射程は不明だが、ヤマトとボラー艦隊の間に突入したという事もあるが、場合によってはボラー砲より射程が短い可能性も十分ある。結構不安材料……


 固定の連装砲は――見た目がデストロイヤー艦に近いもので、ぱっと見デストロイヤー艦が艦央部に埋め込まれているような状態。明らかに大型火砲であり、射程が長いか或いは火力が高いかのどちらかだろう。大型戦闘艦とデストロイヤー艦との全長の比較からして、かつての目玉砲と同等の物か。

 でも固定らしいので、2門の艦橋砲と同じくいざという時に使えない事の方が多いだろう。実際、スカラゲック海峡星団戦では使えなかった。


 ミサイル兵装がどうやらない、という点について――これはかなりヤバい。

 艦載機や敵小型艦艇に対する攻撃は回転砲塔の速射性をもってすれば十分対処可能だし、あの回転砲塔は平気で高い仰俯角を確保出来る為、迎撃には何の問題もない。しかし、遠距離及び中距離に使える武装が、固定連装砲のみというのがかなり問題で、脆弱もいいとこ。近接戦闘に対してはどこの180度前方に対しては10門がベースで使える為、安心が出来るが――できれば近接戦闘になるまえに何とかしたい。が、この戦闘艦については特にないのだ。

 

 

 ブーメランカッターミサイル
 ――ありました、ミサイルは艦首に一発ありました私、一つ前の章で嘘言いましたね

 デスバテーターみたいな形状のミサイル、それがブーメランカッターミサイルである。艦全長の1/5の全長と艦幅の半分の幅の巨大ミサイルだ。ただ、劇中の使用は全くない為、どんなものなのかは不明。

 ブーメランであるからには、戻ってくるのか、楕円軌道を描いて進んでいくのか。明らかに縁が鋭い為、カッターっぽいというのは間違いない。が、これ――ある意味があるのか不明。もしかしたら質量兵器の一種かも。
 他にミサイルがないのかと言えば、もしかすると、インテークの付け根部分に片舷1門が可能性としてあるかもしれない。

 

 図体の大きさに比べ、武装が貧弱。しかも傾向として近接戦闘の砲撃タイプと、かなり癖の強い兵装だ。これは……ちょっと使い勝手悪くないですかね? かつてのクルーザー艦みたいな、何とも表現しがたい立ち位置である。

 

 

 運用
 運用の仕方など、わからん


 装甲は紙に近い装甲。ボラー戦艦の砲撃に耐えられなかったのはある意味仕方がないが、ボラーの戦闘機隊の銃撃にすら耐えられなかった。これは紙装甲だろう。絶対にショックカノンクラスが相手ではひとたまりもない
 次いで、砲撃がほとんどすべて回転砲塔に頼っているため、ベースは近接戦闘だろう。いくら大型でも、ガトランティス戦役時のヤマトの主砲より短い射程という危険がある。である場合、他の長距離砲撃が可能な戦闘艦と組み合わせなければこちらが一方的にやられてしまう可能性が高い。


 防空戦闘艦であるとするならば、ミサイルなりの兵装が足りな過ぎて砲撃に頼る近接戦闘はかなり危険。万が一の場合に対処できない。まあ、回転砲塔の優秀さでカバーできなくもないが
 対艦砲撃用の戦闘艦であれば、砲身付きの砲塔を運用している実績のあるこの帝国がなぜ、それを用いなかったのか。速射性を求めたゆえに回転砲塔であるというのは分かるが、だとしたら物凄く危険なブーメランカッターミサイルを艦首に据えてしまえば――どうぞ撃ってくださいとばかりに非常に危険でやべぇ。前線に出せない。質量兵器であれば、別かもしれないが


 武装の種類がほぼ砲撃に限られ、速射性は高いが遠距離砲撃が期待できない期待できないとすれば、一体どんな場面に出動させるべきか。

 最も適切なのは旗艦の護衛任務であろう。あるいは、艦隊全体の防空。どちらかと言えば、守勢の戦闘艦が妥当だろう。つまるところ前線に立つ艦ではなく、いざという時にのみ前に立って艦隊や旗艦を守るという任務か。だとすると、デスラー砲艦の非親衛艦隊用ないし同一コンセプトの汎用化艦という事になろう。

 別作品だと、銀英伝のアニメに盾艦という大変分かりやすい立ち位置の艦が登場するらしいが、この大型戦闘艦はアレに近いかも。

 

 見た目が堂々としているため威圧目的ないしプロパガンダ目的には有効に使えると思う。実戦で役に立ちそうもないのが悲しいが……。

 

 

 全長の推測
 ヤマト世界では珍しい事だが、どうやら設定の方が全長が大きい数値らしい。


 第23話のスカラゲック海峡星団域での戦闘では、グスタフ中将率いる北部方面艦隊がボラー連邦艦隊へと突入を敢行。その際にこの大型戦闘艦も戦艦タイプAやデストロイヤー艦に対して自爆特攻を試みた。その際の、全長の比較は――どうやら一回り大きい程度の全長であろう描写があった。

 それではこの大型戦闘艦はあって200メートル程度という事になってしまう。設定が木っ端みじんだ……。ボラー連邦の戦闘艦が本当は倍の全長であるとすれば、戦艦タイプAは350メートル程度であるから、それでも設定より大分小型になってしまうが、大型戦闘艦の全長が400メートル台に乗る為、多少は整合性が取れる。
 仮にタイプAの全長が230メートル程度であろうという推測が少なくともバース星守備艦隊の例を見た場合――だから大型戦闘艦はヤマトと同等程度の全長というのが、描写としては妥当なラインか。描写から推測すると、260メートルという事になる。つまるところ、再設定値は580メートル。

 

 問題なのは第24話を前提とした場合。この場合、新型デスラー艦が大型戦闘艦より1.5倍程度大きい。つまり、新型デスラー艦が700メートルであった場合は原作設定値のまま、再設定を行っても900メートル程度が妥当なラインですむが――新型デスラー艦が1.3キロであった場合は860メートルが妥当なラインとなるし、再設定値は1720メートルとなる。
 別に再設定値1.7キロであっても構わないのだがあんまり大きすぎるとせっかくガルマン・ガミラス艦艇の中の大きさの比率はちょうどいい範疇に収まっているため、連鎖的に崩れてしまうから余計な設定変更はしたくない。

 

 

 劇中の活躍
 初登場は第16話の建国記念セレモニーでデスラーパレス上空を飛行してみせた。第21話にて北部方面艦隊を構成する主力艦として登場。

 第22、23話にも登場し、ヤマト死守の為にボラー連邦第8打撃艦隊と交戦、果敢に砲撃を行ったが多勢に無勢。最期は全艦がハーキンス艦隊へ体当たり突入、全滅した。
 再登場は24話で、デスラー親衛艦隊を構成する戦闘艦としてシャルバート上空に展開するも、ボラー連邦の奇襲に遭い大損害を負った。

 

 

ガルマン・ガミラス兵器群 デスラー砲艦――汎用デスラー砲キャリア艦――

 

 

 デスラー砲艦は主に最終話に活躍した戦闘艦であり、それまでガミラス艦隊総旗艦のデスラー艦にのみ許されたデスラー砲を汎用化したそのキャリア艦である。やられメカの傾向が強いが――今回はこの艦を考察したいと思う。

 


 ――データ――

 艦名等:不明
 全長:234メートル
 全幅:不明
武装デスラー砲1門、回転速射砲塔艦首2基、後部1基、舷側デッキ片舷1基

 

 形状は小型な大型戦闘艦というのが最も近い。艦橋が若干形状が変更されているが、ベースラインは変わらず。フィンは大型のものが艦橋の後方に、小さいフィンが艦首の上面に設置されてある。左右に張り出したプラットホーム的インテークが大幅に規模を縮小され、プラットホーム上部にインテークが移動された点が大型戦闘艦とは異なる点ではあるが、ざっくりした形状は先に述べた通り、大型戦闘艦と同様。

 ちなみに海外ではBattleship〈Galmania〉と呼ばれる。Gunboatではないらしい。

 

 

 幅の推定・全長の調整
 本来はメカコレでも使えばいいのだろうが、残念ながら私は製作していないため測ることが出来ない。そのため、劇中の描写から推測すると、幅はざっくり50メートルか60メートル弱程度であろうと予想する。


 考えてみるにちょっと原作設定値が大きい気がする……。確かに、新型デスラー艦が1.3キロであれば、第25話での描写から鑑みて新型デスラー艦の1/4程度の範囲内に収まる様に見える。つまり、大きく見積もっても280メートルは超えない。が、700メートルが設定値として設けられている場合、こちらが妥当であった場合は180メートルとかその範囲内という事になる。大幅に相違が出てしまうのだ。そして、デスラー艦の具合からして、後者の方が数値として妥当。
 仮に、全長を再設定する場合、ヤマトとの比較において、2倍程度(この艦の性質からしてさほど大型化する必要性はない)がせいぜいであろうから、最大で500メートル程度が再設定の妥当な値と言える。しかし、700メートルが前提となると350メートルが妥当となる。ややこしい……


 
 武装・運用
 汎用決戦兵器となったデスラー砲を主兵装――正確には主砲とし、自衛用の回転砲塔を擁する、完全なるデスラー砲キャリアだ。ガトランティスの技術を明らかにもらい受けたあの回転砲塔の速射性はガトランティス戦役で見た通りであり、十分艦載機やミサイル兵装の迎撃に有用。

 敵艦隊との直接砲戦において主砲同士の攻撃であれば、この艦は全く役に立たない。近接戦闘でも全く役に立たない。敵艦載機に対する防衛能力は十分であろうが、敵艦とのタイマンでの戦闘は木っ端みじんなほどに弱い。

 しかし、この艦の真価はそこではない。


 艦首に堂々と据えられたデスラー砲、これこそがこの艦の中枢であり存在意義であるデスラー砲は波動砲と同等の射程を誇り、威力も同等か若干低い程度。艦載砲としては破格の威力を持つことは間違いない。

 つまり、デスラー砲艦は親衛艦隊の構成艦として敵の接近に際し大火力で敵を殲滅。或いは、味方艦隊の後方にあって、前衛が退避なりを緊急的に行い間髪入れずに砲撃を行う事によって敵を殲滅するという奇襲的攻撃が可能。単艦ではあまり効果も能力も高くはないが、多数をまとめて運用することで地球艦隊並みの大火力艦隊の編成が可能。この強力な砲戦艦隊に対しては、多少なりとも別個に護衛艦=実際に編入された中型戦闘艦を割く意味はあるだろう。費用対効果は十分。

 また、艦隊の総合力としては、最悪一隻減った程度では大して減少はしない。これは魅力だ。何せデスラー砲キャリアであり、砲戦やミサイルや航空戦力の供給は行えないのだから、他の砲艦が有機的に運用されさえすれば火力維持は問題ない。

 

 裸で出せば単なる的でしかないが、しかしごり押しの強い電撃戦ガミラスにおいては、非常に使い勝手の良い戦闘艦に仕上がっていると言えるだろう。

 

 運用面の実際に関しては少々残念

 デスラー親衛艦隊という極めて限定的な運用が行われる艦隊に集中運用、これでは総統の威厳は増すだろうが有機的な運用に疑問符が付く。集中運用における戦術はそれこそ、地球艦隊と同様が見込まれる。実際、地球艦隊と同様に敵の体制が整う前にデスラー砲をぶっ放した。

 集中運用は正しいし、中型戦闘艦と組ませて喪失の危険を低減をした艦隊編成は理に適っている。総統ならば、割と平気にガンガン個の艦隊を運用してくれる可能性もあるが、そうでなかった場合はせっかくの巨大火力も宝の持ち腐れになってしまう。仮に、銀河系大戦初期にデスラー砲艦が完成していたならば、それでいい加減まで投入しなかったとすれば……これは悪い傾向が出たと言わざるを得ない。

 もう少し、運用面は総統が思い切った施策をする必要が有るだろう。

 

 

 推力
 これは意外に弱いと思われる。大型の戦闘艦であるが、ヤマトやデスラー艦とは異なり、ブラックホール砲の餌食になってしまった。

 デスラー砲が仮に、波動砲とは微妙に異なる性質・プロセスの砲であり、仮に威力の増幅が難しいとあれば――そうであった場合、増幅装置は地球艦隊のそれよりも大規模であるとか数を多く配さなければならないだろう。

 インテークが小さく、増幅装置に頼らざるを得ず、その能力増幅策が砲撃にパラダイムを振っていた場合、これは推力には寄与しない。デスラー砲の威力を上げることを目的としたキャリア艦であるという前提の下であれば、推力が不安であっても仕方がない面もあるかもしれないが、これが仇になってブラックホール砲の餌食になってしまった

 

 

 劇中の活躍
 初登場は実は第16話の建国記念パレード。ただ、全く触れられずにフェードアウト。再登場はなんと第25話で、ひとつ前の話には全く姿がなかった。


 ボラー連邦がヤマトを追跡して大艦隊を太陽前面域に投入、ハイドロコスモジェン砲の発射を妨害し始めた。挙句にベムラーゼはブラックホール砲をぶっぱなし、その中にヤマトを叩き込もうとしたのである。

 その大ピンチの時、デスラー総統は約100隻からなる親衛艦隊を以て戦闘宙域へと突入、デスラー砲艦はその中の主力艦として姿を見せた。艦隊は展開すると同時に驚愕のセリフ「全艦デスラー砲発射。目標、ボラー連邦艦隊」との命令の元、全艦がデスラー砲をぶっぱなしたちまちボラー連邦艦隊を撃滅。

 更なる攻撃でベムラーゼ首相旗艦機動要塞へと砲撃を集中したが、その護衛艦隊を殲滅したものの要塞には打撃を与えられず。残念ながら、機動要塞の反撃を喰らい、ブラックホール砲の餌食となってほとんど全滅した。

 

ガルマン・ガミラス兵器群 新型デスラー艦――総統の新決戦兵器――

 

 新型デスラー艦(3代目デスラー艦)はガルマン・ガミラス帝国軍艦隊の中で最大の戦闘艦であり、栄えある総統座乗艦、つまりガルマン・ガミラス艦隊総旗艦である。

 


 ――データ――

 艦名等:不明(通称・新型デスラー
 全長:702メートル(ないし1,350メートル)
 
主機関:波動エンジン1基、エンジンノズル2基
 兵装:ハイパーデスラー砲1門、瞬間物質移送器1組、大口径回転速射砲塔舷側デッキ片舷2基、同砲塔艦橋前方3基、艦底部超大型ミサイル2基

 

 形状としては、大型戦闘艦に近い。だが、インテーク付きの両舷プラットホームの後方に更に同型縮小型のインテークが上に乗っかり、更に上部に大型フィンが生えるている。このプラットホーム後方左右には、2代目デスラー艦と同様の瞬間物質移送器らしい構造物が付属。このプラットホームと艦体接続ぶに回転砲塔2基、プラットホーム底部に惑星破壊ミサイル1基を懸架装備。プラットホーム後部にはノズルコーン付きエンジンノズルついている。第一回転砲塔と同じ位置の艦底部にもインテークがあり、ハイパーデスラー砲の砲口と第一回転砲塔の大体中間あたりの艦底部にもフィンが伸びる。
 艦の胴体部も大型戦闘艦と同様だが、更に前方、艦首に扁平なハイパーデスラー砲の砲口が設けられている。艦央部上部にもインテークが設けられ、後方に縦直列で3基の回転砲塔が配置。

 

 艦橋の形状は割と独特で、地球戦艦ビスマルクの艦橋の上に更に大型戦闘艦の艦橋が乗っかっているような形状。艦橋後部から生えるフィンは3つ。
 艦橋内部は中央から入り口までが幅4メートルほど、8メートル強のランウェイになっている。艦橋内部にはほとんどあの円筒モニターは設置されておらず、割とすっきりした内観。艦橋の幅は恐らく、12メートル強だろう。物凄い事に、四角い3枚大窓と、台形の大モニターが艦橋前部に据えられている。ランウェイより一段下がったところに艦橋内部前方を一周できる通路、大型の羅針儀らしい円筒モニター。これより一段下がってM型に近い床面がある。ここには多数のモニターがある為、戦闘時にはオペレーターが張り付くのだろう。全くオペレーターの描写はない故、不明。

 

 ちなみに――劇中では特に呼称されることはなかったが、海外では指揮巡洋艦(Command Cruiser)と分類され〈Desslar〉と艦名を付けられている。分類に疑問がある一方、最後の総統旗艦であるから艦名がデスラーというのも、中々に趣ある感じのネーミングといえよう。

 

 

 

 全長の比定
 第24話、大型戦闘艦と共に親衛艦隊を構成していた際のシーン。ここで、おおむね大型戦闘艦の1.5倍程度より少し小さい程度だった。つまるところ、800メートル弱程度。仮に設定が700メートルであった場合――100メートル違うと差は大きいが、それでも大して全く話にならないほどの差とは言えない。よって、780メートルが妥当なライン。1.3キロは正直大きすぎる。
 第25話の後半シーン、ヤマトと比較した際の描写では恐らくヤマトの3倍はくだらない。780から800メートル程度である為、やはりこのラインが妥当だろう。
 仮に再設定を行うならば、ヤマトの再設定値の大体3倍である1740メートルが妥当なラインとなる。

 

 

 武装
 艦首方向へ7基14門を指向可能。舷側方向へは10門と微妙に減少し、後方へは指向不可能。艦の全長と比べて見ても、他の艦の回転砲塔より大型という事はない模様で、それを考えると取り立てて火力が高いとは思えない。対艦戦闘だと、能力としては極めて限定的にならざるを得ない。その代わり、7基の回転砲塔を擁するため、敵艦載機の攻撃に対しては十分優位に防空戦を展開できる。自衛火器としては十分な装備といえるだろう。

 いつ、ガトランティスから回転砲塔の技術……もらったんでしょうね? 総統。


 注目すべきは何といっても決戦兵器・艦首ハイパーデスラー
 これはアナウンスでは戦艦3、空母8の艦隊――実際には戦艦8がゴルサコフ艦の右舷側に展開していた。左舷側にも同数、さらにアナウンス通りの数を加えた場合の隻数は24隻。どう考えてももっと多いだろうが、描写にはない為不明。

 ただ、これらすべてを一発で一掃したのだから数など関係ないだろう。関係ないと言えるほどの威力を持つのがハイパーデスラー砲である。

 

 厳密な威力の如何は不明だが、のちにベムラーゼ首相旗艦機動要塞を機能不全に陥ったのちとはいえ葬った。その際と先のゴルサコフ艦隊を葬った際の描写と考え合わせると――数十キロ単位は確実かつ容易に効果範囲が及ぶ。恐らくはヤマトの波動砲よりも威力は高いとみて不思議はないだろう。拡散波動砲に近い効果範囲ではないだろうか。加えて、カウント無しの急速充填が可能らしいのが非常に強力。奇襲的な砲撃が可能――敵には回したくない……。

 この圧倒的な威力増強は常識的な理由付けとして、新たなる旅立ちのゴルバ戦があげられるだろう。あの時ゴルバを葬れれば、ガミラス星もスターシャも消滅せずに済んだのだ。事実上の敗戦。その理由はデスラー砲の威力不足だった。艦隊戦用であれば、あれでも十分だったが――対要塞戦では歯が立たなかったのだ。その反省をもって、デスラー砲の威力を大幅に増強した。不自然さなど全くない説明ではないだろうか。


 ハイパーデスラー砲だけでも十分な武装だが、惑星破壊ミサイル2発を上乗せして装備している点を考えると、少なくとも大型の小惑星はこの一隻だけで葬れる。正確に言えばただの大型ミサイルだが、大きさから考えて小型弾頭の惑星破壊ミサイル。

 人類が居住可能な惑星に対しても、惑星破壊ミサイルでその半分ぐらいを吹き飛ばすことは可能だろうし、ハイパーデスラー砲で残った部分についても大損害を与え、事実上惑星を十分に崩壊させられる。

 

 

 運用・立ち位置
 武装傾向として――デスラー砲艦も同様だが、恐らくこの艦はハイパーデスラー砲キャリア艦といって差し支えないはず。この想定ならば、ハイパーデスラー砲以外は対艦戦闘には疑問符のつく自衛的兵装に限っているという点も筋が通る。更に、丸出しで抱える惑星破壊ミサイル2発――艦隊の最前線に位置して敵に突っ込んでいくよりも、後方に位置していた方が味方としても安心材料だろう。


 運用の戦闘面は――とにかく決戦兵器を抱えて戦場に到達し、艦隊が優勢な場合は後方に位置して戦闘指揮を行い、艦隊が劣勢な場合は戦況を一挙に変化させる重大な一手をぶっ放す。それなりの自衛火器を擁し、多少の護衛艦艇と共に行動すればその安全性はかなり高まる事は確実。能力としてはこれで十分だろう。
 戦闘以外に関する運用は当然、移動総統府だろう。必ずしも大きいとは言えない艦体ではあるが利用不可というほどの手狭ではないだろう。内部にミサイル類を擁している描写も、そのような外観上の特質もない。大型の決戦兵器をグロデーズのように艦内格納しているわけでもない様で、そうであるならば十分指揮通信能力は見込まれる。
 


 劇中の活躍
 第24話、ヤマトを追ってシャルバート星宙域への親征の際に出撃。シャルバート上空で待機中にゴルサコフ艦隊の奇襲を受ける。イラっと来た総統は艦首を90度反転させ、「ボラー連邦にガルマン・ガミラスの真の力を見せてやる」とすかさずハイパーデスラー砲発射準備に掛った。カウントは特になく、発射しゴルサコフ艦隊を丸ごと光芒の中にとろかしてしまう。

 続く第25話、ヤマト救援のために太陽系に突入。デスラー砲艦隊がデスラー砲の一斉射撃を以てボラー艦隊を粉砕する中、艦隊旗艦として最前線に位置。首相旗艦機動要塞の放つブラックホール砲の連射に、その巨体に搭載した機関で振り切り攻撃のチャンスを狙う。ヤマトとの共闘の中でベムラーゼ首相旗艦機動要塞が機能不全に陥ったタイミングでハイパーデスラー砲を発射。これにより長年の宿敵を葬り、かつヤマトの太陽制御の障壁を取り払った。

 

 ヤマトの太陽制御成功を見届けた後、まるで新たなる旅立ちのラストシーンをなぞる様に新型デスラー艦は太陽系から去っていった。

 

 

 

銀河系大戦(ヤマトⅢ)参加部隊 ボラー連邦②――本国艦隊――

 

 

 ボラー連邦は天の川銀河の一翼に広がる巨大星間国家である。極めて多数の戦闘艦艇を有し、これを集中的に運用することで個々の弱点を物量でカバーし、敵を飲み込む戦闘スタイルを持つ。

 一方で物量だけではなく、艦隊の性格を明確化し、使用場面の適切かを図る作戦展開の細やかさも見せていた。

 

 

 名称:第8親衛打撃艦隊
 規模:複数個艦隊
 戦力構成:デストロイヤー艦多数、戦艦タイプA多数、旗艦級戦艦1規模
 隷下部隊:デストロイヤー戦隊(デストロイヤー艦13:ハーキンス指揮下)

 戦力総数:200有余隻

 配備地/作戦域:不明(作戦地域にM1678散開星団を含む)/首相の命ずる地域
 指揮官:ハーキンス中将
 所属:不明 

 

 ヤマトがボラー連邦の支配下にある惑星ファンタムへと舳先を向けたころ。ヤマトがデスラー総統の盟友であることを鑑み、彼らの行動を重く見たベムラーゼ首相。丁度、当該方面を作戦域に含む第8親衛打撃艦隊へ、中央作戦室から首相令が発せられた。

 

 戦力構成

 高機動艦が中心となった艦隊である。つまるところ、対艦専科艦隊。

 タイプBを保有していない可能性が高く、粛清戦や惑星制圧戦のような巨大火力を必要とする戦闘には向かないだろう。この艦隊では大型ミサイルが決定的に不足していることが明白であるため、仮に制圧戦を任されたとしても敵を震えさせるまでには至らない。それどころか、大気圏内での戦闘に引き込めれば泥仕合を展開できるため、むしろ第8親衛打撃艦隊の方が劣勢になる危険性さえある。挙句地上部隊を有していないのだから、どうあがいても惑星制圧戦は不可。

 しかし、対艦戦闘であれば極めて有力。

 ミサイル飽和攻撃という迎撃側がうんざりする攻撃を本当に飽和的に行える艦隊である。しかも砲撃力も十分保有した艦隊だ。砲戦距離を避けて戦闘を行うとすれば、ミサイルなどの長距離兵器を用いる必要が有るが――第8親衛打撃艦隊のミサイル力を超えるのは容易ではない。ミサイルを避けて接近し、中距離戦闘を行うとしても、全艦が4門を艦首方向へ指向可能な割とちゃんとした砲戦艦隊だ。余裕をかまして迎撃可能。

 近接戦闘になった際や、航空戦力を差し向けられたときは少々厄介だが、依然としてミサイル攻撃を行えば有る程度の損失を覚悟すれば、十分敵艦隊を撃破できる。

 下手に空母を擁していないし、リスクになりえるタイプBもないがゆえに、対艦戦闘に限ればいくらでも柔軟に戦える艦隊といえるだろう。

 総隻数は第23話の描写と彼らの基地である第8親衛打撃艦隊前進基地の規模から考えて、200隻ほどが妥当だろうが――描写によってローランド・エメリッヒゴジラ並みに大きさが変わる為、妥当な数値は分からないのが正直な所。

 

 戦術

 とにかく機動戦。敵より早く攻撃態勢に入り、敵より早く敵より多くのミサイルをぶっ放す。出来るだけ艦隊の遠方で勝負を付けたい。

 もしもミサイルの有効範囲より接近されたのであれば、敵の性質を鑑みつつ割り切って砲戦へと移行する。

 

 劇中の活躍
 第19話に登場、デストロイヤー戦隊が出撃しヤマトの行動を阻止すべく戦闘を開始した。しかし、コスモタイガーとヤマトのショックカノンに阻まれ、目的を果たせず。また、シャルバート教の巡礼船にも大きな損害を与えることはできなかった。

 第22話ではベムラーゼ首相の命令で再出撃し、その戦力のほとんどを投入。第23話にてルダ王女の奪還目指してヤマトと交信。一応、平和的解決を求めてはみたが「どうなんだ!」「断る!」の身もふたもない応酬の後、戦闘を開始。約30隻+αの第1戦隊と20隻+αの第2戦隊に分かれ、ひし形の陣形を組んでヤマトに接近、猛打を加えた。だが、ヤマト死守の命令を受けたガルマン・ガミラス北部方面艦隊が決死の体当たり突入を敢行。これに抗しきれず艦隊は壊滅した。

 

 

 

 名称:第1主力艦隊
 規模:5個艦隊級
 戦力構成:デストロイヤー艦多数、タイプA多数(以上、バルコム艦護衛隊)/大型空母多数、戦闘空母多数、タイプB多数
 戦力総数:1000有余隻
 配備地/作戦域:本国/首相の命ずる地域
 指揮官:バルコム提督
 所属:不明

 

 第8親衛打撃艦隊の援軍として急遽首相命令で出撃した本国所属の戦闘艦隊。極めて大規模で、画面を埋め尽くすほどの戦力を誇った。 

 

 戦力構成

 バルコム艦の周辺と、それ以外だと結構様相が違うため注意が必要。

 まず、艦隊全体としては大型空母や戦闘空母といった航空戦力が数十隻から。圧倒的に巨大な航空戦力であり、まさに本国が養うべき柔軟な戦力。特にボラー連邦は傾向として惑星制圧には艦載機を用い、破壊に関しては大型ミサイルを用いる。つまるところ、この本国第1主力艦隊は惑星制圧も視野に入った大型艦隊という事になる。

 最悪の場合=惑星制圧に失敗した際のことを鑑みた数十隻に及ぶタイプB戦艦の圧倒的大量投入も特徴的。つまるところ、この艦隊は敵にブチ当てれば惑星を征服することも粉砕することも容易であるという事。これだけのタイプB投入に加えて更にタイプA数十とデストロイヤー艦数十までを投入し、どんな対艦戦闘や対空にも対応できる途方もなく巨大で柔軟な戦力構成である。

 ただ、攻撃側のねらい目としてはバルコム艦の周辺だろう。ハーキンス艦隊と同様の戦力であり、敵艦隊との近接戦闘や敵艦載機の空襲から身を守るという点において最も効率のいい艦隊編成。だが、反対に言えば艦隊総司令がこの割り切った普通の戦力に守られているという事は、万が一この部隊へ接近できれば無理やりにでも近接戦闘を挑めば――もしかすると旗艦を破壊し艦隊を機能不全に陥れられるかもしれない。

 ここはちょっと、ウィークポイント。

 戦力総数はどれほどかは不明だが、バルコムの発言が正しければ5ヴァイの戦力。つまり、約1000隻。

 

 戦術

 恐らく、元来は敵の主力艦隊と雌雄を決し戦争の帰趨をボラーへなびかすべく編成された艦隊だろう。無論、粛清を容易にするという作戦も、ボラーによる銀河統一という目標からすれば第1主力艦隊の任務の範疇といえる。

 これだけ巨大だと、はっきり言って戦術はいらないレベル。旗艦にさえ敵の攻撃が届かなければ、どれだけ困難な戦闘であったとしても十分に采配は振るえるし、艦隊は機能不全を起こすことはないだろう。

 何でこんな巨大艦隊をヤマトごときに差し向けたかといえば――ヤマト迎撃以上にヤマトとガルマン・ガミラス艦隊の合流が恐ろしかったのだろう。或いはそこへシャルバート帝国艦隊が合流したならば、ボラーにとっては最悪の事態。この数百年は活動を停止しているシャルバート帝国だからこそ、初動は鈍い可能性が高い……ならば、そのタイミングを逃さず猛攻を加えて一定程度戦力を低減させられれば、銀河最強の戦闘国家相手にもボラーでも十分に互角が望める。

 

 劇中の活躍
 第22話、首相の命令によって緊急発進しハーキンス率いる第8新鋭打撃艦隊の援護に回った。第23話、ハーキンス艦隊が壊滅した後、満を持して前進。ヤマトに降伏を迫ったが拒否られ、キレたバルコムは10秒以内の攻撃開始を下令する。しかしこの猶予でヤマトは艦隊の攻撃から逃れ、更に大艦隊という動きの鈍い存在に対して高機動戦を仕掛けたヤマトを補足しきれず。艦隊中枢、旗艦への直接砲撃を許してしまう。挙句運悪くバルコム艦が被弾し、爆散。途端に統制が取れなくなった艦隊はヤマトのなすがまま、ほとんど壊滅してしまった。

 

 

 名称:第2主力艦隊
 規模:複数個艦隊
 戦力構成:タイプA多数、タイプB多数、大型空母多数、戦闘空母多数
 戦力総数:1000隻弱

 配備地/作戦域:本国/首相の命ずる地域
 指揮官:ゴルサコフ参謀長
 所属:不明

 

 緊急発進したバルコム艦隊の命令に間に合わなかった一群、或いは残存バルコム艦隊で構成されているであろう一群。ベムラーゼ首相の右腕であるゴルサコフ参謀長に率いられた戦闘艦隊。とにかくシャルバートを潰せるならばつぶしたい、味方に引き込めるならば何としても引き込みたいボラー連邦がシリーズ再後半に繰り出した大艦隊の一つである。

 

 戦力構成

 バルコム率いる第1主力艦隊とほとんど同じ編成。ただ、どうやらデストロイヤー艦は保有していないか、或いはごく少数。この点から考えてもどちらかといえば、出撃に間に合わなかった部隊を取り急ぎまとめた艦隊、或いは第2主力艦隊が出遅れたため元来の指揮官に代わってゴルサコフが指揮を執ったという線が強い。

 デストロイヤー艦がないのは結構痛い。敵の高機動戦に対して巨大艦隊である以上うまく対応できない可能性がある。つまるところ、ミサイル兵装の不足による攻撃の柔軟さの欠如だ。圧倒的多数の戦闘艦を有しているため、弾幕で敵のミサイルや艦載機群を十分迎撃できるだろうが、バルコム艦隊の例もある為に安心はできない。むしろ、あれだけの艦隊でもしくじったのだから、このゴルサコフ艦隊はより警戒しなければより容易にヤマトなどの決死隊に旗艦を仕留められてしまう危険がある。

 

 戦術

 劇中でゴルサコフが言っていたように、電撃戦

 艦載機群を大量投入し、シャルバート星全域を攻撃かつ占領をもくろむ。さらに、上空に展開していたデスラー親衛艦隊に対しても空襲を敢行した。かなりの数の空母を有していたバルコム艦隊に比べれば、航空戦力も多少小さいものの、十分有機的かつ効果的に敵を攻撃できるだけの戦力は確保していた。

 そうはいっても、艦載機だけで敵を殲滅できるとは限らない。実際、シャルバート制圧およびデスラー親衛艦隊撃破の為に砲力を以て戦う場面に直面。こちらも電撃戦を行うべく急速接近し、火力の全てをたたきつけるべく直進したが――ハイパーデスラー砲による返り討ちを喰らってしまった。

 ベースとして、ゴルサコフは電撃戦が得意だった。この艦隊も、彼の作戦を敢行するのに十分な戦力ではあったと言えるだろう。

 

 劇中の活躍
 第24話、閉じつつあったシャルバート星への亜空間通路に強行突入するシーンから登場。シャルバート星および、その上空に展開するデスラー親衛艦隊に対して奇襲・電撃戦を敢行。戦艦3、空母8とアナウンスされたが、正直意味不明。ゴルサコフ艦の周囲の戦闘艦艇という意味ならば筋は通るだろう。

 

 


 名称:ベムラーゼ親衛艦隊
 規模:複数個艦隊
 戦力構成:タイプA多数、タイプB多数、デストロイヤー艦多数
 戦力総数:不明(約200隻)

 配備地/作戦域:不明
 指揮官:不明(最高司令官はベムラーゼ首相)
 所属:不明

 

 ベムラーゼ首相の周囲に展開する護衛艦隊。主力艦隊ほどではないが、非常に多数で強力な戦力を有する。

 

 戦力構成

 まず、第13話に登場した艦隊と第25話に登場した艦隊の2つがある。

 前者はタイプBを多数擁し、何なら惑星すら木っ端みじんに粉砕する事が可能なほどの大戦力である。数としては必ずしも大規模ではないが、潜在的な戦力として巨大。地方視察のための艦隊にしてはあまりに強力過ぎるが、場合によっては目的が粛清にも変わるかもしれない事を考えると、これだけの戦力も不思議はないか。

 他方で後者。こちらはベムラーゼ首相旗艦機動要塞の護衛艦隊である。タイプBの姿がほとんど見えず、代わりに多数のデストロイヤー艦が配属されていた。こちらはベムラーゼの口から語られたように、デスラー総統を迎え撃つための艦隊である。対艦戦闘において極めて強力であると考えられたハーキンス艦隊と同様の戦力構成であり、つまるところ特質も同様であると言えるだろう。

 

 戦術

 第13話であれば、敵艦隊との戦闘より惑星制圧。仮に対艦戦闘を行うとしても、数に頼った猛烈な砲撃、それが敵わないのであればミサイルですべてを一掃する。

 第25話であれば、敵に対して高機動戦を展開するのが基本であり、奇襲的攻撃が望まれる――が、デスラー親衛艦隊の方が先に奇襲を仕掛けたため、ベムラーゼ親衛艦隊は全く役に立たなかった。

 

 劇中の活躍
 第13話にてベムラーゼ艦と共に登場、バース星上空に展開。ヤマトとの戦闘が振るわなかったバース星に対してキレた首相がこれを破壊すべく全艦に大型ミサイルの発射を下令、これによってバース星を破壊した。

 第25話にて再登場。太陽系圏内に突入、ヤマトに猛攻を加えた。しかし、突如として現れたデスラー親衛艦隊のデスラー砲一斉射撃によって瞬時に壊滅してしまった。

 

 

銀河系大戦(ヤマトⅢ)参加部隊 ボラー連邦①――バース星――

 

 

 バース星はボラー連邦に属する惑星国家であり、ペルセウス腕のオリオン腕・太陽系前面域に位置する――天の川銀河ハビタブルゾーンに位置する。極寒の惑星で政治的な自立はないものの、自国民で運用されるおおむね自前の戦闘艦隊を有する強力な半独立国である。

 

 

 名称:バース星防衛軍
 所属:バース星(バジウド星系第4惑星)
 運用者:バース人

 規模:複数個艦隊
 配備艦種:戦艦タイプA/タイプB、大型空 母、バルコム艦型戦闘空母
 総隻数:約200隻

 配備地/作戦域:バース星
 最高司令官:ボローズ総督
 艦隊総司令:ラム艦長

 隷下部隊:バース星守備艦隊、バース星警備隊(レバルス隊長指揮下)、バース星陸上軍

 

 バース星防衛軍(仮称)はバース人によって運用されるバース星守備の為の戦闘部隊である。しかしながらその艦艇はボラー連邦正規軍準拠そのもの。恐らく氷上戦車などの陸上兵装もボラー連邦正規軍準拠であろうと推測できる。また、最高幹部や監察はボラー連邦本国からの派遣された人物が担う模様。その意味では独自性がない軍だ。

 一方で、ラム艦長のようなバース人高位司令官も存在し、運用そのものはバース人によって行われているため、独自性がゼロというほどではない。ダゴン艦隊の勢いに抗することはできなかったものの、初期においては互角に戦って見せた点など軍事教練的には十分成熟した課程とその教育を施すことのできる環境なのだろう。

 艦隊の数も200隻近い数を見込み、数の上では下手をすれば地球より軍事大国。また、陸上戦力も相当数が配備されていると見込まれる。

 ダゴンが手こずるのも無理はない。

 


 名称:バース星守備艦隊(主力艦隊)
 規模:2個ないし3個艦隊/第一陣総数20隻以上、第二陣30隻以上、第三陣約50隻。
 戦力構成:戦艦タイプA/タイプB多数、大型空母多数(6以上)、バルコム艦型戦闘空母(12以上、14)
 戦力総数:約120隻

 配備地/作戦域:バース星周辺域
 指揮官:ラム艦長
 所属:バース星
 運用者:バース人

 

 バース星を守備するために出撃した大型の戦闘艦隊である。戦艦と空母がバランスよく配備されており、計算上は非常に強力な艦隊。ただし、ボラー連邦本国艦隊に比べ、可能性として小型艦艇を配備されている可能性もある為、必ずしも本国艦隊に匹敵する戦力であるとは限らない。
 特徴的なのがバース人で運用されている点で、乗組員は劇中登場は全員が緑色の肌をしたバース人である。

 

 戦力構成
 第1話ではタイプAおよびタイプBを中心とした砲戦艦隊が前面に立ち、ダゴン艦隊を迎え撃った。
 更に続く第2話の前半部においても20隻近いタイプBを投入し果敢に攻撃を行った。しかし、後半部においては戦艦の数は減少し、代わりに大型空母を前面に出して砲戦を行った。総数は恐らく、合計30隻程度だろう。
 第3話でもう一度ダゴン艦隊に対し戦闘を挑み、その際は戦闘空母を集中投入し戦力を整えて攻撃を開始。戦闘空母はこれが12、ワープアウトして撤退したのが14程。他にも後続感があった為、総数で30程が見込まれる。

 

 第1陣の戦力は第2陣の戦力より劣るか、総数が劣るかといえば不明で惑星破壊ミサイルの爆発に巻き込まれた艦艇を見落としているため――描写的には最も陣容の強力であろう第3陣と同格としても問題はない。

 

 実際の戦力
 恐らく航空戦力はほとんど有していないと思われるダゴン艦隊との決戦に出撃した艦隊は100隻を見込み、更にそれなりの数の守備艦隊を温存していた事を 考えると――バース星艦隊の総数は200隻近い。しかもそのうち空母が戦闘空母に限っても30隻、大型空母も含めると50隻は下らないだろう。これらの空母に搭載する戦闘機はざっくり1万機は見込んでおく必要が有る。


 ところが、バース星は流刑地に近い扱いである。

 星は寒冷地らしく、大規模な食糧供給は見込めないし、10年前は独立国であったが結局ボラー連邦に飲み込まれた事を考えると戦力供給は自由にはならないのではないだろうか。つまるところ、航空戦力は数百機がせいぜいで、殆どの空母がボラー本国からの貸与であって自前で建設した戦力ではない、とみるのが妥当だろう。これでは航空戦力を使うタイミングがないし、おいそれと使えない。
 そうはいっても、空母は火力供給源となり得る。だから戦艦ないし巡洋艦扱いで空母や戦闘空母を編入し、敵艦隊前面に押し出した。苦渋の決断だろうが、当然の判断ともいえる。

 

 結果、総投入砲門数が最低でも400門。第一陣でも80門の火砲を集中的にダゴン艦隊にたたきつけた。その結果、ナレーションでは圧倒されているように説明されたが、実際にはむしろバース星守備艦隊の方がダゴン艦隊を圧倒し勝利に近づいていた。

 

 戦術
 ラム艦長に取れる作戦は限られていた。航空戦力がいまいち確保できない中で、味方より機動性に優れる敵艦隊と戦うのである。割合に強力な火力を以て地道に砲撃戦で敵を押し留める他、方法はない。


 実際、劇中の第一会戦において多数のタイプBとタイプA及び大型空母を投入し一定程度圧倒する事に成功した。だが、惑星破壊ミサイルの爆発に巻き込まれ味方の大半が消滅。続く第二会戦でもタイプBを大量投入したものの、高機動戦――しかも、左右から攻撃されるという大惨事。この時はどう頑張っても左右どちらかの戦隊にしか攻撃できないし、片方を攻撃すればもう片方に艦尾を狙われるという大ピンチ。直進して敵艦隊を振り切る他に手段はなかっただろう。第三会戦では大型空母を戦艦として多数投入し、アルファ星第4惑星への砲撃に気を取られたダゴン艦隊を奇襲攻撃。多少の戦果を得たが、失ったものも多かった。
 第四会戦において、戦艦の類の数は少なく、戦闘空母を大量投入することでガルマン・ガミラスに対してボラー連邦が勝っている基礎的な砲撃力の再充填を敢行。それなりに作戦は当たり、劣勢に追い込まれ撤退する羽目になったが、ワープで撤退できるだけの余裕をつくる事はできた。


 劇中の活躍
 第1話及び第2話、第3話。ダゴン率いる第18機甲師団艦隊と交戦。第1話で惑星破壊ミサイル爆発の余波に巻き込まれて消滅、第2話ではバース星を背後にして敵艦隊と戦うも翻弄され、同話中盤でアルファ星第4惑星上空でも戦闘を敢行。こちらは奇襲に成功することで一矢報いたが、結局は反撃にあい大損害を負う。更に第3話でも登場し、徹底抗戦を試みたが喪失艦多数に及んで戦場を離脱。各艦はバース星に旗艦できた艦もあるだろうが、途中で敵艦との一騎打ち状態になった艦も多数あった模様。


 旗艦ラジェンドラ号のみ第5話と第6話に登場。ボロボロの状態で太陽系へ意図せず進入、海王星ドックで人道的理由から補修を受けた。しかし、ダゴン艦隊の執拗な追跡と奇襲的攻撃を受けて奮戦敵わず、沈没。

 ここにバース星守備艦隊はそのほとんどが壊滅してしまった

 

  

 

 名称:バース星守備艦隊(本星残留組)
 規模:1個艦隊級
 戦力構成:タイプA多数(18以上)、タイプB多数(15以上)、戦闘機多数
 戦力総数:約30隻+航空戦力

 配備地/作戦域:バース星 
 隷下部隊:バース星警備隊(レバルス隊長指揮下)

 指揮官:不明(ボラー連邦本国派遣指揮官) 
 最高司令官:ボローズ総督

 所属:バース星
 運用:バース人

 

 戦力構成
 バース星守備艦隊の残存戦力。元来は戦闘空母などが編入されているのだろうが、先の戦闘で痛手を負っているため――恐らく全艦ドック入り。実質、軽量級戦艦であるタイプAが中心だった。

 

 戦術

 ボロボロ状態のバース星守備艦隊の残存部隊では、どうあがいてもヤマトには勝てなかっただろう。しかも、ついさっきまで味方と思っていた戦闘艦に砲口を向けなければならない乗組員の葛藤と、やたらに強いヤマト。

 場合によっては最精鋭だから本国に残されたという可能性はある。だが、普通に考えてあれだけダゴン艦隊に蹴散らされたのだから、最精鋭を温存しているとは思えない。だとすれば――彼ら残留バース星守備艦隊を例えるならば、ロシア帝国海軍第3太平洋艦隊。

 

 彼らが勝てる戦術などありはしなかっただろう。ヤマト相手だけではなく、ダゴン相手にも敵わなかったはず。

 

 劇中の活躍
 第13話。ベムラーゼ首相の意向を受けたボローズ総督の命により出撃した艦隊。よくある地表偽装型の基地から発進し、速やかにヤマト攻撃を行ったが――左右に艦首を振って巧妙にボラー艦隊の砲撃を逃れて退避。むしろ艦隊の方が旋回不能砲塔の弱点を突かれて全く使えなかった。

 ベムラーゼ首相の意向でバース星が大型ミサイルで破壊される際に巻き込まれ、全所属艦艇は消滅したと思われる。

  哀れ。

 

ボラー連邦兵器群 ベムラーゼ首相旗艦機動要塞――宇宙の腐ったブドウ――

 

 ベムラーゼ首相旗艦機動要塞はヤマトⅢ最終話に登場したその名の通り、ベムラーゼ首相の用いる機動要塞である。その気持ちの悪い見た目と、最悪なタイミングでの登場と相まって非常に評判の悪い要塞だ。

 

 

 データ――すべて不明

 

 

 宇宙の腐ったブドウ
 ファンの間ではゼスパーゼとも呼ばれる機動要塞。他の要塞ブロックの倍以上巨大な中央ブロックの周りから直接生えた細い支柱で中型ないし小型要塞を連結する。18個は確実に連結されているだろう。反対側は描写されていないが、恐らく合計で――25ブロックが連結されていると思われる。
 ブロック一つ一つにブラックホール砲の砲身が1門設けられているらしい。小型の要塞ブロックも小型とはいえ――直径が戦艦の全長の3倍は確実にある。幅だと5倍ほどか。ブラックホール砲は砲身が複数の小口径砲をまとめたような形であろうことが描写から考えられる。


 内部はえげつないほど巨大。ベムラーゼ専用の司令官席が同心円の中心に設けられ、そこに左手側から通路が伸びる。椅子は円形の床の上に置かれているが、床の先は堀。さらに先に土手の如くバームクーヘン的床が、さらに先の窓の手前に狭い円形廊下が設けられている。窓は台形を組み合わせたもので、同じくモニターが天井にも設けられている。恐らく、配下の艦隊とのデータリンクが行われているようで、ヤマトが複数角度から同時に投影されていた。
 オペレーターが何人いるのかは不明だが、3人一組であることには変わりないらしい。シーンによっては12人ぐらいが登場している場面もある。恐らく、この指令室は体育館並みの大きさと階高があるだろう。

 

 護衛艦隊は概ねAタイプの戦艦で構成されている模様だが、あんまりBタイプとの違いがない為――見間違えかも。

 劇中ではベムラーゼ首相旗艦機動要塞と一貫して呼称された一方でファンや業界ではゼスパーゼと呼ばれるのが普通。一方海外はMobile FortressBemlayze-Zethpurge〉と間を問った感じのネーミングを付けられている。

 

 

 武装

 ブラックホール砲が第一の武装である。開口部が多数あるものの、すべてがブラックホール砲であるとは思えないが、ほとんどすべての要塞ブロックに開口部がある。一部はインテークのようなものであるらしく、ここが弱点。

 

 ブラックホール砲は、同時展開はしない模様で1門程度。ただし、連射性能が高く、敵が反撃する前にブラックホール砲を連発して敵を圧倒する。要塞自体を回転する必要はない模様で、砲を展開する要塞ブロックを切り替えることで射角を確保するらしい。だとすれば、あのやたらめったらにブドウかカビかウイルスのような見た目になっているのも、射角を確保するためと説明可能。

 他にも、艦載機や敵戦闘艦の迎撃用なのだろう無数の小口径砲が弾幕を張りまくる

 

 要塞の特徴として、表面の空間磁力メッキ並みと推測可能な装甲。これはタランが総統にむやみなハイパーデスラー砲発射を思いとどまらせる理由となっていた。多分、ゴルバやデザリアム星のそれと同様の形式だし、その防護性能が落ちる理由も同じ。

 つまり、装甲それ自体にも十分対弾性能はあるが内部からの電力供給などによってそれをさらに強固にしていたのである。

 しかし、設計予定外の破孔形成による強度の著しい低下と、内部への誘爆路の形成。揚羽君が開口部に飛び込んだおかげで、開口部という――きっと迎撃時にハッチが閉められたりするのだろう。しかし、それが傷付いてしまった。そこへハイパーデスラー砲を叩き込まれた結果、速やかに内部が破壊され、防衛機能が著しく低下、それによって蕩けるように吹き飛ばされてしまった。と説明できるだろう。

 

 基本的には弱点の少ない要塞といえるだろう。他の勢力の要塞に比べても、攻守ともにかなり強力。強いて言えば補給が若干不安か。

 

 

 全長の推測
 まず、小さめの要塞ブロックの全長の推定。これは簡単で、戦艦タイプA横幅の推測が原作設定値だと――推定70メートルであるから、要塞ブロックはその5倍、つまり350メートル。描写からでは450メートル、再設定値で750メートル程。中程度のブロックはこの1.5倍程度で――要塞の全長は小さいブロックの8倍に当たる。

 つまり、この要塞は計算上設定値では2.8キロ。描写からは3.6キロ、再設定値では6キロメートルとなる。短手は6倍弱であるから、2.1キロの設定値。描写からは2.7キロ、再設定値では4.5キロとなる。


 ヤマト世界のラスボスの要塞にしては結構小さい。ガルマン・ガミラスの東部方面軍機動要塞とほとんど同程度だ。だが、要塞が必ずしも巨大である必要はないし、見るからに大した母港としての機能もないようなので、戦闘用の移動トーチカとして割り切ってみれば、この程度が丁度いいのかもしれない。

 

 

 運用

 恐らく、ベムラーゼ首相のほとんど専用状態の要塞だろう。正確に言えばボラー連邦首相用の要塞。旗艦級戦艦の場合、万が一の喪失は免れないし、あくまでこれは戦闘艦である。まして護衛の戦闘艦をサポートできる母艦機能は当然存在しないだろう。

 ボラー連邦の恐ろしいのは恐らく反乱。差し当たってはガルマン・ガミラスの脅威。もし、戦闘艦であればこれ単独で辺境惑星や空白地帯に展開することはできない。艦隊の維持も難しいし、万が一の襲撃に対して救援を差し向けるまで時間がかかってしまう。下手をすれば旗艦が撃沈されて、国家存立の危機が容易に発生してしまう。

 しかし要塞であればいくらでも艦より大きな規模の機能を確保可能。別にベムラーゼ首相個人の所有である必要はないが、彼や彼の役職に紐づいた存在であろう。

 つまり、移動首相府というのが妥当な線。戦闘の上では移動トーチカ

 

 他方で、あのブラックホール砲。あの威力はすさまじい。どう考えても惑星を吸い込むほどの力はないようだが、それでも艦隊を吸い込むことは可能。守備艦隊がなければ惑星は守れず、あとはボラーの主力艦隊に蹂躙されるほかない。つまり、粛清や敵惑星への制圧戦に使えるのだ

 実際、太陽系へ侵入しガルマン・ガミラス艦隊を消滅させた。あのタイミングで仮に地球へと攻撃の矛先を向けた場合、地球の防衛力ではボラー艦隊相手ですら十分には対抗できない。もしかすると新戦艦が就役しているかもしれない故、これで一定程度反撃は可能だが――結局ブラックホール砲に呑まれてしまいかねない。あのシーンはこの要塞の強力な一面を見せたと言えるだろう。

 

 強力な粛清手段としての側面――恐ろしいほどの威圧感だ

 今まで味方だと思っていた、或いは恐怖ではあったがようやく打ち払った敵艦隊。それがあんな腐ったブドウがいきなり自分たちの星系に突入してくるのである。挙句出撃した守備艦隊が瞬時にブラックホールに飲み込まれ、なすすべなく壊滅してゆく。仮にこのシーンを連邦内にプロパガンダ的に流せば、極めて強力に引き締めるツールとなる。

 要塞自体がかなり強力な武力を有しているため、しかも3万光年を大した時間もかからず、亜空間を通ったヤマトとほぼ同時に太陽系に突入しているその機動性

 圧倒的火力と圧倒的奇襲性を有した恐ろしい要塞であることは間違いない。 

  

 

 劇中の活躍
 第25話=最終話に、満を持して登場。

 ハイドロコスモジェン砲を以て太陽制御を試みるヤマトに対し、護衛艦隊と共にブラックホール砲で猛攻を加えた。しかし、そこへ登場したデスラー親衛艦隊。デスラー砲の一斉射撃を以て護衛艦隊が壊滅させられ、挙句に思いっきり煽られてしまったベムラーゼ首相。当然ブチ切れ、ブラックホール砲を乱射。これによって親衛艦隊への逆襲に成功した。戦闘はボラー側の優勢に進む。

 だが、コスモタイガーの猛攻とヤマトとデスラー艦の両睨みの戦闘というきめの粗さをつかれ、揚羽が要塞のウィークポイントへ特攻。その機会を逃さずデスラー総統は弔いのハイパーデスラー砲をお見舞いし、その光芒の中に要塞は蕩けてしまった。